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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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<赤>

 

Aethertorch 改革派の霊気砲手 (2)(R) U

クリーチャー・人間、ならず者

1/2

〜が戦場に出たとき、(E)×4を得る。

(T)(E)(E):〜は対象のクリーチャーに1点のダメージを与える。

(T)(E)×8:〜は対象のプレイヤーに6点のダメージを与える。

 久しぶりに登場したティム。長年のリミテッド調整の中で少しずつ駆逐されていった希少種であるティムだが、この度エネルギーという新ギミックを背負ってめでたく復活。しかし、やはりその制限はなかなかにきつく、クリーチャー限定で、狙撃するには一発エネルギー2個。決して安い取り引きではない。しかし、この子の頑張りはそうしたクリーチャー狙撃機能以外にも備えた人間相手の大砲能力の方。出現時にエネルギー4つをチャージ出来るので、あと4個をどこかからかき集めれば、3マナで6点の本体火力になる。一度打ち込んでしまえばその後2発目はもう無いかもしれないが、それだけの大きな花火を打ち上げれば彼だって満足げな顔で死んでいくことだろう。実際に撃つかどうかは問題ではなく、相手に「ひょっとしたら6点くるかも」と思わせ、除去られるだけでも役目としては充分なのだ。もちろん、ティムとして安定運用出来るならそれに越したことはない。青や緑と組んだエネルギーデッキでフル回転させてあげよう。

 

Brazen Scourge 真鍮の災い魔 (1)(R)(R) U

クリーチャー・グレムリン

3/3 速攻

 パワー3の速攻持ち。かつてはこのスペックというのもなかなか実現出来ない貴重な存在だった。古いプレイヤーにとってこのステータスは「タールルーム・ミノタウルス(6ED)」のものであり、つまり4マナのイメージだったのだ。しかし、色マナ拘束というトリックを用いて「ボガートの突撃隊(SHM)」がこれを大きく塗り替えると、その後はアンコモンの立場を利用して「屑肉の刻み獣(RTR)」のようなカードが作られるようになる。最近でも「殺戮の先陣(BFZ)」はかなり近い存在と言っていいだろう。そしてこの度、グレムリンというちょっと変わった種族を使って、昔懐かしいテイストに戻りながらもきっちりアップグレードされた単色アンコモンとして初の3マナ3/3速攻を実現。これはこれで歴史的瞬間であり、こいつが1枚いるだけでも、相手はダメージ計算に気を遣わなければいけなくなるだろう。そうでなくとも、3ターン目にいきなり転がる3/3はそれだけで価値が高く、普通のバニラクリーチャーに3点火力がついているようなもの。地味には違いないが、攻め気のデッキならば存分に使い倒したい、優れたスペックなのだ。

 

Built to Smash 撃砕確約 (R) C

インスタント

対象の攻撃クリーチャーはターン終了時まで+3/+3の修正を受ける。それがアーティファクトクリーチャーであるなら、ターン終了時までトランプルを得る。

 白の「永存確約」と対になるコンバットトリック。白の方は一応守備も考えた色特性だが、こちらは守りなど考えず、攻撃クリーチャーにしか使えないように対象を絞ったおかげで、1マナで+3とトランプルという破格の性能を手に入れた。増強の本家である緑ですらこの効果には2マナがかかったわけで(「捕食者の一撃(MRD)」)、赤単色でこのスペックは快挙と言っていい。白と提携していることからも分かる通り、想定しているのは機体のアタックに合わせること。「アラダラ急行」との組み合わせはアホみたいだがコモン2枚のコンボなので案外たやすく実現可能。11/9威迫トランプルの走り抜ける様子はまさに暴走列車。これがわずか5マナと1マナのカードでやることか? 絶対にカラデシュでは駅のホームに立ちたくない。

 

Catharitic Reunion 安堵の再会 (1)(R) C

ソーサリー

〜を唱えるための追加コストとして、手札を2枚捨てる。

カードを3枚引く。

 イラストネタバレのコーナー。まぁ、そらそうなるやろ、っていう展開ではありますけど。こんな穏やかな表情のチャンドラ初めて見るな。まぁ、そんな母娘の再会はいいとして、カードの効果の方もなかなか面白い。なんと、リミテッドではみんなが大変お世話になりまくっている「苦しめる声」のアップグレード(?)版である。アドバンテージが得られない枚数設定は相変わらずながら、今回はなんと2枚捨てて3枚引く。もう、どんなカードだろうと「3枚引く」って書いてある時点でヤバ強く見える不思議。「苦しめる声」と比べると、小回りが効かなくなり、かなり慎重に捨てるカードを吟味しないとしっぺ返しをくらいそうなのがデメリット。例えば土地が詰まった状態だからといって渋々高コストのカードを2枚捨てて、土地3枚を一気にドローしたときにはなんとも微妙な気持ちになったり、逆に「1枚くらい引き直すやろ」ってんで土地を2枚捨てたら一切出てこなかったり。そういう「見えない未来」と勝負しなきゃいけない度合いは「苦しめる声」よりも高い。あとは、中盤以降に引いた時に手札が2枚以下だと唱えることすら出来ない点は純粋にデメリットである。しかし、元々このカードを入れているくらいなのだから、デッキの回転をあげるのが目的のはず。そう考えればこの爆発力は魅力的。一気に2連マッドネス、これ1枚で昂揚達成などの様々なポジションで活躍出来るし、お目当てのカードがあるならそこへ近づける可能性もグッと高くなっている。「苦しめる声」が潤滑油の範疇だったとして、ここまで来たらもう立派な「ドローカード」だ。今後は様々なフォーマットで使われるようになるんじゃないだろうか。あ、でもカウンターだけはマジ勘弁な。その時点で負け確定だから。

 

Chandra, Torch of Defiance 反逆の先導者、チャンドラ (2)(R)(R) M

プレインズウォーカー・チャンドラ

<+1>: あなたのライブラリのトップを追放する。あなたはそのカードを唱えても良い。そうしないなら、〜は各対戦相手に2点のダメージを与える。

<+1>: あなたのマナ・プールに(R)(R)を加える。

<-3>: 〜は対象のクリーチャーに4点のダメージを与える。

<-7>: あなたは「あなたが呪文を唱えるたび、この紋章は対象のクリーチャーかプレイヤーに5点のダメージを与える」という紋章を得る。

【4】

 世界を守る正義の味方、ゲートウォッチとして2つの次元でお仕事を果たしていたため、すっかり選ばれし者としての責務に目覚めたと思われていたチャンドラさん。しかし、彼女の本質はあくまで赤。衝動と熱情に動かされる跳ねっ返りちゃんである。ゲートウォッチの下に持ち込まれた故郷次元のトラブルに直面し、彼女は再び自身のオリジンに火をつけた。死んだと思ったお母さんにも再会し、彼女はカラデシュ革新派の旗手として次元をかき回すことになるのだろうか(なお、背後にはトラブルを楽しみたいだけの黒いお姉さん(229)がいる模様)。

 そんなわけで今回のメインヒロイン、チャンドラさんが当然のようにカード化。前作の6マナチャンドラは長いチャンドラヒストリーの中でも出色の活躍を見せた名作だったが、今回もなかなかの仕上がりだ。なんと、あの神ジェイスとならぶ「4マナで能力4つ」を手に入れた史上2つ目のカードという快挙(両面カードを除く)。そしてそのどれもが説得力充分な能力の詰め合わせではないか。強いPWの条件1,アドバンテージが取れるプラス能力。上のプラス能力はいわゆる赤の「疑似ドロー」。「唱える」だけなので土地がめくれたらハズレだし、やや博打要素は高いのだが、ご丁寧にはずれた時の保険までついているのであまり失敗しても気にならない。何はなくとも起動出来る能力というのはそれだけで価値がある。さらに2つ目のプラスは、なんとあの「野生語りのガラク(M11)」のプラス能力と同等のもの。チャンドラを出して即2マナのクリーチャーを展開出来るし、次のターンに7マナに届くってのはそれだけでブラボー。同じくマナを伸ばせる「紅蓮術士のゴーグル」が入れ替わりで環境を去ってしまうのは惜しいが、代わりに赤緑系のランプのマナソースの役割をしっかり果たすことが可能。チャンドラ→「世界を壊すもの」とつなぐ4→7ステップが成功すれば、大抵の相手はぶっ殺すことが出来るのではなかろうか。強いPWの条件2,自分の身を守れる能力。小マイナスはややコストが高いものの、「闇の領域のリリアナ(M14)」のように起動時即死なんて情けないことは言わない。きっちりクリーチャー1体を排除しつつ、次のターンのマナ加速やアドバンテージに繋げられる。最悪、4マナ4点ソーサリー火力として使い潰してもそんなに大きく損した気にもならないだろう。充分な防衛策だ。強いPWの条件3,充分な初期忠誠度。4マナで登場し、どちらかのプラス能力を起動すればその時点で忠誠度は5。あのギデオンと同じなのだから、そりゃもう、充分も充分。余裕をもって忠誠度を溜めることも出来るだろう。そしておまけの最終奥義。大抵のPWには「起動したら勝ち」って書いてあるものだが、このチャンドラさんもご多分に漏れず「起動したら勝ち」。しかも割とダイレクトに勝ち。この奥義が、上手くいけば4ターンで到達可能。この設定も現実味があって素敵だ。つまり、久しぶりに「誰がどう見ても一発で強い」PWなのではなかろうか。最大の悩みは、6マナチャンドラとの枚数調整くらいのもんである。高騰必至、ショップへ急げ(煽りたいだけ煽る。もし万一活躍出来なくても当ブログは一切責任は持ちません)。

 

Chandra’s Pyrohelix チャンドラの螺旋炎 (1)(R) C

インスタント

〜は、対象のクリーチャーとプレイヤーの最大2つまでの組み合わせに、2点のダメージを割り振って与える。

 フレーバー的にチャンドラを使ってみただけの「双雷弾(DTK)」。わざわざ名義変更せずにチャンドラの炎術の1つとして「双雷弾」っていう名前でも良かった気がするのだが、雷ってチャンドラのイメージじゃないし、せっかくなので彼女の荒ぶる姿をもっと見てもらおう、ってことなんだろうか。テンプレ台詞も含めて、もう完全に主人公ですね。「双雷弾」は当然のようにリミテッドで活躍した火力だが、「龍紀伝」環境は変位絡みでタフネス2が多く、あまりこれで2つ以上のパーマネントに対処する使い方はされなかった気がする。今回は霊気装置、飛行機械などのトークンもあるし、細かくアドバンテージを稼ぐ使い方出来るかな?

 

Combustible Gearhulk 焼却の機械巨人 (4)(R)(R) M

アーティファクトクリーチャー・構築物

6/6 先制攻撃

〜が戦場に出たとき、対象の対戦相手は、あなたがカードを3枚引くことを選んでも良い。そうしないならば、あなたはライブラリを上から3枚墓地に置き、その後、〜はそのプレイヤーに、それらのカードの点数で見たマナコストの合計に等しい値のダメージを与える。

 「機械巨人」サイクルの赤は、なかなか笑わせてくれるナイスな設定になっている。6/6先制攻撃の時点で一応サイクル最大サイズを誇り、機械巨人どうしで殴り合ったら頂点に立つのはこいつ(まぁ、緑がカウンター4つばらまくから実際は負けるが)。そして、そんなボディに内蔵されているのは、赤には珍しい3ドローというド直球のアドバンテージ。「赤なのに一体どうした?」と首を傾げるが、その下を読んで大変に納得。なるほど、これの元ネタは「怒鳴りつけ(TSB)」だったわけだね。ただ、「怒鳴りつけ」は元々3マナのソーサリーであり、他の機械巨人たちが大体4〜5マナクラスの呪文を携えてやってくるのに比べたらちょっとインパクトが弱い。そこで採用されたのが、この「引かせてくれないならぶつけるまで」という謎システム。「怒鳴りつけ」なら5点固定だが、こちらはダメージ変動制が採用された。土地が3枚めくれる宇宙現象が起こった場合にはボブメイヤーも助走付けて殴りに来るレベルだが、万一エムラクール3枚が捲れればなんと39ダメージ! ドラコエクスプロージョンもなんのその。まぁ、実際には1枚以上は土地がめくれるはずなので、マナカーブがやや重めでもやっぱり5点くらいに落ち着きそうではあるのだが。「夜明けの集会(RAV)」でこれをトップに置き、上2枚を予告投球するっていうアイディアを思いついたんだけど、誰かやってみて。いや、別に強くないんだけど。「クラガンウィックの死体焼却者(SHM)」も会わせると、より明確なデッキコンセプトが! いや、だから別に強くはないんだけど。

 

Demolish/破砕(ORI)」 C

 良かったな。これまで数多のセットで再録されてきた歴戦の呪文だが、ついに、過去最高に速い順目でピックされる環境に入ることが出来たぞ。良かったな……。しかし、「どんな格好良くて新しいアーティファクト破壊呪文が登場するんだろう!」って期待してた俺のワクワクを返せ。「粉々(ORI)」とまでは言わないので、せめて「粉砕(KTK)」だけでもなんとか……。

 

Fateful Showdown 宿命の決着 (2)(R)(R) R

インスタント

〜は対象のクリーチャーかプレイヤーに、あなたの手札に枚数に等しい値のダメージを与える。手札を全て捨て、その後同じ枚数のカードを引く。

 イラストネタバレカードの1つ。とはいえ、闘技場いっぱいの観衆を前にして戦うピア・ママンとテゼレットというマッチメイクは、一体何がどうなったら実現するのかはよく分からない。片や街の一番偉い人、かたや改革派の首領にして2度の逮捕歴を誇る重犯罪者。おそらくテゼレットが用意した公開処刑の舞台なのだろうが……多分コレに繋がるんじゃないだろうか。テゼレットさんが余裕ぶっこいて立ってるのがなんかムカつくわ。さておき、そんな劇的なシーンのカード化だが、どうやらピア母さんも娘同様に紅蓮術には長けているようで、4マナから「突然の衝撃(10ED)」をたたき込む。クリーチャーも狙えるので正確にはインスタント化した「螺旋形の燃えさし(SOK)」か。そして、その後赤らしい手札の入れ替えを行うところまでが強制効果になっている。……どうなんだろ、この抱き合わせ販売はお得なんだろうか。火力として使いたい場合には当然ある程度手札を溜めておきたいが、そんなにいらないカードばっかり手札に溜まるわけがないわけで(もしそうならデッキを考え直した方がいい)、捨てるカードの中にには必ず「捨てたくないなぁ」と思うものが含まれているはず。好きなカードを捨てられるならいかにもレアらしいスペックになったのだが、これだけだとやや微妙なレアどまりな気がする。マッドネスと絡められればいいんだが、流石にこのコストだとなぁ。

 

Furious Reprisal 猛然たる報復  (3)(R) U

ソーサリー

〜は、対象のクリーチャーやプレイヤー2つの組み合わせにそれぞれ2点のダメージを与える。

 酷暑(JDG)」のちょい豪華版。「酷暑」はジャッジメントにちょろっといただけの地味な火力なのだが、オデッセイ環境大好きだった我々は随分印象深い呪文で、未だに夏場にやたら暑い日には「クリーチャー2体くらい殺せる」と言ったりするのである。今回はそんな火力の矛先をプレイヤーに向けてもいいというおまけつき。わざわざ4マナも払ってプレイヤーに2点ばかり与えてもしょうがない気もするが、一応、クリーチャーが1体だけでも唱えられるという安全性が保証されているのでそれなりのアップグレード。構築は夢のまた夢だが、リミテッドなら相変わらずありがたい存在である。フレーバーのリリアナさんの台詞は、今回のチャンドラに対するプレイヤーの気持ちの代弁かも。

 

Giant Spectacle 巨人の光景 (1)(R) C

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー)

エンチャントされたクリーチャーは+2/+1の修正を受けるとともに威迫を持つ。

 これ、日本語名は「大スペクタクル」では駄目だったんだろうか。まぁ、確かに起こってることは巨人大暴れなわけだが。多分英語名はその辺をかけてる気がするんだよね。さておき、「荒々しい渇望(OGW)」の色が変わったら1マナ軽くなった。威迫は現時点で赤と黒が共有する能力で、特に扱いに優劣は無いと思っていたのだが、ひょっとしたら赤の方が扱いに長けているということだろうか。まぁ、昔から似たような能力を持っていたのは赤の方なので、一日の長があるのかもしれません。黒は「畏怖」→「威嚇」という流れこそ主流だけど、そこと威迫の間にはちょっと隔たりがあるもんなぁ。「荒々しい渇望」はリミテッドでもほとんど見かけることが無かった残念なカードだが、1マナ軽くなり、より前のめりな赤に渡ることで今度こそ活躍の場を見つけられるだろうか。今回は黒も割とスピードが速そうなので、赤黒デッキで仲良く威迫するのがベターかもしれない。しかし、この次元にも機械じゃない生身の巨人っているんやな。ラヴニカもそうだけど、身体のサイズが違ったら大変そうな都市次元の巨人って、他の種族とどういう共存方法を見つけているんだろう。

 

Harnessed Lightning 蓄霊稲妻 (1)(R) U

インスタント

あなたは(E)(E)(E)を得る。その後、あなたは好きな数の(E)を支払っても良い。〜は対象のクリーチャーに、支払われた(E)の数に等しい値のダメージを与える。

 エネルギー火力。最低でも3点は保証済みで、それより小粒のクリーチャーを焼くならエネルギー貯金が可能。例えば「火葬」なんかを使ってても序盤のターンなら「これ、2点火力でも足りるから1点勿体ないな」なんて思った経験は誰にでもあるはず。そんな日本人の心、モッタイナイをぴたりと満たしてくれるのがこちらの火力なわけです。さらに、貯金がしっかり出来るやりくり上手な奥様には、必要に応じて火力アップのオプションも。中盤以降にカウンターを貯めてコレ1枚でデカブツを焼く爽快感は、カードでちまちま溜めたポイントでコンビニ豪遊するときの気持ちに似ている。一応自分で頑張って溜めたものなのだが、なんだかすごく得した気分になるはずだ。どんな使い方でも爽快感溢れる1枚。是非、お早めにおてもとに。

 

Hijack 乗っ取り (1)(R)(R) C

ソーサリー

ターン終了時まで、対象のアーティファクトかクリーチャーのコントロールを得る。それをアンタップする、それはターン終了時まで速攻を得る。

 「ハイジャック」という分かりやすい名前のこのカードは、毎度お馴染み「反逆の行動(ORI)」枠。色拘束を強めることでアーティファクトもパクれるようになった微調整版。最新版は「邪悪な囁き」だったし、ここしばらくはレアリティをアンコ以上に置いていたが、今回はオリジンと同じくコモンに登場。このカードがコモンになるってことは、オリジンのように「生け贄戦術が推奨される」という特殊な事情を除けば、「あんまり生け贄に出来るようなシナジーカードがない」ことの表れ。つまり「コモンで拾えてもあまり問題ない」程度の効果しかない時である。実際、今回は赤黒に生け贄を求めるカードがほとんど無く、あっても「病的な好奇心」や「焼夷式破壊工作」など、それなりにコストがかかる呪文ばかり。「ピア・ナラー」のようなレアリティの高いカードを手に入れない限りは借りっぱなしで逃げるプランは取りにくいだろう。一応、ノンクリーチャーアーティファクトもパクれるので、生け贄に捧げて使うタイプの「組細工」シリーズなんかは使い潰すことも出来るが、多分些細なもん。青と組んで「上天の貿易風」と組み合わせられたらプチラッキー。

 

Incendiary Sabotage 焼夷式破壊工作 (2)(R)(R) U

インスタント

〜を唱えるための追加コストとして、アーティファクトを1つ生け贄に捧げる。

〜は各クリーチャーに3点のダメージを与える。

 何とも絶妙な隙間をつくコスト設定のカード。「アーティファクトを燃料とする火力」といえば、何と言っても「爆片破(M15)」だろう。2マナ5点と破格の性能は、多くのデッキを一線級に押し上げる仕事を成し遂げた。このカードは生け贄部分こそ同じだが、コストも倍だし効果も随分違う。「3点を全体に」という効果は、赤ならば3マナでも実現出来る値。現在も「光輝の炎(BFZ)」がその任を務めているし、過去には「火炎崩れ(DKS)」「炎渦竜巻(SHM)」などが存在している。となると、このカードの4マナ+生け贄というコスト設定はやや割高に見える。しかし、このカードの最大の利点はインスタントであること。この「タイミングがインスタントになった分のコストアップ」が絶妙なところで、参考になるのはちょうどコンスピラシーで帰ってきた「硫黄破(TSP)」だろう。あっちはソーサリー(正確には自分のターン)なら3点、相手ターンなら2点。そしてコストは4マナ。つまり、「確実に3点のダメージを保証するためのコスト」としてアーティファクトを要求されているということ。決して損な値段設定ではないのである。グダグダ書いてみたが、インスタントで撃てるリセットボタンというのは見た目以上に価値が高い。使えるデッキは制限されるが、どうせ火力で死んでしまう霊気装置トークンなんかを充てれば一切損はしないのだし、そこまで面倒な制限でもないだろう。もちろんリミテッドなら盤面を1枚でひっくり返せるお手軽アンコボムに。

 

Inventor’s Apprentice 発明者の見習い (R) U

クリーチャー・人間、工匠

1/2

〜はあなたがアーティファクトをコントロールしている限り+1/+1の修正を受ける。

 「工匠のくせに殴り値高すぎ」シリーズの赤。この世界では「発明出来る=腕っぷしも強い」みたいな法則が成り立つのだろうか。サイズ以外には一切のアピールポイントが無いという潔い1枚。しかし条件を満たせば2/3で安定するわけで、言わばこの世界の「密林の猿人(9ED)」である。森を置くのとアーティファクトを置くのでどちらが大変かは悩ましいところだが、今後の世界ならば「森より置きやすいアーティファクト」だってきっとあるに違いない。白にアーティファクトを置くだけで3/2になる「模範的な作り手」もいるので、アーティファクト・ボロスウィニーみたいなデザインが成立するのかも。

 

Lathnu Hellion ラスヌーのヘリオン (2)(R) R

クリーチャー・ヘリオン

4/4 速攻

〜が戦場に出たとき、(E)(E)を得る。

あなたの終了ステップの開始時に、(E)(E)を支払わない限り、〜を生け贄に捧げる。

 様々な次元にポロッと現れる謎の存在、ヘリオン。形状は大体「なんかでかい口がついたムカデの化け物」で統一されているのでクリーチャータイプとして独立していることは分かるのだが、なんでどの次元にもこんなおっかないものが共通して存在しているのかはよく分からない。カラデシュなんてこういう無駄にでかくて邪魔そうな生き物は全部排除済みかと思っていたが(まぁ、同様の都市次元であるラヴニカにも、金属次元であるミラディンにもヘリオンはいるのだが)。とにかくそんなヘリオンだが、そこそこ共通して持っている特性の1つがこの速攻。そして速攻持ちのヘリオンは、攻撃強制の「炎生まれのヘリオン(SOM)」、ブロックが出来ない「鉄棘の乱暴者(5DN)」と、デメリットがつくのもお約束だ。このヘリオンの場合、戦闘能力に制限はないが、アップキープコストならぬ終了ステップコストを持っている。毎ターンエネルギー2つという維持費は、案外馬鹿にならない数だ。おそらく専用のデッキを組んでおかないと毎ターン維持することは不可能だろうし、そうした専用デッキを組んだ場合、コイツに無駄にエネルギーを食わせるよりももっと有効なエネルギーの運用方法がその内出てくるため、こいつに無駄遣いするのは躊躇われるだろう。3マナ4/4と破格の性能ではあるものの、おそらくは「ボール・ライトニング」的な使い方が主で、せいぜい2,3ターン殴っておさらばすることになるんじゃなかろうか。もし単なる4点火力と割り切って出したターンすら維持しないなら、こいつはエネルギーを2個遺してくれる甲斐甲斐しい配達人だったということに。まぁ、手付け金だけでもコイツのために使ってやるくらいの余裕はあってもいいかな。状況を見て、ヘリオンパンチが効かなそうな盤面ならさっさとリストラを。

 




Madcap Experiment 向こう見ずな実験 (3)(R) R

ソーサリー

あなたのライブラリを、アーティファクト・カードが公開されるまで公開する。そのカードを戦場に出し、残りを無作為にライブラリの下に置く。〜は、あなたにこの方法で公開されたカードの枚数に等しい値のダメージを与える。

 カードの効果を読んでいてムムムと唸らされる何とも巧妙な1枚。ギミックとしてはいわゆる「変身(9ED)」効果に近く、それのアーティファクト版なので生け贄のいらない「新たな造形(SOM)」といったところ。「こんなん、悪さし放題やんけ!」と思って見てみると……ムムムッ。なるほど、めくった枚数のダメージが飛ぶ「大霊堂の戦利品(MRD)」仕様ですね。「変身」デッキの場合、該当するカードタイプをデッキに1種しか入れず確実に大変身! ってのがパターンだが、このカードでそれをやってデカブツにありつこうと思えば、とんでもない量のカードをめくる羽目になり、見事即死なんてこともザラ。悪さが出来ないように制限された上に、赤らしいカオス、無鉄砲さが表現されているのはナイスだ。ただ……悪さが出来ないわけではないのでねぇ……ライブラリのトップがいじれればいいだけですよ。つまり「悟りの教示者(6ED)」と合わせるだけで、確実にどんなアーティファクトでも5マナ召喚。アーティファクトクリーチャーなら「俗世の教示者(6ED)」でもいいのだし、「渦巻く知識」みたいなカードがあれば手札に加えるチューターからでも起動出来る。つまり、ルールを無視するカードなんていくらでもあるわけで……新たな時代の「騙し討ち」になるかどうか。今後の下の環境に大注目。っつうか、この程度ならスタンダードレベルでも何か悪さ出来そうな気もするんだが。

 

Maulfist Doorbuster 襲拳会の扉破り (3)(R) U

クリーチャー・人間、戦士

4/2

〜が戦場に出たとき、(E)(E)を得る。

〜が攻撃するたび、(E)を支払っても良い。そうしたなら、対象のクリーチャーはこのターンブロック出来ない。

 黒にもいた「襲拳会」のメンバーの1人。どうも光る籠手のエネルギーで破壊行為を働く物騒な連中らしく、こいつの能力はクリーチャーを恫喝してブロック出来なくすること。「クリーチャー1体のブロック制御」といえば現在も「ヴォルダーレンの決闘者」が活躍中だが、こいつの場合はそれを繰り返し運用出来るのが強い。エネルギーは2回分のみの持参だが、もしこいつが能力を起動しつつ2回も走れれば、その時点でゲームは終わるだろう。「決闘者」と違って速攻はないので相手はこいつが殴ってくるのを知った上でブロッカーを構えられるが、エネルギーのいいところは同時にマナを使ったアクションが取りやすいところ。適宜火力でブロッカーを排除しつつ、こいつが生き残れるようにアタック出来る環境が整えばゴールまであと一歩だ。同じく攻撃時にエネルギーを使うクリーチャーは白に多いので、ボロスビートでガリガリエネルギーを使い倒そう。

 

Pia Nalaar ピア・ナラー (2)(R) R

伝説のクリーチャー・人間、工匠

2/2

〜が戦場に出たとき、【飛行機械】トークンを1体生成する。

(1)(R):対象のアーティファクトクリーチャーは、ターン終了時まで+1/+0の修正を受ける。

(1)、アーティファクトを1つ生け贄に捧げる:対象のクリーチャーは、このターンブロック出来ない。

 ビッグサプライズ! 死んだと思っていたチャンドラのママン、実は生きてました! 少年漫画じゃ大定番の展開だが、Magicにおいて、こうした展開が繰り広げられたことはほとんど無い。大体のヒーローは、死んだと言われたら死んでいるのがこのMagicワールドなのである。しかし、そんな中では非常に珍しい、復活の1枚がまさかのお母さん。飛行機械を出すために旦那さんともどもお世話になった人も多いのではなかろうか。残念ながら親父さんの方は「失われた遺産」に遺影を残すのみであるが、ママンはいまや革新派の重鎮としてこのカラデシュで反政府活動を続けている。チャンドラさん、良かったなぁ。母娘水入らずで……何するんだろ。お互いに最大火力を見せっことかするのかな。そんなママンは、夫婦の時に持っていた飛行機械の半分はまだもっており、さらに機械工作でダメージを増す方法も健在。ソプターで殴ればブレスで追加ダメージを見込めるし、機械を加工すれば相手クリーチャーのブロック妨害装置も作れる。ダメージの確実性という意味では「つむじ風のならず者(ORI)」に及ばない部分もあるが、多勢で殴る場合にはこっちの方が強い場合もある。まさに、集団のリーダーに立つべき人なのだ。これまでほとんど描かれることの無かった母娘という関係性、新たな伝説を作るのはお母さんか、娘さんか。いや、娘さんだけど。

 

Quicksmith Genius 天才速製職人 (2)(R) U

クリーチャー・人間、工匠

3/2

アーティファクトが1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、手札を1枚捨てても良い。そうしたなら、カードを1枚引く。

 アーティファクトが出るたびに赤ルーターを起動出来る。だって天才だから。……まぁ、ぶっちゃけ天才を名乗れるほどのびっくり能力ではない気もするが、恒常的に運用出来るルーターが強いのはいつの時代も同じこと。ちょっとサイズを増した「謎鍛冶(SOM)」だと思えば充分な能力。赤はこうしてアーティファクトが出た時誘発する能力が多いのだが、その割に製造クリーチャーが1体もいないため、純正のアーティファクトでまかなわなければいけないのが悩ましい。この手のカードを活用するなら、製造が豊富なアブザン3色(白黒緑)とのコンビネーションを心がけよう。余談だが、日本語フレーバーテキストにはこいつが「入念な研究よりも、その場の思いつきを重視するのだ」という一文があり、「おっ」と思った。「入念な研究/Careful study(ODY)」はこのカードと同様にルーターを起動するカードなので、過去のカードを含意しているように見えたからだ。ただ、英語原文のフレーバーはその部分が「careful research」になってるから別に関係無かった。残念。

 

Reckless Fireweaver 無謀な炎織り (1)(R) C

クリーチャー・人間、工匠

1/3

アーティファクトが1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、〜は各対戦相手に1点のダメージを与える。

 現在リミテッド・構築を問わず大活躍中の「熱錬金術師」の流れを組む、毎度お馴染み赤の「そのセットのコンセプトを火力にしよう」枠。熱錬金さんはイゼット的トリガーを全て火力にしたが、こちらはアーティファクト1つで1点。つまりアーティファクトを20個出せばその時点でゲームに勝利出来る。「熱錬金術師」も同様だが、この手のカードで一番ありがたいのは追加コストを必要としない部分。2マナでこれを設置しておけば、あとは普通に盤面を展開していくだけでダメージが累積していくことになる。流石に20個は無理だとしても、この世界ならばデッキに10を超えるアーティファクトを入れておくのは不可能ではないだろう。さらに製造クリーチャーなども絡めれば、トータルで4〜5点くらいは入れられるはず。2マナのカードがそれだけの火力になるというなら、充分デッキインが検討出来るはずだ。さらに「熱錬金」同様に重ねて取った時の爆発力はシナジーを超えた暴力のレベル。こいつを2枚置いて製造2のクリーチャーで4点。もう、それだけで勝てる気がする。錬金さんのおかげでこの手のコンセプトデッキの強さはかなり強烈に印象づけられている。今回もリミテッドで爆発するだろうか。これも構築でワンチャンありそうだな。

 

Renegade Tactics 改革派の戦術 (R) C

ソーサリー

対象のクリーチャーはこのターンブロック出来ない。

カードを1枚引く。

 気絶(10ED)」がソーサリーになった代わりに1マナ軽くなった。見ての通り、この呪文がインスタントである意味はほとんど無かったため、この変化はかなり大きなプラスだ。「気絶」はそこまで人気のあるカードでもなかったが、1マナキャントリップともなれば本当に最低限の効果でもデッキインされる可能性が出てくる。そして、この効果はデッキ次第ではまったくもって「最低限」などではないのだ。攻めのビートデッキではデッキ全体のマナカーブを前に寄せてデッキを引き締めるために使われる機会もあるんじゃなかろうか。ただ、「インスタントである意味はなかった」と書いたものの、実はそれは過去の話。この世界には機体カードという特例があるため、このカードがソーサリーであることにやきもきするタイミングは結構あったりする。相手のデッキの機体密度を見た上での出し入れを。

 

Ruinous Gremlin 壊し屋グレムリン (R) C

クリーチャー・グレムリン

1/1

(2)(R)、〜を生け贄に捧げる:対象のアーティファクトを破壊する。

 大丈夫、赤は自分の仕事を忘れてるわけじゃない。アーティファクトと仲良くする赤なんてのは二流も二流。壊してナンボが赤の生き様である。まぁ、最近はアーティファクトと仲の良い色、っていう印象の方が強いんだけどね。オリジンがそうだったし、ミラディン世界でも最後まで金属術を維持し続けたのが赤だったしね。とりあえず、「苛性イモムシ(ORI)」の赤バージョンみたいなクリーチャー。起動コストがちょっと重くなってしまったが、そこはアーティファクト次元に生まれてしまった我が身の不幸を呪うしかない。これよりさらに重く、他の色マナまで必要だった「イロアスの神官(THS)」に比べればまだマシな設定。そして、「イロアスの神官」にもちゃんと出番があったのだから、こいつだってやっぱりエース級。赤をやるなら、たしなみで1枚2枚と押さえておきたいこの世界のキーパーツなのは間違いないだろう。

 

Salivating Gremlins 垂涎グレムリン (2)(R) C

クリーチャー・グレムリン

2/3

あなたのコントロール下でアーティファクトが1つ戦場に出るたび、〜はターン終了時まで+2/+0の修正を受けるとともにトランプルを得る。

 もういっちょグレムリン。残念ながらこちらはアーティファクト大好き精神が溢れてしまっているため、赤らしい破壊的な衝動は感じられない。なんにせよアーティファクトを並べなければいけないことを考えると、近い性能のクリーチャーはミラディンにいた「鉄を食うもの(SOM)」や「クラーク族の兵卒(MRD)」なんかがあげられるだろうか。あっちはサクって増強、こちらは出た時点で増強。使いやすいのは当然損害の少ないこちらだが、連打して一気にダメージを稼げるのは先輩達の方か。こいつの最大の売りは、ついでに付けられたトランプルの存在。これにより、まとめてアーティファクトを連打して捨て身の一撃を見舞う特攻モードが使用可能になった。「窯の悪鬼(ROE)」みたいな専用デッキが組めれば、これだけでもゲームを決めるデッキメイクが出来るかもしれない。1枚で複数のアーティファクトがばらまける2以上の製造持ちなんかは大好きな相棒。上手いこと合わせられるだろうか。「飛行機械の組立工(MBS)」とか「マイアの戦闘球(SOM)」と合わせればワンパンでもゲームが終わるのだが……。

 

Skyship Stalker 航空船に忍び寄るもの (2)(R)(R) R

クリーチャー・ドラゴン

3/3 飛行

(R):〜はターン終了時まで+1/+0の修正を受ける。

(R):〜はターン終了時まで先制攻撃を得る。

(R):〜はターン終了時まで速攻を得る。

 今回のボックスプロモ枠。そして、レアだけど、レアに見えないその地味さ。いや、でもここまでシンプルにドラゴン性を追求し、使えそうな能力になってるのは立派なことなのではなかろうか。4マナ3/3という小粒な体躯ながら、先制攻撃が付けられるので突破力は高い。そして通してしまえば今度は文字通りに能力が火を噴くことになる。中盤以降に唱えても速攻+ブレスで想定外のダメージをたたき込むこともあるだろう。リミテッドでは分かりやすいボムである。最大の難点は、ありとあらゆる除去で沈むその脆さ。まぁ、4マナのクリーチャーなんだから除去を撃たれても我慢出来ないレベルではないが……構築は無いかなぁ。それにしても、この世界にもドラゴンっているんだね。まぁ、ミラディンにもいたしな。弱かったけど。

 

Spark of Creativity 独創の火花 (R) U

ソーサリー

あなたのライブラリのトップを追放する。あなたは、対象のクリーチャーにそのカードの点数で見たマナコストに等しい値のダメージを与えることを選んでも良い。そうしなければ、あなたはターン終了時までそのカードをプレイしても良い。

 うつろう爆発(ONS)」が軽量化し、クリーチャー専用火力になった。不確定要素の強い「うつろう爆発」を使う最大の理由は、「ドラコ・エクスプロージョン」のように一発大逆転を狙うコンセプトの面白味があったからで、どれだけダメージ量が増えても意味が無いクリーチャー専用火力になってしまったらその魅力は大きく削がれてしまうことになる。……が、このカードはそのあたりの不平不満のケアを忘れていないのがナイス。まず、コストがわずか1マナ。火力の期待値は大したことがなくても、1マナで打てるってんなら使っても損した気分にはならない。これで上手いこと3点、4点とダメージが入ればラッキーと思えるコストだ。そして、当然不発のタイミングだって多いだろうが、そこをケアしてアドバンテージロスを解消しているのが最大のセールスポイント。「火力が不発に終わる」→「土地や、コストの安いカードがめくれてしまう」ということなわけで、そのカードをプレイしてもいいと言われればきちんとそのターンの間にプレイ出来る公算が高い。土地なら丸儲けだし、1,2マナのカードが捲れたときに「あぁ、クリーチャーを殺しきれなかった」とがっかりするより、「お、ちゃんと出せるカードだ」と喜べるように気持ちの切り替えが出来るのだ。まぁ、意味の無い効果の場合も往々にしてあろうが、そこまではいくら親切なスタッフでもフォローはしきれないのでね。運試しの1枚、絶対除去ってやる、なんて気負わずに、気楽に使ってみよう。なお、使う前に土地を置いとくかどうかは絶妙な悩ましさなので、自分のデッキの中身とよく相談して決めること。

 

Speedway Fanatic 競走路の熱狂者 (1)(R) U

クリーチャー・人間、操縦士

2/1 速攻

〜が機体に搭乗するたび、その機体はターン終了時まで速攻を得る。

 赤に唯一の操縦士は、ヒャッハー!なあんちゃん。名前、イラスト、能力の全てが噛み合い、非常に分かりやすい1枚になっている。機体の搭乗を応援するカードということで、特有ギミックにしか使えない受けの狭いクリーチャーにも見えるが、2マナでパワー2の速攻クリーチャーなのだから赤なら充分に一軍選手。それがついでに他のギミックも応援できるっていうなら、そりゃ使わない手は無いだろう。今回は赤を中心に速攻クリーチャーが多く、相手に必要以上の警戒心を与えて判断を鈍らせる役割を果たしてくれそうである。とりあえずヒャッハーだ。しかし、フレーバーがゴブリンと大差無いのはどうしたものか。

 

Spireside Infiltrator 尖塔横の潜入者 (2)(R) C

クリーチャー・人間、ならず者

3/2

〜がにタップ状態になるたび、〜は各対戦相手に1点のダメージを与える。

 黒の「夜市の見張り」に続く、タップするとなにかが起こるクリーチャーシリーズ。「見張り」同様に機体に搭乗させた時にボーナスが得られるため、赤白の機体デッキでの活躍を目論んでのデザイン。黒がドレインだったので単にダメージを飛ばすだけのこちらは効果だけを見れば弱くなっているわけだが、その分3マナ3/2と普通に殴れるサイズになっているので、使いやすいのは断然こちらの方だ。殴るだけでも1点入るし、素通しされているようならパワー4と同じ。白の「渦跡の鷹」で飛ばしてやれば3マナとは思えないクロックに変貌するだろう。無駄の少ない良いデザインだ。

 

Spontaneous Artist 気ままな芸術家 (3)(R) C

クリーチャー・人間、ならず者

3/3

〜が戦場に出たとき、(E)を得る。

(E):対象のクリーチャーは、ターン終了時まで速攻を得る。

 最低限の起動コストを持つエネルギーサポーター。自身に使って4マナ3/3速攻でもそれなりだが、こいつの本領はマナコストを使わない速攻付与の使い勝手の良さだ。通例、この手の効果は「召喚コスト+起動コスト」という余計なマナがかかることが課題となり、なかなか活用されることがなかった。何とかこれを改善しようとした事例に「戦闘塁壁(ROE)」や「熱情(M13)」なんかはあるものの、速攻付与ってのはあくまで「あると嬉しい」能力で、それに特化したカードをわざわざ1枚用意するのも躊躇われる。他のキーワード能力と違って一過性の速攻は、なかなか活かしにくいパーツだったのだ。しかし、このカードならば充分にクリーチャーとしての任を果たしつつ、サブの効果として速攻付与が満喫出来る。これがある状態では、相手は次のターン一体どれだけのダメージが飛んでくるかが全く計算出来なくなるのだ。このプレッシャーは想像以上にでかい。特にワンパンチの影響力のでかい機体クリーチャーとの組み合わせはトラウマもので、油断してたら突如目の前に巨大な列車や戦車が飛び出して轢き殺される事態も起こりえるのだ。こりゃぁ油断なりませんよ。

 

Start Your Engines エンジン始動 (3)(R) U

ソーサリー

ターン終了時まで、あなたのコントロールする機体はアーティファクト・クリーチャーとなる。あなたのコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで+2/+0の修正を受ける。

 「機体+搭乗」という基本ルールを作りながら、いきなりその基本をぶっ壊す例外を用意しちゃうカード。搭乗者のサポートが必要なくなるということは、機体+他のクリーチャーが全員殴りに行けるので打点が上がるということ。そしてそのついでに「ラッパの一吹き」までついてくるので、たとえば適当な機体1つ+搭乗予定だったパワー2のクリーチャー1体、とかいう状態で使ったとしても、相手の想定+6点のダメージをたたき込めることになる。これはなかなかブラボーだ。しかし、この書式は過去のルールに問題は……でないのかな? 過去に何らかの方法でサブタイプ「機体」を与える方法があった場合、パワーとタフネスの値が分からないクリーチャーが誕生する可能性があるのだが……流石に大丈夫か。

 

Territorial Devourer 縄張り持ちの大喰らい (3)(R) R

クリーチャー・グレムリン

2/2 トランプル

あなたが1つ以上の(E)を得るたび、〜はターン終了時まで+2/+2の修正を受ける。

 エネルギーをそのままマッスルに転換するグレムリン。この手のパンプクリーチャーは「窯の悪鬼(ROE)」やら最近の「気紛れな霊」やら、一発爆裂の可能性が期待される。こいつはレアなのでトランプルもついてて隙は一切無い。ハイパーエネルギーデッキが完成したなら、1ターンに2回も3回もエネルギーゲットに走ることで超元気になったグレムリンが踊り狂うことになる。まぁ、他のカード次第なので現状では評価のしようもないのだが。デッキの組みがいはありそう。まー、このコストで素のタフネスが2だと流石に構築で見かけることはないかな。

 

Terror of the Fairgrounds 博覧会場の恐怖 (3)(R) C

クリーチャー・グレムリン

5/2

 赤のバニラ枠。特に書くこともないのでクリーチャータイプの無駄話をしておくと、グレムリンの特殊能力は機械の誤作動。つまりこのメカニカル次元では天敵ということになるが……なーんかひょうきんなデザインだよな。いや、隣にこんなのがいたらおっかなくてしょうがないけど。ちなみにクリーチャータイプ・グレムリンは過去に2体だけ。直近だとミラディンに生息していた「解剖妖魔(MBS)」がグレムリンでした。まぁ、この世界だと割とメジャーな種族だったので、一気に歴史的2枚を倍以上の数にしてしまったわけだが。クリーチャーとしてはどこからどう見ても「巨体の悪魔」。ベリー数合わせ。パワーの値がやたらでかいので、もし「搭乗5」の機体なんかが出てくれば活躍のチャンスはあるかもしれない。まぁ、機体にグレムリン乗せるってどうなの、って話だが。

 

Thriving Grubs 亢進する地虫 (1)(R) C

クリーチャー・グレムリン

2/1

〜が戦場に出たとき、(E)(E)を得る。

〜が攻撃するたび、あなたは(E)(E)を支払っても良い。そうしたなら、〜の上に+1/+1カウンターを1つ置く。

 「亢進」サイクルの赤は、なんと黒のネズミをひっくり返した攻めのステータス。サイクル中では唯一、パワーの方がタフネスよりでかい1枚になっているのは流石の赤である。このカードが偉いのは、2マナ2/1ってステータスなら(少なくともこれまでの次元では)何の問題も無く2マナ域として採用出来るスペックであること。ネズミの1/2は「殴って2/3ならまぁいいか」なのに「殴って3/2の2マナ域ってつよくね?」と思われるのだ。この打撃力はコモンで確保するなら充分。もちろん、唯一タフネスに不安を抱えるカードなので殺されるときはあっさりだが、半端に生き残る可能性があるより、バッサリと殺されて相打ちに果てる方が「電池」としては分かりやすいだろう。殴ることが条件のサイクルなのだから、積極的に殴れる方が良いに決まっている。序盤に出せればナイスアタッカー、中盤以降はさりげない電池役。いいカードになった。

 

Wayward Giant むら気な巨人 (4)(R) C

クリーチャー・巨人

4/5 威迫

 なんかこんな名前の巨人がいたような気がする、と思って調べてみたら「ぶらつく巨人(INV)」だった。あんまり似てない。そして、この5マナの巨人がサラッと実現したスペックは、「ぶらつく巨人」と比べると同じゲームとは思えないほどの時代の流れを叩きつけられてクラクラする。双方同じコストながら、大先輩ぶらつきさんはレアで4/6にデメリット付き。こちらはコモンで4/5にメリット付き。まぁ、ぶらつきさんは当時もゴミレア扱いだったから比べるのは可哀相だが……。いや、でもこいつはあの「髑髏砕きの補充兵(BFZ)」の完全上位互換なんだよな。色拘束が軽くなったあげくにタフネスが上がっているってのは格段の進歩である。「補充兵」は前のめりな同盟者ビートできっちりマナカーブを締めるキーパーツとして活躍した。こちらのクリーチャーはシナジーなど一切無いが、それでも雑に相手を踏みつぶせるだけのポテンシャルがある。一応こいつ1人でほぼ全ての機体を乗りこなせる、なんて意味もあるが、流石にこいつには殴ってほしいなぁ。

 

Welding Sparks 溶接の火花 (2)(R) C

インスタント

〜は対象のクリーチャーに、あなたのコントロールするアーティファクトの数に3を加えた数に等しい値のダメージを与える。

 なんか除去が優秀な次元ですね。クリーチャー限定の3マナ3点。これだけでリミテッドなら充分過ぎる性能だが、これがデッキの構成次第では青天井。ひょっとしたら1枚でコジレックすら焼き捨てられるかもしれない(エムラクールは焼けないからね)。まぁ、あくまでクリーチャー火力なのでそこまでダメージ量を追求する必要もなく、何となくプレイしてるだけでも一線級の活躍をしてくれるだろう。今回はソーサリーで対処しにくい機体クリーチャーが多く存在しているので、インスタント除去ならそれだけで使うべき意味がある次元なのだ。しかし、チャンドラさんってこの機械次元で突然炎の能力に目覚めてしまい忌み嫌われた可哀相な存在だと思っていたのだが、彼女のお母ちゃんの性格を見てると、紅蓮術士として覚醒したのも遺伝だったのかなぁ、って気がしてきますね。これでストーリーのオチが「実はナラー夫妻の方が極悪人でした」っていう鬱エンドだったらどうしよう。

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