チェケラッチョイな番外編その1。番外編っていうか……こっちの方が本流のけいおんだよなぁ。
前回で無事に「最終回」を迎えた本作だが、日程調整のために作られた特別編が2本残っている。その内1本は、本編で卒アル撮影、正月から受験までせわしなくぶっ飛んだので、そのあたりの穴を埋める過去エピソードである。これならすんなり時系列順に放送しても良かった気もするのだが、あのちょっと寂しげな雰囲気の20話以降にコレを入れられてもちょっとイメージがねぇ。ほんと、こいつらは緊張感がねぇな。
今回のテーマは、新入生歓迎のためのPV撮影。本編だけだと唯たちは梓のために一切気遣いをしていないように見えたのだが、陰ではきちんと部員誘致の努力をしていたんだね。ちゃんとPVは完成していたので、視聴者はあの最終回のあとも、ビデオを見た来年の新入生が軽音部に入ってくれたかもしれない、というifの未来をイメージ出来るというのは嬉しい。ただ、残念ながら悪ふざけの域を出ないのがこの先輩達(顧問含む)の限界。全米を震撼させたり、脅威の露出率を発揮したり、実現したら素晴らしいアイディアはたくさんあったのだが、残念ながらそれだけの技術も人員も無かった。無念。
さて、基本的にネタ回なので、久し振りに1人ずつ確認していきましょう。今回一番動きが少なかったのが澪。冒頭でナースコスをかました絶妙なテンパりっぷりは流石。ああいうシーンの「素人がホームビデオで撮った映像」の作り方は、本当に京アニ炸裂でこだわりが見えて嬉しい部分。そう言えば、勉強シーンを撮影するカットで彼女は唯の右側に座っていた。あのくらいの距離だと左利きはなるべく左側に座りたがるものだと思うのだが、彼女は気にならないんだろうか。いっつも座ってる指定席だからいいのかな。
地味にひどいことを連発していたのはムギ。「このままだと、澪ちゃんが全米を震撼させる衣装を着ることになるわ」って、ほんとにこのお嬢さんはひどいことしか言わない。他にも、実際さわちゃんが作ってきた衣装をなんとかビデオに盛り込もうとしてみたり、しっかり梓の恥ずかしい姿を撮影していたり。さわちゃん以上に黒幕はこいつな気がしてきた。常人には「ごはんはおかずの歌詞の通りに行われる連続殺人」なんて発想は絶対出てこないぞ。……書いてみたいな、それ。もしくは「ごはんがおかずだろ」と言ってコンビニで白ご飯を2つ買ってきた先輩に対して、後輩が怨恨をもって復讐する話かな(身内の実話)。
これだけ頑張ってて突っ込み疲れないんだろうかと心配してしまうのは梓。PVの企画は結局彼女が1人で作ったようなもので、意外にも高い企画力を見せてくれた形。撮影に憂と純を引っ張ってきて手伝わせたり、映画研究会から機材を借りてきたり、やはり自分1人に部の存亡がかかっている意識があるのか、かなり積極的に動いていたのが分かる。せっかくいいものができたのに、とっさにマイクを向けられると「にゃん」しか出来ないアドリブのきかなさが唯一の難点か。そういえば、梓の自宅が映るシーンって1期の頃から必ずリビングだった気がするのだが、梓はああいうことを考えるときでもリビングで作業をするのだろうか。ひょっとして自分の部屋がない? そんなわけないよなぁ。
髪の毛ぱっつんが直っていないのが唯。澪に嘘方程式を教えるシーンのあまりにぶっ飛んだおとぎ話、全部アドリブだったとしたらこの子はやっぱり天才だと思う。Xの帰りを待つYは、結局どうなったんだろう……三次方程式の解にタライを持ってくるセンスも抜群。なんでこの子が大学受かったんだろうね。そして、今回やたら印象に残っているシーンが、和のトンちゃんアテレコシーン。和がやったあとに唯は「和ちゃんがアタイって言った……」とやたらしょんぼりしている。いや、お前らがやらせたんだろうが。どうも和が絡むと唯はよく分からないテンションになる。よっぽど特別な感情を抱いてる幼なじみなんだろうなぁ。
あと、唯と言えば今回冒頭の回想シーン、フォークを加えて「ふむぅ?」って振り返る唯と、鏡に向かってポーズを決める唯は、どこかで見たことがあると思ったらそれぞれ1期と2期のオープニングからなんだな。こういう細かいサービス(?)がこの期に及んで出てくるのは流石だ。
ついでだから和も含めたその他大勢についても触れておくと、今回はPVの中にクラスメイトが大集合。すっかりお馴染みになった面々が集まっているが、いちごちゃんは相変わらずの無関心でしたね。あんた、学園祭の時講堂外でTシャツ配ってたじゃんよ。他にも軽音部大好きの図書室眼鏡っ子とか、どさくさに紛れてバレー部の宣伝をする連中とか、この学校の雰囲気はなんだかのどかでいいですね。あのPV見たら、確かに一年生は軽音部に興味を持つに違いない。
というわけで、最後の1人。今回もフル回転してました、部長。せっかく真面目な作業をやろうとしたのにことごとく水を差す使えない顧問には「エロ親父自重しろ!」と遠慮のないメガホンが飛ぶ。こういうことが出来るのは彼女だけ。そして今回は、1人で2役も3役もこなしていく彼女の才媛っぷりに頭が下がる。トンちゃんのアフレコを見事にこなし、軽音部に入ったことで志望校に合格、宝くじもあたって身長がのびて肌もつやっつやになった人を見事に演じて見せた。あの頃のことがう・そ・の・よーぅ! ……なに子の部屋だよ。フリーダムですなぁ。こんだけ芸達者なんだから彼女は将来大物になる気がするよ。声優とかどうだろう。声が可愛いから。
来週で本当に最終回なんだなぁ。というわけで、空気を読まずに普通の1枚。今回は隊員ならみんな大喜びだったと思われる、澪に泣きつかれる律ちゃん。この関係性が、2人を一番よく表していると思われる。
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