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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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12月9日 ドラフト模様(ISD×3)
ピック順 【Serra】→【Alessi】→【Thraxi】→【Metallica】→【Sangriter】→【Mei】
 
 一気に冷え込んだ夜のドラフト。まぁ、まだあんまり試合中に「寒い!」って叫ぶことは無いんですが。これからの時期は深夜ドラフトにも辛い時期ですな…… 
 で、そんなこんなで不安事は多いのですが、今回特に不安なのは、何故か発生しているパック不足の問題である。いきつけのショップ2つがイニストラード完売の入荷待ち。次回ドラフトが出来るかどうかの瀬戸際という、何とも珍しい状況。これまで英語版が売り切れるっていう事態は割とあったけど、ここまで根絶されるのは珍しいかも。もういっそ前みたいにネット通販に戻した方がいいのかなぁ(ネットならまだ在庫あったし)。でもうちにクソ重いボックス置いとくの嫌なんだよなぁ。いっぺん運送屋のおっちゃんに「なんだかよくでかい荷物が届くけど、何を買ってるんだい?」って聞かれたトラウマが蘇るし……というわけで、とりあえず事前に連絡した通り、次回分のパックについては、若い衆が何とか調達してみて下さい。来週までに出来なかった場合にはドラフトはおやすみになるので。

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暗がりを最終話に向けて突き進む、第34話。作中で幸せな人間が一人もいないという、なかなか苦しい状態が続いています。辛うじて政宗だけは楽しそうにしてるけども……

 前回のお達しで決定的に対立図式を確立させた秀吉と利休。「名器と娘を差し出せ」という無体な要求を前に、既に水面下で仕事を始めていた利休は、腹をくくって断固要求を拒否する構えだった。しかし、そんな頑なだった利休に待ったをかけたのは、意外にも実の娘。「父親の積年の想いを受けて、ここで自分が辛い目に遭ってでも父親を止めようとしてるのか、なんて甲斐甲斐しい娘なんだ……」と思いきや、「必ずや豊臣の寝首をかく」との宣言。これにはさしもの利休さんもドびっくりである。宗二の首印を見た時と同様か、はたまたそれ以上に顔をゆがめ、立派に育ちすぎてしまった娘に声もかけられない。たとえ血は繋がっておらずとも、頑固ジジイの娘はそれ以上の頑固者に育ってしまっていたのであった。

 固い決意を動かすことも出来ず、ただ歯がみしながら娘を送り出す利休。そんな彼の元を訪れたのは相変わらず脳天気に数寄にチャレンジし続ける織部さん。利休は彼の力作を認めたものの、「全てを賭けた覚悟が見受けられない」とはねのけ、今ここで、師匠と弟子の関係では最後のレッスン。「自分を見つめ直し、そぎ落とし、そぎ落とし、最後に残すのが織部風」とのこと。乾坤一擲の作品がイマイチ響かず、織部は何度目かになる大ショックタイムである。

 「内省しろ」っていうあまりにシンプルなアドバイスがこの期に及んで出てくるあたりがこの師弟の関係の奇妙なところだが、利休は決して織部が嫌いなわけじゃない。自分の行く末を見据えた上で、ここで切っておかなければ、織部までもを畜生道に巻き込んでしまうことになるのだ。涙も感動も無い茶席ではあったが、2人がお互いのことを理解しつつ、最後まで謎を残しての別れの茶碗であった。

 そして、そんな利休の苦悩を産み出す元凶となった秀吉もまた、出口のない袋小路を彷徨い続けている。ついに海の外に向けた活動も本格始動し始めたようだが、やはり世界は広い。これまでのように猿知恵猿芝居で通用するものかどうか、出足は捗らない。これまで通りに強く強く押して強引に侵略を進めるという道もあるのだろうが、病床の秀長は、それにも限界があると必死に指摘する。秀吉が結果を焦って失ってしまったもの、それこそが「数寄の力」。言い換えれば、利休との関係性。一度破綻してしまったそんな「力」が、今や秀吉ののど元にまで迫っているのだ。恐ろしいことである。

 やはり、この作品の中心にいるのは「黒の巨人」こと千利休である。今回も普段は見られないような強烈な顔芸や、湧き上がる情念をふつふつと見せてくれた利休。久し振りに、田中信夫の存在感を肌で感じることが出来たのである。

 改めて、怖いジジイだ。

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 妹の乱舞だ! 第22話。一度に2人の「妹」に想われる兄、冠葉。彼は本当に幸せな身の上であるが……本人にはそんな意識は全く無いのだろうなぁ。

 ここに来て、既にストーリーは煮詰まった。特に極まったのは冠葉のスタンスで、これまでは「見えざる亡霊」である自分の両親との1人上手に興じてきただけだったのだが、気づけば「飢餓の会」の組織運営の中枢部としてフル回転しており、悪事にも平気で手を染める冷血漢として他の兄弟とはすっかり袂を分かった。陽鞠が望まぬ冠葉、晶馬が憎む冠葉。彼は自分を守り、信念を守る為に、もう止まることが出来ない。

 そんな冠葉を止めようと必死に運命に抗うのが、「妹」陽鞠である。彼女は馴れ初めからの「優しさ」でもって、彼の暴走を止めようと試みた。冠葉が自分の人生を棒に振ってまで守ろうとした陽鞠の命。それを「もう要らない」と手放すことで、陽鞠は冠葉を悲劇の連鎖から解き放とうと奮戦する。しかし、一度回り出した輪は転がることしかしらず、陽鞠の悲痛な叫びも、無情な犠牲も、冠葉を止めることは出来なかった。陽鞠の唯一の願いである「命の返却」は現時点では誰かに届くようなものではない。その命は、儚く灯火を小さくするだけだ。

 気づけば、痛みを伴う変化は多蕗とゆりの元にも訪れていた。彼らは、その意味を「自分たちが残された」ことに見た。桃果がいなくとも、やらなければいけないことを見た。そして、未だ冠葉と同じ歩速を求め続ける2人目の「妹」、夏芽。今回は、最終的に夏芽が冠葉との愛情を確認しあうのが最大の見どころポイントとなった。必死に叫ぶ夏芽と、それに一切耳を貸さない冠葉。最後の最後で、彼は実の妹との絆を優先させ、夏芽は最愛の人を失いかけた。しかし、その最後の一押しを産み出したのも、やはり冠葉だった。冠葉を守るために命を賭ける覚悟、これこそが「盲信」。盲信のために、夏芽は立ち上がり、磨り潰すことを決意した。「早く磨り潰さないと」という決め台詞が、彼女の悲壮な決意を嫌というほどに見せ付ける最大のキーワードとなったのだ。逆光に立ちはだかる夏芽の勇姿は、この作品の「メインヒーロー」の座を夏芽に見たかのようであった。今回は具体的に押せそうな中身が少なかったので、このワンカットでのインパクトをしっかいと受け止めよう。

 そして最後には、再び晶馬に焦点が戻り、「謎の箱の中」からのスタートである。もう、まともな出生の奴などいるはずがないんだ。

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女子高生のくせにっ! 第10話。将来の夢に悩む話とかさ、リアルにされるとさ、人生の袋小路にいる人間はさ、ほんわか萌えアニメを観てるはずなのに落ち込むんだよね……

 これまで作中では突っ込み役、地味側担当だったかおたんメイン回。「みんなちゃんと夢があるのに自分は明確な夢がないなー」と悩む真面目さん。いや、パティシエ志望とかならまだ分かるけど、現時点で田舎町の娘っこが「写真を生き甲斐にしたい」っていうのは一切現実味がない気がするぞ。あー、でもプロの写真家とのコネがあるのかー。だったら案外実現可能性の高い夢なのかなー。俺もコネが欲しいなー。人生の8割は人脈だよなー。でも、人脈作るには人と交流しないといけないんだよなー。これ、詰みゲーじゃん。以上、ものすごく生々しい愚痴でした。

 とまぁ、かおたんの悩みに合わせて落ち込んでみるのがメインコンセプトとなる今回のエピソードでしたが、そんな鬱気分ものりえが頑張って打ち消してくれます。かおたんのために真剣に怒ってくれるのりえはなかなかに勇ましくて良かったです。いや、アホの子であることは確実なんだけれども。

 そして、作中Cパートでのりえが作ったあのケーキ……その異形はどこかで観たことがあるような……アニメキャラよりも中の人の暴虐っぷりが際立つ、そんな素敵な作品です。

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よし、行ってきました。本当は封切りした週末に駆け付けたかったんだけどね、残念ながらよんどころない事情があったのと、やっぱ週末のスタート日なんて無茶はしたくなかったので、ぐっと平日になるまで我慢しましたよ。まぁ、そのせいで来場特典をもらいそこねるというとんでもないダメージを負うことになりましたがね……なんで初週で一番早くはけるタイミングで律ver なんだよ……仕方がないから売店で「クリアしおりセット」を買って慰みとしました。しかしこれ……使う場所がねぇなぁ。


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12月2日 ドラフト模様(ISD×3)
ピック順 【Mei】→【Sangriter】→【Metallica】→【Alessi】→【Thraxi】→【Serra】
 
 久し振りのドラフト。更新若干遅れて、この記事を書くのにも「何があったか思い出さないとな……」って思ったら、開始時に一瞬だけ「あれ? パック足りない?」って思ってテンパったのが一番怖い瞬間だったことを真っ先に思い出した。絶対にやっちゃいけないことだと思ってるからね……
 ボチボチ年末調整も考えなきゃいけないくらいの時期だけど、こっちは同じタイミングで出始める次のセットのことがそろそろ気になり始めてるよ。ラージエキスパンションが地味めなので、これをどういじってくるのかは気になるところだ。しかし、magicの新セットは2月発売だからいいけど、ドミニオンの日本語版ってなんで年末年始なんだろうね。最速で手に入れてもプレイしにくいっちゅうねん。

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 学芸会でこどもにちくわの役をやらせる学校はどうかと思う第8話。一体どんなお話をやったんだろう……あ、「おでんくん」みたいな奴か。

 さて、関西では一週空いてしまったおかげで特に切り替わった印象が強いが、とにかくラストに向けての再スタートとなった今回。堂々登場の新キャラ姉妹は、CVにやまとなでしこを配するという万全の体制である。ここのところ、またこの2人の共演が増えてきたような気がしますね。まぁ、パッと浮かぶのは「ツインエンジェル」なわけだが。今回は双子姉妹設定ということで本編中のほぼ全てのパートで絡んでいる状態なので、ファンにはたまらない1本であろう。あたしゃやまなこファンじゃないんでそこまで引き込まれるもんでもないが、長年の経験からの阿吽の呼吸で展開される二人のテンポの良い掛け合いは、「音響さんも楽なんだろうな」と思えるだけの安心感がある。

 とはいえ、今回はこの作品の胆である弁当争奪バトルが無く、どちらかというと地味目な回。何度も入れ替わり立ち替わり佐藤の病室に乱入してくる双子を細かく区切って天丼風味に繋いでいくカット割りなんかは特徴があったのだが、普段のような「シリアスな笑い」ではなく、本当にベタな(そしてそこまで質の高くない)お笑いネタがベースとなっていたために、そこまで楽しかったという印象が無いのは残念。いや、そこまでハイレベルなものをこの作品に求めているわけじゃないんだけどさ。どっちかっていうと、今回は役得である佐藤のエロシチュエーションの方を堪能する回っていう解釈が正しいのかなぁ。出来たらこういうときこそシャガさんに頑張って欲しいもんだけど。

 というわけで、私が楽しんだのは相変わらず脇で着実に与えられた役割をこなしている花ちゃんの方です。知り合いが窓の外を落下していく情景が、素早く創作意欲に繋がるバイタリティ・クリエイティビティが恐ろしい。そろそろ「筋肉刑事(マッスルデカ)」が本編をのっとったりしないもんだろうか。そして、今回は案外出番が多くて美味しいところを持っていったのが竹達少女ことあせびちゃん。「なんでそこでホットミルクやねん」とか、突っ込む部分は多いのだが、声が可愛いのでオールOKだ。結論、そういう楽しさを見付けたら勝ち。

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 「遠坂さんちの家庭事情」っていうと一気にエロ同人っぽくなるな、第10話。遠坂家の素晴らしいところは以下の3点だ。
1,娘さんが父親思いで可愛い
2,魔法が使える
3,父親の声が速水奨

 なかなか異色のエピソードとなった今回。毎回壮絶なドラマが展開されて30分が短いことで有名な本作だが、今回はメインストーリーはほぼ進行せず、外縁から世界観を補完する役割を果たすこととなった。そして、そんな「他者視点」として抜擢されたのが、まだまだ幼い遠坂凛だったというわけだ。凛ならば「stay night」を知っていれば立ち位置は理解出来るし、ある程度魔法についての素養もあり、完全に何も分からずに見るわけではないので、実に良い塩梅で冬木の町を見ることが出来るのである。

 幼い凛の目から見た要素は、大きく3つある。1つは、父親である時臣。普段のエピソードならば綺礼には軽んじられ、アーチャーには馬鹿にされ、なんだか似非貴族みたいなイメージしかない残念な奴なのだが、それでも娘さんから見たら立派なお父さん。魔法に精通してるし、娘が無茶しても懇切丁寧に問題点を指摘し、褒めることで伸ばしてくれる優しさを持っている。今回凛が助かったのは間違い無く時臣のおかげだし、凛とのコミュニケーションが柔らかかったおかげで、時臣自身の株も上がっただろう。ケイネス先生もそうだけど、この世界は「なんだかショボそうww」とか思われてる人の方が世間的には優秀だったりするんです。全部切嗣と綺礼がぶっ壊れてるのが悪いんだわ。

 2つ目の要素は、禍々しいオーラで街を混沌にたたき込んだキャスター陣営、雨生龍之介。キャスター謹製の魔法の腕輪で好き放題に幼児を誘拐し、パーティーを開催しようとしていた明るく朗らかな殺人鬼だ。今回の聖杯戦争参加者の中ではイレギュラー中のイレギュラーである龍之介だが、やはりその素体は化け物である。激烈バトルばかりが見せ場と思われがちなこの作品で、今回は彼の醸し出すドロドロしたホラー風味が素敵。最終的に幼女1人に負けてるわけなんだから本当に大したことは無いのだが、得体の知れない暗闇に飛び込んでいく凛に与えたあの緊張感は、龍之介の持つ独特の不気味さがもたらしたものだろう。

 そして、最後の1つはこれら要素の総括であるが、幼い凛が伝えたかった今回の最大のテーマは、冬木市、聖杯戦争というステージそのものの異質さである。化け物達が跳梁跋扈する聖杯戦争は、対戦者どうしには単なる「戦場」であるが、外部の人間から見れば「呪われた魔都」である。あらゆるところに魔法の痕跡が残り、一般人がどうなるかなど考えずに張り巡らされた謀略が渦巻く町。普段は見えにくいそんな異質さが、今回は凛の視点を取ることで存分に描かれた。メインシナリオを考えれば「別に要らない話」だったかもしれないが、こうして一度外からの補強が施されたことで、今後作中で描かれる要素が、更に凄絶さを増すことは確実だろう。こうしたメリハリを、きちんとシリーズ構成の中に盛り込むことが出来るのはお見事である。

 考えてみりゃさ、凛って立派な「魔法少女」なんだよね。「stay night」までを通じて、彼女は苦労こそしてるけど、あまり悲劇っぽいことには直面してないし、案外作中では一番真っ直ぐに幸せな人間なのかもしれない。これで間桐との関係性がスムースだったら本当に幸せなんだけどねぇ。

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 なるほどそう来た第21話。一気に見通しが良くなった今回のエピソード、毎度毎度視聴者をひっくり返してくれる本作だが、このエピソードは、最後の舵取りとなる決定的な転換点になりそうである。

 今回新たに判明した事実を列挙していくと、まずは「やはり高倉の両親は(少なくとも父親の方は)死亡していた」ということ。これまで幾度となく冠葉がラーメン屋で密会している様子が描かれていたわけだが、それは何か、冠葉の精神性を表していたものであると解釈出来るだろうか。これまでの描写でも、全国的な指名手配犯であり、目的意識の高い彼らが単に息子に会うためだけに危険を冒して自宅の近所に現れるのはおかしいとは思っていたが、これで得心がいく。もちろん、これまで冠葉が会っていたのが「実在の両親」であるという見方も可能だ。何せ渡瀬医師は今回自分のことを「幽霊」であると言っている。こと「飢餓の会」のメンバーに関しては「死者の遺志」に出会うことは驚くべきことではない。

 そして、決定的事実として浮かび上がったのは渡瀬の存在であろう。彼については既に「超越者」であることは示されていたが、その旗幟は未だ鮮明ではなかった。「桃果に勝利を阻まれるもの」であることは知っていたわけだが、その渡瀬が「飢餓の会」の創始者としての立ち位置を獲得することによって、世界は一気に視界が良くなったのである。今回はせっかくなので、多少無理矢理ではあるが、この「ピンドラ」で描かれた世界の解題を試みてみよう。

 まず、この世界には大きく2つの勢力が存在している。分かりやすいのが「飢餓の会」。これには高倉の両親が筆頭として数え上げられていたが、その更に上に、今回渡瀬医師が名を連ねた。他にも、暗躍を続ける冠葉や、その妹であり、奇怪な力を使うことが出来る夏芽も、こちらの陣営に所属していると考えられるだろう。

 この「飢餓の会」に対立するのが、彼らが「革命」しなければならないと考える「一般社会」の陣営。敵対意識を取り上げることでその勢力は明確で、まずは自分たちの両親を絶対に認めないと頑なな晶馬がこちらの陣営になる。更に、渡瀬医師と敵対関係にある荻野目桃果がこちら側に見えるし、桃果の信者である多蕗とゆりも同じ勢力である。

 ここで問題となるのは、ここまでで名前が挙がらなかった存在、具体的には陽鞠とプリンセスオブクリスタルが、どのような扱いになるかという部分である。そこで考えるのが、これまでの世界で描かれてきた「高倉家」という存在だ。今回衝撃的だったシーンに、幼い陽鞠が泣いているのをなだめるために晶馬と冠葉が2人で家の壁を塗ったり、内装を変えたりする場面があった。あの現実離れした高倉家のガジェットには、全て意味があったのだ。「高倉の家」という存在は、何度も繰り返してきたがこの作品では最も大切で、最終的に帰ってくるべき「核」である。その部分を読み解くことで、この世界の全貌が見えてくる。

 まず、晶馬を代表とした「世間一般」サイドを、単純に「善」のサイドとして見よう。言い換えればこちらは「正義」陣営となる。他方、冠葉を代表とした「飢餓の会」サイドは、16年前の事件などを考えれば「悪」のサイドだ。ただし、これを言い換えれば「正義」に対する「もう一つの正義」という言葉を使うのが正しい気がする。何故なら、高倉の両親たちは、「犯罪者」ではあるものの、現時点でなお「悪人」として描かれていないのであるから。そして、晶馬と冠葉がそれぞれの仁義に基づいて守りたいと切に願うのが「陽鞠」である。つまり陽鞠は、「未来」の象徴として現れているのではないだろうか。「この国の未来」「この世界の未来」、どのようなスケールでも構わないと思うが、とにかく陽鞠という存在は、「これから」の象徴たる「幸せ」のきっかけとなるものである。「正義」も「もう1つの正義」も、目的は等しく「幸せな未来」であろう。

 陽鞠が幼い時に手を差し伸べた第一義としての「善」は晶馬である。「運命の人」である晶馬は、理想的にはそのままの状態で陽鞠を導くべき存在だったはずだ。しかし、「未来」は「病んで」しまう。こればかりは、単なる「善」ではどうしようもない局面にもなる。そこで現れるのが「もう1つの正義」である冠葉だ。彼は強引な手段をとり、金を手にして陽鞠に「薬」を与えた。これが冠葉が「未来」に対して与えた方策である。渡瀬が与えた薬によって陽鞠は命を長らえ、「善」が立ち往生した局面を打開した。これこそが「飢餓の会」が取ろうとした「革命」である。しかし、一時の「薬」は、次第に未来を支えるための効果を薄れさせていく。未来は、再び行き場を失う。

 そして最終的に帰結するのが、プリンセスオブクリスタルの唱える「ピングドラム」なのである。現時点において、ピングドラムとは「善」の象徴たる荻野目桃果の日記であると考えられているが、おそらく桃果は、善悪を超越した「奇跡」の象徴。彼女の日記は、どのようなイデオロギーでも手にすることがあり得る、何らかの奇跡の1手だ。それを最初に手にしたのが、主義主張を持たないただの女の子だった苹果であり、次に「別たれた」のが夏芽とゆりという陣営を異にする2人だ。奇跡は常に、どちらの「正義」にも平等に与えられていたということ。事ここに至って、その奇跡の代行者は、再び袂を分かった晶馬と冠葉に帰結していき、陽鞠は、どちらの手にも渡ってはない。

 ここまでの図式を描けば、話は簡単だ。「高倉家」というステージは、様々な主義思想が一緒に団欒を産み出した一時の平和の象徴だ。その壁面には、色もバラバラで全く統一感の無い装飾が施され、部屋の中もあまりに雑多。だが、その意志は明確であり、とにかく幸せな未来を守りたいという思いだけがある。陽鞠の揺籃たるベッドだけが特別扱いだったのは、全ての人々が夢見る「幸せな未来」の象徴である。未来が果てようとした時に、この作品の主人公たるプリンセスオブクリスタルが現れる。彼女は「ピングドラム」を探せというが、その正体は未だに分かっていない。当たり前のことだ。この世界で誰一人、「幸せな未来」を手に入れるための方策など知りはしないのだから。

 実に寓話的、悪い言い方をするならば陳腐なテーマ性での分析になるが、そうした見方が出来れば、これまでのこの作品の紆余曲折も非常に分かりやすい解釈が可能になるだろう。まだまだ終わるまでには一波乱ありそうなのだが、個人的には、やはりこの作品のラストシーンは、高倉家の食卓であるべきだと考えている。それこそが、この作品の象徴なのだと、そう考えている。

 さて、どうなることやら。

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