最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
Adaptive Snapjaw 順応する跳ね顎 (4)(G) C クリーチャー・トカゲ、ビースト 6/2 進化 でけぇ進化。進化クリーチャーってのはでかいと進化しないのであんまり意味が無いわけだが、そこをフォローするためにこいつみたいに偏ったステータスが採用されているわけだ。コイツの後にタフネス3以上が出れば7/3。正直言うと6/2も7/3も大して変わらない気はするが……緑には珍しいアグレッシブさであるから、その独自の立ち位置はオリジナルのニーズを生み出せるかもしれない。シミックなら「天空試合」でこれ飛ばすだけで勝てる気もする。
Alpha Authority 最上位権限 (1)(G) U エンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) エンチャントされたクリーチャーは呪禁を持つとともに、2体以上のクリーチャーによってはブロックされない。 男らしい腹音鳴らしさんの哀愁を帯びた背中がチャーミングなオーラ。これを持つだけで腹音さんと同じ不可侵の存在になれるらしく、呪禁で守られた上にブロックまでしにくくなる。呪禁がつくのはもちろんありがたいのだが、オーラなのにステータスに変化を与えないのはどこか寂しい。もちろん土台次第ではあるのだが、「野面背のサイ」がそこまで圧倒的な強さでもなかったんだから、1枚で説得力のあるカードってわけではないか。もちろん、常にタイマン勝負なのだから、湧血で突き進むデッキが前提なら相手が困るのは間違いない。 Burst of Strength 力の噴出 (G) C インスタント 対象のクリーチャーの上に+1/+1カウンターを1つ置き、それをアンタップする。 ちょっと珍しい形で登場した、今回の最軽量増強呪文。「戦闘の成長(MRD)」の完全上位互換であり、アンタップ能力によって受動的なトリックとしても使いやすくなっている。単体での効果はそこまで大きなものではないが、シミックならばカウンターを再運用したり、他の場所に移したり、カウンターの乗った生き物だけを優遇するキャンペーンまである。そういうギミックが濃くなった時は、何枚か揃えておくと意外なシナジーが飛び出すかもしれない。 Crocanura 両生鰐 (2)(G) C クリーチャー・クロコダイル、カエル 1/3 到達 進化
コモン進化、蜘蛛職担当。しかし、単なる蜘蛛でも1/3なら、「梢の蜘蛛(10ED)」と同じでそこそこ使えるのに、1マナ追加だけでナチュラルに進化持ちっていうのは相当破格な気がする。次のターンに何か出せれば1マナ軽い「そびえ立つインドリク」になり、そこからパワー3以上が出れば3/5。3マナで3/5到達が出せるとするなら、フライヤー何それ? ってなレベルで蹴散らせてしまえるだろう。現環境のインドリクはコストもあってそこまで固め取りしたくはないカードだが、こちらはある程度まとめて集めてもデッキに迷惑がかからない。下手したらコモンのキーカードってこいつなんじゃなかろうか。タフネスがデフォルトで3あるから他の進化カードの成長もサポート出来るだろうし。あれぇ、やっぱりこの世界はタフネス4以上の壁が立ちふさがるのかぁ? Crowned Ceratok 冠角獣 (3)(G) U クリーチャー・サイ 4/3 トランプル あなたのコントロールする、+1/+1カウンターの置かれた各クリーチャーはトランプルを持つ。 アンコモンだが4マナ4/3トランプル。解鎖モードが無い状態の「血暴れの巨人」ってことになるが、巨人が我々に教えてくれたのは「別に4/3でも強いわ」という至極当たり前の真理であった。なおかつこいつにはシミック応援用のトランプル配布ギミックが内蔵されているが、まぁ、青の飛行と違って、トランプルは無計画に配られてそこまで嬉しいものでもないので、おまけ程度に。 Disciple of the Old Ways 古き道の信奉者 (1)(G) C クリーチャー・人間、戦士 2/2 (R):〜はターン終了時まで先制攻撃を得る。 緑のギルドカラー起動サイクルは熊枠。グルールカラーで使えば先制熊である。「ムーアランドの審問官」が使えたのと同様に使えるわけだが、あちらよりも圧倒的に起動コストが軽く、流石にクリーチャーカラーである緑の面目躍如といったところ。荒ぶるグルールが鬨の声を上げる第一陣にはもってこいの1体である。何が良いって、もちろんおっぱいがいい。グルールにもこんなおねーちゃんはいるんですね。まぁ、バルメさんなみのムッキムキやから裸締めとかされたら秒であの世行きでしょうけど。 Experiment One 実験体 (G) U クリーチャー、人間、ウーズ 1/1 進化 〜の上から+1/+1カウンターを2つ取り除く:〜を再生する。 日本語名がそれでいいのか、というカード。しかもクリーチャータイプが史上初の「人間、ウーズ」。なにそれ、怖い。シミックの人体実験は倫理観が感じられないのが怖いなぁ。で、青の「雲ヒレの猛禽」に続く1マナ進化クリーチャーだが、こちらは飛行が無いから突破力もない、普通のカードである。一応再生能力をもっているが、そのためには身長が2段階くらい縮んでしまう。いくら補充が利くとはいえ、流石に軽いとは言い難いコスト。進化能力は無尽蔵に体力がみなぎるように錯覚しそうだが、ゆーてもクリーチャーの登場がトリガーなわけで、そう何回もでかくなれるわけではなかろう。このクリーチャーの場合、再生能力はおまけと割り切り、ちょっと変わった形の「教区の勇者」とみなしビートを仕掛ける際の先兵として突っ込ませるのが正しい使い方なんだろう。そういえばクリーチャータイプが人間だから「教区の勇者」との相性は微妙に良かったりする。まぁ、白かった人間デッキに突然こんなキモいのが混じってたらイニストラード次元の人間たちは確実に討伐しにくると思うけども。 Forced Adaptation 強制順応 (G) C エンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) あなたのアップキープの開始時に、エンチャントされたクリーチャーの上に+1/+1カウンターを1つ置く。 基本セットにある指輪サイクルの共通能力の方だけを取り出したようなオーラ。装備品と違って使い切りの品なのでコストも安く、コモンでの提供。確かに悠長であるし、何よりもクリーチャーごと失われるというオーラの欠点がフォロー出来ていないので手放しで褒められるカードでないのは間違いないが、これ1枚あるせいで「待って勝つ」デッキが非常に厳しい戦いを強いられることになる。今回のセットも相変わらずバウンスは貴重であるし、無条件で殺せる除去も貴重。おかげで、このカードで少しずつ大きくなるクリーチャーについて、序盤で仕留められないと、本当にどうしようもなくなるパターンが出てくる。普通はでかいクリーチャーを抑えるには2,3体の援軍を呼んでよってたかってブロックするという手段があるわけだが、このカードの場合、援軍を呼んでいる間にとんでもないサイズになっている可能性もあるのだ。「タフネス4の壁さえいれば大丈夫だろ」と悠長に構えていられないのは悩みどころ。まぁ、その場合はこちらも壁を延々育てるって方法があるけども。対処法は少なくないので使いどころは簡単ではないが、はまっちゃうとクソゲーを作りかねないので注意すべきカードだ。 Giant Adephage 巨大オサムシ (5)(G)(G) M クリーチャー・昆虫 7/7 トランプル 〜がいずれかのプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、〜のコピーであるトークンを1体戦場に出す。 お、おう…………強いよな、まるで「ウトヴァラのヘルカイト」みたいだな! あれより1マナ軽いし! すげえぜ! …………神話かぁ……こうしてみると、構築レベルにのし上がった「孔蹄のビヒモス」さんは素晴らしい素材だったことがよく分かる。やっぱり速攻だなぁ。もしくは187だなぁ。どちらも持ってるのは強かったよね。ということは、どちらも持っていない虫は? ……リミテ(ry Greenside Watcher 緑側の見張り (1)(G) C クリーチャー・エルフ、ドルイド 2/1 (T):対象の門1つをアンタップする。 緑の門支援カードは、まさかのマナエルフだった。土地をアンタップ出来るということは現在も構築で大活躍の「東屋のエルフ」と同じような構造ではあるのだが、当然、あのエルフが入っているデッキの森の数と、普通のデッキの門の数は比べるべくもないので、このカードは門が無くても仕事が出来るようにパワー2も持った「葉光らせ(LRW)」スタイルである。パワー2のおかげで気軽にデッキに投入できるし、うまく門が置ければマナ加速にも貢献できる。門をアンタップすることによって色マナの供給も一気に簡単になるので、3色以上のデッキを狙うならば門とセットで是非ともおさえておきたい。まぁ、往々にしてそういうときって門と同じパックにこいつがいるんだけどさ。一応赤の「はじける境界線」も入れておくとこいつが1点砲台になったりするけど、どうでもいいな。 Gyre Sage 円環の賢者 (1)(G) R クリーチャー・エルフ、ドルイド 1/2 進化 (T):あなたのマナ・プールに、〜の上に置かれた+1/+1カウンターの数に等しい値の(G)を加える。 シミックの申し子として進化能力を搭載し、それに応じてマナの出方が変わっていくという斬新なマナエルフ。おかげで出た直後は単なる1/2。その後(こいつの力を借りずに)クリーチャーを出して、ようやくマナが出せるようになる。普通に進化だけを使って成長させていくプランだと、大きなマナが出せる頃には展開しきっていて意味が無い、というお約束のジレンマが一切解決されず、「なんかちょっとおまけがついた地味な進化クリーチャー」程度の扱いになってしまうので、出来ることならば先んじてカウンターを乗せるギミックを搭載して爆発的なマナを楽しみたい。となるとお手軽なのは「自然の祝福」とか、あとは「高まる残虐性」とかだな。奇跡から「自然の祝福」だと、3ターン目に6マナ出せるぞ。悪さは色々と出来そうだ。手間が嫌な人はおとなしく「ソンバーワルドの賢者」に声をかけた方が無難。マナもパワーも欲しい人向け。リミテッドなら、放っておくだけで割とガンガンマナが出てくるので、意外とゲームが決められる能力になるのかも。 Hindervines 遮り蔦 (2)(G) U インスタント このターン、+1/+1カウンターが置かれていない全てのクリーチャーの与える戦闘ダメージを軽減する。 毎度お馴染みフォグ枠の新作。毎回毎回よくもまぁこうしてバリエーションを考えるもんだとは思うが、今回はシミック仕様になって登場。他の部分については「クリーチャーの戦闘ダメージ軽減」なので完全に「濃霧」と一緒だが、シミックにだけは優しい蔦なので、カウンターが置かれたクリーチャーならば通常通りにダメージを解決する。これにより、カウンターでガッチガチに固められたシミックは、戦闘で一方的にタコ殴りに出来るようになるわけだ。うわー、強いー、流石アンコやー、とか思ったが、戦闘に限っていえば現在もコモンの「根生まれの防衛」がこれ以上の仕事をしていたりもする。まぁ、一応相手のアタックを無視出来るかもしれないのでね。ちなみに、今の環境なら構わないのだが、夏以降になって相手が純正ラクドスとかだと何の役にも立たなくなるので注意が必要。 Ivy Lane Denizen キヅタ小径の住人 (3)(G) C クリーチャー・エルフ、戦士 2/3 あなたのコントロールする他の緑のクリーチャーが戦場に出るたび、対象のクリーチャー1体の上に+1/+1カウンターを1つ置く。 緑の住人サイクルは、甘いマスクのイケメン商売人。4マナはサイクルの中でもっとも重く、やっぱり緑ってでかくて馬鹿なんだよな、と思ったら、書いてあることがとんでもない。なんとこいつがいるだけで後から出てくる緑クリーチャーが全員「森林地の先達」である。なんじゃそりゃ。進化やらなんやら、必死にカウンター乗せるのがアホらしくなるわ。こいつ自身にカウンターが乗るって言うなら「ティタニアの選ばれしもの(USG)」みたいなものなので納得出来るが、ばらまき放題っていうのはちょっと腕白すぎやしないか。まぁ、そのせいで登場が遅くなるように重たくチューニングされているんだろうけど。でも、こいつコモンなんだよな。これが2体も並んじゃったら、もうその後は地獄絵図しか想像出来ない。商売なんだからもう少しけちくさくてもいいと思うんだが…… Miming Slime 真似るスライム (2)(G) U ソーサリー X/Xで緑の、ウーズ・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。Xは、あなたがコントロールするクリーチャーの中のパワーの最大値である。 「菌類の芽吹き(M13)」の効果を、数から質に変換したカード。「芽吹き」の場合はパワーの最大値と同じ数の1/1がばらまかれたが、こちらは同じパワーのウーズがもう1体。どちらが強いかはケースバイケースだが、単純に最大戦力が2倍になるというのもなかなかのインパクトである。3マナとそれなりに軽いのだが、これよりも前に高いパワーのカードを出すと結局軽さを活かせないので、どのタイミングで使うのかを計るのがなかなか難しい。ベストとなるタイミングはギルドごと、デッキごとに違っている。グルールとのシナジー形成は当然湧血絡みである。たとえば3ターン目に出した「殺戮角」で殴り、更に2枚目の「殺戮角」で+3修正を与えてからこれを唱えれば、3マナで6/6クリーチャーが手に入る。湧血はそれなりにコストが軽い能力なので、リミテッドでも手軽に狙っていけるテクニックである。また、シミックの場合、これを使うことで複数回の進化を誘発出来るタイミングを狙いたい。パワーの最大値が進化生物である場合はなかなか進化しないので、他のクリーチャーでの誘発を倍加させるタイミングを狙いたいところだろう。こうしてみると、緑絡みのどちらのギルドについてもそれなりにシナジーがあるし、夏以降は当然セレズニアが涙を流して欲しがることになる。なかなか上手いデザインだ。 PR Act of Treason 反逆の行動 (2)(R) (M12などから再録) ソーサリー ターン終了時まで、対象のクリーチャー1体のコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。それはターン終了時まで速攻を得る。 お馴染み、赤の裏切り枠。前回はエルドラージ生まれの「裏切りの本能」が再録、そして今回はもっとも基本的な形である基本セット生まれの「反逆の行動」である。おかげで特に書くことが無い。ボロスでもグルールでもどっちでも強いよな。ボロスの場合はこれでパクったクリーチャーも合わせて「大隊ですので」とか言われる。かちんと来る。今回は黒にクリーチャーをサクるカードが何枚かあるので、手軽に踏み倒すことも。割と大事なカードだな。 Bomber Corps 爆弾部隊 (1)(R) C クリーチャー・人間、兵士 1/2 大隊 - 〜は対象のクリーチャー1体かプレイヤー1人に1点のダメージを与える。 まず、不幸なお知らせである。かの「ファルケンラスの貴種」の悲劇が、1年と待たずに起こってしまった。「爆弾部隊/Bomb Squad(ODY)」はオデッセイで一度使われた日本語名。またしても翻訳チームがやらかしてしまったのである。そして、既にこの名前はぶりには異例の措置がとられており、「どうせ昔のカードなんてほとんど使わないから、こいつじゃなくて昔のカードの名前を変更しておくわー」というちゃぶ台返しがエラッタとして布告された。これにより、この新しいクリーチャーは「爆弾部隊」、過去のカードの方は「爆弾兵団」という新しい名前をもらったのである。どういうことやねん。なんでこういうミスって無くならないんだろうなぁ。ちょっと検索すれば済む話やないか。閑話休題。旧ボロスで言ったら「戦松明のゴブリン(RAV)」あたりに相当するクリーチャーだろうか。大隊で殴りに行けばタフネス1のブロッカーは排除出来るし、こいつが3体並んでまさに「部隊」が組めれば、それだけで毎ターン「炬火の炎」が撃ち放題、ちょっとしたヘヴン状態である。ただ、ボロスクリーチャーのくせにタフネスの方が多い及び腰デザインなのはちょっとちぐはぐ。1/4壁に殺されないのでどちらかというと長生き優先ってことかな。単体で使ってもあまり面白味の無いデザインなので、是非とも「爆弾部隊部隊」を狙ってみたい。「爆弾部隊爆弾兵団連合部隊」とかにして先輩を偲ぶのも良いかもしれない。
Cinder Elemental 燃えがらの精霊 (3)(R) U (マスクスより再録) クリーチャー・エレメンタル 2/2 (X)(R)(T)、〜を生け贄に捧げる:〜は対象のクリーチャー1体かプレイヤー1人にX点のダメージを与える。 なんとこちらはマスクスからの復活。ちょうど私はマスクス環境(正確にはプロフェシー発売時)からMagicを始めた関係でこの世界のリミテッドはあんまりやってなかったのだが、一部ではトップアンコとすら言われていたカードである。そりゃそうだ、最近のWizardsはきちんとリミテッドの調整をしているので、本体に届くX火力をアンコモン以下に置くことはほとんど無い。最近は「溶岩噴火」とかもアンコモンだったりするが、やはりかき集めるのは大変だ。こいつは、一応クリーチャーの形を取ってこそいるが、置けるX火力には違いない。召喚酔いさえ解けてしまえばあとはインスタント「猛火」ってんだから、使いどころはいくらでも。しかしまぁ、設置に4マナってのは今の世界だとなんだか重たい気がしてしまうのは、十数年の年月のなせる技か。久しぶりの現世を謳歌する往年のトップアンコモン、新たな世界でも活躍出来るだろうか。
Cackling Perimeter はじける境界線 (1)(R) U エンチャント あなたのコントロールするアンタップ状態の門をタップする:〜は各対戦相手に1点のダメージを与える。 赤の門カードはアンコモンのエンチャント。そして実に赤らしいまっすぐなデザインで、「門が火を吹きはじめるよ」というものになっている。もう、これを引いちゃったらその後片っ端から門を集めまくる選択肢まであるかもしれん。他の門関係のカードはあくまでモードのオンオフが門で決まるだけだったが、白のエンチャントとこのカードは集めれば集めるほど強くなるのだ。なんだかすげぇ間違った使い方な気もするが、実質1マナ1点火力は速やかに相手を削れるようになる……かもしれない。ただ、このカード自体は複数枚引いても意味が無いというのが難点。白のオーラは累積するけど、このカードは何枚張ってもしょせん1つの門から1点に変わりはない。そう考えると、リミテッドでここからデッキを狙いに行くのは厳しいかな。「火炎収斂」とは訳が違うってことで。 Ember Beast くすぶり獣 (2)(R) C (オデッセイより再録) クリーチャー・ビースト 3/4 〜は単体では攻撃もブロックも出来ない。 こちらはオデッセイからの再録。マスクス環境はほとんどリミテッドをやっていないが、オデッセイは多分人生でも一番大量にドラフトをした環境である。おかげで既に12年経った今でも、なんだか随分愛着があるような気がしてしまう。まぁ、昔のトレードマークだったEngland氏のイラストじゃなくなったのは残念だけど。オデッセイは同じセットに「くすぶり獣(ODY)」「夢繰り(ODY)」「石舌のバジリスク(ODY)」と同じような顔をした同じ絵師のクリーチャーが3体いたのが印象的だったんだよな。で、そんな久しぶりのシャバでハッスルしているエンバー君であるが、当然このテキストなのだから「大隊のお供にどうぞ」ってことだろう。他の連中も「一人で殴りに行きたくない」って言ってるんだから、こいつだけが余る心配は無い。他の大隊クリーチャーのお供に使えば、コストあたりのステータスがでかくて死ににくいという安定体質が効いてくるはずである。当時も強かったんだから、今だって充分強い。当時の相棒だった「狂犬(ODY)」や「パーディック山の火猫(ODY)」、「蛮族の狂人(ODY)」なんかは元気にやってるのかなぁ。 Firefist Striker 火拳の打撃者 (1)(R) U クリーチャー・人間、兵士 2/1 大隊 - 対象のクリーチャーは、このターンブロック出来ない。 赤の十八番であるブロック抑止能力を持つ小型クリーチャー。同じくラヴニカボロスで活躍したクリーチャーとしては1マナの「激情のゴブリン(RAV)」がおり、このクリーチャーは効果も任務も非常に似通っている。ゴブリンよりも良い点は2マナパワー2とサイズに優れている点と、発動にコストが必要無い点。逆に劣っているのは、当然大隊能力なので起動までの条件が厳しい点となる。ボロスの性格を考えると、より優れているのはゴブリンの方だと思う。いつでも安定してブロッカーを抑止出来るので単体でも攻撃出来るし、大勢で攻撃した時だってもちろん同じ仕事が果たせるのだから。ただ、やはりスピードが信条のボロスならば「せっかくのクリーチャーなんだからパワー2は欲しいよね」という気持ちも分かる。こいつが能力を起動出来た段階で、最低でも他に2体のアタッカーがおり、ひょっとしたら相手はもうこいつをブロックしている余裕が無くなっている可能性もある。タフネス1と死にやすいが、相打ちの可能性もそこそこあるし、この「2/1だから無視したくないけど、単体で見るとそこまで怖くなさそう」という絶妙なバランスが、案外生き残るのに一役買ってくれそうな気もする。壁頼みのデッキには割とどうしようもない刺さり方を見せるぞ。 Five-Alarm Fire 五連火災 (1)(R)(R) R エンチャント あなたのコントロールするクリーチャー1体が戦闘ダメージを与えるたび、〜の上に猛火(Blaze)カウンターを1つ置く。 〜の上から猛火カウンターを5つ取り除く:〜は対象のクリーチャー1体かプレイヤー1人に5点のダメージを与える。 ひどいアタックをよりひどくしてくれるエンチャント。クリーチャーの攻防が必要なので無条件で使えるカードってわけではないが、一発5点のご褒美はかなり大きい。どんな小さくても戦闘ダメージであれば構わないので、たとえば「ゴブリンの群衆」が全員で攻撃しにいって適当にブロックされたとしても4つ乗る。この時点でほぼ条件クリアだ。劣勢の状態からでもブロックをきっかけに火力が飛ばせるようになるし、設置コストもそこまで重くはないので、普通のデッキだったら最低一発、上手くいけば2発以上発射することが出来る。3マナで5点、10点が期待出来るならばコストパフォーマンスは充分。リミテッドではかなり便利。構築の場合はクリーチャー戦闘の比率がやや下がってしまうのでそこまでではないが、デッキ次第では面白そうだなぁ。 Foundry Street Denizen 鋳造所通りの住人 (R) C クリーチャー・ゴブリン、戦士 1/1 あなたがコントロールする他の赤のクリーチャーが戦場に出るたび、〜はターン終了時まで+1/+0の修正を受ける。 住人サイクルの赤は、黒と同じく1マナ1/1の最軽量。そして後続が出てきた時の能力がパワー増強である。まぁ、これはこれで好きなところに付けられるなら強い……って、お前が強くなるんかい! 黒の人は好きなところに付けられたのに、お前は自分本位か! いや、1ターン目に出して2ターン目に「クレンコの命令」なら3/1で殴れたりするので、意外に馬鹿にならないこともあるが……ちょっと寂しくないか。いや、やっぱりこれで好きなところの増強が出来たら強いのかな……中盤以降に出してもほとんど役に立たないことを考えると、サイクル中ではちょっと割を食った形。ま、適材適所ですけどね。 Furious Resistance 猛然たる抵抗 (R) C インスタント 対象のブロッククリーチャー1体は、ターン終了時まで+3/+0の修正を受けるとともに先制攻撃を得る。 赤には珍しい、ブロッカーの方をサポートするという限定的なトリック。対象が限定されているおかげでその効率は圧倒的で、なんと同じ効果の「殺戮の叫び(M12)」よりも2マナも軽い。これだけの増強幅ならば、戦闘の結果をひっくり返すのは容易だろう。この環境の赤は基本的に攻める以外に選択肢の無い色であるから、相手は攻勢を凌ぎきったところで安心する。「ヒャッハー! 殴られなけりゃ湧血も大隊も関係ねーぜェ!」ってな勢いで殴ってくる。そういう時に、渋くこれ。結構いいアクセントになりそうだ。湧血デッキどうしのミラーとか、なかなか凄惨である。夏以降の環境だとイゼットがこれを手にすることになり、「高射砲手」や「凍結燃焼の奇魔」にブロックされたと思ったらこいつが飛んでくる展開が待っています。 Hellkite Tyrant ヘルカイトの暴君 (4)(R)(R) M クリーチャー・ドラゴン 6/5 飛行 トランプル 〜がいずれかのプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーのコントロールする全てのアーティファクトのコントロールを得る。 あなたのアップキープの開始時に、あなたが20個以上のアーティファクトをコントロールしているなら、あなたはゲームに勝利する。 お馬鹿神話。とにかくついている能力の方に目がいってしまい、「20個」というテキストに愕然とする。過去にも「パーマネント20個」に言及したカードは1枚だけ存在しており、それがサイクル中でも最大級の難度を誇った勝利条件カード「勇壮な戦闘(JDG)」である。つまり、「ぶっちゃけ無理」と書いてあるのだ。なんでミラディンも落ちたこのタイミングでいきなりアーティファクトラブなドラゴンなんかが出てきてしまったのだろうか。唯一可能性があるとすれば、下の環境で「マイコシンスの格子(DKS)」と合わせて使うという夢コンボだろうか。これでも下手したら20個は揃わないかもしれないが、相手のパーマネントが一気に全部パクれるから、まぁ勝てるコンボだろう。ただ、そんな夢能力は置いておくと、6マナ6/5のトランプラーなので、アタッカーとしては割と使える部類。リミテッドでも、能力を鼻で笑いながらも単なるパンチャーとして採用出来るだけの強さがある。まぁ、「混沌のインプ」くらいの立ち位置。上手くいけば相手の魔鍵とか装備品なんかをちょろまかすこともできるので、案外堅実に強いのであった。 Hellraiser Goblin はた迷惑なゴブリン (2)(R) U クリーチャー・ゴブリン、狂戦士 2/2 あなたのコントロールするクリーチャーは速攻を持ち、可能ならば各戦闘フェイズで攻撃する。 メリットだけを見れば「熱情」と同じコストで2/2クリーチャーがついてくるカードである。この手のカードは「どうせ赤はボロスかグルール、つまり守りなんて考えてちゃ駄目だからメリットしかない。やったぜ!」と書きたくなるのだが、冷静に考えるとちょっと待て。お前もマストアタックなのか。ということは、3ターン目にこいつを出すとそのまま殴りに行って帰ってこない危険性があり、その場合はメリットもクソもない単なる3マナ2/2速攻である。普通だ。まぁ、先攻なら相手にブロッカーがいない確率も高いし、速攻で殴れた上に次のターン出てくる4マナクリーチャーも速攻になるので割と強いが、そこまでお膳立てしても効果は1ターン限定と思うべきだろう。一応キャストするタイミングを戦闘後にすれば生き残って次のターンに確実に機能できるが、このクリーチャーを入れてるデッキでわざわざ速攻クリーチャーの持ち味を殺すのもどうかと思うし、「次のターンブロックしません」宣言もなんか怖い。なかなか難しい奴だ。とりあえず、速攻クリーチャー全般はボロスの大隊能力の大きなサポートとなるし、こいつみたいに無茶アタックを強制されているカードはグルールの湧血のフラグにも使えるので、リミテッドでは結構おっかないカードなのは間違いない。そのキレのある短命な人生を満喫出来るデッキを目指そう。 Homing Lightning 誘導稲妻 (2)(R)(R) U インスタント 〜は対象のクリーチャー1体と、それと同じ名前を持つ他の全てのクリーチャーに4点のダメージを与える。 まだまだ続くトークン叩き。黒がトークンに修正を与え、白と青は「拘留の宝球」で押さえ込みにきた。それなら、赤はまとめて焼くのが当然の結論。4マナで4点のインスタントはリミテッド基準ならエース級の効果であり、それがついでにアドバンテージまで狙えちゃうありがたい火力である。まぁ、普段はそこまでトークン焼く機会も無いとは思うけど、可能性が広がるのは悪い話じゃないよね。ちなみに、イラストで遠近法を大胆に使って遊んでいるのは、イゼット所属のプレインズウォーカー、ラル・ザレック氏である。初出のイラストでどう見ても乳首をいじって遊んでいるようにしか見えなかったため、日本のファンからは「乳首さん」「TKBさん」の愛称で親しまれている模様。次のセットのプレインズウォーカーはこの人なんでしょうかね。 Legion Loyalist 軍勢の忠節者 (R) R クリーチャー・ゴブリン、兵士 1/1 速攻 大隊 - あなたがコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで先制攻撃とトランプルを得る。このターン、それらはクリーチャー・トークンによってはブロックされない。 相変わらず日本語訳チームの誤訳が止まらないカードだが、そんな話題をさておくと、1マナ1/1速攻の時点で「怒り狂うゴブリン(M10)」の上位互換クリーチャー。いや、「溶鉱炉の大長(NPH)」からついでに出てくるレベルのアイツと比べる意味はあんまないけども。1マナということで、その後さっさと大隊を揃えたり、こいつを途中のタイミングで挟み込んでいきなり大隊を達成させたりするギミックに使ったりしやすいマナカーブ補充用のクリーチャー。これに3つもの能力がつくのだから、安定して大隊維持出来るようにしたならば1マナとしては破格の能力を得ることが出来る。まぁ、サイズアップしないからこいつが殴った時点で割と死にやすく、そこまで期待するもんでもないとは思うけども。トークンにブロックされない能力は、セレズニアがいればそれだけで輝ける能力であったが、今回のリミテッドだとミラー相手になるんで、使えるかどうかは微妙なところ。構築だと仔スラーグ牙にブロックされない。まず親をどうするかが課題だけど。 Madcap Skills 向こう見ずな技術 (1)(R) C エンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) エンチャントされたクリーチャーは+3/+0の修正を受けるとともに、2体以上のクリーチャーによってしかブロックされない。 赤のカードでしかも「向こう見ず」とか書いてあるとどんなお馬鹿カードなんだろうと期待してしまうのだが、残念ながら弱いこともアホなことも特に書いていない、実にきな臭いオーラである。2マナで張ってパワーが3あがる。この時点で危険な可能性はアリアリで、しかもブロック制限まで付けてくれるので、タフネスの小さいクリーチャーに付けても、高確率で2体以上との相打ちブロックに持ち込んでアドバンテージロスを防いでくれるという。やっぱりオーラが危ない環境だなぁ。まぁ、+3に加えて先制攻撃までついた「稲妻の鉤爪(ALA)」がそこまで環境を動かしはしなかったので、結局タフネスが低けりゃなんとかなるってことなんだろうが……どうなるでしょうね。それにしても、ヒャッハーする人が肩パットするのって、世界共通なんだろうか。
カエル万能説、第11話。なんで苹果の持ってるおまじない情報はあんなにカエル依存度が高いんだよ。そして、なんで効くんだよ。すげぇぞ、16年に1度しか生まれないカエル。
本日の第1試合、冠葉VS夏芽。夏芽の望む通りに敵の本拠地に乗り込む冠葉。過去の因縁を抜きにして日記を返せと迫る冠葉に対し、「愛の狩人」夏芽は自分も同じだと説き伏せにかかる。冠葉が今は何とか立ち回っているが、いつかは足下を掬われる「崖っぷちのペンギン」であると諭す。夏芽も冠葉も「ペンギン」であることは同じということ。陽鞠にしろ、マリオにしろ、生存戦略を必要とする、大群の中の1羽でしかない。はたして、それを後ろで押そうそしているのは何者だというのか。結局、夏芽の狙い、能力はよく分からないまま。 本日の第2試合、晶馬VS苹果その1。あれだけのことがあったというのに、苹果の多蕗に対する思いはまだ終わっていなかった。日記もないし、桃果の意志を遵守する意味も無いと晶馬は諭すが、それで終わるくらいなら、こんな面倒にはなっていなかったのだ。引き留める晶馬を張り倒し、苹果は再び、あの誤った道を進み始める。 本日の第3試合、苹果VSヒメホマレガエル。すげぇな苹果、ちゃんとレアなカエルでも捕まえてこられたんだ……晶馬には押しつけてたくせに、自分でやるのはやっぱり嫌。それでも貫き通した意志の力に、苹果の力強さを久し振りに感じました。 本日の第4試合、苹果VS多蕗。カエルの魔力は圧倒的だ。一晩限定とはいえ、多蕗は完全にキャラを忘れて暴走モード突入。ほんと、ゆりと苹果がしゃべってた時に延々多蕗が扉越しになんて言ってたのかが全部聞きたい。しかし、この試合結果が今回最大のターニングポイント。いざ多蕗に迫られる段になって、なんと苹果は折れてしまったのだ。デスティニーとすら言い切っていた生涯目標が達成されそうなその時に、彼女の意志はイエスとは言えなかった。結局、彼女にとっては、デスティニーはまがい物だったということか。しかし、彼女自身にもその答えは出ていない。ゆりが乱入した修羅場展開の中でも、彼女は必死に「多蕗を渡せ」と虚勢を張っていた。直前に自分の意志で拒否していたにもかかわらず、である。これまで長年描き続けてきた夢の形と、自分の心に新たに芽生えてしまった認めがたい可能性、そのせめぎ合いの中で、彼女も混乱しているのだ。その本質を、ゆりは既に見破っているようだった。 本日の第5試合、晶馬VS苹果その2。鍋一杯のロールキャベツをぶちまけるという、実に勿体無い裏切りを見せた苹果だったが、その本心は大きく揺れたまま。そして、そんな不安定な状態はプリンセスにも伝わった。「生存戦略」の号令とともに、始まったのはまさかの暴露大会。「95」の数字が乱舞する謎の電車の中、苹果は桃果の真実を語る。自分のデスティニーの重要性を訴えるために、姉との真実を語る。しかし、予想外にも、そのエピソードに対する晶馬の反応は、同情でも哀悼でもなく、まさかの告白であった。「冠葉と晶馬のせいで、桃果は死んだ」。16年前の真実とは一体何なのか。一向に収束する気配の謎の大混戦は、そのまま次回へ。 今回も相変わらず、アイコン群のくせの強さが際立つ演出。無機質なピクトグラムが目立つ中で、久し振りに炸裂した苹果の妄想劇場の彩りが目立っていて良かったです。大気圏を越えて高速で飛来するキューピッドの矢が無駄に大迫力なのがやたら面白かった。あとは、ラストシーンになる暗色の電車内部かな。「95」ってのは、桃果が死んだ16年前が1995年であることを表すものなんでしょうかね。まぁ、このお話が現代劇なのは異論の余地はないけど。わざわざ「95」っていう数字をことさらに強調する意味がよく分からなかった。電車の速度ってそれくらい出るかも? 普段は原色多めで派手に彩られていた電車のシーンが、赤と黒を基調としたサイバーで沈んだ空気になったのもなんだか新鮮。それだけに、ここまでのストーリーでは語られなかったようなとんでもない過去の事実が掘り出されるんじゃないか、っていう緊張感があります。ま、何があってもこの作品は驚かずともいい気がするんだけどね。
陰謀論、箱庭観、第11話。ついに吹き出した、この物語の全て。ちゃぶ台を思い切りひっくり返した展開ではございますが、既に傾いていたガタガタのちゃぶ台に最後の一押し、というのが正直なところ。茶番すなぁ。
もう、今回のネタのためにこれまでの10話を回してきた、というのが全てなのだが、あまりに長く、あまりに執拗で、あまりに明白なこれまでの展開のおかげで、全てはある意味予定調和だ。そして、はっきり言ってしまえば、あまりにチープだ。「冬服がない」とか、そういうよく分からない伏線みたいなものこそあるのだが、例えば「制服が嘘っぽい」だとか、「名字が珍しすぎる」とか、そんなこたぁ、「だってCLAMP作品だし!」と言ってしまえばおしまい。そんなこと言われても、馬鹿正直に見てきた人間は報われることはない。何かが上手く機能している、ということは特に感じられず、「どんでん返しっていう言葉を使おうとして、あまりにも安易なネタをそのまま使いました」という感じの、本当に分かりやすい内容である。怒られたとしても、返す言葉はない。 が、嫌いじゃない。 馬鹿馬鹿しく、陳腐だとは思いつつも、この崩れ落ちたちゃぶ台は、嫌いじゃない。ここまで労力を傾けてたった1つのネタに神経をすり減らす姿勢が、嫌いじゃない。どんでん返しの本懐は、とにかく「見えていた景色」がどれだけ入れ替わるか、という振れ幅の大きさである。この作品の分かりやすい「陰謀」は、その振れ幅としては充分な距離を稼ぎ出したのではなかろうか。 誤解を恐れずに言ってしまえば、今回生み出された振れ幅は、キャストの力による部分が大きい。なんと言っても、今回圧倒的に台詞量が多かったノノネネ姉妹。彼女達の打って変わってすれっからした胡散臭さ、駄目人間っぽさは、今までの景色が虚構であったことを、必要以上のリアリティで伝えてくれる。「あり得ないアニメキャラ」であった愉快な双子、ののとねねが、本当に単なる「キャスト」であったことを教えてくれる。視聴者の純な「受け入れよう」という心をバキバキにへし折るあれやこれを悪びれもせずに打ち明けていく犯罪者姉妹の非道な台詞の数々は、小夜だけではなく、世界も容易くぶち壊してくれる。他にも、これまで「クールガイ」だった時真のあふれ出るチンピラ感とかも、「茶番って、本当に茶番だったんだぁ……」というのが嫌というほど伝わって、救いのない小夜の現状を更にどん底にたたき落としてくれる。これまで長らく持ち続けていた「どんだけ引っ張んねん……」という視聴者達の感情を、作中のキャストの皆さんも感じてくれていたのだ。それが分かっただけでも、救いがあるじゃないか。ん? そうでもないか? とにかく、私は笑わせてもらいましたし、楽しませてもらいました。あれだけ長々と続いていた本編10話についても、今回のエピソードとのギャップを楽しむためにもう一回見てやろうか、という気にすらなります。 さて、メインヒロインさんは今回自己紹介した以外にほとんどしゃべっていませんが、次回でちゃんと盛り返してくれるのでしょうか。何が起こっても、茶番の延長かと思うと……楽しい!
「異国迷路のクロワーゼ」 5→5
いやぁ、良かったんじゃないでしょうか。特に何も無い世界ではあったんですけど、そこがちゃんとパリであることは伝わってきました。パリなんて行ったこと無いですけどね。 本当に「なにもない」お話なので、アニメとしての勝負は画面でどれだけその雰囲気を醸し出せるか、という部分。その1点において、この作品はきちんと仕事をしてくれた。なんと言ってもギャルリを取り囲んだ細々とした風景の描写が美しく、非常に鮮明な絵柄にも関わらず、どこか古ぼけて湿った、土臭いパリの臭いが感じられるようなデザイン。そしてそこで息づく人々の生活は、何か目を見張るものがあるわけではないのだが、そこにずっとあり続けたであろう安定感が確認出来る。こうして地域に根付いた文化の重量感が出たおかげで、そこに舞い込んできた異分子の湯音を描くストーリーが新鮮に見えるのである。 シナリオの配分については、ちょっとぼやけすぎかな、と思うくらいにのんびりしたものだったが、この世界で何かとんでもない事件を起こせ、と言われても無理な話だろうし、誰もそれは望んでいなかっただろう。毎週楽しみに正座をしてみる、というような性格の作品ではないのだが、毎日きちんとご飯を食べるかのように、毎週きちんと湯音たちの様子を確認することで、ごく当たり前の日常を享受することが出来たのでした。それでいいじゃないですか。 いわゆるアニメジャンルの「日常物」とは少し違ったカテゴリになるのかもしれないが、こういう切り口の「文学小説的な日常感」はもっと他の作品でもアピールしていい要素だと思います。この作品の場合は海外渡航と文化差っていう部分で見せていたわけだけど、世の中に溢れるあらゆるもので、「視聴者にとって新鮮なもの」っていうのは表現出来る気がするんだよね。 最後は当然中の人チェック。今作は……あおちゃんだなぁ。すみませんね、メインヒロインの東山奈央をさておいてサブヒロインの方をあげてしまって。湯音の中の人も頑張っていたとは思いますよ。ただ、今期はやたらとしのぎを削るロリヒロインが多くてね。個人的にはあおちゃんのハイトーンボイスを聞いてしまうと他の全てがぶっ飛んでしまうので、「東山? 多分、頑張ってたはず」くらいの感想になってしまう。大丈夫、湯音の独特の声音はちゃんと印象に残ってますから。今後の活躍も期待しています。あおちゃんは……いつも通りでお願いします。
「にゃんぱいあ The Animation」 ー→ー
あぁ見てたさ。ちゃんと最終回のエンディングまで全部見てたさ。だから何かを語る権利はちゃんとあるはずなんだが、特に語ることはないぞ。うん、猫キャラってのは総じて可愛いから、見てて平和になりますよね、くらいなもんで。 結局さー、こういう作品の最大の問題点は、「毎週楽しみにしててテレビの前で見る」っていうモチベーションが、流石に5分枠じゃ維持できないってことなんですよ。5分番組には5分ぶんの良さが有ればいいと思うし、この作品はちゃんとそのくらいの満足感は得られてたと思うんだけど、じゃ、その5分のためにわざわざ毎週見るかっていうとね。そこまでせんでも、見ずに逃してしまうロスも5分ぶんだけだしね。……良かった、自動追尾で録画出来る時代に生まれて。文明の進歩に感謝するんだぞ、にゃんぱいあ。あと、森田さん。 この作品、画面はシンプルだし、ネタも大したもんじゃないんだけど、さりげない愛らしさは割といい仕事してましたね。全員同じ顔だけど。ゆるキャラってこれくらいでいいと思いますよ。そして一番のお仕事は、にゃんぱいあの中の人、小清水の働きかな。中の人本人の持つ緩さが良い感じに醸し出されてて、うざいと可愛いの中間くらいのにゃんぱいあの持ち味が堪能出来ました。小清水は、やっぱり器用な子である。
絵に描いたような大団円、最終話。いや、大団円っていうほど特別な何かがあったわけではないんですけどね。クロードのお姫様だっこがあっただけで、もうこの作品は終わりで良いのではないかと。
湯音がギャルリの人々にもすっかり認知され、街のマスコットとしても受け入れられ始めた矢先の出来事。少しずつ膨れあがっていたクロードと湯音の間の軋轢。些細なことをきっかけに、湯音の不安は爆発し、あらぬ方向へと向かいはじめた。急に姿を消した湯音に、クロードは毎度のようにテンパってしまう。そこらじゅうに湯音の所在を尋ねて回り、うっかり一番聞いてはいけないはずのアリスにまで声をかけてしまったり。そりゃぁもう、罵られるのは当然なわけで。未だ心の交流がうまくいかず、湯音とちぐはぐな様子を見たら、アリスさんじゃなくてもお冠ですよね。 そして、探し求めた湯音はやはりギャルリの中にはいなかった。なんと、ギャルリの上にいたのだ。なんとかして、自分に出来る範囲でギャルリの役に立とうと背伸びする湯音と、そんな彼女の意志をくみ取ってやれなかったクロード。二人のすれ違いは明確に現れ、湯音は一度は屋根から落ちてしまった。しかし、彼女はガラスの上で一命を取り留める。彼女が小さな子供だからこそ、無事で済んだ。 「子供であること」、「何も出来ないこと」。そんな湯音の無力感は、積もり積もってどうしようもない状態になっていた。元々このパリを訪れる前にも、姉の汐音の容態について、自分が何も出来なかったことに絶望していたのだ。遠く海を渡ったこの地でも、自分は守られてばかりで何の役にも立てない。湯音は、子供ながらに必死にその現実に抗おうとしていたが、結局うまくいかなかった。ギャルリの自分、日本での自分、何一つ変わらない現実に、湯音は参ってしまったのだ。 そして、そこに文字通り「手を差し伸べた」のは幼い頃に父を亡くし、同じような経験をしていたクロードだったのだ。ようやく湯音の窮状を理解出来たクロードは、これまでやんわりと拒否してきた自分語りを、屋根の上で始めることになる。父親のこと、グラン・マガザンのこと、そして自分のこと。結局、子供が何も出来ないことは当然であり、「そこにいることが仕事だ」という彼の言いつけは、お為ごかしではなく、本当にそう思っての発言だった。何も出来ないことは辛い。しかし、誰もがみな、それを経験して大人になり、だからこそ子供を見守ることが出来る。湯音はまだ出来ることは少ないが、それでもそこにいるだけで救われる者もいるのだ。クロードも、ギャルリの人々も、そして汐音も。 前回抱えていた汐音とのエピソードも、クロードの自分語りで一気に解決してしまうという、思い切った構成の最終回。これまで必死にあれこれ奮戦してきた湯音に対して「何もしなくていいんだ」と説き伏せるというのはある意味申し訳ないエンディングな気もするのだが、ギャルリを中心とした「人の和」というものは、えてしてそんなものなのかもしれない。1つ目の役割は「まずそこにいること」。一人一人の人間の存在を肯定的に見つつ、明日への希望があればそれでいいじゃないか、というお話。いかにもこの作品らしい、ふわっとして、誰も不幸にならない結論ではないか。 汐音のことや、カミーユとクロードのこと、実をいうとまだすっきりと片付いたわけではない問題は残っている気もするのだが、この作品はこれでいいんだろう。湯音もクロードも、まだまだ明日を生きていくのだし、その中で、問題がわき起こったり、解決したり、色々と経験していくことになるのだ。これからも、ギャルリの人々に幸多からんことを。
「ユルアニ?」 5→5
これについてはコメントが難しいのだが……とりあえず半年間ずっと見続けて、何の不満もない、というか、不思議な癖になるこのヤらしさは本当にこのFROGMANの野郎め、という感想しか出てこない。これはこれで立派なモデルの一つになったような気もするし、大量生産アニメ社会の弊害として流れていったあだ花の一つにも見えるし……ま、いいや、なんだか終わるのが寂しいくらいには楽しかったです。一応一本ずつ。 ○「シマコー」シリーズ ある意味、この作品シリーズが生み出した最大の遺産。最終回まで、徹底的に変な笑いが漏れ続ける野心作でしたね。この絶妙なメタ具合とか抜きまくったギャグの塩梅とか、こんなみみっちい枠でも充分ネタって回せるんだなぁ、というのが分かるのは収穫でした。 ○「汐留ケーブルテレビ」 一番シンプルなFROGMAN風味。それだけにネタも見慣れたものだったけど、安心して見られる作品ではありましたね。相沢舞は、今作と「日常」と、今期やたらシュールな作品に縁があった印象。 ○「プーねこ」 途中でダイナミックなスタイル変更があったのは何だったんだろうね。後半版では千和が無駄に小技を効かせた芸を披露してくれていたのが楽しかったです。 ○「だぶるじぇい」 マガジンから乱入してきた刺客。華の少年マガジンからのアニメ化だけどこの枠で良かったんだかどうか……でも、身の丈にあったネタだったねぇ。こんなフラッシュアニメでも、キャラの可愛らしさを押せばそれなりに形になっているように見えるのは不思議な発見。大橋歩夕がいると小見川が上手く聞こえる、という新発見があったのは革新的。 ○「ほんとにあった!霊媒先生」 居並ぶ異物群の中では割と普通の漫画だったせいか、ちょっと印象が薄くなってしまった作品。それだけに、最終回での暴虐っぷりはインパクトが出かかった。普段ならしょうもないように見えてしまう、「ブシロードのCMレベルか!」というアニメでも、普段があれだとものすごいことになるという、人間の慣れと経験を逆手に取った見事なトリックであった。 ○「元気!!江古田ちゃん」 他のアニメには絶対にない文化を持っていた、という意味では唯一無二の作品。まぁ、生活スタイルのせいでそこまで徹底的に楽しめる作品ってわけでもなかったのだが、これ以外の方策でアニメ化されたらどうなっていただろう、ということを想像すると、これで良かったんだろうな、という気もする。個人的には、岡本信彦のスタンスと、愛河里花子の持つあふれ出るパワーが楽しかったです。 ○「ハトのお嫁さん」 いや、感想とか言われても……
「うさぎドロップ」 5→8
もう、今期はこれで決まり、という作品。ほんとね、死にたくなることが多くてね、見ているだけで打ちのめされて、はっ倒されて、その上で癒しになってね……こんだけぎゅんぎゅん心が揺り動かされるアニメってのは、やはりものすごいパワーを持っていたんだと思います。 原作が女性向け漫画誌であり、放送枠も「一般向け」を標榜する(実践できてるかどうかは置いとくとしてね)ノイタミナ枠ということで、設定や内容はいわゆる「アニメ的なもの」とは一線を画す。幼女が主人公ではあるものの、それが昨今の阿漕な「萌え文化」的なものとして現れるのではなく、純粋に「子供」という要素が作中に必要だから現れているだけ。どこぞの小学生が最高なアニメとは根本から違う。そして、ドラマというのは野望や諍い、強烈な事件などなくとも、人と人がふれあう中で起こっていくものだ。そこに登場するキャラクターだって、何かがおかしいとか、ものすごく個性があるってわけではない。みんな少しずつ違って、少しずつ自分が出したいだけ。そうした人と人との関わりの中で、なにかがすれ違い、なにかが混ざることによって起こるのが、日常の事件なのである。 本作の中で、事件らしい事件といえば、りんの存在そのものであった。80過ぎたじいさんが養っていた隠し子の存在が発覚し、あれよあれよという間に30歳独身独居の大吉が引き取ることになる。このあたりの流れは流石にお話的ではあるのだが、それ以降の、大吉とりんの交流については、全てが「普通の」生活の一部でしかない。その中で、初めて子供と関わる人間に特有の苦労があり、驚きがあり、喜びがある。だからこそ、これを見たら「娘が欲しいな」という気分にさせてくれるのである。 作中の登場人物がみんな「良い人」であるというのも、この作品の長所を大きく伸ばす要因になっていた。大吉にとって、唯一正子だけはあまり得意とは言えず、主義主張でもぶつかり合う存在でこそあったが、それでも、どちらが悪いという話ではなく、あくまで思いが違い、その結果たどり着いた人生の到着点がずれていただけ。大吉がりんに対して持つ愛情は、ちゃんと正子にもあったし、正子はどれだけ自分の母性を捨て去ろうとしていても、どこか未練のように残っているものがあり、視聴者の目から見ても「悪い母親」というだけで終わらないだけの内面性がある。子供を前にすれば大人は皆同じ気持ちになる。そうした万人に共通した幸せな感情を描き上げることが、この作品の至上命題であり、最もうまくいった点だったのではなかろうか。この作品を作るにあたって、脚本家の岸本卓氏という人が起用されたのは、なんでも「子育て真っ最中で気持ちがよく分かると思われたため」らしい。そういう「気持ちの入り方」は、見事に結果として表れていた。 独特の絵柄をそのまま描き起こすアニメーションの手心の加え方も職人技で、ふわっとしたどこか懐かしい絵柄の雰囲気が、そのまま「幼い子供」や「不慣れな保護者」のたどたどしい世界を作り上げるのに一役買っていた。エンディング画面にはまさかのイヌカレーまでが採用されていたが、どこか現実離れした絵柄が、不思議と「大吉とりん」という不格好な2人の関係を上手く表しているようで、最初から終わりまで、どこを切り取っても「うさぎドロップ」ワールドになっていたのが素晴らしい。子供の持つ、大人には絶対得られないような新鮮な目線、世界の見方が、こういう形で画面に落とし込まれるというのは、なかなか見られない演出だったのではなかろうか。 最後はやっぱり、中の人の話。この作品においては、キャラクターといえばもう、りんと大吉しかいないわけで。大吉役の土田大については、木訥としながらもしっかりと芯を持ち、他人に対して最大限の心配りが出来る大吉の実直さがじわっと伝わってくるのが良かった。そしてりん役の松浦愛弓ちゃん。なんだろう、他の子役とは違う不思議な存在感が、普段なら「子供のキャラクターだからってリアル餓鬼にやらせてどうすんだよ! 声優は子供でも老人でもなんでも出来るからすごいんやんけ! 本職起用しろ本職!」とがなっている私も、文句を挟むことが出来なかった。彼女の舞台勘というか、役を作ることに対するプロ意識みたいなものは、既にこの年齢で本物の風格が感じられる。是非とも今後も声優業を営んでいるところを見てみたいものだが……まぁ声のバリエーションを出せるような状態じゃないしなぁ。出来れば役者業を続けて色んな刺激、経験を積んでもらって、もし良かったら声優業も思い出して帰ってきてもらいたい、かな。 あとはまぁ、コウキママことゆかりさんですよ。もう、ゆかりさんなんですよ。慈母です、聖母です、マザーオブジイヤーです。「ノイタミナの母」です。日本の母親像は、この先大原さやかが支えていく。異論は認めない。 何はともあれ、素晴らしい作品をありがとうございました。 |
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Thraxi
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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