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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ひだまりスケッチ×☆☆☆」 5→5

 過ぎ去りし思い出の日々。そんな、心にぽっかり大きな穴を空けて去ってしまったひだまり。次にゆの達の顔が見られるのはいつになるやらなぁ……

 正直、この3期は「予想外」の仕上がりであった。おかげで序盤は完全に肩すかしの形になってしまい、不満もぽろぽろとこぼれることになった。何が変わったかって、やはり大沼心、尾石達也という2人のメインクリエーターが抜けたこと。これにより、いわゆる「シャフト臭」が全く毒気のないものに変わってしまい、画面に流れるのは本当に何の裏表もない、「ゆの達の日常風景」になってしまった。あのゴリゴリの尾石節を期待していた身としては、この変化は正直ショックで、作品自体のクオリティも下がってしまったと感じずにはいられなかった。

 しかしまぁ、見続けているうちに、「あぁ、これがあるべきひだまりの姿だったのかもしれない」と考えを改めるようにもなった。ストーリーは地味だし、アニメーションとしても動きが素晴らしいとか、構図が見事だとか、そういう話には一切ならず、わき上がる感情といえば敢えていうなら「平和だなぁ」というくらいのもの。しかし、それも当然ではあるのだ。だって、ひだまり荘は平和なんだから。

 そう思えば、この「☆☆☆」も、確実に「描くべきものを描いたアニメーション」としての仕事は全うしている。新入り2人を加えてプロット自体はややこしいものになったが、それを限られた画面カットで何とか表現していたし、これまで培ってきた2期分の「ひだまり」を壊すことなく、無事にゴールインさせることも出来た。やんちゃだった子供が立派な大人になったような、そんな奇妙な達成感すら感じられるかもしれない。蒼樹うめという人が描きたかった「ひだまりスケッチ」は、本来こうあるべきだったのかもしれない。

 個人的な好みでいえば、やはり2期までの悪ふざけが過ぎる構成の方が好きだ。しかし、そればかりが正義というわけでないのも当然の事実として認めるべき。史上屈指の「ほのぼの空気系アニメ」として、ひだまりはゴールにたどり着いたのかもしれない。とりあえず、スタッフの皆さんはお疲れ様でした。アスミスは、これからもよろしく。 

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 特に変わったこともなく、みんなで過ごす1日が幕を閉じる最終話。何事も無く、ゆののバスタイムで1日が終わり、作品も終わる。この感じがひだまりなんだなぁ。 みつを。

 というわけで、無事に最終回と相成った今回。ただ、流石にほんとに何も無いエピソードでは終わりにふさわしくないということで、以前から仕込んでいたトマトの伏線を回収し、完全オリジナルエピソードでひとまずの幕引きを行っている。時系列のことを考えるとあまり季節を進ませるわけにもいかないし、かといって祝日や行事などの目立つ日付を使ってしまうと原作との齟齬が生じてしまうかもしれない。ということで、トマトを使ったちょっとした「ハレの日」をアニメオリジナルで作り出したわけだ。キャストですらぎくしゃくしていたくらいに「新入り」というファクターが注目された今作だけに、6人がひだまり荘全体を使って1つの作業を完成させていくというメインプロットは、実に分かりやすい構成である。女の子がたくさん集まってやりたいことは何かと問われれば、やはり真っ先に出てくるのは「美味しいものを食べる」ことなのだろう。

 今回はそうしたプロットの進行のために「各人の役割」を演じるパートが多く、特に腹を抱えて笑うようなシーンは用意されていない(個人的にはアバンの吉野屋先生の家に何故かWiiがあったのが一番気になった)。宮子の一人ギャグやヒロ沙英夫婦ののろけなんかは笑いどころとして用意されていたのかもしれないが、1年生コンビなんかは単にまったりしていただけで、特に面白い点も無い。何かネタを仕込んでくるかと思っていた大家さんですら、特に何もせずに和気藹々と空気を共有しただけである。普通のアニメならばこんなことは起こりえないはずなのだが(サザエさんでももう少し起伏はあるだろう)、これで成立してしまうのがひだまりの凄いところ。これまで2期以上もかけてひたすら積み重ねてきた「ひだまり荘の日常」は、トマトを収穫してちょっとしたパーティーを開くだけでも、1つのエピソードとして見られるようになってしまうのだ。このスタイルは凄い。

 一応最後にゆのが星を見上げたところで「ほしみっつ」としての締めも完了し(まぁ、タイトルからすると☆☆☆と「リストランテひだまり」をかけている意味合いの方が強そうだが)、無事にこの3期も閉幕。単に「おしまい」で閉じられた物語だけに、これは普通に……ありそうだな、4期。ただ、現時点で原作のストックはほぼゼロですのでね。しばらくのあいだは、アスミスのラジオでも聞いて待つことにしましょう。 

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○「おおきく振りかぶって〜夏の大会編〜」 6

 3年の時を経て作られた第2期。一応直前まで再放送をしていたのだが、そっちは見ていないのでこの空気を感じるのも実に久し振り。前期も実に丁寧な作りで一気にこの作品の知名度を上げたわけだが、さて、2期も同じような製作姿勢で来るのだろうか。

 野球漫画としての骨子が安定している作品なのは当然のことなのだが、この作品の場合、試合に至るまでの諸々が実に濃密である。今回、桐青戦が終わったところから物語は始まるわけだが、いきなりスタートが「呂佳にいじられる利央」から始まり、そこから「マネジに頼みに来るチア」→「サッカーやって昼飯食ってる三橋達」→「呂佳と和己の対話」という構成で、野球らしいシーンはほとんど登場しない。特に一番尺を取ったのが呂佳と和己の対話シーンで、このシーンの徹底した「原作主義」が恐ろしいまでの「普通さ」を生み出しているのがすさまじい。

 普通、アニメの脚本は「原作そのまま」というわけにはいかない。どうしたって声に出せば不自然な台詞ってのは出てくるし、アニメのシナリオを構成する上で、絶対に不必要な描写や、逆に足りていない描写があるからだ。しかし、水島監督は、原作の台詞をほとんど切らず、変えず、そのままの描写を再現することに最大の労力を費やしている。ファミレスでの野郎2人の会話なんてわざわざ克明に描く必要もなさそうだし、描いても地味な部分なのに、これが「この作品」に不可欠であることが分かっているために、極力ノイズをいれないように作り上げている。このことが、アニメーションとして見ると多少異質に映る。なんだか妙な「生っぽさ」が漂うのである。この感じ、最近じゃなかなか味わえないものです。ラノベとか少年漫画原作じゃなくて、ある程度尺にゆとりがあって自由に出来るアフタヌーンコミックスが原作だからこその作品作りだろう。

 そして、そうした固くて地味な部分以外でも堅実さは光っている。前作から秀逸だった「アニメ的な見栄えよりも野球らしさを優先した描写」は、今回なら回想シーンの花井のレーザービームのシーンで確認出来る。また、ナイン全員が集まっている画面では、中心となる会話以外でもきちんと他のメンバーが独自に動いているなど、細かいところまで行き届いた描写が魅力だ。ほんと、水島監督はかっちりやろうとするとどこまでもかっちりやる人です。

 改めて見ると、キャラクターが多い分だけキャストもぎっちぎち。そりゃ腐女子人気も出るラインナップだよなぁ。あぁ、崎玉戦の花井の心境とか考えると、今から胃がキリキリします。 

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○「B型H系」 5

 めでたくうちでは今期新番組の第1号を飾ったのはこの番組。本当は「HEROMAN」になるはずだったんだけど、夕方だったんで録画を忘れてしまって……まぁ、そのうち補完しましょうね。で、パッと見の印象から全く期待してなかったんだが……意外と楽しめてしまいました。多くを語らずとも察してくれる人は察してくれると思うんですが、中の人が偉大過ぎます。

 この内容、この主人公のヒロイン像で、なんとまさかの田村ゆかり。OPEDも当然の田村ゆかり。これまで数々のロリキャラを演じてきたゆかり姫であるが、「エロ妄想が先走って結果的に経験無しの女の子」なんて、なかなか無いキャスティングですよ。更に相方の堀江由衣までメインでがっつり食い込む役で参加しており、まさかのやまなこツインで「エッチ、エッチ」と大合唱。いやぁ、生粋のファンはどう思いながら見てるんでしょうねぇ……あたしゃ面白くて仕方ないんですが。

 で、そんな中の人以外の1話の感想としては、「ものすごく古くさいな」というのが素直な感想で、ボケに対する突っ込みのタイミングと描写なんかが、まさに昭和のギャグマンガのそれである。「うわぁ」と思うタイミングも多々あり、普通に見てたら冷めるだけの展開なのだが、画面の賑やかし方のテンポが良くて、さらにこれに田村ゆかりが声によるフォローもしてくれているという寸法。ヒロインの山田は行動だけ見れば単なるビッチで、どう考えても好かれるキャラにはならないような気がするのだが、絶妙なさじ加減でわがまま勝手と妄想少女と純情乙女を言ったり来たりする空気が実に良い。画面構成も、ベタベタで小寒いくらいのメインのネタを茶化しながらまとめており、紙一重の部分で何とか成立しているように見える(ま、気になる部分はやっぱり気になってしまうのだが)。この設定でどこまでネタを引っ張れるのかは正直不安なのだが、1話くらいのテンポだったら、「ゆかり劇場」の意味合いもあるので、案外楽しく見られるかもしれない。

 細かい点で嬉しかったのは、作中の「コンドーさんの歌」を、み〜こが歌ってたってこと。まぁ、そりゃあの歌は普通のアーティストはなかなか歌ってくれないだろうなぁ。そしてエロ神様の中の人が宍戸留美ってのは驚き。最初聞いて全然分かりませんでした。こういう使い方もあるんだねぇ。

 逆になんか気に入らなかった点も2つあり、1つは、時たま入る「鬼印」の修正。あれって多分「DVDではずれます」という例の商法なんだろうけど、山田は小須田の部屋で普通にパンツ見せてるんだよね。なんでわざわざ隠すシーンがあるんだろう。っつうか、この作品の面白さって「エロいことを散々言っておきながら実際は出来ない」ってところじゃないのか? 別にストレートにエロい画面とかいらないんだけど(そもそもこの絵でエロいって言われてもなぁ)。もう少し主張ははっきりして欲しい。

 そしてもう1つの釈然としない点は、実に頭の固い見方だが、「そこは麻美子じゃなくね?」という点。いや、ものすごく面白かったですけど……麻美子は、なんかもっとこう……声聞けりゃいいや! 

 それにしても田村ゆかりは、面相についてはさておくとしても、ほんと歳取らないね。CMのご尊顔を拝見しても、なんかデビュー当時からほとんど変わってないような。 

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 「はなまる幼稚園」 6→5

 不思議な作品でした。ここまで「特に何も無い」作品というのは珍しくて、例えば同じような「日常系ほのぼの」に分類される「ひだまりスケッチ」なんかでも、どこが描かれるべきポイントかははっきりしていて、ひだまり荘の住人を中心にした物語展開が確立している。3期も重ねれば吉野屋先生単独エピソードなんかも出来るようにはなるが、それはあくまでイレギュラーな事態であり、膨らんだ世界を元にしたものといえるだろう。

 しかし、この作品はそうした「中心」がぼやけている。もちろんメインとなるのはつっちー・杏・山本先生の3つの視点だろうが、わずか12話しかない1クールの中で、メインの視点が山本姉妹の生活にうつったり、花丸先生にうつったり、桜先輩にうつったり、なかなか落ち着いてくれない。もちろんその中心には杏たちがいるわけだが、正直言って「杏とつっちーの幼稚園での生活」というものが充分に描かれた後ではないので、そこが中心であるという意識があまり働かない。おかげで、「世界が広がりを見せている」という以前に、「どこかふらふらしている」というイメージが先行してしまう気がする。

 そうした奇妙な落ち着きのなさは、この作品の構造事態に起因している。主人公が中学生、高校生ならば感情移入も出来るかもしれないが、流石に幼稚園児ともなると、普通に考えれば「観察の対象」だ。つまり、視聴者の視点はつっちー達教員側に寄る。しかし、この作品の視点は、頻繁に杏たち園児の側に回るのである。もちろん、園児とは言っても過度に大人びているのでその思考についていくのは全く苦にならないし、1話でみせた独特の視点設定のように「園児目線だからこそ出来ること」もあり、充分に面白いものではある。ただ、ここからふいっと教員視点に立ち戻った時の振れ幅が、他の作品よりも大きくなっているのが特徴的なのだ。「園児の見る世界」と「園児を見る大人達から見る世界」はやはり異なった対象なのであって、それを同時並行で描くというのは、並大抵の労力ではない。この作品は、そうした「地味に難しいこと」にきちんと当たっていた作品だったのかもしれない。

 個人的な感想としては、尺の短さもあり、どうもそうした「不安定さ」が落ち着かない作品になってしまったという気持ちはある。ただ、これは必ずしもデメリットであるというわけではなく、前述のように新しい視点も提供してくれているわけだし、コロコロ変わる内面をきちんと追いかけられれば、刺激の少ない「日常系ほのぼの」作品でも起伏のあるストーリー展開が実現できる。そのあたりの配慮はやはり目を引く部分で、毎週変わるエンディングなどは、意識的に「世界の多重性」を視聴者に訴えかけるためのツールであるとも読み取れる。突き詰めればこれは1キャラごとに与えられる視点が違うということであり、多少変則的な形の「群像劇」としての意味合いもあったのかもしれない。

 なにやら偉そうな感想になってる気がするが、まぁ、結局は「可愛らしい子供達でほっこりしてればいいじゃない」というのが結論なんですけどね。柊師匠のさらなる活躍を期待しています。ものすごい余談だが、これを観ていて何となく気になり、途中でやめていた「こどものじかん」を改めて一気に読み直してみた。あの作品の場合は、視点は確実に教師側にあるので全くブレがなく、ストーリーも一本の芯が通っているので読みやすい。最初は「似たようなもんだろ」と思っていたのだが、やっぱり随分違う作品だったということが確認出来た。まぁ、本当に今更なんだけどね。

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Lagac Lizard ラガークトカゲ (3)(R) C

クリーチャー・トカゲ

3/3

 丘巨人(10ED)」が「峡谷のミノタウルス」に生まれ変わったのが1年前。気付けば赤バニラの代表であった巨人が、基本セットでも牛男にその席を奪われてしまった。そして、混乱極めるゼンディカー世界には、このトカゲ。なんかマイナー種族ばかり渡り歩いている気がするな。ま、4マナ3/3がゴブリンだったら違和感あるしなぁ。フレーバーによれば随分歴史のあるクリーチャーらしいのだが、それならもう少し環境に合わせて強くなればいいのに。

 

Lavafume Invoker 溶岩気の発動者 (2)(R) C

クリーチャー・ゴブリン、シャーマン

2/2

(8):あなたのコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで+3/+0の修正を受ける。

 「発動者」サイクルの赤。レギオンに収録されていたカードの中でも「炎破の発動者(LGN)」はかなり重要な1枚で、後輩にあたるこいつは3マナ2/2ゴブリンというステータスは全く同じだが、流石に本体5点はまずいと思われたのか、効果は「ラッパの一吹き」に変更されている。まぁ、どっちにしろ強いことにはかわりはない。特にこの環境は落とし子のおかげでクリーチャーの数は確保しやすいわけで、トークン並べてこいつでドカンだけでも充分勝ちの目はあるだろう。押さえておいて損はないクリーチャーだ。

 

Lord of Shatterskull Pass 髑髏砕き峡の王 (3)(R) R

クリーチャー・ミノタウルス

3/3 LVアップ・(1)(R)

LV 1-5> 6/6

LV 6+> 6/6 〜が攻撃に参加するたび、〜は防御側プレイヤーのコントロールする各クリーチャーに6点のダメージを与える。

 成長著しいミノタウルス。4マナ3/3の丘巨人ステータスながら、2マナの追加で6/6に大変身。6マナ6/6ならそれだけでも割と頑張ってる方。もう、そういう「ちょっと変形したキッカークリーチャー」っていうだけでいいんじゃないか疑惑も多々ある。しかし、そこで満足してはレアの名折れ。何とか頑張ってもう10マナつぎ込んでみよう。すると、攻撃するたびに特大火力を吹きかけるとんだ火の玉野郎に大変身だ。これはもう、殴ったら勝ちですよ。「コーの火歩き」とか気にしたら駄目なんです! 白い人はそれがわからんのです! ……10マナねぇ。レアなんだからもう少し優遇してもらっても良かったと思うんだけど。せめて御坂さんばりのレベル5で満足するとかさぁ。6を目指すのは一方通行さんだけで充分ですわ。

 

Lust for War 戦いへの欲望 (2)(R) U

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー)

エンチャントされたクリーチャーがタップ状態になるたび、〜はそのクリーチャーのコントローラーに3点のダメージを与える。

エンチャントされているクリーチャーは、可能ならば攻撃に参加する。

 苛立ちの呪い(DIS)」を更に使いやすくした1枚完結型のオーラ。赤に特有の「流血の熱病(SHM)」効果がそのままダメージに直結しており、パワー2以下のクリーチャーにはってやれば、放っておいても少しずつライフに差が出てくるというのは面白い。攻撃しても死、タップで逃げても痛い、という挟み撃ちの形なので、ルーターやタッパーなどのシステムクリーチャーを処分するのに最適なカードといえるだろう。また、今回は青に「睡眠発作」という素晴らしい相方も登場している。あのカードはご丁寧にアンタップステップで起こしておいてその後すぐにタップを強制する。オーラ2枚で謎の抑止&ダメージ砲台。なかなか面白そうではないか。

 

Magmaw 溶口 (3)(R)(R) R

クリーチャー・エレメンタル

4/4

(1)、土地でないパーマネントを1つ生け贄に捧げる:〜は対象のクリーチャー1体かプレイヤー1人に1点のダメージを与える。

 初見では「何もそこまで頑張って1ダメージにこだわらんでも……」と思ったが、冷静に考えれば、これはこれでかなりヤバいクリーチャーである。同じコスト域には、現在ジャンドや赤単で引く手あまたの歴戦の古老、「包囲攻撃の司令官」が大活躍中。このクリーチャーは、あの最強ゴブリンと違って自らパーマネントは提供してくれないが、サイズが倍になり、どんなクリーチャーでも、エンチャントでも、プレインズウォーカーですらぶん投げられるという柔軟性が最大の武器。最悪の場合でも自身を除去られるのに対応して1点飛ばせるし、完全に無駄ということは無いだろう。パーマネントなら何でもいいというなら、「カルニの庭」や「征圧者の誓約」、そして今回登場した多数の落とし子など、トークン量産体制を取ることが可能だし、「トリナクス」と併用した時のマシンガンのような乱射性能は本家「司令官」をも越える。「司令官」と違って自己完結型ではないのでデッキは選ぶが、今後のデッキタイプをおおきく広げてくれる、面白いクリーチャーである。

 

Ogre Sentry オーガの歩哨 (1)(R) C

クリーチャー・オーガ

3/3 防衛

 パワー偏重という色特性があるために、赤の壁というのはなかなかデザインが難しい。過去の例では、他の色が0/4できれいに歩調を合わせていたストロングホールドの壁サイクルでは1色だけ4/1の「剃刀の壁(STH)」を出してみたり、火を吹けるようにしてパワーの低さを誤魔化した「炎の壁」なんかがある。そして、そんな歪んだ赤の壁性能が現れていた1枚が、1マナ3/3という堅さを誇った「燃えがらの壁(8ED)」。このカードは、一度ブロックに使うと壊れてしまうという虚弱さを持っていたのだが、それに1マナ追加して虚弱体質を改善したのが、このオーガというわけだ。実に安定した守備力を見せてくれるが、やはり赤という色合いにこのどっしり感はそぐわない。一応「孔の歩哨」という有力な砲台が同じセットにいるので、赤壁デッキの火種としてはそこそこ重宝するくらいか。ちなみに、防衛持ちを殺す「オーガの門壊し(DIS)」とは謎の同族闘争を演じたりする。ちょっと面白そう。

 

Rage Nimbus 怒りの雨雲 (2)(R) R

クリーチャー・エレメンタル

5/3 防衛 飛行

(1)(R):対象のクリーチャー1体は、このターン可能ならば攻撃に参加する。

 こちらもパワーの方が高い、赤のこだわりが伺える壁。3マナ5/3でしかも飛んでいるというのだから、コストパフォーマンスは非常に優れている。相変わらず悪斬には勝てないが、このコスト域をうろうろしているクリーチャーなら、最低限相打ちレベルには持っていけるだろう。そして赤らしい部分として、タップを必要としない攻撃強制能力も与えられている。普通の環境でもそれなりに役に立つ能力だが、この環境ではこれが特別大きな意味を持つ。というのも、世界的に後ろでこそこそと経験を積みたがるレベルアッパーの存在があるためだ。こつこつと鍛錬を重ねようとしているレベルアッパーをご指名し、志半ばで打ち倒す外道鬼教官。それがこの壁の本来の使命であろう。レアというには些か地味ではあるのだが、充分その名に恥じないだけの嫌らしさを見せてくれるはずだ。余談だが、日本語版カードのフレーバーテキストに誤字がある。こういうのっていつまでたっても改善されないよな。

 

Raid Bombardment 略奪の爆撃 (2)(R) C

エンチャント

あなたがコントロールするパワー2以下のクリーチャーが1体攻撃に参加するたび、〜は防御側プレイヤーに1点のダメージを与える。

 大量のブロッカーがならび、小さいアタックが無意味になってしまうといういかにもありそうな状況を意外な方向から解決してくれるエンチャント。これによって、ブロックされようがパワー0だろうが、とにかく攻撃することに意義があるという状態に持ち込める。当然、相性がいいのは落とし子トークン達で、これをはってひたすら殴れば、見る見る相手のライフは減っていく。もちろん相手ブロッカーに潰されて数は減少するだろうが、トークン生成がマナソース以外の役割で勝ちへのルートになるというコンセプトは緑の「大群守り」と同じで、当然選択肢が増えるのだから悪い話ではないだろう。八方美人ではデッキ構築が難しくなってしまうが、相手が予想もしない奥の手になるカード。重ねばりしたときの鬼畜っぷりにも注目。

 

Rapacious One 肉喰らうもの (5)(R) U

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

5/4 トランプル

〜がいずれかのプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、その値に等しい数の【落とし子トークン】を戦場に出す。

 落とし子を生み出すのが生き甲斐のドローン軍団だが、こいつの場合は質実剛健。なんと殴りに行くエネルギーをそのままドローンに変換する。6マナ5/4トランプラーは充分なサイズだし、1点でもダメージが通れば、それが直接アドバンテージへと変換される。「こいつが通ってる時点で勝ってるんだからわざわざ落とし子を作る必要無くね?」という疑問もあるにはあるが、2つの仕事を同時に出来る器用さはやはり無視できない。特に増強スペルなどとの相性が良く、今回緑に収録された「大群の力」などでパワーをあげてやると、キャストに使ったマナがまるまる帰ってくる可能性すらある。序盤の落とし子加速からまずここに繋げて、更にワンステップ上を目指す有力な「中継地点」となりそうだぞ。

 

Soulsurge Elemental 魂うねりの精霊 (3)(R) U

クリーチャー・エレメンタル

*/1 先制攻撃

〜のパワーは、あなたがコントロールするクリーチャーの総数に等しい。

 久し振りに登場した、ステータス不定の星マーク。この手の味方クリーチャーの数を参照する能力は「野生の末裔(10ED)」などの緑のイメージがあるが、実はその開祖は赤の「ケルドの大将軍(5ED)」である。で、固定された値を見ると、4マナタフネス1の先制攻撃持ち。つまり、最低ラインは「矛槍兵(ODY)」のパワー3だ。赤は落とし子も出せるし、自身もカウント出来るので、この程度のラインはあっさりクリア出来るだろう。「矛槍兵」はリミテッドでは赤を代表した攻撃の要だったし、4以上のパワーになるようならば、序盤の壁を突破してプレッシャーをかける大きな戦力になることは間違いない。あとは、1点というタフネスのはかなさをいかにフォロー出来るかだ。残念ながら赤には族霊鎧が無い。緑などにヘルプを求めて、何とか溢れるパワーを堪能したいところである。

 

Spawning Breath 産卵の息 (1)(R) C

インスタント

〜は対象のクリーチャー1体かプレイヤー1人に1点のダメージを与える。【落とし子トークン】を1体戦場に出す。

 「ついでに火力」って感じの小さな嫌がらせ。ただ、この世界にはレベルアッパーという格好の餌どもがわんさといるので、1点火力も案外無視できない。インスタントでタイミング良く相手の出鼻をくじき、更にステップアップに不可欠な落とし子まで手に入るのだから、リミテッドなら充分「強い火力」である。相手の落とし子を潰すのにも使えるし、たとえ1点ではどうしようもないような終盤戦でも、空打ちすればインスタントタイミングでブロッカーが呼べる「防御スペル」にもなるのだ。

 

Splinter Tiwn 欠片の双子 (2)(R)(R) R

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー)

エンチャントされたクリーチャーは、「(T):このクリーチャーのコピー・トークンを1体戦場の出す。それは速攻を持つ。次のエンドステップの開始時に、それを追放する」を持つ。

 はられたクリーチャーが自在に分身出来るようになるオーラ。過去には自動でコピーを増やし続ける「追われる足跡(RAV)」なんてカードもあったが、これは赤版なので自分限定の「鏡割りのキキジキ(CHK)」といった風情だろうか。どうせ自身がタップしてしまうため、トークンを出した後に2倍活躍、というわけにもいかない。色合いを考えると、一番単純な使い方はパワー偏重で死にやすいクリーチャーを毎ターン繰り出し、捨て身攻撃、捨て身ブロックを繰り返してもらうことになるだろうか。攻撃時だけ7/1で突貫出来る「ヴァラクートの火猪」とのシナジーはなかなか面白そうだ。そして、187能力の有効利用という効果も大きく、例えばカウンターがのった状態の「カルデラの乱暴者」に付けてやれば毎ターン好きなタイミングで3点の「地震」を見舞うことが出来るようになるし、「ボガーダンのヘルカイト」なんて荒技もある。そして、現在このカードを最も現実的に有効利用出来そうなのが、このエキスパンションで完全にハブられる形になった同盟者達。例えば「カズールの大将軍」にこれをはることが出来れば、なんと毎ターン2点のペースで成長していくし、他の同盟者に対する恩恵も計り知れないものになるだろう。まぁ、ぶっちゃけると「どうせ4マナもかかるし、そこまで頑張るカードじゃないわ」で終わりなのだが、現環境でも「石鍛冶の神秘家」「国境地帯のレインジャー」「吸血鬼の夜候」など、色々とシナジーが形成できるクリーチャーは多い。何か一発逆転夢コンボが生まれないものだろうか。下の環境なら、「キキジキ」の時と同様に「進入警報(7ED)」や「空の軽騎兵(DIS)」で瞬殺コンボなんだが。

 

Staggershock よろめきショック (2)(R) C

インスタント

〜は、対象のクリーチャー1体かプレイヤー1人に2点のダメージを与える。

反復

 俗称は「反復ショック」。「ショック」におまけを付けたスペルというのはもちろん腐るほどあって、例えば占術がつけば「マグマの噴流(5DN)」だし、秘儀連繋がつけば「氷河の光線(CHK)」、刹那がつけば「突然のショック(TSP)」だ。こうしたおまけショックの中では珍しく、このスペルは3マナとちょっとだけ重たい。もちろんそれだけの理由はあり、何も考えずにプレイするだけでもアドバンテージが取れる構造になっているためだ。単純にクリーチャーを2体屠ることも出来るし、反復したターンはマナを使わないので他の火力との併用もしやすくなる。相手は来るのが分かっている2発目には当然警戒するだろうが、その時間を稼げるだけでも優秀なスペルなのは確実だろう。リミテッドでは当然必須火力。構築ではこのタイムラグは無視できないところではあるが、今何故か頭の中を「血の長の昇天」がよぎったので、誰がデッキを作ってみてくれ。「焼尽の猛火」とかがあるのでちょっと見劣りするのが悲しいところだが、このスペックでも特に驚かないというのだから、恐ろしい環境になったもんである。

 

Surreal Memoir 現実離れした回顧 (3)(R) U

ソーサリー

あなたの墓地から、インスタント・カードを1枚無作為に手札に戻す。

反復

 赤にしては珍しく、地味かつ確実なアドバンテージを取りに行く小粋なスペル。似たようなスペルに「埋め合わせ(ODY)」があったが、このカードは反復仕様になっているので後半を自動でやってくれるのがポイントだ。現在赤絡みのデッキで使われているインスタントというのはそこまで数が多くなくて、最も使われているのは「稲妻」だろう。墓地に「稲妻」だけがある状態ならば、これで回収し、反復が起動する前に使えばもう一度その「稲妻」を手にすることが出来る。初期投資コストは軽くないが、充分なペイではなかろうか。「噴出の稲妻」「終止」「瀝青破」など、これの恩恵を受けられるカードは少なくないし、その構造上、キャスト時ではなく解決時にカードがあればいいので、反復にスタックでカードがプレイ出来るのはありがたいところ。リミテッドなら手軽なアドバンテージカードとして、構築レベルでも、「紅蓮術士の昇天」のようなデッキならばいい働きをしてくれそうである。

 

Traitorous Instinct 裏切りの本能 (3)(R) U

ソーサリー

ターン終了時まで、対象のクリーチャー1体のコントロールを得て、それをアンタップする。そのクリーチャーは、ターン終了時まで+2/+0の修正を受けるとともに速攻を持つ。

 すっかり赤のお家芸となった「反逆の行動」系カードの新作。ここ最近でも「反逆の印」や「ボーラスの奴隷」などの亜種が数多く作られており、流石にネタ切れになってきたのか、割とシンプルなスタイルになっている。まぁ、言ってしまえばX=2の「不本意な徴募(EVE)」である。「不本意な徴募」で同じ効果を得ようとしたらコストが(2)(R)(R)(R)なので、ちょっとだけお得。でも、固定コストなので汎用性がない。まぁ、いつものバランスってことです。ドラフトでは鬼。構築ならもう少し頑張って「ボーラスの奴隷」でいいんじゃないでしょうか。

 

Tuktuk the Explorer 探検家タクタク (2)(R) R

伝説のクリーチャー・ゴブリン

1/1 速攻

〜が戦場から墓地に置かれたとき、5/5で「復活のタクタク(Tuktuk the Returned)」という名を持つ無色のゴブリン・ゴーレム・アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。

 そういえばゼンディカーは罠と財宝に満ちあふれたエキスパンションだったらしいのだが、結局ワールドウェイクまでの間にめぼしい財宝は発見できなかった(まぁ、どこぞではパックから「Black Lotus」とかが出てたらしいけど)。そして、そんな探検の結果が、この荒廃したエルドラージの世界でようやく現れたのだ。なんと、5/5のゴーレムが!! ……うわぁ、報われない。なんとパックに封入されたトークンカードにもこの「復活のタクタク」が入っているらしいので、ゴブリンマニアは是非ともチェックだ。トータルで見れば3マナで5/5なので充分強いはずなのだが、わざわざレジェンドにせんでもいいやん、という気もする。生け贄を必要とするカードとの相性がいいので、黒との組み合わせなんかは面白いかもしれない。それにしても……タクタクに何があったんだろうなぁ。

 

Valakut Fireboar ヴァラクートの火猪 (4)(R) U

クリーチャー・エレメンタル・猪

1/7

〜が攻撃に参加するたび、ターン終了時まで〜のパワーとタフネスを入れ替える。

 このカードを見て初めて気がついたのだが、「猪/Boar」ってクリーチャータイプとしていつの間にか市民権を得てたんだね。「刃牙の猪」もタイプが猪だった。過去にこういうカードって全部ビーストだったんじゃね? と思って少し調べてみると、割と時代が古い「ピグミー・レイザーバック(PCY)」や「突っ走る猪(EXO)」あたりは「猪」だ。でも、ここ最近はクリーチャータイプ統合の流れがあったため、「巨大イボイノシシ(JDG)」や「軟骨背獣(GPT)」はもともと「ビースト」で、改めて「猪」がタイプとして追加されている。5マナで1/7という赤とは思えない素晴らしい体躯を持つエレメンタルだが、殴った時だけ「ゼクター祭殿」クラス。ただ、この能力なのにトランプル無しという見事なオチもあり、単なる「無駄に重くて準備が大変な相打ち要員」である。これなら多少期待値は低くてもすぐに使える「冠毛の岩角獣(LGN)」とかの方がなんぼか頼りになるな。一応こいつの場合は立ってるだけでスーパー壁として活躍出来るっていうメリットはあるのだが、それって赤いデッキが求める能力なんだろうか。5マナアンコモンとしてはいささか寂しい能力である。また、その有り余るパワーが使いたくて「連続突撃(10ED)」とか「世界大戦」を使っちゃうとものすごいオチも待っているので、ネタとしては秀逸。

 

Vent Sentinel 孔の歩哨 (3)(R) C

クリーチャー・エレメンタル

2/4 防衛

(1)(R)(T):〜は対象のプレイヤー1人に、あなたのコントロールする防衛をもったクリーチャーの数に等しい値のダメージを与える。

 防衛をフィーチャーする狙撃砲台。防衛プッシュ生物の赤は、当然火力。ステータスはそれなりだし、「防衛だけ並べてたって勝てねぇよ!」という至極もっともなご意見を斬新な角度から解決。専守防衛デッキでも、結構な速度で相手のライフは減っていく。2体並べば毎ターン4マナ4点火力が撃てるようになり、3体並ぶとなんと6マナ9点。こりゃ新しいゲームの形も見えるってなもんだ。赤のくせに防衛とさげすむなかれ。クリーチャーにこそ飛ばないものの、あの「有刺障壁(MMQ)」の悪夢が再びやってくるかもしれませんぜ。

 

World at War 世界大戦 (3)(R)(R) R

ソーサリー

このターンの最初の戦闘後メイン・フェイズの後に、追加の戦闘・フェイズとそれに続く追加のメイン・フェイズを加える。その戦闘の開始時に、このターン攻撃していた全てのクリーチャーをアンタップする。

反復

 日本語名がものすごい気がするが、戦勝国の製品の敗戦国母国語版の名前がこれでいいんだろうか。これこそ「戦の只中(BOK)」っていう名前がしっくりくる気がするんだけどね。さておき、おまけが付いたせいで書式がややこしくなっているが、「連続突撃(10ED)」の反復版である。戦闘フェイズだけとはいえ、2ターン連続で相手の倍のアタックチャンスが生まれるのだから、何かものすごい悪さが出来るような、そうでもないような。賛美クリーチャーとの相性が抜群なのだが、残念ながらこの色合いだとあまりサポート出来ない。この手のスペルは赤の伝統なので数々のバリエーションが作られているわけだが、残念ながら構築で活躍したという話は全く聞かないし、リミテッドで強かったという話すら、ほとんど出てこない。せいぜい「山賊の頭、伍堂(CHK)」がそれなりに強かったくらいだが、あいつもどっちかっていうと連続突撃能力より装備品サーチ能力がメインだったからなぁ。このコストで、おまけ付きですと言われても正直微妙である。

 

Wrap in Flames 炎の覆い (3)(R) C

ソーサリー

〜は、最大3体までの対象のクリーチャーに1点のダメージを与える。それらのクリーチャーは、このターンブロックに参加出来ない。

 「恐ろしき攻撃(M10)」が1マナ重くなり、おまけがついた。効果だけを見れば「燃えさしの突風(SHM)」にも似ている。3体のブロック抑制というのは、ほとんどの環境においてゲームエンドカードになりうる。「恐ろしき攻撃」もそうだし、赤のブロック抑止カードは「意気阻喪(ODY)」「無頓着の波(ONS)」など、リミテッドでは常に意識する必要があり、ピックするタイミングもなかなか難しい部類だ。そしてこのカードは、さらにダメージまで与えるようになり、「微震(8ED)」のように使うことも出来る。3体の落とし子をまとめてつぶせれば、それだけで相手のプランはガタガタになるだろうし、そうしたデッキでなくとも、フィニッシュホールドとしてとりあえず入れておく分には困らない。タフネス1のトークンと壁の溢れる世界では、このカードのピック順は何手目くらいになるのだろうか。

拍手

<無色エルドラージ>

All is Dust 全ては塵 (7) M

部族ソーサリー・エルドラージ

各プレイヤーは、自分のコントロールする全ての有色パーマネントを生け贄に捧げる。

 「ウギンの目」に大きな存在理由をもたらすことになるかもしれない、エルドラージ呪文の最右翼。ここまで強力な「全体除去」は久し振りだし、史上初の「青単デッキや緑単デッキで使うことが出来る全体除去」である。そりゃま、神話になるのも当然至極。エルドラージ構成のデッキ以外では土地だけが残ることになるので、その効果は基本的に「アクローマの復讐(ONS)」と同じだが、最近多い「破壊されない」や再生クリーチャーを無視できるといううま味があり、除去としての信頼性は(相手がエルドラージでなければ)抜群。普通の使い方は、自分のデッキをフルエルドラージにして、「エルドラージの寺院」「ウギンの目」などからの高速プレイということになるだろう。7マナというコストは同系統のスペルである「アクローマの復讐」や「陽光の潮流(MRD)」を上回るので、普通に考えたら実用に耐えるレベルではないはずなのだが、この世界の、特にエルドラージの場合はコストはある程度さっ引いて勘定すべき。今後は、あらゆるデッキにおいて警戒が必要なスペルである。ただまぁ、これがものすごく強かった場合、結局世界がエルドラージだらけになって役に立たなくなるというジレンマも起こりうるのだが。別に「災いの砂時計」も世界を制しなかったから大丈夫……かなぁ。さぁ、世界はエルドラ一色に染まるのだろうか。ちなみに「絵描きの召使い(SHM)」がいると突然アポカリプすというネタもあるんだけど、誰も得しないので忘れてしまおう。

 

Artisan of Kozilek コジレックの職工 (9) U

クリーチャー・エルドラージ

10/9 滅殺・2

あなたが〜を唱えたとき、対象の、あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を戦場に戻しても良い。

 アンコモンエルドラージ。コスト的には「ウラモグの破壊者」に継ぐ9マナという軽さ(?!)。まぁ、手頃な価格と、それに見合いすぎる充分なステータスと滅殺能力は充分なセールスポイント。そしてキャスト時に「ゾンビ化(9ED)」が発動するので、その時点で一仕事できる。これでエルドラージが掘り起こせれば完璧。なんだかもう、パワーとタフネスの値はインフレがひどすぎて感覚がよく分からなくなってるな。今後はライフ30点から始めるみたいなルールにすればいいと思うよ。現時点での最大の悩みは、リミテッドでこの手のエルドラージってどの程度の順目でピックすればいいのかってこと。無色だから誰でも引けるんだよなぁ。

 

Eldrazi Conscription エルドラージの徴兵 (8) R

部族エンチャント・エルドラージ、オーラ

エンチャント(クリーチャー)

エンチャントされたクリーチャーは、+10/+10の修正を受けるとともに、トランプルと滅殺2を持つ。

 どんなクリーチャーでも気軽にエルドラージ気分を味わえるようになるオーラ。その気軽さはなんと驚きの8マナ! ……まぁ、軽いと思うよ。同じコストを持つエルドラージである「ウラモグの破壊者」(コモン)は、8/8で滅殺2という性能である。このカードは、「土台が必要」「対応して除去られるとフィズって涙目」「カード2枚使ってようやく1枚分」といったオーラ特有のデメリットがあるために、少しだけコストパフォーマンスがよくなっているわけだ。8マナも出る頃にはそれなりのクリーチャーがいて当然なので、そこらにいる「丘巨人」クラスにプレイしても13/13と、雲を掻いちゃう気分が手軽に味わえるわけだ。そりゃま、強いわな。リミテッドなら無色なのでみんな初手級。大ざっぱな世界。また、オーラはクリーチャーと違って色々妙なプレイのし方があり、最近なら「失われたアラーラの君主」でコストを丸ごと踏み倒せるし、古いところなら「奥義の翼(FUT)」、「アカデミーの研究者(10ED)」なんてカードもある。色々と夢の広がるカードではないか。まぁ、レアなんだけどさ。

 

Emrakul, the Aeons Torn 引き裂かれし永劫、エムラクール (15) M

伝説のクリーチャー・エルドラージ

15/15 飛行 プロテクション(有色呪文) 滅殺・6

〜は打ち消されない。

〜が唱えられたとき、あなたは追加の1ターンを得る。

〜がいずれかの領域から墓地に置かれたとき、そのオーナーのライブラリに加えて切り直す。

 3体存在している伝説のエルドラージの1体にして、最強最大のこの世の終わり。コストはなく子も黙る15マナ、「ドラコ(PLS)」に継ぐコストであり、サイズは「クローサの雲掻き獣(TSB)」らを抜いて堂々のトップだ。そして、当然リアニ対策能力を持っているのでプレイするとしたら頑張って真正直にプレイするか、「召喚の罠」「変身」しかない。そこまで頑張るんだから「本質の散乱」されてはつまらないってことで、カウンター防止機能は当然搭載されているし、プレイするだけで「時間のねじれ」し、除去に対してプロテクションを持ち、殴るだけで「ニコル・ボーラス」に迫る勢いで相手陣営をガタガタにする。でもま、「有色呪文」っていう微妙なカテゴリーなら、除去はちょいちょい出来ることが判明したので、まだ対処法はあるのですな。パーマネントと呪文、微妙に違う。あぁ、「大祖始」さん、良かった! まだアイデンティティが否定されたわけじゃなかったんだね!

 

Hand of Emurakul エムラクールの手 (9) C

クリーチャー・エルドラージ

7/7 滅殺・1

あなたは、〜のコストを支払う代わりに、【落とし子トークン】を4体生け贄に捧げても良い。

 種族特性であるクソ重たいコストを何とか克服するためにピッチコストを用意してくれた庶民派エルドラージ。9マナかかるのに7/7で滅殺も1つなのでエルドラージとしては少し物足りないが、エルドラデッキならば落とし子トークンは不可欠なので、うまくいけば半分以下のコストでプレイ可能。高速エルドラ召喚合戦になりそうなリミテッドならば、いち早くこれをプレイして滅殺パンチ出来るのは評価出来るかもしれない。コモンエルドラージは数がそれほど多くないし、とりあえずこれをキープしておき、落とし子の集まり具合を見て「ウラモグの破壊者」との選択をすればいいんじゃないかしら。このくらいのサイズだと、一応「ワームとかの普通のクリーチャーでも頑張ればエルドラージを倒せるんだぜ」という武勇伝が聞こえてきそうで微笑ましい。

 

It that Betrays 背くもの (12) R

クリーチャー・エルドラージ

11/11 滅殺・2

いずれかの対戦相手がトークンでないパーマネントを生け贄に捧げるたび、そのカードをあなたのコントロール下で戦場に戻す。

 滅殺能力を心ゆくまで堪能したい人のためのエルドラージ。コストあたりのサイズと滅殺数は、エルドラージの中では普通くらい。そこに、滅殺やら何やらとばっちりかみ合った妙な能力が備え付け。相手がトークンを1体も持っていなければ、殴るだけで自動的に2つのパーマネントをパクれる意味の分からないカードということになる。更に、殴る以外にもパーマネントをサクらせる手段は色々あるわけで、最近ならば「マラキールの門番」と組み合わせられるし、古いところならば「平等化(ODY)」や「死の雲(DKS)」あたりと組み合わせるとホームラン。まぁ、例によって12マナもかけてクリーチャー出したあとのギミックなんて考えるだけ無駄な気もするが。レアなのでリミテッドなら当然エンドクラス。ただ、それはどのエルドラージにも言えることで、むしろ除去耐性が無いので御しやすい部類かもしれない。構築なら、大人しくレジェンド連中に声をかけるべきだろう。

 

Kozilek Butcher of Truth 真実の解体者、コジレック  (10) M

伝説のクリーチャー・エルドラージ

12/12 滅殺・4

あなたが〜を唱えたとき、カードを4枚引く。

〜がいずれかの領域から墓地に置かれたとき、そのオーナーは、自分の墓地をライブラリに加えて切り直す。

 このブロックのトップ情報を飾った神話的エルドラージの先兵的存在。登場時は「なんだこの馬鹿クリーチャーは!」と鼻で笑ったもんだが、情報が漏れた後だとこれでも充分現実的だったんだと知らされて愕然とする。コストあたりのサイズでいえばシリーズトップクラスであり、滅殺4もあるので殴れば勝てるは保証済み。そして、レジェンズの中でこいつだけは除去を回避する能力を持ち合わせていないので結構な確率で殺されてしまうわけだが、それをフォローするのはプレイ時誘発能力の「連絡(10ED)」。登場後に即除去られても、カウンターされて場にすら出られなくても、このカードは4倍に増える。それだけでも、何か使い道がありそうではないか。とにかく、「プレイすること」に対するデメリットが低いのでエルドラージ初心者にはお勧めの安心パック。個人的にはやっぱり「願いのジン」でごにょごにょ。

 

Not of this World この世界にあらず (7) U

部族インスタント・エルドラージ

対象の、あなたがコントロールするパーマネントを対象とする呪文1つか能力1つを打ち消す。

そのパーマネントがパワー7以上のクリーチャーである場合、〜のコストは(7)少なくなる。

 無駄にカード名が格好いい、エルドラージ専用っぽい「妨げる光」。呪文も能力も扱ってくれるのはカウンターとしては斬新だが、流石に呪文1つ打ち消すのに7マナというのはふざけすぎている。普通のデッキでこれを使う理由は何1つ無い。そして、エルドラージがわんさか出てくる予定のデッキならば、これは完全防壁を敷くことが出来る恐るべき「フリースペル」となる。「エムラクール」クラスならばわざわざ下々の使う除去など恐れる必要は無いが、流石に下っ端エルドラージたちは黒除去に怯え、バウンスにがっかりすることもある。せっかく苦労してプレイしたカードをそうした妨害から守ってくれる保証が、ただで得られるというのは凄いことだ。「1枚出して数ターン守りきれば勝ち」の世界になるのだったら、こうしたちょっと窮屈なスペルでも充分存在価値があるのではなかろうか。

 

Patherazer of Ulamog ウラモグの道滅ぼし (11) U

クリーチャー・エルドラージ

9/9 滅殺・3

〜は3体以上のクリーチャー以外にはブロックされない。

 サイズとレアリティから考えると一応「中堅」のエルドラージであるが、なんとこれがアンコモンというのだから頭がおかしい。まさか「ファイレクシアの巨像(8ED)」がアンコモンになる日がくるとは、誰が思ったであろうか。もちろん、名前をいただいた同じコストの神話である「ウラモグ」と比べちゃうと悲しさ一億万倍だが、レアリティ2つ分の差というのは、このくらいの悲哀を伴うのである。手軽なレアリティで、手軽なエルドラライフを。略して、エラフを。

 

Skittering Invasion 走り回る侵略 (7) U

部族ソーサリー・エルドラージ

【落とし子トークン】を5体戦場に出す。

 白や緑が得意とするトークン量産スペルだが、コストが高いのに「征圧者の誓約」よりもトークンの数が少なく、更にパワーも持ってないので打撃力は皆無。いくら頭数が増えるとは言ってもあまりに適当である。となると、これはもう、純粋なマナ加速呪文以外の何物でもない。これが普通にプレイ出来るならば、次のターンは12マナ出せる。「コジレック」ならば手が届くところだ。「ウギンの目」が絡めばこのスペル自体を6ターン目にはプレイ出来るし、もちろんこのスペルをプレイするためにもっと別な「落とし子」呪文をプレイすれば更にプレイは速くなる。ものすごい「エルドラージデッキ」が出来たなら、かなり重要なファクターなのは間違いない。なんか、在りし日のレベルデッキみたいな脅威のエルドラ落とし子連鎖が実現する日が来るのだろうか。それはそれで楽しみだけど、世界中に「火山の流弾」が降り注ぐことは確定だろうなぁ。

 

Spawnsire of Ulamog ウラモグの種父 (10) R

クリーチャー・エルドラージ

7/11 滅殺・1

(4):【落とし子トークン】を2体戦場に出す。

(20):任意の数の、ゲーム外にあるあなたのエルドラージ・カードを、マナコストを支払うことなく唱える。

 起動コスト欄に20というギャグとしか思えない数が書いてある新機軸カードだが、その能力も斜め上過ぎて対処に困る。まず、自身が10マナもかかるくせに、登場後もさらなるマナ加速に全力を尽くすその姿勢は格好いい。普通に考えればエルドラージなんて1体出れば仕事は終わりだと思うのだが、それでも駄目なくらいに押されてしまっている状況というのもあり得る。そんなとき、こいつは毎ターンチャンプブロッカーをばらまきながら突っ込むことが出来る。もう、これだけならかなりのお利口さん。パワーは多少控えめではあるが、タフネス11は安心して攻撃に繰り出せるだろう。そして、落とし子トークン連鎖がブロッカーに消費されなければ、いつしかものすごいマナが出ることになる。これで「エムラクール」なんかに繋げればゲームも簡単に終わるわけだが、「そんな出せるかどうかも分からないカードなんかデッキに入れたくないよ!」という人のために、なんとこの子はゲームの外からいくらでも援軍を呼べるという「願い」能力を持っている。「願い(JDG)」シリーズはカード1枚が1枚になっていたわけだが、こいつは一発起動で好きなだけ。うわぁ、厨二だ。起動すれば勝ちだが、起動しないと勝てないデッキは考え直した方がいいだろう。ちなみに、過去の「願い」シリーズは公式戦のルールでは「リムーブされたカード」「サイドボード」からカードを選択できたが、現在はルール変更のおかげで「追放」されたカードはゲーム外ではなく「追放領域」に置かれることになっている。つまり、プレイ出来るのはサイドボードのカードだけということ。まぁ、ご丁寧に場に出すだけじゃなくてプレイもするので、「エムラクール」をサイドに仕込んでおけばそれで事足りるだろう。普通にプレイしろとは思うけどさ。

 

Ulamog’s Crusher ウラモグの破壊者 (8) C

クリーチャー・エルドラージ

8/8 滅殺・2

〜は可能ならば毎ターン攻撃に参加する。

 8マナで呼べる「軽量」無色エルドラージは、なんとコモンである。ま、どの色でもプレイ出来る「超大なベイロス(M10)」がちょっと大きくなって、更に滅殺能力とデメリットがついたのでとんとん……なわけねぇ。「可能なら攻撃に参加する」って、このクリーチャーが攻撃したくない瞬間など世の中にはほとんど存在しないだろう。つまり、純正メリット付きでカラーレスになったファッティ。今の世の中じゃ、かろうじて黒を持てば「破滅の刃」や「忌まわしい最期」を回避出来るというメリットになるが、普通に考えると「天界の粛清」や「瞬間凍結」を回避出来るカラーレスというのはメリットと考える方が自然だ。つまり、このコモンは強いのだ。ドラフトでは各種ドローン経由でさくっとプレイ出来てお手軽にこの世界の雰囲気を体感出来るナイス代表格。でも、デッキに2体以上は入れたくないなぁ……

 

Ulamog, the Infinite Gyre 無限に廻るもの、ウラモグ (11) M

伝説のクリーチャー・エルドラージ

10/10 滅殺・4 〜は破壊されない。

〜を唱えたとき、対象のパーマネント1つを破壊する。

〜がいずれかの領域から墓地に置かれたとき、そのオーナーの墓地をライブラリに加えて切り直す。

 最後に姿を現した神話エルドラージの3体目。サイズでいうと「コジレック」と「エムラクール」の間だが、滅殺する数はコジレックと同じ。エムラクールが6なんだから間とって5でも良かった気がするけど、まぁ、4だろうが5だろうが大して変わらんけどな。で、基本的な設定は他の2体と大体同じで、スーパーサイズなボディにあり得ない滅殺能力とリアニ回避の墓地クリーニング能力、そしてプレイ時誘発という理不尽なおまけ。ただ、1マナ軽いコジレックが「連絡(10ED)」(5マナ)、エムラクールが「時間のねじれ」(5マナ)であるのに対し、こいつの能力は「名誉回復(APC)」(3マナ)なので、ちょっと損した気分ではある(まぁ、「砂漠の竜巻(MMQ)」(6マナ)だと思えば得だけど)。そして、コジレックに与えられず、他2体に与えられたのがこれまた無体な防御能力。エムラクールは有色呪文全てに対するプロテクションという妙な形でディフェンスを固めたが、こちらはシンプルにダークスティールボディを持っている。同じコスト、同じレアリティ、同じ能力を持った「ダークスティールの巨像」があまりに不憫なこの性能。単純な安定感なら、コストとの兼ね合いも考えてこいつが一番「フィニッシャー」にはふさわしいだろう。死ににくさでいえば「流刑への道」で除去されるこいつと、代わりに「吸血鬼の夜鷲」や「審判の日」で死ぬエムラクールという差があるが、まぁ、大きな差にはならないだろう。となればやはり4マナの差は無視できない(まともにプレイする気があるならね)。基本的な役割分担としては、コスト無視ならおまけてんこ盛りのエムラクールを選び、ある程度普通にプレイすることを考えて、その上できっちりゲームを決めたいならこのウラモグ、カウンターされてもいいというならプレイ時に4枚引けて最も軽いコジレックということになるか。まぁ、どれプレイされても印象は大して変わらねえけどな!

拍手

<白>

 今回、各色に与えられたコモンは全て19枚で統一されている。この19枚が、今後のリミテッドを戦っていく上での基本的なリソースとなるわけだ。

 まず、白のコモンクリーチャーは11体。そして、どれも素晴らしく地味である。とはいえ、フライヤーがそれなりにいるのはやはり白。1回のレベルアップで2/3飛行という基本ステータスを手にする「岸壁安息所の騎士」は、やはり欠かすことの出来ない存在。序盤からビートを刻めるし、そのままフィニッシャーとなってゲームを決められるだけの実力をもっている。ただ、ゼンディカーの時と違って本来お客様であるはずの緑が3枚もの飛行対策をコモンに収録しているのは気になるところ。

 そうした緑の基本対策カードである「葉の矢」で落ちないだけのタフネスを持つ「マキンディのグリフィン」も、派手ではないが安定感の代表だし、最終的に5/5先制に到達出来る「隊商の随員」は、地上でアタッカーを務める貴重な人材である。白には落とし子戦術が使えないので、自ずと時間稼ぎの戦術はライフゲインに依存することになる。「堪えれば何とかなる」ならば、2マナで4ライフをもたらす「孤独な宣教師」は実に優秀なテンポメーカーだ。

 何故こうも地味なクリーチャーが多いのかといえば、白にはオーラ戦術があるからだ。コモン・アンコモン合わせて3枚の族霊鎧があるので、質は二の次でとにかくクリーチャーをそろえる必要性がある。そして、こうしたサポートを象徴する優秀なクリーチャーが「族霊導きの鹿羚羊」である。がっちりボディに確実なアドバンテージは、コモンとしては突出した性能だ。

 クリーチャーのパワーは総じて低いので、デカブツ域に到達する前にゲームを制したい場合は、どうしても除去に頼らざるを得ない。パワー3以下のクリーチャーなら一撃で殺せる「刺し込む光」は見た目通りのトップコモンに違いないし、テンポを維持するなら2体タップの「闇の追い返し」も欠かせないパーツとなりそうだ。

 逆に、待ちの戦術を取るならば白は選択肢に事欠かない。たとえばアタッカーをたった1マナで殺す「強打」がそうだし、アタッカーのダメージだけを軽減してしまう「無害な突撃」、クリーチャーに防衛を付ける「護衛の任務」なんてのもある。つまり、ほとんどのコモンスペルは「試合が長引く方向」に働き、その目的ならば他の環境ではあり得ないくらいの質と量が保証されているのだ。

 結局、中庸を取るよりははっきりと「攻め」と「守り」は区別すべきで、守りを維持するならば緑と組み合わせてマナ量産体制に入るべきであり、あくまでウィニーを目指すなら青と組んで飛行の層を厚くし、レベルアッパーやアンブロッカブルで強引に隙間を抜けることになる。

 アンコ以上でも、白は守りの姿勢を崩さない。構築レベルにお目見えするであろう「前兆の壁」は説明不要の素晴らしいカードであるし、新手の最右翼1マナ除去、「失脚」の強さも問答無用。本当に除去は強い。他方、「攻め」の戦術を維持する可能性も、一筋ではあるが残されている。それは体内に「栄光の頌歌」を宿したレベルアッパー「カビーラの擁護者」と、レベルアッパーを大きく化けさせる「英雄の時」の存在だ。青の「敬慕される教師」などの力を借りた、一大レベルアッパー軍団を構成するのが、尖った白の最終形といえるだろう。

 レアまでいくと、今後の世界に影響を与えそうなのはなんと言っても「ギデオン・ジュラ」。もう1枚の神話である「静寂の守り手、リンヴァーラ」も、落とし子を抑止出来るので可能性が無くもないカード。コントロールデッキで期待できそうなのはハイパーな防壁をくみ上げる「光雷原」。多くのビートデッキがこれ1枚で沈黙することを考えると、今後の環境を左右する1枚になるかもしれない。


 

Affa Guard Hound アーファの番犬 (2)(W) U

クリーチャー・猟犬

2/2 瞬速

〜が戦場に出たとき、対象のクリーチャー1体は、ターン終了時まで+0/+3の修正を受ける。

 いかにも白らしい、手頃な瞬速防衛システム。似たようなシステムに、コモンでしかも全ダメージを軽々と封じてしまう「エーテル宣誓会の盾魔道士」がいたので、この機能だけでアンコとかどの口がぬかすのかと一笑にふしたくなってしまうが、それでもリミテッドならそれなりのトリック。相手の火力や戦闘による致死ダメージをかわしつつ、2/2が瞬速で出られるなら充分な効果だろう。一瞬とはいえ、3マナで2/5瞬速が出られるのだから結構な確率で除去としても使えるはずだし。そういや最近瞬速持ちクリーチャーって少ないなぁ。調べてみたら「盾魔道士」以外には「暴食するスライム」と「翼のコアトル」だけかよ。

 

Caravan Escort 隊商の随員 (W) C

クリーチャー・人間、騎士

1/1 Lvアップ・(2)

LV 1-4> 2/2

LV 5+> 5/5 先制攻撃

 すごくコモンな感じのレベルアッパー。1段階進化を経ても3マナ2/2という普通以下のステータスであり、求められるものが生まれるのは合計10マナを注いだ後。流石にその間「単なる熊でも頑張れ!」っていうのはちょっと寂しい気がする。レベルアップコストに色マナがかからないのでそこそこ気軽に投資できるのは売りではあるが、仮に1ターン目にプレイして全マナを注いだとしてもレベル5に到達するのは5ターン目。むー、5ターン目に5/5先制なら強いっちゃぁ強いが……ま、時に応じて。

 

Dawnglare Invoker 暁輝きの発動者 (2)(W) C

クリーチャー・コー、ウィザード

2/1 飛行

(8):対象のプレイヤー1人のコントロールする全てのクリーチャーをタップする。

 「発動者」はレギオンに収録されていたサイクルで、基本サイズの基本種族が、8マナかけて起動する能力を持っているというもの。登場時は「8マナって!」と一笑にふされていたのだが、いざリミテッドをやってみると存外これが活躍していたのは懐かしい思い出。中でもクリーチャー除去の「煙吐く発動者(LGN)」と本体火力の「炎破の発動者(LGN)」はしばしばゲームを決める1枚となっていた。そんなサイクルの白だが、先輩の「星明かりの発動者(LGN)」が1/3というタフネス偏重のステータスにライフゲイン能力と完全に後ろ向きの能力者だったのに対し、今回はパワー2のフライヤーに「眩しい光(INV)」能力と、それなりに前向きな能力だ。それなりのアタッカーだし、8マナがあれば攻勢時も劣勢時も意味のある能力。この世界には防衛持ちや落とし子など鬱陶しいブロッカーも多いので、それらを全て無効化出来るのは意味があるし、重いとはいえ、エルドラージの滅殺パンチを封じる数少ない選択肢でもある。まぁ、8マナだからな。

 

Deathless Angel 不死の天使 (4)(W)(W) R

クリーチャー・天使

5/7 飛行

(W)(W):対象のクリーチャー1体は、このターン破壊されない。

 6マナ天使。パワーとタフネスの設定は超適当。せっかくなので、同じ6マナの天使の系譜を振り返ってみよう。その開闢はポータルの時代、「憤怒の天使(PO2)」。勇ましい名前とは裏腹に、死ぬと何故かライブラリに逃げ込むというチキンだ。ステータスは3/5。ストロングホールドになると、3/4絆魂という手堅くまとまったステータスの「戦天使(STH)」が登場するが、今の基準だと、これで6マナは詐欺である。その後、4/4のステータスとスレッショルドによる気紛れっぷりを発揮した「むら気な天使(ODY)」を経て、ついに傑物「賛美されし天使(ONS)」へとたどり着く。まぁ、彼女は6マナじゃないと言われるとそうかもしれないが、このときのステータスは4/5。流石に「賛美」は強すぎたんじゃね? という空気になり、その後の6マナ天使は優秀な攻撃性能こそ得られなかったが、全色とアーティファクトに対するプロテクションを勝ち取った「清純な天使(DKS)」、優れたリアニメイト能力を誇る「アダーカーの戦乙女(CSP)」、小粋なライフ回復と情熱的な復活を操る「炎まといの天使(RAV)」と、天使は単体での戦略性を高めていく。これらについても、天使のパワーは4のイメージが固定されている。そして、これが覆る時がついに訪れる。頑強とハイパーな蘇生術を誇る「黄昏の番人(SHM)」は、6マナ天使で初の5/5というボディを手にする。さらに、最近では同じコストで6/6とさらなる肥大化を遂げ、荒れ狂う追放の嵐を繰り出す「忠告の天使」にまで進んでいる。何が言いたいかというと、もう6マナで5/7とかいうステータスは気にしなくてもいいくらいの時代ということだ。無駄にでかい上に無駄に死なない。もう、レアならなんでもいいんじゃねぇの? ただ、ここまで頑張っても何故か「悪残でいい」の一言で片が付くという謎世界。世界は理不尽のかたまりである。

 

Demystify 啓蒙 (W) C (10版などから再録)

インスタント

対象のエンチャント1つを破壊する。

 やる気の感じられない再録カードシリーズ。「解呪」じゃないあたりがギリギリの矜持。まぁ、軽くて使いやすくていいですよね。現在は特別優れた白のエンチャント破壊もないし、案外第1候補になるような、そうでもないような。あぁ、「忘却の輪」か……

 

Eland Umbra エランドの陰影 (1)(W) C

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー) 族霊鎧

エンチャントされたクリーチャーは、+0/+4の修正を受ける。

 エランドってなんやねん、と思ってググったら「アンテロープの1種」って出てきたのですぐに納得しました。アンテロープかー。で、+0/+4という修正値は意外と少ないので前例を探すのが難しいが、近いところだと「金属ワームの鎧(MRD)」、古いところだと「鉄の意志(ULG)」くらいの修正。つまりは死なねぇってことだ。これだけ鉄壁の状態になるのに、さらに族霊鎧までついちゃうので本当に鉄壁。0/4の壁あたりにつけて何かを満喫すればいいじゃない。ま、族霊鎧の使い方の1つである「大事なシステムクリーチャーの保護」には一番しっくりくるカードかな。ただ、どうせなら+3/+3の「猪の陰影」とかでいいと思うんだけどね。

 

Emerge Unscathed 無傷の発現 (W) U

インスタント

対象の、あなたのコントロールするクリーチャー1体は、ターン終了時まであなたの選んだ色1色に対するプロテクションを得る。

反復

 白名物の「祝福の息吹(CHK)」系カードで、ブロック特有の要素として反復が与えられた。まぁ、その効果故に、あんまり自分のアップキープにもらっても嬉しくない場合が多いんだけど。また、この世界には無色で殴ってくる理不尽な奴や、無色のくせにチャンプブロックをかます鬱陶しいクリーチャーなんかもうじゃうじゃいるので、普通の世界よりもありがたみはやや薄い。もちろん、貴重な1マナでエルドラージを除去から守れるカードと考えれば充分過ぎるくらいに意味はあるのだが。

 

Gideon Jura ギデオン・ジュラ (3)(W)(W) M

プレインズウォーカー・ギデオン

【6】

<+2>:対象の対戦相手の次のターンの間、そのプレイヤーのコントロールするクリーチャーは、可能ならば〜を攻撃する。

<-2>:対象のタップ状態のクリーチャー1体を破壊する。

<0>:ターン終了時まで、〜は6/6の人間・兵士・クリーチャーとなる。それは引き続きプレインズウォーカーでもある。このターン、〜に与えられる全てのダメージを軽減する。

 満を持して姿を現した、対エルドラージの立役者、ギデの巨人様ことギデオン先生である。その勇壮なたたずまいは、これまでハズレを出したことがないという白プレインズウォーカーの流れの中でも一際輝く実力を感じさせる。1つずつ見ていくと、プラス能力は本当に男前。初期忠誠値6という大盤振る舞いに加えてすぐに+2が発動するので、8点分の壁が相手の目の前に立ちふさがる。いきなり自らフルボッコ覚悟という生き様はプレインズウォーカーとしてどうかとは思うが、いかにも白らしく、大胆なブロック性能である。そして、突如全軍に降りかかるルアー効果は相手の行動計画をボロボロにする。場に立っているのがギデ様だけなら単なるサンドバッグだが、こちらの空に「悪斬の天使」が舞っていたりすると話が違う。相手は全く望まない、ライフを捧げるだけのアタック行為を強いられ、後に残るのは屍の山と、いくらか傷ついたギデ様。クリーチャー戦闘がベースとなっている環境だけに、この支配力は説得力満点。そして、そんな献身だけでは世界は救われないと知っているために、マイナス能力が存在している。タップしてれば即退場。「復讐(9ED)」が4マナのソーサリーだったことを考えると、デフォルト状態でそれが3発撃てるだけでも充分強い。登場時に即プレイしてもカウンター4つ持ちというのは、除去としてだけ見ても安定感がある。さらにさらに、そんなコントロール色の強い2つの能力を持ちながら、場が平定されれば自ら動き出すという、プレインズウォーカー初のギミックまで搭載している。考えてみれば、5マナ6/6ダメージ無視のクリーチャーというだけでも充分な能力であり、その性質上、白の十八番である「審判の日」との相性も抜群。この能力1つだけでも充分カードとして成立しているのである。プレインズウォーカーのくせに「終止」や「流刑への道」で死ぬ律儀さはどうかと思うが、それは使い手側のさじ加減次第でどうにでもなる部分だろう。かゆいところにも痛いところにも手が届く脅威のニューカマー。アジャニもエルズペスもうかうかしてられないですよ。5マナというコストが唯一のネックではあるのだが、世界はマナに溢れている。このもののふ、きっと世界を制する。

 

Glory Seeker 栄光の探求者 (1)(W) C (9版などから再録)

クリーチャー・人間、兵士

2/2

 「啓蒙」に続いて再録されたカードで、じわじわオンスロート臭がし始めている。変異を利用してクソ重たいクリーチャーを生み出したあの環境最後のエキスパンション、スカージと今回のエルドラージ覚醒は何となく被る……のか? そして、「啓蒙」は最軽量のエンチャント破壊なので使われる意味が分かるが、このカードに関しては、もうあり得ないくらい大量の上位互換が作られている、完全に「過去のカード」。何をしに出てきたのかさっぱり分からない。ま、「シーリアのエルフ」もリミテッドじゃそれなりに使われたけどねぇ。

 

Guard Duty 護衛の任務 (W) C

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー)

エンチャントされたクリーチャーは、防衛を持つ。

 ありそうで無かった、防衛のみを付与するシンプルなオーラ。これまでのセットならば、自分のクリーチャーにプレイするメリットはほとんど無かったので、普通に考えれば「カーターの願望(ODY)」の完全下位互換ということになってしまったわけだが、幸いこのセットでは防衛を持つことに意味がある。自分のクリーチャーにつけて「防衛支援カード」の恩恵を受けるというサポート要素も生まれたわけだ。最低限、相手クリーチャーを足止めする手軽な「除去」になるのでリミテッドならば充分採用出来るレベルのカードであるし、何かものすごい防衛デッキが出来上がるなら、そのサポートとしてもニーズがある。何にせよ、「平和な心」系カードは常に人気者なのだ。最近は「忘却の輪」だの「未達への旅」だの、場から消し飛ばしてしまう無粋な白除去も増えているが、本来の白除去なんて、この程度で充分なのである。

 

Harmless Assault 無害な突撃 (2)(W)(W) C

インスタント

このターン、攻撃クリーチャーの与える全ての戦闘ダメージを軽減する。

 様々なバリエーションを四苦八苦しつつ生み出し続けている「聖なる日(10ED)」の亜流軽減スペルの新作。この手のスペルには本当に微妙な差が多くて、例えば現在ターボフォグなどで活躍中の「安全な道」なら、軽減するのは「自分と、自分のクリーチャーに与えられるダメージ」だ。普通に考えると、「安全な道」の方はアタック時にも一方的にダメージが通るので、ディフェンス時にしか使えないこのスペルよりも効率がいい。そして「安全な道」は3マナである。では、このスペルが「安全な道」よりも優れている点はどこかというと………………現時点では残念ながら思いつかない。いつか自分の攻撃クリーチャーのダメージを軽減したくなるタイミングでもあるんだろうか? 誰か、この謎を解いてくれまいか?

 

Hedron-Field Purists 面晶体原の浄化者 (2)(W) R

クリーチャー・人間、クレリック

0/3 Lvアップ・(2)(W)

LV 1-4> 1/4 いずれかの発生源があなたかあなたのコントロールするパーマネントにダメージを与える場合、それを1点軽減する。

LV 5+> 2/5 いずれかの発生源があなたかあなたのコントロールするパーマネントにダメージを与える場合、それを2点軽減する。

 慈愛と加護の心に満ちあふれたクレリックレベルアッパー。3マナ0/3という全力後ろ向き性能だが、追加の3マナでいきなり全域守護の魔法結界発動。過去のカードを調べると、全クリーチャーへのダメージを1点緩和してくれる「鎖ナイフの障壁(PLS)」が3マナで、プレイヤーへのダメージを緩和する「ウルザの鎧(8ED)」が6マナ。その複合能力が6マナ1/4のクリーチャーについているとすると、驚愕のコストパフォーマンスだ。相手はパワー1のクリーチャーで殴る意味を失い戦闘では圧倒的な不利益を被るし、ティムは完全に沈黙、火力もその片腕をもがれた状態。1回レベルアップするだけでここまでの効果を発揮できるのは流石のレアという貫禄。さらなるレベルアップは果て無き道であるが、もし12マナを払い終えたときには、なんとこの効果が2倍に。全ダメージが2点間引かれたら、流石に勝てるデッキはそうそう無いだろう。まぁ、15/15とかに殴られたら諦めるしかないけど。とにかくリミテッドでは鬼の強さを誇る期待のゴールキーパー。ウザ白の本領発揮だ。

 

Hyena Umbra ハイエナの陰影 (W) C

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー) 族霊鎧

エンチャントされたクリーチャーは、+1/+1の修正を受けるとともに先制攻撃を持つ。

 最軽量の族霊鎧。効果としては大したものではないが、族霊鎧の効果だけでもある程度は満足できるので、使いやすい軽量サポートになるだろう。序盤にプレイするだけでもビートスピードを速めてくれるし、何かキーとなるようなクリーチャーを入手した場合、それを保護する役目として素早く付けられるコストはありがたい。でも、何でハイエナ?

 

Ikiral Outrider イキーラルの先導 (1)(W) C

クリーチャー・人間、兵士

1/2 Lvアップ・(4)

LV 1-3> 2/6 警戒

LV 4+> 3/10 警戒

 ただひたすら仁王立ちを維持することに心血を注ぐ、ちょいと頑固なレベルアッパー。レベルアップコストが4マナとかなり重く、合計6マナ払ってようやく2/6警戒と、ちょっと魅力に欠けるコモン戦力。そりゃぁ1/6警戒の「国境巡回兵(JDG)」が5マナなんだから妥当なコストではあるのだが……別にそこまで積極的にほしいカードではないしなぁ。まぁ、他に優秀な壁が無いなら、鉄壁かつちょっとした嫌がらせには手頃かもしれない。更に12マナ注ぐと「不屈の古樹(MOR)」すら越えるという誰が望んだかよく分からないオプションもあるが、たまたまどこかから「包囲の塔、ドラン(LRW)」でも迷い込んでこない限りは出番は無いだろう。

 

Kabira Vindcator カビーラの擁護者 (3)(W) U

クリーチャー・人間、騎士

2/4 Lvアップ・(2)(W)

LV 2-4> 3/6 あなたがコントロールする他のクリーチャーは+1/+1の修正を受ける。

LV 5+> 4/8 あなたがコントロールする他のクリーチャーは+2/+2の修正を受ける。

 なんと「栄光の頌歌(10ED)」をその身に宿すことが出来るレベルアッパー。4マナ2/4は普通のステータスだし、ワンサイズ上がった上に「頌歌」が手に入るというなら、6マナの増資もそこまで理不尽な要求ではないだろう。何しろこの世界には落とし子という都合のいい増強の種がいるわけで、こいつさえ生き残れば落とし子が何とかしてくれる可能性は低くない。まぁ、どうやら白は落とし子とあまり仲の良くない色のようなので、緑あたりと手を組むことが必須事項になってくるが。使っただけのペイはあるクリーチャーである。

 

Knight of Cliffhaven 岸壁安息所の騎士 (1)(W) C

クリーチャー・コー、騎士

2/2 Lvアップ・(3)

Lv 1-3> 2/3 飛行

Lv 4+> 4/4 飛行 警戒

 レベルアップ能力のお披露目となったカードだが、コモンということもあり、恐ろしく普通。最初は熊、3マナ追加で4マナクラスのクリーチャーとなり、合計12マナ注ぎ込めばついには「セラの天使」となる。……なんか最近セラ天が随分安売りされてる気がしますよ。まぁ、しょせんアンコモンだけど。リミテッドで使えばいいじゃない。

 

Kor Line-Slinger コーの綱投げ (1)(W) C

クリーチャー・コー、斥候

0/1

(T):対象の、パワー3以下のクリーチャー1体をタップする。

 制限付きタッパー。今回の白は「刺し込む光」もそうだが、「パワー3以下」というのが1つのキーポイントになっている。幸い、序盤に登場するクリーチャーはおおよそこの縛りには含まれるし、大抵の壁は寝かせられるので、マナコストくらいの働きは充分にしてくれるだろう。難点としては、何故か「おとりの達人(9ED)」たちと差別されてしまったタフネス1という脆さ。この世界は落とし子を目の仇にするための「1点除去」が本当にたくさん用意されている。せっかくのタッパーもこれでは信頼性に欠けるのである。是非族霊鎧などでのフォローを心がけたいところだ。

 

Kor Spiritdancer コーの精霊の踊り手 (1)(W) R

クリーチャー・コー、ウィザード

0/2

〜は、つけられたオーラ1つにつき+2/+2の修正を受ける。

あなたがオーラを唱えるたび、カード1枚引く。

 エンチャントレスと呼ばれるカードの能力を、少し対象を狭めて2つまとめた複合機。具体的には、場にあるエンチャントの数だけ強くなるのが「ヤヴィマヤの女魔術師(10ED)」で、エンチャントをプレイするだけでカードが引けるのが「新緑の女魔術師(9ED)」の系譜だ。このカードは、エンチャント全体からオーラに好みを偏らせて、2枚のカードの持つ能力を一気に手に入れることに成功した。過去に「エンチャントレス」と呼ばれたデッキは「新緑の女魔術師」や「アルゴスの女魔術師(USG)」でドローを回し、最終的に「ヤヴィマヤの女魔術師」が特大パンチを決めて勝つというスタイルだったわけだが、こいつならば1人で両方の役割を担うことが出来るわけだ。なんと健気なことだ。ただ、オーラに対象が限定しているためにどうしてもデッキは狭くなり、「大量のオーラがついたこいつ」が一発で除去られると、結局ドローして蓄えた分のアドバンテージも吹き飛んでしまう。あまり過度な期待はしない方が身のためだろう。一応、現在は「メサの女魔術師」が現役なので、「平和な心」や「氷の檻」で相手を縛りながら族霊鎧シリーズで巨大化して勝つ新手のエンチャントレスデッキは可能性があるかもしれない。合い言葉は、「流刑は勘弁」。

 

Lightmine Field 光雷原 (2)(W)(W) R

エンチャント

1体以上のクリーチャーが攻撃に参加するたび、〜はそれらのクリーチャーに、攻撃クリーチャーの数に等しい値のダメージを与える。

 パワーストーンの地雷原(APC)」に似た効果を持つ、アタック抑制装置。とにかくアタッカーには最低1点のダメージが入るため、たとえば「ボール・ライトニング」や「地獄火花の精霊」をメインアタッカーとして赤デッキなんかはこれだけでかなり抑止出来る。また、大群で攻めるとそれだけダメージが増すので、白や緑のトークンデッキなんかもそれなりに刺さるだろう(緑の場合はガラクオーバーランなんかである程度フォロー出来てしまうが)。ディフェンスに徹したいデッキならば、コスト分くらいの安心感は得られそうである。ただ、このカードの影響を受けるのは相手だけではない。自軍は「悪斬」と「ジュワー島のスフィンクス」だけをフィニッシャーにするなど、ある程度考える必要があるだろう。まぁ、コントロールデッキなら自然にそうなるとは思うけど。何にせよ試合は長引く方向に向かうため、リミテッドならエルドラージ側のデッキが使うことになるかな。

 

Linvala, Keeper of Silence 静寂の守り手、リンヴァーラ (2)(W)(W) M

伝説のクリーチャー・天使

3/4 飛行

あなたの対戦相手は、クリーチャーの起動型能力を起動できない。

 呪われたトーテム像(6ED)」の効果を相手に一方的に押しつける天使。パッと見で「うわ強えぇ」と思ったが、考えてみると、現環境で起動型能力が売りのクリーチャーってあんまりいない。ジャンドなら「包囲攻撃の司令官」「朽ちゆくヒル」が弱くなるが、「トリナクス」「血編み髪のエルフ」「若き群れのドラゴン」あたりは大体誘発型能力だし、「カラストリアの貴人」も駄目。起動型能力である各種ミシュラランドも、起動時点では土地なのでこの能力では制御できない。現時点ではそこまでたいそうな防御手段には見えない。ただ、今後の環境を占う上ではキーカードになる可能性もある。このカードに特徴的なのは、この手の能力に良くある「マナ能力以外の」という制限が無い部分。つまり、マナクリーチャーを一気に無力化させることが出来るわけだ。エルフデッキはこれ1枚でほぼ封殺出来るようになるほか、今後の目玉である(と思われる)ドローンからのエルドラージ戦術を封じるのである。流石にドローンの補助がないエルドラージは厳しいだろうから、うまくこれが守り切れれば、一生あの不気味生物の顔を見ずにすむかも知れないわけだ。まぁ、除去耐性が無いのでそこまで信頼の置けるカードではないわけだが……可能性はあるかも。

拍手

<青>

  青に与えられたコモンのクリーチャーは、白よりも2体少ない9枚。いつも通りの青ではあるのだが、さらにこのうちの5体がパワー1以下というのが、この環境の恐ろしいところである。いつものように「飛行でビートを刻んでやるぜ!」という姿勢にはならないので、今から覚悟は必要だろう。

 ビートを意識するならば当然フライヤーをキープしなければいけないわけだが、コモンで手に入るのは5マナ3/3の「霜風の発動者」とレベルアップで飛び始める「空見張りの達人」、そしてレベルアッパー次第ででかくなる「勇者のドレイク」の3体。前者2体はこれまで通りの「普通のフライヤー」だが、ドレイクは使用制限があるのでデッキの組み方はかなりデリケート。「空見張りの達人」をレベルアップさせてパワー4フライヤー2体で殴るってのが理想の展開なのだが、白の項でも書いた通り、タフネス2のフライヤーなんてあっさり堕とされるのがこの環境。正直安定した戦術とは言い難いだろう。

 その分地上が安定しているのかというと、どうでもいい能力の「マーフォークの観察者」、「ジュワー島の小走り」など、別に魅力的には見えない。優秀な壁である「記憶の壁」が5マナと動きにくいのが勿体ない。

 で、やっぱり青はそうした無骨な戦力を求めるスタイルは似合わない。青のコモンクリーチャーでキーとなるのは、「手練」つきの「海門の神官」とレベルアップを補佐する「敬慕される教師」の2体のウィザードである。友好色とタッグを組んだ場合はそれなりにレベルアッパーは数が集まるだろうが、前述の通り、白と組んだ時には「教師」の点数が跳ね上がる可能性がある。同盟者に近いリスキーなスタイルでもあるのだが、今後はレベルアップデッキは必ずリミテッドで採られる戦略であろう。

 こうした青のクリーチャーたちは、他のスペルとも密接に結びつく。特にコモンで鍵を握るのは、1マナ3ドローと破格の「分かち合う発見」。これ1枚のために、青は多少見劣りしても生き物を並べる意味がある。その他、青の利点はドローの多さ。「海門の神官」はベストカードだが、「先読み」も負けず劣らず優秀なカードだし、1マナキャントリップも2枚ある。リミテッドでありがちな「あるカードを引けば勝ち」という展開ならば、青は潜在的に優位ということになる。

 また、落とし子マナからのデカブツが一般的になるならば、カウンターとバウンスという青の特技の価値が跳ね上がることにもなる。コモンには「剥奪」「解明」と2枚の確定カウンターが与えられており、どれだけ相手がマナを並べようと安心してプランを構築することが出来るのだ。特に「剥奪」はコストも軽く、昨今のリミテッドでは珍しいくらい使いやすいカウンターである。バウンスも「逆行」が手に入ったので一安心。

 その他、青とは思えないダメージ効率を誇る「ひずみの一撃」、ほぼ完全除去となる「睡眠発作」など、クリーチャー以外のカードはコモンでもかなり優秀。メインカラーとはなりにくいかもしれないが、他の色が出来ないことを平気でやってのけるだけに、サブカラーとしてはかなり人気の色となりそう。ジャンドからタッチ青の「分かち合う発見」は脅威。

 アンコモンになると、攻めの手段も多様性を増す。パクりオーラ「家畜化」は言わずもがなであるし、「ドレイクの陰影」は1枚で勝てる必勝オーラ。レベルアップ戦術はコモンだけでは迫力に欠けるが、「飛び地の暗号術師」と「ハーダの巡回スパイ」の2体が手に入るなら、確実に厚みを増すことになる。

 レアまでいくと、個人的には「訓練場」が大注目。レベルアップとの関係はもちろんだが、他にも何か色々と悪さが出来そうではないか。「訓練場」と相性が良く、フィニッシャーとして期待がかかる「マゴーシのスフィンクス」なんかはどうだろう。コントロールデッキなら「重力の変容」も面白い。重ね張りすれば在りし日の「プロパガンダ」に迫る効率である。そして、レベルアッパー最大の期待株が「灯台の年代学者」。大ざっぱなスペルが増えれば増えるほど、青には楽しみな時代になるな。

Aura Finesse オーラの術策 (U) C

インスタント

対象の、あなたがコントロールするオーラ1つを、対象のクリーチャー1体に付ける。カードを1枚引く。

 対象が自分のもののみに制限された「エンチャント移動(USG)」で、最近では「シミックのギルド魔道士(DIS)」も似たような能力を持っていた。クリーチャーもきちんと対象にとっているので例えば「器用な決闘者」にオーラをつけたい、なんていうこだわりの用途には使えない。あくまで、突然自分の強化用エンチャントを横にずらす程度である。これだけの小さな能力なのでキャントリップまで与えられているのだろう。ただ、この世界においては、これだけの能力でも結構使える。何しろ各色には大量の族霊鎧があるわけで、最初にとりあえず適当なところにはっておき、後で除去に対応して移動させてやれば、インスタントタイミングで好きなクリーチャーを守るカウンターとして機能することが出来る。また、どうしてもオーラを壊されたくない、と言うときにクリーチャーのみに死んでもらってオーラだけを生き残らせる、といった用法も可能だろう。+10の修正がつく「エルドラージの徴兵」をこれでスイッチしたりすれば、どこをどういじってもゲームに勝てそうではないか。対象が2つ必要でキャントリップのうま味である「いらないときに空打ち」がしにくいのが難点だが、ちゃんと居場所があるデッキならば、1マナキャントリップとは思えない効果を発揮してくれるはずだ。

 

Cast Through Time 時を越えた詠唱 (4)(U)(U)(U) M

エンチャント

あなたのコントロールするインスタント呪文とソーサリー呪文は反復を持つ。(その呪文があなたの手札からプレイされていたなら、解決時に追放され、次のあなたのアップキープの開始時に、追放領域からマナコストを支払うことなくプレイしても良い)

 固有キーワードを大ざっぱにプッシュする神話的なエンチャント。この手の「キーワード能力をばらまく」カードは案外多くて、最近では蘇生を与える「裏切りの王、セドリス」がいるし、続唱なら「大渦のきずな」、複製を与える「啓発のジン(GPT)」など、やはりスペル絡みだと青に多い印象だ。これを設置出来れば全てのソーサリーとインスタントが2倍の効果になるわけで、そりゃまぁ強い。誰でも思いつくのは「時間のねじれ」でウハウハというセッティングだろうし、そこから「残酷な根本原理」に繋いだりしたらもう大変だ。カウンタースペルなどは意味がないが、「思案」等のドロースペルやバウンスなら万事OK。7マナというのも致し方なし。……でもさぁ、どうしても「ソーサリーとインスタント」っていう縛りだと「紅蓮術士の昇天」でいいような気がしちゃうんだよね。これでコピーするのって次のアップキープだからあんまり嬉しくないし。この際だからどうしても「歪んだ世界」に絡めたくなるのだが、ご丁寧に公式の注釈で「ワープした後に場に出てないと反復が誘発しないよ!」と書かれている始末。なんか釈然としないルールだな。まぁ、この世界はあまり設置コストの重さは気にしなくていいみたいなので、何かものすげぇコンボとかがあるかもしれない。とりあえず「集団意識」から初めてみよう。

 

Champion’s Drake 勇者のドレイク (1)(U) C

クリーチャー・ドレイク

1/1 飛行

〜は、あなたがLvカウンターが3個以上置かれたクリーチャーをコントロールしている限り+3/+3の修正を受ける。

 弱き者には知らん顔だが、強い奴がいると媚びるという最低のドレイク。一応このようなレベルアップクリーチャーの支援装置は白と青に分配されており、落とし子トークンの少なさをフォローしているようである。つまり、人間軍団が白青で、エルドラージはジャンド3色。おい、またジャンドが固まってるのかよ。さておき、条件さえ満たせば2マナで「大気の精霊」なのは破格だが、レベルカウンター3つということは、最低でもコレの他に4マナ分の投資は必要だ。つまり、別にマナコストあたりのお得感はそれ程無いと言うこと。もちろんレベルアッパーが強くなるついでにこいつも強くなるんだからハマれば強いが、レベルアッパーを除去られるととたんにしぼんでしまうわけで、流石に信頼感は薄い。このご時世なら、もう少し安定して使えるフライヤーがいるんじゃなかろうか。

 

Coralhelm Commander 珊瑚兜の司令官 (U)(U) R

クリーチャー・マーフォーク、兵士

2/2 Lvアップ・(1)

LV 2-3> 3/3 飛行

LV 4+> 4/4 飛行 あなたのコントロールする他のマーフォークは+1/+1の修正を受ける。

 レベルアップを経る必要のあるロードクリーチャー。2マナ2/2というスタート地点は魚だったら普通だし、レベルアップコストも最小。中盤以降でも4マナ3/3飛行や6マナ4/4飛行として使えるので、単体での戦力は歴代マーフォークの中でもトップクラスの性能と言える。そして、合計6マナとさしてキツくないレベルマックスを達成すれば、体は「大気の精霊」なのに何故かマーフォークを支援できる。この世界の青はマーフォークがそこそこ多いみたいなので、リミテッドレベルでも重宝しそうだ。これで現在、スタンダード環境には「マーフォークの君主」と「凪魔導師の導師」、そしてこいつと、3つものロード(っぽい)クリーチャーを集めることになった。でも、フィッシュが活躍出来そうに見えないのが残念無念。アーティファクト環境になったあとの「サーダ・アデール」にでも期待するかねぇ。

 

Crab Umbra 蟹の陰影 (U) U

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー) 族霊鎧

(2)(U):エンチャントされたクリーチャーをアンタップする。

 「カニ」とは書いてあるが、このカニとは当然「カブトガニ(10ED)」のこと。イラストからもそのことは確認出来る。最軽量の族霊鎧なのでそれだけでもニーズはあるだろうが、「カブトガニ」から多少コストは重くなったものの、アンタップは色々な悪さに使える可能性がある。この世界はティムもレベルアップの必要があるので大変だが、他にも3/3トークンを大量に出せるやつとか、クリーチャー除去し放題のやつとか、土台にふさわしいクリーチャーが見つかれば殊勲賞である。あとは「欠片の双子」とのレア・アンコエンチャントタッグとかが発生すると万々歳。リミテッドは族霊鎧目当ての採用が多くなり、構築レベルでは何かきな臭いコンボ要員といったところだろうか。

 

Deprive 剥奪 (U)(U) U

インスタント

〜をプレイするための追加コストとして、あなたのコントロールする土地を1つそのオーナーの手札に戻す。

対象の呪文1つを打ち消す。

 実に久し振りに、「2マナで対象制限無しのカウンタースペル」である。「対抗呪文(6ED)」がみまかってから随分長い時が経つが、この手のスペルはウィザーズ社が嫌な思い出でもあるかのようにかたくなに認めてこなかったものだ(実際、嫌な思い出なんだろうか)。で、制限を付けることでようやくマナコストの軽減に成功したこのスペルだが……やっぱりきついことはきつい。これのクリーチャー戻す版である「使い魔の策略(LRW)」は、当然のごとく採用されることなく終わっており、やはりマナの使い方がタイトな青デッキの場合、せっかく出したものを戻してしまうというコストは決して軽くない。たとえ土地を戻すことに意味がある現在の環境においてさえ、である。流石にプラスに転じるという使い方は難しいので、採用するとなるとデメリットを極力小さくしたデッキと言うことになるだろう。現在は「ジェイス」や「ハリマーの深み」が「ムル・ダヤの巫女」との相性を買われて緑青で構成されるデッキが多いので、そうした「一気に土地が伸びるデッキ」ならば、コストの軽いカウンターとして採用される可能性もなくはない。まぁ、土地がのびるデッキなら普通にマナが余るから「取り消し」でいいような気もするが。

 

Distortion Strike ひずみの一撃 (U) C

ソーサリー

対象のクリーチャー1たいは、ターン終了時まで+1/+0の修正を受けるとともに、このターンブロックされない。

反復

 手軽にダメージを稼げる、青にしては前向きな「火力」。うまく機能すれば熊レベルのクリーチャーでも6点削れるわけで、1マナソーサリーと馬鹿にしたもんでもない。ただ、青がそこまで積極的に殴りに行きたいかどうかは謎だし、そもそも飛行使えばよくね? という話もある。他の色がサブカラーで青を入れたときのサポートだろうか。緑なんかに使われると結構な確率で人が死ぬことになる。意外に警戒しにくいスペルなので、ひょっとしたらリミテッドでは決め技カードとして名をあげるかもしれない。

 

Domestication 家畜化 (2)(U)(U) U

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー)

あなたはエンチャントされたクリーチャーのコントロールを得る。

あなたのエンドステップの開始時に、エンチャントされたクリーチャーのパワーが4以上である場合、〜を生け贄に捧げる。

 数多作られている「精神の制御」の亜流オーラの1つ。「精神の制御」が(3)(U)(U)なので、メリットがつけばそれより重くなり、デメリットがつけばちょっと軽くなる。最近では「蒸気の捕縛」がリミテッドのエンドカードとして大活躍中だ。このカードは、そんな「蒸気の捕縛」を上回る、さらなる軽量化に成功して4マナに到達したナイスカード。もちろんデメリットは多少厳しくなっており、パワー4以上のクリーチャーだとパクってすぐに返さなきゃいけないし、3以下をパクっても相手が「巨大化」をプレイしたりすると返却義務が発生してしまう。決め技となるようなファッティをパクれないというのは、この手のカードとしては致命的な欠落だろう。がしかし、それでもやっぱり誘拐オーラは強い。パワー3以下でも引き抜きたい人材には困らないわけだし、「巨大化」系スペルだって緑相手には多少注意すればいいくらいの話。これを使わない理由にまではなるまい。過去にはこの手のスペルで最大限の軽量化を成功させた「不忠の糸(BOK)」もエクテン以下で大活躍をしていたわけだし、このカードだって、軽さというメリットは充分なセールスポイントになるはず。まぁ、流石にエルドラージはこんなものじゃパクれませんので、適材適所で対策を練っていきましょうよ。

 

Dormant Gomazoa 休眠のゴーマゾア (1)(U)(U) R

クリーチャー・クラゲ

5/5 飛行

〜はタップ状態で戦場に出る。

〜はあなたのアンタップ・ステップにアンタップしない。

あなたが呪文の対象になるたび、あなたは〜をアンタップしても良い。

 その鉄板の守備力でそこそこ定評のあったクリーチャー、「ゴーマゾア」。種族タイプ「クラゲ」を持つなかなか珍しいクリーチャーだが、その亜種が今回2体もまとめて登場している。だから、最初に固有名詞みたいなクリーチャーを出してから「ほにゃららのーーー」って形容詞付けるのやめて欲しいんだが。個人的にはこれを「ヒストロドン(ONS)」現象と呼んでいる。いや、どうでもいいんですけどね。で、3マナ5/5フライヤーという尋常じゃないサイズと、なかなか曲者のデメリット。普通に考えると「自分がスペルの対象になる機会」というのはなかなか狙って作れるものではなく、火力デッキだって本体にそこまでガンガン火力を飛ばしてくるわけじゃない。そこで、青に求められているのは例えば「時間のねじれ」や「エスパーの魔除け」のように自分を対象にとってメリットを得るスペルでの恒常的運用である。他にもライフを得るスペルなどはいくつか対象を取る形の書式なので、頑張って集めればそれなりに戦術としては成立するかもしれない。ただ、現在青のドロースペルは「思考の泉」「思案」「予言」「宝物探し」「深遠の謎」など、軒並み対象を取らない形のスペルばかりなので、ちょっと運用はしんどそうだ。

 

Drake Umbra ドレイクの陰影 (3)(U)(U) U

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー) 族霊鎧

エンチャントされたクリーチャーは、+3/+3の修正を受けるとともに飛行を持つ。

 ドレイクが憑けば当然空も飛べるはず。青のオーラで+3という修正は過去にもほとんど例がなく、あっても「狡猾(STH)」や「不安定性突然変異(TSB)」など、デメリットがあるものがほとんどである。このカードは、青の歴史を乗り越えて純正増強を果たした記念碑的カードなのだ。+3と飛行、そして除去に耐性がつく族霊鎧という3段階のサポートは強力無比。充分コスト分くらいの働きはしてくれるはず……だけど、そのコストがやっぱり重いんだなぁ。オーラでこのコスト域はなかなか使われない傾向にあり、最近でも「古老の熟達」なんて強いはずなのになかなかデッキに入れづらかった。こいつにはちゃんと出番があるといいけど。

 

Echo Mage こだまの魔道士 (1)(U)(U) R

クリーチャー・人間、ウィザード

2/3 Lvアップ・(1)(U)

LV 2-3> 2/4 (U)(U)(T):対象のインスタント呪文かソーサリー呪文1つをコピーする。あなたは、その対象を新たに選んで良い。

LV 4+> 2/5 (U)(U)(T):対象のインスタント呪文かソーサリー呪文1つを2回コピーする。あなたは、それらの対象を新たに選んで良い。

 成長すると「双つ術」が使い放題になるウィザード。過去にも似たような効果を発揮できる「印形なぞり(MOR)」や「沈黙の預見者、ウヨウ(CHK)」などがいたが、どちらも起動コストの負担がおおきかったせいか、あまり活躍したという話を聞かない。敢えてあげるならば「イゼットのギルド魔道士(GPT)」がいろいろな環境で顔を出しているくらいだろうか。「溶岩の打ち込み(CHK)」と「捨て身の儀式(CHK)」の瞬殺コンボデッキで大会に出てグダグダだったのは良い思い出だ。さておき、このクリーチャーはレベルアップさえクリア出来れば、コピーのコストは歴代屈指の軽さを誇る。タップが必要なので連発というわけにはいかないが、うまく維持出来れば「紅蓮術士の昇天」のような動きを見せることも出来る。是非とも大量のソーサリーとインスタントを詰め込んで……って、それなら「紅蓮術士の昇天」デッキでいいような気がするのだがね。わざわざ除去られやすいクリーチャーを使った面倒なレベルアップシナジーなど、誰が好きこのんで狙うものか。一応「相手のスペルもコピーできる」というのが利点ではあるが、コピーだけしてカウンター出来ないんじゃ、命も長くないだろうしなぁ。生まれてきた環境をちょっと間違った感じのクリーチャーである。

 

Eel Umbra 長魚の陰影 (1)(U) C

エンチャント・オーラ

エンチャント(クリーチャー) 瞬速 族霊鎧

エンチャントされたクリーチャーは+1/+1の修正を受ける。

 唯一の瞬速持ち族霊鎧。得られるサポートは+1だけだが、瞬速による人身御供により、擬似的にカウンターのように働くのが青独自のこだわりである。除去に狙われたクリーチャーにこれをはれば一度は死を免れるし、単純に+1のコンバットトリックとしても使っていける。コストもそれほど重くないので、青デッキならば1〜2枚おさえておくと安心できるだろう。個人的には、何でこの効果が「長魚」なのかという部分だけが不満。

 

Enclave Cryptologist 飛び地の暗号術士 (U) U

クリーチャー・マーフォーク、ウィザード

0/1 Lvアップ・(1)(U)

LV 1-2> (T):カードを1枚引き、その後手札を1枚捨てる。

LV 3+> (T):カードを1枚引く。

 成長マーフォーク。1マナで登場すると史上初、「さまようもの」をも越える最強の青クリーチャーとなるが、そこから2マナ注いで合計(1)(U)(U)で自分専用ルーターまで昇格。3マナでルーターなら、まぁスペックとしては普通。一応分割払いが可能で2ターン目から起動できることを考えるなら、メリットと捉えられなくもない。そして、さらに4マナを投資すると、ついには「文書管理人(9ED)」へと成り上がる。ここまでくれば、アンコモンとしては充分過ぎる仕上がりだ。合計で7マナと洒落にならない出費で「全能なる者アルカニス(10ED)」に爆笑されるのは致し方ないが、このクリーチャーのセールスポイントは分割払いが可能である点だ。ルーターの時点で一線級のクリーチャーになっているのだから、リミテッドなら初期投資に見合うぐらいのペイはあると見ていいだろう。ただまぁ、青はその性質上、ソーサリータイミング限定のレベルアッパーはちょっと使いにくいんだけどさ。

 

Fleeting Distraction 一瞬の散漫 (U) C

インスタント

対象のクリーチャー1体は、ターン終了時まで−1/−0の修正を受ける。カードを1枚引く。

 「キャントリップとは『魔女の業、まじない、呪文、奇術』を意味するスコットランドやイギリスの言葉。マジックのキャントリップは、昔のダンジョンズ&ドラゴンズの0レベル呪文(些細なことしかできず、『flavor, yawn, giggle』といった可笑しな名前の付いた小魔術)に由来する」。以上、Mtgwikiより引用。間違っちゃいないよな。いないけどさ。

 

Frostwind Invoker 霜風の発動者 (4)(U) C

クリーチャー・マーフォーク、ウィザード

3/3 飛行

(8):あなたがコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで飛行を得る。

 発動者サイクルの青は、5マナ3/3フライヤーという青の伝統的スタイルのコモン。先輩である「きらめく翼の発動者(LGN)」は5マナ3/3地上部隊という、サイクル中でも使えない方のクリーチャーだったので、この強化は普通にありがたい。特に8マナ溜めることを考えずとも基本戦力として投入すべきカードだろう。そして発動能力は「空中浮遊」。多分勝つと思いたいけど、はたして青がそんなにクリーチャーを並べられるのかという不安はあり、サイクル中ではちょっと微妙な立ち位置ではある。まぁ、素で強いのだから文句をいうもんじゃない。ちなみに、このクリーチャーもマーフォークのくせに飛んでいるのだが、イラストを見ると単にでかい鳥にのっているだけである。どっちかっていうとその鳥をクリーチャーとして雇った方が強そうなんだが。

 

Gravitational Shift 重力の変容 (3)(U)(U) R

エンチャント

飛行を持つクリーチャーは+2/+0の修正を受ける。

飛行を持たないクリーチャーは−2/−0の修正を受ける。

 青の特性である飛行を存分にアピールしてやろうという、新機軸の支援装置。この手の「青くないなら知らない!」というカードは、狭量な青が良くやる手法で、最近ではアーティファクトにあらずんば弱くなれ、という「困惑の石」なんてのもあった。で、うまくハマれば当然強い。いや、ハマらずとも、地上クリーチャーのパワーが全体的に低下するというだけでも、青ならば投入の価値は十二分にあるはず。世界的に見てもフライヤーにそこまで依存しているデッキというのは存在しておらず、ジャンドなら「若き群れのドラゴン」、ナヤなどの白絡みなら悪斬さえ処理出来れば他の連中の片腕をもいだ状態に出来る。トークン戦術などの青が苦手とする数で押すデッキに対しての解答としても有効だろう。案外構築レベルでも面白いカードな気がする。相手が「夜候」の従えた吸血鬼デッキとかなら素直に引っ込めよう。

 

Guard Gomazoa 護衛のゴーマゾア (2)(U) U

クリーチャー・クラゲ

1/3 飛行 防衛

〜に与えられるすべての戦闘ダメージを軽減する。

 2体目のゴーマゾア。この捉えどころのない感じは先代ゴーマゾアと同じくクラゲらしさが絶妙な表現で伝わってくるが、実は「濃霧の層(USG)」を重くして+1/+1しただけのカードだったりする。「濃霧の層」はパワーがなかったので完全ブロック要員でしかなかったが、こいつは一応パワーもあるので、戦闘をのらりくらりとかわしながら、それなりの数のクリーチャーを討ち取ることも出来る。壁としての信頼性はかなり高い部類に入るのではなかろうか。もちろん戦闘ダメージ以外の火力などに対しては無力なのだが、火力を使ってもらえるなら壁の本懐といえるだろう。是非、先代ゴーマゾアとタッグを組んでクラゲデッキなんかを組んでみたいところである。今考えると、クラゲのくせに頑丈な機械の体を持つ「エスパーゾア」って妙な生き物だったんだな。

 

Hade Spy Patrol ハーダの巡回スパイ (1)(U) U

クリーチャー・人間、ならず者

1/1 Lvアップ・(2)(U)

LV 1-2> 2/2 〜はブロックされない。

LV 3+> 3/3 被覆 〜はブロックされない。

 青に伝統的な、「幻影の戦士」の流れを組むアンブロッカブルクリーチャーのレベルアッパー。5マナもかけてようやく3マナのクリーチャー相等というのはやる気の無い部分だが、例によって分割払いが出来るといううま味はあるので、3ターン目に殴りにいけるのは一応のセールスポイント。まぁ、その2点のために序盤の2ターンを犠牲にするのはペイが見合っているとは思えないのが難点だが。そして、さらに6マナで完全独立部隊へと変貌するのが見どころ。3/3のアンブロッカブルが強いのは現環境の「霊気の想像体」でも実証済みであるし、これが除去られないのなら、これ1体を守りきって勝つプランも立てやすい。防衛によるディフェンス主体になりやすいこの環境なら、アンブロッカブルの価値も相対的に上がっているはずなので、それなりのニーズはあるかもしれない。

 

Halimar Wavewatch ハリマーの波見張り (1)(U) C

クリーチャー・マーフォーク、兵士

0/3 Lvアップ・(2)

LV 1-4> 0/6

LV 5+> 6/6 島渡り

 じっと我慢に我慢を重ねて出撃の機会をうかがう、自称大器晩成のマーフォーク。4マナの投資ですぐに0/6になるため、壁としての性能はかなり高い。もちろん純粋な守備力で言ったら「霜の壁」や「否定の壁」の方が強いが、このクリーチャーが狙うのは更にその先の時代。少しずつ少しずつ、8マナを払い終わった後に真の力を発揮するのである。渡り能力は相手を選ぶが、それでも青なら6/6というボディだけでも充分貴重。そして序盤の壁役はそれにも増して貴重。2つの大切な役割を同時に果たしてくれるこのカードは、見た目の地味さとは裏腹に案外やる奴かもしれません。これで「広がりゆく海」と同じリミテッド環境にいたら更に評価も上がったんだけどね。

 

Jwari Scuttler ジュワー島の小走り (2)(U) C

クリーチャー・カニ

2/3

 盲目の幻(FUT)」の種族変更クリーチャー。「盲目の幻」は唯一「ムラガンダの印刻(FUT)」という儚い追い風があったあの環境でも見ることのないカードだったので、こいつも推して知るべし。イラストを見る限りでは、なかなか美味しそうな体をしているが、フレーバーテキストを見ると実際に食用らしい。こんなんがいっぱいいたらたまらんなぁ。

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