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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ハリネズミパペットかわいい、第11話。ちょっとほしいけど、可愛いパペットって意外と難しい。

 今週も相変わらずで色々と刺激の与え方を考えさせてくれる構成。話をざっくりまとめようとすると割と普通の「義妹」ものっぽくなりそうなんだけど、あの手この手でそれを印象的に伝えてくれる手練手管が素敵。

 Aパートは軽めに、三者面談のお話。これまでずっと家の中、特に暗い夕方や夜にばかり出番が多かった亜季子さんが珍しくお昼の日の光の中を歩いており、それだけで可愛い(露骨な中の人贔屓)。でも、今作における光の演出ってすげぇ分かりやすい含意があるから、亜季子さんがパッと昼の光の中に出てきたっていうのも、家族の関係性が進んだ証だとは思うんだけどね。

 三者面談というイベント、ぶっちゃけほとんど記憶にない。当方、高校時代は超優等生だったもんだから、確か秒で終わっちゃったんだよな。進路も迷ってなかったし(まぁ、まさかその後の人生でこんなに迷うとも思ってなかったが)。だからどのくらい真剣なイベントなのかもよく分からんのだが、多分悠太も似たような感覚だっただろう。「どんな進路でも大丈夫ですよお母さん」と言われ、それに対する返答で確実に亜季子さんからの好感度がアップ。ほんとによくできたお子さんで。高校のセンセってそういう家庭事情って全然把握してないもんなのかしら。そして沙季の方は絶対的な優等生とはいかなかったので一応三者面談で話すことはいくらかあったようだが、悠太の影響で確実に成績アップした沙季も結果的には希望的な評価を与えられ、自分の人生の進路を改めて考える機会になった。そしてその結果が後半パートのオープンキャンパスである。

 というわけでBパートは謎の大学教授編。これまでとは違って「1人で歩く沙季」を暗示させる内容で、そんな彼女の内面を掘り下げ、今後を考えるためにダイナミック変なキャラとして謎教授が投入される。世間的に大学の先生ってこういう変人ばっかりだと思われてるんだろうか。まぁ、当たらずといえども遠からずかも。ただ、今回のセンセはあまりに突飛な行動だったもんでちょっと受け入れるのが大変だったが。いや、変なのは教授の方じゃないんだよな。多分読売先輩が単にバイト先の後輩だからって悠太とか沙季のことを大学の指導教官にペラペラしゃべりすぎじゃね? というのが気になるんだ。倫理が専門ってことで、「義理の兄妹」なんて珍しい関係性に興味があったんでしょうかね……。そんでその先生が実際に沙季に会って、なんでそんなとっくりと話をしようと思ったのかも謎。模擬講義の前の忙しいタイミングで、初めてあった女子高生とあんな話をしようと思ったのはなんでなんでしょうね。

 まぁ、そこを悩んでも答えは出ないので、作品的な要請としては「この機会に改めて悠太のことを考えるきっかけにしろよ」というだけの装置だとは思うんですけどね。先生曰く、沙季が抱えている恋愛感情はもしかしたら環境が生み出した勘違いかもしれないよ、というお話。まぁ、そう言ってもらえた方が安心する場合もあるだろう。やはりどこかに禁忌を匂わせる関係については「違うよ」って言ってもらう方が楽な可能性が高い。もちろん「そんなこたぁない、これこそが真実の愛じゃ」と反発する可能性もあり、その辺はさすがの大学教授、どっちに転んでも沙季の精神的安寧を害さないようにアフターフォローも入れている。何が目的の先生かは分からなかったが、多分悪い人ではないのだろう。悪い奴がいるとしたら、勝手に個人情報を漏洩しまくっている読売先輩の方である。

 教授と対談している一室の描写も、例によって光の演出がさまざまに描かれる。興味深いのはハリネズミパペットの使い方で、登場時以降はとっとと手から外れて放置されていたが、沙季との対話の内容からして、「上から被って外見を作る」パペットは一時的に沙季の象徴として機能しており、そんなパペットがちょうど影の境目に入って日向と日陰で白黒に二分される構図は、今もまだ迷いを孕んでいることの表れ。沙季がどっちに振れるかは、案外先生も興味を持っている部分なのかもしれない。そして、この対話と並行して挿入されるのは予備校の実習室で勉強する悠太と、突発的種﨑ボイスで出てきたメガネちゃんの関係性。いつの間にやら昼飯を一緒に食べるまでの関係になった2人のシーンと、教授の部屋の沙季のシーンが対比的に挟み込まれ、沙季のシーンは右(上手)から光が差し、悠太のシーンは左(下手)から光が差している。舞台において「上手からの力」は何らかの介入、強制の含意。沙季は今回のオープンキャンパスの結果、何かしらの大きな力を受けていることが想起されるのに対し、悠太の方は下手からの光に支えらえるような安定、現状維持、停滞などを想起させている。別に2人の行動に良し悪しはないが、同じようにして「互いに違う道を進んで余計なことは意識しないようにしよう」と考える兄妹でも、そのモチベーションにはいくらか違いがある。

 そのことはいつもの通り、夜ご飯のリビングでも描かれている。毎度お馴染み「カウンターに置かれた花瓶」。今回も慎ましくその姿を見せているが、今回象徴的だったのは「悠太の後ろに隠れて半分しか見えない花」である。露骨に悠太が何らかの隠し事、後ろめたいことを抱えていることの暗喩になっており、「予備校の友達」が女性であることを沙季に話さず、2人きりでご飯を食べたことがどこか後ろめたいことが伝わってくる。いや、別になんも悪いことしてないし、悠太のモチベーションとしては全く正しいものなのだが……「悠太は公正だ」とは、以前も沙季に太鼓判を押されていた性質であった。そんな「公正」な悠太は、今の自分の立ち位置に正当性を感じているんだろうか。

 まっすぐな兄妹の進路、そこに本当に交わりはなくなるんでしょうか。

 
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 頑張れMEMちょ、三十路がなんぼのもんじゃい! 第21話! 別に若く見えるならいつまでアイドルやったっていいじゃない。中の人なんて成人してしばらくしてから未成年に間違われとるんやぞ。まぁ、あれがアイドルの姿かと言われたらNOではあるが……。

 前回までで「2.5次元舞台編」がおよそ片付き、今回は幕間というか、嵐の前の静けさというか。姫川にぶっ込んだことによってあっさりと父親の話が聞けたアクア。すでに心中してしまったという父親の事実を語られ、これまでの苦労はなんだったんだというくらいに何もかもが雲散霧消。まぁな、死人をいくら恨んだところでしょうがないわけでな。勝手に「無責任だったアイの相手役は今でものうのうと芸能界で生きているに違いない」と思っていたからこその恨み骨髄だったわけで、その人物がすでに故人であると伝えられたら怒りのぶつけようもない。姫川がここで嘘をつく理由も何一つ無いわけで、アクア目線ではこれにて復讐劇も閉幕である。あれだけ染み付いていた黒き星も潰え、有馬かなも太鼓判な「きれいなアクア」が爆誕したのであった。……まぁ、私は原作知らないからなんとも言えないけど、世間で騒がれてる展開からしてここで終わりなわけはないのだが……次に訪れる宮崎ってのがアイたちの因縁の地ということで、何かしらのどんでん返しが待ち受けているのは確実だろう。でなけりゃ連載が続いているわけがないからな。

 まぁ、そこはメタ視点でのお話なので、とりあえず「アクアは一旦浄化されたので、次はルビーのターン」というのがアニメ的な展開ということだけ受け止めておこう。今回のサブタイトルはわざわざカタカナで「カイホウ」となっているのが色々と意味深で解釈次第で色んな意味を妄想できる。当然最優先で含意されているのはアクアの長きにわたる呪いからの「解放」。もうアイの呪縛を気にすることもなく、「幸せになってもいいのかな」なんていっぱしの主人公ヅラしてみちゃったり。突飛な「解法」で「快報」を得たアクアのメンタルははっきりと「快方」に向かっているし、長きにわたるあかねやかなの「介抱」の甲斐もあったというものだ。結局アクアがずっと「懐抱」していたものは誰にも明かされず仕舞いだったが、まだ似たようなものを妹は抱えている。そして次なるステップは新たな「壊崩」の序曲ともなりそうで……ってとこまで行くと流石にやりすぎか。

 まぁなんにせよ、アクアの人生はこれで転機を迎えたが、別に復讐など企てておらず、ひたすらにアイの意思を継ごうと邁進していたルビーの人生は何もかわっちゃいない。彼女がB小町として成功するためには、あとは事務所の面々が一丸となって頑張るしかないですから。だからこその頑張れMEMちょなわけですよ。つい最近真夜中ぱんチが70万登録者を突破してたもんで「2万」とか言われてもさっぱりピンとこないのが悩みの種だが、もちろん私とて最低限の配信者事情は理解しているので2万を超えたことはとてもすごいことだってのはなんとなく分かる。さっぱり分かってない現代っ子のルビーとかなの方が異常なのだ。まぁ、そんなとこで止まってられないという向上心の表れと好意的に解釈しておこうか。ここから立て続けに現実的なセールスプランを打ち出すことによって、今後は作品内におけるMEMちょの地位向上につながっていただきたい。……まぁ、星野一家の因縁と1ミリも絡まないキャラなのでどうしても疎外感はあるのだが……苦労人、MEMちょが幸せになる展開を望んでおります。

 
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 甘酸っぱくて綺麗極まりないお話だったのにオチが下衆汚ねぇの流石だ、第9話。この学校、しょっぴこうと思えば結構な数の犯罪者が見つかるんじゃなかろうか。

 頑張れ小鞠編、事実上の大団円だろうか。小鞠ちゃんが複雑なのは、自分が負けヒロインであることを完全に認めつつも、部長とBL先輩への恩義も絶対的なものなので関係を断ちたくないっていうジレンマがあるところ。まぁ、焼塩だって朝雲さんとマブダチになったように、フラれたからってそのカップルと絶縁する必要もないのだけど、小鞠の場合は先輩たちとは「卒業」という強制お別れイベントが待っており、別れたくないのにその関係性にけじめをつけなければならないという別な苦しさがある。もはや自分のことは忘れてもらったって構わない。2人の幸せを最優先して身を引いた自分の立ち位置はあくまで思い出の中だけでいいという甲斐甲斐しい決意。それを先輩たちもよく分かっているからこそ、距離が計れずに苦しむことになるのだ。思い合っているが故の優しい苦しさ。これが小鞠の人となりを一番よく表している。まぁ、あんな弟妹がいる時点で良い(善い)ご家庭なのは間違いないでしょうからね。彼女の唯一の負け要素って、そんだけ心根がいい奴だったのに何故か圧倒的陰キャになってしまったという部分だけ。小鞠の可愛さに気づく人類がもっと増えるといいですね。

 もちろん、一番気づいてあげられるポジションなのは温水であり、ちらほらと主人公的ムーブをかまして小鞠の好感度も上げているはずなのだが、この温水という男、「マケインの主人公」という厄介極まりない役柄を任されたが故に、正統派主人公として振り切れたお約束ムーブが取れないという面倒な制約を課されている。具体的には、小鞠があれだけ苦しんで「1人でやらなきゃ」と塞ぎ込んでいるというのに、温水は2人きりのシーンで面と向かって「俺たちに任せろ、俺たちは友達じゃないか」という定番の一言を切り出していないのである。最後には小鞠弟に無理やり背中を押される形でようやく「友達」というワードを絞り出す始末で、この男がもう少し真っ当な主人公体質だったら小鞠の苦労ももうちょい少なくて済んだとは思う(そしてその結果として小鞠が主人公に惚れるとこまでがテンプレ)。まぁ、そうならないからこそ、温水の周りには3人の負けヒロインたちが付かず離れずの距離感でうろうろしているのだろうけど。焼塩の鼠蹊部はもはや放送コード的にアウトなんじゃなかろうか。きちんと年相応の恋愛感情とかは持ち合わせているのに、何故か自分がエロいという認識が無く、羞恥心が足りてない焼塩、生物兵器かよ。

 小鞠ちゃんが頑張っているという合意のもとで集まった温水周りの最強パーティ。まさかの朝雲さんたちまでが参戦し、1日で準備できる限界突破したハイクオリティな展示室の構築を実現。高校の文化祭ってこんなにレベルの高いものが求められるもんだったっけ。また文化部でもないくせに綾野・朝雲ペアはこの展示を作るのにめっちゃ向いてる人材だったのはラッキーだったよな。まぁ、集合シーンにすら登場してなかったくせして一番大活躍してたのは妹ちゃんだった気もするが……妹の高性能っぷりが兄のダメっぷりをさらに際立たせているのがなんとも不憫である。

 そして、負けイン勢の中でもどこをどう活躍しているのかよく分からない八奈見杏奈という存在。今回彼女は温水のサポートという役割はそれなりにこなしていたし、決して無能ヒロインではないはずなのに何故か善行ポイントがなかなか加算されないという人徳をお持ちである。ツナマヨはまぁ、偉大かもしれないけども……それこそほんとにコンサルとして温水周りの人間関係をとろ火で加熱し続けるみたいな役割が一番しっくりくるのかもしれません。当人どうしでどういう感情を持ち合ってるかが未だはっきりしないけどさ。温水目線でもちゃんと「八奈見はまぁ、4Kではある」という事実は認めてるんだけどねぇ。

 今日のまとめ:保険医、どうやら作中で一番ヤバい(知ってた)。

 

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 なんか熊ちゃんが可哀想……第22話。いきなり取り出されてボコられるだけの存在、ドキ君はお気に入りじゃないのかしら。

 妥当なハッピーエンドへ。いや、まだ厳密には終わってないので外世界での騒動をこっからどうにかしなきゃならんのだけど、ひとまず曖昧姉妹の関係性については手打ちということで良さそうだ。やはり最後の一押しに加担してくれたのは朱鷺丸。どうやって黒球の中に入るんや、と思っていたが、アマラリルク側の目的がそもそも「黒球内にウツロの心の世界を作る」→「それを物理的にぶっ壊して境界をなくし、そこから恐れや恨みの感情を漏れ出させることで指輪と同等の効果をばら撒く」ということだったようなので、勝手に黒球を壊してくれた。まぁ、おかげで大惨事にはなっているが、代価として朱鷺丸の侵入を許し、それがウツロへの決定打となったようだ。

 先週までで気になっていたのは「どれだけ許しや希望を与えたところでウツロが裏稼業に手を染めていた事実は覆らないし、少なくとも本人の中ではどこまで行っても罪が消えないのでは?」という部分だったが、朱鷺丸を通して語られたのはただ一念に許しを求めた曖の行い。世間がどうとか、実際上の問題は分からないが、とにかく「曖の赦し」がそこにあるのなら、昧にも救いはあるのだろう。結局は姉妹2人で始まった物語なのだ。2人の関係性の中で決着をつけても特に問題はあるまい。

 そして、そんな姉妹の軋轢の解決に大きく貢献したのが我らがヒーロー・シャイであった。性根の真っ直ぐさ以外には武器らしい武器も持っていないシャイだったが、今回は珍しく独自の武器を振りかざす。それが「陰キャだからこそ共感できることがあるんだ!」というなんとも救いようのない救いの言葉。「シャイな女の子の気持ちを分からないわけがないじゃないですか」というのはなかなかの殺し文句で、「いや、でも他人じゃん」というウツロさんのわがままも強引にねじ伏せるだけの説得力を持っていた。シャイだからこそ出来ること。思い返せば最初の惟子さん戦に始まりツィベタちゃんとの戦いも、「シャイだから分かる」がきちんと唯一性につながっているのは良いところですね。

 姉妹の雪解け。あとは黒球をどう処理するかという課題が残るわけだが、事態をわかりやすくするため、ここでドキさんがもうひと頑張り。最初の戦闘が終わったら巨大戦闘になるのがヒーローには欠かせない要素ですからね。ただ、そんな巨大生物がロボや怪獣じゃなくて熊ちゃんなあたりがアマラリルク。3人の合体技としての飛行巨大熊だったらしいが、もしかしたらクフフさんにあんまりやる気がないせいでこんな適当な戦闘になっているのかもしれない。最初に大砲に乗ってる時点でさっぱり気乗りしてない様子だったクフフさん。どこまで行っても彼女の気分が戦局を左右し続けているのが愉快だが、この気まぐれが単なる「飽き」じゃないことをペペシャさんは知っている。いや、そう願っているというべきか。この物語がどこまで続くかは定かじゃないが、とりあえずクフフさんには絶対的な救いの物語を与えてほしいなぁ。

 
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 心って、なんだろうね、第9話。ほんと、水菜萌さんはいちいち的確なことを言ってくれるなぁ……。

 というわけで、結局前回までで愚痴愚痴と考えてたようなことが堂々巡りである。アトリは間違いなくプログラムに従って動いている。そこに心は無さそうだし、実際、今回夏生からクリティカルな質問・命令を受けたらあっさりとこれまでのキャラを崩壊させた。「本当に心があると思っているのか」という質問と「心があるふりをするな」という命令。これだけであっさりと様子が変わってしまったことで、夏生が余計にショックを受けるのはしょうがない。自分で勝手にやったことなのにね。アトリのプログラム上の優先順位ってのも悩ましいところで、「主人の命に従え」がおそらく最上位コマンド。その下に「夏生が喜ぶことをせよ」などがあると思うのだが、例えば「本当に心があると思っているのか、YESNOで正直に答えよ」という質問が夏生から飛んできた際に、「主人の命に従え」が優先されれば答えはNOになる(実際そうなった)。しかし、もしここで「夏生が喜ぶことをせよ」が優先された場合、適当に嘘をついてYESと答えることだってありえたのだ。アトリがヒューマノイドのくせに嘘をつけるというのはこれまで散々示されてきたことである(まぁ、もしかしたらほんとにロケットパンチが撃てる可能性もあるが)。

 結局はプログラム。それは間違いなくその通りなのだが、しつこく言っている通り、今回の水菜萌の台詞に代表される「でもそれって人間と一緒じゃない?」もまた真理。相手の反応を見て、都度最適解を選んでいくという戦略性は人間どうしのコミュニケーションでも必須であり、そのオンオフの判断のどこまでが「理」でどこからが「情」なのかなんて簡単に割り切れるものではない。結局は「どれくらい理解が及ぶか」によってそれを振り分けていくしかないのだ。

 人と人との間には「情」のコミュニケーションが存在しているという前提、いやさ幻想。これは「自分は感情を有している」という前提と、「おそらく相手も同様に感情を有している」という前提から成り立っている。だからこそ相手を慮りもするし、想定と異なる反応が返ってくれば不和も生じるだろう。「想定している感情と異なる人間」なんてのは世の中にたくさんおり、わかりやすいところでは宗教的な思想の違いや生育環境の差から生じる文化の違いなど、「そんなこと思うわけがない」という誤った他者認識が世に溢れかえっている。それらの不和の種がありながら、それでも人と人とがコミュニケーションを取れると信じられるのは、どこかでヒトという種に共通の感情基盤が横たわっているという強固な前提があるためだ(往々にしてこれらの前提は犬猫のペットなどにも拡大するが)。転じて、「相手が人に造られたヒューマノイドである」という理解はこの前提構築を大きく阻害する。もしそのロボに積まれた思考回路がヒトと酷似していて「感情がある」と認定するに充分な機能を備えていたとしても、ただ1点、「それがロボである」という前提によって感情のコミュニケーションは成立しなくなる。今回夏生がぶつかった壁は、ただそれだけのもの。とはいえ、直感のレベルで軽々と乗り越えられる水菜萌のような人間の方が少ないのかもしれない。

 ぶっちゃけ、この問題は平行線だ。心なんてものは定義し放題でいくらでもその所在は変わりうるものなので、あとは夏生がどう自分に都合のいいように納得できるかというだけの話なのだろう。そこで一番手っ取り早い解決方法として、「とにかくもうヒューマノイドが憎くてしょうがない」という非常にわかりやすい(ある意味安易な)外部刺激が投入される。これにより、夏生はロボを忌避する感情を外において観察することになるのである。自分は目の前の男と同じ感情をアトリにぶつけていたと感じた時、その対象たるアトリをどのように見ることになるのか。まぁ、1つのお話としての落とし所は、この辺りが無難だろうなぁ。

 
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 確定演出アツい、第9話。やっぱアニメ版キン肉マンにとってシンボルとなるのは「キン肉マンGo Fight!」なんでしょうかね。個人的にはシリアス味が強い「炎のキン肉マン」の方がどっちかってぇと印象深い派です。そっちも是非どこかでリメイクしてほしいな。なんならセンセーションの方も。串田アキラが元気なうちにやれること全部やろうぜ。

 毎回きっちり原作3話分ずつ進行しているので今回も大きな改変などは無く進んでいるのだが、原作首っ引きで確認しながら視聴している身としては、今回が今までで一番細かい編集が多かった回かな、という気がする。ざっくり言うと台詞のカットがかなり多く、詰められるところをぎゅぎゅっと詰めまくった感じ。これは改めて原作を丁寧に読むと理由が分かって、今回展開された3話分、とにかく設定の説明が必要な話なので他のエピソードに比べて圧倒的にネームの量が多いのである。説明しなければいけない要素としてはまずは「ピークのトンデモな性質」について、そして「キン肉マンとカメハメの関係性」「カメハメがキン肉マンに伝えたこと」「その精神がなぜピークを凌駕したのかという理屈」「ピークと武道の関係性」「完璧超人の掟とピークの変心」と、丁寧に掬っていかないと訳のわからなくなる要素がてんこ盛りなのだ。そのどれか1つを完全に切り捨てるという措置がありえないため、それぞれの要素からちょこちょこ抜ける部分を抜いて軽量化を図っているのである。改めてこういうのを見て、「やっぱアニメの脚本家って難しい仕事だよなぁ」と尊敬の念を新たにする。いや、うまくいってる作品だからこそだけども。

 要素が多いのでいちいち全部は回収しないが、毎度のことながら過去エピソードでも切り捨てていい部分は容赦なく切っている。具体的には今回「ジェシーメイビア」という名前は1回も出てこない。まぁ、無くても問題ないのでしょうがない。一応そのために回想シーンのキン肉マンがカメハメに言った文句が「お前の代理でジェシーメイビアと戦ってやるのに」みたいな内容から「お前の技を受け継いでやるというのに」とだいぶ恩着せがましくなってる部分だけがちょっと気になったくらいか。まー、ここで「カメハメが1度ハワイ王者を譲り渡した」みたいな面倒な説明いれてられないしな。

 他には、バッファローマンの「こうして私はキン肉バスター返しを誕生させました」みたいな丁寧な解説もカット。これも画面を見てれば不必要な要素なので問題ないし、当然風林火山の歴史の説明なんかも、そもそも「あんま覚えてる人はいないだろうけど!」って言ってるくらいだから端折ってもいいだろう。まぁ、原作読んでる時は「確かに、風林火山ってアニメでめっちゃ使ってた印象あるけど、原作だと出てきたの1回だけなんだよなぁ」ってしみじみしたので、その辺の要素が響く人からしたら残念な修正かもしれないが。でも、そんな「アニメ版の象徴たる風林火山」にメインテーマ重ねるのはやっぱアツいのでナイスな演出でしたよ。地味に、技の説明にその後カメハメが捕捉してくれた「それぞれの技にどんな意味があるのか」を織り交ぜてくれた改変も○。そして何より、カメハメの声で風林火山の文言を詠唱してくれたのが◎。もう、我々にとっての最大級のご褒美でした。ありがとうございます。

 こうしてきっちり主人公の帰還を印象付けてくれたマッチメイクは素直にとても良いものだったと思う。キン肉マンにおける超人レスリングって、作中でキン肉マンも言うようにどんどんド派手なオリジナルホールドの応酬になってジャンプ的な能力バトル感が強くなっていくと思うのだが、根っからのプロレスファンであるゆでたまごはそれをあんまり良しとしてなかったきらいがあるのよね。その揺り戻しが「2世」で露骨に出てきて、2世の時代って、現実のプロレスの流行り廃りもあるのかもしれないけど、やたら渋いグラウンドでねちっこく展開する試合描写が多かった。画力の向上もあってそれでも作品としては成立してたんだけど、やっぱ活劇漫画としてどうしても地味なところがあって、2世の頃の間延びした雰囲気は試行錯誤の過程だった気がしている。そしてこの新シリーズ。キン肉マンという象徴を使って「渋い技も見せたい」という主張を声高に叫びつつ、それをしっかりギミック超人の打開策として意味を持たせ、ドラマを膨らませているストーリーテリングが実に綺麗。「ゆで、やれば出来るやん」と本当に感心したものだが、まぁ、有能すぎる若手編集のアイディアがどれくらい関わってるのかは不明。なんにせよ、この辺のバトル展開、シナリオ展開で新シリーズキン肉マンがその支持を磐石のものにしたのは間違い無いだろう。

 こういう話をすると2世を馬鹿にしてるように見えてしまうが(まぁ、実際その傾向は否めないが……)、別に2世も嫌いじゃなかったんですよ? いろんなテイストをまるっと飲み込んで、老境にいたり完成したキン肉マンが今のシリーズ、それでいいじゃないですか。だから、次の確実に消化試合にしか見えない魔雲天の試合だってちゃんとフックがあるんですよ。たとえ「まぁ、こんだけ男気を見せた魔雲天も、十数年後には可愛いオーバーオール着込んでトラックで息子の部活の送迎してくれる子煩悩なパパになるんだけどな」とか思っちゃってもね。あれはあれでいいエピソードだ。

 
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 はわ〜〜〜〜〜〜〜、観てきました。劇場アニメです。こいつもねぇ、最近劇場に行くと必ず予告は流れてたし、天下の山田尚子監督作品だってんだから期待に期待を重ねてたわけなんですが、なかなか観に行くタイミングが取れなくってやきもきしてたんですよ。いや、隙間時間でパパッと観に行きゃいいんだけど、やっぱり山田尚子作品だからある程度精神的に余裕がないと無理じゃないですか。こないだ油断して眠い頭で「モノノ怪」を観に行って結構な取りこぼしをしてしまったな、という後悔もあったので、心身ともに充実するタイミングで満を持しての視聴でした。そしたら……。

 準備しててよかったぁ……これはね、全身全霊で持って受け止めてよかったと思ってます。生半な気持ちでチャレンジしちゃダメですね。ただ、過去に歴史に刻んだ劇場アニメ、例えば「スタァライト」みたいな心不全に繋がりそうな作品ともまた違って、こいつぁ評価が散りそうな作品だな、という直感もあるんですよ。「評価が分かれそう」じゃなくて「散りそう」。賛否両論で10点か1点かみたいな評価にならず、ほんとに受け手次第で1点から10点まで様々な印象が出てきそう。非常につかみどころのない作品なのは事実だと思う。そういう感覚を得つつも私の評価を折り返し前に書いておくと、多分8点はカタいと思ってます。文句なしで「傑作」に含めていいと思います。これは山田尚子贔屓の側面がゼロではないかもしれないけど、ほんとにね、山田尚子に求めていたものが十全に与えられたえも言われぬ多幸感に満ち溢れております。最近あんまり劇場で泣く作品を観てなかったんだけどクライマックスで気づいたら涙が溢れてきて自分でもびっくりしたし、帰宅後にパンフ読んでてまた泣けてきた。なんかね、ほんとにじわじわと色んなところに染む作品。歴史の新たな1ページです。

 

<というわけで以降ネタバレ等注意。ネタと言えるようなものはあんまりないけど、やっぱ初見はまっさらな気持ちで観てほしい>

 


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 どういうことだってばよ、第18話。いや、マジで、どういうことなのよ……。

 まさかまさかの展開に脳がさっぱりついていけない。これって確か原作小説だと2作目なんだよね? 1作目で微塵も感じさせなかったトンデモ設定を続編の2作目で切り出してきたってことか。ちゃんとここまで考えた上で1作目の世界を構築し、そのための伏線とかも張ってたのかなぁ。もう今更確認もできないが……とりあえず序盤から「人間」という言葉を1回も使ってなかったのかどうかってのは確認したい。「ヒト」なら広義の用法があるからセーフになるのかしら?

 というわけで、朔王の計略によってうっかり外界に漏れ出してしまった雪哉と若宮。前回「若宮がおんなじ入口から入ってきたはずがないから別ルートがあるのか?」とか考えてたんだけど、ふつーに同じところから追っかけてきたようだ。基本的に全てが朔王の思惑通りってことだな。ただ、思惑とはいっても最終的に朔王が何を狙っていたのかも今ひとつ分からない部分はある。若宮は此度の試練以前から「外界」のことは間違いなく知っていたわけで、わざわざ試練を設けて手にいれるべき情報は猿についてのもののみ。そして、朔王はトンネルに潜れば猿が潜んでることは事前に知ってたわけで、「帰ってきたら教えてやる」じゃなくて「もうめんどいからその目で実際に見てこい」が狙いだったってことなんですかね。だとして、そんなヘンテコ試練に巻き込まれた雪哉が可哀想である。今回は雪哉の機転で脱出に成功してるし、若宮だけで現地に向かってたら死んでた可能性もあるんだよな。

 結局人が悪い朔王のオーダーのせいで色々と苦労させられた2人であったが、ちょっと強引な取引だったこともあり、見返りは充分なものとなった。猿の情報に加え、その発生源や成り立ちまで、「お前、そこまで知ってたなら地下街側でもうちょっとなんとかするか、速やかに報連相してくれよ」と思っちゃうくらいに完璧な情報提供。地下街側も下手人は追っていたらしいが、独断専行で朝廷に伝えてくれなかったせいで事態が大きくなったわけで、案外山内における朝廷と地下街の断絶は大きかったのかもしれない。

 さて、もらった情報をもとに現状をまとめておく必要があるのだが、確定事項は「山内ってめちゃくちゃ狭い結界の中の世界だったよ」「外界にはもっとデカくて当たり前な人間の世界が広がっているよ」の2点。外界のテクノロジー情報を記録した書物がある時点で朝廷の首脳陣は外界知識もそれなりにあるようだし、今回の若宮たちのように「外に出てから戻ってきた」リポーターがいるのも間違いない事実。想像以上に、2つの世界を隔てる結界というのは薄いのかもしれない。やろうと思えば外界の技術力を持ち帰ったりもできたりは……しないのかな。所詮は人と烏だしな。

 しかし、そうして「中と外」「烏と人間」という二項対立がはっきりすると、いっそう分からんのは「猿」というその間の存在である。今回の話では「外界との狭間にいて、人間を食い物にしている怪物。人間に似てるもんだからたまたま山内に侵入したら八咫烏も喜んで食う」ということらしいのだが、この猿って人間界の猿とは別存在だよね? 俺らは流石に猿に食われることはないもんな。そしてこの猿も人に化けられるのだが、残念ながら言葉は使えないというくらいの能力的な差。身体能力の強さを考えれば、油断してたら烏は一気に絶滅させられて山内が猿の惑星になってもおかしくはないくらいのバランスか。そりゃ外患誘致が許されるわけもない。小梅の父親が指名手配されることになったわけだが……なんでそんな訳の分からん悪事を働いてたんだろうね? そもそも「猿は言葉を使えない」なら、悪人だからとて猿と共謀するのは無理なような……猿の方から「骨やるから、なんか助けて」って申し出てきたってことなんでしょうかね。その辺りのバックグラウンドがまだ見えてこないので、猿ってのがどれくらい恐ろしい存在なのかはまだはかりかねてるわ。

 ……でもなぁ、今回の話見てたらやっぱり外界の設定がショッキングすぎて、猿とかどうでもよくなっちゃうんだよなぁ。「山内は崩壊に向かっている」って、そりゃこの状況なら当たり前だよなぁ。逆に今までよく見つからずに成立してたな。歴代金烏がそれだけ頑張ってたってことなんだろうなぁ。

 
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 あっちこっちでどないやねん、第10話。先週も超展開だったんだけど忙しくて感想書けなかったもんで、2週分の「どないやねん」が溜まっている。

 先週のどないやねんポイントは大きく2つ。1つはもちろん真の敵の正体について。謎に包まれたその存在は、なんと1話目でどこぞに突き落とされた山賊の男だった。石丸というその人物について、今回田右衛門より詳しい説明があったのでなんとなくバックグラウンドも理解はできたのだが、前回時点では「1話目で出てきたなんか厄介そうなやつ……」くらいの認識しかなく、そんなモブっぽいやつがまさかのタイムリープまがいの展開で私怨をぶつけにきているとは思ってもみなかった。まぁ、言われてみりゃ最初の時点で「なんか妙にフォーカスが当たるやつだな」と思わないでもなかったが。後考えではあるが、サクナの周りには明らかな悪意を持つ人物って相当少ないので(よりによってその貴重な候補がココロワだった)、そんなモブっぽかったやつでも敵サイドとして現れるのは納得かもしれん。

 そしてなんといっても先週のどないやねんポイント2つ目は島の壊滅であった。ここまで8話分使って必死に作り上げてきた設備も田も壊滅。もしゲームだったら即リセットから二度と起動したくないレベルのでとんでもちゃぶ台返し。クラフト系ゲームでそのロストは立ち直れないだろう。しかもそんな惨劇の元凶が手心で助けた下っぱ鬼だったっぽいとか言われるとさらに鬱が加速し、登場人物全員やけっぱちでもおかしくない。実際、あんだけ成長を見せていたサクナですら、一度は見事に挫けてしまったわけだ。

 しかし、鍛えられたサクナはそこからが違う。まさかの爺からの「逃げてイインダヨー」というアドバイスに対し、「そんなことしたら今までの9話分が全部無駄になるじゃろうが」の精神で一念発起。折良くココロワも合流し、どん底からの必死の復帰。まぁ、日本の歴史を考えれば自然災害により田んぼが壊滅なんてのもありふれた光景ではあるからね。厳しい気候条件からの地道な復帰。これを描くのもまた、全農アニメの一側面なのかもしれない。

 火山灰の取り除き方など、細かい農業アドバイスを挟みつつ、急ピッチで進められる復興。その中できんたとゆいが不思議な光を放つという謎現象が目撃されたり、「一気に時間を進める」とかいう突然のチートアイテムが出現してゲーム時間が短縮できたり、そのアイテムを取りにいくステージが思い切り端折られたりと、ゲームを知らない身には「多分こんなんやろな」と想像するのが楽しい圧縮展開。数年で培われた成果の復旧には、1年も使ってられないってのが本音なのだろう。なんとか精神的安寧が得られる程度までは回復するに至った。

 そしてラストどないやねんはかいまるの扱い。なんか、しゃべりよったぞ。どいうこと? もしかしてこれまで散々突っ込んだ「かいまる成長しなスギィ!」というツッコミも全て織り込み済みの設定だったってこと? ……じゃぁごめんなさいだよ。まさかそんなポジションにイレギュラーキャラが混ざり込んでるとは思わんかったよ。パーティに鶴が紛れ込んでいると知ってなお、いや、知ったからこそ余計に、「もうメンバーの中に変なやつはおらんやろ」と思っていたのだが、思わぬ伏兵であった。さて、いったい何が起こってるんでしょうかね。

 
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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