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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ファンタジスタドール」 4→5

 今期の頭おかしい系筆頭作品。結局これ、何だったんでしょうね?

 当初予定していた方向性からはまったく違う方向に羽ばたいてしまったのでなかなか評価が難しい作品なのだが、笑ってしまったのは事実だし、どす黒い期待を持って見てしまうのは紛れもない事実。「替えがきかない」作品だったのは間違いない。実際はこの狂ってる感は朝アニメでは割と見かけるものではあるが、それを深夜枠でやってしまい、何の説明もせずにあっさり1クールで終わってしまうあたり、まったく狙いが見えてこないのが怖い。はたしてこのアニメの対象は一体どんな層だったというのか。

 先人を例に取るならば、たとえば「ミルキィホームズ」なんかは頭おかしい系の代表作品である。あちらもこちらも、確実に狙って「おかしいやろwww」と言われようとしていることは分かる。しかし、今作の場合、そうした「狙った狂気」を描く以外にも、どこか振り切れていないような、「普通のお話も守り通す」方向のエネルギーも働いているように見える。最終回はきちんと良い話にしようとしているし(実際なっていたかどうかは別として)、うずめのウジウジした様子は、なかなかギャグとして笑い飛ばすには酷なセッティングである。突き抜けて馬鹿な設定なら全編通して気楽に笑い飛ばせるのだが、うずめやかがみ、小町先輩などは、一応作中では真面目にドールのことを考えて悩んでいるはずなのである。真面目なことをやればやるほど「シリアスなギャグ」は際だつのだろうが、どうもこのファンタジスタギャグは「シリアスな笑い」とも違う。謎のぶん投げキャノンとか、ドラムロールとか、伝説の三行半とか、ステゴロ最強のしめじとか、ギャグについては明らかにわらかそうと思ってやっているのである。そのあたりの「真面目なんだけどボケようとしている」部分が、よく言えば狂気になり、悪く言えば食い合わせが悪いままで終わっている。この不安定さを至上の快楽とする人もいるかもしれないが、個人的には「もう少しどっちかのベクトルで吹っ切れてくれればなぁ」という思いが強かった。とにかく、終始ギスギスしっぱなしだったうずめ・ささら間の関係性が胃に悪いのよねぇ。

 まぁ、こんだけ「あれがよければ」「ああして欲しい」が出てくるってことは、立派にハマってしまっていたという証拠なのだろうけども。異次元の狙い方ではあったが、レジェンドに登り詰めるにはもう少し練り込みが必要、といったレベルだろう。まぁ、延々ドラムロールを続けるうずめのgifアニメとか合ったらずっと見てても笑ってしまう気がするけども(かがみちゃんが和太鼓叩き続けるgifなら見つけた)。2期があったら喜んで観るけども。……やっぱり誰に向けたアニメだったのかが一番気になるなぁ……。

 中の人……は特に無い。大橋・三澤・上坂あたりの若者が楽しそうにしているので良いなぁ、とは思いました。相変わらず津田ちゃんの声はあまり印象に残らない。ラスボス委員長先輩をやったかもさんと、ギャンブラーママンをやった倉田雅世がMVPかな。

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「ムシブギョー」 4→5

 良い夕方アニメだったと思いますよ。最初のうちはやたらエロ押ししてるからどうなることかと思って冷や冷やしてたんだけど、最終的には本当に見事な王道テンプレ少年漫画だったわけで。サンデーでちゃんとこういう漫画やってるのね。

 夕方放送なのでそこまで気合いを入れて見ていたわけではないが、これも「ジャイロゼッター」も、作り方は丁寧だったと思う。子供向けだからって適当なアニメを作っても良いなんてことは絶対にないわけで、単純に動きで快不快を判断してくれる部分も多いだろうから、ちゃんとアクションやカメラワークなど、「見ていて気持ちの良い」作品作りを心がけないと正しい年齢層のお子さんたちには受けないだろう。今作の場合はたっぷりと尺を使ったバトルが見せ場になっており、前半は異形の蟲をばったばったと切り倒す怪物退治の爽快感を前面に出し、中盤の蟲狩との対決、後半は更に禍々しさと知性を備えた蟲人を倒すための努力と特訓、そして友情などと言ったヒューマンドラマを。取り立てて何が凄いってこともないが、こういうものが毎週コンスタントに見られるというだけでもホッとするものです。

 まぁ、あとやっぱりエロも大事だったけどね。中盤以降は火鉢やお春ちゃんのあけすけなエロは減ってしまったが、代わりにずっと仁兵衛に帯同していた蟲奉行ちゃんが可憐で素敵だった。仁兵衛と彼女の関係性は非常に良い萌えファクターであり、なんだか色々と想像力をかき立てられる。最後のラブい展開もナイスだ。そして、無涯や春菊といった野郎臭いキャラもちゃんと立っているし、何よりも主人公の仁兵衛がとても分かりやすい主人公気質で、憎めないところが良い。全体的にはただひたすら「ベーシックに」ということを主眼にした作品作りであるが、本来アニメってこういうものを描くための媒体だったな、という気がしますね。やっぱりちゃんとアニメがやりたいなら2クール欲しいってことだよなぁ。

 中の人については、仁兵衛役のけんぬがすっかり声優業界でもスタンスを確立させたなぁ、というのが1つ。あと無駄に真田側のキャストが豪華だったので後半はやたら盛り上がった感がある。そして、天間役の芹澤優ちゃんね。ほぼ台詞が「全力つっぱり!」しか無かった気がするけど、ショタでも可愛いです。

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「有頂天家族」 6→7

 これも毎週感想を書いていたから今更特に付け加えることも無い作品だが、そりゃもう楽しかった。アニメの楽しみ方って色々あるとは思うけど、今期はコレと「シンフォギア」で両極に振った全然違う楽しさがあって、他にも佳作が多数あり、実に豊作だった良いシーズンであった。ここまで「いい」アニメが乱立してるってのも珍しいと思うぞ。

 今作1話目の感想を振り返ると、全ては「違和感」からスタートしている。P.A.なのに京都が舞台という違和感。久米田絵なのに森見作品という違和感。これをどうやってまとめ上げるんだよ、と訝しんでいたわけだが、そこは天下のP.A.Works。1話目の時点で既に画についてはぐぬぬと納得させられるだけの見事なものが飛び出してきたし、いざ話が進めば、なるほどこいつはP.A.お得意のジャンル。派手なアクションでも下衆なエロでもあざといパロディでもない。どこかおかしな景色の中にも不意に現れる懐かしさや、どこまでも「アニメ的」でありながら、匂いすら感じられるような不思議なリアリティ。そこに流れるのは、わずかなことでも心をちょちょいとくすぐってくるヒューマンドラマである。まぁ、今作の場合はポンポコドラマであるけれども。

 考えてみれば、「違和感を見せる」というのは、乱造の続くアニメ業界で視聴者を捕まえる有効な一手である。同様に「どうやったらこれを組み合わせることが出来るんだ!?」と度肝を抜いた作品にはあの「まどマギ」があり、今作も、画の無茶、話の無茶という2つの側面を、ぐぐっとアニメスタジオがねじ伏せることで形を成している。1クール見続けてみれば、もうこれ以上無いくらいにベストマッチしており、狸たちの痛快活劇も、涙無しでは見られないメロドラマも、全て久米田絵のキャラクターでこそなし得たものだとすら思えてしまう。実際、最終回の狸大行進なんかは本当に1枚絵のレベルで愉快だったし、矢二郎のカエル姿なんかも、どこかふざけた「漫画絵」であるからこそ、滑稽さと切なさが同居したあの空気が出たのだと思う。この企画を立ち上げた人のイマジネーションに改めて敬服する。とてもじゃないが私のような凡夫では思いつきすらしない完成形だろう。

 結局、「四畳半」で感心してからもあまり森見登美彦の小説ってのは読んでないのだが、今回改めて「面白い話を書く人だなぁ」ということを感じ入った。「四畳半」はラストのサプライズが新鮮で、いかにも「そういう」手合いが書いてきそうな作品だったが、今作は非常に素直な筋立ての中に、油断すると足をすくわれるようなピリッとした刺激が混ざっている感覚が気持ちいい。振り返ってみれば矢二郎のキャラクターなんかはいかにもって感じもするのだが、そのキャラが狸やカエルになることでおかしさが生まれるあたり、日本古来のおとぎ話をモチーフにしたような、懐かしさも刺激出来る絶妙なセッティング。こういう小説作品のアニメ化っていうのは、もっと色々と見てみたいものである(たまたまアニマックス再放送の「青い文学」シリーズを見ているところなので余計にそう思う)。本当に、あらゆる面で恵まれた、素敵な作品でした。

 最後に中の人の話……はもういいかな。下鴨家は本当にパーフェクトな布陣。こういうのを聞いていると、やっぱり櫻井孝宏に役が回ってくるのは当然のことだな、と思える説得力。パンチの効かせ方なら吉野裕行もすごく良いし、こうしたトリッキーなキャラが活きるのは、井上喜久子、諏訪部順一、中原麻衣といったサポートが盤石であるためだ。そして能登である。東洋の魔女・能登麻美子である。本当にP.A.作品といえば能登麻美子。富山県・石川県万歳。

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「宇宙戦艦ヤマト2199」 6→6

 地上波放送で劇場作品をシリーズものとしてやるという、アクロバティックな放送形態を取った本作。そりゃね、劇場クオリティの作品を毎週やってくれるんだから、面白くないわけがないよね。オールドファンにはどのように受け入れられたのかは知らないが、あたしゃ何も考えずに楽しんで観ていましたよ。

 「劇場クオリティ」と言っても、そこまで無条件に歓迎していたわけでもない。旧作のシナリオがどうなっていたのかは分からないが、今作の場合、元々長尺だった作品を2クールにまとめたもの。色々と改変は施されているようだ。シナリオは元々「古き良きSF」だったと思われるのだが、今作の場合、流石にちょっと現代の気風に照らし合わせるといくらか古くさいというか、アニメの展開として通り一遍のところが無いわけではない。基本的に「ヤマトピンチ」→「波動砲撃てばなんとかなる!」みたいな展開しか無いわけで、色々と目先を変えてミッションを演出してはいるが、「ひたすらヤマトが宇宙を進んでいる」というベースとなるシチュエーションが変わらない限り、次第にマンネリ化するのは仕方ないことだ。そうした中盤ダレそうな部分は、むしろガミラス側に焦点を当てて話の目先を変えるわけだが、ガミラス軍の大きさって言うのが最後までいまいちピンと来なかったのも気になる。デスラーがやりよる人物だというのはそこかしこから漂ってくる空気で伝わってくるのだが、「何故凄いのか」が分からず、実際、クーデターまで起こされているわけで、彼の「ボスキャラとしての大きさ」が伝わりきらないと、ヤマトの艱難辛苦も大きな物語になってこない。やっぱりそのあたりの「バックボーンの不足」は2クールになったことによる弊害だったのではないかと思う。

 とはいえ、こればっかりは要請の結果であるし、こうしてやや緊張感に欠けたもうひとつの理由は、「結局、どれだけ盛り上げても我々が結末を知っている」という事実にあるだろう。そう、どれだけ前知識が足りないとは言っても、ヤマト最大のサプライズくらいは知識として持っているわけだし、最終的に古代がどうなるか、そして沖田艦長がどうなるか、なんて部分は全部分かっているのだ。そうした「お約束の収束点」に向かうお話なので、どうしたって完全新規のアニメに比べると興味という点では一歩譲ってしまう。今期の作品でいうと「超電磁砲」も同じ悩みを抱えており、毎週ワクワクする度合いで言えば、何が起こるかさっぱり予想出来ない「シンフォギア」とかの方が気になってしまうわけだ。

 しかしまぁ、こればっかりは無い物ねだり。むしろ評価すべきは逆の視点であり、「既に知られているはずの過去のビッグタイトルを、改めて見せられるだけの看板としてリビルド出来た」という事実だけでも充分ではなかろうか。劇場並みの映像クオリティは言うに及ばず、ベテランの役者陣を結集させたキャスト陣なんて失神もの。この現場に参加出来た若手は本当にラッキーだと思う。内田彩とかね。

 そして、今作は間違いなく、「今期一番エロかった作品」である。女性乗務員のスーツ姿が既に反則気味なのだが、衣装だけでは飽きたらず、いちいちポーズがエロい、言動がエロい。そして何より声がエロい。原田さん、山本さん、メルダさん、新見さん……。このヤマトは男性陣が理性を保つのがすげぇ大変そう。そしてなんと言ってもメインヒロイン、奇跡でキャスティング死亡フラグすら乗り越えてしまった森雪嬢。ま、ぶっちゃけ最近の桑島キャラはそこまで死んでないけどな。

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「ふたりはミルキィホームズ」 4→4

 いや、良かったですよね。実写パート。個人的にはスパイシー丸山が参戦したカレー回が好きですね。毎週ナレーションしてて「誰やねんこれ」って思ってたんだけど、あの回を見て「カレーマイスターってすげぇ、頑張れ丸山」って思ったもの。確かにすげぇ若く見えるし。カレー回はミルキィの面々も非常に溌剌としており、いず様が残念な様子とか、若い子らも負けじと情けない様子が見られて。基本的に、相変わらずの4人組に新しい風が入ってきたことがリアルに伝わってくる実写パートは全部面白かったですよ。ミルキィも役者揃いだからね。

 でも、それってアニメの評価じゃないからな……。別にアニメも特に悪いところがあったわけじゃないが……流石に15分番組の1クールじゃ、せっかくの新メンバーの活躍も消化不良ですよ。っつうか、やっぱり私の求めているミルキィはこれじゃない。ラス前にG4や怪盗帝国が総出演してくれたときは不覚にもテンションが上がってしまったが、そこであげるくらいなら最初から出して欲しかったのである。まぁ、あくまでフェザーズ2人の紹介番組ってことで理解しておけばいいのかねぇ。ほら、あれでしょ、ここで導入しておいて、前みたいに森脇監督の指揮下で「6人はミルキィホームズ」っていうぶっ壊れアニメを作るんでしょ。先輩のギャラクシーエンジェルだって、烏丸ちとせなんて新キャラが入ってきた時には妙な抵抗があったものだが、ミルキィはこうして先に真面目路線で2人を入れておいたから大丈夫さ。さぁ、新人の伊藤彩沙は壊滅的ギャグのミルキィワールドで実力を試されることになるぞ! ……っていう今後の展開だったらいいなぁ。考えてみりゃ、ミルキィってシャロたちもトイズ自体は割と地味なんだよ。だから、まともに能力を使って探偵やられてもピンと来ない。むしろトイズが使えないダメダメなミルキィの方が楽しい。フェザーズも当然のようにトイズが地味なので、きっとダメダメになった方が輝いてくれるに違いない。

 結局、本筋はあんまり印象に残らなかったわけですわ。一応今作で気に入った点を挙げておくと、全然本筋と関係無いけど、小衣ちゃんの部下の子が好きだった。せっかく「十津川警子」っていう良い名前があるのに「秋山殿」としか認識してないんだけど、とにかく中上育実の躍進に期待。この子とか井澤詩織とか、ガルパン絡みのキャストは今後の発展が気になるのですよ。

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「とある科学の超電磁砲S」 5→5

 無事に終わりました。放送開始当初は「既に『禁書』でやってるシスターズ編だし、そもそもシスターズ編って雰囲気暗いし、大丈夫かいな……」と思っていたわけだが、流石にそのあたりの心配は杞憂だった。もちろん「見たことがある話」なのでそこまで熱心にかぶりつくわけにもいかないだろうが、それでもきっちり毎週見たくなるだけの内容になっていたし、「もう一度レールガン側からこのエピソードを作る意味」はちゃんとあったように思う。

 むしろ課題を残したとしたら、その後に続いたSilent Party編の方かもしれない。こちらも1期のオリジナル同様、きちんと御坂・黒子・初春・佐天の4人を中心として女の子の友情を描くお話になってはいるのだが、流石にコミュニティが広がりすぎていて、まとまった話数の中で求められている関係性を全部描こうとしたのはちょっと贅沢が過ぎたかもしれない。もちろん、シナリオは非常に端正で、必要とされる要素を確実に抽出して綺麗にまとめてはあるのだが、どうしても拾い上げる要素が多いために1つ1つのファクターについては薄味になってしまっている。1期オリジナルのテレスティーナ編と比べて見るとそれが分かりやすく、1期は木山春生という原作の敵キャラが後半のオリジナルストーリーにも大きく関係して物語を深めたが、今回はフェブリがぽっと出の存在で、1期の木山ポジションにあるはずの布束さんもちょっと出番が少なかったのでそこまで物語を深めたとは言えないだろう。まぁ、単に1期が好きだったから高望みしてるだけかもしれないけども。1期23話みたいな濃密な友情物語が見たかったんですよね。

 まぁ、こういう希望は「もし出来たなら」の範囲の話です。アニメオリジナルというリスクの高いチャレンジでちゃんと身の丈にあった落としどころを見据えていたし、原作ではなかなか活躍の無いキャラにもスポットを当ててくれたアニメの世界観は、ファンからしたらサイドストーリーとしてのサービス要素として充分仕事を果たしていただろう。これだけシリーズが続いていて期待も大きくなっている中、期待に応えられるのは立派なことだと思いますよ。

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「進撃の巨人」 6→6

 気付けば相当色んなところに進撃していた、アニメ界の寵児と言える作品。人気漫画だとは聞いていたが、まさかこんだけブームになるとはおもわなんだ。それもこれも、しっかりとアニメの品質が伴っていたおかげであろう。

 ぶっちゃけると、世間の盛り上がりほど私の中でこの作品は盛り上がっていない。単に土曜日はアニメ消費ノルマのピークだから、という処理能力の限界による制約もあるのだが、元々漫画原作をちらっと読んだ時からそこまでそそられてはいなかったのも大きい。実際、今作を見ていて、「このコンセプトは長続きしないやろ」と思っていた予想ははずれてはいない。結局「殺してもなかなか死なない上に一切のコミュニケーションがとれない異形の怪物である巨人が、無慈悲に人間を喰らい、殺していく」というビジュアルのインパクト一発勝負の作品であり、そこに慣れてしまえば、同等の威力を持つ二の矢は無い設定である。最初の敵が圧倒的すぎるので、王道敵少年漫画のように「更に強い敵を出して云々」という盛り込み方が出来ないのだ。そんな尻すぼみを宿命づけられた作品の骨子に対し、作者が出した解答が、「じゃぁ、そのどうしようもないと思っていた巨人が、実は人間だったら?」という捻り方だ。確かに、これによって更に絶望の度合いは増すこともあるし、「巨人が智恵を持つ」ことで脅威のレベルも引き上げられる。女型の巨人との戦闘があれだけ盛り上がったのも、兵団が編み出してきた数々の「対巨人の技術」がことごとく打ち破られるという「新たな絶望」によるものであり、純粋に「敵がパワーアップしたこと」によるものである。そういう意味では,非常に真っ当なストーリーテリングだ。

 しかし、「巨人が人間」というファクターが加わることによって失われてしまう部分もある。最も大きいのは「巨人の不可解さ」が大きく損なわれること。「何を考えているか分からない」というのが巨人の恐ろしさの本質の1つであり、そこに人為が介在することで、巨人は既に「未知の敵」では無くなる。新たな強さを身につけているので「手強さ」ではイーブンだとしても、「分からない恐怖」が損なわれると、やはり今作独特の露悪的な絶望感は損なわれてしまうだろう。また、そうした「巨人側の意志」を物語に組み込むと、どうしても「巨人の目的」というファクターに切り込まざるを得ず、結局陳腐な権力闘争、思想戦争に落ち着いてしまう。「お話をロジカルに収める」にはこれが一番良いのだろうが、最初に与えたインパクトとはまったく別種の物語になってしまい、既に「ならでは」の面白さではなくなってしまった。そういう意味では、この作品は必要以上の期待を背負い込んだ結果、軟着陸を余儀なくされてしまったちょっと可哀想な作品と言えるのかもしれない。

 まぁ、そうはいっても、与えられたシナリオの中で、アニメスタッフはほぼ最善といえる結果を残したのは紛れもない事実。本来ならば一切現実味が無いはずの立体機動の実現は、最大の功績の1つだろう。「空を飛ぶ」ことはアニメの大きな見せ場の1つ。それがこれまでに無い形でここまで見事な画面になったのは、スタッフのこだわりのなせる技。原作の粗い画の難点をアニメ画では見事に独特の魅力にまで昇華しており、正直、余計なことを考えずに「人が飛んだり、死んだりするのを毎回クライマックス気分で見るアニメ」としては非の打ち所がない。荒木監督は既に「ギルクラ」の時に「画は凄かったのに……」を経験してしまっているので、今回はちゃんと「画で見せるべき中身」を得られたのは僥倖だった。氏の代表作である「DEATH NOTE」が、「中身はあるのに、見せるべき画が(本来なら)無い」作品だったことを比較して見ると面白いかもしれない。これだけのアニメを作られたら、シナリオがどうこう言ってちょこまかと文句を付けてはいるものの、最終的にはお見事としか言えない。

 キャラについては正直あんまり覚えてないので中の人の話だが……一番インパクトがあったのは朴璐美姉さんだ。キチガイを演じるのが心底楽しそう。あとはアルミンでもう1つ新次元に登った感のある井上麻里奈。そう、このあたりの中性的な感じが彼女のホームグラウンド。良い仕事でございました。

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「君のいる町」 4→4

 正直言うと、「思ったよりも悪くなかった」作品ではある。あんまり本腰を入れて見ていなかったせいもあるかもしれないが、1話目で感じたような違和感はそれなりに薄れて、意味のある作品になっていたと思う。

 先に良かった部分を挙げていくと、ハラハラしていた山内重保演出が、次第に効果を持ち始めたことが一番の収穫。独特の色調と寄せた絵をふんだんに使って動きを捨象した山内流の構成は、見る人間を選ぶ方向性だし、題材次第ではあまり食い合わせが良くないものになってしまうのだが、今作の場合、言ってしまえばテーマは単なる「男と女の痴話喧嘩」である。惚れたの腫れたの、くっついたの離れたの、そういう話をしているだけの昼ドラなので、あんまり「画でスタイリッシュに魅せる」っていうテーマでもない。どちらかというとドロドロぐちゃぐちゃ、重苦しさや居心地の悪さを心象風景としてじっとりと描く方が「向き」である。そういう意味では、山内演出作品としては一定の効果があったのじゃないかと思う。最終回を例に取ると、どれだけ明日香に詰め寄られてもなかなか言葉が出てこずにうじうじしてる青大の様子なんかは、この画だからこそ見られた部分はあるだろう。どこかもっさりしたGONZO品質も、山内画ならば動きが少なくてフォローしやすく、1枚1枚の画の質ならば決して悪いものではない。

 ただ……やっぱり単なる昼ドラなんだよね。親友が死んで恋人が転がり込んでくるとか、元カノと寄りを戻したくて今カノを振るために必死で悩む主人公とか、「恋空」レベルの話であり、「丁寧に心情を描く!」と言われても「いや、共感しないし、あんまり興味ないし」というレベル。どうなんだろう、やっぱりラブストーリー好きっていうのはこういうシナリオにきゅんきゅんしたりするんだろうか。私なんかは途中から明日香ちゃんに肩入れして観ていたので、最終回で晴れ晴れとした表情の青大を見て単にイラッとしただけだったのだが……まぁ、現実での男女交際ってのもこんなもんだからなぁ。むしろ「わざわざフィクションでコレ観たくない」というガラスのハートが悪いのかもしれません。NTRは好きですが、男が振るのを見ても楽しくない。

 というわけで、「アニメとしては一定以上の見るべきポイントはあったが、そもそもドラマ自体をあんまり見たくないので今ひとつ」といったところ。でもまぁ、もし2期があったら問題無く視聴は出来るレベルかな。中の人の話題だと、やっぱり明日香役の佐倉綾音に注目してしまう。「あの」あやねるが惚れた腫れたで男を取り合う役をやっていても苦笑いしか出てこないのが難だが、やっぱりここでも「いい声」である。泣きの演技とか、慣れない方言とかが入るとまだスキルの拙さが耳についてしまうが、存在感のある声ってのは天性のものだからね。あやねるには真面目に役者の道で精進して欲しいと思ってる。芸人部門はそれなりでね。そして、なんと言っても今作は「方言アニメ」なので、広島県民細谷佳正の一人舞台であった、はず。でもなぁ、細谷君はほんとにくそ真面目だから、青大みたいなキャラをやるとものすごくメンタルに影響出そうなんだよなぁ。エンディングテーマの歌唱が割と好きでしたよ。

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「超次元ゲイムネプテューヌ」 5→6

 奇異なほどの安定感を誇ったアニメ。清く正しく美しい「萌えオタアニメ」とはかくあるべき、という規範のような作品であった。

 萌えアニメに必要な要素というのは見方次第で色々とあるだろうが、この作品をサンプルとするなら、「ユルい世界観」「タイプ分けされた過剰なほどの女の子」「頭を使わなくてもいいシナリオ」「適度なエロ」「メタレベルをあげたり、内輪ネタ、パロディネタを交えてオタクが喜びそうなネタ」「ステキ過ぎる中の人」などたくさんあげられる。今作は、あらゆる方面でそうした「基礎の基礎」と言える要素を網羅し、1クールという尺の中で後味すっきり、将来に何も残らない程度の味付けで片付けてみせた。そう、この「消費されている感覚」こそが萌えアニメである。ずぶずぶとはまるようなことは決して無いのだが、25分という限られた時間に、身の丈にあった多幸感をもたらしてくれる。何かというと外界から茶々が入るアニメギョウ界であるが、こういう仕事が出来るいぶし銀の作品ってのも、しっかりと守っていきたいジャンルの1つである。

 初見の感想は「なるほど、レヴィアタンみたいなアニメか」というものだったが、終わってみれば、要所要所で1段上の品質が提供されていることが分かる。david proによる画作りはあけすけのエロも含めてかっちりニーズに合う「可愛らしさ」を提供していたし、後になって気付くと、今作でコンテ演出の指揮を執っていたのは無闇にベテランが多い。最も多く担当した西田正義がそうだし、澤井幸次、加藤敏幸、そして最近注目の津田尚克などなど、この作品の「守られた安定感」を作り上げるためにアニメの基盤を作った歴戦の戦士が尽力しているのである。そりゃ観てたらホッとするわけだ。ネタ自体もアニメとしては扱いやすい部分も多く、ゲーム派生のアニメでハード戦争を扱うという一見すると際どそうなネタも、このくらいのユルさで扱う分には単なるおふざけで処理出来るし、消費者層にもそれなりに浸透している世界観であるから、特に面倒な説明を付さずとも大体の狙いが理解出来るようになっている。実は色々と考えられたしたたかな設定だったのかもしれない。

 そして、個人的に加点する最大要因となった世界設定は、やはり女神の存在そのものである。基本の女神が4柱、そこに各々候補生が加わり、更にゲストとして3人の「外界」女神も加わってくる。それらの女神の多くが「変身後」と「変身前」の人格を有しており、キャラものとしてのボリュームが豊富なのである。もっと分かりやすく言うと、それだけたっぷりと中の人のバリエーションが堪能出来るのである。個人的にはやっぱりねぷが一番のお気に入りで、女神形態の凛々しい姿で主人公としてのスタンスを守りつつ、幼女形態での残念な活躍が引き立つ。これを田中理恵にやらせてるって言うのが、もう「それだけで勝ち」みたいな設定。他の女神も、基本的に「穏やかな性格から苛烈な性格へ」という二面性の現れ方が非常に愉快で、花澤先生の「なんか胡散臭いSキャラ」とか、突然口汚くなるアスミスブランなど、ご褒美要素が非常に多い。これだけでも満足出来たはずなのに、中盤のクライマックスとして用意されたピー子編ではピーシェちゃんのロリっぷりに脳髄をズタズタにされてしまった。良いお話だったなぁ。10話のラスト、ピーシェちゃんの記憶がちょっとだけ戻ったくらいで別れてしまうっていう采配が凄く切なくて良い。あそこで完全に思い出して笑顔でお別れだと興が削がれていたかも。最後の一言が「ねぷてぬ?」だったおかげでラストの「糸」につながってしんみり出来たんですわ。今期ベストエピソード候補だと思います。

 「ね」と「ぷ」が繋がった言葉を平仮名で発音するとすごく可愛いということが分かって良かったです。「ねぷ」って字面だけで既にちょっと可愛い。良い名前だな、ねぷてゅーぬ。まぁ、何が言いたいかっていうと、「あおちゃんに読ませると大体の言葉は可愛く聞こえる」ということ。いや、理恵さんの「ねっぷねぷ〜」だけでも充分な破壊力だけども。我が家からもそうとうなシェアエナジーが持っていかれているんだろうなぁ。

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