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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「バカとテストと召喚獣」 5→6 予想していた方向とは多少ずれてしまったが、ジワジワ面白くなっていった作品。大沼心とSILVER LINKという組み合わせが、今後もこのレベルのクオリティを発揮してくれるならば、シャフトにこだわらずともいい物が見られるようになるのかもしれない。 1話を見た時点での最大の不満は、「世界設定の意味がねぇよ」という部分だった。文月学園独特の「試験召喚戦争」のシステムが理解出来ず、「それって結局テストの点数で争ってるだけじゃね?」とか、「お前等は何がやりたくてこの学校に入ってきたんだよ」とか、「魔法みたいなシステムが現実になってるファンタジー世界なのに、それ以外のシーンでは一切触れないのかよ」とか。ファンタジー設定のおかしさ、適当さなんてものは「禁書目録」シリーズみたいなラノベにはありがちなウィークポイントで、気にしないようにすれば無視しても構わない部分なのだが、流石に最も大切な部分であろう「試召戦争」の存在意義が分からず、1話の時点ではあまり画面にも求心力が無かったことは納得出来なかった。 結局、この「試召戦争の存在意義」という面については、最後まで分からずじまいであった。最後のAクラスとの大戦争も、なんか雄二がうまいことやって接戦に持ち込んだような雰囲気になっているものの、召喚獣を扱うスキルっていうのがどの程度の因子になっているのかも全然分からないし、追試や補充試験といったシステムがどういう働きをするのかも分からない。そして雄二が油断して負けたあのシーンも、結局「油断する」ってなんやねん、というレベルで分からない(単に殴り合ったら点数が高い方が勝つシステムではないのか?)。どうひいき目に見ても試召戦争によるバトル描写やドタバタがメインの作品なのは間違いないのだから、その根本的な意味が分からなければ没入することなど出来ないだろう。と。 ただ、結果だけを見ると、案外そうでもなかった。戦争シーンがメインになるとところどころ引っかかる部分があるのは事実なのだが、F組の人間が何となくうまいこと役割分担しながら「作戦を練っている」雰囲気は伝わってくるし、そうした「雰囲気だけ凄く策士っぽいことをしてます」というのもギャグの一環として受け入れてしまえば、なんとも緩いFクラスの空気に馴染んでいるともいえる。また、気付けばあまりに阿漕な作りのキャラクターも、バカを全面に押し出した数々のエピソードの中できちんと確立している。当初はなんでそこまで持ち上げられているのか全然分からなかった秀吉も、しつこく「秀吉可愛い」「秀吉最高!」と言われ続けると、明久たちのノリに巻き込まれる形で「理屈は分からないけどOK!」ってな感じになる。瑞希と美波というダブルヒロインはバカでありつつもどんどん愛着が湧くし、ムッツリーニ、翔子たちも、ひたすらたった1つの属性だけを押し出し続けていたおかげで、気付けばその勢いにはめられてしまっていた。本当に力業だとは思うのだが、こうした「細かいことを犠牲にしてでも曲げないキャラ描写」というのは、やっぱり強い。 シナリオラインについても、12話が終わった時点では「それなりにきれいにまとまったんだからここで終わらせておけばいいのに……」と思ったのだが、13話は事前に準備しておいた翔子と雄二の伏線がきれいに決まっており、これはこれでかけがえのないエンディングになっている。「バカ」という言葉は本来悪口であり、あまりメインテーマとして扱うのにふさわしいタームではないのだが、この作品は憚ることなく「バカ」「バカ」と連発して他のギャグと同一のレベルにまで持っていくことで後ろ暗い部分を消していて(また、明久が本当にバカなので言われることも気にならないので)、エンディングの全員集合シーン(オープニングカットを使った疑似バンクが格好いい)で奇妙な暖かみをもったシンボルとしての意味合いを確立させている。実に如才ない。原作がどういう構成になっているかは知らないが、多分原作者の構成力はなかなかのものなのではなかろうか。 もちろん、そうした「うまい」作りを1作品として成立させたのは、画の品質を下げることなく、コミカルな画面構成とテンポの良い演出を実現させたスタッフの力。試召戦争で召喚獣が絡む画面でのデフォルメキャラとの並行描写は「ぱにぽにだっしゅ」以来のシャフトスタイルの亜流がきっちりはまっている。作画面についても崩れることがほとんどなく、本当に安心して毎話見ることが出来ました。そして、当然中の人。ダチャーンとミズハスのコンビはほんとに最高です。鈴木達央、加藤英美里、宮田幸季、磯村和美などの回りを固める面子も良い味を出してます。個人的に一番好きなのは、ぼそぼそと回りから取り囲むような津田健さんのナレーションなんですけどね。そして、この作品には個人的にもう1つサブタイトルを付けたあげたい。「下野紘の正しい使い方」と。 PR 「ひだまりスケッチ×☆☆☆」 5→5 過ぎ去りし思い出の日々。そんな、心にぽっかり大きな穴を空けて去ってしまったひだまり。次にゆの達の顔が見られるのはいつになるやらなぁ…… 正直、この3期は「予想外」の仕上がりであった。おかげで序盤は完全に肩すかしの形になってしまい、不満もぽろぽろとこぼれることになった。何が変わったかって、やはり大沼心、尾石達也という2人のメインクリエーターが抜けたこと。これにより、いわゆる「シャフト臭」が全く毒気のないものに変わってしまい、画面に流れるのは本当に何の裏表もない、「ゆの達の日常風景」になってしまった。あのゴリゴリの尾石節を期待していた身としては、この変化は正直ショックで、作品自体のクオリティも下がってしまったと感じずにはいられなかった。 しかしまぁ、見続けているうちに、「あぁ、これがあるべきひだまりの姿だったのかもしれない」と考えを改めるようにもなった。ストーリーは地味だし、アニメーションとしても動きが素晴らしいとか、構図が見事だとか、そういう話には一切ならず、わき上がる感情といえば敢えていうなら「平和だなぁ」というくらいのもの。しかし、それも当然ではあるのだ。だって、ひだまり荘は平和なんだから。 そう思えば、この「☆☆☆」も、確実に「描くべきものを描いたアニメーション」としての仕事は全うしている。新入り2人を加えてプロット自体はややこしいものになったが、それを限られた画面カットで何とか表現していたし、これまで培ってきた2期分の「ひだまり」を壊すことなく、無事にゴールインさせることも出来た。やんちゃだった子供が立派な大人になったような、そんな奇妙な達成感すら感じられるかもしれない。蒼樹うめという人が描きたかった「ひだまりスケッチ」は、本来こうあるべきだったのかもしれない。 個人的な好みでいえば、やはり2期までの悪ふざけが過ぎる構成の方が好きだ。しかし、そればかりが正義というわけでないのも当然の事実として認めるべき。史上屈指の「ほのぼの空気系アニメ」として、ひだまりはゴールにたどり着いたのかもしれない。とりあえず、スタッフの皆さんはお疲れ様でした。アスミスは、これからもよろしく。
「はなまる幼稚園」 6→5
不思議な作品でした。ここまで「特に何も無い」作品というのは珍しくて、例えば同じような「日常系ほのぼの」に分類される「ひだまりスケッチ」なんかでも、どこが描かれるべきポイントかははっきりしていて、ひだまり荘の住人を中心にした物語展開が確立している。3期も重ねれば吉野屋先生単独エピソードなんかも出来るようにはなるが、それはあくまでイレギュラーな事態であり、膨らんだ世界を元にしたものといえるだろう。 しかし、この作品はそうした「中心」がぼやけている。もちろんメインとなるのはつっちー・杏・山本先生の3つの視点だろうが、わずか12話しかない1クールの中で、メインの視点が山本姉妹の生活にうつったり、花丸先生にうつったり、桜先輩にうつったり、なかなか落ち着いてくれない。もちろんその中心には杏たちがいるわけだが、正直言って「杏とつっちーの幼稚園での生活」というものが充分に描かれた後ではないので、そこが中心であるという意識があまり働かない。おかげで、「世界が広がりを見せている」という以前に、「どこかふらふらしている」というイメージが先行してしまう気がする。 そうした奇妙な落ち着きのなさは、この作品の構造事態に起因している。主人公が中学生、高校生ならば感情移入も出来るかもしれないが、流石に幼稚園児ともなると、普通に考えれば「観察の対象」だ。つまり、視聴者の視点はつっちー達教員側に寄る。しかし、この作品の視点は、頻繁に杏たち園児の側に回るのである。もちろん、園児とは言っても過度に大人びているのでその思考についていくのは全く苦にならないし、1話でみせた独特の視点設定のように「園児目線だからこそ出来ること」もあり、充分に面白いものではある。ただ、ここからふいっと教員視点に立ち戻った時の振れ幅が、他の作品よりも大きくなっているのが特徴的なのだ。「園児の見る世界」と「園児を見る大人達から見る世界」はやはり異なった対象なのであって、それを同時並行で描くというのは、並大抵の労力ではない。この作品は、そうした「地味に難しいこと」にきちんと当たっていた作品だったのかもしれない。 個人的な感想としては、尺の短さもあり、どうもそうした「不安定さ」が落ち着かない作品になってしまったという気持ちはある。ただ、これは必ずしもデメリットであるというわけではなく、前述のように新しい視点も提供してくれているわけだし、コロコロ変わる内面をきちんと追いかけられれば、刺激の少ない「日常系ほのぼの」作品でも起伏のあるストーリー展開が実現できる。そのあたりの配慮はやはり目を引く部分で、毎週変わるエンディングなどは、意識的に「世界の多重性」を視聴者に訴えかけるためのツールであるとも読み取れる。突き詰めればこれは1キャラごとに与えられる視点が違うということであり、多少変則的な形の「群像劇」としての意味合いもあったのかもしれない。 なにやら偉そうな感想になってる気がするが、まぁ、結局は「可愛らしい子供達でほっこりしてればいいじゃない」というのが結論なんですけどね。柊師匠のさらなる活躍を期待しています。ものすごい余談だが、これを観ていて何となく気になり、途中でやめていた「こどものじかん」を改めて一気に読み直してみた。あの作品の場合は、視点は確実に教師側にあるので全くブレがなく、ストーリーも一本の芯が通っているので読みやすい。最初は「似たようなもんだろ」と思っていたのだが、やっぱり随分違う作品だったということが確認出来た。まぁ、本当に今更なんだけどね。 「キディ・ガーランドKIDDY GiRL-AND」 5→3 散々各話レビューで書ききっているので大してまとめることもないのだが、やっぱりこの作品は残念である。改めて考えると「前作がそこまで肩入れするほど面白いもんなのか」と言うのも定かでないのだが、それでもやっぱり、思い出が駄目にされるとしょんぼりしてしまうのは致し方ないことだ。 画面の説得力に関しては、シーズンを通じてそれなりのクオリティは維持していた。一応「萌え作品」にもカウントされるものであろうから、キャラ画が崩れてしまっては話にならない。そういう意味では、一応毎話毎話アスクールやディアは可愛らしいままだったし、例えば5話の細田直人回なんかは素晴らしかった。佐藤順一回とかもあって、実に贅沢なラインナップ。そういう「個々のクリエイターの実力を見せつけられる」媒体としては良い働きをしている。ただ、それだってやはり一過性のものでしかないので、全体的な出来不出来を評価する意味ではプラスにはなり得ない。シリーズ通しての画面作りというなら、むしろ艦隊戦闘のショボさや、その他アクションシーンの淡泊さ、無意味さを嘆く部分の方が多かったように思う。 そして、最大の問題はやはりシリーズ構成だろう。一応「SF能力者バトルもの」だったはずなので広げようと思えばどこまでも物語は大きくなったはずだが(そして実際に「逆襲のシャア」をやったんだから大きくはなっているのだが)、この白けっぷりはフォローの余地がない。トリクシー・トロワジェインの無駄死にっぷりとかはたまらないものがあるし、ラストバトルのアスクールの覚醒だって、特に理由も見いだせず、誰が強者で、誰が選ばれし者かも分からないままなので驚きもなくて違和感だけが残る。別に前代未聞のびっくりストーリーを用意しろというわけではないのだから、普通に理解出来て、普通に感情移入しやすいレベルの物語構築が出来なかったものか。 そして、最大の不満点は「どうでもいいメタネタの挿入」。ニコ動ネタに中の人ネタなど、もちろんそれだけでやれば受けるフィールドもあるのだろうが、完全にこの作品にとってはノイズにしかならない。前作にはそうした要素は全く無かったわけで、わざわざ新しく導入する意味が分からない。序盤に客層を引き込むための阿漕な道具立てとして使うだけならまだ許せる部分もあるが、この作品の場合、最も大切な最終話の締めに至るまで、この求められていないネタ要素を入れてきた。この構成は、流石に理解出来ない。一番笑えた部分は何かと聞かれれば、間違いなくDr.モローのアイキャッチだろう。もう、そこだけに特化してくれれば彼の業績も引き立ったものを。 個々の要素を見れば高水準な部分もあっただけに、本当に勿体ない作品。何が悲しいって、「2作目」がこれじゃ、1作目に戻って視聴しようという新規層が全く期待できないということ。アールヴたちも浮かばれねぇよな。一応、最後にお約束のフォローをいれておくと、メインをはった新人声優達は、手放しで褒められるレベルではないが、割と頑張ってました。内田彩と合田彩、そして高橋夢波。惜しくも衝撃の代表作というわけにはいかなかったが、今後はこの業界で生き残ることが出来るだろうか。ちょっと注目。 「テガミバチ」 4→4 何となく2クール見続けてしまった作品。結果だけを先に書くなら、可もなく不可もなく。おそらく与えられた原作を忠実に再現したものなのだろう。原作未読の人間からすると、「まぁ、悪くはないかな」と。 取り立ててピックアップすべきポイントも見いだしにくいのだが、一番印象的だったのは、やはりその画面の色調である。「夜が明けることのない星」とされるアンバーグラウンドは常に空が闇に覆われており、光の差さない地面も青を基調として寒色で染められる。更に主人公ラグ達のユニフォームも青が基調なので、油断するとすぐに画面の色調が落ち込んでしまう。そうした独特の画面効果をあまりデメリットとして出さずに、むしろそこに動くニッチのようなイレギュラーな動きを強調するための道具として使っている部分もあり、気遣いが感じられる部分は面白かった。 また、ラグの持ち技である赤針のエフェクトも見どころの1つで、表出した記憶が、アンバーグラウンドに降る雪とオーバーラップして舞い飛ぶシーンはなかなか面白い使われ方をしていた。回想が多重に絡むとややこしい状態になってしまうのは問題だが、それでもなるべく視聴者が混乱を来さないように、分かりやすい構成になっていたのはありがたい。 とまぁ、様々な画面構成については見るべき点も少なくなかったが、今のところ、どうしても話が地味だ。もちろん、原作もこの「地味だけどいい話」っぷりが持ち味なのだろうが、流石に筋立てが陳腐なものが多くて、のめり込んで涙を流せるかというと、どうもそこまでの説得力は無い。また、2期が決定しているとはいえ、最終回が完全に尻切れトンボの状態で終わってしまったのは、些か配慮に欠けていると言わざるを得ないだろう。2期に対する興味が最大限に惹かれる幕引きではあるのだが、1つの作品の締めとしては「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドというのはやはりいただけない。2クールもやったのだから、もう少し「一応終わり」っぽい終わらせ方もあったのではなかろうか。 ……まぁ、2期が始まったら多分そちらも観るとは思うんだけどね。個人的には、やっぱりニッチ(とステーキ)が素直に可愛らしかったです。藤村歩は、本当に便利な役者である。 「のだめカンタービレ フィナーレ」 5→5 まぁ、こんなものではないかと。特に手放しで褒めるような作品ではないのだが、見ていて全く不満が出ない、そんな仕上がり。多分、原作もこんな感じなのだろう。 多少予想外だったのは、のだめと千秋の関係が「一応ゴールに」というくらいのところで幕引きとなった点。勿論決着を付けてくれないと終わらないだろう、とは思っていたのだが、最終話の決定的な千秋の「返答」にしても、割とあっさり描かれていてラブロマンスとしての重みはそこまで目立ったものではない。特に千秋は今作では(今作でも?)終始鬱々としており、恋愛を楽しんでいる様子も現れなければ、ゴールを迎えたことによる達成感もそこまで感じられない。もう少しあけすけに2人の関係を描くのかと思っていただけに、その部分だけが少し意外ではあった。ただ、のだめや千秋というキャラクターのことを考えれば、このくらいの決着が一番いい塩梅なのかもしれません。 その代わり、他のキャラクターたちは割と落ち着くところに落ち着いている。ターニャ達の関係も意外ではあるのだが、今回はのだめ達よりも回りの人間たちの関係性の方が詳しく描かれていたような気すらするので、すっと受け入れられるエンディングになっている。ルイの話なんかも同様。また、音楽関係の成長物語としてもあまり嘘くさくならず、無難なレベルでの「ハッピーエンド」といえるので、そのさじ加減には素直に感心した。少女マンガなんて少年漫画に負けず劣らずファンタジーで都合のいい空想ばかりのストーリーだという勝手な先入観があったのだが、割と地に足がついたシナリオラインだったので、拍子抜けではあったが妙に納得出来る。こういうバランスが、世間的に受けている理由なのかもしれません。 そして、アニメとしての全体的な出来だが、今期は人間関係を追う比重が過去2作に比べても高く、あまり演奏シーンでの独自の技術が見られなかったのは少し残念。ただ、それは過去2作で充分良いものを見せられたおかげで慣れてしまったが故に起こる贅沢な注文という気もする。今回だって、シュトレーゼマンがタクトを振るシーンなんかは、「へぇ、指揮者って本当にこんな風に見えて、こんな風に音を変えるんだ」っていうのが何となく分かったシーンとかもあり、独特のこだわりはちゃんと確認出来たしね。 ま、正直言うとそこまで熱心に見ていた作品ではなかったのでコメントも大したことは書けないのだが、結論を切り出すと「やっぱり川澄綾子は凄いよな」ってことでいいんじゃないでしょうか。そして伊藤静に大原さやか、佐藤利奈。やっぱり音楽アニメなんだから耳で観るに限るよね! 「クロスゲーム」 5→5 あだだだだだち、充。実を言うと、あだち充作品を最初から最後まで観るのって、あらゆる媒体で初めてだったりします。あ、嘘だった、一応「いつも美空」は連載当時リアルタイムで全部見てた。……というくらい、あだち充を知らなかったんですよ。にもかかわらず、気付けば1年という長丁場を特に意識せずに見られてしまったというのは、やはり何か奇妙な魔力みたいなものがあるんだろう。別に何が面白かったかと聞かれたら答えに詰まるし、かといってつまらなかったかと聞かれればそうでもない。やっぱりこの空気が独特なんだ。 敢えて理由を説明するなら、1つは「会話の含意を前提として見せる」という描写の手法がある。あだち充作品というのは、極端にネームが少ないシーンがあったり、動きの全く無いカットをただただ繋いで、バンクシーンのごとく同じゴールを用意している場合が多々ある。これらの描写というのは、意図的に直接的な台詞回しや行動を削ることで独自性を生み出す結果に繋がっているわけだが、そうした「どこか油断ならない」方向性は、ダラダラと流しておくだけで見るのはしんどいし、ちょっと勿体ない。きちんと画面構成まで見て、そのキャラが何を考えているのかをきちんと理解した上で台詞を聞かないと意味が分からなくなる(というか真意がとれなくなる)ために、どうしてもいくらか集中して見入ってしまうのだ。 また、そうした原作の味をアニメにうまく落とし込むことが出来たのもセールスポイントではあるだろう。野球の試合をアニメで描くのだからどうしたって動きは大きくなりがちだし、アニメの作り手ならば少しでも動かしてクライマックスの躍動感を出してやろうと思う気がするが、この作品の場合、そうした「アニメ的なお約束のサービス」を半端に付けるよりも、ひたすら「あだち風味」を押し出すことだけを目的としており、試合中だろうが、修羅場中だろうが、ほとんど感情も高ぶらず、ただ淡々と仕事を全うするキャラクターたちが蠢くだけ。この構成はやはり勇気がいる。 この作品のキャラクターたちはほとんどが低血圧かと思ってしまうくらいに動きがない。光も赤石も東も、みんな野球少年なのに老人かと思うくらいに達観しきっている。ちょっと喧しい青葉にしたって、どこか変なところでヒネたり諦めたりしている部分があって、そこまでキャピキャピとヒロインしてるわけでもない。ひょっとしたら、そういうぬるま湯みたいな作劇が、昨今のアニメでは珍しかったおかげで気持ちよかったのかもしれません。1話で思わずもらい泣きさせられたけど、最終回も不覚にもうるっときてしまった。我ながら単純だなぁ。そうそう、ここもやっぱり戸松ですよ。青葉が戸松で本当に良かったと思っている。 最後に、やっぱり野球というスポーツ自体が面白いんだろう、ということも付記しておく。淡々と試合の流れだけを描写してもきちんとドラマが確立するって、本当に希有なスポーツだ。時期的にペナント開幕と同時に終わってしまったのはちょっと寂しいね。そういや、この作品もそうだけど、原作とアニメがほぼ同時に終了を迎える作品って、成功例が多いね。ARIAとか、とらドラとか。きちんと構成を組み立ててから作品化してることの表れだからかな。 「れでぃ×ばと!」 4→6 え〜と、大変申し上げにくいのですが、面白かったです。好きでした。「お前は『ちゅーぶら!!』を酷評した舌の根も乾かぬうちにこれを持ち上げるのか」と言われれば返す言葉も無いのでございますが、作品の出来不出来ってものは、とてもデリケートなものなんですよ。マジで。 ものすごくいいわけがましいことを書いておくと、別にエロいから好きだったわけではないです。ここのところ「クェイサー」だの「クイーンズブレイド」だの、おおっぴらに乳首券のバーゲンセールを開いている作品が多くて、これもその1つだったわけなんだが、正直、エロ描写が義務化されたせいでアングルなんかが制限されてしまい、カット割りがしんどくなるような場面も多かったため、弊害しか無かったような気がする。そりゃま、あったらあったで構わないし、風呂エピソードみたいな露骨な描写も出来るので下ネタギャグを突き抜けたところまで描けるのは強みになるのだが、そこをメインに描かなくても良かった作品だった気がするのだが。 じゃ、何をメインで見ていたかといえば、やっぱりキャラクターの掛け合いの部分だろうか。セルニアを筆頭に四季鏡姉妹や大地、そして当然秋晴なんかはコテコテテンプレートで捻りの欠片も無いキャラクターではあるのだが、朋美のキャラがいい感じに潤滑油となっており、どストレートな絡みもそれなりに見られるものに仕上がっていた。ハーレムものとは言っても集まってくる女の子キャラは真正面に秋晴を見ているばかりじゃなくてどこか妙な方向にピントがずれているので、ぐだぐだ加減もまた別の味わいがある。締めのエピソードもきちんと「まだまだ続くよ!」なのに1つのオチとして機能しており、「1クールでやるラノベ原作のハーレムもの萌えアニメ」としては及第点の仕上がりだろう(あまりに狭すぎて参考になりにくいカテゴリ分けだが……)。 とまぁ、なんとか微妙に褒めてみたが、普通に見たら萌えオタ御用達の消耗品アニメ。取り立てて感心する必要も無い。 ……ぶっちゃけると中の人のおかげなんですけどね! だって考えてもご覧なさい。最終回のラストシーンで集まったキャラクターを中の人で列挙すると、中原麻衣、川澄綾子、小清水亜美、後藤邑子、早見沙織、後藤麻衣、花澤香菜、戸松遥、釘宮理恵、日高里奈。もし「声優ヒロイン度数」みたいなものがあって合算したとしたら、完全にメーター振り切ったオーバーフロー。そりゃ、それぞれのキャラも立つに決まっているわけで。 つまるところ、本作の殊勲賞は、そうした贅沢なキャスティング部分である。特にセルニアに中原麻衣という外しようのない大黒柱と、それと並び立っても微動だにしない朋美役の川澄綾子。ぎゅるぎゅる回るドリルに活力を与える中原パワーは今更語るべきものでもないし、中盤は本当に朋美の「ヘッ」が聞きたいがためだけに観ていたようなもんですよ。そこに絡むのはサブキャラにしておくのはもったいなさ過ぎる小清水メイド。小清水はどうしても真面目な役、切れ目の役をやる機会が多いだけに、中の人の奔放さを垣間見せるポンコツ役で暴れ回ってくれたのは本当に眼福。血縁関係にゴトゥーザ様って、どれだけ素晴らしいキャスティングですか。 中盤以降で一気に株を上げたのは、出番こそ多くなかったがとてつもない存在感を見せてくれたヘディエ。多分純粋な技術的難度でいったらヘディエをやるのが一番難しかったと思う。充分高かった戸松株だが、まだまだ天井が見えない。釘宮ショタ娘なんてライトにイチローくらい当たり前の配置はおいとくとして、さらにリアル中学生声優日高里奈の持つポテンシャルまでも爆発させ、どこまで心得た音響なのかと。そうそう、理事長役の伊瀬茉莉也も美味しかったです。ほんと、耳の休まる暇もない作品! ということで、「声優大好きな人間ならとりあえず観とけばいいと思う作品」というカテゴリでいいと思います。一応もう少しフォローしておくと、高見明男のキャラデザも割と好きなんだけどね。目のハイライトの入れ方が独特なので、アップになってもキャラが崩れにくいんだよね。こういう「アニメ向き」のデザイン構築って、やっぱり熟練度が出るもんですね。
「ちゅーぶら!!」 4→4
題材が病気な作品だったが、気付けばどうでも良くなっているのが恐ろしい。「下着同好会」って言う言葉が凄く普通に聞こえるんだもんなぁ。まぁ、どこまで危険な作品かと言われると、別に大したことなかったんじゃないか、という気もする。 結局、この作品の製作理念は「女子中学生がブラやらパンツやら言ってはしゃいでいるのを見てハァハァする作品」ではなく、「ちょっとイレギュラーな青春要素を中心にして学園ものをやるだけの作品」である。描かれていたものはエロがゴールではなくて、それを使ったコミュニケーションによる友情の描写であったり、大人と子供を行き来する微妙な年齢の心情の描写であったりする。「下着部合宿」だって、ちょいとシフトさせて「合宿に行って特訓する話」だと解釈すれば(いや、してねぇけど)、学園青春ものとして特におかしな展開ではないし、最終回に向けての燃料は学園ものでは定番の引っ越しによる別れだ。やろうと思えば野球だろうがバスケだろうが描けるような作劇である。結局、骨子はスタンダードなので、そこまでおかしなものは出来上がらなかった。まぁ、それでいいような気もするんだけど。各々のキャラクターはそれなりに立っていたし、別につまらなくはないわけだからね。 ただ、結局それって誘致要因が薄いっていう話でもあって。この作品はどういう製作姿勢なのか分からないが画面がちょっとぼやっとしていて画的なセールスが薄く、シナリオを追う以外の作業が視聴時に発生しない。そのシナリオがチープなものであれば、残念ながら楽しめる要素は少ない。そりゃまぁ、この設定で「微に入り細を穿つ緻密な描写をするのだ!」というのはちょっとした変態紳士の主張になってしまうわけだが…… というわけで、個人的にはキャストの力で見てた部分が大きいですな。メインヒロイン奈由役の茅原実里は、こういう地声に近い役だと演技がぎくしゃくしないので安心して聞けるし、寿美菜子もおそらく初めての「地声よりもやや低めの声」だったので、これまでとは少し違った演技の切り口が見えた。まだまだ他のメンバーに比べると見劣り(聞き劣り?)してしまうのだが、確実に進歩はしているだろう。そして珍しい関西弁の役を振られてきちんと構築してみせた矢作紗友里も、随分貫禄が出てきた。日笠陽子も、キャラとしてそこまで立ってはいないが、癖のない使いやすさが好印象。全体的に、若手連中と中堅のバランスがいい感じでした。 そして、巨乳皆勤賞を続ける水野先生役の大原さやか。結婚に萌える天然巨乳女教師……あ、なんか切ない。憧れの先輩が櫻井孝宏だったんで、「空中ブランコ」の2話を思い出してちょっと楽しかったです。 |
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HN:
Thraxi
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声優のこと全般
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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