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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「魔導具師ダリアはうつむかない」 4→4

 異世界転生魔力奮闘恋愛ドラマの最終的な感想が「そっか、水虫ってほんと大変なんだな……」だったのはどうかと思う。……俺の感想間違ってないよね?

 まー、なろうである。「魔道具師」という設定が1話目時点でかなりなろう的マイナス要因になると感じられ、転生前の知識で適当にマヨネーズやリンスを作ってドヤ顔して見せるだけの筋書きになるんだろうなぁ、と勝手に見下しながらスタートしたわけだが、(もちろんそうした要素もてんこ盛りだった上で)色々と違うテイストにも貪欲に手を伸ばしていたのはちょっと新鮮だった部分。いや、新鮮ってのはちょっと違うのかな。テンプレとテンプレを混ぜ合わせたテンプレキメラみたいな状態だったので、「この足し算はやりたい放題やな」と面白くなったというか。

 一番大きな要素は少女漫画的なサムシングである。元々「女だてらに仕事ができるアテクシ」はなろう的であると同時に少女漫画的でもあるわけだが、今作はその側面にかなり強めに少女漫画的なフォーマットを当てはめ、ラブ要素に焦点を当てている。もちろん悪役令嬢をはじめ女チート師が男を振り回す展開もなろうテンプレの1つではあるのだが、1人の相手に絞って互いに「デキるやつ」アピールをしながら愛を育んでいく様子は、「素敵な王子様」にフォーカスする少女漫画の傾向が強い気がした。その前段階としてちゃんと1回婚約破棄してザマァ要素を確保するあたりがどうしようもないくらいになろう的なのだが、すでにこの辺は様式美として捉えられているのかもしれないので、気にしても始まらないのだろう。

 そうして少女漫画的な純愛要素を押し出し、さらにそこに異世界チート譚を遠慮なくぶちこんでいくハイブリッド構造はちょっと興味を惹かれるものだった。ただ、いかんせんその中身があまりに下世話な感じがして……「俺たちは異世界で何を見せられているんだ?」という疑問が消えることはなかった。今作と近い構造を持つアニメとしては「本好きの下剋上」があり、商品開発と異世界知識マウントという部分は同じなのだが、「本好き」の方は主人公のハンデに加えて、教会のシステムなどその世界ならではの部分がいい具合に縛りとフックになり独自世界を演出していた。こちらの世界については、ほんとに技術体系がどうなってるのかよく分からないというのが最大のネックで、1つ1つの商品開発が点と点のままでさっぱり結びつかない。適当にその辺にあるものから思いつきで「異世界転生」ならぬ「異世界転売」してるみたいな印象が強く、よりマウント感が雑味として足を引っ張った。

 それに加え……正直言ってさ、水虫対策に全力で挑む企業の成功譚、そこまで見たいか? なんやこの雑なプロジェクトXは。シュールという意味ではちょっと面白いのかもしれんが、例えば「Dr. STONE」みたいに既存知識をその世界に積極的に適応させるでもなく、ネットの水虫対策Q&Aで適当に見てきたんかな、くらいの設定でなんとなく革新的な開発メソッドを生み出したように見せているだけ。……これだったらP.A.WORKSあたりがどこぞの地方の靴下工場の「お仕事アニメ」を作ってくれた方がよっぽどためになりそうじゃない? 今期もほら、鹿せんべい工場のお仕事アニメがあったし(そんなものは無い)。

 まぁ、映像部分は並かやや良レベルだったので最後まで視聴するのにそこまで苦痛はなかったのだが、毎回毎回「俺たちは何を見せられているんだ?」と首を傾げる筋立てはあんまり良い刺激だとは思わなかったね。タイトルが「靴下と靴の中敷職人ダリアはうつむかない」だったら評価してた(してない)。

 
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「現代誤訳」 5→4

 まー、評価もなにも、津田健次郎のファンジンみたいなもんだから……。別に嫌いじゃないけど、それって単に「なんとなくツダケンがわちゃわちゃしてるのを見てるのが楽しい」っていう声ヲタの精神だから、アニメがどうこうとか関係ないのよね。頑張って作ってくれたのかもしれんけど、アニメ作品としての評価は……うーん。

 いや、別に嫌いでもないんだけどさ。単なるシチュエーションコントだからあんまりアニメにする意味が見出せなかったのよね。それこそキャストのゴリゴリに濃い連中だったらガワの絵すらないラジオドラマでもほぼ同じ満足感は創出できた気がするし。オリジナルアニメを作りたいと思った割に、「アニメ」のウェイトの軽い作品だったな、と。まー、こんだけ「頑張って作ってったんすよぉ、アニメ作るのめっちゃ大変なんですよォ」っていう模様を事細かに訴えられると「そりゃ頑張ったのは分かるんですが……」となんか申し訳なくなってしまうね。この作品を解釈すると、「じゃぁこれと比べるべくもない世の中の超絶アニメの数々はどんだけの人たちがどんだけ頑張ってるんだろう」と普段から浴びるように優良アニメをグイグイ飲み続けてることへの感謝を新たにしますわ。そういう意味では意義深い作品だったのかもしれません。流石にコントパートが5分そこらで終わって延々中の人奮闘記だった回があったのは笑ってしまったが。

 (ここまで浪川社長の名前が出てこないのは仕様です。いや、別に嫌いなわけじゃないです)

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「義妹生活」 6→7

 端正な作品だった。何よりもまず、今というこの時代にこの構造のアニメを発表できたこと自体が一番評価できる部分だと思っている。

 感想はだいたい書いてしまっているので改めてディティールを振り返るつもりはないが、大枠でまとめると「画による語りを信じて画面を作り続けた」ことが最大の功績。筋立てだけを見ればあまりに地味だし、画面の動きも、音響の働きすらも現代アニメの傾向に逆行するような非常に淡白なもの。「義妹との恋愛関係」なんて手垢のついたテーマについて、安易な考えでアニメを作れば、けばけばしく、陳腐な時間が流れそうなものだが、今作においては油断して画面から目を離す瞬間がほとんど無い。感情を抑えたモノローグを中心に展開する作劇の中、画面が何を語るかを常に考えながら視聴を続け、そこから細やかな「兄妹」の心情を拾い上げていく行程はとても魅力的だった。この作品、原作時点で色々とチャレンジ精神がある作品だったらしいので……これまた原作がどんな性格なのかはちょっと気になるところ。

 繊細なライティングと巧妙なカット割りで回す今作の映像、実際の作業としてのリソースはそこまでかかっていないだろうから製作のディーンについては「まぁ出来るかな」くらいの印象なのだが、興味があるのはこちらの作品を引っ張った上野壮大氏という監督について。経歴を確認すると制作進行からのキャリアらしいのだが、割ととんとん拍子で監督役にまで上り詰めている感がある。そしてその重積を見事に果たす今作の構造。コンセプト時点で大枠の方向性は決まっていたのかもしれないが、この路線に乗せて作品を成立させるのは非常に難しかったと思う。その手腕が今後も別な作品で活かされることを切に願っている。

 心穏やかに、されど刺激的に、そんなアニメをお求めの方はじっくりゆっくり味わって欲しい。

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「擬似ハーレム」 6→5

 点数は下げてるけど一切ネガティブな印象は持ってません。言語化しにくいんだけど、多分1話目時点での「異物感」みたいなものが回を重ねるごとに慣れていったために特別な要素がなくなっちゃったんだと思う。ほら、よく分かんない食べ物を一口食べて「?! なんだこれ!」ってびっくりしたのが第一印象で、そのあとでよーく咀嚼したら「うん、うん、あー、なんとなくアレに似てるかもしれない。いや、美味しいけどね」みたいな印象になった感じ。

 なんで言い訳みたいな書き出しになっているかってぇと、要素の切り出しが難しいからなのよね。だってほんとに思いつきで作った「複数の属性を演じることができる後輩ちゃんとずっとイチャイチャしてるだけの話」じゃん。ネタ部分は1話目で全部出し切っちゃったわけで、ひでぇ言い方をすればあとは惰性みたいなもんでさ。そこから「1クールずっと面白かったですね!」とはならんのよ。でも別に嫌いじゃなくて最後まで特に退屈せずに観られている。多分トータルですごくまとまりのいい作品なんだよ。作画クオリティも決して低くはないし。やたらとクセの強いキャラデザも、メインヒロインの凛が「可愛い」と思われてしまえば、あとは勝手にイメージの方がついてきてくれるからね。

 あとは早見劇場をどれくらい求めているかで評価は変わるかしらね。私は割と求めてる側で、こんなんなんぼあってもいいですからね。でもそれだけで手放しで評価しちゃうのも流石にどうかと思ったのでなんとなく気取って一歩引いた感じにしている。こっちを評価して「魔法科高校」を評価しないのもどうやねん、みたいな変な正義感が俺を邪魔している。いや、そこはもう「全部違うだろ」でいいと思うんだけどさ。今作ならではのポイントををピックアップするとしたら……そうね、「高校→大学」っていう変化を1本のアニメ作品の中で連続して描いてるパターンって珍しいよね。中盤で先輩が卒業した時には「えっ、最終回だったん?」と不安になったが、そこから学校の違いを軽々と飛び越えてちょっと「大人の」恋愛をしてる2人がまた微笑ましかったですわ。最終回の達成感とか、見てたらもう点数下げなくてもいい気もしてきたな。

 なんだろ、こうしてアウトプットしてるとだんだん「来週から見られないのかぁ」っていうロスに陥ってる気がしてきた。情緒大丈夫か。

 
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「俺は全てを【パリイ】する〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜」 4→3

 今期は異世界なろう作品をバッサバッサと切り捨てて割とすっきりしてたシーズンだったんですが、一応最後まで見ていた作品もあります。ただ、切ったか切らなかったかに明確な差は無く、序盤数話での巡り合わせとしか言いようのない基準です。何が言いたいかというと、別に最後まで見てた作品が面白い作品ではないということです。

 まぁ、一応映像部分にマイナス評価がないという部分は視聴継続の理由にはなっていたのかもしれないけど、別にいい画があったかと言われたらそんなこともなく、いつものように「こういう作品を減らしてもっと限られたアニメにリソースを割けばいいのに……」と思うだけのもの。なろう的枠組みから外れることはなく、最後までなんかムカつく話をずっとされるだけのアニメ。ことに今作はサブタイトルにもある「逆勘違い」というのがネタの根幹にあるために、主人公が「難聴」とかいう次元ではなくて単なるバカの極みになってしまったのでイライラ具合も尋常じゃない。

 もちろん作り手側は「才能があるのに気づいていない」という部分を面白おかしく描くネタとして取り扱っているわけだが、こんだけ同じくだりをひたすら繰り返され、その都度適当な理由をつけて勘違いのままで維持し、主人公の認識を一切改める様子がないのは、あまりにネタのためのネタで不条理さが先に立つ。冷静に考えて、「自分の実力を鼻にかけてマウント取ってくるバカ」と「自分の恵まれた境遇を全く理解せず、勘違いのままでいい人ぶっているバカ」はどちらも等しくムカつくやつなのは間違いない。これを「善人」として描くのはいくら何でも無理があるだろう。ご丁寧に最終話で「実は昔からその才能は開花してたんですよー」みたいな後語りが出てくると「うるせぇ黙れ」感が加速しますね。

 せめてもうちょいなろうテンプレからはみ出る部分があれば根本部分のイライラには多少目をつぶることもできたかもしれないが、多分「勘違い」の構築に全リソースを振ってしまったためなのだろう、肝心の冒険部分については何一つ心踊る部分はなかった。まぁ、想定内といえば想定内ですけどね。

 この作品のせいでパリィという古くからTRPGとかでも使われてる1つのちっちゃい技術に変なレッテルが貼られるようになったらヤだなぁ。あ、「パリィ」っていうワードをうまいこと使ったオープニング曲だけちょっと好きです。歌詞を確認したら「PARTY」なのね。

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「女神のカフェテラス(第2期)」 ―→5

 なんかもう、「おめぇはそれでいいや」の極致だ。伝統芸能というのは守り継ぐことと打ち破ることのバランスが難しい。今作は、案外チャレンジ精神に溢れた「破」の精神を持った作品だったかもしれない。

 確認したら、作者の瀬尾公治も今年で御歳50歳。名実ともにマガジン作家陣の大ベテラン。初めて連載を開始したのが20年ほど前だったらしいのだが、そこから5本もの連載を繰り返し、ほぼ全てが似たようなテイストのラブコメ。マンネリズムの極みの中、もはや作家性におんぶにだっこで手癖で描き続けても文句は言われない(いや、文句は言われても気にならない)域にまで達しているはずだ。その上で、この作品が出てくるってのはけっこう偉いことなんじゃないかと思うのである。

 2期目での注目ポイントは何と言っても「5人のヒロイン勢にさらに5人追加」というありえない展開。しかも元ヒロインをベースにしたコピー品との対決、暗黒聖闘士形式での追加という未だかつてない導入で、ラブコメというジャンルに風穴を開けた感がある。いや、意味はないんだけども……「その発想は無かったし、あったとしても誰もやろうとは思わなかった」みたいな無茶苦茶な展開。10人のヒロインなんて御しきれるはずもないし、単にとっ散らかってラブコメの体裁すら保てない危険性がある中、ひたすらドタバタギャグに徹してノリと勢いで回し続けるこの作風は、案外やろうと思ってもできなかった形式なのかもしれない。考えてみりゃ、マガジンといえば先輩の赤松健が「ヒロイン30人」という更なる無茶を実践してそれなりの結果を残した誌面。案外そうしたチャレンジ精神というのは受け継がれるものなのかもしれない。まぁ、今やヒロイン数が「100」に辿り着こうという作品すら生まれる時代ではあるが。

 設定を作り、盛り込み、切り盛りする。その結果だけを見ればなんだかんだで成立していたし、明け透けなエロもここまでいってしまえば単なるギャグに特化して古臭い笑いがいい味わいになる。私の中の瀬尾公治の作家性はここまで振り切れるものだとは思っていなかったので、正直ちょっと感心したくらいである。まぁ、残念ながらアニメーションとしてのクオリティは並も並だったので大きな加点には繋がらないが……手塚プロのチープな作画がこの「温故知新」にはちょうどいいのかもしれませんな。

 「ドタバタしてたなぁ」という何となくの記憶だけで飲み込んでおくのが吉なので、この後の結末とかもあんまり興味はない。3期は、別になくてもいいですが……あったら観るんだろうな。

 
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「ラーメン赤猫」 5→5

 猫が見たければYouTubeでいい。ラーメンが食べたければ食べにいけばいい。それならこのアニメには何を求めるものか。多分、ラーメン赤猫なんでしょうね。

 アニメーションとしての映像部分については特に語るべきこともないため、本来だったら物語の中身について言及するべきなのだろうが……なんだろ、ふわっと逃げられた感がある。最初から「画が微妙だし、ネタ回しもそんなにハマらないだろうなぁ」と思いながら見ていた部分があり、実際に特にハマってないはずなんだけど、「まぁ、これはこれでいいか」くらいで落ち着いてしまった。設定に整合性なんてとれてない気がするんだけど、そこはケロッとした顔で流しちゃう、妙な余裕がある作品というか、「気にしちゃうこと自体をネタにされてる感」というか……。

 新番チェック時点で「この世界における猫ってどういう存在なんだよ。猫だけが経営しているラーメン屋がそれなりに珍しい存在として認知されてるのに成立してる世界、無理があるだろ」みたいなことを気にしていたし、実際そこには不条理が満ちているのだが、なんかいちいち気にしてた要素を拾われて、「まぁ、私はこういう設定で考えてるんですけど、これ以上は掘り下げないでください」みたいな流れでいちいち思考をシャットアウトされた。「言葉をしゃべる猫ってどういう存在?」についても「恵まれた環境だと猫はしゃべらないかもしれません」みたいなすげぇふわっとした説明だけされて、「じゃ、他の動物は……」みたいな部分は触れてないのに、「じゃ、納得してもらえたと思うんで」みたいな振り切れ方で次のエピソードにいく。余計なところで萎縮するより、もうこれくらい図々しい脚本の方が割り切れるんだろうな。

 個人的には「猫を単なる人気取りの道具にしか使ってない作品」ってあんまり好きじゃないんだけど、今作は話数を重ねるにつれて、「まぁ、せっかくだから猫である意義を考えてみるか」くらいのノリで話を膨らませてるもんだから、時々「おっ」ってなるタイミングもあるんだよな。どうにも捉えどころがないのだが、もしかしたら「おとぎ話」ってこれくらいでいいのかもしれませんね。そうだよな、「カラスのパン屋さん」の延長線上にあると考えたら何もおかしくないもんな。

 というわけで「別に好きだとは思わないけど、気づけば毎週それなりに楽しかった」でフィニッシュ。それだけに、もっと作画にパワーがあれば魅力アップできたのかなぁ、とも思わんでも無いが、そこもユルい道具立てで処理したからこその味わいなのかもね。こういうCGの使い方は、今後はどんどんアニメのスタンダードになっていくのかなぁ。

 
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「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」 4→3

 なんかこぅ、懐かしいよね、こういう箸にも棒にもかからない感じのラノベ。かつて私はアニメ化ジャンルの沈殿物として「ラノベアニメ」を忌避していた時期があったが、そんな感情を思い出させてくれた。まぁ、今作も元を辿ればなろうらしいので、結局は「ラノベ差別」が「なろう差別」に遷移したっていうだけの話なんだけど。

 なろうで作品を読んだことが無いので何となく漏れ聞いたところからの確認なのだが、なろうで重要な要素はライブ感と絶えず読者を引っ張り続ける構造だと聞いたことがある。ある程度の長尺で起承転結を生み出せる(というか読者がそうなると信じてついてこられる)通常の小説媒体と異なり、なろうは短いユニットが繋がる形で次々とリリースされるので、少なくとも山場と山場の距離が近く、頻度も多いと、そういう認識である。そして、そんなに無数の刺激を絶えず生み出すというのはたとえプロ作家であっても至難の業であり、無理な構造自体がなろう作品をつまらなくしていると、およそそういう理解である。

 ただ、常に適当な要素をぶっ込める異世界転生ものと異なり、こうしたラブコメ的作品は「刺激的展開の連打」を維持するのは事実上不可能であり、何かしら「絶えず捕まえ続けるフック」が必要になってくる。タイトルを見る限り、本作における「個性的なフック」は「アーリャのロシア語」であるべきだ。作者だって、そう思ってデザインしてるはずのキャラだろう。でも、少なくともアニメを見る限りではそこって全くフックになってないんですよ。どーでもいいんですよ。いや、もしかしたら初期の1回2回は魅力になっていたのかもしれないが、こんなもんでバリエーションが作れるはずもない。せいぜいTwitter漫画で数回ネタ投稿して終わりくらいのボリュームじゃなかろうか。

 それではアニメで1クールもの間何をしていたかというと、謎の生徒会長選挙であった。まぁ学園青春ドラマでは定番の要素の1つであり、描き方はいくらもありそうなものだが、これがまたアーリャのキャラと一切結びついておらず、どちらかというと唾棄すべき俺つえーなろう文法の焼き直しみたいなフォーマット。ヒロインの個性を魅力に打ち出そうとして、何でその展開になるのかはよく分からない。ほんでこの仰々しい生徒会長選挙において重要なファクターとなるであろう演説なんかも何がすごいのかが全然伝わってこず、適当なエフェクトやスキル名で誤魔化せる異世界バトルの方がまだマシだった可能性すらある。作り手側はおよそアイディアも何も無い状態で生徒会バトルに突入したとしか思えないのだが、どこまでプランがあったんだろう。謎である。

 「ヒロインが魅力的に描ければいいんでしょォ!」ってんでアニメスタッフは頑張ってたんだよね。作画状態は良かったし、キャラデザだって単体で取り出せば嫌いじゃなかった。でも、その恵まれた素材からエロ漫画のコピペみたいな意味不明な展開に突然巻き込まれたり、筋立ての無計画さはどう足掻いても1本のアニメとしてまとめて楽しいものにはならなかった。

 2期決定かぁ……どうすっかなぁ……。

 
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「僕の妻は感情がない」 4→5

 終わってみればいい話。この展開でいい話風にまとまっちゃうのもアニメ文化のなかなか異常なところではあるよな。

 新番チェック時の感想は「キモい」だった。そしてその評価は全く変わってないはずなのだが評価は上がっている。その理由は「きちんとキモかった」からである。もうちょい言葉を変えるなら「責任あるキモさ」とか「覚悟を決めたキモさ」と言えるかもしれない。異常性を安易に放置して萌えやギャグに逃げるのではなく、異常な設定であることを充分に承知した上で、そこに重きを置き、そこを起点としたドラマ作りを実現させている。キモいものにはキモいなりの責任が生じるが、その見返りとしての際立ちも手にすることになる。

 「家電が嫁」という設定自体はそこまで目新しいものではないというのも新番チェック時に書いた通りなのだが、このポッと出の思いつきで1クールのアニメを作るとなるとかなりの難行。確認したら原作もスタート時点ではTwitterの落書きから思いついたような1コマ2コマ程度のネタが起点だったようだし、そこから膨らませて「ホームドラマ」にしようとすると、すげぇ安易にお茶を濁して「最初の設定どこいってん」みたいな流れになりかねないところだ。しかし、今作はとにかく「そう、主人公のタクマは頭がおかしいんですよ」ということを認めつつ、だからとてタクマを異常者扱いして馬鹿にするとか、自虐を突き詰めたネタ回しにするのではなく、「異常だと分かっていても、本人からみれば間違いなく純愛。それを認められる世界があったっていいじゃないか」と唯一にして最大の個性を突き詰め、そこに真っ正直なドラマ性を生み出している。ここまでしてくれるなら、キモさも強さである。いや、1クールのドラマを見せられた後では、もはやタクマたちはキモくない。彼とミーナの関係性に祝福を送れるようになってこそ、今作の評価は上がるというものだ。

 今期は図らずも「ATRI」とこれの2本同時進行だったことも、忌避することなく今作を飲み込むことができた外的要因になったかもしれない。かたや「どう見ても人間にしか見えないヒューマノイドの中にあるロボな部分に気づき、その上で人間性を与えてやる」ドラマ。かたや「どうみてもロボにしか見えない家電の奥底に眠る可能性に期待し、人間性を見出してやる」ドラマ。真逆の構造のようではあるが、「人間性とは何か」を考えさせられる部分は一緒だし、結末も満足いくものであった(ATRIの方はまだ終わってないが)。

 まぁ、どんだけ言うてもキモく見える人にはキモいままだろうし、この文化が万人に受けないからこそ成立するという逆説的な状況でもあるとは思うけど。いいじゃない、人間(かもしれないもの)だもの。

 

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