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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 欠けた月が、出ていた、第9話。これ、こないだのガルクラのサブタイトルなんですが、私が混同しちゃうくらいにコンセプトに似通ったことがある作品でこんなにどストライクなサブタイがあったのちょっとびっくり。何なら向こうのこないだの話が「現実見ろ」でも通じるもんね。もしかして裏でこっそり取り替えっこしてる?

 などという戯言はさておき、こちらも事態がガッと動き出す、ラストへ向けての加速が始まった感のあるお話。ありがたいことにその中心にいる人物模様はそれなりにシンプルで、今回考慮すべきはまひる・花音、そしてその母親である早川雪音さんだけである。

 全ての不穏の中心にいた人物、早川雪音。今回のお話は彼女がどんな人物なのかという探りのエピソードであるが、これまで花音目線でしか描かれてこなかった1人の敏腕プロデューサーの奥底が垣間見えるお話だったんじゃなかろうか。端的に表すなら「最高のプロディーサーだが、母親としては最低」みたいな人かな。サンドーオタクだったせいで雪音Pについてもやたら詳しかっためいさんが表も裏も全部聞かせてくれたが、ファンの目から見ても雪音さんの人物像は色々と怪しいもの。プロデュースの腕は確かなのだろうが、芸能界のお約束、その裏でド汚ねえことやってんじゃねぇかの疑惑はついて回る。その最たるものがゴシップサイトの管理人疑惑であり、もしこれが本当なら、たとえ花音の実母といえどもフォローのしようもないくらいの畜生ということになる。

 そんな前情報を抱えてまひるは雪音と対峙する。そしてそこにいたのは、ただ純粋に自分の作品を評価してくれる「絶対的な目」だった。現在のまひるの欲求の全てがそこで満たされ、上手くなるために褒めてもくれるし、アドバイスもくれる。そして何より、身の丈に合わぬあまりに大きなチャンスまでくれる。「JELEEは楽しかったけどそれだけじゃダメ」。花音によってすくい上げられ、少しずつ自信をつけてきたまひるは、いつの間にか「泳げないクラゲ」を脱却し、ただその身で大海へと泳ぎ出ることを望む立派なアーティストになった。早川雪音は、そんなまひるにとっては願ってもない「船」だったのである。

 しかしもちろん懸念もあった。フォロワー10万人を達成してそれなりに有名になったJELEEだが、それにしたって今回の「商談」はあまりに規模がでかい。なぜ自分なんかに声がかかったのかと訝しむまひるは、「もしかして花音と関わりを持っていたからか」と問いかける。それが世間でいう「コネ」なのかもしれないし、「花音の活動を邪魔するという悪意を持ってまひるを籠絡しに来たのではないか」と、おそらく大半の視聴者が抱えていたであろう心配を、まひるも持っていたはずだ。それくらいの理由でもなければ、いきなりポッと出の女子高生絵描きにこんな話が来るわけがないと。

 しかし、雪音の反応を見ればそんなことが単なるゲスの勘繰りでしかないことは明らかだった。彼女はただ、本当に自分が良いと思ったものに対してまっすぐなだけだったのだ。偶然目に入ったJELEEのMVに惚れ込み、海月ヨルの絵に惚れ込んだからこそのオファー。自分の全てを真正面から受け止める雪音の反応を見て、まひるはこれ以上ないほどの充足感を得るのである。

 皮肉なもので、山ノ内花音は、母親としては最低だったかもしれない早川雪音とは絶対的な血のつながりがあった。偶然見かけた路上のペインティングから海月ヨルを見つけたのは娘の花音だった。彼女は「ヨルのクラゲ」に惚れ込み、強引に自分の世界に引き込んでJELEEを作り上げた。そして今、母親がそんな娘と全く同じことを行い、海月ヨルを新しい世界へ導こうとしている。やろうとしていることは全く一緒であり、2人ともまひるのことを高く評価し、信頼した。その結果、母娘の間に亀裂を生じさせてしまったのは全くの不幸である。

 あとは問題になるのは花音の胸中。かつての自分は母の言いなりではあるが、必死にアイドルをやっていた。それが正しいと思っていたし、別につまらないとも思っていなかった。何しろ「プロデューサーとしては最高」の雪音に見出されたのだ。親子の贔屓などは一切なく、おそらく花音は天性のアイドルの素質を持っていたのだろう。しかし残念ながらそんな母娘の間に挟まったメロというたった1つの異音。この世界では唯一にして最大の悪意。彼女の悪行をきっかけに、母娘のアイドルとプロデューサーとしての関係性が破綻。そこからなし崩しに母娘としても関係を維持できなくなってしまった。雪音の中では、いまだに花音は「ののか」である。実の娘などすでにいないかのように、かつてのアイドルをその目に見ているのだろうか。そして娘は、そんな母親に娘として見て欲しかった。特別でいたかった。その願いが叶わぬ今、彼女は母との縁を切り、必死に自分なりの世界を探していたのだ。

 しかし再び目の前には母親が立ちはだかる。せっかくたどり着いたまひるという世界の希望すら、母親は自分から奪い取ろうとしている。此の期に及んで、ようやく花音は気付かされるのだ。自分は世界に飛び立てていなかったこと。まひるを救ったと思っていたが、その実自分はまひるに救われていたこと。泳げないクラゲは、今やまひるではなく自分の方であること。地面に転げるクラゲのフィギュアは、今やリーダーの証でもなんでもない、ただの地面に転がる花音自身の写し身だ。

 「欠けた月」が空に大きく浮かんでいる。2つに割れた海月は、何をもって満ちるのだろう。

 
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