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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 黒川・有馬、その数奇な巡り合わせ、第18話。誰もが皆本気で生き抜いている、そんなタフな世界だからこそ見えてくるものがある。

 ちょっと前に明かされた「実はあかねはかなに憧れてこの業界に入ったんだよね」という、かなが性格悪くあかねをいじるだけの要素だと思われていた事実は、想像以上に2人の生き様に色濃く影響を与えていた。特にあかねの方はまさに「人生を左右する」決断を行なっているわけで、かながいなかったら今のあかねもいなかった。人生の道標である。そして、そんな「憧れる者」「憧れられる者」という完全に「上下」があるはずだった2人が、今や全く同じ板の上に平等に並び立っている。あかねからしたら、積年の想いのこもった記念すべき舞台であった。

 2人の人生は同じものを目指しているようでいて全然違うというのは気をつけなければいけない部分。前々回も触れたが、あかねはほんとに純粋培養で「演じる」ことに特化した生まれながらの「役者」。いや、生まれながらのというのは若干の語弊があり、幼い有馬かなという「演じるのプロ」に憧れることで生み出された「最高の演技を求める求道者」というのが正しい表現だろうか。本人曰く元々は引っ込み思案な性格だったわけで、人前に出ることが天性の才能だったわけではないのだろうが、彼女が持つ才は一点集中型の「固執」と「解体」。ただ1つの事象に入れ込み、対象を自分の満足行くまでひたすらに分析・解体して飲み込むところまでが彼女の中でのワンセット。徹底してその本質を理解しようとすることであらゆる対象への造詣が深まり、それが役者という才能へと活かされていく。その最たる対象は、当然憧れの発端である有馬かなその人であった。

 転じて、有馬かなももちろん類稀なる演技の才能を持ち合わせており、「10秒で泣ける」特異性を幼い頃から自認できたおかげで、すぐさまそれを最大限に活かす技と環境を手に入れた。しかし、そうしてあまりに幼い頃に適材を適所に当てはめ過ぎてしまったことが彼女の不幸。彼女が生きるべき芸能界は単に演技ができれば生きていけるというわけではない。他に生きる道を知らず、ただ死に物狂いで生存に賭けたがために、彼女の目的は「業界での生き残り」に特化した。その結果演技を使ったさまざまなスキルを身につけ、純然たる「役者」としては異物の多い「芸能人」の有馬かなが出来上がった。

 その醸成の過程で2人の少女が出会ってしまったことが因縁の幕開け。当時のかなは歳に似合わず、すでにあの時点で業界の歪みや醜さに気づいていた。そして、物心つく以前からその世界で生きてきたかなにとって、もはや外の世界など無いに等しい。ただ自分を育て上げた業界で生きていくために、どんな泥でもかぶらなければいけなかった。あかねはそんなかなを見て失望し、その反骨心もあってより純然たる「役者」の道を極めることになる。

 しかしここで注意が必要なのは、別にあかねはかな自身に対して大きな失望を抱いたわけではないという部分。もちろん出会いはショックだっただろうし、理解も及ばず心は離れただろうが、それでも彼女に生きる道を与えてくれた「天才子役」有馬かなの存在は変わらずそこにあったし、あかねほどの分析力をもってすれば、あの時のかなの苦しみもおよそ汲み取っていただろう。だからこそ、「女優」有馬かなの帰還を待ち侘び、ついに訪れた共演の機会に喜び打ち震えたのである。

 幸いにして、かなの業界への失望は事前の星野兄妹の活躍もあって憑き物が1つ堕ちている状態。アクアとの演技のおかげで「演じること」への情熱は再び燃え上がっていたし、ルビーのおかげで業界での活動にも前向きになっていた。あかねの念願叶って、ここにきて「役者」有馬かなは帰還の目があったのである。日々の交流でもそのことを感じていたあかねは、ようやく「憧れの人」との再会を実現させ、幼い頃の夢が叶えられると、そう思っていた。

 しかし残念ながらそんな個人のエゴはこの業界ではなかなかまかり通らない。否、通ってもよかったのだろうが、有馬かなはまだまだ「お利口さん」である。なまじ「天才」であったからこそ、求められるものを全て小器用にこなせてしまうことが裏目に出て、あかねの願いは未だ叶わず。そして、そのことに失望するのはあかねただ1人……ではなかった。有馬かなを間近で見続け、彼女の欺瞞に気づいていた男がもう1人。

 アクアから「本当の有馬かな」を熱弁されるのは、あかね的にはどんな気持ちなんだろう。しかし今はまだ、そのことで心揺らされる時ではない。一番の信頼をおけるアクアが目的を一にしてかなを引き摺り出してくれるという。ならば乗るしかない、このビッグウェーブに。こまっしゃくれた天才子役に、一泡吹かせてやろう。

 

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