せっかくのいい話、重要な話だったのに次回予告で全部ぶっとんだ……第30話……。生まれてしまう……承認欲求モンスターがッッッ!!
というわけで今週まではTVer視聴です(まぁ、関西でも放送日は明日なんだけど)。中盤のクライマックス、リアタイしてなんぼじゃい。今回は強化フォームお披露目回ということで(セールス的にも)重要なお話でしたが、色々と膝を打つ展開も、胸を打つ展開もあっていうことなしでしたね。まぁ、「にゃん」が「わん」に統合されてしまったのは若干口惜しくはあるが……そこはタイトルにもなってる主人公サイドに花を持たせてあげましょう。脇に控えても無視できない存在感のサブポジション、それこそがユキの本領だろうし、まゆはセンターに立ちたくないだろうしな。
さて、当然メインシナリオがどう展開されていくのかというのが一番の焦点になってくるだろう。前回時点でガオウ一味が登場し、そのあまりの存在意義の重さに「これ、どう足掻いてもハッピーな結論なんて見つけられないやつなのでは」と不安にもなったが、そこはそれ。わんだふるなこの世界なりの解決法を模索していくことになる。分かりやすくいろはが曇ってしまう展開を、あっさりと掬い上げたのは当然こむぎである。こういう深刻な問題を抱えてしまう展開ってのは主人公サイドはどうしても理想を振り翳しがちで、どれだけ詭弁を弄したところで「青臭い理想論」という評判がつきまとう。解決し得ない問題に対し、正面から論破しようとしたところで感情をぶつけるしかなければ、それは結局感情論のフィールドに上がらざるを得ず、平行線を辿る結果となる。
しかし、こむぎの生き様は理想論ですらない。だってバカ犬だから。「青臭い理想論」ならぬ「犬臭い本能論」である。現状、狼がどうなってるかもよく分からん。人と獣の過去の歴史なんてさっぱり知らん。でも、こむぎはいろはと自分の歴史を知っている。辛かった自分がいろはに救われたという「事実」だけを知っている。であれば、その事実を他者の関係に演繹して何が悪いのか。もちろん、本来ならそんな理屈は通らない。うちはうち、よそはよそであり、こむぎがどう思おうとガオウは知ったこっちゃない。しかし、考えてみればこの「知ったこっちゃない」だってお互い様なのだ。こむぎはわんだふるな未来を実現する方法を知っているという。ガオウは自分たちの歴史からそれを否定しようとする。結局お互いの身勝手を振り回し続けるだけならば、あとは殴り合えばいいだけである。犬と狼が、やりたいようにやればいいだけである。なんとシンプルな答えなんだろう。
そしてこの世界は、現実とは大きく異なる点が1つある。それは、狼が絶滅したとはいいつつも、目の前にはガオウたちという「分かり合える」対象がいるということ。現実ならばいくら狼に謝ったとて人間側の自己満足でしかないが、アニマルタウンには間違いなくガオウが「いる」のだ。であれば、いろはの願う「分かりあうこと」がまだ選択肢として残っている。ガオウ側からしたら言語道断だろうが、いろはにとってはこれ以上ない僥倖。敵がいてくれること、そのこと自体が救いになるという、この世界でしか成し得ない解決策である。もう、あとはこの路線で突っ走ってくれれば余計な迷いはなくていいね。
ほんでまた敵サイドもこうした融和の物語のための準備を着々と進めてくれている。後半3クール目から登場したくせして、もうずっとお馴染みだったかのようにわちゃわちゃ芸を披露してくれる敵組織、ありがたみしかない。トラメきゅんもザクロさんもたった2話で「ほんとはいい子たちなんだろうなぁ」ってのが分かるキャラになってるのすごいよね。ザクロさんはガオウ様との「結婚」まで視野に入れてましたが、2人で結婚・繁殖すれば絶滅を免れるので、もうそのことだけを考えて愛に生きてくれればいいんですがね……。
対する勢力に「ニコ様」というこれまた面倒な存在もいる。彼女がアニマルタウンに鏡石をおいた張本人であり、その鏡石すらも人間の負の歴史の語り部だったと言われたらそりゃ凹むし、プリキュアの力も返納した上でニコ様が戦うって言われたら人間サイドに反対する余地もないのだが、現状、すでにニコ×ガオウという関係性が「対立」以外の何物でもないため、いろは達はニコ様の介入による解決は望まないだろう。かつての歴史のように2つの勢力がぶつかり合うのではなく、融和による解決を望む。それこそが、いろは達が戦い続ける理由なのだから。そのことがちゃんと分かってニコ様を止めてくれたメエメエは立派な理解者ですね。まぁ、今まで散々タダ働きさせてたプリキュアに対し、「もっと彼女達を働かせましょう」って言ってるっていう事実だけ見ると単なる鬼畜ではあるのだが。
さぁ、構図ははっきりした。あとは個々人のモチベーションの問題だ。こむぎが一番シンプルにわんだふるを目指している。そしてそんなこむぎに力をもらったいろははもう迷わないだろう。今回の最大の見どころはやっぱりこの2人の絡みだったんじゃないでしょうか。ベッドで戯れる飼い主とペット、そう思えば微笑ましいシーンなんですが、冷静に見るとめちゃめちゃ攻めた画になってるんですよ。こりゃぁこむいろ派も大満足だぁ。
そして我らがにゃん組は今回サブに徹してはいたが、それでも隠しきれぬ存在感がお見事。まゆちゃん、困った時はシーツ被って丸まっちゃうんですね。さすが猫組。そしてそんなまゆに常に寄り添って力を与えるのはユキの役割だったし、2人の背中を押す最大の立役者が相変わらずのすみれさんだったという……猫屋敷家、強すぎるんよ。そしてそんなユキがついに「団結」を謳い、初の合同変身シーン、合同必殺技へと繋がるきっかけを作る。もう、ユキの成長譚だけでどれだけお話を盛ってくれるのよ。やりすぎですのよ。
そうして立派にステージを1段上がったプリキュアを支える影の立役者はもちろん兎山悟その人(と大福さん)である。「僕にもっと力があれば」と苦悩する男の子。頑張れ悟。君の努力の全てを、いろははちゃんと見てくれているぞ。大福さん、その貫禄はどこからくるんですかね。引き続き兎組の動向は注視する必要がありますが、今週の展開を見てると、マジで追加戦士はもういらない気がする。この4人と参謀役の兎組という構成で最後まで走り抜けても構わんよ。一瞬ニコ様の人間態のシルエットだけ見えたけど、あれはプリキュアではなさそうだもんね。
ほんでこのテンションからの来週の話な……。ザクロさん、いい具合に介入してください。グーを出して確実に猫組にちょっかい出しに来てください、お願いします。
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