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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 「夢喰いメリー」 5→4

 放送終了から、この感想文を書くまでに随分間が空いてしまったのは、この作品の評点をどうしたものかをちょいと悩んでいたためだ。あと、新番が多いからうっかり忘れていたためだ。どっちかというと、後者だ。

 誰しも、向き不向きというものがある。個性が強い人間ならば、その差はより顕著なものになるだろう。今作の監督を務めた山内重保は、そうした「個性的な」人間なのは間違い無い。彼の武器となるのは、その独特の感性から繰り出されるコンテワークであり、常人とは時間感覚が違うのではないかと思える不可解なタイムスケールの計り方と、思いもよらないカメラワークから切り出される構図の妙は、快不快の軸では説明出来ないような、曰く言い難い後味を残す。そうした「味」は、時に長所となり、時に短所となる。

 さて、この「夢喰いメリー」の場合、彼の味は武器だったのか、足枷だったのか。答えは両方としか言いようがない。まず、長所としての側面は、この作品の舞台が「夢」という独特の背景を持っていることに関係する。アニメというフィクションの中の、そのまた奥の非現実である「夢」。その世界を表現するのに、山内コンテは並々ならぬ効果を発揮した。重苦しいカット割りがどこかフワフワした夢の不安定さに繋がったし、妙なアングルから妙なモーションに入る動画面でも、何か「普通と違う」感じが醸し出され、「これは確かに白昼夢かもしれない」と思わせるだけの世界を作り出した。この番組のタイトルに「夢」という言葉が冠されているのだから、その部分に力点を置き、独自のフィールドを展開出来たことは、文句無しで手柄といえるだろう。また、そんな個性の主張と同時に、この作品が「まんがタイム」系列の萌え漫画であるという意識もきちんと持っていた。具体的にはメリーのヘソとか、あとメリーのヘソとか……とにかくそういうところだ。妙なコンテ割りなので、多少阿漕な見せ方を足し合わせても、それが「奇妙な味」の上塗りとなるだけで、媚びた絵に見えにくかったのは面白かったところだろう。

 他方、短所となってしまったのはどこだろうか。残念ながら、それもやはり、彼独特のコンテワークなのだ。山内監督の前作「キャシャーン Sins」は、荒廃した世界を舞台にした、どこか退廃的な臭いのする作品。その中はいわば「どこを切り取っても山内世界」であることが容認され、一貫した空気が世界を覆うことが十全にプラスに働いたのだが、残念ながら、この作品はそうはなっていない。夢の世界も、夢路たちが暮らす現実の世界も、同様に存在していた。そして、そんな世界を舞台に行われる物語は、あまり深いテーマ性などを求めない、「普通の漫画」なのである。メリーの活劇、夢路の少年魂。そうしたものを見せる必要がある「シンプルな」作品に、どうしても独自の味はかみ合いにくい。結果、バトルシーンなども「もっさりした」印象になってしまうことが多く、そのすべてが機能しているとは言いにくい状態になってしまった。

 また、単純にシリーズ構成もあまりよろしくなかった。特に終盤のミストルティン戦でのグダグダっぷりは流石に看過できるものではなく、アニメシリーズとしては失点になっているのは確定的だ。映像作品としての面白さを追求してくれるのは嬉しい限りなのだが、やはりその前提として、1クールのシリーズアニメとして、筋は通して欲しかったところである。この流れでは、残念ながら原作に興味を持ちにくいし、「続きがみたいな」という気にもならないのである。総合的に見ると、やや失点多めでちょい下げ気味、というのが結論か。でもまぁ、やっぱりこの世界観はすごく好きなので、是非とも次作でリベンジをはたして欲しいものです。

 最後はキャストの話。今作MVPは(どさくさに紛れて美味しいところを持っていった中田譲治を除けば)岡本信彦になるだろうか。夢路は最近じゃ珍しい、真っ直ぐで男の子らしい男の子。それを嫌み無く演じられるだけでも、やっぱり岡本君は裾野が広い。あとは……秋谷智子がどうなんだろう、っていうポジションだったのがちょっと気になるかなぁ。彼女はもう、山内作品以外には出ないんでしょうかね。ちなみに、メリー役の佐倉綾音だが、やっぱり後半の大事な話数になってくると、どうしても拙さが目立ってしまったか。ヒロインデビュー作としてはそこそこのレベルだが、まだ同じ事務所の竹達の方がデビュー後の仕事ぶりは安定していた。要精進である。

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