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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「先輩はおとこのこ」 6→7

 まさかの映画化ですってよ? ハイ、観にいきますです。

 今期の隠れ「良き」作品。いや、「いと良き」作品と言っていいかもしれない。本来なら毎週感想を書いてもよかったんだけど、手をつけるタイミングがなかったのはもったいなかった。でも、とにかくいいアニメだったと思います。

 今作の「いい」についてはいくつかの側面があるのだが、非常に「腑に落ちる」作品だったことが一番に挙げられる。そしてそれはどこか思想的な部分も含んでしまいそうな「性」についてのお話。昨今は自由を謳うがあまりにこういう話題はかえって触れにくくなってしまうという皮肉な状態になってしまっているが、今作を語る上で「性の認識と、社会的目線」という問題に触れずにはいられない。どうせだったらここいらで「百合&BL」の話をちょいと掘り下げてみよう。

 以前から私は百合好きを表明しており、同時に「BL苦手」も表明している。今期なんて「黄昏アウトフォーカス」の1話目で「丁寧だし勉強させてもらえるかも」とか言ってたくせして早々にリタイアしてしまっているくらいである。そして、「なんで百合はおいしく摂取できるのにBLはダメなのか」ということについては常々悩み続けていたのである。しかしまぁ、自身に性の自認があるならそこに非対称性が生まれるのは当たり前のことで、そこを全く平等に扱うことが求められることだとは思っていない。

 また、もう1つのトピックとして私は以前から「百合作品でもより見応えがあるのは、その禁忌感に言及している作品である」と標榜していた。私に薫陶を与えた「ささめきこと」における純夏と汐の関係性に代表されるように、「こんなの普通じゃないからやめなきゃ!」と思いながらも抑えきれない情動。そして「クズの本懐」におけるえっちゃんの大暴走。「ダメだと言われるから余計に燃え上がる」みたいな部分にこそ、百合にしかないエッセンスがあると思ってそこを楽しみにしている。ただ、この話自体も今となっては危ない橋を渡っている言論であり、「そもそも同性愛が忌むべきものだという認識がなければそんな発想は出てこないのでは?」みたいなことを言われたら返す言葉がなく、時代に合わせて認識をアップデートしなければいけないものだと考えさせられる。一口に同性愛を取り扱うと言っても、いろいろな課題があるものだ。

 そして、そんな私の悩みに、この作品は「腑に落ちる答え」を与えてくれている。もちろん多様性は認められるべきものだが、そこに対しての社会からの視線は間違いなく存在している。(厳密にはまことの性自認についての言及はないが)今作ではその代表がたまたままことの母親だったわけだが、それ以外にも学校の人たちの最初の反応など、「女の子の格好をしてる男子生徒は変だ、気持ち悪い」という認識はどれだけ綺麗事を言っても何処かには存在している。それを全く無いものとして扱うのではなく、本作ではまことという主人公の自己言及のためのフィールドとしてきちんと存在させ、真正面から乗り越えるべき壁として設定されている。もちろんまこと1人では心許ないため、そこには咲という偏見ゼロの心強い仲間と、恋心にまで発展させた竜二という最大の親友も用意されている。特に竜二の「同性愛」要素の描写は非常に素晴らしく、彼自身が「禁忌感」に悩まされながらも、しっかりと自分の気持ちを伝え、まこととも望んだ関係性を(一時的とはいえ)実現させた上で、その後の両者の関係性も望ましいものだ。

 興味深いことに、今回の竜二の立ち振る舞いは、私目線で見ても非常に清々しいもので、純粋に受け入れられる感情だった。いつも「男同士の同性愛については、理解はできるかもしれないけど共感がないから……」と諦めていたのだが、今回の竜二の恋心については、とても自然で、切実で、納得できるものとして描かれており、そこにはもしかしたら「共感」も芽生えていたのかもしれない。まこと・咲・竜二の三者関係が本当に優しさに満ちた素晴らしいものだったことも、この妙な「三角関係」をドラマティックなものに仕立ててくれていたのかもしれない。皆が皆、それぞれに悩みながらも、最後には「自分」を見つけ、周りの偏見をぶち壊して進んでいく。そんな姿を描けたことが、今作の最大の功績であり、我々に与えらた1つの「答え」だったのだろう。そうだ、こういうものが見たかったんだ。

 あとはまぁ、これは完全に余談になってしまうのだが、世間的なBL作品って、ダイレクトに肉欲に結びつく作品が多すぎて忌避感が強かったんじゃないか、ということも考えましたね。「黄昏アウトフォーカス」も実際そうだったし、百合作品では肉体関係って最後の最後なのに、なんでBLってすぐに絡みたがるんだろう。やっぱ男性性ってそういうものだと見られがちなのかしら。そういう意味で、今作における竜二の思いやりは本当に沁みるんですよ。

 閑話休題、そうしてメインテーマの描き方が本当に私の「見たいものに沿う」ものだったことが高評価の最大要因。そして当然、映像のかわいらしさでポイントプラス、更に倍。へちょ絵とのテンポのいい接続が完全に武器として機能してましたね。天真爛漫な咲ちゃんのキャラにあのデザインがハマっていたのもナイス。このクオリティならそのまま劇場版に持っていっても成立してしまいそうだな。

 あとはまぁ、余談で蛇足だけどやっぱり中の人の話。個人的には永遠の推しである中原麻衣の仕事ぶりが素晴らしかったのが最高でした。最終話ではママさんの若かりし頃の(苦い)思い出が語られたわけだが、ちゃんと母親バージョンの中年ボイスから瞬時に女子高生に切り替わるのが匠の技。こんなママンだったら無条件で従ってしまいそう。

 さて、映画版ではここからどんな話につながっていくのか……って、多分咲ちゃんファミリーの話だよなぁ。あそこのおかんは本当に問題がない人なのかどうか。ここで更に余談で蛇足で無駄言なんですが、今回咲ちゃん母子の関係性はずっとハラハラしながら見守っておりました。というのも、過去になんか、「離れ離れに暮らしていた親と久しぶりに再開し、あんなやつと付き合うなという周りの苦言を無視して親と一緒に生活するようになったのに、結局そいつはガチクズだったもんで一気にバッドエンドに突き進んだ」っていう作品を見た記憶があるんですが……なんだったっけ? 割と有名な作品だった気がするんだけど、思い出せないんだ。……確かそっちでは親は父親でした。なんの記憶だったか、無駄に気になるので、分かった人は教えてください。

 
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