利休でかすぎワロタ第4話。街中で他の商人たちと並んでると、頭一つ以上抜け出てるじゃねぇか。当時の人間が小さいとはいえ、一体何㎝あるんだよ。
4話になっても一向にテンションが落ちない作劇に唖然。今期一番の緊張感を持ったアニメは、文句無しでこの作品でしょう。舞台設定が戦国時代という最近のアニメではしょっちゅう見かけている内容なのに、やってることが見たこともない内容なのが良い刺激になる。殺し合い、奪い合いを見るよりも、こうした虚栄と矜持の物語を見た方が、人間の業の深さがよく分かる気がします。
今回は、乱世のファッションショーのような趣で自分の意匠を得意げに見せる左介から始まり、信長の絶頂期と、それをねめつける光秀の怪しさ。我が道を突き進む利休の隠された傲慢さと、それに異変を感じ、次第に繋がりつつある秀吉との関係などが描かれ、ビィートレイン演出のしっかりした間を維持しながらも、かなり密度の濃い物語となっている。正直、この演出技法の時点で中身の充足はある程度犠牲になるものとばかり思っていたのだが、この作品の場合、ちゃんとシナリオラインも流れており、歴史を知っていても充分楽しめるように出来ているのが本当に見事。
そして、今回はサブタイトルにもある「ブラック」の巧さがそこかしこに確認出来る。なんと言っても本作で「黒」の体現者と言えば利休だ。最初に店の軒先に現れる利休は、極端とも言えるほどの真っ黒な影の中からぬっと姿を現し、京の往来に何とも言えぬ異物感を醸し出す。窯の前で茶碗の完成に打ち震える利休も、ずっと光源を背負っているせいで顔色が暗いままであるし、秀吉と二人で密談する時にも、明かりを正面に受ける秀吉とは対照的に、利休の顔はずっと影を帯び、暗いままになっている。彼の口から語られる「黒」への固執が、ずっと作中に尾を引いているのだ。そして、これに真下演出の真骨頂とも言える「目」の要素が絡んで実に面白い画面の色彩を引き出す。影の中に細い眼を光らせる利休のただならぬ風貌もそうだが、ラストシーンでは、黒い背景の中、かっと目を見開いた秀吉の表情でブラックアウトしていく。このカットの中で際立つのは、生来の大きな目を見開いた秀吉の目の白さである。この後の時代で利休の受け皿となる秀吉であるが、後々の彼らの関係性を思えば、この「黒に浮かぶ大きな白」という対比、対立が、何とも言えない歯がゆさと不安定さを醸し出す。「表情で止める」という演出は真下演出では定番のものだが、改めて見ると、こういう色彩の妙までも味わうことが出来るのだから、流石としか言いようがない。
他にも、信長と光秀の会話の間に挟まれ、望遠の視点で全景に散る桜の花びらが、後のシーンで秀吉の茶室の花瓶に繋がったり、1枚1枚の絵の色彩の配置が実に見事。画面の動きが少ないだけに、演出家の意図が1つ1つ丁寧に拾っていける構成は、ファンからするとありがたい限りである。
是非とも、正座しながら1つ1つの画面を吟味して味わいたい佳作。このまま3クールもやられるんだとしたら、いつまでこの身が持つか自信が無いわ。
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