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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 コウキのお母さんは文句なしの和服美人、第8話。中の人的に間違い無いところだね。ただ、今回のお話は、惜しくもコウキのお母さんとは違う、別な「お母さん」のお話でございます。

 実際の季節に少しずつ追いついて、りんたちの生活も夏休みに突入。うだるような暑さの中で今回行われたイベントは、大吉の祖父宋一の墓参りである。季節柄、手土産にしたいと思っていたリンドウの花はまだ揃わなかったが、りんが顔を見せることが一番の土産になるという大吉の説得を受けて、2人は心おきなく墓に参ることが出来るようになった。ああいうところでスッとりんが一番求めているであろう言葉を選べる大吉って、本当に偉いと思いますね。「出来れば墓前に自分のリンドウを供えたい」というりんの気持ちを決して無駄にせずに、それをくみ取りながらも善処した答えを提案するっていう、理想の教育者じゃないですか。自然に出てきた言葉だとしたら、もう既に父親の貫禄ですよ。

 そして、墓参りについて、ちゃんと理解している風のりんちゃんも随分賢い。最愛の人の死に接して大きく精神的に育たざるを得ない部分もあったのだろうが、あの歳で「人が死ぬこと」の意味をちゃんと理解していて、その上で「故人との接し方」についても大人の分別がついているようなのだ。私が子供の頃なんて、墓参りは鬱陶しいだけの催し物だったような気がするけどなぁ。「墓」なんてものは基本的に生きている者の自己満足の産物である、という見方も出来ると思うのだが、仮にそうだったとしても、それはそれで価値がある。そうした「墓を大切にすることの意味」を、りんはきちんと理解しているのだ。

 そしてもう1人、故人を故人として忘れずに居た人物がいる。それが今回の主役、吉井正子である。しかし、何事もつつがなくこなせるりんや、誠意と行動力で社会を渡り歩く大吉とは違い、正子は非常に不器用な人間である。数年前に「りんを手放す」という決断をしたことからもそれは確認出来るが、時を経た今になっても、その頼りない部分は変わっていない。彼女にとって、自分が生きていく上で必要なものが、何なのかはっきりしないのだ。

 社会生活を営む上で、人は様々な役割を担う。正子の場合なら、漫画家であること、女性であること、恋人であること、そして母親であること。普通の人なら、そうした役割のバランスを取りながら日々を過ごすところだが、宋一は、正子の不器用な人柄を見て、「母親であること」を担わせるのは無理だと判断したようだ。彼女自身もその判断を受入れ、りんを手放すことによって、生涯を通じて1つの「母親役」を喪失させた。そして、手放したからには、残りの役割に全力を注がねばならないと思うのが、正子の人柄。たまたま、今の段階ではそれが「漫画家としての自分」であり、その役割を維持し続けなければ、すべてが壊れてしまうという強迫観念とも言えるプレッシャーに苛まれている。

 実社会において、この「焦り」は正しいものであろう。本人が言うように、漫画家なんて人気商売は、時機を逸したらどうなるか分からないものであろうし、出来ることを出来る限りやり続けても、まだ足りないくらいの立場。そういう意味では、彼女がぶっ倒れるまで動き続けるのはある意味間違ったことではない。しかし、偶然が重なった夏の墓参りの席で、彼女はそうした追い込みに、自ら揺さぶりをかけてしまった。一度は捨て去った「母親であること」を思い出してしまったことに加え、大吉の姿を見て、「女であること」もフィードバックしてきた。こっそりと草むらから2人を見守るあのシーンにおいて、りんに目を向けるよりも大きなウェイトで、大吉の後ろ姿を見ていた正子は、「母親」というよりも、一人の「未亡人」である。普段どれだけおかしな振る舞いをしたとて、やはり血のつながりは忘れられるようなものではないし、残した想い出は完全に消え去ることもない。正子の今後の「軸」は、どこへ揺れていくのであろうか。

 今回のエピソードにおいて、最も重視されたのが「繋がり」であろう。1つ目は、正子とりんという母子の血のつながり。毎日健康な生活をして、大吉に大切にされているりんの綺麗な髪の毛と、不摂生のせいでぼさぼさになってしまった正子の髪の毛。状態が全然違うにもかかわらず、この「髪」の繋がりで、大吉は「正子は母親である」という事実を思い出した(また、その後で正子も何かにすがるかのようにして何度も髪の毛を握り締めている)。更に、大吉が走り去った後に上方から俯瞰で見た正子のシルエットは、見慣れたりんの立ち姿に酷似している。どれだけ会わずとも、どれだけ忘れようとも、そこには「繋がり」が見える。

 そして、正子が垣間見た大吉と宋一の血の繋がり、さらには全く同じ台詞を心中で吐くことで繋がった大吉とりんの繋がり。最後の1つだけは血縁としては遠いものであるはずなのに、生活を共にして、互いに大切に思い合っているからこそ生まれる「繋がり」が見える。こうした「縁」の妙が画面に現れるのを見ていると、「絆」という言葉の意味がしみじみと感じられるのです。

 そしてオチは安心のコウキ・大吉劇場。胸にグッとくる部分もありながら、ちゃんと笑いにも繋げてくれる描写が、本当に上手い。今日もゆっくり寝られそうです。

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