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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「有頂天家族」 6

 何とも不思議な違和感を満載した作品。こういう謎かけみたいな作品が出てくるあたり、まだまだアニメ業界もおかしなことはあるものだ。

 違和感を大きく分けると2つある。1つは、森見登美彦作品で元々原画など無いはずのところに、何故か久米田がキャラクターデザインを起こしたということ。久米田デザインのキャラが動く世界といえば当然「絶望先生」(あとちょっとだけ改蔵)しか無いわけで、当然話の中身も久米田なんじゃないか、と思ってしまうという違和感。見事に画面上を動いているキャラクターは久米田絵なのに、何故かそこにはネタの箇条書きも酷い時事ネタも登場せず、淡々と京都の町並みが流れていくというのは、これまで1つの方向性しかなかった絵柄についての違和感。

 そしてもう1つの違和感は、これを動かすのがP.A.Worksのお仕事ということ。P.A.といえば石川県に本拠地を置く「地方復興アニメ」の大家ともいえるスタジオなわけだが、そのP.A.が、なんと同じく地方スタジオとしてブランド名を欲しいままにする京都アニメーションのお膝元、京都に殴り込みをかける形になったのだ。描かれているロケーションは「たまこまーけっと」の舞台になった出町柳商店街を皮切りに、鴨川を下って二条、三条、祇園まで。当然「たまこま」で出てきた風景も、「けいおん」で出てきた風景も描かれている。更に、P.A.といえば目の覚めるような背景美術と繊細なキャラクターデザインを持ち味とした映像美が売りであるが、キャラクターが久米田絵の時点でこれまでのP.A.作品とは似てもにつかない表現として表れることになった。これが2つ目の違和感。

 こうして、様々な「アニメとして知ってるはずなのに、気付けば見たこと無い要素」が混ざり合い、何とも不可解な世界が立ち現れることになった。面白いのは、それぞれアクの強いクリエーター集団が違和感の中に個性を紛れさせながらも、最終的にはどぎつい個性を隠しきれず(隠しきらず?)、全てが結果的には表に出てきているという部分である。久米田絵については言わずもがなで、序盤の商店のおっさんの顔なんかは本当に「絶望」のキャラによくありがちなパーフェクト久米田デザイン。

 P.A.も、この絵じゃさぞかし仕事もしづらいだろうし、個性なんて出せないだろ、と思って見ていたのだが、そこはやはり一家言あるこだわりの制作集団。久米田絵を殺す方向には動かさず、それを受け入れた上で「自社風」を発揮してきた。具体的には、簡略化の度合いを絶妙にセーブして「いかにも」なディティールを維持しながらも、前面に出たキャラクターが浮かないように調整された背景絵があげられる。「P.A.といえば背景美術!」と言えるくらいにとにかく圧倒的な美術を見せつけるP.A.だが、今回はキャラ絵に合わせてまた新たな独自性を生みだした。このバランス感覚はやはりプロの技である。また、シンプルなデザインのキャラクターのモーションでもきちんとP.A.らしいこだわりは見えており、たとえば序盤に弁天さんが芝生を滑り降りてくる細かい仕草や、師匠の部屋を片付ける主人公の手慣れた手つきなど、特にシナリオの前面に影響しないはずなのに、きちんとそこにリアルが生まれるように描き込まれている。このあたりのこだわりは流石の一言。

 また、現在アニマックスで再放送中の「四畳半神話体系」との比較も面白い。原作者が同じとはいえ、アニメとしては全く作り手が異なっているはずなのに、やはり通底する何かがちゃんとあることが感じられる。偶然なのか意図があるのかは定かでないが、オープニングの演出なんかはどこか似た空気が感じられるし、主人公の少年のしゃべり口調は、「四畳半」の「私」を彷彿させる。湯浅デザインと久米田デザイン、どちらもアクの強いふざけたデフォルメといえばそれまでだが、こうしてみるとどこか似ているような気がしてくるから不思議だ。

 とまぁ、色々と見ていて退屈しない作品なのは間違いないが、1話目は本当に捉えどころのないシナリオライン。ここから何が起こるのだろう、というのがさっぱり分からないし、大仰な語りから入った割には「何も起こっていない」と言ってしまっていいくらいの走り出し。よくもまぁ、しれっとこういう1話を作れるものである。思い返せば「四畳半」のときも「何がしたいんや、これ」と思って見始めたものだった。さて、この作品もあのときのように「最後まで見ると色々凄いな!」とびっくりさせてくれるものだろうか。期待して待とう。

 中の人については……まぁいいや。麻美子マジ麻美子。あ、オープニングが割と好きです。bambooさんの歌って、ふざけてるように聞こえるけど実は上手いんだよな。

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