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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「ガンダム Gのレコンギスタ」 6

 文句無し、今期アニメの最注目作と言ってしまっていいだろう、ガンダムシリーズの新作である。そして、ついにあの禿が、あの男が立ち上がった。富野由悠季その人が送るテレビシリーズは「キングゲイナー」以来実に12年ぶり。干支がぐるりと一周する間テレビシリーズと無縁だった巨匠が、現代アニメ界に渇を入れるために舞い降りたのである。

 いや、正直言って、わたしゃ富野御大についてはよく知らないのである。世代的にガンダムをリアルタイムで見られたはずもない。その後も一般教養として初代やZなどは見たし、ターンAだってそれなりに見たはずなのだが、やはりいかんせん「リアルタイム視聴にプラスαで」見なきゃいけないスケジュールがきつかったこともあり、そこまで強いこだわりを持ったわけではない(Vガンダムに至っては録画だけしてるけど見てすらいない)。つまり、「巨匠」だとか「鬼才」として富野由悠季を祭り上げる資格を持ち合わせておらず、そこまで盛り立てるつもりもないのである。よりによって本作は宇宙世紀の延長線上にあり、ターンAの時同様、全てのガンダムシリーズをフォローしてないと理解出来ない可能性もあるとなればなおさらである(石像になってもリックディアスのフォルムは素敵だと思います)。

 しかし、しかしである。やっぱり、そんな数少ない視聴経験の中でも、やはりこの男が異質であることは理解出来る。映像作家としての富野由悠季、脚本家としての富野由悠季は、「素晴らしい」かどうかはおいといて、「すげぇ」し「替えが効かない」のは間違いないことだろう。富野作品で唯一ちゃんと視聴出来た作品「キングゲイナー」一本で、その恐ろしさは充分に堪能出来た。どれだけ現代アニメに毒を吐こうと、どれだけトンチキなものを作り上げようと、唯一無二のこの感性は、アニメ史に残るものであるのは間違いないだろう。そういうわけで、私からするとこの作品は「ようやく2本目の、真正面から受け止められる富野作品」という、実にありがたくもチャレンジングな一本なのである。

 そしてこの1話目(2話目)である。もう、序盤からお腹いっぱい。溢れ出る富野コンテ、襲い来る富野節。止められないこのオリジナリティ。富野リスペクトで彼の真似をしたり、パロディとして彼の芸風を模倣する作品も数多いが、やはり「本物」は密度が違う。誰が描いたか一発で分かるコンテワークと脚本構成は、本当に1秒でも油断すればおいて行かれそうな画面の密度を持ち、アニメ的な押しつけ、視聴者優先の「作られた画面」を良しとせず、徹底して「現実としてのドラマ」を作り上げる。オフ気味で流れるところに容赦無く状況を説明する重要な台詞が紛れ込んできたり、キャラクターのアクションと台詞がてんでバラバラで、その両方を合わせて見ないと意味が分からなかったり。この「不親切さ」がたまらない。1話目から圧倒的理不尽さを伴う「富野節」全開の台詞回しは、本当に訳が分からなくてゾクゾクする。個人的に最高だったのは「ビームサーベルを使います」「えっ、なんだってー!(迫真)」のところと、「あんたは、ベルをひっぱたいた!」のところ。すげぇ適当に何となくビンタするのが富野流。そして、それをわざわざ丁寧に解説してくれるのも富野流。オレらが知りたいのはそこじゃねぇよ!

 吉田健一によるキャラクターデザインも(1話目ということもあるだろうが)完全な映像で構築されており、1つ1つのモーションにも容赦無く「イズム」が溢れ出る。ロボット戦闘に関しても、現代アニメの主流など知ったことかと昔ながらの技法を駆使しつつも、そこかしこに「今、新しいガンダムを作る」ことへの野心のようなものもきちんと感じられ、まさに温故知新、新旧の不可思議な折衷っぷりが強烈なインパクトになっている。モビルスーツデザインなんかは本当にバタ臭くて昔ながらのものなのに、さりげなくコックピットの中はタッチパネルが採用されているところなんかが、どうにもおかしくて笑ってしまう。このドキドキ感がこれから毎週楽しめるかと思うと、この時代まで衰えずに荒ぶり続けているじいさんには本当に感謝である。すでに今年で73歳かよ。元気だなぁ。73歳がはっちゃけるとあのエンディングテーマの歌詞を書くわけですね。妖怪体操以上に流行らせなきゃ。みんなで踊ろう、Gのレコンギスタ。

 富野といえば、いわゆる「声優」嫌いの文脈でも有名。「最近の声優の声は娼婦の声」と宣った宮崎駿と同様、彼の作品は舞台関係者などから本人のコネクションで引っ張ってくる場合が多い。しかし今作はメインを務めるのはほぼ「声優」であり、唯一主役を任された「石井マーク」なる謎の人物だけよく分からないが、一応スペースクラフト所属なので「新人声優」のカテゴライズと見て良いのだろう。全体的には安心して見られる配役になっている。まぁ、実際のところ、富野と宮崎で決定的に違うのは、後者が「別に嫌いなのは構わんけど、それならせめてまともに演技出来る人間連れてこいよ」と思ってしまうのに対し、富野の場合は純粋に「演技が出来る人間」だから声優枠以外から引っ張ってくるし、もし見込みがあると思えば、一からたたき上げて(本当に殴るように)、きちんと「一人前の声優」を育て上げてくれることだ。阪口大助の逸話もそうだし、朴璐美なんかも富野の文脈から登り詰めた人材だろう。彼は別に「声優嫌い」というわけではなく、あくまで「下手な奴が嫌い」「不自然な声が嫌い」なだけである。そういう意味では、今回キャスティングされた面々は実に貴重な経験を得る機会を持ったと言える。件の石井マーク然り、ヒロイン役の嶋村侑然り。個人的には、チアガールの中心人物に寿美奈子がいたことに注目したい。彼女は御大の前でどのような悪戦苦闘をしているのだろう。あと、何故かハロ(的な何か)に彩陽もキャスティングされており、チアガールの子も兼ね役で担当。スフィアからこの2人だけの参加作品って珍しいかも。まぁ、一言でいうなら「GJ!」である。他にも1話目でまさかの森川死亡など、相変わらず容赦無い展開で今後はキャスト面でも目が離せない。富野作品といえば? そう、子安はどこにいるかな!

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コメント
無題
富野監督といえば新井里美さんのかわいがりエピソードが好きですね
【2014/10/03 23:28】 NAME[NONAME] WEBLINK[] EDIT[]
Re:無題
>富野監督といえば新井里美さんのかわいがりエピソードが好きですね

「思い切り泣かされた」なんて普通にしゃべれるあたり、業界標準として認識されてる感がたまらないですね。
個人的には「潘めぐみを富野にしごいてもらう」っていうのがすごく楽しそうなんだけども……実現しなそうだなぁ。
【2014/10/04 13:05】


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