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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 茜ノ始末、第11話。こんだけやりたい放題やっておいて、颯爽と去っていく茜先生、あんたやっぱりいい女だったよ。

 前回が「ずっとラスボスだと思ってたけど、神にはチェーンソーが効いたんだ!」というお話だったが、今回はその神が「なんでチェーンソーなんて食らったんだろう?」って必死に考えて、やっぱりチェーンソーを攻略出来ないっていうお話。しょうがない、持って生まれた個性だもん。いくら内省したところで勝てないものは世界にいくらでもあるのだ。しかし、こうも覿面に茜に効くとはやっぱり意外だった。というか、この世界には様々な「クズ」がおり、そのボス格が茜だったはずなのだが、それすらもひょいと飛び越えて、もはやサイコパスなんじゃないかというくらいに尋常ならざる感性を持っているのが鐘井だったのだ。おかしいやろあの男。

 この世界、例えば花火にしろ麦にしろえっちゃんにしろ、下手したら茜にせよ、何となく「あぁ、こういう感情ってあるなぁ」という共感を呼び起こす部分があり、最悪でも「こういうヤツいるよな」っていう理解は可能なのだが、鐘井だけは、そういう範疇を飛び越えている。だって、理解出来ないもん。今回下手したら作中で初かもしれないが、温泉のシーンで鐘井のモノローグが入った。彼は、こんな「不倫旅行」にきているというのに、本当に心の底から星を見ることしか考えていないような人間である。脳内お花畑とかいうレベルじゃない。脳内プラネタリウムだ。そりゃぁ、「クズの頂点」たる茜さんにとってはむしろ天敵と言える存在。茜の行動原理を確立させるためには、相手に自分の手が届く認識を必要とする。男性ならば「馬鹿で性欲中心、そのくせ茜が他の男とくっつくと嫉妬心をむき出しにする」という存在、女ならば「茜に男を取られて憎しみと羨望を向けてくる」という存在。そうして他者の存在を一意に定めることによって、「相手の目から見える自分」を認定して、茜は相対的に自分の位置取りを決める事が出来る。麦が言っていた「役割」の話がこれにあたり、他人にどう見られるかがもっとも重要な要素で、写し鏡のようにして、他者に反応をフィードバックすることで、茜は生きてきた。それを見ているのが客観視点の茜であり、「当事者意識」を持たずに常に「自己と他者」の距離を測りながら、そこに自分を配役していたのである。

 しかし、チェーンソーにそれは無意味だ。何しろ、考えていることなどさっぱり分からないのだから。「男漁り大好きビッチやで」と自己紹介をしたところで、「まぁ、僕は好きだからそれでいいです」と言ってのける。「茜さんが元気でいればどれだけ股を開いてもけっこう」という。NTR属性とかいう生やさしいものじゃない。「自分から見える茜」が、自分の理想通りに綺麗であればそれでいいのだ。ある意味、究極の利己主義者なのである。だってさ、鐘井が茜に一目惚れしたのって「長い髪が綺麗だった」からでしょ。ルックスに一目惚れして、しばらく付き合ってこんだけすったもんだがあったにも関わらず、「目の前に茜がいる」というそれだけで満足し、あまつさえ結婚を申し込むところまでいったのだ。つまり、鐘井の中で、未だに茜は「すごく綺麗な何か」であり、見ているだけで満足出来るもの。ブリッ子をやめて蓮っ葉になろうが「見えている図」さえ変わらなければ構わないと言ってるわけで、究極の面食い、究極の上っ面。人間性の全否定だし、実際には全肯定。もう、そこに他者による共感はあり得ない。

 神をも上回ってしまったモンスターを前に、茜は何とか「客観視」で打開策を見出そうと奮戦するが、メガネを破壊して唯一の付け入る隙だった「遠慮」とか「照れ」みたいなものすら乗り越えてしまったモンスターには歯が立たない。ペースを崩され、あれよあれよと攻め入られ、気付けばあっという間にゴールラインを割っていた。迷いがないから攻めも苛烈だった。茜はこれまで出会ったことがない対象に何とか自分を映し出そうと努力した結果、最終的には今まで見たこともない自分がそこには映し出される。そして、それこそが「変わった茜」であり、麦を絶望させた存在。仕方ないんだ。これまで長年1つの生き方しかしてこなかった人間は、まさか別な生き方があるなんて考えもしない。茜だって、自分は死ぬまで男漁りを続けて、他者の感情を食らいながらクソビッチ族で生きていくつもりだったのだ。それを脇から支えるだけの男がいるなんて、思いもしない。そして、そんな存在が現れた時に、それが不快感や違和感につながらず、よもやの安堵感につながるなどと。まぁ、浮気はしますよ、多分。それも含めての結婚生活だろうし。突然目が覚めて、鐘井を放り投げて野に下る可能性だってあるかもしれません。でも、それは少なくとも、鐘井というチェーンソーの攻略法が見つかってからだ。そうでもしないと、茜の溜飲は下がらない。自分をこれだけ苦しめた憎き朴念仁に、茜はこれから一生かかって仕返しをしていくのだろう。なんだこのハッピーエンド。

 そして、当然そんな展開は寝耳に水なのがアンハッピーエンドを迎えた麦である。麦くんも頑張った。精一杯、出来る範囲で茜を捉えようと努力した。そして、その幾らかは茜にダメージもあたえたし、案外攻略の糸口くらいは掴めていたのかもしれない。だが、それが成就しなかった要因が2つ。1つは、やはり茜の方が上手だったこと。結局麦は、ギリギリまで茜と同じステージで戦い続けようとしていたわけで、そうなればどうしたって実力差が出る。「似たもの同士」のクズ道において、茜を凌駕するのは男子高校生には荷が重い。彼女を打破するためには、鐘井クラスの埒外の爆弾が必要だったのだから。そしてもう1つの要因は、そうして打破したとしても、茜は「変わってしまう」ということだ。鐘井の手によって変質した新たなステージの茜は、もう麦が見ていた女性とは違う存在。客観から抜け出し、主観を手に入れた新たな人生。そうなってしまうと、「クズ女センサー」を持つ麦のゾーンからは外れてしまう。どれだけ愛そうとも応えてくれない無敵のクソビッチ族だったからこそ、茜を追いかける意味があった。何かを堕とされた「別な茜」を見ても、麦には絶望感しか湧いてこない。あの日の女性はもういない。どうあがいても、麦の「初恋」は叶わなかったのである。

 こうして幕を閉じた茜ステージ。残されたのは、コンティニュー待ちの2人だけだ。まぁ、最後は、ね。

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