青春真っ盛りな第12話。よく分からんけど、夏フェスでけぇ。実在のフェスもあんな規模なんでしょうかね。
今回は誰が主人公というわけでもない回で、むしろ全員が主人公。音楽絡みのイベントってことで、普段は抑え役に回る澪が暴走気味だったのが印象的。あとはさわちゃんが要所要所でいい味出してましたな。
今回描かれた要素は大きく2つ。まず、去年までの合宿のようなお泊まり賑やかエピソードの要素も多分に含んではいる。お約束のイベントを義務的にこなしていくこれまでの合宿と違い、今回は夏フェスという非日常的なシチュエーションを題材としているために、細かな「お祭り」のムード演出に手が込んでいる。何度もさわちゃんが確認した屋外ライブの心得がそうだし、人混みに対する各々の反応なんかもそう。澪やムギのテンションの上がり方なんかはその最たる部分だろうか。
ただ、そうした賑やかムードだけならば去年までの合宿でも描かれていた部分。今回のエピソードで際立っていた要素は、メンバーたちの音楽に対する思い、バンドに対する愛着の数々だ。
一番直接的にそれが現れていたのは、当然澪。普段ではあり得ないくらいにテンションが上がり、他の面々からことごとく突っ込まれるほどに無茶なことを連呼している。そんな澪に、梓も自然に引き込まれている。メンバー同士で音楽について熱心に語り合うなんて珍しい(あれ?)シーンもあり、ライブイベントが彼女たちにとって特別な意味を持っていることが伝わってくる。
そして、極めつけは夜空を見上げながらの5人のトークパート。唯が「自分たちは凄い」と相変わらず無茶な物言いをするところから始まるが、気付けばそんな夢のような話に、全員がシンクロしてしまっている。身の程知らずと言えばそれだけの話なのだが、「演奏すること」に対しての情熱と愛情が無ければ、あそこで臆面もなく唯の大言に同意することは出来ないはず。次第に盛り上がる各人のノリの順番も面白く、まずは澪が「自分たちも凄い」とのっかり、それに梓も乗る。そのままムギが同調すると、律が最後に全体を締める。この流れこそが、放課後ティータイムのスタイルなんだろうなぁ、と思えるワンシーン。あまりの青臭さに恥ずかしくもなるが、出来すぎたシチュエーションと、あまりにてらいのない夢語りに、なんか妙な部分が刺激されて不覚にもうるっと来てしまった。なんでこんなアニメで……と思わないではないが、やっぱりこういう素朴な感情を描くと、京アニ作品は強い。
最後に、今週の1枚。今回はほとんどボケに回らず、テンションの高い澪やさわちゃんのフォローに回っていた部長。初めてのイベントに緊張してた澪が、吹っ切れて「夏フェスデビュー」したのを観て、安心のあまり思わず表情をゆるめた瞬間。すごく優しい表情をしてくれるんだ。なんだかんだ言って、いっつもこの2人は一緒に行動してました。普段の言動はアレだけど、実際はどちらが支えてくれているのかがよく分かるシーンである。
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