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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 あんな馬鹿でかい犬が乗ってきても大丈夫なバスは心強いな、第9話。エリアス邸の近所の人たちって、どれくらい魔法やらなんやらに理解があるんだろうな。

 前回までの切った張ったの大騒動を終え、今回は多少なりとも骨休め。エリアスに至ってはほとんど動いてすらいない。しかし、そんな中だからこそ見えてくるものがあるわけで。毎度のことながらしっかりと各キャラクターの心情に寄り添った内容になっております。

 今回注目すべきは、改めて「魔法使いの嫁」というタイトルがどういう意味なのか、というところだろうか。今作は「魔法使いの弟子」ではないのだ。「嫁」という響きも現代日本ではすっかり扱いが軽くなった感はあるものの、普通に考えればそこには特別な意味があるわけで。チセは「弟子」ではなく「嫁」になる。それが果たしてどういう関係性なのか。転機というにもあまりに大きな事件を経て、エリアス・チセの両名に起こった変化を探る。すったもんだのついでに、2人の間に積極的に介入できるルツという「緩衝材」が増えたのも、2人の関係性が進み始めた一因と言えるだろう。シルキーさんは色々と世話を焼いてくれてはいるのだけど、なかなか積極的に介入してくるっていうタイプじゃないのでね。

 部屋から出てこなくなってしまったエリアスを心配していたチセだが、鍵もかかっていないドアになかなか手をかけることが出来ない。悶々とした状態を見かねたシルキーさんの計らいでお外へ出てみたところ、最初に遭遇したのはアンジェリカさん。彼女もやっぱりチセたちのことが気になっていたらしい。何かと気にかけてアドバイスしてくれる、頼れる姉御タイプのアンジェリカさんだが、しばらくショッピングと洒落込み、最後に少しだけ確信に触れることだけを指摘してくれた。それがチセとエリアスの「依存」関係のお話。実はこの「依存」という言葉の扱いも、ことこの2人に関してはなかなか難しい。何しろスタート地点が「金で買ったやつ」と「買われたやつ」である。そこだけを見れば、もう依存とかいうレベルではなくて「所有」なのである。しかし、実際にはエリアスは独占欲を満たすために金を払ったわけでもないし、やっていることだけを見れば本当に親と同じだけのことをチセに与えてくれる。そしてチセも、元来ドライな性格だったおかげで自分の置かれている変な状況に頓着せず、まわりの人間のなすがまま、自分の状況を受け入れてきた。

 しかし、今回そうした「なすがまま」について、アンジェリカさんは「依存」ではないかと言ったのである。これは、彼女がエリアスに甘えているとか、そういう叱咤ではないだろう。常識的に考えて、金で買われた彼女に何かを選ぶ権利なんてないはずなのだから。むしろ心配というか、彼女の今後の人生を思っての気遣いからの発言だったと思うのだが、これが今のチセには思いの外響く言葉になってしまった。彼女が「依存」するのは、何も物質的な側面だけではない。「自分は買われたのだ」「何も知らないひよっこなのだ」と思うことで、全ての判断をエリアスに委ね、思考を放棄する。あとに待つのが破滅なのか死なのか、それすら定かでないにも関わらず、大した執着も持たぬ彼女はエリアスに全てを委ね、「しょうがないことだ」と諦めているのである。エリアスもあの通りの変人なのでそんなチセの状態を「なんとなく都合がいい」くらいに受け止めているわけだが、このままでは本当に「所有される道具」でしかなく、チセという1人の人間の人生としては真っ当なものではないだろう。

 「相手がどうとも思っていない人間なのなら、裏切られても何も問題はない」。チセはそう言い訳をして、エリアスとの空虚な関係を受け入れてきた。しかし、一連の騒動を終えた今、彼女にとってエリアスはすでにそんな無機質な「飼い主」ではないのだ。そこには人と人との関係性があり、一緒に人生を歩むための感情の往来がある。それを隠して、全て「自分のせいではない」と言って目を伏せ続けることは、もう出来ないのである。だから、チセはついにエリアスの居室のドアを開けた。これまでは「エリアスに言われていない」から開けなかったドア。「エリアスが見えなくても自分に影響はない」から開けなかったドア。それを開いたということは、ついに彼女の中に「エリアスに会う動機」が生まれたということである。ここまでだいぶかかった気がするが、ようやくチセの中に特別な「感情」が与えらえたということだ。

 自分はエリアスに求めるだけなのか。エリアスは自分に何を求めるのか。2人の間に横たわる関係性を考え始めると、チセは自分がまだ何も知らないことにようやく思い至る。エリアスのことを知らないのはもちろんのこと、他者とどのように心を通わせればいいかというコミュニケーションのノウハウすら、彼女にとっては未知の領域だったのかもしれない。自分で考え、自分で動く。そうして自分の足を動かすことで、ようやく一人の人間としての「生き方」が生まれ、責任が生じる。今まで恐れてきたその領域に、彼女はようやく足を踏み入れたのだ。

 そして村で出会った1組の奇妙なカップル。そこにはなんと、互いに通じ合うための「関係性」すら存在せず、片方がただひたすらに相手を見つめ、もう片方はいもしない相手になんとなく焦がれているという。しかし、そんな生活を長年続けてきたリャナンシーは「それでも関係性だ」と主張している。愛するということの形を定義する方が馬鹿げている。自分が好きになったらこの人は死ぬかもしれないのだから、愛さずにそばに居続ける。それだけで満足できるなら自分はそれでいい。不思議な哲学を持つリャナンシーを見て、チセはさらに自分たちのことを考える。リャナンシーのように「見えない」ならしょうがない。しかし、見えるのに話してくれないエリアス、触れられるのに触れようともしなかった自分。それは未だに名前がついていない状態。愛情でもなければ、主従でもない。まずは「繋げる」ところから始めなければ。

 こうしてチセの視線はようやくエリアスの方へとまっすぐ向けられることになった。果たして、エリアスはこの視線に、この気持ちにどのように応えるのか。「嫁」までの道はまだまだ遠そうだが、少しずつ、2人の関係は変化している。

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