2018年度・俺的アニメグランプリ ４／４

 
 

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＜キャラクター部門・女性キャラ＞
　油断すると大渋滞を起こして大変なことになってしまう女性キャラクター部門。今年はもう、腹をくくりました。ここでピックアップする名前も、泣く泣く１作品１キャラ縛りにしたいと思います。ハーレム作品で複数の名前をあげることが出来ないということです。たとえば「ファイとメイとマオ（えんどろ〜！）でどれがいいか選べないよー！」なんて時にも、「スペシャルウィークは鉄板だろうけど僕が好きなのはエルコンドルパサーなんだよなぁ……（ウマ娘 プリティダービー）」なんて時も、どっちか選ばなきゃいけないわけです。えぇ、わけです。決して不正などなかった。もう小糸侑・七海燈子・佐伯沙弥香（やがて君になる）の地獄のトライアングルで悩まなくて済むね！（済んだよね！）
　こちらも男性部門にならって順当な主人公枠から見ていくことにしようか。まっすぐな女の子のかわいらしさをアピールするきらら系作品からは、鳩谷こはね（アニマエール！）と萌田薫子{かおす先生}（こみっくがーるず）あたりの名前をあげることができるだろう。どちらもわかりやすいまっすぐヒロイン。まぁ、かおす先生の方は色々と変なところも加点要素にはなってたけど。こはねは鳥フェイスの時が可愛い。あとはちょっと変化球だと上野さん（上野さんは不器用）も大変可愛らしいヒロインなのです。変態でもいいじゃない、思春期だもの。よりストレートな問題児として一応卯野さきさん（魔法少女俺）もあげておいていいですか。まぁ、彼女の場合相方の方がよっぽどおかしかった気もするけど。
　もっと壮絶なポジションに立つ強いヒロインにもスポットを当ててみよう。例えばちょっと地味ではあったが水嶋清衣さん（Lostrage conflated WIXOSS）なんかは悲劇に負けない堂々とした主人公であったし、レンちゃん{小比類巻香蓮}（ＳＡＯ ガンゲイル・オンライン）なんて強さ、格好よさ、かわいらしさ、頭のおかしさを全て兼ね備えた万能ヒロイン。ピンクの悪魔の再登場はいつになることだろうか。別な意味での強さを持つキャラといえば管理人さん{春原彩花}（すのはら荘の管理人さん）なんて人もいますね。なんの強さとは言及しませんけど。大きいことはいいことだ。そうそう、主人公の主人公たる強さを秘めているキャラといえば何と言っても源さくらさん（ゾンビランドサガ）。本当はベスト３入りも考えたんですが、流石にここまでの部門で色々受賞しすぎてるので外させてもらうよ。フランシュシュは誰か１人を選出しろって言われただけでも悩むし。あとはまぁ、最強ヒロインといえば松坂さとうさん（ハッピーシュガーライフ）をあげておけばだいたい問題ないでしょう。やっぱり僕がヒロインに求めているものって、強さ、優しさ、そして頭のおかしさ。
　主人公以外に視点を移そう。まずはサブヒロイン部門だが、今年度最後に話題をさらって完全にメインヒロインを食ってしまった悪魔には藤原千花{書記の千花}（かぐや様は告らせたい）がいる。涼宮ハルヒ以来のムーブメント……かどうかは定かでない。お友達キャラはやっぱり主人公との絶妙な距離感だよな、という味わいをたっぷり見せてくれるのは貝崎名緒さん（ひそねとまそたん）。ツンデレなんて言葉は陳腐だが、良いものは受け継がれる理由があるものです。個人的に今期はサブヒロインじゃなくて完全にメインヒロインだったろ、と思うのはやはり最推しである花園たえ選手（Bang Dream!）。まさかおたえにこんなにスポットが当たるシーズンになるとはおもわなんだが。そうそう、アニソン部門でも触れたけどお騒がせすぎるアイドル穴沢虹海ちゃん（魔法少女サイト）も、その退場シーンも含めてのインパクトが絶大でした。
　「複数ヒロインから１人を選んで応援してください」的な作品で１人ずつピックアップしていくと、「少女☆歌劇レヴュースタァライト」からだと花柳薫子推し。やっぱ京女ってクソ（最高）だわ。「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」からは、悩みに悩んでやっぱり双葉理央推し。最終判断ポイントがおっぱいであったかどうかは不明。多分あんまり悩んでる人はいないと思うが「デート・ア・ライブⅢ」からは七罪をラインナップ。あのアニメ、精霊たちの転ぶ前と転んだ後のギャップ萌えがあざとくてずるいねん。激しすぎる部活アニメ「はねバド！」からは、実はずっと推し続けていた泉理子さんを取り上げたい。静かに想い人の傍らに立つ、そんな彼女の生き様に惚れる。壮絶なジレンマに悩んだが、「PERSONA5」からは佐倉双葉ちゃんを選ぶ。あの娘との最終決戦は中の人的にもほぼ互角なんだが、最終的にエロ同人の多さで決まった感あり（？！）。
　あとね、実は男性キャラ部門だけじゃなくて、こっちにも「人外部門」があるんだよね。幸か不幸か女性部門は人外がベスト３まで残ることはほとんどないんだけど、今年はかなりいいところまで食い込んだキャラが何人（何匹？）か。たとえばさ、ちとせちゃん（おこしやす、ちとせちゃん）なんて最高のラブリーヒロインに違いない。ずるい。鳥が本気を出した時のもふもふ感ってのはかなり強力な武器になり、他のアニメにもフィーロ（盾の勇者の成り上がり）なんて狡猾なキャラがいる。もふもふの鳥成分あり、純正ロリっ子成分あり、日高里菜成分あり、ずるい。そして多分去年もエントリーしているはず、地獄の獄卒・芥子さん（鬼灯の冷徹 第弐期）のかわいらしさは色褪せず。彼女が歌うかちかち山のヤバさは必聴。そしてごくごく真っ当な動物ヒロインといえばやっぱり陽{ハル}ちゃん（同居人はひざ、時々、頭のうえ。）。まっすぐに可愛らしさを訴える猫に勝てる生物がこの世にいるだろうか。あ、そうそう、一応動物部門だし、最強ヒロインだったのは間違い無いので淫乱クソたぬきことマナさん（CONCEPTION）もリストアップしておきますね。こいつだけ同じ動物枠なのに毛色が違いすぎる……。
　まだ終わらない、次は「敵キャラ・ライバル」枠。私の基本属性がＭなせいで毎回「ひでぇ敵キャラ」部門からベスト３に食い込むことが多いんですが、そんな敵キャラシリーズからも多数の魅力的な女性を発掘することができる。例えば何故かやたらと印象に残ってるのが不思議すぎるタランチュラパンサー（Cutie Honey Unverse）。どんなふざけた世界のふざけたアニメでも、バトル展開となれば命がけの戦いを繰り広げる戦士がいるものだ。同様に悲壮な覚悟が胸を打つ戦いを見せたキャラにはハーメリーヌ（ラディアン）もいる。彼女の戦いだけで、アニメの品質が１つ２つ上がった感があるな。中の人繋がりになってしまうが、敵サイドのキャラも含めて全員素敵だった「刀使ノ巫女」からは獅童真希さんを代表として選ばせてもらおう。親衛隊組は本当に４人とも捨てがたいんだけど、やっぱり真希さんの戦いが一番凄絶だったかなぁ。仲間の分を背負い込んでいることも含めてね。同じ路線ではスザク（新幹線変形ロボシンカリオン）の生き様も素敵。最初に登場した時にはまさかこんな成長を見せるキャラだなんて思ってなかったもんなぁ。あとは敵キャラかどうか微妙だけども、３人から１人選ぶならイワザル（ラストピリオド-終わりなき螺旋の物語-）。まぁ、ここは流石にワイズマンでいいと思うけども。
　ここまで４０人近い名前をあげてきたが、最後はやっぱり「ベスト３に入れたかったけどギリギリで漏れてしまった」枠。１人目は鴨居つばめ嬢（うちのメイドがウザすぎる！）。求められる要項の「かわいさ」が欠けているが、それを補ってあまりある頭のおかしさ、そして筋肉。ぶっちゃけ同作からはメイン３人のうち誰がエントリーしてもおかしくなく、とにかくキャラの強度が強すぎるのだが、まぁ１人選べって言われたらやっぱりつばめさんだよなぁ。個人的に何故かどんどん魅力が上がっていったのは、その甲斐甲斐しさが胸を打つケバ子{吉原愛菜}（ぐらんぶる）。まぁ、声の魅力も強かっただろうが、どうも私は方言キャラには弱いらしい。話題をかっさらったサブヒロインとしては、三島瞳嬢（ヒナまつり）も忘れられないインパクト。完全に主人公を食う活躍を見せてしまったのも彼女のキャラクター性を考えると「そんなつもりは無かったのに……」なんて感じだろうか。
　そしてシーズン最後に実に嫌なインパクトを残して去っていった爆弾ヒロインにしてラスボス部門の覇者、美柳ちなみさん（逆転裁判）も要チェック。ねぇ、ほんとにこのキャラにサトリナボイスあてようって提案したのはどこの誰なの？　表彰するよ？　そして最後は押しも押されもせぬ真性のヒロイン２人。光の戦士、キュアエール・野乃はなさん（HUGっと！プリキュア）。絶対にベスト３に入れようと思ってたのに……すまぬ……。そして闇の戦士、邪神ちゃん（邪神ちゃんドロップキック）。また、会えるみたいですね……。
　さて、ここまで頑張ったんだ。残り３人は致命傷で済む面子しか残ってないぞ。
 
 
第３位
‘05　「灼眼のシャナ」より「“弔詞の詠み手”マージョリー・ドー」
‘06　「天保異聞妖奇士」より「アトル」
‘07　「バンブーブレード」より「千葉紀梨乃」
‘08　「とらドラ！」より、「逢坂大河」とその他ヒロインズ
‘09　「デュラララ!!」より「セルティ・ストゥルルソン」
‘10　「会長はメイド様！」より「鮎沢美咲」
‘11　「４７都道府犬」より「愛知犬」
’12　「しろくまカフェ」より「笹子さん」
’13　「サムライフラメンコ」より「真野まり」
’14　「デンキ街の本屋さん」より「先生」
’15　「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」より「ヘスティア」
’16　「響け！ユーフォニアム２」より「吉川優子」
‘17　「ヘボット！」より「ナグリ・ドツーキ女王」
‘18「SSSS.GRIDMAN」より「新条アカネ」
　あ、ごめん、ラスボス部門の覇者はこっちだったわ。まぁ、救済があったからこっちは「最終的に味方」枠のカウントでもいい気がするけど。毎週感想を書いていた通り、私の中でグリッドマンはアカネちゃんアニメであった。SSSSは「新条さん、そのまま、最低最悪な、死んだ目をしていて」の略である。こんなにも萌え強度の高いクソ女はなかなかいないですよ。まぁ、強いて下駄を履かせている部分があるとしたら圧倒的に中の人修正なわけですけど……どうしたって私みたいな人間は中の人要素の比重が大きくなってしまうのでねぇ……上のラインナップでもリストを作ってたらやたらとキャストが被りまくって「流石に露骨すぎる……」ってんで書かなかった名前も多いんですよ。特にアカネちゃんと完全に被ってたので泣く泣くみゃー姉は書かなかったし（ここで書いたら意味ないやん）。他にも「賭ケグルイ」の選挙管理委員・宇留瑠美亜とかね。とにかくうえしゃまボイスは魔性であり、人を堕落させようとしたら本当に地の底まで落ちていくような陶酔感がある。そんな醜さに全振りしたアカネちゃんが弱いはずなどなく、徹頭徹尾最低なままで、蠱惑的な魅力に満ちていた。最終回演出まで含めて、今作の主人公はアカネだったのは間違いのない事実。そういう意味では、男性部門のキリンと似たような受賞理由と言えるかもしれません。ほら、キリンも声のウェイトがめちゃめちゃでかいし……。
 
 
第２位
‘05　「地獄少女」より「閻魔あい」
‘06　「うたわれるもの」より「トウカ」
‘07　「キミキスpure rouge」より「二見瑛理子」
‘08　「紅」より「九鳳院紫」
‘09　「ささめきこと」より「村雨純夏」
‘10　「刀語」より「否定姫」
‘11　「花咲くいろは」より「四十万スイ」
’12　「人類は衰退しました」より「“わたし”ちゃん」
’13　「戦姫絶唱シンフォギアＧ」より「雪音クリス」
’14　「selector spread WIXOSS」より「蒼井晶」
’15　「下ネタという概念が存在しない退屈な世界」より「アンナ・錦ノ宮」
’16　「クズの本懐」より「皆川茜」
‘17　「メイドインアビス」より「不動卿 動かざるオーゼン」
‘18「ポチッと発明 ピカちんキット」より「ギバさん（柳葉ヤバ美）」
　思わぬ伏兵！　そう来るとは思うまい？！　あえて朝アニメで野乃はなさんを蹴落としてまで入ってくるギバさん。いや、でも長期的な視野で見たときの破壊力はやはりギバさんに軍配が上がる気がするんだよな。どっちも「将来の伴侶が決まっていて、間違い無く子供をもうけている」っていうところまで一緒だな。いや、ギバくんの正体についてはわからないまま（？）ではあるけども。
　登場時には「この時間帯のアニメのくせにガチ百合とかどんな設定やねん」と思っていたのだが、なんとそのベクトルはひなちゃんオンリーへ向けられたものではなかった。その後も得体の知れないムーヴを続けながら、いつの間にかギバさんの手練手管に絡め取られていく遠松エージ。そして未来はギバさんの手の中なのである。上の項目で「クソ女最高」と書いたわけだが、やっぱり強くて賢くてイカれた女性の手玉に取られる快感ってのは他に替えが効かないんですよ。それがたとえ小学生であっても。まぁ、この世界の小学生はとてもじゃないけど小学生とは思えない行動も平気で取れるからな……。
　この異常性、ナシじゃない。
 
 
第１位
‘05　「ぱにぽにだっしゅ」より「レベッカ宮本」
‘06　「ローゼンメイデン・オーベルテューレ」より「水銀燈」
‘07　「ひぐらしのなく頃に解」より「鷹野三四」
‘08　「SOUL EATER」より「’魔女’メデューサ」
‘09　「CANAAN」より「リャン・チー」
‘10　「けいおん!!」より「田井中律」
‘11　「よんでますよ、アザゼルさん。」より「佐隈りん子」
’12　「中二病でも恋がしたい！」より「凸守早苗」
’13　「魔法少女まどか☆マギカ新編　叛逆の物語」より「暁美ほむら」
’14　「PSYCHO-PASS２」より「霜月美佳」
’15　「ガールズ＆パンツァー劇場版」より「ドゥーチェ・アンチョビ（安斎千代美）」
’16　「この素晴らしい世界に祝福を！２」より「ダスティネス・フォード・ララティーナ」
‘17　「魔法使いの嫁」より「羽鳥智世」
‘18「リズと青い鳥」より「傘木希美」
　しょうがねぇよ……キャラの練度が、物語の練度が違いすぎるんや……「劇場版が強すぎた場合に、キャラ部門で帳尻を合わせる」というのは過去にも採用している手法であるが、今回は上にも受け皿を用意しておいて、ここで採用しないなんてことはないのである。ちなみに2年前の３位の欄に吉川優子の名前がある。この学年、強すぎないか？
　もちろん、リズ絡みのキャラが１位になるというなら、選択肢は複数考えられる。梨々花は嘘だとしても、デカリボン先輩の再任はもちろんあり得るし、有力候補としては「吉川と並び立つほどの善意」中川夏紀の名前も上がる。そして当然、そこには鎧塚みぞれの名前もあるに決まっている。リズという物語を総括するにあたって、選ぶべきはみぞれなのか、希美なのか。まぁ、受け取り方次第で個々に答えは変わりそうではあるが、私は悩んだ末、あの物語で選ぶべきはやはり希美の方であると判断する。「リズ」という映画が空前絶後の作品になったのは、傘木希美を赤裸々に描きすぎたことが最大の要因だ。彼女の救われない自意識の果てに、青い鳥が飛んだのである。みぞれの選択、みぞれの行動ももちろん最重要な因子ではあるが、あくまでそれはラスボスとして、ブレイカーとして、あるいは創造者としての力。そうしてみぞれが用意したステージ、閉ざされた檻の中で、見たくもない己がカルマを吐き出した希美の方が、「世界の中心のキャラクター」だと判断するのは間違いではないだろう。
　まぁ、最大の問題は、未だ北宇治高校の物語は終わっていないってことなんだけどな……。これ以上パンドラの箱を開けるのが怖い。
 
 



 
＜声優部門＞
　さぁ、ある意味でここがメインコンテンツ（俺の中では）、最も頭を悩ませる声優部門だ。よくもまぁ、毎年やっててテンションが維持できるもんだと思うが、それだけ業界は人員が回っているということである。ぶっちゃけ、今回この記事を書き始める前には「最近は若手のチェックもあんまりできてないから選出できないかもしれないな……」という不安もあったのだが、試しに候補となる名前をピックアップし始めたら50名を超えたので肝が冷えた。なんだそれ。こっから選出すんの？　アニメを作るたびにいちいちオーディションでキャストを選んでる業界人って本当にすごいな……。いや、でもここから選んでいくんです。ちなみに、あまりにもラインナップが多すぎたので、今年から「過去の受賞者たちはもう名前すら出さない」という制約を設けました。ちくしょう、あの子やあの子を褒めまくりたいのはむしろ今年だってのに……（ご想像にお任せします）。
　さて、まずは順当に伸びてきた部門。去年以前ももしかしたら名前を出しているかもしれないが、今年は仕事を増やして印象がよくなった、というタイプのカテゴリ。どんな名前が上がるかというと、たとえばその個性を確実にものにしつつある木野日菜ちゃん。「あそびあそばせ」での演技は賛否両論あるところだが、むしろ荒削りな分、今後自分の声質とどう折り合いをつけていくのかが楽しみである。高音域での攻めの声質なら高野麻里佳の堅実な仕事ぶりも面白い。突き抜けた役が多かったところからのサイレンススズカみたいな見せ方に新たな可能性が見えたのではなかろうか。話題性も充分な井上ほの花は今後どんな風に個性を際立たせるのかが気になる存在だ。母親の仕事が多ければ多いほど、そことの対比で世代差を見ることができるだろう（母親は年下だけど）。
　今年出てきた中でも「変な声！」部門にはインパクト抜群の若手（とそうでないの）が揃う。誰しも耳に残って気になった声といえば、赤尾ひかるなんかは面白い存在。純正萌え路線に伸ばすのか、イロモノ感を強くしていくのか、どちらにしても面白そう。より変な声を際立たせると高橋花林なんかも気になる存在だ。あの声を上手く活かせる立ち回りができるかどうか。長江里加の声質もどんどん癖になるのでポイントが高い。そして何と言っても「変な声」で決定的な印象を残したのは鈴木愛奈である。マジでラブライブの映画見に言った時に「うわぁぁ！　邪神ちゃんにしか聞こえないぃ！」ってなって大変でした。声優人口が増えている現状、変な声声優のパイの取り合いも激しかろうが、是非、臆せずに個性を伸ばしてほしいところ。
　続いて、もう少し渋めの若手をピックアップしていこう。個人的にはプレイしてるソシャゲからの輸入もあって今後の動向が気になるのは市ノ瀬加那。現状はまだおとなしめの印象だが、業界的にはかなり注目株のようだ。謎の注目株というと変幻自在の島袋美由利の存在も非常に気になる。１シーズンで怒涛のようにレギュラーを勝ち取ったが、ここから次のステップにつながる仕事になっているかどうか。ちょっとトラブルもあったが今後の復帰に期待したいのは大野柚布子。彼女の声質も唯一無二のものなので、独自のポジションが切り開ければ今後も重宝されそうだ。個人的にはもっと注目されてほしいな、と思うのは三村ゆうな。子役あがりの特権である、尋常ならざる安定感。発声も安定しており、どこに当てても仕事がこなせるだけの素養がある。他のメンバーに追いつけ追い越せで上がってきたのは久保田未夢。実は彼女も音域が広くてかなり器用な役者だと思っていますよ。
　続いて、「今更選ぶのもどうかと思う」という恒例の枠。どうしてもトップに選出しづらいバイプレイヤーがここにノミネートされることが多く、今年で言えば神出鬼没のLynnあたりをどうしてもここにカウントしてしまう。間違いなくニーズがあるのだが、これという看板役が見出しにくいという、褒めていいのか悪いのかわからない立ち位置。個人的には藤井ゆきよもこのラインなんですが、ゆきよはいろんなところで楽しそうにしてるから全然悲壮感はないな。このラインまで上がってきたかわからないが静かにキャリアを重ねるのは和氣あず未。この子もなんだかとらえどころがなくて、未だにどういう評価軸が適切なのかを悩んでしまう。メインを何本かやっているという意味では大西沙織に近い存在と言えるかもしれない。大西くんもなぁ……ベルゼブブ嬢をやってるのを見た時には「すげぇなオイ」って感心したもんだけど。そうそう、変な方向に花開いている感があるのは田所あずさ。ころあず、なぜか低音での少年とかに役が振られることが増えてるのよね。まぁ、面白いからいいんだけどさ。そしてもう一歩突き抜ければランクが上がりそうな気がしているのが木村珠莉。本当に魅力的な声だし、ヒロインを堂々とやってのけるだけの素質があるのだが……作品が地味なのかなぁ。もっと羽ばたいてもいいんだけどなぁ。
　いっそもっとキャリアをあげてみようか。すでに受賞してたと思ったけど毎回外してしまうのは沼倉愛美。つまり今年も外したんだが……ぬーさん、本当にインパクト勝負で勝ちしかないんだ。本当に凄まじい人なんだ。もう、名誉なんとかにしたい。去年あえて選ばなかった枠で言えば高橋李依もすでにこっちの枠に入ってるな。りえりー、万能すぎてかえって抑えづらいわ。そして真剣に今年選ぼうかどうか迷ったのが寿美菜子。そうなんだよ、実はまだsphereの中で美菜子だけ選んでないんだよ……。タイミングを逸した感がある。どうしよう。
　さらに転じて、ちょっと他とは違う印象の残り方だったり、１役の強烈なイメージで印象に残っている名前をいくつか。その代表格は相羽あいなである。声優ファンとしては彼女の演技にはなんともいえないのだが……なんかもう、アーティストとかタレントとして別次元で惚れ込んでしまっているので。これがブシロードの罠だ。同様にして罠にかかったのは伊藤彩沙。ただ、彩沙の場合は周りの面子と比較して「声優」として一歩抜け出ているが故のインパクト。だれがずんぐりピンクや。その他、役１本で名前を残した例としては、真っ先に出てくるのは引坂理絵だろう。どうでしょう、来年以降に仕事が繋げるかな？　そしてなんだか気になるジャンルとして「少年声」があるんだが、そこに一応植田千尋の名前はインプットしておきたい。この記事にまだWikiすらまとまってない名前が出てくるのは初かもしれないが、ほんとに堂々たるお仕事でしたよ。そして仕事一本で完全に地位を確立したのは高田憂希だ。去年まではそこまで印象はなかったのだが……良い役が役者を育てるのか、役者がよかったから役が引き立ったのか。答えあわせは来年以降にね。そうそう、この辺りで真野あゆみの名前も出しておきましょうね。さて、来年から仕事が増えるかどうか……。
　さぁ、無事にここまでたどり着いたので……「最終選考に残った１０人」まで絞り込んだよ。まだまだ続くんだよ。あと１３人だけだから頑張って。
　まずは去年も似たような枠まで残っていてあえて外してしまった名前が今年もここにエントリー。花守ゆみりである。いや、もうゆみりが優勝でもなんの問題もないんだけどね。最後の最後に絞り込むとどうしても優先順位が下がってベストに食い込まない……なんでだろう。いい仕事してるんですよ。似たような渋い悩ませ方で言えば鬼頭明里の台頭も確実に今年を代表するムーブメント。出てきた当初から「器用な子やなぁ」とは思っていたが、今年はノア役なんかでさらに引き出しの多さを見せつけてくれた。今後も末長く生き残りそうなタイプ。そんな彼女のさらに一回り上に位置しているのが瀬戸麻沙美。そうかぁ、瀬戸ちゃんもまだ選んだことないんやなぁ……業界には不思議な波があって、中堅やベテランでもやたら出まくる年と仕事がパタリとやむ期間とがある。瀬戸ちゃんはそうしたブランク無しで、コンスタントにいい仕事を連発するタイプの職人。いつ選んでもいいと思うと、うっかり外してしまうのは俺の悪い癖なんだよなぁ。
　もう少し若手に目を向けると、今年一気に存在感を発揮したのは小原好美。書記チカブームが火をつけた印象はあるが、実はその前からしっかり助走をつけて飛躍の時を虎視眈々と狙っていた。この声ならかなりの飛距離が出そうだぞ。同様の飛び方に成功したのは楠木ともり。まだ仕事は少ないかもしれないが、彼女もまっすぐなヒロインボイスで伸び代は多そうである。気づけばこうした「正ヒロインレース」に参加していたのは白石晴香。まぁ、芸歴で言ったら大先輩ではあるのだが……最初に「ローニャ」で声を聞いた時はアカンと思っていたが、やはり子役あがりはタダでは転ばない。しっかり声優業にフォーカスを定めて、ぐいぐい押せるだけのスキルを身につけて返り咲くのである。
　子役繋がりでいくと、やはり上がってきた、諸星すみれ。初めて名前を認識してからすでに10年近くが経過しているが、リアル幼女だった彼女が、気づけば立派に一人で仕事を受けられる年齢になった。子役あがりは本当に演技プランがしたたかで強いんだよなぁ。
　そんな純正の役者業に負けてなるものかと気を吐くのは、アイドルとのハイブリッドで両輪を回す芹澤優。セリコの一発で空気を変える天真爛漫な声の出し方はアイドルとか声優とかいう垣根を飛び越えた本物だと思ってますよ。そして「アイドル」という切り口にも手を伸ばし、多分本人も予想していなかった方向から日の目を浴びることになったのが河瀬茉希。彼女はまだまだブラックボックス。何が出てきてもおかしくない楽しさがありますね。
　そして最後の１人は、今年1年で非常に癖のある役が多く回ってきて面白い存在感を発揮してくれた大和田仁美。デビュー時の「SHIROBAKO」ではそんなに印象もなかったのだが、今年担当した綾乃、美羽、イーグルといった役はなんだかどれも一筋縄ではいかない癖があって、妙に声質が印象に残る仕事が多かった。記憶に残る声優って、案外そういうものなのかもしれません。
　さて、ここまで厳選に厳選を重ねた38名の名前をあげてまいりました。ようやく、残り３人です。もう、ここまできちゃうと順位をつける意味もあんまりないんだけど……あなたのベスト３は、誰になりそうですかね？
 
 
第３位
‘05「植田佳奈」　’06「小林ゆう」　’07「戸松遥」　‘08「佐藤聡美」　
’09「原田ひとみ」　’10「日高里菜」　‘11「伊瀬茉莉也」　’12「茅野愛衣」　
‘13「種田梨沙」　’14「大久保瑠美」　‘15「小澤亜李」　‘16「水瀬いのり」　‘17「黒沢ともよ」
‘18「久野美咲」
　正直……なかなかチャレンジングな選出だと自分では思っているのだが、どうだろうか。
　「上手い声優」なんて簡単に言うが、その実、役者の上手い下手を判断するのはめちゃめちゃ難しい。そりゃま、露骨な「下手」というのはわかる時もあるのだが、時にそうした棒読みですら「味がある演技」なんて言われることもある。自分が素晴らしいと思った演技でも「クサい」だの「わざとらしい」だのと謗られたりする。結局は主観の域を出ず、声優が上手い下手を判断するのは個々人であり、シチュエーションにも大きく影響されるものだ。
　なんでそんな「声優一般論」から始めたかというと、未だに私の中で、久野ちゃんの「巧拙」を測りかねているためだ。世間的には久野ちゃんが「下手だ」という声もある。過去にも色々な声優についてそうして意見が割れた時には「何言ってるんだ、この子は上手いんだ、何故わからない」と抗弁できたが、久野ちゃんの場合、「まぁ、もしかしたら上手くはないのかもしれない」と多少日和見的な落とし所を探してしまう自分がいる。久野美咲は、役者として優れているのか、単なる「変な声だけの一芸人間」なのか。ただ、私は今年度の総評にあたって、今こそ久野ちゃんを評価する時期なのだと判断したのである。
　久野ちゃんといえば、とにかくその唯一無二の声質が持ち味である。正直、現時点で久野ちゃんの前に久野ちゃんはおらず、久野ちゃんの後にも久野ちゃんはいない。過去にもこうした「変な声声優」は多数存在していたが、例えば金朋系統ですらゆーきち・森永ラインがあり、ミズハスときゃりさんがあんなにもかぶるとは思わなかった。かやのんボイスにも石見舞菜香という対抗が現れ、絶対存在かと思われた能登麻美子ですら、一時期は早見沙織が後継と目された時期もある（全く似ているとは思わないのだが）。完全に同じ声はないが、およそ系統で似通った互換性は誰しも持ち合わせている。しかし、久野ちゃんはそうではない。強いて挙げるなら間宮くるみラインが一番近いのだろうが、久野ちゃんの「どうしようもない幼児性」ボイスは、本当に天性のもの。「ズヴィズダー」で世に現れて以来、良くも悪くもそこにぶれる気配は微塵もない。どこまでいっても久野ちゃんのままだ。
　しかし、それは同じ位置でずっと立ち往生していることを意味しない。今年の久野ラッシュは新たな扉を開くものであり、例えば「ひそねとまそたん」におけるひそね役は、声こそ全く変わっていないはずなのに、確実に異次元へと足を踏み入れた役回りになっている。さらに「えんどろ〜！」におけるマオ役でも玄田哲章との二人一役というとんでもない配役を成し遂げ、「LOST SONG」に至っては土台無理だと思われた少年役にまでチャレンジしたのである。この広がりは、新たな久野ちゃんユニバースの拡大を示す端緒であるとみることができるのではなかろうか。そして、そこに久野ちゃんがあることに、我々はすでに馴染み始めているのである。
　着実な進化と変化を続けていく久野ちゃん。今後、彼女はどんなモンスターを生み出すことになるのだろうか。
 
 
 
第２位
‘05「斎藤千和」　’06「後藤邑子」　’07「佐藤利奈」　‘08「遠藤綾」　
’09「悠木碧」　’10「喜多村英梨」　‘11「豊崎愛生」　’12「金元寿子」　
‘13「佐倉綾音」　’14「Ｍ・Ａ・Ｏ」　‘15「安済知佳」　‘16「小松未可子」　‘17「上田麗奈」
‘18「種﨑敦美」
　去年保留した分を今年吐き出しました。まぁ、去年はキャラクター部門で戴冠させた兼ね合いもあり遠慮したっていうのが大きかったのでね。なお、今年は希美を受賞させているので……まぁ、察して。
　久野ちゃんが「必殺の一撃」を武器とするなら、種さんはこれこそまさに声優の真骨頂。変幻自在の幅の広さでもって、与えられた役にどんどん命を吹き込んでいく。思えばメジャーでレギュラーを獲得した「となりの怪物くん」の時点でその声が耳にとまったのは必然だった感があり、脇役においてもスルッと入ってきて存在感を見せつける仕事ぶりは、あの当時からすでに完成していた。その後「デス・パレード」で一気に惚れ込むことになり、昨年の「魔法使いの嫁」ですでに陥落していたのだが……今年度はそんな盤石の評価に甘んじることなく、さらに一石、二石を投じ続けている。
　種さんを語る上で外せない要素は、その変幻自在のテンションの高低だろう。今年度だけで考えるなら、やはりその看板は鎧塚みぞれが背負っていることになり、ベースとなっているのはみぞ先輩のような多少ダウン気味の、じっとりと聞かせてくれるタイプの声だ。淡々とした中でも不思議な色気を見せつける仕事ぶりは「青ブタ」の理央役でも存分に発揮されている。そうして低めの音域がホームかと思わせておいて、突然「異世界魔王」の時のクルムのような飛び道具も平然と打ち出してくる。どこにでも自然に溶け込む汎用性の高さは私の好みのタイプである内山夕実ラインを彷彿とさせるが、種さんはそこからクルリと表情を変えて非常にスタンダードな「ヒロイン」として立てるのが最大の強みなのだ。まぁ、ご本人に「かわいいヒロイン！」とか声を掛けると穴掘って逃げ出しそうな空気があるのだが……ああいうこじらせ方もまた種さんらしい魅力と言える。
　今後も確実に業界の中心に居続けると思われる種崎ムーブメント。是非ともその行く末を見届けたいものである。
 
 
第１位
‘05「生天目仁美」　’06「井上麻里奈」　’07「阿澄佳奈」　‘08「井口裕香」　
’09「高垣彩陽」　’10「藤村歩」　‘11「福圓美里」　’12「内田真礼」　
‘13「内山夕実」　’14「早見沙織」　‘15「山本希望」　‘16「日笠陽子」　‘17「井澤詩織」
‘18「本渡楓」
　「固着」「変幻」という2名を紹介し、最後に控えしは、まさに「王道」。本渡ちゃんをここで評することに、誰も文句はありはしないだろう。
　まぁ、彼女の場合も「去年の時点ですでにベスト３入りを検討されていた」という今更感溢れる選出になってしまうのは申し訳ないところだが、今年の快進撃を考えれば、よくぞ私は今年まで「溜めて」いたものだと自画自賛する。今年の履歴を拐えばそこにはっきりと「本渡的メインストリーム」が見えてくるはずだ。
　彼女の強みを一言で表すのは難しいのだが、個人的にはその「明るさ」じゃないかと思っている。ラインとしては勝手に東山奈央と同じ路線だと思っているのだが、とにかく、声を聞いているだけで元気が出るのである。「元気」といっても戸松とか日笠のような圧の強さでパワーを感じさせるタイプではなく、スカッと爽やかに、気持ちいい余韻を残して響く印象。初主演となった「ここたま」の時のこころちゃんなんかは子供向け番組だからそのあたりの印象が強いのかな、とも思ったが、今年立て続けに演じたキャラを見て、その全てに満ちた力強さを見て、これは本渡ちゃんの声そのもののパワーなんだな、ということを確認した。
　もちろん今年度に限定するなら、そのパワーは源さくらに集約される。ラップもメタルもなんでもござれのスーパーどやんすヒロインに選ばれた彼女はステージパフォーマンスも堂々としたもの。アイドルとしての活躍は別に必須ではないとはいえ、アニメヒロインの付属要素としてあったら嬉しい要素なのは間違いない。主演だけでもさらに「とじみこ」の可奈美、「いろあす」の琥珀などがおり、どちらも突き抜けた前向きさが周りのキャラクターに力を与える役回り。そしてこれは「そういう役だからそう聞こえる」だけではないだろう。例えば「ヒナまつり」の瞳ちゃんに至っては主役を食いかねない勢いでその存在感を拡大していったし、「ちおちゃんの通学路」の雪は弾けたエネルギーが確実に間違った方向に振り切れた怪作。持ち前の「明るさ」を様々な方向に広げて、自らの武器としてフル活用していることがわかるはずだ。こうした流れが出来上がれば、あとは好きな方向へと伸ばしていくだけ。本渡ちゃんならば、持ち前の武器をさらに研ぎ澄ませた今後の活躍は今まで以上に期待しても問題ないだろう。
　今日もまた、ケラケラと適当に笑う本渡ちゃんの笑顔が見られればそれで良い。
 
 
 
 
 
 
 
 
今年も、良きアニメに巡り会えますように。