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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 僕の春休みの宿題、2018年度アニメグランプリのお時間が今年もやってまいりました。毎年毎年、僕はこれのために頑張ってアニメを観ている感もあります。
 究極の自分語りコンテンツなので各個記事以上に好き勝手にやらせてもらっていますが、それだけに私生活や加齢などによる変化も如実に表れてしまうのがこのコーナーの恐ろしいところ。まぁ、「私生活の変化」とか書いてるけど「変わってない」のが実情なんですが……。ちゃうねん。変わってるはずやねん。変わらなきゃいけないねん。でもね、たまに愚痴でぽろっと漏れることがあるけど、私のような人間は、「変化すること」が一番の恐怖なのさ。今まで何年、何十年と続けてきた生活スタイルを変えることが恐ろしいストレス。だからこそこうして、毎年変わらずに同じことをやり続ける。一種の精神疾患みたいなもんだと思いますよ。それでも人生とは残酷なもので、私も歳をとる、そして社会は変わっていく。そんな中で、どこまでこのオールドスタイルのオタクがアニメというジャンルと戦い続けることができるか。そんな人生を賭した壮大な実験プログラムだとでも思っていただければいいのかもしれません。いつまでも気は若く。いや、幼く。大人になんかなれないよ。
 毎度前置きが長くなっとりますが……そんなこんなでブログ上では記念すべき10回目のアニメグランプリ。来年もこうして変わらずにアホなテキストをアウトプットできていると嬉しいですね。過去分に興味がある方は、リンク貼るのもめんどいので「アニメ・雑記」タグでたどることが可能ですので遡ってみてください。テキストの量だけで言えば生半可じゃない量がありますので、耐性のある方はそれなりの暇つぶしにはなると思います。
 一応毎年のことなので約束事をコピペしておくと、(以下コピペ)タイトル賞の選出は何故か毎年「仮装大賞」の賞に依っており、タイトル部門以外の賞は、基本的に3位まで取り上げてある。(コピペ終わり)毎年自分で設定した部門に四苦八苦しながらの選出なのでもうちょっと選びやすいスタイルにすればいいじゃねぇか、とは思うのだが、これもやっぱり「変化を嫌う」傾向から変わらないままです。今年はこの設定が大きな大きな障壁として立ちふさがることになり……まぁ、後述。縛りプレイって大事よ。
 今期エントリーされたのは、「2018年4月期以降に終了した、もしくは現在放送中である」ことを条件として、ある程度最後まで視聴していた以下の183作品。……183かぁ……。毎年ため息をついているが、なんでだろう。全然切れてないやん。むしろ増えてるやん。まぁ、最近の傾向として15分以下のショート枠がかなり増えたのでトータルの時間で言えばそこまで差はないと信じたいが、やはり毎クール週に50本以上の生活スタイルはなんとかしたい。自分ではどうにもならないので、アニメ業界が自発的にアニメの量を減らしてくれることを期待するしかない。「アニメバブルは弾けたからアニメの本数も減り始めるよ」なんて話を毎年聞いている気がするのだが、私の視聴可能な範囲ですら増えているし、その私も「テレビで継続的に視聴可能な作品のみを視聴する」という制限(自己防衛)を設けており、ネット配信だけで観られるオリジナル作品などを加えだしたら、さらに本数が増えることになるだろう。現代の視聴者に求められるのは、適切な取捨選択の判断力なのであろう。残念ながら、私はそれを持ち合わせていない。
 毎度のことなので数字の上でのデータを確認しておくと、今期視聴本数の183という数字はショート枠を26本含む。過去11年分の視聴本数の推移は7674596790103(93)132(121)
149(133)152(129)170(148)170(150)183(157)となっている(括弧内がショートアニメを除いた数。今期は通常枠の分割ものは基本的にカウントをまとめている)。来年の数字を見るのが怖いんだが、大丈夫か俺、大丈夫か日本。

 加えて、業界的にはショート枠以上に増加傾向にあるのが「劇場アニメ」の本数である。本数が増え、自分でも観にいくようになって気づいたのだが、確かに、劇場作品なら私のような人間でも見るために1000円以上の出費が義務付けられているわけで、普段なかなか金を落とさない層からも資金が回収できる理想的な形態であろうことは理解できる。ただ、やっぱり個人的にはテレビシリーズが観たいんだよな……劇場版は劇場版として、作品の本質以外の部分で束縛が多いから。まぁ、テレビシリーズはもっと制限があるだろ、と言われたらそうなんだろうけどさ。ちなみに今期劇場作品の視聴本数は17本で、まぁ最近では普通か。ここ数年で安定して数字が増えているのは、やはり業界の流れを表したものであろう。一応本数の推移を書いておくと7→4→6→12→8→6→9→171517となっている。なお、毎年のことだが劇場作品については基本的にこのグランプリの選出基準からは外すようにしている(フラグ)。
 
○一応ある程度見ていたエントリー作品(アイウエオ順・ショートアニメは【】で表示)

【アイドルマスターシンデレラガールズ劇場3rd】【アイマスSideM理由あってMini】「ISLAND」「あかねさす少女」「悪偶-天才人形-」「あそびあそばせ」【あっくんとカノジョ】「アニマエール!」「あまんちゅ!~あどばんす~」【ありすorありす】「アンゴルモア元寇合戦記」「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」「イナズマイレブン アレスの天秤」「イナズマイレブン オリオンの刻印」「色づく世界の明日から」「Ws(ウィズ)」【上野さんは不器用】「うちのメイドがウザすぎる!」【宇宙戦艦ティラミス】「ウマ娘 プリティダービー」「エガオノダイカ」「えんどろ~!」「オーバーロードⅢ」【おこしやす、ちとせちゃん】【お前はまだグンマを知らない】「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」「音楽少女」「カードキャプターさくら クリアカード編」「ガーリー・エアフォース」【ガイコツ書店員本田さん】「学園BASARA」「かぐや様は告らせたい」「かくりよの宿飯」「賭ケグルイ××」「風が強く吹いている」「かみさまみならいヒミツのここたま」「からくりサーカス」【ガルパ☆ピコ】「ガンダムビルドダイバーズ」「寄宿学校のジュリエット」「逆転裁判(第2期)」「キャプテン翼」「Cutie Honey Universe」「京都寺町三条のホームズ」「銀河英雄伝説 Die Neue These」「銀魂 銀ノ魂篇」「グランクレスト戦記」「ぐらんぶる」「SSSS.GRIDMAN」「グリムノーツ  The Animation」「ゲゲゲの鬼太郎」「ケムリクサ」「けものフレンズ2」「荒野のコトブキ飛行隊」「ゴールデンカムイ」「五等分の花嫁」「ゴブリンスレイヤー」「こみっくがーるず」【狐狸之声】「CONCEPTION」「サークレット・プリンセス」「斉木楠雄のΨ難(第2期)」「殺戮の天使」「七星のスバル」「邪神ちゃんドロップキック」「重神機パンドーラ」「シュタインズゲート ゼロ」「少女歌劇レヴュースタァライト」【少年アシベGO!GO!ゴマちゃん】「食戟のソーマ 餐の皿 遠月列車篇」「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」「天狼Sirius the Jaeger」【人外さんの嫁】「新幹線変形ロボシンカリオン」「進撃の巨人Season3」「深夜!天才バカボン」「スター☆トゥインクルプリキュア」「すのはら荘の管理人さん」「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」「聖闘士星矢セインティア翔」「閃乱カグラSHINOVI MASTER -東京妖魔篇-」「蒼天の拳REGENESIS」「ソードアート・オンライン アリシゼーション」「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」「ソラとウミのアイダ」「ゾンビランドサガ」「ダーリンインザフランキス」「抱かれたい男1位に脅されています。」「多田くんは恋をしない」【立花館To Lieあんぐる】「盾の勇者の成り上がり」「DOUBLE DECKER! ダグ&キリル」「ちおちゃんの通学路」「つくもがみ貸します」「ツルネ-風舞高校弓道部-」「デート・ア・ライブⅢ」「デビルズライン」【テレビ野郎ナナーナ】「転生したらスライムだった件」「とある魔術の禁書目録Ⅲ」「同居人はひざ、時々、頭のうえ。」「刀使ノ巫女」「となりの吸血鬼さん」「ドメスティックな彼女」「奴隷区The Animation」「どろろ」「七つの大罪 戒めの復活」「ニル・アドミラリの天秤」「ハイスコアガール」「バキ」「覇穹 封神演義」「HUGっと!プリキュア」「BAKUMATSU」「バジリスク~桜花忍法帖~」【走り続けてよかったって。】「ぱすてるメモリーズ」「はたらく細胞」「Back Street Girls-ゴクドルズ-」「ハッピーシュガーライフ」「BANANA FISH」「はねバド!」「バミューダ・トライアングル~カラフル・パストラーレ~」「はるかなレシーブ」「反逆性ミリオンアーサー」「BanG Dream! 2nd Season」「ピアノの森」「BEATLESS」「B-PROJECT~絶頂*エモーション~」「ひそねとまそたん」「ヒナまつり」「美男高校地球防衛部HAPPY KISS!」「火ノ丸相撲」【ひもてはうす】「百錬の覇王と聖約の戦乙女」「Phantom in Twilight」「ブキーポップは笑わない」「不機嫌なモノノケ庵 續」【踏切時間】【フライングベイビーズ】「プラネット・ウィズ」「Free! -Dive to the Future-」「フルメタル・パニック!Invisible Victory」「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」「PERSONA5 the Animation」「鬼灯の冷徹 第弐期その弐」「僕のヒーローアカデミア(第3期)」「ポチっと発明ピカちんキット」【ぼのぼの】【ほら、耳が見えてるよ】【マナリアフレンズ】「魔法少女 俺」「魔法少女サイト」「魔法少女特殊戦あすか」【みにとじ】「明治東京恋伽」「メガロボクス」「メジャーセカンド」「メルクストーリア 無気力少年と瓶の中の少女」「モブサイコ100Ⅱ」「やがて君になる」「約束のネバーランド」「ヤマノススメサードシーズン」【闇芝居(第6期)】「夢王国と眠れる100人の王子様」「ゆらぎ荘の幽奈さん」「ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士」「妖怪ウォッチ」「妖怪ウォッチシャドウサイド」「弱虫ペダルGLORY LINE」「ラストピリオドー終わりなき螺旋の物語ー」「ラディアン」「revisions -リヴィジョンズ-」「RErideD -刻越えのデリダ-」「RELEASE THE SPYCE」「臨死!江古田ちゃん」「ルパン三世Prat5」「レイトンミステリー探偵社 カトリーのナゾトキファイル」「ロードオブヴァーミリオン 紅蓮の王」「鹿楓堂よついろ日和」「LOST SONG」「Lostorage conflated WIXOSS」「私に天使が舞い降りた!」【One Room セカンドシーズン】「ヲタクに恋は難しい」


 
○今期視聴した劇場アニメ作品(視聴順)
「リズと青い鳥」「GODZILLA 決戦機動増殖都市」「犬ヶ島」「ニンジャバットマン」「あさがおと加瀬さん。」「ペンギン・ハイウェイ」「魔法少女リリカルなのはDetonation」「GODZILLA 星を喰う者」「HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」「シュガー・ラッシュ:オンライン」「ラブライブ!サンシャイン!! The school Idol Movie Over the Rainbow」「PSYCHO-PASS Sinners of the System Case.1 『罪と罰』」「Fate/stay night [Heaven’s Feel] II.lost butterfly」「コードギアス 復活のルルーシュ」「劇場版 幼女戦記」「PSYCHO-PASS Sinners of the System Case.2 First Guardian』」「PSYCHO-PASS Sinners of the System Case.3 『恩讐の彼方に__』」
 
 



 
<タイトル部門>
技術賞
‘05「創世のアクエリオン」 ’06「がくえんゆーとぴあ まなびストレート」 ‘07「モノノ怪」 ’08「キャシャーン Sins」 ’09「化物語」 ‘10「デュラララ!」 ’11「輪るピングドラム」 ‘12「さんかれあ」 ‘13「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」 ‘14「ピンポンThe ANIMATION」 ‘15「ブブキ・ブランキ」 ‘163月のライオン」 ‘17「正解するカド」
‘18「はねバド!」
 アニメ作りの技術に「すごいね!」という部門。毎年書いていることだが、ここでの「技術」という言葉は、「CGなどに代表される具体的なテクノロジー」の側面と、コンテワークなどアニメーション独自の構成演出スキルの側面のどちらで解釈することもできる。過去の受賞履歴を見ると’13年の「アルペジオ」、’15年の「ブブキ・ブランキ」、昨年の「正解するカド」なんかはいかにもCGワークに寄せた選評だが、それ以外の年だと、’08年の「キャシャーンsins」や翌年の「化物語」、’11年の「ピングドラム」なんかは確実に監督のクセがハマったタイプの受賞。さて、今年はどちらにしたものか。
 まず、純粋な技術の面でいえば、やはりCG絡みの技術革新は毎年進化が続いており、直近で印象深いのは「BanG Dream!」のフルCGモデルによる描画だろうか。サンジゲンによるCGワークはそれこそ「ブブキ」と同じものであるが、ロボットアニメだったブブキ」はCGとの親和性が高いが、日常ものの側面もあるバンドリはほんの少しの油断で現実味を消失し、「浮いた」画面になりかねない。そのあたりのバランス調整は、年単位で確実に進歩している部分であろう。同様にCGの見せ方で話題を呼んだのは、あえて古臭い方向へ画面を汚し、特撮への回帰と融和を見せつけたTRIGGERの「SSSS.GRIDMAN」。ジャパニメーションの追求するガラパゴスな映像美が、これまた日本文化の1つである特撮と結合したエポックメイキングな1作。こういう方向性ならば、まだまだ日本のアニメは強さを維持できる。あんまり日本日本いうとそっちの系統の人かと思われるかもしれないので、どうしても個人的に外せない作品になった「悪偶-天才人形-」の名前もここで挙げてしまおう。ぶっちゃけ技術的には2周3周遅れの作品には違いないが、独特の色彩センスや伝統的な「見え」の構図を無視した絵作りは、強烈な違和感を放ちながらも、どこかに懐かしさも感じさせる癖になる味わい。いや、作ってんのは日本人なんだけどね。
 もう少し純正の技術力で見ていくと、天下の京都アニメーションからは「ツルネ-風舞高校弓道部-」がエントリー。アニメとしては鳴かず飛ばずではあったが、やはり京アニ作画の病的なまでの描き込みは特別なものであり、自分がよく知っている分野が描かれると、それだけに背筋が寒くなるくらいのリアリティを感じることができる。映像美への自信というなら古参スタジオ・サンライズも負けてはおらず、CGとの融和という意味では独自の進化を続けていることが伺える「DOUBLE DECKER! ダグ&キリル」は見ていて楽しい画面が展開されたのは間違いない。ガンダムにばっか力を入れずに、他のオリジナル作品でも色々と見せて欲しいところだ。専門性の高い作画で言えば、今年度は「ウマ娘 プリティダービー」と「風が強く吹いている」という2つの陸上(?)アニメが並び立った年という偶然がある。どちらも「走る」という簡単そうで実は難度の高いテーマをそれぞれの文脈で入念に映像にしており、娯楽性の高いレースで萌えと燃えを繋げた競馬と、ひたすら熱いスポ根ドラマを成立させた駅伝という画面の引きはどちらも強烈だった。
 「ウマ娘」からスタジオ繋がりでいくらか演出面での妙味に寄せていくなら、唯一無二の映像美術を作り出した「色づく世界の明日から」も今年度の有力候補だろう。「光」と「色彩」にこだわり、美しい画面の「色づき」をそのままドラマの内容に直結させるという作劇は、よほど画面作りに自信がなければなしえない難題。このチャレンジに挑めるからこそ、そしてチャレンジを成し遂げるからこそのP.A.WORKSである。その他にも、たとえばボンズ制作なら「モブサイコ100」の見せる常軌を逸した描き込みのクオリティはまさに超常現象レベルだし、温故知新で新たなスタイリッシュを生み出した「どろろ」の製作はMAPPAである。この辺りの映像技術は、やはりそれぞれのスタジオの威名を背負った作品の面目躍如である。
 立川譲の手による「モブサイコ」もそうだが、監督の個性が強く現れた作劇の「クセ」でいうなら、今期は「かぐや様は告らせたい」に見られる執念とすら言える描画のこだわりも忘れられない。これまで当ブログでは何度となく畠山守の恐ろしさに触れてきたが、こうした作品でも取りこぼしなく、その個性をさらけ出せるのはクリエイター冥利に尽きるだろう。同様の恐ろしさは「少女☆歌劇 レビュースタァライト」にも見ることができる。アニメと「歌劇」の融合をこんな方法で成し遂げようなんて、常人では考えも及ばない超発想。古川知宏監督の名前は、今後も常に動向を気にする必要があるだろう。
 こうして様々な「技術」について見てきたが、今回は圧倒的な動画の品質に注目し、「はねバド!」をこの部門で選ばせてもらおう。方向性としては「ウマ娘」などの「スポーツ描画の精度」を評価したものと同じだが、今作の場合はとにかくその練度が桁違いだった。史上最速の競技と言われるバドミントンの迫力を、経験したことのない我々一般視聴者にも文字通りに「叩きつけてくる」その迫力は、物語のエグい展開とも噛み合って鬼気迫るものになっていた。一球一球のショットに込められた精魂が画面をぶち破って飛び出してくるかのような描写、汗をにじませて魂を削り続ける女子高生たちの生き様。まさにスポ「根」の真髄と言える。アニメ製作はライデンフィルム。上に挙げたいくつかのスタジオに比べるとまだ評価にもばらつきのある若いスタジオだが、要所で見せるこだわりは充分に一線級だ。是非とも、この方向でスポ根アニメの雄たるI.G.なんかにぶつかっていって欲しい。
 
 
努力賞 
‘05「蟲師」 ’06「ひぐらしのなく頃に」 ‘07true tears」 ’08「かんなぎ」 ’09「けいおん!」 ‘10「世紀末オカルト学院」 ’11「ブラック★ロックシューター」 ‘12TARI TARI」 ‘13「聖闘士星矢Ω」 ‘14「ばらかもん」 ‘15「デュラララ!×2」 ‘16「魔法少女育成計画」 ‘17「魔法使いの嫁」
‘18「プラネット・ウィズ」
 頑張ったね! を評する部門。設定されている中でも一番意味不明なところだが、「全体的に好きなのは間違い無いのに、どこをどう取り上げて褒めてもなんか違う気がする」という時にオールマイティに使える部門だ。まぁ、総合賞とでも改名した方が伝わりやすい気もする。
 この部門の最大の特徴は、「原作あり」の作品を多く取り上げられるという部分。過去の受賞歴を見ても、その多くは漫画原作であり、「漫画原作の作品って既読だとどうしてもアニメに身が入らないけど、いいアニメ化は本当に漫画にプラスアルファを加えられるんだよ」というポイントに触れることが多くなっている。
 毎年のことなのでそんな「原作アリ」部門から見ていくと、手放しで褒めるのもこっぱずかしい静かな名作「キャプテン翼」なんてのが代表的なところだろう。いや、アニメとしてはいたって普通だし、何がすごいということもない作品なのだが……原作が面白いなら普通に盛り上がるんじゃね? という部分をそのまま素直に取り上げてくれている。旧作の復活ってのはこれくらいでちょうどいいんだよな。余計なカットとかしないで、枠を確保した上で好きな人が好きな部分に注意して作ってくれ。当然同じ要素は「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」にも言えることである。こちらは多少なりともオリジナル要素が話題になることもあるが、各方面に愛が溢れており、マニアにも満足できる一本。あとは話題になったところだと「BANANA FISH」でしょうかね。こちらは原作を知らない状態での視聴だったが、なるほど、時代を超えて読み継がれる作品っていうのはどこか通底した新しさを持っているものだ。「どうせ少女漫画でしょ」みたいな偏見はやっぱり作品を受容する上で邪魔になるなぁ、ということを反省させられた作品である。
 多少毛色を変えて、「アニマエール!」なんて作品も、ちゃんとアニメになった意味が見出せる良作だった。きらら系作品がスポーツというテーマをどのように扱うかという問題については個別感想で扱ったが、狙った通りに、狙ったテーマ性を魅力に転じられるというだけでもアニメとしては大成功だっただろう。同様のこだわりは「アンゴルモア 元寇合戦記」でも見ることができる。華やかさとは無縁の「中世の侍」の姿を泥臭く描きながら、昨今の流行でもある「絶望的なアングラ感」みたいなものも滲み出す作劇はレトロなはずなのにどこか新鮮だった。
 レトロと新鮮を行き来する作品といえば、他の部門でなかなか名前が出せなくてやきもきした「メガロボクス」がある。新旧の融合ってそういうことじゃねぇよ、とは思うのだが、一見めちゃくちゃな設定に見えて、そこでやっているヒューマンドラマは実に朴訥で、なんとも不器用な作品。それだけに下地にした作品の時代性も垣間見えるようで、どこかクセになる味わいである。正当な継承を果たしながら現代風へのブラッシュアップに成功しているのは「どろろ」だろうか。梶原一騎に手塚治虫。いまだに日本のメディアがこうした名前に支えられているという事実は驚くべきものだ。そうそう、「ルパン三世PART5」ってのも思わぬ伏兵として楽しませてもらいましたね。今、西暦何年だ? まぁ、良いものは良いと素直に頂いておこうじゃない。
 もう少し現代に寄せて、オリジナルのジャンルからも頑張った作品を見ていこう。個人的には何かで賞をあげたいなぁ、と感じた無骨な作りの一本として「刀使ノ巫女」がある。やってることを改めて考えれば単なるジャンプ漫画みたいなお話だったのだが、ストレートな筋立てだけにアニメとしての強度は存外高い。序盤の展開がややもっさりしていたので足踏みしてしまった視聴者も多かったかもしれないが、続けて見ていればじわじわ良さが出てくる真っ当な青春バトルなので、食わず嫌いせずに試してみてほしい。食わず嫌いされまくっただろう作品としては「悪偶-天才人形-」もあるんだけど……いや、これはあまり進めない方がいいな……。さらに真っ当な路線なら「新幹線変形ロボシンカリオン」の王道を貫く児童向けアニメのまっすぐさも見習いたいし、「HUGっと!プリキュア」だって素直な勇気と希望の物語である。やはり朝アニメはかえって「子供騙し」が通じないだけに、その基盤は堅牢になるものだ。
 そして、そんな並み居る「堅実な面白さ」の中に、一つ異質さを持って迎え入れたい作品が、「プラネット・ウィズ」だったわけだ。ひねっているといえばひねっている。真っ当といえば至極真っ当なヒーロー譚。ストーリーだけ見れば本当にジャンプの打ち切り漫画でもおかしくないくらいのものなのだが、これを1クール作品であると最初からわかった上で打ち出してきたというのが驚きだ。展開はスピーディ、時に無責任。それでもそんな強引な押しに不思議と魅力が感じられ、暑苦しい根性バトルも、じっとりした怨念バトルも、宇宙を飛び出したSFバトルだってまるっと飲み込んでしまえる。これだけの処理を「地味な」アニメとしてアウトプットするってのは、もしかしたらかえって大変な作業だったんじゃなかろうか。悪目立ちせずに見せたいプロットを丁寧に見せる。それだけでも、充分面白いアニメにはなりうるのである。
 
 
ファンタジー賞 
‘05「ふしぎ星のふたご姫」 ’06「あさっての方向。」 ‘07「天元突破グレンラガン」 ’08「RD 潜脳調査室」 ‘09「狼と香辛料Ⅱ」 ’10「あにゃまる探偵キルミンずぅ」 ‘11「うさぎドロップ」 ’12Fate/Zero」 ‘13「翠星のガルガンティア」 ’14「ログ・ホライズン2」 ‘15GO!プリンセスプリキュア」 ‘16「フリップフラッパーズ」 ‘17「少女終末旅行」
‘18「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」
 なんとなくふぁんたじっくなものを讃える部門。何がどうやねん、と聞かれたらきちんと答える自信はないのでDon’t think feel. 一応過去の受賞歴を見ればなんとなく方向性は……うーん、やっぱり「うさぎドロップ」をファンタジーと評して以来なんでもありになってきているな……。一応、大きく捉えると「世界構築の妙」という言葉を使ったりはしているんだけど。
 実際、我々のイメージする純正の「ファンタジー」を扱った作品ってのは数が減っている気がするんだよね。いわゆる「剣と魔法のファンタジー」みたいな解釈なら「なろう」系は大体そうだったりするけど……もうそういうファンタジーってキツくない? それならいっそ「えんどろ〜!」みたいな世界に逃げ込んでしまいたくなるんだよ。ファンタジー日常系作品というありそうで無かった世界設定、僕は好きですよ。純正ファンタジー世界でを扱った作品で今年度印象に残ったものがあったとすれば……「LOST SONG」ですかね……。あれもまぁ、救いようのないファンタジー世界だったし、結局現実世界とニアミスしちゃってるんだけども……。
 そうそう、話題性の高さで言えば「ダーリン・イン・ザ・フランキス」の世界構築も実に野心的ではありましたね。やろうとしていた方向性は良かったのだけど、最近では野心的な設計と言われても「もう陳腐」って処理されるのは悩ましいところ。斜に構えたアニメファンを驚かせようとするとかえって作品が曲がってしまう恐れがある。そういう意味では、あらかじめおおよその内容が分かっている「約束のネバーランド」みたいな作品をじっくり味わう方がアニメ視聴としては安心なのかもしれません。こうして並べるとどうにも人類には優しくないファンタジーばかりであるな。
 もう少し現実に寄り添ったファンタジー世界という見方でいくなら、日本古来のファンタジー世界を扱っているといえるのは「鬼灯の冷徹 第弐期」。そりゃね、日本人が何百年もかけて醸成してきたファンタジー世界(?)を舞台にしているのだから、世界構築に関しては万全の安心感があるわけですよね。そう考えると、案外非現実ってのは「すぐ隣によりそっている」方が説得力があるのかも。そういう意味では、「現代の日常に紛れ込んだ非現実」を臆面もなく生み出してしまった「ひそねとまそたん」あたりは最上のファンタジー設定といえるのかもしれません。何も異世界に行かなくても、自衛隊の基地でドラゴンを飼ってるくらいでもまごうことなくファンタジーですよ(そりゃそうだ)。この「あるわけないけど、あったら楽しい」感覚が絶妙ですわね。対照的に、「隣の異世界」なのに「あるわけないやろ」というツッコミ待ちなのが「あかねさす少女」における別次元。人物だけ同じなのに世界観はかけらも被らないという複層世界、もうちょい真面目に掘り下げられれば、伸びしろは多かったと思うのだが(実際にどうだったとは言わんが)。
 まぁ、結局「ファンタジーって色々解釈できるよね」という話なのだが……我々はとにかく、アニメを通じて非現実との接触を求めるわけですね。そんな「隣の非現実」との接続をありえない方向性で成し遂げてしまった極上の「異世界創造」の妙味を評し、今年のファンタジーは舞台の上に。「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」を選出する。それこそファンタジーの定義がガバガバじゃねぇか、とは思うが、改めて考えるに、我々はやはり様々な方向で「非現実」との接点を求めている。それはアニメでもいいし、漫画でも小説でも、ドラマでもいいだろう。そして、そんな選択肢の1つに「舞台」があるわけだ。本作のとんでもないところは、そうした「舞台」という非現実の入り口を元から非現実であるアニメのメインテーマとして設定しており、アニメの中でもまさに「虚構の入り口」としての舞台を用意しているというところ。あくまで演出の1技法として扱われてきた「舞台的な立ち回り」がこの世界では現実と虚構の端境として実際に学園の地下に存在しており、舞台の上での死闘が現実のレヴューにリンクしていく。少女たちの中でレヴューはあくまでも現実であり、怪しいキリンに導かれるままに、多感な思春期の自己や、他者との共生関係を「勝ち取って」いくのである。ぶっちゃけ他の作品で簡単に真似できるようなものではないのでこれを新たな時代の幕開けと見ることは難しいかもしれないが、未だ見ぬ唯一無二の世界を「構築」した作品であることはまぎれもない事実であろう。
 
 
演技賞 
‘05「地獄少女」 ’06RED GARDEN」 ‘07「魔法少女リリカルなのはStrikerS」 ’08「紅」 ‘09Phantom ~Requiem for the Phantom~」 ’10「屍鬼」 ‘11「C3 シーキューブ」 ’12「夏雪ランデブー」 ‘13「戦姫絶唱シンフォギアG」 ’14selector spread WIXOSS」 ‘15「六花の勇者」 ‘16「クズの本懐」 ‘17「メイドインアビス」
‘18「ハッピーシュガーライフ」
 声優部門とどうやって区別するねん、でおなじみの演技賞。一応、個人技ではなくて作品の総体としてどれだけ役者の良さを引き出せるデザインになっているか、という部分が基準になってくるんだろうか?(誰に聞いてるんだ)
 そんなわけで、比較的まとまった人数のキャラクターが個性を発揮する構造になると印象が良くなる気がする部門で、過去の履歴を見れば例えば初期には「なのは」シリーズなんかが受賞していることからわかりやすいだろう。また、声優の演技の話になると毎回触れるのが、役者冥利につきる仕事というと「めっちゃひどい悪役」や「振り切れたギャグキャラ」が取り上げられることが多く、非日常を堪能したいという役者の傾向が評価につながりやすい。過去の例では殺し屋たちのドラマを描いた「Phantom」や、ほぼ犯人1人の力で持っていった感のある「六花の勇者」なんかがこの事例に当てはまるだろう。
 今年度の「キャラがたくさん出てきて色々楽しめる」部門では、例えば「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」なんかは良い見本市だった。主人公・咲太のキャラがうまい具合だったこともあるが、先輩に始まり様々なヒロイン勢が競い合うようにして自分の魅力をアピールする構成は、古めかしいラノベデザインといってもなかなか侮れない破壊力になっていたのではなかろうか。なかなかこういうハーレム系でヒロイン全員が可愛く見えることはないものだ。同様にヒロインがずらりと並ぶ作品では「ゾンビランドサガ」のフランシュシュ全員の頑張りは記憶に残る。ゾンビでヒロイン、時代や性別すら乗り越えて、アイドルソングからラップまでつなぐゲテモノ食いは、キャスト陣には大きな試練になったことだろう。よくもまぁ、万全の状態で期待に応えたものである。
 もうちょいギャグを強めに寄せると、掛け合いのテンポの良さは折り紙つきの「うちのメイドがウザすぎる!」なんかはキャラの魅力が本当に良く出ている作品。後につづいた「私に天使が舞い降りた!」もキャストの魅力が発揮された作品と言えるだろうか。ロリ関係のキャストって本当に「専門職」って感じがするので、嫌味なしに没入できるキャラを仕上げるのは案外難行なのではなかろうか。そしてさらにギャグを突き詰めてテンション芝居の勝負となれば、「ぐらんぶる」の馬鹿らしさも突き抜けている。現場のキャスト陣も楽しそうだなぁ、と思えるあの勢いは大事よね(どこぞの姉弟とかね)。男性キャストのノリと勢いで繋げてしまうと、個人的に衝撃だったのは「抱かれたい男1位に脅されています。」まぁ、もしかしたらそっちの界隈では平均的な出来なのかもしれないが、地上波放送のアニメであそこまで突き抜けたナニな演技が聞けるとは持っていなかった。まぁ、聞きたいとも思ってなかったが……。キャストさんたちは慣れてるから余裕でできるんでしょうかね……。高橋広樹を見る目が変わったよ。
 エロなんかよりもバイオレンス寄りに注目すると、例えば「魔法少女サイト」みたいなわかりやすいバイオレンスもキャストの真価が問われる場面。絶対に日常では味わえないような声が聞けるシーンが連発されるとそれだけでハァハァしてしまう。同様の現象は「魔法少女特殊戦あすか」でも確認できますね。まぁ、なかなか日常生活では生きたまま腕を切り落とされたり、体内から溺死させられそうになったりはしないですからね。そうした極限状態の楽しみという意味では、「約束のネバーランド」のメイン3人も流石。特にノーマン役の内田真礼については、普段なかなか聞けない役だけにお得感もあり、エマ・レイと高め合っていく様子は一見(聞)の価値あり。そしてもう1つの極限状態で外せないのは、「HUGっと!プリキュア」のキュアエールのお仕事だろう。たった一言のセリフで空気が変わる、そんな壮大なヒロイズムが感じられるのは、まさに座長のお仕事であった。
 そうして様々な役者のお仕事が楽しめた中で、あえて選ばせてもらうならエロでもなく、バイオレンスでもなく、サイコである。「ハッピーシュガーライフ」は「聞いてみたい演技」の展示会のような作品だった。ネジの外れた役ってのが役者の本懐であるなら、今作における壊れたキャラの数々はまさに「役に入って」しか実現し得ないもの。当然「座長」たるさとう役の花澤香菜が筆頭ではあるが、元祖空鍋・しおの実母役の後藤邑子、優しさサイコウェーブの井上喜久子、変態揃いの花江夏樹・石川界人という男性キャスト両名、不幸を一身に背負ったあさひ役の花守ゆみり、そして全ての中心で善を吐き捨てるもの、久野美咲。誰もが役に没入し、狂った愛を歌い続ける。無駄な規制の多い昨今の放送環境の中で、こうした歪んだ愛の物語が全力で表現できたというのは、それだけでも価値のある作品だったのではなかろうか。
 
 
ユーモア賞 
‘05「アニマル横町」 ’06「ひだまりスケッチ」 ‘07「俗・さよなら絶望先生」 ’08「ひだまりスケッチ×365」 ‘09「そらのおとしもの」 ’10「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」 ‘11gdgd妖精s」 ’12「しろくまカフェ」 ‘13「マイリトルポニー〜トモダチは魔法〜」 ’14「スペース☆ダンディ(シーズン2)」 ‘15「てさぐれ!部活ものすぴんおふプルプルんシャルムと遊ぼう」 ‘16「ヘボット!」 ‘17「ゲーマーズ!」
‘18DOUBLE DECKER ダグ&キリル」
 毎度毎度、他の部門とは毛色が変わって異質な印象が出るのがこのユーモア賞。そりゃ当然だ、性質上、ここにはギャグをメインにしたイロモノアニメが並ぶことになるのだから。過去の受賞歴を見てもなかなか濃いメンツが揃っている。改めて見ると初期のシャフトの強さが尋常じゃないが……その後も時に狂気あり、時に癒しありでそれなりにバリエーションもあるな。
 今年度も、当然ギャグをメインにしたアニメは色々と元気だ。昨今の特徴としてすくい上げる要素があるとしたら、アニメの放送形態も多様化しており、ネット配信限定やら、ショートアニメやらといったデザインの作品も、「短いから別に」と無視できるレベルでは収まらず、この部門に食い込んでくるようになったこと。まぁ、ギャグって限られた時間の中でのインパクト勝負になるのでもともと短めのお話が強い傾向にあるのだけど(過去の事例でいえば「パンスト」も基本は15分1本だし、「gdgd妖精s」や「てさぐれ」もショートアニメ出身である)。
 今年も様々な形態での放送があったが、例えば直近でも「上野さんは不器用」なんて作品は省エネ作画を実現させつつも、あまりチープにならずに充分アニメとして見られるクオリティを感じることができる。まぁ、周りの反応を見るにどうやら一部の特殊性癖の人間にだけがっつりハマるネタ回しではあったが、私は幸か不幸か特殊な方に含まれる人間だったようで、毎度のひでぇネタ回しを堪能することができた。同様のショート枠で密かな快進撃を続けていたのは「宇宙戦艦ティラミス」シリーズ。本当に思いつきスタートの出落ちみたいな作品で、私もコミック1巻分くらい原作を読んで「まぁ、もうネタ切れやろ」と思って放置した作品だったのだが、アニメではまさかの2クールでの放送。悪ふざけとしか思えないネタの数々は、チープな映像とキャストの悪ノリも相まってなんだか中毒性のある作品に仕上がっている。こうしてクドい作風でも視聴者が飽きる前に見終わるというのはがショートアニメの強みだな。
 改めて30分枠の作品を見ていくと、すでに上で名前を挙げている作品としては「うちのメイドがウザすぎる!」や「ぐらんぶる」と言った高品質な映像と一緒に攻められる「こんな作品にマジになっちゃって!(ありがとう)」タイプの作品は本当に贅沢な気分になれるのでありがたい。作り込みの精度でいえば静かなブームを巻き起こしたり起こさなかったりした「ヒナまつり」も今年度を語る上では外せない作品だろう。原作の人気にあぐらをかかず、しっかりとアニメ独自の面白みをプラスしたお手本のようなギャグアニメ。独特の空気感は一歩間違えればサムい作品に堕してしまうリスクもあったが、無事にスルメのような味わいが出たのはありがたい。
 特にアニメとしての旨みを上乗せせずに「もう、とにかく動けば面白いやろ?」という低予算感をにじみ出させた作品もあり、その極北は何と言っても「Back street Girls -ゴクドルズ-」である。ひでぇアニメだったのは間違いないのに、何故かこの作品に限っては「これで正しい気がする……」というやるせない納得感があったのは役得と言えるかどうか。似たような方向性で突き詰めたアホ作品としては「魔法少女俺」なんてのもひでぇ作品に違いない。手垢のついたネタになってしまったと思われていても、存外笑えるもんである。
 正面からネタアニメとして挑んだ結果、どう反応していいものやら悩んでしまった面倒な連中もたくさんいる。個人的にその代表選手は「あそびあそばせ」で、アニメとしてのプラスアルファがあったかと言われると悩んでしまうのだが、やっぱり「ひでぇな」と思いながら笑ってしまうのはなんだか悔しい。原作ファンにとってあれが正しいアニメ化だったのかどうかは僕にはわかりません。そしてファンにとってどうだったかは知らんが俺にとっては大正解だった謎テンションの「邪神ちゃんドロップキック」。もしかして俺は特定方向への沸点がものすごく低いのかもしれない。まぁ、ほら、あれは百合アニメも兼ねてるから……(どうだろう)。
 そして個人的にも笑ってないけど無視できないネタ枠としては「CONCEPTION」なんて怪作も世には存在している。ごくごく真っ当な意味で「ひどい」作品だったのは間違い無いのだが、なんだろう、このクソアニメと認定して捨てるのは勿体無い気がする違和感は。ちょっとでも気にさせたらその時点で勝ちな気もする。そういう意味では、私の中で「BAKUMATSU」も同じ枠に入るんだよな。あれはどこまでギャグのつもりでやってたのかわからんが……面白かったかどうかと聞かれたら、面白かったです。そして最後までどう処理するか悩んだけど結局決められなかった作品として、「ラストピリオド-終わりなき螺旋の物語-」と「ポチッと発明 ピカちんキット」っていうのがあります。ラスピリはまぁ、メタアニメとしての解釈は可能なんだけど、ピカちんについては……あれ、本当に幼児向けアニメなのだろうか……ヘボットほどではないが、こういう作品もあるから朝番組ってのも油断できない。
 というわけで、これらのカオスを乗り越えて、今年一番のカオスとしては「DOUBLE DECKER! ダグ&キリル」を選んだのであった。ギャグとしての純度は他の作品に譲る部分もあるかもしれないが、今作を評する上でもっとも大切なのは「そんなことやっちゃうの?!」というチャレンジ精神。誰でもやれたかもしれないけど、あえてやる必要がないと思っていた部分に踏み込んじゃった「やらかしてる感」である。楽屋ノリの極致とも言えるので本当に刺さらない人には刺さらないギミックが多いのだが、これだけ振り切れたネタアニメを、曲がりなりにもあのタイバニの後継と銘打った作品枠でやってしまうという冒険心。まぁ、焼き直しアニメを作っても今更二匹目のドジョウは狙えまいという冷静な判断での設定だったのだろうが……いや、でもそう思ったとしてもこの作品にたどり着けるかどうか……。何事も踏み込んでこそ得られるものがある。常に最先端を追求し続けるギャグの地平だからこそ、こうしたアニメが輝くのであろう。
 
 
アイディア賞 
‘05「アカギ」 ’06「地獄少女二籠」 ‘07school days」 ’08「地獄少女三鼎」 ‘09「大正野球娘。」 ’10「魔法少女まどか☆マギカ」 ‘11TIGER&BUNNY」 ’12「戦国コレクション」 ’13「ガンダムビルドファイターズ」 ’14SHIROBAKO」 ‘15「おそ松さん」 ‘16「ユーリ!!! on ICE」 ‘17「アクションヒロインチアフルーツ」
‘18「ゾンビランドサガ」
 「その発想はなかった」を評する部門。例によって割と判断基準は雑なのだが、これまた過去の事例を見ればなんとなく……わかるんかなぁ。
 粗製乱造が続くこのアニメ修羅の時代、なんとかして差別化を図ろうと業界も必死である(そうじゃない関係者もいっぱいいる気はするが)。しかし、尖らせすぎたら単なるイロモノで終わって誰もついてきてくれない。時代の先端を走る必要はあるが、最先端を独走しちゃダメという絶妙なバランス感覚が求められるのである。そんな中、今年度も様々なチャレンジがアニメを通じて繰り広げられた。最後の部門なのでここまで上がった名前との重複も多いが、あえて独自性でずらして書くなら、例えば「ハイスコアガール」の画面構成なんてのは相当思い切った舵取りだったように思う。原作漫画が権利関係ですったもんだあったのだから全ての関係各所に挨拶回りするのは当たり前のことだが、それならいっそ、とばかりに旧作名作の画面も意匠も取り放題。とにかくレトロゲームへのノスタルジーで画面を埋め尽くし、その周りを囲うメインシナリオの部分はぬるっとしたCGでなんとなく賄うという。どっちが添え物なのかよくわからなくなる作品であった。画面作りのチャレンジという意味では「Back Street Girls -ゴクドルズ-」も負けてはいない。ショートアニメならまだしも、ちゃんとした30分アニメでここまで静止画に信頼を寄せた作品も類を見ない。それが省エネとか万策尽きた結果とかではなく、「もう、この漫画はこれでいいだろ」という思い切りからの作劇になっているのはやけっぱちなのかウケ狙いなのか。それでも視聴者は「なるほど、これでいいな」と思ってしまったのだから正解なのだろう。
 発想のとっかかりはわかるがあんまり成就しなかった感があるアイディア作品には「深夜!天才バカボン」なんてのもあった。「おそ松さん」の後追いであることは間違い無く、色々とあれよりも際どいネタでせめてやろうという意識はわかるのだが、いかんせん、攻めたギャグってのは後ろにある思惑が透けて見えると視聴者は身構えてしまうもので……このあたりのさじ加減は本当に難しい。転じて、視聴者の予想をいい意味で裏切ってくれた大作、「新幹線変形ロボシンカリオン」は「やったもん勝ち」の好例だ。誰だって「電車変形ロボ」くらいは思いつくだろうし、新幹線で遊びたい、なんてのは男の子なら誰しも1度は夢見ることかもしれないが、実際にそれを徹底させた作品はこれまで存在しなかったのだ。鉄オタ方面からアニメに殴り込みをかけた歴史的な邂逅といえるのかもしれない(まぁ、ヒカリアンをどう処理するかは今後の課題としてな)。
 もう少し脚本部分での新規性に絞って見ていくと、本当によくもまぁ実現できたもんだと感心したのは「ウマ娘 プリティダービー」。なんと「史実」のレースをそのままアニメシナリオに落とし込んでレースさせようという、いわば究極の「ネタバレ」状態。ドキュメンタリーとファンタジーの間隙を絶妙についた作劇は、想像以上の盛り上がりを見せたのである。萌えアニメの鉱脈がまだどこに眠っているか分からないという希望を見せてくれる作品だ。さらにアニメとの垣根を飛び越えたジャンルには「特撮」もあり、「SSSS.GRIDMAN」ではレガシーと化した特撮作品を掘り起こし、新たにアニメとしての魅力を付与した状態でリビルドするという試みがあった。リバイバルは増加の一途を辿り、「屍体蹴り」との悪評も多い昨今、ここまで独自の世界を広げて価値を見出した作品というのも前代未聞。今後のリバイバル方針への一石となるか。
 すでに紹介した中では、「DOUBLE DECKER ダグ&キリル」におけるフロンティアスピリットも凄まじい。過去の成功にあぐらをかかず、容赦無く予想を裏切って作り上げた独自ワールド。これまた近年なぜか増加傾向にあるジェットコースターアニメ(オカルティックナイン形式)の一部でありつつも、「はしょること」を独自の芸風に昇華して彩りに変えるという発想は、何かと何かの紙一重だ。紙一重を乗り越えた代表作としては「少女☆歌劇レヴュースタァライト」も忘れてはいけないだろう。既存の概念をぶち壊す挑戦ではあるが、今作はアニメ・舞台・現実という三層をぶち抜く大工事。混ぜるな危険ではなく「その混ぜ方はあるのか?」という段階で誰もが足を止めてしまうところを、躊躇なく踏み込めるかどうかの違い。人はそれを蛮勇と呼ぶのか、草分けと讃えるのか。
 あらゆる挑戦には敬意を表するが、やはり今年最も話題になった挑戦といえば「ゾンビランドサガ」における全方位ぶっ放しコンセプトということになるだろう。ゾンビもやる、ギャグもやる、アイドルもやるしご当地アニメもやる。その全てを一緒にやらなきゃいけないのがゾンサガのつらいところだって、ブチャラティも言ってたわ。覚悟はできているか? 俺はできてなかった。しかし、スタッフはやり遂げた。他人の作ったものを見て良いだの悪いだのというだけの消費者ってのは、思えばなんと簡単で安易なポジションだろうか。我々はただ、誰かの作ったものを享受するだけの贅沢極まりない立場である。それを作り上げる人間の強さというものを、改めて認識し、感謝する必要がある。「アイドルアニメなんて、最近多すぎてもう飽き飽きだ」というのは簡単。しかし、それで終わっちゃダメなのだ。そこから「じゃぁ、今までになかったアイドルアニメってどうやったら作れるんだろう」に進まなければ進歩も発展もないのである。そんな重責を、このアニメは見事に果たしている。しかも、佐賀で。……佐賀で……。
 
 
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