○「アズールレーン」 6
CMで「オタクっぽいゲームはちょっと……とか思っているのか?」って煽っておいて、その後の紹介も全力でオタク要素しか打ち出してないのがやたらウケる。ゲームの方から「オタクっぽい」とか言うたるなよ。
いつ「海色」が流れてくるのかとドキドキしながら見るアニメ。先に注意書きしておくと、私は「艦これ」ならびに今作については1ミリも興味がなく、ゲームもプレイしてないし両者がどういう関係なのかにも一切頓着はしていない。ただ、ネット界隈で漏れ聞こえる小競り合いというか、どう考えても片方が片方のパクりゲーであるという構図ならではの妙な話くらいは見聞きしている程度である。そして、実際に「似てる」のは間違い無いので、アニメ作品として屈託無く受け止めた時にも、どうしても過去に放送された「艦これ」のアニメと比較してしまうのは致し方ないことである。
そうして随分前のアニメの記憶を掘り起こして今作を見ていると、あらゆる部分でブラッシュアップされ、欠点を丁寧に取り除いた作品になっているという印象がある。一番大きいのは設定部分の明示化で、「艦これ」では誰が何と戦ってるんだかさっぱり分からなかった部分が、今作ではかなりわかりやすくなっている。「突然世界の海に見たこともない勢力が!」というのは艦これと同じ、というか「アルペジオ」の設定であるが、そこから「よく分からん海の妖怪と戦い続ける」で終わらず、世界中の勢力が手を組み戦っていたが、いつしか志の違いから袂を分かち小競り合いをおこなうようになったという設定は、バトルを誘発させる舞台としてはなかなか上手い。「艦これ」ではそのあたりの理念に一切のバックグラウンドがなかったので途方にくれたものだが、今作はちゃんと艦むすVS艦むすのバトルが展開できる大義名分があるのだ(ちなみに「艦むす」や「メンタルモデル」にあたる言葉は本作には存在してるんだろうか? 少なくとも1話目では確認できなかったが)。
まぁ、ぶっちゃけ「戦艦の力を宿した少女たち」が人類によって開発されたという大前提が一番むちゃくちゃであり、「戦艦じゃ……ダメなの?」という気もするし、連中が人間なのか、兵器なのかがよく分からない(もともと人間だった少女が改造手術を受けたのか、一から工場で開発、生産された人造人間なのかが定かでない)のも気になるところだが、多分そこは気にしてもしょうがないところなんだろう。「何故女の子なの?」っていうのも、そりゃ「オタクに売れるから」以外に答えはないわけで、どっかの作品みたいに「年若い少女しかその力は宿せない」とかいう設定にしちゃうとあとあと面倒になる可能性もあるし。坂本少佐がいつウィッチを引退するのか問題みたいにならないように、そこは何となくぼかしているのだろう。
設定部分が理解できれば、あとは美少女動物園のクオリティと戦艦バトルのクオリティの足し算ということになるが、戦艦バトル部分もこちらの作品の方がかなり見やすくなっている。純粋に時代や予算の問題から映像としてのクオリティが上がっているというのもあるが、本作オリジナルで上手いな、と思ったのはいっぺんちゃんとした戦艦の姿を描写しておいて、それを聖衣のように身にまとう形で女の子を武器化する描写があること。元になった戦艦の規模や兵装がわかった上で「その化身」としてのキャラが見られれば、たとえ判子絵で似たような萌えキャラが並んでいたとしても何となく個性がイメージできるようになる。艦これが抱えていた「なんか分からんけど女の子が海の上を滑走しているだけ」というシュールな絵面も、後ろにスタンドのようにして戦艦の機影が見えていれば説得力も増すのである。
あとはまぁ、キャラの描き分け部分ということになるが、艦これの時に最大の障壁として立ち上がった「キャストかぶりすぎ問題」が無いので把握はしやすい。謎すぎた佐倉さん四重奏みたいな現象がなくなっているのは、純粋にソシャゲとしてのリリースが後発だからっていうのが一番の理由だとは思うけど(古いゲームって予算の関係でキャストに兼ね役が多いからね)。なんかロリキャラのキャラデザが微妙に安っぽい気もするのだが、天衝監督の手腕で何とか「可愛らしい」印象は保持されている。今後はソシャゲアニメ特有の「キャラが大挙しすぎてご新規さんお断り」展開に突入してしまう可能性も多いにあるのだが、少なくとも1話目時点ではギリギリキャラの関係性が理解できる数に踏みとどまり、ストーリーアニメとしても何とか追うことができるレベルだ。やはり、総じて「艦これでダメだった部分を丁寧に潰した結果生まれたアニメ」という印象。ご祝儀点として加点しておくが、まぁ、後から「やっぱ分からんわ」っていう時に差っ引くための布石になっている可能性も。
なお、キャストだけを見ると圧倒的に敵サイド(?)の方が強そうなのは内緒。今期も中原麻衣が元気に仕事をしている様子が確認できるのは、おっちゃん世代には望外の喜びである。
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