○「魔術士オーフェンはぐれ旅」 5
今期もあります、リバイバルの流れ。だいたい90年代がホットスポットな感じはあるんだが、これ、ちょっとずれたらもうゼロ年代アニメのリバイバルも始まるんですかね? 「宇宙のステルヴィア」のリメイクとか、観たくない?(俺は観たい)
こちらの作品だが、「封神演義」なんかと同じパターンで基本的にノータッチの作品。繰り返すが、私はそんな時代にはまだアニメをさっぱり観ない人間だったのだ。ただ、実はノータッチってのは嘘で、旧作アニメは見たことがある。これがどういう流れだったかというと、ちょうど私がアニメを観はじめてこの取り返しのつかない人生のルートを選んだ時期、世はまだまだ「レンタルビデオ」っちゅうんが全盛期だったわけですよ。そこで私は時に自分で、時に親の金でレンタルビデオで安くなったアニメを適当に借りて観まくっていた時期があったのです。今みたいに地上波放送している深夜アニメがそこまで多くなかった時期だし、若かりし私は探究心に満ち溢れていたので、そういう余力もあったんですな。当時借りたタイトルでなんとなく覚えているところだと、例えば「NOIR」がそうだし、「宇宙戦艦ヤマモトヨーコ」「エルフを狩るモノたち」「宇宙海賊ミトの大冒険」etc.……前2つは傑作タイトルですな。そうして色々と消化した中に、間違いなくこの「オーフェン」も含まれていた。含まれてはいたんだが、十把一絡げでまとめて観ていた中に入っていた上に特に印象にも残らなかったために、内容は完全に記憶からフェードアウトしてしまっている(どこまで観たのかも定かでない)。今回久しぶりにその世界を見直したらなんとなく聞き覚えのある名前なんかもたくさん出てきたし、「あぁ、こういう話……だったっけ?」ってなったけど、変なところの記憶だけは残っているのだ。私にとっての森久保祥太郎は間違いなくオーフェンの人だし、飯塚雅弓はクリーオウの人なのである。あと、オープニングはねっとりしたつんくのイメージ。そういうところは覚えてるんだ。やたら声優を認識してるってことは、当時からそういう見方してたってことなんだろうけど。
まぁ、自分語りはそんなもんだけど、とにかく「あんまり接点はないけどなんとなく知ってるような、知らないような」という作品である。そういう意味では「うしおととら」が一番近いかな。ただ、アニメとしての評価は「うしおととら」よりも上にしてもいいかも。何もかもがとにかくレトロ感に溢れており、ネタ回しも設定も構成も全部が懐かしさに満ちている。そして、そんなレトロな世界観を特に華美に飾り立てることなく、素材のままでお届けしようというのがスタッフの狙いだろう。スタジオがディーン、そして監督は浜名孝行氏。絶対に目の覚めるような傑作は出てこないが、手堅く、外しにくい配置だ。1話目は作画もしっかりしており、焦ったような設定羅列もなければ極度のわかりにくさもない。脚本構成も本当に無難な滑り出し。欠点が見つからないというのは、現代アニメでは美点である。
それじゃ、本当に安牌安牌で刺激がないかというとそうでもなく、例えば日本語の文章として成り立っている呪文の詠唱なんてのは当時は割と斬新な設定だった気がするが、実は今聞いても案外追随した作品もないので新鮮だったりする。コミカルな展開を主軸にしながらもしっかりとヒューマンドラマを入れ込むという作劇も卒がなく、そりゃまぁ人気作品になってもおかしくはないんだろうな、というくらいの期待感はあるのだ。多分、私からしたらこれって「ロードス島戦記」と同じなんだと思う。ラノベ的な世界設定を比較的早い時期で切り出して責任を持って成立させたファンタジー作品で、タイミングがピタリと合えば楽しんでいた可能性もあるのだろう。今「ロードス島」を一作目からアニメ化されたらすごく熱心に観ちゃうだろうなぁ(まずディードのキャストが気になる)。
まぁ、そんなわけで「ろくに知りもしないけどノスタルジー」という妙な立ち位置で生暖かく見守っていければ良いかと思います。飯塚雅弓の後釜に大久保瑠美っていう配役、考えた人はセンスあるよね。良いよね。
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