最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
何このいい話! 最終話。いやぁ、魔法大合戦が起こった時にはどうしたらいいかと思いましたが、最後の1話はまるで心を入れ替えたかのようにすっきりと終わりましたな。
美風を撃退しても何の変化も無かった未来世界からの連絡により、ノストラダムスの鍵とは、他でもない文明自身、いや、文明とこの時代のエスパー少年、ブンメー君の接触であることが判明する。逆に言えば、文明がこの時代の自分との接触さえ避ければ、未来は無事であるはずだ。マヤの機転でブンメー君の母親を追い返してしまい、これでちゃんと文明も終業式にも出られるようになる。短い間ではあるが、自分たちが教えた生徒達との別れはきちんとしておきたい。 現代で母親と会い、過去の自分に思いを馳せることで、多少感傷的になってしまった文明。結局、この歳になるまで、自分の意志で何かを選び取ることもなく、ずっと他人に流されっぱなしだった自分の人生。今回だって、マヤに対して募る思いもあるが、そんなことは口にすることはかなわない。終業式での別れのスピーチも他人からの借り物だし、自分がこの時代に残せたものなど、何一つ無かった。 しかし、歴史は繰り返す。突然のキャンセルで予定が狂った内田親子のトラブルにより、ブンメー君は1人で勝手に遊び歩き、あろうことか、学院の屋上に上っていた。会ってはならない2人の邂逅。待ちかねたかの様に次元が歪み、世界を滅ぼす「恐怖の大王」が降臨する。絶望に立ちすくむマヤだったが、文明は悟りきった表情で幼い自分の頭を撫でた。「自分の意志でここまで来たなら、これからも自分の足で歩め」と訓戒し、残された自分の、最後の意志をまっとうするため、怨敵に向かって万感の思いと共にスプーンを掲げる。「歴史が変わるのはここからだ」。全てをなげうった文明のサイコキネシスにより、異次元から訪れた生命体はことごとく崩壊していく。「俺を頼んだ!」。文明の最後の言葉だけを残し、歪んだ次元は全て修復された。残されたのは、神代マヤと内田文明。自分の足で歩むことを知る2人の若者。 未来は修復された。全てを観測していた神代純一郎は、宿願かなって平和が戻った街中を、失ったはずの愛娘の家庭へと帰路につく。マヤの家庭、表札にかかる名字は「内田」。テーブルを囲むのは、純一郎、マヤ、フミアキの3人。食卓のカレーの脇には、3本のスプーンが置かれていた。 すごい。本当に久し振りに見た気がする、こんな綺麗にまとまったエンディング。この作品に細々と紡がれていた「まともな要素」たる縦糸が、ここで綺麗に収束し、実に清々しい余韻を残しながら終幕を迎えることが出来た。途中で迷走(?)を見せたこの作品、最終回がこの形になったってんなら、もう許される気がする。 今回のシナリオとコンテは、かなり「語るべき部分」を意識的に減らしており、最終回でありがちな「とにかく説明と帳尻あわせに必死で、シナリオの魅力がそがれる」という現象が起こっていない。エンディング前の純一郎に視点が映ってからのあれこれは本当に見事にエッセンスのみを凝縮して、それを本当にうまい形で提供してくれており、不覚にも鳥肌が立ってしまった。 そのあたりの分析をする前に、一応今回気になった部分だけ上げておこう。それは、「何で文明はそこまでして終業式に出たかったんだろうね」という部分。あのスピーチのシーンを見れば、彼が壇上に上がりたかったわけではないことは自明。生徒に対する責任なんてものはこの男は感じていないだろうし、世界の危機とはかりにかけてまで、終業式に出たがったモチベーションが分からなかった。母親と会える、という部分、もしくは過去の自分と会える、という部分をモチベーションにしていたように見受けられたのだが、文明にとって「過去の自分」は辛い記憶の1つであり、極力思い出したくない要素であるように思っていたのだが……そうでもなかったんだろうか。 一応、自分なりに理屈を付けると、彼が残りたかったのは終業式のためではなく、1日でも長くマヤと一緒にいたかったため、という案。ただ、この場合でも「自分から帰る選択をしてしまっている」時点であまり説得力はないのだが。屋上でマヤに何か言いかけてやめてしまうシーンがあり、結局彼はマヤに自分の気持ちを一つも言わないままでこの世界を去ってしまったわけだ(もちろん、最後にひとこと「俺を頼む」という最大限のプロポーズはしているわけだが)。ヘタレのヘタレたる結末といえるが、マヤ自身も文明に対してはっきりと何かを伝えたわけではないので、この辺はおあいこか。 もちろん、こうして2人が互いの気持ちをはっきり言葉に出来なかったことについては、その後の展開できっちりフォローされている。それが「この世界にいるブンメー君の方と家庭を持ったこと」。消え去ってしまった方の文明とは何も無いまま終わったが、彼の唯一の望みである「俺を頼んだ」というメッセージを、マヤは責任を持って果たしたわけだ。このとき、マヤが高校生、ブンメー君はいくつかは正確に分からないが、多分小学校低学年くらいだろう。ちょいと年の離れた姉さん女房である。 で、この「マヤと文明が家庭を持った」という事実であるが、このことを示すのはCパートで流れた表札、食卓の描写、そして純一郎との通話だけで示されているわけだが、この含意の持たせ方、それぞれのツールの使い方が抜群にうまい。 1番象徴的なのは、今回あらゆる場面でスポットが当たった「スプーン」だろう。文明は、カレーですら箸で食べるほどの「スプーン嫌い」であるが、これは幼い頃の記憶が原因。スプーン曲げが出来るばかりに、母親との関係性が悪化し、自由も奪われてしまった不幸な幼少期。彼にとってスプーンは忌むべきものであり、逃げなければいけない端的な「脅威」である。幼いブンメーはカレーを食べることこそ出来たし、ジャケットの内ポケットにスプーンを忍ばせていたわけだが、母親との食事シーンで既に拒否反応が出ていることが分かる。いわば、「スプーンが使えないこと」は、内田文明の人生の中で、「自分の意志を持たずにただ流されるだけの情けない自分」の象徴である。 しかし、クライマックスのシーンでは、文明は自らこのスプーンを握る。飽き飽きしていた流されるだけの人生。変えることが出来る、変えなければいけないそんな自分に対し、「歴史が変わるのはここからだ」と宣言し、人生そのものをも、サイコキネシスによってねじ曲げてしまう。奇妙な侵略者たちをボコボコに歪ませ、最後のシーンでは見事にスプーンの頭が落ちる。「変える意志」を示し、マヤに託すことで、その意志は幼い自分に受け継がれるのだ。 具体的な描写としては、その後は「自分の足で立て」と命令するマヤがあり、一気に食卓のシーンへと飛ぶわけだが、この食卓には、きちんとスプーンが載っている。つまり、あれから歳を重ねたブンメーは、スプーンの苦痛を自らの意志で乗り越えてみせた、新しいブンメーなのである。消えてしまった文明の狙いは、3年の時を越えて、見事に結実したことがたった1本のスプーンから伝わってくる。 また、細かい点ではあるが、電話口のマヤは、「今日はフミアキも早いから」と、自分の夫の名前を「フミアキ」と呼んでいる。前から気になっていた「ブンメイ」と「フミアキ」の呼び分けだが、ここに来てようやく、マヤは「フミアキ」と呼ぶことが出来た。今までは母親と美風しか呼ばなかったその名前が、2人の関係を実に端的に物語っている。もちろん、単に晩ご飯のことを伝えるためだけにマヤが父親に電話した、というのも非常に象徴的で、紆余曲折のあった神代家の父娘関係は、最良の形で収束しているのである。あらゆるエピソードをまとめあげた「壮大なハッピーエンド」のはずなのだが、それを大仰にアピールせず、さりげない食卓の画1枚で表現仕切ったその構成力が、本当にたまりません。 蛇足とは思うが1つ気になる点をあげておくと、異界の生物に無謀とも思える戦いを挑んだ文明は、別に塵芥となってかき消えたわけではないんだろう。全ての敵を殲滅した時点で、地球の未来は改変を余儀なくされた。純一郎が基地から外に出た途端に入り口が失われたのと同じように、未来が平和になった瞬間、タイムワープしてきた文明は「無かった」ものにならなければいけない。だからこそ、あの瞬間に文明は消えたのだ。決して、戦死したわけではないと、そう思いたい。それが証拠に、提供クレジットバックのイラストで、文明の上には天使のわっかがついてないからね(川島教頭は本当にアレで死んでしまったんだなぁ……)。 なんだか長ったらしくなってしまったが、とにかく、今回のラストシーンは、昨今のアニメの最終回の中でも出色の出来であると思う。アニメノチカラとは、こういうものを言うんじゃないだろうか。満足でございます。 PR |
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