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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「明日ちゃんのセーラー服」 6→8

 予想以上に見事な作品になった。こうした売り出しの手法ってのは、あまり既存のアニメでは類を見ないものだったので、作劇自体にも非常に興味がある。

 シナリオラインももちろん良いものである。冒頭、「セーラー服」という没個性の象徴(制服)であるはずのツールを明日小路という少女のこれ以上ない個性として取り上げる導入にも興味を惹かれたが、そこから小路を中心に形作られる女子中学生たちの関係性も非常に丁寧で、非現実的な神聖化を伴っているにもかかわらず、どこか卑近で「こんな青春もあったかなぁ」と思わせる実体感も併せ持っている。さりげないツールの使い方がうまく、例えば「いつもより遠出したショッピングモール」なんてものは日常の有象無象でしかないような舞台設定なのに、それが彼女たちの中ではちょっとした冒険であり、憧れの輝きを持った舞台になっていたりもする。そんな不可思議な現実と空想のクロスオーバーを孕みつつ、中心にあるのはあくまで女の子たちの友情物語。大量に登場するクラスメイトは不思議と埋没せずに個性を発揮しつつ、押し付けがましくないレベルで日常に居座り続ける。本当に見事なバランス感覚だ。

 そうして描かれたシナリオが良かったというのは事実であるが、中身だけを見ればそこまで新しいものではない。これよりも深く人間関係を掘り下げた作品は山ほどあるのだし、「日常系」というカテゴリならばもっと「可愛い」に振り切って癒しの空間を実現した作品だってある。今作の最大の魅力は、そうした作品と区別するために徹底的に映像美を追求した点にある。最初は抵抗すら覚えてしまったクセの強いキャラデザ、必要以上にキラキラときらめかせる背景設定。それらが少しずつ馴染んでくることで、全ての画面が一幅の絵画であるかのような完成度を誇ることになる。

 アニメの最大の魅力は「動くことそのもの」であるというのは私が何度か取り上げた話題であり、「超絶作画」といわれればそれは「超絶動画」と同義である。今作は最終回のバレーボールに代表されるように動画部分だってもちろん素晴らしいのだが、それ以上に要所でぴしゃりと見せる「絵」の見栄えがあまりに強い。とにかく絵画的な「見せるべき絵」があり、それを中心にして映像がまわり、着地点を見定めている。この構造自体がとても新鮮で、毎度「次にどんな絵が見られるのだろう」という期待感で引き込まれることになった。同様の「絵」の強さは最近だと「Vivy」に近い技法があったが、本作は本当にその「絵」の一点突破を狙った美術館のような見せ方なのである。実にエポックメイキングな作品であった。

 原作ありの作品がアニメ化され、このように革新的な見せ方にたどり着くというのは本当に喜ばしいことだ。アニメ作りの創造性というのは、まだまだ底が見えない。

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