最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「BRAVE10」 4→3
サトリナが可愛かった作品。以上!…………以上です、ほんとに。後はあんまり真剣に見てなかったから記憶が……あぁ、アナスタシアも割と可愛かったかな。駄目じゃん、女の子の記憶しかないじゃん。 だって、この手の歴史物そっち向け作品なんて、特に興味を引く要素も無いし……高城元気の扱いが業界的にこれでいいのか、とかいう疑問は出たけど、仕方ないよな、出来るんだから。緒方恵美、齊賀みつき、時田光、三瓶由布子、田村睦心、そして高城元気って並べて「仲間はずれを探せ!」っていう企画をやったら、どれだけの人間が正解出来るやら…… あ、全然関係無い話になった。いや、あんまり書くこと無いんですよ。バトルものとして面白い点は特になかったでしょ、笑いどころは無いでしょ、映像も普通レベルでしょ、うーん、本当に「サトリナ可愛い」の一点だけがモチベーションだったからなぁ。じゃ、点数つけるなよ、って話ですけどね。すみません、その通りだと思います。気にしないで下さい。 PR
「パパのいうことを聞きなさい!」 4→4
今期一番予想外の方向性に進んだ作品といえば、ひょっとしたらこれなのかもしれない。ラノベ原作で、いきなり女の子が3人も家に転がり込んできた! っていうスタートから、確実にハーレム展開を迎えるだけの作品だと思っていたのに、1話目からいきなりテンションが下がるお話をされ、この傷をメインテーマに、ずっと引きずったままの状態で最後まで話が続いた。考えてみりゃ、このシチュエーションでそんなに明るいお話になるわけもないのだが、昨今のラノベ文化、ライトアニメ文化の中で、「こんなスタートでも最終的に萌えアニメ」という展開に慣れきっていたので、この方向性についていくのには時間がかかってしまった。 そして、正直言って「両親を失った女の子たちと、それを引き取った1人の青年のお話」というくそ真面目なお話をするにしても、本作はそこまでうまくいった作品だとは思わない。要素要所でシビアさを出すためにリアルを意識させてくるのだが(男で一つで育てられるはずない、とか生計はどうやって立ててるんだ、とか)、結局なんちゃっての域は出ないので、どうにもそうしたフィクション要素と真面目なお話の食い合わせが良くない。視聴者がどういう心持ちで画面に向かったらいいのかが分からないのだ。なんだか素材に合わないことを無理矢理やろうとしているみたいで、コレジャナイというネガティブな印象が先んじてしまう。 筋立てとしてはある意味すごく真っ当なものだったという気もする。「いい話」の基本形は守っているのだし、個々のキャラクターの言っていることもある程度納得は出来るので、一本のシリーズものとしての破綻は無い。アニメとしての質も低いものではなく、良い言い方をすれば「丁寧な」部分も目立ったので、余計な先入観を無しに「とある青年の奮闘記」と思って見れば割とまっすぐな側面もあったのかもしれない。まぁ、それにしたってあまり身を入れて盛り上がろうという内容では無いと思うんだけど。「俺じゃあパパになれないのかな……」って、そりゃぁそうだろ。もう少し他に悩むポイントあるだろ。 結局、序盤のうちに「見せたいもの」のビジョンが固まらなかったことが最大の難点だった。原作がどうなっているのかは知らないが、このタイトル、この作画、この設定を用意してやるんなら、もう少し別なお話の方がよかったかな、ということ。漫画版をちょっと見たことがあるけど、そっちは分かりやすい話だったんだけどなぁ。ただ、この感想については、こちらの先入観による独りよがりな部分も少なからずあるし、欠点らしい欠点かといえば、違う気もする。ジャッジの難しい部分ではあるのだが、優良可でいえば、「可」が無難な落としどころではないだろうか。 中の人については、3姉妹にご苦労様をいうのが当然の流れ。キタエリは言わずもがな。ひなの中の人はさんざんネタにされている独特のしゃべりが面白いが、どう評していいものやら。若手のホープとしては色々楽しそうな出てき方だけどね。そして長女の中の人である上坂すみれ。無難な役だったおかげで特に印象にプラスもマイナスもないが……今後どうなるでしょうねぇ。
「妖狐×僕SS」 5→6
毎週感想を書いているからわざわざここで書くこともあんまりないパターンの作品。じっくりゆっくり見られる、ありがたいアニメでした。 先に難点を挙げてしまうなら、やはりそこまで突出して点数が上がるほどにスペシャルなものがあるわけではない、ということ。好きだ好きだとは言い続けても、多分半年したらその記憶は薄らいでしまうようなものだと思う。なりふり構わずインパクトを与えてくる飛び道具とは話が別だ。また、モノローグの描き方など、細かい部分では案外単純な演出も多いのである。「良いアニメだけど、これがベストなのか」と問われれば、まだまだチャレンジの余地が残されていた可能性はあるのだ。 ただ、そんなことを言っても単なる揚げ足取りでしかない。この短い1クールの間、たっぷりと凛々蝶様の肢体を堪能することが出来たし、それを見守るために設置された数々の舞台装置は、全て良い方向に働いていたと思う。妖館という「長屋」が大好きだったのは何度も書いたことだが、あれだけたくさんの住人が、そこまで強く押し出されたわけでもないのに案外記憶に残っており、それが面白さに繋がっていたのは、さりげない見せ方が上手かったおかげだろう。週替わりのエンディングなんかは端的なツールであるが、1つ1つのシーン、1人1人のキャラについて、ごまかすことをせずに描ききった結果だと思う。 ま、小難しいことを考えずに、「可愛い」「ニヤニヤする」「もにょもにょする」を楽しめばいい作品ですよね。凛々蝶様のキャラクターは、最初に設定を見せられた時には「なんとあざとい!」と思ったものだが、案外成立するものなんですね。史上初の、真正面から「ツンしゅん」を描くことを目的としたアニメ。うん、改めて「ツンしゅん」ってなんだよ。わからねぇはずなのに、気づけば分かるようになっていたよ。パイオニアがこれだけの結果を残したら、このジャンルの後追いは難しそうだな……いや、後追いする人間が現れるようなもんでもないけど。後は双熾のキャラクターも突き抜けたおかげで阿漕さが緩和された例でしょうね。執事ものジャンルは色々と発展していたわけだけど、双熾のキャラは、案外オリジナルとして輝いていたんじゃないでしょうか。 あとは、こうして作り上げたキャラ・設定を万全の状態で映像にするだけのお仕事。David proは「ベン・トー」に続いて、なかなかの看板商品を立て続けて繰り出していますね。おそらく原作画からして最上の映像化だったんじゃないでしょうか。凛々蝶様の足から尻にかけてをなめるように描くこだわりのフェチ描写の満足度といったら。あと、コロコロしたデフォルメキャラのテンポとかも上手かったですね。監督を務めた津田尚克氏は、良い看板が出来ました。しかもこの人がコンテ切ったのって1話と最終話以外だとエンディング映像なのか……際だっとる。 最後は中の人。日高里菜ちゃんが難しいところを頑張ってくれた、というのが1つ。音域が低めだったので色々と苦心の跡が見られるのも、ファンとしては逆に盛り上がる要素だったりして。あとは、実は気に入っていたのが細谷佳正の連勝さん。あの緩さが素で出せるっていうのは、割と貴重な才能な気がする。杉田は……まぁ、いつも通りで。
「P4 Persona4 the ANIMATION」 4→5
うん、これは多分、今年度の正統派ヒット作と言ってしまって言い作品だったんだろう。素直に、中身が面白かったです。なるほどこのゲームは面白そうだ。 初回視聴時にあまり引かれなかったのだが、その理由は「なんかバトルシーンがしょぼい」というもの。ペルソナを起動して対決するシーンは、結局最後までそこまで引き込まれるようなシーンがあったわけじゃないんで、予想は外れてはいなかったのだが、このアニメで戦闘シーンの盛り上がりは別に重要じゃなかった。シナリオで最も重要だったのはコテコテのギャグ要素であったし、シリアス部分だって、現実での刑事捜査や鳴上家の家庭事情、妹との家族愛なんかで構築されていた。ゲームだったらバトルが一番重要な要素だろうが、アニメなら、それはあくまでおまけですむのだ。むしろ他の要素をがっつり描いて、物語としての厚みを増してもらった方がありがたいくらいなのだ。 最初のうちはなんかヌルいな、と思っていたギャグ要素が少しずつ癖になっていって、間の抜けた空気も愛着がわいてくると、俄然楽しくなってくる。番長を中心として学生連中のおとぼけコントは古いっちゃぁ古いノリではあるのだが、何のてらいもなくやってくれるのでこれはこれで笑える。中の人的にも色々とはっちゃけられていたようで、クマはクマだから面白かったし、完二のホモがらみのネタも強烈。女性トリオも位置取りがナイスだし、菜々子ちゃんのキャラも、クライマックスに向かって盛り上がるまでにきちんとできあがっていた。そして、そんなおちゃらけばっかりかと思えば、きちんと「サスペンスもの」としての骨子がくみ上げられており、ラストの犯人を暴くくだりなんかは、誰がどう見ても怪しい人間が1人しかいないから答えなんて分かりきっているのに、それでも固唾をのんで見守ってしまった。いやはや、良くできてますよ。 また、これは聞いた話なので定かじゃないのだが、今作は出来る限りゲームの雰囲気を維持することにも注意が向けられているという。確かに、ペルソナ召還シーンなどは明らかにゲームから持ってきたものであることが分かるようになっているし、その他にも細かい部分で原作をプレイした人間を喜ばせる仕様になっているのだろう。そういう気遣いっていうのは、やろうと思っても「やっぱりアニメになると仕方ないんだ」と言って妥協する場合が多いだけに、きちんとセールスポイントとして活かせているなら、当然評価されるべきポイントであろう。 結局、これはほぼ確実に岸誠二の「成功作」の方にカウントされることになった。やっぱりアレだ、原作有りだと強いんだ。与えられたものを十全に仕上げるっていうのはアニメ監督としては求められる才能なので、この方向で良作を連発してくれるなら文句はありません。 中の人の話。……今作は浪川先生なの? えー、なんか釈然としない。みんな本当に手慣れた連中ばっかりだったから、あまりにも安心して聞けてしまえてねぇ。あぁ、そうだ、MVPは足立役の真殿さんでいいのか。こういうくせ者役で輝くのって、やっぱり素敵よね。あと、中華屋の娘さん。実は作中最強説。
あの部屋実在したんかい! 最終話! もう、幸せになればいいじゃない! 子作りでもなんでもしたらいいじゃない! 「大切なことだから考えたい」って、しない選択肢はないやろが! こん畜生!
これは妬ましいアニメになりましたね。凛々蝶様が幸せになることはこれ以上無いくらいに嬉しいことですが、ここまであからさまにいちゃいちゃされると……あぁもう! 別に「アマガミ」みてもニヤニヤするだけで済んだのに、何でこのアニメはこうも…… やっぱり、思い入れが強くなったからなんだと思うんですよ。今回のシナリオも上手いこと出来てるしねぇ。「二人になった日」っていうサブタイトルもすごく意味深で、この2人の場合、片方がいないと片方が「自分」を保てないという、すごく不完全な人間なんですよ。双熾の滅私奉公の果てに、今の「妖館の凛々蝶」ができあがったのだし、双熾が今の状態でいられるのは、本人が何度も言っているように全て凛々蝶がいてくれたおかげ。しかし、そんな状態にも関わらず、両者とも「あまりに不完全な自分」を相手に受け渡す勇気が出ず、どんどん自分が嫌いになるという状態だった。それを、今回は手紙のトラブルで強引に打破し、どちらから、というのでもなく、「2人が2人になる」ことで結ばれるに至ったのだ。ジゴロとツンしゅんの恋愛絵巻。こりゃぁもう、幸せになれとしか言いようがない。 結局、このアニメは延々二人の来し方行く末を見守るだけの内容だったわけだ。凛々蝶が優しい住人達のおかげで成長していく姿を見守りながら、相互依存の度合いを強めていく双熾も一緒に成長するという、実にポジティブな内容。妖怪漫画のはずなのに、そこに暗いものは残っていない(双熾の部屋を除く)。それどころか、凛々蝶と双熾以外の人間たちの人間関係すらほとんど残っていない。たとえばカルタが何であんなに卍里ラブなのかとか、よく分からないけど結果だけがそこにあるし、間違っても連勝さんと野ばらさんがくっつくなんてこともなさそうだ。周りの人間は、それくらいにどうでも良かったのだ。思い切った話ではあるが、これできっちり1つのシリーズのまとめができたのだから、非の打ち所がない。 いや、もちろん周りの面子が不必要だというのではない。今回のエピソードを見ても分かる通り、周りの住人たちの愛すべきキャラクターがあってこその「いぬぼく」だ。今回は割と連勝さんが前に出て動いてくれていたので、なんだか嬉しかった。野ばらさんに向かって平気で「夫婦みたい」とかいえちゃうあたり、本当にあの2人には何もないんでしょうね(野ばらさんはマイナス感情があるかもしれないけど)。他にも、実は優しいうさぎとか、中華まんを夢見る娘っ子とか、博識なオカマとか。「博識なオカマ〜」は決め台詞なの? ちのちゃんはオカマとセットの認識でいいのか? いや、もうどうでもいいけどさ。 今回のクライマックスは当然告白シーンなわけだが、声出して笑わせてもらったのは、その前段階の手紙がばれるくだり。テンパッちゃってる凛々蝶様の可愛らしさったらないですよ。悲鳴も可愛らしく「きゃ〜!」なんだよね。あのあたりのたたみかけるような展開が実にコミカル愉快である。前々から言っているが、「凛々蝶様に日高里菜を使う理由」がこのへんよね。 可愛かった、面白かった、いい話だった。何を言っても嘘じゃない作品でしたよ。最後の最後までこれだけ楽しめたんだから、お別れするのが本当に悲しい。この終わり方だと2期なんてありそうもないけど、まさかエンディングカットだけで水着回やお風呂回をこなされるとは思わなんだ……OVAとかでもいいから、「妖館の本当に何も無い日常」みたいなのが見たい。ずっとカルタが飯を食っているだけな気もするが……それはそれでアリやな。
「ギルティクラウン」 4→3
ノイタミナ2本目。こちらも点数をどうするかはかなり悩んだのだが、「ずっと期待し続けたものが結局出てこなかった」というがっかり感から、多少厳しめの採点。流石に酷すぎるだろ、という場合は「BRS」のおまけ点と足してごまかして下さい。 「期待していたもの」といえば、多分大体の視聴者はある程度共感してくれる部分があるだろう。I.G.の手によるCGワークもばりばりの、いかにも「今っぽい」見事な画面に、様々な専門用語、面白そうな独自設定が飛び交う世界観。キャラクターたちのビジュアルも細かく書き込まれて美麗なものであるし、これらのツールを使って一体どんなものが飛び出すのか、と期待が持てる。監督の荒木哲郎氏は「DEATH NOTE」「学園黙示録」と、際だった個性を出しつつ結果を残せた人だし、今回もこの贅沢な道具立てで、何を見せてくれるのかとわくわくしていたものだ。 ただ、第1話の時点では、シナリオがなんだかピンとこないまま終わってしまったので「不安点」として採点したわけだが、そんな「不安」が、1話以降、ずるずるずるずると引きずられ、気づいたら半年経ち、不安はそのまま結果となった。結局、この作品が何を言いたかったのか、さっぱり分からなかったのだ。「狙いを外した」という感じでもない。最終話まで見たら、ギミックとしては案外分かりやすいボーイミーツガールの形をなぞっただけであるし、「英雄譚」としての骨子も明確だ。集がいて、涯がいて、いのりがいる。分かりやすいスタート地点があるのだから、あとはそれを中心に回していけばいいだけだろう。いのりのアイドルシンガー設定なんかも、いかにも使えそうな、分かりやすいセールスポイントである。 しかし、どれもこれもが、結局形を成さなかった。涯が何をやりたいのか分からなかった。いのりの気持ちがどこにあるのか分からなかった。そして何より、桜満集という人間が、何を考えて何を生き、何を成したのかが分からなかった。よくネット上で「集は本当のクズ主人公」という意見を目にしたのだが、クズならクズらしい、クズの生き方があるのだ。集の場合には、クズとしての生き方を全うしているようにも見えない。その日その日で、ただシナリオの要請に添って違った「桜満集」が生まれていたかのようである。「Aがいいと思う」→「周りからBがいいと言われたから仕方なくBにする」→「やっぱりBは無理じゃないか! Cにする以外無い!」→「Cの問題にようやく気づいたので、申し訳ないけどAにして下さい」という堂々巡りをひたすらその場のノリで繰り返すだけの、傀儡のようなキャラクターである。 そして、集がそんなことでは、周りの人間だって日替わりである。特にいのりの気持ちがどこにあるのか、という部分は非常に掴みにくかった部分であり、好きあっているはずの2人の気持ちが同時に分からないおかげで、どこにもよりどころが無くなってしまうのだ。もちろん、そんな男を相手取った敵役にも主義信条など現れるはずもなく、涯も、ダリルも、そして日本国も、結局何を大望としたいのかが分からないまま終わった。行動原理がシンプルだったダリルが一番まともに見えたのではどうしようもないだろう。何故、こうも分かりにくい作品になってしまったのだろう。結局これは、脚本に芯が無いことが全ての原因に見えるのだ。 繰り返しになるが、アニメ作りのための個々のツールについては良かった部分も多い。何話だか忘れたが見事なアクション描写にはしゃいだエピソードもあったし、おそらく「バトルもの」として見るべき点は多かったのだろう。だが、まず最初に「戦う理由」を(印象だけでも良いので)固めてくれないことには、そうした装飾は単なるこけおどしになってしまう。どこかの歯車がずれていれば大爆発していたかもしれない作品だけに、そうならなかったことが何とも悔やまれるのである。せっかくなので、このスタッフによるリベンジ作品なんかがあるなら見てみたい気がするのだが。
「ブラック★ロックシューター」 6→7
流石に点数はおまけしすぎな気もするが、とにかく走り抜けてくれたこと、そして、評価点が私の好物ばかりであったことなどを加味して、サービスセールを実施してみた。何にせよ、もう一度見直したい作品になっているのは間違いないだろう。 今作の最大の売りは、なんと言っても圧倒的な動画面である。ブラックロックシューターが暴れ回る謎世界で展開されるメカギミックばりばり、弾幕ガンガンの戦闘シーンは、よくも地上波でここまで続けられたものだ、と感嘆する出来。個々のギミックも面白かったし、今石さんの手によるけれん味あふれる圧倒的アクション描写は、本当にこれだけを見ていて楽しめるレベルになっている。元々がキービジュアルから始まった作品であるということが見事に作品の良さに現れており、こけおどしでも何でも、とにかく「見得」を大事にした絵柄のインパクト勝負というのは、8話を走りきった後でも充分評価に値するポイントである。いや、むしろ8話の間を維持し続けたからこそ評価出来る部分なのかな。1話を見た時には、まさかあのクオリティで最後まで続けられるとは思っていなかったですもの。 そして、そんなバトル描写を生み出すための下地となったのが、マトたちが苦闘を続けた現実世界サイドなわけだが、こちらの物語についても、絵柄が付いてきたことも幸いし、かなり見応えのあるものになっていたのではなかろうか。そもそもの問題点として脚本を書く際に現れたのは、「何故少女が戦うのか」という部分であったと思われる。今のアニメ業界で言っても仕方ないことだが、基本的に「女の子だけが戦う」なんてシチュエーションは、どう理屈をつけたっておかしいのである。それを何とか必然レベルにまで持ち上げた上で、「格好良く戦う場所」を見つけるにはどうしたらいいか。その答えが、「女の子が戦うべき問題の具現化として扱う」こと。この発想の転換は、単純なようでなかなか思いつくものではない。さすがの岡田麿里である。「女の子が戦うこと」というのは、たとえば友情のこと、たとえば恋愛のこと。そんな些細で身近な問題でも、人によっては命懸けに思えるときもあるものだ。そんな「すごく小さな命懸け」を、そのまんま具現化したフィールドの代行者にやってもらうのがブラックロックシューターなわけだ。この設定ならば、キャラクターたちはそれこそ「死ぬ気で」戦えることになるし、バトルの結果が「死ぬほど」辛いものになることもある。この「死ぬほど」のことを、現実サイドの描写ではきちんとその純度で描けていたのである。見事な動画におんぶにだっこにならず、やるべきことをしっかりとやりきった結果だ。今後、吉岡忍という名前はアニメ業界でも無視できないものになっていくのではないだろうか。いくら密度を濃くしたところで、8話というのはシリーズとしてはどうしたって短い。そんな中に、適切な分量のプロットを組み込み、最大限に発揮出来るアニメーションで飾ることが出来たのは、非常に恵まれたことだったのではなかろうか。 そして、そんな恵まれた世界を作るために欠かせないのが、当然中の人たちだ。花澤・沢城・喜多村・阿澄・能登。もう、これだけでおなかいっぱいですよ。しかもこの5人、今作では恐ろしい密度で絡み合ってましたからね。これ以上何を望めというんだろう。あと、地味にこはっち先輩役の沼倉愛美も良い仕事をしてましたね。幕引きがしっかりしていたので続編なんかは期待出来ないだろうけど、「とある日のマトとヨミ」みたいな後日談も見てみたい気もします。
「夏目友人帳 肆」 5→6
常のようにひっそりと、続き、終わっていくこの作品。毎回どのように評価軸を設けたらよいのかと悩んでしまうのだが、やはり、良いものは良いですね。 毎回同じようなコメントになってしまうのであまり書くことも無いのだが、今期は多少続き物が増えて、シナリオも普段よりちょっとシリアス多めなあんばいだったろうか。あ、この場合のシリアスは「真面目な」というよりも「手に負えない」の意味の方。夏目は本当に、サラッと命の危機を迎えて何となく助かる子。ほとんどがニャンコ先生のおかげだけど、あのボディガード、結構うっかりしてる時が多いからなぁ…… そして、シリアス分が増えたということは、それだけ致命的で大きな存在の妖怪が多かったということ。「夏目」の一番の特徴は、やはり「妖怪」というものがあるときは友達であり、愛すべき存在であるが、基本的には人に害をなす危険なものである、という徹底したスタンス。世に妖怪ものは多いが、身近な怪異がこうも執拗に主人公や周りの人間の命を訳もなく狙ってくるというのは珍しい。そして、そんな中で少しずつ怪異への理解を深めていくのが夏目君なのである。この独特の作品世界は、非常に危ういバランスの上で成り立っており、少しでも「緩い」方向に進めば命を賭けた妖怪とのやりとりがふざけたものに見えるだろうし、かといって重く重く描いてしまうと、今度は作品の売りであるハートフルな部分が消えてしまう。この紙一重のバランスを保ちながら、原作の持つ牧歌的な雰囲気を押し出せるのは、やはり大森貴弘監督の手腕、ということになるのだろう。また、毎シーズン少しずつ演出担当者が入れ替わっていく作品なのだが、今期は寺東さんコンテ回が多めで、そのおかげかかなりシリーズ全体のイメージが統一されていて見やすかった。取り立てて「この話がすごい!」という回を上げるのが難しいのだが、毎回毎回、そっと静かにエンディングを聞けるのが、この作品の良いところなんだと思う。 3期4期は分割2クールだったので、今期が終わったことでシリーズも一区切り。もちろん、まだまだやってほしい作品には違いないが、あまり無理に作られるのも困りものだろう。ゆっくりと次の機会を待ちたいと思う。そして、大森監督の次の作品にも期待し続けていますよ。出来れば、その……地獄で少女な新作が見たいです。毎回書いてるな、これ。
無事に幕引き、最終話。始まる時には「8話ってどないやねん」と思っていたものだけど、案外身の丈にあったちょうど良い話数だったのかもね。
崩壊するストレングスと、そのために入れ替わりを強要されてしまうユウ。「現実は怖い」と叫び続けるユウに、ストレングスは大丈夫だと力強く声をかける。そして、ブラックロックシューターはマトとの直接対決に挑む。内的世界のさらに内部、というよく分からないフィールドで対峙した2人は、「他人を傷つけることなんて出来ない」というマトが一方的に嬲られる展開に。破壊衝動だけが一人歩きするブラックロックシューターは、宿主だってお構いなしだ。最終的には、キン肉マンやらなんやらでもお約束の「俺たちがここにいるぜ!」エンドへのルートを突き進み、これまで倒してきた色とりどりの少女たちがマトに助力することで、彼女はブラックロックシューターを打倒することに成功した。 ただ、事ここに及んで分からなくなっているのが、結局「異世界」とは何だったのか、という部分だ。元々は「現実で苦しむ少女達の代わりに、異世界の少女が戦うことで心の痛みを軽減する」という設定。これに、さらに「異世界で少女が死ぬことで、現実世界の苦しみ=こだわり・愛着が喪失する」、という設定もあり、ブラックロックシューターは、これまで幾人もの少女の愛情を砕いてきた。さて、今回壊されてしまったのはそんな現実世界に現出したイレギュラーであるストレングス。彼女の場合、ユウ本人が異世界に溶け込んでしまっていたため、彼女の破壊による「喪失」現象は起こっていない(まぁ、最後に再生していたためかもしれないが)。 だが、もう1人壊されそうになったことも忘れてはいけない。マトと、ブラックロックシューター本人だ。マトが壊されそうになったことは、おそらくブラックロックシューターにはさして問題ではないのだろう。「異世界の少女が消えたら現実に影響が出る」ことは分かっているが、「現実のよりしろが消えたら異世界の少女がどうなるか」は言及されておらず、彼女にとってマトは必要な存在ではないからだ。しかし、マトにとっては逆のはず。ブラックロックシューターが死ねば、彼女の中で何かが失われるはずであり、彼女はその理屈を知っていると思うのだが、それでも彼女は対決に挑んだのだ。結果的に、彼女から失われたものは1つだけある。それが「他人を傷つけてまで交わりたくない」という気持ちである。 このことは、なんだか綺麗にまとまっているようにもみえるのだが、初期の設定からするとどこか捻れてしまっている。彼女の「他人を傷つけるなんて」という思いが、異世界に少女を生み出すほどの「苦しみ」として描出されていなかったためだ。しかし、こうして最終話の1シーンとして描かれると、この捻れも最初からあったかのような気がしてくるのでずるい。最終的に、「マトたちの世界」に他の少女達が流れ込み、全ての色が混じり合うこと自体が、マトの拒否し続けてきた「痛みを伴うつながり」を表しており、実際にはブラックロックシューターを打ち砕かずとも、マトの痛みは切り開かれていたのだ。ひょっとしたら、最後に彼女が特大戦隊バズーカみたいなやつでブラックロックシューターを吹き飛ばす以前から、彼女は消え去っていたのかもしれない。 最終的に、ブラックロックシューターが打ち砕いた全ての「思い」は戻り、彼女たちの言う「喪失」すら一時的な現象として片付けられるに至って、全てが幻想だったような気もしてくる。あくまで「異世界」の理はサヤちゃんやストレングスたちが作り上げたもので、絶対的なものではなかったのだ。そこに現れたブラックロックシューターが、その「理」すらぶち壊して去っていったとしても不思議ではなかろう。 現時点でのまとめは、これくらいかな。色々と考える余地が残っているけれど、楽しい作品でした。 |
ブログ内検索
リンク
最新記事
(04/20)
(04/20)
(04/19)
(04/19)
(04/19)
(04/18)
(04/18)
(04/17)
(04/17)
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
アーカイブ
|