最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
建築青茶単
土地(21) 島×17 地盤の際(WWK)×4 クリーチャー(23) クラーケンの幼子(ZEN)×2 占いフクロウ(M11)×4 海門の神官(ROE)×4 大建築家(SOM)×4 潮力の精霊(WWK)×2 ワームとぐろエンジン(SOM)×3 鋼のヘルカイト(SOM)×3 マイアの戦闘球(SOM)×1 その他(16) 定業(M11)×4 永遠溢れの杯(WWK)×2 マナ漏出(M11)×3 乱動への突入(ZEN)×3 ジェイス・ベレレン(M11)×3 ミミックの大桶(SOM)×1 サイドボード(15) 払拭(WWK)×4 瞬間凍結(M11)×4 広がりゆく海(ZEN)×3 研磨時計(SOM)×2 号泣の石(ROE)×2 PR
引き続き異質な第2話。本当に「異質」という言葉がしっくり来る作品。「異常」とか「異様」ではなく、異質。
さて、今期の新番組の中では、どうやらこの「まどか」が話題性では頭抜けているように思われる。数年ぶりとなる新房シャフトのオリジナル作品というだけでも話題性はあるし、その食い合わせの悪いスタッフ陣は何が出てくるか分からないために、良くも悪くも目が離せない存在となっているのは確かだ。ただ、2話まで視聴した時点で、そこまで明確なセールスポイントがあるようには受け取れない。確かに異質な画面を作り出すことに成功しており、それが昨今のブランド力の影響下で「流石シャフト!」と膝を叩かれる要因にはなっているようだが、今のところ作品の内容が画面の見え(見得)と融和しているとは言い難い。あくまで「普通のラノベ・漫画の様な筋立て」を、ちょっと特殊な効果を巡らせた画面で表現しているだけであり、そこに「この画面でなければならない理由」が見られないのである。 個人的なシャフト観から言うと、新房昭之はあくまで画面のメッセージ性を重視する作家。「宇宙戦艦ヤマモトヨーコ」などで惚れ込んだ彼の画面作りにおいて、異質さというのは独特のコンテワークの結果ついてくるものであり、異質さを求めたから得られるものではない。そして、そんな彼の独特の感性が様々なクリエイターに影響を与え、「ぱにぽにだっしゅ」、「化物語」などで、作品の属性を最大限に引き出す「見得」を生み出していたわけだ。個人的にシャフトの頂点にあったと考える「ひだまりスケッチ」の1期5話(上坪亮樹演出)や2期1話(尾石達也コンテ演出)、「化物語」5話(武内宣之コンテ)、そしてするがモンキー全編(尾石達也)などは、その粋ともいえる出色の出来である。「何故その演出技法を取るのか」を、理屈ではなく、物語に埋没しながら答えが得られるためだ。 翻って、この作品の場合、現時点で「何を見せるべきものであるか」が判然としない。魔法世界からバトルまでの怒濤の流れはアニメとしてのレベルは高いし、余計なことを考えなければ楽しんだりおののいたりするのに不足はない。しかし、そこに横たわる「異質さ」の正体が掴めないが故に、どっぷりと入り込むまでは至らないのである。正確には「異質さを表示する理由」というべきか。オリジナル作品であるためにこうした敷居の高さが見えてしまうのは、ちょっと勿体ない部分ではなかろうか。 そして、そんな捉えどころの無さのせいなのか、ファンの間ではストーリーに対する憶測が飛び交っている。虚淵玄の脚本ということでただじゃすまないだろう、という読みが先立っているようだが、世界滅亡後説、全部夢説、世界ループ説、魔法少女悪人説、はてはキュゥべえラスボス説まで。とにかく「裏をかくシナリオ」の可能性がまことしやかに語られる。ただ、現段階の個人的な想像では、2話までの演出では、そうした「単なる悪意」を含んだサプライズではない気がする。 確かに、劇団イヌカレーが生み出す画面の怪しさたるや、想像を遙かに超えたものになっているし、マミとほむらの確執など、単なる「友情努力勝利」なお気楽魔法少女ものでないことは確かだろうが、「何か怪しげな事」をやるには、画面が「怪しすぎる」。「不可解なこと」で風呂敷を広げる目的ならば、むしろ後々の演出効果を考えれば、もっと「怪しさの質」を調整する気がするのである。ここまで全力投球で序盤から世界がぶっ飛んでいるとなると、そこにはむしろ物語の本質は無いのではないかと、そんな風に邪推してしまうのだ。「画面が怪しいのは、世界が怪しかったからです」って、それじゃ面白くないだろう。気持ち悪くて生理的嫌悪感すら抱いてしまう魔法世界の造形は、脚本家の悪意ではなく、もっとメタレベルの低い、作品世界の中の何かを表示している。そうでなければ、シャフトがシャフトとして立脚できないのだから。 ま、現時点ではなんの根拠もない印象論なので、数話後にはあっさりと自説を翻している可能性もあるが、今の段階では、「うーん、怪しさがとまらないな」と思いながら、しばらく慣れそうもない画面のギャップを楽しむだけである。やっぱり梶浦音楽には有無を言わさぬパワーがあるので、音響を聞いているだけでもゾクゾクしますわ。
○「フリージング」 4
他人の血を噴き出させるためならばパンチラも全裸も厭わない乙女たちの戦いを描いた、血みどろエロアクション。なにやらさっぱり分からないとは思うが、大丈夫、書いてるこっちも分かっちゃいない。原作は漫画らしいのだが、聞いたことのないタイトルだと思ったらコミックヴァルキリーの連載とか。そりゃ知らんわなぁ。 監督は毎度お馴染み渡部高志。ただ今回は珍しく製作がJ.C.STAFFではなく、A・C・G・Tというあんまり聞いたことのない製作会社。ちらっと過去の業績を見たが、あんまり期待できるようなラインナップにはなっていない。渡部高志もどちらかというと目の醒めるような何かを見せるというよりはとにかく平々凡々と原作有りの作品をこなしていく「ラノベの使者」みたいなイメージが強いので、スタジオが非力だとあまり力を発揮出来ないような気がするのが今から不安ではある。渡部さんコネクションでどこまでいいスタッフを引っ張ってこれるものかね。 で、肝心の作品はというと、エロ描写にしてもグロ描写にしても、そこそこハード。ただ、エロの方は作画がそこまで入念でない上、「とりあえず見せとけ」みたいなポリシーの感じられない描写が多く、あまり必要性が見いだせない。キャラデザが悪いわけではないと思うのだが、なんだかパンツに色気がない。昨シーズンの「To LOVEる」とかでちょっと食傷気味になっているのも理由なんだろうか。でもまぁ、同じグロとの組み合わせでも「学園黙示録」はもう少し艶めかしい部分もあったんだけど。 グロ描写の方はそこそこの部類で、首を切って血が噴き出したり、化け物相手に腕や足がもげたりと結構容赦無い。そういうのが好きな人は(オイ)それなりに楽しめるかもしれない。ただ、不思議なことに「グロ気味だな」とは思うのにあんまり「うわ、痛い」とは思わないので、そこまで真に迫った残虐描写という感じでもないんだ。これについてはどの辺が勘どころなのかがイマイチ分からない。ただ、1つ懸念材料として考えられるのは、現時点で化け物と戦う理由はあるが、女の子同士で命の取り合い(厳密には死んでいないらしいが)をする理由が全く分からない、というのが、どこかピンと来ない原因かもしれない。彼女達が戦っているのはあくまで化け物対策の模擬訓練。それなのに鬼気迫る表情で互いの命を削り合う意味が全く分からない。今後説明が有る部分なのかなぁ。どう考えても戦闘力の育成よりも衰退に拍車がかかっている気がするんだが。 というわけで、あんまりピンと来ない1話目になってしまいましたが、今後シナリオラインが落ち着いてきたらもう少し見どころが分かりやすくなるのかしらね。中の人的には、まず目に着くのはメインヒロインの能登麻美子の起用だろう。単に冷徹、というだけなら能登ボイスも納得なのだが、今作のヒロインはかなり動きを要する「アンタッチャブルクイーン」である。なんかちぐはぐな印象なのだが、ここから能登がどういうキャラ作りに持っていくのかは注目したい。他にも井上麻里奈、喜多村英梨など、サブ以上のキャストがなかなか充実しているのだが、1話目は流石にキャラが多すぎて把握しきれませんでした。全員同じ学生服だから区別がつかねぇんだよ!
「屍鬼」 5→6
今期最後のゴールインはノイタミナ2枠目。2クールの間、地味に地味に展開してきた作品だが、なかなかどうして、悪くないアニメでしたよ。 一番しんどかったのは、やはり原作同様にその圧倒的な登場人物の数を処理しきれなかった部分。話数にしてわずか22話であまりに多くのキャラクターが登場するため、それら全てを把握した上で物語を追うのはかなりの困難を伴った。加えてノイタミナ枠が変則的な枠構成になり、数週にわたって番組が無かったりしたため、視聴のモチベーションや記憶そのものが薄れてしまうという、外的要因も多少足を引っ張ってしまったか。物語中盤は「とにかく屍鬼に襲われた村人が減っていくだけ」という状況が続くため、そのあたりのマンネリ感を払拭しきれないと、最後のクライマックスまで持っていくのがしんどくなる。振り返ってみればこれでも色々と切り捨てた要素が多いくらいに詰め込んだ内容だったとは思うのだが、こればかりは致し方ないところだろう。そもそもアニメにする際の難度の高い作品だったわけで、回避しきれなかった問題というのは残されるものだ。 とは言っても、全体を見据えたシリーズ構成はよく考えられていたと思う。メインとなる視点が複数箇所にわたってしまうのでどうしても散逸的な印象になってしまうわけだが、「屍鬼が現れる」→「少しずつ村全体を蝕んでいく」→「敏夫が屍鬼の存在に気付く」→「対抗策が無く、絶望的な状況で夏野も死亡」→「どん底の状態から、気力で打開策を見付ける」→「一気に反撃へ」という大きな流れは全ての話数を通じて意識されており、アウトラインさえ追えれば些末な状況は拾いきれずとも物語は楽しめる。個人的には中盤以降の「どこをどうやったって人間側に勝ち目はないだろ」みたいな絶望的な状況の描写はたまらないものがあり、長い間陰鬱な物語を見続けていたおかげで、最後にみせた一気呵成の反抗劇の盛り上がりは充分に楽しめた。もちろんそうした「話作りの巧さ」は原作に依拠する部分であろうが、アニメにしづらい原作のデメリットを極力抑え込み、表に出すべき魅力の部分はちゃんと展開出来たのだから、小説・漫画媒体のアニメ化としては成功例と見ていいのではなかろうか。 個人的に魅力的だと感じたのは大きく2点。1つは、やはり陰惨な「村社会」において、ジワジワと侵攻してくる屍鬼の絶対的な力を見せつけるホラーとしての底力。「死人が起き上がる」というシンプルな恐怖に加え、個々の圧倒的な力と桐敷という組織力までを加えた絶望。尾崎敏夫の回りから少しずつ味方の数が減っていき、最終的には夏野の死亡と室井の変心により、ついに尾崎医院は孤立無援の状態へ。一個人対ムラというどう見ても勝ち目の無い構図にもっていくまでの絶妙な絡め手の描写が、本当に救いのないものだったのが印象的である。 そして、そんな惨劇を導き出した屍鬼の存在自体が、2つ目の胆。全ては桐敷沙子という1人のキャラクターに帰着するわけだが、「生きるために殺す」というシンプルな理念に加え、「認められたい」という願望から仲間を増やしていく過程で、新たな屍鬼たちも各々に目標や葛藤を抱えている。純粋に不死の肉体を手に入れて悦に入る者や、徹のようにかつての仲間を殺すことに懊悩する者、そして、清水恵のように、生前の思いを屍鬼となったその身体に託し、全く別の思惑で生きていく者。単純な「人間対化け物」という構図ではなく、その下に敷かれた「人間対人間」というドラマが、物語への没入度をさらに上げてくれる。恵・徹・夏野などのキーとなるキャラクターが、他の諸々に埋もれずにちゃんと個々の人生を歩んでいる様子が分かったのが、こうした物語の成功の鍵だったのだろう。 正直言えば、やはり毎週放送するシリーズアニメには「向かない」作品だったとは思う。あり得ない話だが、劇場作品などで3,4時間ぶっ続けてやってみたり、「刀語」「もしドラ」のように長めの時間を確保したり、一気に放送してしまったり、そういうスタイルの方が可能性が広がった作品ではあろう。その上で、与えられた枠の中で最大限に仕事をし、結果を残したことは評価されるべきだ。ノイタミナという枠の理念を考えれば、今後も1つの目安として、引き継がれていくべき作品ではなかろうか。 で、個人的な興味は中の人の話に移るわけですよ。壮大な物語であり、魅力的なキャラクターが多数登場するだけに、中の人の活躍もめざましいものがあった。羅列していくと、例えば尾崎恭子役の水谷優子や、桐敷千鶴役の折笠愛。絶妙な艶っぽさを醸し出す大人のエロスはホラーと密接に関わりながら、どちらも末期の壮絶さとのギャップが強烈。ぞくぞくしました。努力賞なら夏野役の内山昴輝。「SOUL EATER」の時にはまだまだ素人感満載だったが、少しずつ自分なりの演技プランが見えてきたみたいです。イケメン枠にはなんと言っても敏夫役の大川透。作品の空気を決定づける屋台骨の役割を完璧にこなす流石の貫禄。恭子殺害シーンの語りとか、本当にたまらん。同様に、最後の最後まで信念を貫き通した孤高のロリコン、室井静信役、興津和幸。室井さんには幸せになってほしいものだ。ある意味イケメン枠ではマッスルじじいこと富雄役の石井康嗣。何をやっても悪辣。 そして、鬱々とした外場村の中で最後の最後まで異彩を放ったのは、清水恵役、戸松遥。この作品のもう1つの側面を一番はっきりと描き出すキャラクターだっただけに、その内面性の重要度はかなり高かった。戸松劇場に限りなし。最後はもちろん、桐敷沙子役、悠木碧。3話の時点でも軽く触れたが、沙子のキャラ作りについては、彼女にしかなしえなかったものではなかろうか。最終回に至る終盤の盛り上がりは、沙子が支えなければ実現しなかったものであり、一言でも気を抜けば作品全体の崩壊に繋がりかねない重要な役どころ。この歳でここまでのものが仕上がったというのは、本当に見事としか言いようがない。あおちゃん劇場に限りなし。
「海月姫」 6→6
最後の最後まで予定通りの進行をみせた、安定感のかたまりのような1本。ノイタミナ枠というととんでもない冒険心に溢れる作品を発信し続ける一方で、少女漫画原作だと「ハチクロ「のだめ」と抜群の安定感で見せてくれる作品もコンスタントに作り続けてくれている。 敢えて悪く言うなら、全く予定調和な部分からはみ出ることのない「原作通り」というのは、原作を知っているファンにはつまらなく映る場合もある。壊したら壊したで「原作クラッシャー」と揶揄されてしまうことの方が多いわけだが、それでも「原作と寸分違わぬ出来なら、原作漫画を見ていればいいじゃないか」という意見にもなってくる。この作品の場合、イラストレーションの雰囲気までなるべく原作に近い形を維持していたし、1クール完結のために一応の決着はみせたといっても、基本は原作通りのストーリー進行。新鮮さが得られなかったというのが、贅沢にして唯一の難点といえるだろうか。 もちろん、そんな文句はお門違いなわけで、人気原作を全く不満のでない形でアニメ化してみせた時点で、不満点は無いに等しい。特に原作の持ち味であるキャラクターの静と動のギャップはアニメ化に際して実に鮮烈な形で現れるようになったし、「腐女子界」と「おしゃれ界」とでもいうべき2つの全く異なる世界の差異についても、アニメらしいちょっとクドめの描写で面白おかしく描かれていた。原作ではなおざりになりやすいくちゃっとした背景も上手い具合にアニメ絵に落とし込まれていたし、そこに動くなんだか妙なキャラクターのアクションも面白い。どこを探しても、減点要素が見あたらないというのが最大の評価点ではなかろうか。 個人的に一番楽しかったのは、やはり尼〜ずのクドすぎるキャラクターたちの賑やかな掛け合い。原作だとまややのやかましさが際立って他の面々(というかばんばさんとジジ様)が背景になりがちだったのだが、アニメだとジワジワとこの2人が表に出てきて、特にばんばさんがピンポイントでボソリとクリティカルなことをいうシーンのインパクトがでかい。「月海の帰るべき場所」としての天水館の賑やかさが全面に押し出されていたため、団欒のシーンなどではちゃんと「全員がいる」という存在感に注意して描写されていたのは嬉しい部分だ。もちろん、メインヒロインたる月海の持つ魅力が最大限に発揮されていたのも良い。アニメの方が変身前、変身後のギャップを際立たせやすかったので、シンプルなシンデレラストーリーとしても見やすくなっていたしね。 そして、当然ながらそんなキャラクターの中の人の活躍がめざましいという話ですよ。やっぱり大森監督の真骨頂は音響関係のディレクションにあると思います。尼〜ずの面々は渋いながらも本当に抜群のフィット感だったし、虎之介役は、もうサイガーしか出来ないポジションでしょう。諏訪部・子安と並ぶ男性陣も卑怯なレベルだし、千葉繁と麦人のお茶目なじいちゃん2人とかもたまりません。リアル幼女諸星すみれちゃんも、ここを起点に声優を目指すことになったら面白かろう。個人的に気になったのは女狐役だった北西純子さんという人。あまり聞かない名前だが、どうやら外画の吹き替えあたりがメインフィールドの人のようだ。75年生まれというだけで期待してしまうのは我ながら病気な気もするが、もうちょっと色んなところで聞いてみたい人ではありますね。 最後はもちろん、月海役の花澤香菜。繰り返し「花澤の真骨頂はトバし系テンパりボイス」と主張しているわけだが、月海は花澤スタンダードの「眼鏡系陰鬱女子」をベースに置きながら、絶妙なバランスでトバしてもくれるという理想の配役。ごちそうさまでした。
○「GOSICK」 5
OK、今期も無事に悠木碧成分を補充するあてが出来た。しかも、実に濃厚な。週に一度のあおちゃんアワーがあると分かったんだから、もうそれだけでいいじゃない。 というのは流石に嘘で、こちらはボンズ製作で監督は「HEROMAN」の難波日登志。キャラクター原案が武田日向ということもあり、例えばオープニングを見ただけでも、そのきれいな画面にうっとりする。ボンズは本当に世界構築のレベルが高く、まるでジブリ作品かと見紛うような丁寧かつ親しみの持てる背景などで息づく世界を描いてくれる。特にこの作品の場合は戦後の(仮想)ヨーロッパという珍しい舞台設定を設けており、独特の世界観はリアルとファンタジーの絶妙な境を縫っている。それが美麗なアニメーションで見られるなら、もう充分であろう。 で、お話の方であるが、原作桜庭一樹っていう時点で気付くべきだったのかもしれないが、なんとミステリであった。まさかここまで露骨に「推理っぽいこと」をしてくるとは思わなかったので、1話でいきなりアームチェアディテクティブされたのはちょっと面食らった。与えられた謎自体はコテコテの密室であるし、これをちょいと生意気な幼女(しかもあおちゃんボイス)が颯爽と解決してくれるというなら、評価は爆上げだ。なんて素敵なゴシック様式。 ただ、残念なことに推理の方は「メインなのに添え物」という実に微妙なレベルの扱い。ヴィクトリカはさも当然のように謎を解決してみせたわけだが、どこをどう考えても与えられた情報からその推理は出てきやしないだろう。「被害者は殺害時になんで声を出さなかったの?」「犯人は何故鍵穴を撃つことが正当化出来たの?(そもそも鍵が閉まったドアって、鍵穴を打ち抜いて開くの?)」など、どう考えても分からないことだらけ。確かに密室トリックとして(成功するなら)なかなか面白いネタだとは思うのだが、セッティングがあまりに適当すぎて、全くトリックの面白さは感じられないのである。あくまで「ヴィクトリカの天才設定を何となく示したいんだろうなぁ」ぐらいの雰囲気ツールになってしまっている。 他にも「殺害の動機は一発目に撃ったものを見れば分かるわ」と得意げに語っていたヴィクトリカが、後になって警察から「箱の云々」の話を聞いてさも意外そうにしていた意味も分からない。これは推理云々の話でなしに、単純にシナリオの齟齬である。それとも「知恵の泉」とやらの機能が何か限定された情報しかもたらさないレベルのものなのか……うーむ、なまじ理屈っぽく語る部分がある作品なだけに、細かい設定が気になってしまうのは難点である。 ま、この作品はそのくらいのさじ加減で、というなら別に文句を言うような部分でもないのだろうが、せっかくヴィクトリカが可愛いんだから、話の中身も真剣に楽しめるレベルを期待したくなるのが人情というもの。なんとか盛り上げてほしいものである。いやぁ、それにしても素敵だわ。退屈そうにごろごろするヴィクトリカとか、荷物の多さを指摘されてふくれるヴィクトリカとか、全部可愛い。特に声とかが可愛い。幼女成分と淑女成分が同時に楽しめるお得感はたまりませんね。 そして他のキャストでは、主人公一弥役のキャストが初見なのが気になる。江口拓也という名前だが、少なくとも1話目を見る限りでは本当にそつなくこなしていた。閉塞感の強い男性声優業界には貴重な「新しい名前」である。他にも鹿野優以の名前を久し振りに見たとか、根谷さんの声が聞こえてきたとか、絶妙に渋いセールスポイントが光るキャスティング。さぁ、来週以降もあおちゃんの声を聞くのだ。
○「これはゾンビですか?」 5
なんだか珍しいけど、今期は2本連続でディーン製作のラノベ原作アニメである。最近はディーンっていうとなんちゃってホラー風味か腐女子向けなイメージがあったので、こうして普通にラノベ枠を確保してくるとちょっと新鮮。 さておき、何とも妙ちきりんなタイトルから分かる通りにちょっと捻くれたラノベ原作。最初はちょっとシリアスだと思わせておきながら、お約束となる「車に轢かれそうな動物を助ける」というシーンをきっかけに一気にギャグへと転がす。そのまま魔法少女ものなどのパロディ要素を詰め込んで、一気に最後まで押し切った。ギャグ作品としてのテンポは割とよくて、「まぁ、これくらいのネタ回しなら原作もそこそこ売れてるんだろうな」と思える。アニメとしても画に不備はないので、導入は悪くないレベルになっているのではなかろうか。 ただ、気になる点が2点ほど。1つは、メインヒロイン(?)の魔法少女の方はいいとして、もう1人のネクロマンサー少女の存在がさっぱり分からないところ。例によって1話から詰め込み過ぎるよりはやんわりと流された方が個人的にはありがたいと思ってはいるが、それでも「ヒロインと主人公」という関係性はこの手のアニメを見る際には重要な基準点となるもので、この作品のように、「落ちもの系魔法少女? いや、それとも居候の無口キャラの方がメイン?」と視点が散ってしまうと印象がぼけてしまう。原作がどういう構成になっているかは知らないが、全ての起点となる「主人公がゾンビになったくだり」については、もう少し詳しく説明してもらえなかったものだろうか。 「訳の分からない状態で一気に押し切る」というテイストのギャグだとして、「不条理に不条理を重ねる」という方策も分からないではないが、そうすると、中途半端に理性的な部分が残っているのが気にかかる。主人公はありきたりな「ちょっとモノローグがくどい平凡な学生」なので、非日常へのジャンプアップが自然に出来ないのだ。最後に女装姿の主人公が校舎から墜落してきたところを生徒がよってたかって写メるシーンがあるのだが、普通に考えたら、あのシーンでは回りの生徒は墜落してきた主人公が無事であることに驚いたり、心配したりする必要がある。それをしなかった(それどころか親友は単に気持ち悪そうにしていただけ)ということは、あの世界は「死ぬ」「傷つく」という要素が我々の知っている現実世界とは異なる認識の下で成り立っているという解釈でいいのだろうか。どこまでが世界設定で、どこまでがギャグなのか、そこの線引きが出来ないと、不条理系ギャグは受け入れがたい。 そしてもう1つの気がかりは、いかにも安易なラノベ設定がそのまま垂れ流しになっている点。前述の主人公のキャラクターなんかはそうだろうし、「ゾンビだから死なないよ」なんて単純な設定も気がかりと言えば気がかり。車に轢かれても死なないのと、チェーンソーで真っ二つにされて死なないのはレベルが違うだろうに。失われた血液なんかはどうやって補充したんだろう。全て魔法(ネクロマンシー)の力で説明をつければいいのか? それとも、ギャグだから、というので全部流せばいいのか? そこが分からない。他にも「ゾンビだから身体のことを気にせずに100%以上の力を発揮出来る」なんてとってつけたような設定も邪魔だ。仮にそれが事実だったとしたら、身体を保護する目的で備わっている人間の「痛覚」が失われていなければならない。それなのに主人公は切られたり殴られたりすると痛がるのである。痛みを感じる時点で、リミッターは全くはずれていない。そのへんの設定について、作者はちゃんと考えているのだろうか。 とまぁ、重箱の隅を突いていちゃもんをつけてはみたが、結局「いや、ギャグなんで」と言われればそれで終いである。ただ、1話ではそのあたりの指針がはっきりしなかったので、初見の視聴者としてはもやもやしてしまったと、そういうことです。2話目以降に何も考えずに見られる「そらのおとしもの」クラスの馬鹿作品になれば、それはそれでいいかと。 キャストの話になると、一番面白かったのは妄想の中だけにわざわざ名前入りで登場した三石琴乃だったような気もするが、その他オープニング歌唱をそつなくこなしている野水伊織の躍進も期待が持てる。どうやらプロダクションエースの一押しは美名ではなくてこっちのようだね。そして、何故か嬉しかったのは「最も有名なファン代表」でお馴染みの間島淳司の久し振りの主演。なんか、落ち着く。
○「君に届け 2ND SEASON」 5
惜しまれながら終わった1期から半年、2期が帰ってきましたよ。今回一番嬉しいのは、関東組とのタイムラグがほとんど無いってことです。読売テレビの鬼畜時間差攻撃には本当に泣かされてきたからなぁ……「ドラゴンクライシス」なんて関西の方が早いらしいぜ。やるじゃん読売。 で、今回だが、「あれだけ幸せそうなハッピーエンドで幕を引いたのに、まだアニメを作れるくらい続きがあるんだなぁ」と興味深く見た……のだが、いきなり総集編だった罠。一応くるみ視点で再構築された物語になっていたので色々と新鮮ではあったのだが、やっぱり映像素材自体は1期のまとめなので、ちょいと肩すかしですわ。ま、少しブランクがあったから、あの独特のぽわぽわした空気感を取り戻すのには良いリハビリだったかもしれません。普通の作品なら「総集編とかどないやねーん!」とちゃぶ台をひっくり返してもおかしくないのに、この作品だと改めて30分見られてしまうのだから大したものである。 改めて見ると、やっぱり風早の異常な爽やか青年ぶりは鼻につくのだが、それをフォローしてあまりあるくらいに回りの女の子が愛らしい。爽子の愛らしさはいうまでもないが、こうしてちゃんと1本のシナリオで描き上げてもらうと、くるみも充分可愛らしいではないか。あれだけ爽子に嫌なことをやっていたヒロインだったのに、終わってみれば彼女にも幸せになってほしいと思えるだけの下地があるのだ。良い話である。 また、何とも邪道な見方ではあるが、これを見ているとどうしても「能登麻美子に嫉妬する平野綾」みたいな像が見えてくるようで笑ってしまう。最近何かとお騒がせの平野綾だが、落ち着いて聞けば役者としてはまっとうな仕事が出来る若手なのである。能登麻美子のような生まれながらの魔性ボイスこそ無いが、下地がしっかりしているし、きちんと声優道を歩めばそれなりの結果が伴うだけの人材なはずなのだが……本人の意志がなぁ。声オタは一にも二にも声優至上主義なので、他の業務に色気を出し始めるとそれだけで毛嫌いし始めるので注意が必要だ(少なくとも私はね)。まとめると、「能登可愛いよ能登」。
○「ドラゴンクライシス!」 6
特に話題になってもいないようだし、毎度お馴染みラノベ枠なので、あんまり気にしなくていい作品なんだろうなぁ、と思っての視聴。新番組なんだから予断をもって見ちゃいけないとは思いつつも、やっぱりある程度期待値で比重を変えていかないと身が保たないですからね。 だがしかし、駄菓子菓子。おや、案外悪くない。冒頭、堀江由衣の(相変わらずあんまり上手くないけど)ちょっと癖のある面白いオープニングによって幕を開けた作品は、非常に丁寧で細やかな動画の配慮が目につく、妙な説得力を持つものだった。製作はディーンで、確かにちょっと淡い目の色彩なんかは昨今のディーンらしいといえるのだが、一目で人手がかかっていることが分かる何気ない動画は、ラノベ原作、落ちもの少女、学園系などという飽き飽きしたテンプレ作品の導入にもさりげない彩りを加えてくれる。監督の名前は「H2O」でしか見たことがないのでそこまで期待してなかったのだが、大仰に振りかぶらず、あくまで平坦なコンテの中で動画の質の高さを見せる演出方針は悪くない出来だと思えた。巨乳ねーちゃんの溌剌としながらもだらしない所作や、とにかく元気いっぱいで飛び回るローズの屈託のない動きなどが、ありきたりなキャラクター設定の中にもプラスアルファの魅力を付け加えているのだ。デフォルトであんまり期待がなかっただけに、こういう地味なプレゼンは嬉しい誤算です。 お話の内容はというと、実にまっとうな(?)ラノベ展開。1話目から訳の分からない専門用語が飛び交い、平気で魔法をぶっ放したり「ドラゴンの娘」が登場する舞台背景に一切説明が無いのは不親切な気もするが、1話目でギチギチに説明を詰め込まれても何も面白くない。どちらかというと、とにかく用語はしゃべるだけしゃべっておいて、その後でさりげなくフォローしてくれる方が見る方としては助かる。今作の場合、例えば台詞の中で「ソサイエティ」という言葉が出てくるが、おねーちゃんが見せてくれた書面の中に「遺物保護教会」という文字が追加で書かれていることで、その「ソサイエティ」が何となくどんな組織なのかが想像出来るという寸法だ。単純な工夫ではあるが、こういう配慮がちゃんと出来るというのは今後の展開にも期待できるというものである。 ま、こういう動画の質で期待した作品っていうのは、1話が通り過ぎるとすぐに質が並のレベルまで戻ったりするし、内容が内容なので、今後の視聴を続けていくうちにあっさりトーンダウンしてしまう可能性もあるのだが、あとはキャラクターの魅力、そしてキャストの魅力で引っ張ってもらうしかない。1話はメインヒロインよりも巨乳ねーちゃんの活躍が際立っていただろうか。ゆかなボイスの天然エロスに加え、巨乳キャラだけどあまり阿漕にならずに「自然な揺れ」でもって存在をアピール。うむ、やっぱり阿漕である。 そして今期の釘キャラは、安心の金髪幼女ですか。あの声でリュージリュージ叫ばれると、どう考えても逢坂さんちの虎娘のイメージしかないんですが、キャラとしてはりぜるとかナギの方が近いか。能力は炎髪灼眼ですけど。釘キャラワールドはどこまで行っても堂々巡り。 ちなみに、一番笑えたのは間に挟まったオープニングのCMの、堀江由衣のあまりに適当な殺陣シーンです。いくらPVだからって、もうちょっと真面目にやれよ。いや、笑えたけど。 |
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Thraxi
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声優のこと全般
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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