最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
○「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」 6
「好き勝手」という言葉を辞書で引くと出てきそうな作品。これは……どうしたらいいんだよ。面白いよ。面白いには違いないが…… ガイナックスって会社は、本当にやりたいことしかやらない会社。この作品も、スタッフを見ればガイナックスを代表するそうそうたる面子が顔を連ねている。今石洋之・大塚雅彦・錦織敦史。今回はさらに作監にすしおを引っ張ってきている。冗談や酔狂ではなく、この作品は立派な「ガイナックスの新作」なのだ。しかし、その内容たるや、全く売る気がないのか、それとも新しいこと、描きたいことを貫き通せば売れるものだと疑わないのか。「今のアニメ」の定型からは完全に離脱した、埒外のものである。 いや、これが完全に新しいものかというとそうでもない。日本国内のアニメに限定すればそりゃなかなかお目にかかれないが、この作品が下敷きにしているのはいわゆる「アニメーション」ではなく「カートゥーン」と呼ばれる類のもの。いわゆるアメリカン・アニメのベーシックなスタイルである。ごちゃごちゃと見慣れないフォルムにデフォルメ・リシェイプされた背景や動画。画面を覆い尽くすように煩わしく踊り狂う書き文字。訳の分からない暴言と放送禁止用語をばらまきながら暴れ回るキャラクターたち。およそ日本人が描かない姿が、そこにはごろごろしている。 個人的な「慣れ」を尺度にすると、この画面はキツイ。たまにならこの手の作品を目にすることはあるが、1クール通じて観たりすることはなかったろうし、私の目は完全に「日本のアニメ」専用になってしまっているので、この作品は確実に「異物」に映る。許容するとかしないとかいう以前の問題として、まず一般的な「アニメ」の枠内にすら入ってこないのである。これを他の作品と同じ尺度で判断し、同じモチベーションで視聴するのは無理だ。 と言っても、やはりどこか気になる要素があるのは事実。あまりに下劣なネタ設定や、本当に中身のないどーでもいいストーリーなど、はっきり言ってしまえば「この絵じゃなきゃ、本当に見なくてもいいもの」である気がする。あまりに珍妙な、あまりにチャレンジングな画面にしたおかげで、このアニメは成立しているのである。そもそも、ふつーの日本のアニメ絵でこのネタをやろうとしたら、ほぼ確実にどこかが放送コードに引っかかるし、ジョークではなくて単なる不快な何かになるはずだ。カートゥーンの体裁があるからこそ、この作品はアメリカンテイストの「ジョーク」になっている。そのあたりのさじ加減は、まさにスタッフの狙い通りなのではなかろうか。 画面のクオリティも、そうした体裁の違いを極力捨象して考えれば、総じて高いものであると判断出来る。目まぐるしい動きと、情報過多としか言いようがないごちゃごちゃした画面構成は、なかなか受け付けない部分はあるが、アニメの情報伝達の手段として全く間違っていない。それどころか、独特のリズムで繰り出される極端なデフォルメと動きの妙は、アニメーションの真骨頂と言ってもいい。2話で見せた暴走車の加速シーンの画なんかはどうみてもすしおによるものだが、無茶な画によって無茶なスピードを表現する、直接感性に来る愉快な出来になっているだろう。他にも爆発シーンだけ実写混じりで表現してみたりと、単なるお遊びにしては手間のかかり過ぎる画作りは、ほんと勘弁してほしいくらいの充実感がある。 シナリオ面については語るのも馬鹿馬鹿しい気がするが、避けては通れない部分だろう。1話が糞尿、2話がスピード狂で、平気でキチガ○とか言う敵キャラ。そしてそれを討伐するのは、セックスキチガ○と純正スイーツのコンビ。うーむ、誰得。ヒロインが非処女認定されるだけで大荒れするような病みきった現状には、むしろ潔さすら感じられる設定だが、別にこの画でセックス云々言われても……いや、だからこそ成立してるのか? そのくせ、萌え要素やエロなど一切介入しないかと思っていたら1話では急になまめかしさを前面に押し出した変身シーンが入ったりもする。もう、どこをどう着いていっていいのかも分からず、完全にスタッフの思うつぼで振り回されっぱなしの30分。これはこれで、癖になりそうな気がする。 やはり、一言で言ってしまえばこの作品を攻略するためには慣れるしかないのだろう。画面を見て困惑してしまうのは、あまりに常日頃視聴しているアニメと情報構造が違いすぎるためだ。アニメってのはいわば記号化簡略化の極致にあるスタイルであり、そのための方法論が違えば画面は全く違った答えを導く。その違った次元にある「解法」(視聴法)が分かれば、この作品も自ずと「馬鹿馬鹿しく見られる普通のギャグアニメ」となる日が……来るといいなぁ。とにかく、何はともあれ一気に見られてしまったので楽しいと言えば楽しい作品でした。次回以降、どういう風にしてこのインパクトを維持するかが見どころです。 一応中の人にも触れておきましょうね。今作で最大の聞き所は、やはり主人公であるパンティとストッキングの中の人。小笠原亜里沙については、予定通りに。やっぱり「洋画っぽい声」だよねぇ。伊瀬茉莉也についても、気付けばいっぱしの声優らしい活躍が出来ている。このメインヒロインコンビはこの作品がジョークとして成立するか否かを左右する最大のポイントとなるので、しっかり作品の空気を作っていって欲しい。脇で支える石井康嗣も、そうなればこそ輝くと思います。そして今回に限っていえば、キチガ○役が完全に素としか思えない岩田光央のあまりの平常運転。……レギュラーで出てきてほしい配役です。 PR ○「スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター」 5 今期わが家の新番組1発目を飾ったのは、正直言ってそこまで興味がないこの作品。スパロボはゲーム全般に一度も触ったことがないし、アニメ前作である「ディバイン・ウォーズ」も、特に興味が持てずに2話くらいで切ってしまった。基本的にロボット燃えの属性が薄いため、モチベーションが維持しにくく、設定がよく分からないアニメを見る元気が起きないのが正直なところです。 とはいえ、この作品の1話目はぼちぼちのスタートといったところ。相変わらず何が起こっている世界なのかはさっぱり分からないし、マシン個々の識別が出来ないので誰がどこで何に乗って何がしたいのかもよく分からないのだが、流石にここまで気合いを入れてくれればロボット戦闘に力を入れたいのだということくらいは読み取れる。今時のアニメでは貴重な、ロボット戦闘が全部手描きのバトルシーンは、懐かしくも華々しい、なかなかの幕開けといえる。ロボット自体のギミックも色々と面白くて、冒頭で出てきた奴(名前なんて分かりませんよ)の腕をぐるぐる回してのパンチなんかは、無闇に興奮するシーンとなっている。やっぱりドリルが青春かなぁ。いや、個人的に好きなロボットは「電童」なので、ギアモーターの回転が浪漫なのかもしれません。 そして、メインストーリーの語り口についても、ひたすらロボット推しというのは潔い。司令官っぽい人(CV・速水奨)が淡々と世界の現状と決意を語る中、合間でガンガンリアルタイムの戦況が挟まれ、「地球連邦政府」が語る使命と、実際の戦場の白煙が密接にリンクしていることを伝えてくれる。もちろん戦闘シーンでは何が起こってるのかよく分からないのだが、パイロットたちのテンションは高く、それに引きずられてみるのも悪くはない。司令官のキャラクターがなかなか良いですよ。 ただ、気になったのは最後のシーンで空を引き裂いて光臨した謎のロボット。バックに羽が散っているのを見て「ラーゼフォンかよww」と思ったが、フォルムを見ると、どうもオクサーにしか見えないんだが……って、今回キャラ作監が樺島さんじゃないか。もう、そっち方向に行くの? むっちむちの女性キャラを売りにするの? キムタカ呼んでこいや! というわけで、どうにも女性キャラにばかり目が言ってしまいそうなので、そのまま耳を向ける話。1話でインパクトがあったのは、男性キャラでは速水奨、山崎たくみあたり。パイロット席には杉田も乗っていたが、杉田が真面目にやっていても「モビルスーツにのってごっご遊びをしている杉田」にしか聞こえないのは大問題。いや、彼が悪いわけじゃないのだが。 そして、女性キャラというと、もう水谷優子の記憶しか残っていない。……最近だと「屍鬼」にも出てたけど、メインで聞くのは久し振りな気がしますわ。相変わらずとしか言いようがない。改めて聞いた初めて気がついたのだが、ひょっとして水谷優子のあとを継げるのって福井裕佳梨なんだろうか。やたら似てる気がした。
10月1日 ドラフト模様(SOM×3)
ピック順 【Thraxi】→【Alessi】→【Lionhall】→【Van】→【Sangriter】 年に3度のお楽しみ、新環境でございます。新しい環境ということで、久し振りにわざわざ遠方から新幹線に乗ってやってきた御仁も含めて、愉快痛快ミラディン世界へと参りましょう。 とはいえ、過去のミラディンは屈指の「リミテッドのつまらなさ」を誇った輝かしいエキスパンション(ま、構築も面白いとは言い難かったけど)。新たな金属世界も、ドラフトの環境としてどの程度のものかは甚だ不安。今回はゼンディカーと違ってこの「ミラディンの傷跡」のパックに1年間お世話になるわけで、その出来不出来はかなり重要な問題だ。 で、初回の感想だが、あまりに思い切った新システムである「毒」。これがそこそこ悩ましさがあり、本当の意味でのキーポイントとなっていることが感じられる。「毒ですぐ死ぬこと」も勿論意味があるが、それよりも「感染持ちのクリーチャーは、普通のダメージレースに一切荷担しない」という、ある種の2ライン構造が大きな問題なのだ。この問題と戦うのは黒と緑の2色だけだが、他の色を使っていても、勿論この2色と当たるのは確定事項。毒が来るか、ダメージが来るか、見切って片方を放置する勇気、判断力が問われる環境となりそうだぞ。 また、もう1つの焦点となったのが金属術。カードレビューの時にはさも当然成立するものとしてほとんどのカードを評価していたきらいがあるが、この「アーティファクト3つ」が易しいようで案外むずい。先日更新された公式記事にも書いてある通り、アーティファクトは10枚以上は最低でも搭載する必要があり、デッキメイクの1つの指標となりそうだ。金属術の安定性さえ見込めれば、やはりこの世界のカードは単体でのパワーが高い。「強いカードのために弱くてもいいからアーティファクトを投入するか、それとも、金属術を見切って単体勝負に持ち込めるようにするか。勝ち手段はダメージ? 毒?」と、様々な分岐点が登場するこの環境。少なくとも、先代ミラディンよりは期待できるんじゃないでしょうか。 今回のレア度数は5.60。この数字が強いのか弱いのかは今後の展開次第だが、今回は「地層の鎌」9引き、「苦行主義」も9引きなど、レアがあまり引かれなかった傾向にもある。これが正しいピックだったのか、素人故の浅はかなピックなのかは、今後の練習次第で判明します。
何このいい話! 最終話。いやぁ、魔法大合戦が起こった時にはどうしたらいいかと思いましたが、最後の1話はまるで心を入れ替えたかのようにすっきりと終わりましたな。
美風を撃退しても何の変化も無かった未来世界からの連絡により、ノストラダムスの鍵とは、他でもない文明自身、いや、文明とこの時代のエスパー少年、ブンメー君の接触であることが判明する。逆に言えば、文明がこの時代の自分との接触さえ避ければ、未来は無事であるはずだ。マヤの機転でブンメー君の母親を追い返してしまい、これでちゃんと文明も終業式にも出られるようになる。短い間ではあるが、自分たちが教えた生徒達との別れはきちんとしておきたい。 現代で母親と会い、過去の自分に思いを馳せることで、多少感傷的になってしまった文明。結局、この歳になるまで、自分の意志で何かを選び取ることもなく、ずっと他人に流されっぱなしだった自分の人生。今回だって、マヤに対して募る思いもあるが、そんなことは口にすることはかなわない。終業式での別れのスピーチも他人からの借り物だし、自分がこの時代に残せたものなど、何一つ無かった。 しかし、歴史は繰り返す。突然のキャンセルで予定が狂った内田親子のトラブルにより、ブンメー君は1人で勝手に遊び歩き、あろうことか、学院の屋上に上っていた。会ってはならない2人の邂逅。待ちかねたかの様に次元が歪み、世界を滅ぼす「恐怖の大王」が降臨する。絶望に立ちすくむマヤだったが、文明は悟りきった表情で幼い自分の頭を撫でた。「自分の意志でここまで来たなら、これからも自分の足で歩め」と訓戒し、残された自分の、最後の意志をまっとうするため、怨敵に向かって万感の思いと共にスプーンを掲げる。「歴史が変わるのはここからだ」。全てをなげうった文明のサイコキネシスにより、異次元から訪れた生命体はことごとく崩壊していく。「俺を頼んだ!」。文明の最後の言葉だけを残し、歪んだ次元は全て修復された。残されたのは、神代マヤと内田文明。自分の足で歩むことを知る2人の若者。 未来は修復された。全てを観測していた神代純一郎は、宿願かなって平和が戻った街中を、失ったはずの愛娘の家庭へと帰路につく。マヤの家庭、表札にかかる名字は「内田」。テーブルを囲むのは、純一郎、マヤ、フミアキの3人。食卓のカレーの脇には、3本のスプーンが置かれていた。 すごい。本当に久し振りに見た気がする、こんな綺麗にまとまったエンディング。この作品に細々と紡がれていた「まともな要素」たる縦糸が、ここで綺麗に収束し、実に清々しい余韻を残しながら終幕を迎えることが出来た。途中で迷走(?)を見せたこの作品、最終回がこの形になったってんなら、もう許される気がする。 今回のシナリオとコンテは、かなり「語るべき部分」を意識的に減らしており、最終回でありがちな「とにかく説明と帳尻あわせに必死で、シナリオの魅力がそがれる」という現象が起こっていない。エンディング前の純一郎に視点が映ってからのあれこれは本当に見事にエッセンスのみを凝縮して、それを本当にうまい形で提供してくれており、不覚にも鳥肌が立ってしまった。 そのあたりの分析をする前に、一応今回気になった部分だけ上げておこう。それは、「何で文明はそこまでして終業式に出たかったんだろうね」という部分。あのスピーチのシーンを見れば、彼が壇上に上がりたかったわけではないことは自明。生徒に対する責任なんてものはこの男は感じていないだろうし、世界の危機とはかりにかけてまで、終業式に出たがったモチベーションが分からなかった。母親と会える、という部分、もしくは過去の自分と会える、という部分をモチベーションにしていたように見受けられたのだが、文明にとって「過去の自分」は辛い記憶の1つであり、極力思い出したくない要素であるように思っていたのだが……そうでもなかったんだろうか。 一応、自分なりに理屈を付けると、彼が残りたかったのは終業式のためではなく、1日でも長くマヤと一緒にいたかったため、という案。ただ、この場合でも「自分から帰る選択をしてしまっている」時点であまり説得力はないのだが。屋上でマヤに何か言いかけてやめてしまうシーンがあり、結局彼はマヤに自分の気持ちを一つも言わないままでこの世界を去ってしまったわけだ(もちろん、最後にひとこと「俺を頼む」という最大限のプロポーズはしているわけだが)。ヘタレのヘタレたる結末といえるが、マヤ自身も文明に対してはっきりと何かを伝えたわけではないので、この辺はおあいこか。 もちろん、こうして2人が互いの気持ちをはっきり言葉に出来なかったことについては、その後の展開できっちりフォローされている。それが「この世界にいるブンメー君の方と家庭を持ったこと」。消え去ってしまった方の文明とは何も無いまま終わったが、彼の唯一の望みである「俺を頼んだ」というメッセージを、マヤは責任を持って果たしたわけだ。このとき、マヤが高校生、ブンメー君はいくつかは正確に分からないが、多分小学校低学年くらいだろう。ちょいと年の離れた姉さん女房である。 で、この「マヤと文明が家庭を持った」という事実であるが、このことを示すのはCパートで流れた表札、食卓の描写、そして純一郎との通話だけで示されているわけだが、この含意の持たせ方、それぞれのツールの使い方が抜群にうまい。 1番象徴的なのは、今回あらゆる場面でスポットが当たった「スプーン」だろう。文明は、カレーですら箸で食べるほどの「スプーン嫌い」であるが、これは幼い頃の記憶が原因。スプーン曲げが出来るばかりに、母親との関係性が悪化し、自由も奪われてしまった不幸な幼少期。彼にとってスプーンは忌むべきものであり、逃げなければいけない端的な「脅威」である。幼いブンメーはカレーを食べることこそ出来たし、ジャケットの内ポケットにスプーンを忍ばせていたわけだが、母親との食事シーンで既に拒否反応が出ていることが分かる。いわば、「スプーンが使えないこと」は、内田文明の人生の中で、「自分の意志を持たずにただ流されるだけの情けない自分」の象徴である。 しかし、クライマックスのシーンでは、文明は自らこのスプーンを握る。飽き飽きしていた流されるだけの人生。変えることが出来る、変えなければいけないそんな自分に対し、「歴史が変わるのはここからだ」と宣言し、人生そのものをも、サイコキネシスによってねじ曲げてしまう。奇妙な侵略者たちをボコボコに歪ませ、最後のシーンでは見事にスプーンの頭が落ちる。「変える意志」を示し、マヤに託すことで、その意志は幼い自分に受け継がれるのだ。 具体的な描写としては、その後は「自分の足で立て」と命令するマヤがあり、一気に食卓のシーンへと飛ぶわけだが、この食卓には、きちんとスプーンが載っている。つまり、あれから歳を重ねたブンメーは、スプーンの苦痛を自らの意志で乗り越えてみせた、新しいブンメーなのである。消えてしまった文明の狙いは、3年の時を越えて、見事に結実したことがたった1本のスプーンから伝わってくる。 また、細かい点ではあるが、電話口のマヤは、「今日はフミアキも早いから」と、自分の夫の名前を「フミアキ」と呼んでいる。前から気になっていた「ブンメイ」と「フミアキ」の呼び分けだが、ここに来てようやく、マヤは「フミアキ」と呼ぶことが出来た。今までは母親と美風しか呼ばなかったその名前が、2人の関係を実に端的に物語っている。もちろん、単に晩ご飯のことを伝えるためだけにマヤが父親に電話した、というのも非常に象徴的で、紆余曲折のあった神代家の父娘関係は、最良の形で収束しているのである。あらゆるエピソードをまとめあげた「壮大なハッピーエンド」のはずなのだが、それを大仰にアピールせず、さりげない食卓の画1枚で表現仕切ったその構成力が、本当にたまりません。 蛇足とは思うが1つ気になる点をあげておくと、異界の生物に無謀とも思える戦いを挑んだ文明は、別に塵芥となってかき消えたわけではないんだろう。全ての敵を殲滅した時点で、地球の未来は改変を余儀なくされた。純一郎が基地から外に出た途端に入り口が失われたのと同じように、未来が平和になった瞬間、タイムワープしてきた文明は「無かった」ものにならなければいけない。だからこそ、あの瞬間に文明は消えたのだ。決して、戦死したわけではないと、そう思いたい。それが証拠に、提供クレジットバックのイラストで、文明の上には天使のわっかがついてないからね(川島教頭は本当にアレで死んでしまったんだなぁ……)。 なんだか長ったらしくなってしまったが、とにかく、今回のラストシーンは、昨今のアニメの最終回の中でも出色の出来であると思う。アニメノチカラとは、こういうものを言うんじゃないだろうか。満足でございます。 ○「SOUL EATER リピートショー」 * 新番組っていうか、単なる再放送なんですけどね。せっかく始まったので一応触れておこうかと思って。 2年前、私がその年度のベストに選出したアニメ、ソウルイーター。ボンズの創立10周年記念作品という記念碑的な作品でもあり、その力の入り方は半端じゃなかった。久し振りに1話を見直したが、やっぱりボンズの持ち味である美麗な動画は流石の一言。これを機会にもう一度見直してもいい作品だと思います。ちなみに、今回再放送にあたって、オープニングとエンディングが描き下ろしの新規バージョンに。前のオープンエンドも好きだったのでそれがみられなかったのは残念だが、今回もばっちり気合いが入った仕上がりとなっております。特にオープニングは相変わらず疾走感を前面に押し出した迫力のある画が実に爽快なので、既存のファンは新たなサービスとして楽しめるし、新規の顧客も取り込める良い出来だと思います。ただ、どう見ても作品の後半にしか出てこないキャラも全員描かれていたのだが……どこまで放送して、どこまでこのオープニングを使うんでしょうかね。 ついでに確認しておきたかったのは、中の人の変遷。ソウル役の内山君は、現在「屍鬼」でメインを張っている。初回放送時も思ったけど、やっぱりこのときの演技はメタメタ。今はこの当時の面影は無いね。2年でちゃんと進歩しているのが分かり、微笑ましくなりますよ。そして、より微笑ましいのがマカの中の人です。あの花澤香菜が棒子の汚名を返上してしまった今、もうあなたしか奇跡は残されておりません。小見川千明。なんと、今の演技と大して変わらない! すげぇ! ほとんど成長してない! いや、正確には流石に発声の細かい部分についてはあれこれ改善点も見られるんですが、この当時と今の演技を聞き比べても間違い探しレベルってのは……逆に貴重かもしれません。魂イタダカレそうです。
「セキレイ pure engagement」 5→5
結局、可もなく不可もない。そんな結果と相成りましたこの作品。嫌いじゃないし、毎週それなりに楽しんで観てはいたんですが、終わってしまうと、多分2ヶ月後くらいにはあんまり記憶も残ってないような気がします。 評価出来る点をあげておくと、やっぱり最終話の鴉羽戦に代表されるバトルシーン。拳を振り回す女性キャラクターというのが真正面から描かれるだけでも希有だが、それに作品独特のエロ要素が絡み、実に馬鹿馬鹿しい画面を提供してくれる。原作の売りからしてエロ要素多めなので、そこでちゃんと評価出来るように作られているのは、見るべき点だろう。また、デスゲームものという本来ならばシリアス一辺倒になってもおかしくないはずの設定にも関わらず、終始とぼけた雰囲気が漂っている手頃なギャグテイストも悪くない。今期は鈿女のエピソードが入ってきたのでどうしてもシリアス寄りになってしまっていたが、鈿女との試合についてさえ、結の天真爛漫な「もっと強い奴と戦いてぇ」属性のおかげで、そこまでどっぷりと悲劇に浸かるわけではなく、あくまでハーレムもののいちゃいちゃ設定からの延長として、結たちセキレイの成長を見守る物語の骨子が成立している。どれだけ真剣になろうともおっぱいボインボインのエロアニメは真剣になりきれるはずもないのだし、このくらいのぬるいバランスを維持してくれているのは素直に有難かった。 ただ、逆に難点をあげる場合にも、実は同じ要素を取り上げなければいけない。せっかくデスゲーム設定にしているのに、ここまで緊張感が無いと企画倒れに見えてしまうのである。鈿女のエピソードはようやくデスゲーム設定が活きたシーンであるが、それだって1対多の奇妙な構図が浮き立ってしまい、「殺されてセキレイを失う」という喪失感はあまり画面上には出てこない。最後の帝都タワー登頂戦もそこまで命がけでバトルをやっていたという感じもなく、結局出雲荘メンバーは理由もなしに生き残ってしまう。ギャグ含みなんだからそういうノリでもいい、と言われればそれまでだが、やはり「バトルを見たい」と思っている身としては、そこに命を削る真剣さを読み取りたいとも思ってしまう。製作の底力はあり、ある程度画面に反映させられるだけの下地が見えるだけに、その部分を追究しきれなかったのは勿体ない部分だった。 でもまぁ、まだ終わってない作品の骨組みの部分にあれこれ言っても仕方ない気はしますけどね。以下は、この作品で真に楽しむべき要素、つまり中の人のことである。まず、メインを張った早見沙織。たしか彼女を一番最初に認識したのはこの作品(と「我が家のお稲荷さま」)だった。今期も主人公として、そしてメインボーカルとして安定した活躍を見せてくれた。相変わらず競争の激しい若手枠だが、案外彼女みたいな立ち位置の役者は少ないような気がします。今後とも自分をしっかり持って活動していってほしいものです。そして出雲荘の回りを囲む井上麻里奈、花澤香菜、ゆかな、甲斐田ゆき、大原さやか、生天目仁美といった面々。安定感抜群のこの布陣が、一番の胆だった。花澤を除くといかにも「中堅どころ」ってな陣容なんですが、やっぱりこのあたりの層が我が青春な気がします。 そして、今期はかなり活躍のシーンが増えて嬉しかった松役の遠藤綾。彼女も本当に変幻自在でいかにも「声優らしい」声優である。本人もなんだか謎めいた(妙な)キャラクターだしね。もっと露出増やしてしゃべってくれても面白いのになぁ。 個人的に今回一番好きだったセキレイといえば、やっぱり紅翼。御前は「委員長キャラ」が多いけど、中の人を知ってると、どうしてもこういう役の方が楽しく聞けます。ギャグのノリもよく、近年まれに見る、やられ役として輝く素晴らしいキャラ。「ヤッターマン」であの3人組の演技を聞き続けたいたことが活きたんでしょうかね。今後の活躍も楽しみです。 ま、最終回を見て分かる通り、やっぱりこの作品の中心は関俊彦だったわけだけどね。やっぱりたまらないです。聞くだけで濡れるのも致し方ない!
崩壊、タイマン、最終話。なんだろう、この時代がかった終わり方。いや、嫌いじゃないけど。
崩壊が進行する中、とにかく上にのぼるしかない皆人と結。その影では、松と草野が必死に塔の爆破を食い止めようと奮戦していた。監視システムが草野の防御網を突破して松に襲いかかろうとした瞬間、すんでのところで救いの手を差し伸べたのは、なんと瀬尾軍団。氷峨の依頼でMBIのサーバのデータを奪いに来たという瀬尾は、松に最後の鍵となるパスワードを手渡す。これにより、ギリギリのタイミングで塔の爆破は停止し、罠のプログラムも止まる。皆人は時間いっぱいで指定通りに最上階へと到達。見事に千穂を救うためのデータを手にすることが出来た。 しかし、問題はその後。崩壊を続ける塔は見事に瓦解し、最上階にいた皆人たちは逃げ場所を失う。結局、途中の階から結が決死のダイブを決行。何がどうなったか分からないままに生きていた面々であったが、最後に立ちふさがったのは、懲罰部隊首領、鴉羽だった。 結との直接対決を望み、それに応えた結を一蹴する鴉羽。「皆人を殺せば結の真の力が引き出せるかもしれない」と脅迫するが、結は最後の力を振り絞り、鶺鴒器官を起動させ、皆人の力を借りて祝詞を完成させる。全身全霊を込めた結の一撃は鴉羽の刀を破壊。それでもなお向かってこようとした鴉羽に対し、出雲荘メンバーは全員で皆人を守る姿勢を見せる。「今回はここまで」。まだ何か含みを持たせたまま、鴉羽はその場から姿を消した。 千穂は手に入れたデータのおかげで歩けるまでに回復し、鈿女の希望は達成された。再び平和な光景が戻ってきた出雲荘。帝都からセキレイの数は一気に減り、また再びの動乱まで、ひとときの休息である。しかし、MBIメインサーバが起動した「第3段階」という言葉。松だけは、その不審な響きに、名状しがたい不安を覚えるのであった。 鶺鴒計画は、終わらない。 というわけで、1期同様、特に終わった様子もないのに最終回です。この作品の場合、そこは予想出来ているので何の問題もないですけどね。1期は帝都脱出計画、2期は帝都タワー攻略戦。それなりの山場は用意出来たし、最終回としての出来は悪くないんじゃないでしょうか。 多分多くの視聴者が思ったであろう突っ込みを先にしておくと、「結局塔の崩壊って大したことないよね」。あれだけ必死で「戦う姿勢」を見せていた松と草野とか、防護システム相手にはなんとか勝利したのに、その後の塔の崩壊は眠ってるところにモロに喰らってるんだよね。しかも彼女たち、塔のかなり下の方のフロアで作業をしてたはず。普通に考えると、あれだけの崩壊に巻き込まれて生きてるとは思えないんだが。そこまでして生きてるんだったら、サーバールームでの激戦とか、こけおどしもいいところである。 月海と風花、それに焔が生きていたのはいいとして、ものすげぇ高さから大ジャンプした結と皆人があっさり助かっているのもよく分からない。そんだけの耐久力があるなら、最初から「塔の中を降りる」っていう選択をする前に飛んどけよ。そして、結は平気でも構わんが、どんだけ上手く担いだところで、一緒に落ちた皆人はやっぱ無傷ではすまないだろ。2話もかけてのぼった塔なのに、あんまりそれ絡みのファクターに注意が向けられてないよ。確かに塔が崩れりゃ最終回っぽいけど……いらんかった気もする。 塔のあれこれは納得いかない点が多いのだが、その後の鴉羽様とのバトルは、ずっと待ち望んでいたものだったので眼福でした。時間は本当に短かったが、2期では特に少なかった結のガチステゴロバトルがようやく描かれたのだ。刀を使う鴉羽との試合が拳っていうのはどう考えても無茶なのだが、バトルシーンでは結の力強い踏み込みの様子と、それを紙一重でのらりくらりとかわしながら刀を踊らせる鴉羽の対比が実に見事。これや、これが見たかったんや。草川監督、もっとガチンコバトルを! 特にスバルのバトルを! とまぁ、にわかに興奮してしまったラストバトルなんですが、やっぱりちょっと短かったね。ここでどちらかが死ぬまでやられるとそれはそれで困るのだが、もう少し結に粘って欲しかった気もするんだ。まだまだ鴉羽様のおっかなさが足りてないから、今後はガンガン人を斬りまくってアピールして欲しいところ。いや、3期があるかは知りませんけどね。 で、無事に出雲荘に帰還しての最後の総まとめ。一番気になったのは瀬尾軍団のことなんだけど、結局あいつらって、別なセキレイを機能停止にさせたの? もしさせてないなら、今回のペナルティで機能停止になるはずなんだがね。めっちゃ余裕ぶっこいてたから、大丈夫なんだろうな。どういうことだろう。 他にも、なんか暴れたりなかったらしい西に、陰謀が見抜かれてハズレくじを引かされた氷峨、そして未だにテンションが軽くてうぜぇ御子神。四極の戦いは、つかず離れずの状態がこのあとも続くんでしょうか。ノルマを果たして安心したユカリと椎菜は、氷峨に目を付けられたみたいだけど、どうなるんでしょうか。そして皆中さんは、宇宙から帰ってこられるんでしょうか。あの状態から単身帰投出来たら、江田島平八レベルだぞ。うーむ、最終回とは思えないくらい気になる点がてんこ盛り。是非、原作を読んでいないアニメ派のためにも、3期はやってもらわないと駄目ですね。 最後はやっぱり社長で締めるんだな。やっぱどこか変だよ、このアニメ。
「生徒会役員共」 6→5
初期配点をやや高めにしてあったのは、確認したら「1話目でまさかこうなると思ってなくてびっくりしたから」。13話終わってみて、ま、そこまで褒めるようなものでもないかと思って平均点まで戻した。ただ、別につまらなかったというわけではない。充分楽しめたし、2期目が作られても一向に構わないくらいの気持ちではあります。 氏家ト全の4コマがアニメになる。これほどの衝撃と誰得展開は無いと思っていたが、アニメ自体は至極まっとうなものとして作られており、思いの外俺得なものになった。もちろん作品の性質上、どう頑張っても素晴らしい動画で見せるスタイリッシュアクションアニメになんかはならないわけだが、ネタを間断なくつなげることで1話1話のリズムを維持し、気付けばあっという間に1クールが終わっていた。「みつどもえ」といいコレといい、割とあっさりやってのけたように見えるが、基本的にブツ切りであるはずの4コマ、ショートギャグにこうした自然な流れを付けるのはいう程簡単なことではなかっただろう。 「みつどもえ」と比較して違う部分は、こちらの方がよりネタの尺が短いこと、そして、オチの種類が本当にワンパターンしかないこと。明らかにビハインドなわけだが、この作品で白眉だったのは合間で連発した印鑑によるアイキャッチだろう。あれによってネタの切れ目を明確にすることで「落ちた」感じが良く出るし、さらに文面次第ではネタを被せたり、捻ったりと自由自在。加えて音声までのせられるので、あのアイキャッチ画面にタカトシの突っ込みをいれることも可能。アイキャッチ部分は「みつどもえ」にもあったが、定型で固めるのではなくネタにあったリズムを毎回考えて挿入していくことで、ブツ切りで本来ならリセットされるべき熱を有効に利用出来ていたと思う。 あとは画面そのもののバリエーション、ということになるが、この作品の場合、そこは基本的になげうってしまっている。どうせ「画面にはお見せできないようなネタ」が大半だし、それをわざわざ見せたからとて喜ぶ視聴者もおるまい。それならもう、原作の淡泊な感じをそのまま活かして、台詞のみの下ネタ、台詞のみの掛け合いをベースにおき、あくまで生徒会室でしゃべっている面々の画はおまけ程度に。極論すればドラマCDにしてもいいくらいのものだが、この作品の場合にはそれで正解だった気がする。 ただ、制作者側はそれでは矜持が許さないだろう。そのため、新人アイドルのPV風の画面を作ってみたり、突如マジモードのラブコメ風にしてみたり、修学旅行に行ってメンバーを隔離してみたり、シナリオ上、画面構成上変化を付けようとあれこれ策を弄している。ただ、この辺は正直言ってあまりプラスの効果が得られなかった気がする。突如テレビ画面の中のテレビ画面でお話が進み始めたり、魔法少女番組の次回予告をしてみたり、色々とチャレンジしている間、「別にそんなんいらないからいつも通りにやってくれりゃいいのに」と思ってしまった。結構ショックである。いや、別にそうしたものが気に入らなかったことは別にいいのだが、「早くいつも通りのアレを見せてくれよ」と思ってしまった自分がショックだ。なんだかんだで、いつも通りのタカトシと女性陣の掛け合いを楽しみにしていたということだ。あんだけワンパターンなのにねぇ。 とはいえ、そうした画面の変化を評価する向きの視聴者もいるだろうし、本当に原作そのままで延々繋がれたら流石に飽きそうなのも事実。少なくとも「スタッフはなんとかアニメにした時点で付加価値を生みだそうとしていた」ということは理解出来るので、そうした理念の部分は評価すべきかもしれない。最終回の流れとか、嫌いではなかったです。 で、「いつも通りでいい」「ワンパターンネタのオンパレード」となると、じゃぁ何が楽しかったんだよ、ということになるのだが、個人的には、もう中の人以外にいない。日笠陽子がメインを張るアニメは名作。今のところ案外信憑性のある仮説だ。そして今回はぴかしゃだけではなく、しゅが美もいるのである。しゅがぴかがいちゃいちゃする作品、というだけでもこの作品は終わらずに永遠に続ける価値があると思います。 そして、そんな素晴らしいしゅがぴかコンビだけでなく、この作品は残り2人のメインも素晴らしかった。1話目の時点で感心した浅沼晋太郎。やはり彼の力なくして、この作品の「氏家ト全っぽさ」は出せなかっただろう。この手のハーレムものの主人公はどうしてもナヨっとしたり影が薄くなったりするものだが(実際原作のタカトシの存在価値ってよく分からないのだが)、アニメの中では、気付けば「タカトシを中心とした生徒会」というモデルが確立していた。これだけ個性的なキャラ、キャスト揃いの中で、確固たる芯を作り上げた彼の功績は大きい。そして、スズ役の矢作紗友里。もうおはぎしか無い、という素晴らしいフィット感。ギャーギャー喚いてるときの彼女の存在感は神がかっている。役に入り、その上で存在感を発揮できるというのは、替えの効かない役者の本質であろう。 他にも、もうどうしていいか分からない小林ゆうのいつも通りのノリ、原作版の畑さんのイメージがどこかいびつに変形した気がする新井里美の怪演など、画面はどうなろうとも耳に楽しくて良い作品でした。そう言えばオープニングを歌うトリプルブッキングの絡み方も良かった。ぴかしゃはこういう歌い方も良いね。特別巧すぎるという程の歌唱力があるとは思わないのだが、何故か何度も聞きたくなる不思議な魅力がある。 作中では1年きっかりが経過しての最終回。でも、この作品なら余裕の2期もあり得るでしょう。再びパワーアップした生徒会役員共に出会える日を楽しみにしております。
「GIANT KILLING」 4→3
今ひとつ盛り上がりきらなかった作品、とでも言うべきか。ただ、当方サッカーには欠片も興味がないので、そのせいでいくらかマイナス方向にバイアスがかかっている可能性はありますが。 序盤のうちは、「なんかぱっとしねぇ画だな」という印象が先行。どうしてもフィールドをたくさんの選手が動き回る時のうねうねしたCGが浮いてしまうし、細かいサッカーのモーションにしても、特別力を入れているというのでもない。別にアニメにせんでも……というのが第一印象。 ただ、それでも「個々の選手の能力だけに焦点を当てるのではなく、監督目線でチーム全体の作戦を主軸に据えた新しい切り口のサッカー漫画」という立ち位置は少しずつ理解出来るようになった。達海のキャラクターがどこまで真面目に考えていて、どこまでセンスがある監督なのかは最後まで分からずじまいだったが、負けまくりの弱小チームが「監督のすげ替え」という転機から少しずつ強くなっていくというシナリオラインは悪くない。どこかをいじるとすぐに勝っちゃう、みたいに短絡的な内容でもなく、1人1人の選手の意識改革から始めて、少しずつチーム内部から変化を促すというのもリアルな部分だ。そういう「ゆるやかな強化」を描いていくという意味では、原作のエッセンスはきちんとアニメに反映されていただろう。 しかし、それでもやっぱり、魅力を維持し続けるというのは難しい。端的に言ってしまえば、いくら何でも遅すぎた。どれだけこだわろうにも視聴者にはフィールド全体など見えるわけもなく、そこで起こっている細かい変化、事件を描写しようとすると、作中の数秒という時間が何分にも、下手したら何話にも渡って展開されなければいけない。ワンプレーに説得力を出すための下準備にも同じくらいの時間がかかると、もう、それはドラマのための描写ではなく、描写のための描写でしかなくなってしまう。サッカーアニメには躍動感が求められる、というのが至極単純な思い込みとしてあるのだが、この作品には、そうした胸躍る動きというものを感じ取ることが出来なかった。偏狭な見方になってしまうが、それでは面白くないのだ。 また、ものすごく気になったのは、外国人監督、外国人選手の台詞を、いちいち英語などの母国語で入れているという部分。リアリティを出すためには必要な演出と判断したのだろうが、おそらくアニメを構成する上で、これは全くいらない要素。何しろ、アニメを視聴する際には、まずどこを見るかと言われれば、画面を、画を見なければいけない。実写の映画ならいざしらず、アニメで1枚1枚、折角アニメーターが丹精込めて作ってくれた動画を見ているのだから、その視線をわざわざ画面下部に固定させて長ったらしい字幕スーパーを読む気にはならないのだ。一部シーンでは英語台詞にオーバーラップさせて日本語版の台詞を被せる、という演出もあったのだから、雰囲気を出すためだったら全編通じてそれで良かったのではないか。ただでさえ画面に情報が多いのに、台詞まで文字情報として提示されると、それは手間という名の責任の押しつけである。「閃光のナイトレイド」の中国語でも思ったのだが、やはりある程度のフィクションをいれてでも、なるべく音声はシンプルにすべきである。複雑な多言語を使う時には、もっと明確な「その言語を用いる理由」がほしいものだ。 かてて加えて、何故かこの作品、毎回放送頭に入る回想(前回の復習)がやたら長い。2クールもあると尺が長すぎたから引き延ばしたのだろうか。今時のアニメで、たかだか2クールでそんな管理をやられては興が冷めますがな。あんまり面白いシーンがリピートされるわけでもなし……何だったんでしょうね。 トータルで見ると、新機軸の作品性というのは分かるし、評価出来る部分ではあるのだが、それをアニメにした時のロス、デメリットがはっきりと出てしまった形。サッカーは野球と違ってドラマの流れが散逸的になってしまうので、こういうリアルタイム形式の作品化は本当に難しいですね。 |
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