最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
ゾンビ強化年間、第8話。今年のアニメ業界はよっぽどそっち推しがしたいんでしょうか。こういうのって重なる時にはとことん重なるもんだな。
そんなわけで、14話はゾンビ映画の大定番をそのままパロディに仕上げた、ちょっとこれまでとは趣を異にしたエピソード。パンティたちはダテンシティを離れ、田舎の警察署に立てこもって突如現れたゾンビたちと死闘を繰り広げることになる。いわゆるゾンビもののお約束を丁寧に踏襲しつつネタにしており、燃えるパトカーから幕を開け、必死に立てこもる様子や、窓硝子を突き破って現れる大量の腕、避難民の一部が炎を持って飛び出すところや、ゾンビに噛まれた人間がゾンビ化するところまで、きっちり「この絵」でもってネタにしている。あげくストッキングが「まるっきり普通のゾンビじゃん! つまんない!」と文句を言い出す始末。ここまで緊張感も恐怖感ない「ゾンビもの」は初めてである。 そしてデーモン姉妹がその正体を現したあとは、徹底的に定番を茶化した展開に。駆け込んだ武器屋で手にした装備はバイブだし、武装を整えて「さぁいくぜ!」と飛び出したパンティは、ドアを開けるなり「気持ちわりぃ」と引き返してしまう。ゾンビに噛まれたことで囮役に名乗りを上げた青年はどこか悲壮感のないアホなキャラだし、彼に人生録(3ページ)を渡された女性もどこか抜けている。そして、何より彼を送り出す主人公一行が全く悪びれずに「死に損ないなら囮に最適ね」と送り出してしまうのがひどい。もちろん、そんな彼は何一つ仕事をせずにゾンビに魂を売ってしまうわけだが。こうしてみると、やっぱりホラー映画やハリウッドのパニックもののテンプレートって、古式ゆかしいコントの趣があるよね。 そしてシリーズ最高レベルのぶん投げオチ。まぁ、こいつらならコレが一番ふさわしいオチな気がしなくもない。ガーターは「貴様等が相手ならば不足はない!」と司令官らしからぬ吹っ切れっぷりで戦闘を楽しんでいる風なのが最低。「子供ゾンビに噛まれる」というお約束シーンを演出した警察署長、「彼」のノートを死守しようとしてあっさり噛まれた女性キャラ、誰も彼も瞬殺でしたからね。しかも、お前だけバイブ使ってる意味がわからんし。地味に一番ひどい奴がガーターだっていうのがこの作品のお約束オチ。下ネタ無しでメインキャラたちのゴミクズっぷりが綺麗に出るお話っていうだけで、なんか無駄に活き活きしてて楽しかったです。 Bパート15話は、理屈の通じない天使たちを計略で貶めようという法廷もの。こちらもいかにもアメリカで人気がありそうなB級バラエティのパロディっぽい雰囲気が徹底している。というか、メインのゲストキャラに三木眞、森川、西村知道っていう時点であまりにやる気がありすぎる。胡散臭い「検察尋問」のテンションとか、予定調和過ぎる審議の流れとか、最低の主人公たちを追い詰める最低のスタッフたちの悪ノリが相変わらずのハイテンションである。4話に引き続き小松田大全のコンテ回ですね。 画面としてはスタジオにパンティたちが座りっぱなしなので地味なものになりそうなのだが、その分変身シーンをいじるネタとか、ゴーストのデザインとかで飽きさせない工夫が徹底している(被害者ゴーストのモーションとかは、ディズニーや「トムとジェリー」あたりのパロディっぽい)。そしてクライマックスとなるサルネタ、そして電撃を浴びたり、拘束されたりした時のパンティとストッキングのふざけた顔。電撃エクスタシー時のストッキングのイカれた表情とか愉快でたまりません。 今回も「出てくる」→「得意がる」→「やられる」の悪役三段活用が綺麗に決まっていたデーモン姉妹。色んな特技を見せつけてくれるが、ピンポイントでの登場しかないのにいつの間にかすっかりキャラが固まって見やすくなっている。今回は黒こげになった後でかなり大胆な格好になっているのだが、やっぱりこの絵ではなかなかセックスアピールはしてくれないな。またリアル絵で出てきてほしいもんだけど。 そして相変わらず秀逸なのが、この作品のゲストキャラのキャスティング。上記の「全力でふざける吹き替え声優陣」も必聴だが、Aパートで日笠、Bパートのゴーストには生天目仁美。何故こうも的確に芸人側の声優陣を配置出来るのだろう。マネージメントしてる人、心得すぎだろうに。藤村・ナバと並ぶ賢プロ声優陣は本当に良い仕事をしてくれているな。あとは新井里美の登場とかに期待しようかな。浅野真澄でも可。 PR あれ? なんでこれ手に入れてるんだろう。OVAなんて高いばかりで買う必要は無いんだけどなぁ……不思議だなぁ…… 原作は既読。結局、どんな漫画だろうと「声優漫画」を銘打っていたらチェックしないわけにもいかないので……というのは嘘で、紺野あずれはデビュー当時からけっこう目にしてる作家なのです。絵柄が独特だからエロ漫画誌にいてもけっこう浮くんだよね。あの淡泊な絵柄が好き、っていう人もけっこういるんだろうなぁ。個人的には可もなく不可もなくなんだけど、ア×ルへのこだわりは尊敬に値するかもしれん。絵柄がライトで描いているものはさわやか青春ラブコメ風なのに、行為自体はアブノーマル。ふむ、クレイジーズとはよく言ったものだ。 てなわけで、著者初のアニメ化作品ですかね。こうしてエロ出身の作家が少しずつ一般向けに進出してアニメ化しているのを見ると胸が熱くなるな。確か「おまもりひまり」で的良みらんの名前を見た時も同じこと書いた気がするけど。他にも「めだかボックス」の暁月あきらもそうだし、期待枠だと「超弩級少女4946」の東毅(きみまる(えんとっくん))とかも期待できそう。「断裁分離のクライムエッジ」がアニメ化してくれれば緋鍵龍彦もなんだけど、流石に無理かな。「マケン姫」の武田弘光あたりは普通にありそうだ。なんか、どれだけ名前を挙げてもやっぱり完全にエロから脱却してる人間っていないな。 閑話休題、この作品である。「エロ声優漫画」ということで、やはり見どころはキャスティングも含めた声優の扱いだろう。主人公の柑奈役に抜擢、というか犠牲になってくれたのは、何とあのMAKOである。一橋ゆりえ様を起点として獅子堂秋葉、小梅ちゃんを経てついにはここに。元アイドルユニット出身であることを考えると、なかなか立派な出世コースである。既に秋葉役をやっている時に「やぁ、ゆりえ様も随分達者になったもんだ」と思ったものだが、今回は罰ゲームにも似た無理難題をそつなくこなし、ちゃんと役者としての根性を見せてくれている。エロだから特別難しいということもないだろうが、やはり「声優役の声優」っていうのはメタレベルでややこしいので混乱しやすいジャンルだと思うのだが、そのあたりのジレンマをきちんと消化し、役として成立させていたのは大したものだ。これなら2巻3巻と続けてもらっても問題無いだろう。最終的な代表役がコレになったら笑うに笑えないけどな。中途半端に「全年齢向け作品」だから、変名を使うのも憚られるし、下手なエロより中途半端にエロさが際立つし、絶妙な羞恥プレイである。いいお仕事でした。 そして、個人的に気になったのはおねーちゃん役の渡辺明乃。あけのんはエロのイメージが一切無い(本人にね)、今のご時世ではちょっと珍しいスタンスの女性声優なのだが、この「エロとかけ離れている感」がドライなおねーちゃんの役に妙にフィットしていて面白かった。平気で隠語だの「ちゅぱ音」だの「フェラシーン」だのと言葉を連ねているのに、本当にしれっと言っているのでどうでもよく聞こえる。おかげで柑奈の恥ずかしがる様子が綺麗に対比されており、今作では陰の立て役者と言えるかもしれない。本当に便利な役者である。中の人の話はこれくらい(千葉進歩の胡散臭さとかも見逃せない要素ではあるが)。 で、わざわざドラマCDではなくてアニメにしているのだから、ちゃんとアニメとしての側面も見ておこう。紺野あずれの絵は線がシンプルなのでアニメ化しやすかろうと思っていたのだが、実際動かしてみるとキャラの簡略化が独特で、動きを付けようとすると案外難しいみたいだ。特にエロシーンになると身体の線が全部出てしまうし、あまり精密な動きにすると下品さばかりが際立って絵のライトさとのギャップが目立ってしまう。そうした地味に難しいバランスをとりつつ画面を作り上げ、いい塩梅に落とし込んでくれたのが、監督の細田直人である。細田さん、こんなとこで仕事してましたか。独特のぎゅいんぎゅいん動かすこだわりの動画面は流石になりをひそめてはいたが、要所要所での小憎らしい構図の狙い方なんかはいかにも細田流。スタジオ内くらいしかシーンがなくて地味になりがちな画面を、上手い具合に刺激的なものに仕上げてくれた。やっぱりこの人はうまいんですよ。私が感心する動画屋さんは、この人といい「ヨスガ」の高橋丈夫といい、やたらエロ方向に流れる傾向があるな(まぁ、高橋丈夫は元からエロ方面の人だけどさ)。 エロがある画面、ってことで、今回一番気合いが入っていたのは、やはりクライマックスの指フェラシーン。本番そのものはどうしたって修正が入るので力を入れても仕方がないと割り切ったのか、修正を入れずに全力で描き込める指フェラシーンは、本当にエロい、丹精込めた出来。うん、これが全年齢向けで販売されているのは問題があるよな。良い子のみんな、これを見て変なフェティシズムに目覚めないように注意だぞ! ……2巻、どうしようかなぁ。
やはり日本は湿気の国であると実感出来る第7話。ちなみにソースは「ギャラリーフェイク」。湿度をもった雨の中の絵面っていうのは、墨汁アクションによく馴染みます。
前回の騒動の結果、何故か千姫邸に住みつくようになってしまった直江兼続。「味方になった」とは言い難いのが現状だろうが、少なくとも式神でいいようにもてあそばれて慶彦に裏切られたことくらいは、悪い頭でも理解出来たようだ。「宗朗の見張り」という大義名分を(自分の中では)立てながら、過去には某アスリーテスも愛用していたような犬小屋のごとき「兼続小屋」に居着いてしまった。 そんな間抜けは放っておいて、着実に慶彦の捜査を進める面々。軍師幸村が加わったことで事態は大きく進捗し、サーバーから落とした謎の音声ファイルがなにやらいかめしい文言を唱えているらしいことまでは突き止めることが出来た。一方、着実な協力体制に満足を覚えながらも寂しさに戸惑うのは、千姫の忠臣、半蔵であった。幼い頃より唯一無二の友人として千姫に付き従ってきた半蔵は、仲間が増えて明るくなった千姫に自分の必要性が薄くなったことを感じ、マスターサムライ化を経たことで護衛としての任務すら必要無いのではないかと思い悩む。 そんな折、新たな刺客が邸宅を襲った。奇妙な能力で十兵衛・又兵衛を立て続けに戦闘不能にした「見えない敵」は、その毒牙を千姫に向ける。半蔵の救援でかろうじて襲撃を防いだ千姫だったが、視認できないのでは防戦一方。何とかその姿を捕らえるべく、唯一捕縛機能を所持している半蔵に、宗朗とキスをしてマスターサムライ化することを命じる。 姫の命を受けて必死に努力する半蔵だったが、やはり心に誓った相手以外にキスをすることは出来ず。ついには「マスターサムライ製造器」である宗朗も討ち取られ、絶体絶命のピンチに陥る。死地において最後に彼女がみせたのは、自分の命と引き替えにでも姫を守らんとする絶対服従の臣としての決意。最終的には兼続の協力もあり、何とか千姫の一撃で敵を退けることが出来た。そして、半蔵はボロボロになりながらも、最愛の人からの信頼を勝ち取ることに成功したのであった。 というわけで、意外なことにここで半蔵のメイン回。「マスターサムライのバーゲンセールだな」という展開になるのかと思いきや、彼女は自らの信念を最後の最後まで曲げず、操を守り抜くことでついに宗朗を打倒、千姫の中での「最愛の友人」としての地位までも確立するに到る。ハーレムものだからどうせ最終的には手込めにされるんだろう、と思っていただけに、この展開は意外であり、嬉しかった。やっぱりこういう展開で全員考え無しに足並みを揃えると面白くないからね。半蔵の最大のパーソナリティはやはり千姫への忠義であるわけで、その部分をきちんと見せてくれたのは嬉しかったのである。ま、やってることはベタの極みなんだけどね。 そして、今回は十兵衛がほとんど出番無しという状態で、半蔵&千姫コンビの次に活躍したのは、輝かしき馬鹿、直江兼続。英検4級のくだりとかその前後の掛け合いは、本当に純正の馬鹿っぽくてすごく愛おしい。きっと慶彦もこの子を丸め込むのは簡単だったんだろーなー。気付けば犬小屋住まいなんてなかなか美味しい属性も獲得したし、腹ぺこキャラも堂に入ってきた。最後の最後はきちんとハンマーでもって戦闘に絡んですらいるのだから、実はこの作品で一番美味しい立ち位置にいるのは兼続なのかもしれない。え? ひょっとしてここからマスターサムライ化するんですか? ……強い兼続はなんかヤだな。 今回は割と長めにバトルの尺もあり、雨のしのつく中での決戦ということで、いつも以上に墨汁先生が大活躍。「画面にかかる雨」っていうのはまた新たな役割なわけだが、よく見ると縦に画面を割る筋の他にも、細かい飛沫がところどころに飛び散っているのが確認出来る。普段は剣戟やモザイク、オーラなどを描写している墨汁が、本当にディティールまでこだわった形で「雨」になっているのが実に美しい。あと、何故か半蔵の胸を隠すときだけモザイク墨汁がシュッと一筆走らせただけになっているのが謎(他のキャラはしずくを垂らしたような円形が多い)。半蔵も別に貧乳ではないんだけどなぁ。 唯一気になったのは、サブタイトルがこれまで何度も出てきたフレーズである「大日本を覆う影」なのだが、そのへんには特にスポットが当たらなかったこと。もう少し目的意識が明示されるかと思ったんだけどね。あと、幸村が何気なくもっていた六文銭プリントのノートパソコンが気になる。ちょっと欲しいかも、と思ってしまったが、幸村ファンの歴女とかだったら普通に自作してそうで怖いな。
刻一刻と、第11話。新キャラも登場せず、特に奇をてらうような演出も展開もなく、粛々と物語は閉幕へ向かう。
今月分の放送は、いわば「何も無い」話数といっても良いだろう。刀は既に前回で全て出揃っていたし、新たな所有者も当然現れない。とがめ達は尾張へと戻ったし、真庭忍軍はその命運を終えた。全ては終局へ、いやさ、この作品の言葉を使うなら、「完了」へ向かっている。少しずつ積み重ねてきた11ヶ月の物語が収斂していく様を見ていると、それだけで何か感慨深いものがある。 不満点ももちろんある。最大のしこりは、結局鳳凰が大した活躍も見せずに退場してしまったことだ。今回はバトル展開がいつも以上に多くて、鳳凰対右衛門左衛門、人鳥対右衛門左衛門、そして七花対鳳凰と、メインクラスの戦闘を3つも描いている。だのに、今回は鳳凰の存在感が非常に希薄なのだ。その理由はやはり四季崎に乗っ取られて自我が消え失せてしまったせいであろうが、あの慇懃無礼でどこか癇に障る鳳凰との直接対決が拝めなかったのは少々残念である。また、原作を読んでいないので分からないが、鳳凰(というか四季崎?)と対面した時の七花ととがめの台詞の意味がよく分からなかった。「あんな普通の刀であるわけがない」というくだりを二人で嘘くささたっぷりに言い合っていたのだが、あのくだりは、どういう意味があったのだろうか。単なるジョークなのか? 折角の感慨深い「刀集めの終着点」となるシーンだったのに、なんだかノリが奇妙だったのでどこか違和感があったのである。 とまぁ、不満は先に書いておいたが、やはり今回もびっちりと詰め込まれた台詞の数々と、それをただ流すだけでなく、画面にのせて世界観を描出し続ける偏執的な構成は充分楽しませてもらった。いつもに増して背景のディティールが美しかったのは、秋という季節を意識してのものだったのか、それとも「旅の終わりの景色」にどこか叙情的なものを込めたおかげなのか。七花ととがめが二人で語らう海辺や、右衛門左衛門が鳳凰とぶつかった夜の平原、そしてラストシーンとなった夕暮れの境内など、1つ1つの絵が不思議なほどに冴え渡り、動きの少ない画面でも充分に目を楽しませてくれる。こういう部分で見せてくれる作品というのは昨今あまり多くないので、それだけでも製作陣の心配りが感じ取れるというものだ。 アクションシーンについては特に目を引く部分があったわけではないが、演出的にかなり際立ったのは人鳥の最期だろうか。今月のパスワードが「アレ被り物だったのか!」な時点で人鳥というキャラクターには少なからずマスコット的な要素があり、「可愛らしいのに忍びとしても優秀で、鳳凰からは次代の頭領を任される人材でもある」という奇妙な魅力を持つキャラクターだったのだが、右衛門左衛門によく分からない理屈で打ち負かされた人鳥は、何とも情けない姿で這いつくばり、あげく命乞いまでして右衛門左衛門には最大級の罵倒と共に誅殺されている。これまで数多のキャラクターが死んできた今作だが、ここまで凄絶で、後味の悪い死に方もなかなか無いだろう(まぁ、虫組も同情を禁じ得なかったが)。この人鳥の殺害シーンはラストにもってきたとがめ狙撃シーンに繋がるファクターとなるわけだが、冷血なマシーンとなった右衛門左衛門の特性が浮かび上がると同時に、彼の隠しきれない醜さ、妄念の深さをうかがい知ることが出来る。 今回最もスポットが当たったキャラクターは、やはり右衛門左衛門なのだ。いまだよく分からないが、鳳凰との対決では次第にそのベールがはがされ、人鳥を殺すことで彼の目的が最大限に前景化する。クライマックスでは夕日を背に浴びて神社の石段からぬっと顔を現す姿が何とも禍々しく、これまで1年にわたって描かれてきた物語の最後の試練にふさわしい存在感である。そして、そんな彼が黙々と任務を遂行し続けることで、暗にその裏にいる否定姫の存在感もふくらみ続けるのである。ただひたすら自室で独り言をまくし立てるだけの否定姫。今回は誰とも会話していないはずなのだが、薄暗い室内での唾棄とも憐憫とも取れる不可解な感情の吐露は、とがめとの一筋縄ではいかない因縁の深さを感じさせる。物語に幕を下ろす障壁として、こちらも立派に立ちはだかってくれそうだ。 一方、敵方に比べると多少おとなしめだったのが主人公カップル。特に七花は今回「あまり強くない敵」である鳳凰を一蹴したくらいで、最後の大活劇は次回に持ち越しのようだ。しいていうなら、開祖となったご先祖様、鑢一根がどことなく七花に似ていたことくらいが見どころだろうか。 それに比べて、とがめは遂にその宿願を果たす。つまり、七花に対する事実上のプロポーズである。何とも不器用で、情緒の感じられない彼女らしい物言いではあったが、現時点における七花との関係性を考えれば、ベストのタイミングで、ベストの振る舞いだったのではなかろうか。わずかながらも七花の中に残っていた「父親殺し」の禍根はすっぱりと断ち切ってみせたし、あくまで「刀」としての七花を求めることで、現在の関係性を崩さずに未来を見据えることが出来る。自分にとって初めての「交友関係」であるという、何とも初々しいプロポーズであった。今回はやたらととがめのお尻メインのカットが多くて、妙にエロティックな雰囲気が漂っているのも見どころでした。あのへんてこな衣装のお着替えシーンも細かく描かれたし、まさかの眼福でした。 およそ出し切る部分は出し切り、泣いても笑ってもあと1本で終幕。どのようなエンディングを迎えるのかが今から楽しみで仕方ない。今回のように旅情をふんだんに醸し出すような必要も無いだろうし、出来ることならこれまで以上に充実した活劇で見せてほしいものである。今回のコンテ演出には何故かこでらかつゆきが混ざりつつも、元永慶太郎監督が指揮をし、作監にも中田正彦が参加してのシルバーフォックス総当たり体勢。次回も、期待できそうです。 最後は当然キャストの話。今回は人鳥役の涼さんが相変わらず腹の立つ愛らしさだったことに加え、置鮎龍太郎の軽快な二役に痺れます。青二軍団の存在感は格別である。でも、今回一番痺れたのは四季崎記紀役の森功至。「なるほど、この人なら時代を揺るがすことも出来る」と思わせる存在感。たまらんです。 今期はシリアス展開が早い、第7話。1期は7話っていったらまだニンフが到着したくらいだったのだが、今回はもう既にラストに向かって着々と地固めをしているような印象です。まぁ、1期は1話でイカロス、6話でニンフ登場だから、2期の1話でアストレア、7話でカオスっていうのは大体一緒と見ることが出来るんだけどさ。 というわけで、シリアス多めの1本。明確にギャグといえるのは、サブタイトルになっているスイカのくだりくらいのもので、そこだってエロネタはほとんどなかったし、何が何だか分からないままに終わってしまった。でもまぁ、短いながらもニンフとアストレアが仲良くしているシーンや、イカロスがあのスイカを本当に大事にしていることが分かったことなど、色々と見どころは多かったです。アストレアはもうすっかり桜井家の一員だという認識でいいと思うのだが、ニンフとの先輩後輩関係がすごくのんびりしてて、「これはこれでいいものだ」と思える絵になっていた。 ニンフとイカロスがなんだかんだ言って暗い過去を背負っているので、特に何も無いお馬鹿キャラのアストレアは本当に貴重である。今回メインとなったスイカに引っかけたんだと思われる酢イカを「味が無くなるまで!」食べているしたり顔とか、オープニング映像にもなっていた名シーン、冷蔵庫から登場のパートとか、無駄に可愛い。幸い冷蔵庫は元から空だったらしいので「てめぇ頭脳が間抜けか?」などとニンフに馬鹿にされずに済んだわけだが、その分はニンフも一緒に間抜けキャラに。おかしいなぁ、演算部分に特化したエンジェロイドだったはずなんだけどなぁ。 そんな2人に対抗するイカロスは、良くも悪くもいつも通り。「マスターの悲鳴が……」と雨戸から覗かせる目はホラーじみているが、今回初披露の「デフォルメモードのままでアルテミス照射」という絵面が無駄に可愛らしい。食卓でのおかず争奪戦もどこ吹く風だったし、どこまでもマイペースな魅力である。一つだけ「何で私服が変わると胸が小さくなっているように見えるんだぜ?」という疑問が無いではないが、そはらとの差を明確にするためだということで納得しておこう。 なんだか、トータルすると「To LOVEる」と何が違うんだよ、というドタバタっぷりなのだが、終始デフォルメを維持するエンジェロイドたちが可愛らしくて、それだけでギャグの成分は埋め合わせは効いているぐらいであった。一応、アストレアの分までご飯を用意してくれているあたりで智樹の家族思いな一面を見せてくれてたりはするんだが……今回は智樹の影が薄かったから勿体なかったかな。 そしてBパートをメインとしたシリアス展開。カオスの初登場という面が強いのだが、メインとなるのはどちらかというとニンフの内面だろう。無邪気なアストレアに指摘されてしまった「羽無し」という負い目。どんな事情があれ、背中の刻印は彼女の裏切りを象徴しており、他のエンジェロイドと自分は明確に「違う」ということを示してしまう。そして、そんな彼女の一番辛い側面をえぐりに来たのが、悪魔の申し子、カオスというわけだ。「何故シナプスを裏切ったのか」「何がニンフを地上に縛り付けているのか」。カオスはただ純粋無垢にそれを問いかけ続けているが、ニンフ自身、その問いに容易に答えることは出来ない。智樹に誘われて嬉しかったことは紛れもない事実であり、「愛って」というカオスの問いに対する答えは用意出来ているはずなのだが、それは「家族」として存在し、既にイカロスという先約がいるだけに認めがたい感情。智樹に誘われたからこそ吐露したそんな感情の隠された部分が、カオスによって最悪の形で打ち砕かれてしまったのだ。これは切ない。 「無垢」という要素を考えれば、アストレアもカオスも似たようなもの。Aパートがアストレアとニンフ、Bパートがカオスとニンフ。この2者対立をきっちり1話で表示して、そのギャップを見せる構成はなかなかうまい。シリアス展開とはいいつつも、そこかしこにネタっぽいものも仕込み、「そらおと」テイストを決して完全に消さない心遣いも嬉しい部分だ(まさかハーピーまでギャグテイストに乗ってくれるとは思わなかった)。色々とみせられる1本でしたな。 そして、今回正式登場のカオスの中の人が、豊崎愛生である。ふむ、このキャラ作りもなかなか強烈。こういう引き出しがあるっていうだけでも充分な武器だなぁ。マッドな敵役っていうと「聖痕のクェイサー」で黄金のクェイサー役があったけど、あれとはまた違って今回は愛らしさの要素も残しつつのマッド。いや、面白いですわ。
今期3本目となる劇場アニメは、何故かボトムズ。「今年はあんまり劇場に足を運んでないなー」と思って探してみたら、今やっているのがこれだったのである(流石にプリキュアは一人で見に行きたくない……)。
で、この作品の話に入る前に、1つどうでもいい人生初体験をした。なんと、劇場をまるまる1つ貸し切り状態で視聴したのである。そりゃま、平日昼間だし、さして話題にもなっていないマイナーアニメ映画ではあるだろうが、それなりに大きなシネコンでやってる作品で、まさか客が一人とは思いもよらなかった。それとも、映画をよく観る人間はこういう機会もあるものなんだろうか……せっかくなのでど真ん中の席でめちゃめちゃくつろいで観てきたわけだが、誰もいないシアターは逆に落ち着かないもんだな。まぁ、咳をしたり、関節ならしたり、普段なら回りを気にして出しにくい音も気兼ねなく出せたのは楽でしたけど。家でアニメを観てる時と同じように、一人突っ込みしながら観てました。 閑話休題。ボトムズである。当方、はっきり言ってボトムズについては何一つ知らない。この作品がボトムズバージンの喪失である(荒鷲的表現)。「何で劇場作品でガンダム00は観に行ってないくせに、よりによって知りもしないボトムズなんだよ」と言われるかもしれないが、個人的には同じサンライズ作品でも、「00」は別に好きじゃない。わざわざ劇場作品を追いかけるほどに真剣に本放送を観ていない、興味のない作品だ。対して、このボトムズについては、「好きか嫌いか分からない」。明らかに好きじゃないものは観に行く必要も無かろうが、好きかどうか分からないものは、ちゃんと観て確認すべきであろう。 もちろん、わざわざ観にいったのには理由もちゃんとある。まず1つは、これが「新しいボトムズ」であるという点だ。つまり、旧作を知らない人間でも、それなりに観ることが出来るだろうという見込みがあった。もし面白ければ、これを機に改めて旧作を見直せばいい。そして、もう1つの動機として、その制作スタッフの顔ぶれがある。いわゆる「サンライズ若手陣」が手がけているという今作は、なんといってもメインビジュアルが久行宏和であるというのがポイント。久行絵がお気に入りの私にとって、このビジュアルで新作が観られるというのは実に魅力的。「ギア戦士電童」に始まり「舞-HiME」シリーズ、「アイドルマスター」と続き、久し振りにあの顔が拝めるとあらば、観ないわけにはいくまい。 (以下、ネタバレなどを含むので未視聴時は注意) で、視聴後の感想だが、一言で言うなら「ぼちぼち」である。放映時間が1時間弱と劇場作品としては非常に短く、まさに「ショートムービー」といってしまってよいくらいの中身なので、「劇場ならではの重厚な作品が見たい」と思っている人にとっては物足りない分量なのは間違いないだろう。シナリオも取り立てて新しいものがあるわけでもないし、ビジュアルにしても、目の醒めるような画面が現れるわけでもない。誤解を恐れずに言ってしまえば、「別に劇場版でなくとも、OVAで出せばそれで良かった内容」という気もする。そしてこのことは、サンライズ側の売り込み方にも現れているような気がする。観客動員の少なさや、宣伝の地味さ(何しろ「ボトムズ 劇場版」でググってもこの作品のページがトップに出てこない)など、「別に劇場で話題にならなくてもいいや」くらいのスタンスなのかもしれない。そういう意味では、必死に休みを取って何が何でも見に行きたいとか、一度観たら感動して何度も劇場に行きたくなるとか、そういう作品ではない。 だが、だからといって不満があるかというと、そうでもない。1時間という尺を考えれば堅実にまとまったプロットであったし、サンライズ作品らしい行き届いた画面作りも文句はない。初心者なので予断の域を出ないが、「新しいボトムズ」という制作理念についても、きちんと目的を果たすことが出来ているのではないかと思う。金を払って観た分のペイはある、充分満足できる作品であった。 1つずつ要素を見ていこう。まずはシナリオライン。短い尺なので、メインプロットは主人公のアービンと、襲いかかるペイガンの一騎打ちのみ。言ってしまえば、タイマン勝負だけのストーリーである。おかげで登場するATの数も少なく、二人を取り巻く世界の外縁部分については、どういう状況になっているのかはあまり見えてこない。しかし、その分だけこの2人を中心とした人間関係については明確な描写がなされており、バトルに到るまでの経過と、各々のキャラクターの心情、懊悩、そして決着に到るカタルシスは、実にバランス良くまとまっている。登場人物をメインキャラクター4人(アービンの妹・ドナとタカビープロデューサー・イシュルーナというヒロイン2人がいる)にしたのは正解だったろう。 この作品の時間軸は、ボトムズ本筋の「戦争」が終わった後の世界のようだが、そこで繰り広げられる「バトリング」と呼ばれる興業試合に戦争の遺恨が絡み、戦場の影を色濃く残した2人の主人公がぶつかり合うことで、間接的に「戦争」というテーマが浮かび上がる仕組みになっている。「戦後を描くことで戦争を描く」というとどこかで効いたことがあるコンセプトだな、と思ったら、どこか「パンプキンシザーズ」に似ているかもしれない。アービンは未だ「戦争の代価」を支払っておらず、そのせいで「戦争を終わらせない男」であるペイガンとの戦いを余儀なくされる。二人の持つ「戦うこと」に対するイデオロギーをぶつけることで、キャラクターが少なくとも、実際に大きな紛争シーンを描かずとも、ちゃんとそこに「戦争」が現れるわけだ。 こうした「人の血が流れること」の象徴としてアービンというキャラクターがあるわけだが、ラストシーンで安易に彼が「許されなかった」ことは、このシナリオを見る上で外せない部分だろう。戦いを、殺人を忌み嫌い、逃げ回っていたアービンが最後には否応なく立ち上がる結果となったわけだが、最終的に、彼の行った「戦争」は一切清算されていない。むしろペイガンという新たな「戦争の記憶」を背負い込み、彼の忌まわしい記憶は、より執拗に彼の人生を苛んでいくことだろう。それこそが「戦後」であり、「戦禍」である。唯一、妹のドナが必死に振り絞った「おかえり」の声だけが、彼を「今」に引き留める動機たり得る。あのシーンで、ドナが決して笑顔などにならず、とめどなく涙を流しながら、ひたすら兄を思って振り絞ったのが「おかえり」の一言であったことで、この兄妹は新しい一歩を踏み出すことが出来るのである。シンプルではあるが、きちんと「片を付ける」ことが出来たいいシナリオである。 シナリオの次に、ビジュアル・画面について。前述した通り、久行絵なので個人的にはそれだけで楽しい。特に感極まった時のキャラクターの表情は本当に真に迫るものがあり、ちょっとクレイジーが入ってしまったペイガンや、兄に裏切られ慟哭するドナの表情なんかはたまりません(個人的には、久行絵では「舞-HiME」で命を一喝する舞衣の鬼の形相と、雪之を誅殺して悦に入る静流会長の表情が大好きです)。ぱっつん髪のドナや、エロの象徴たるイシュルーナのビジュアルも、いかにも現代アニメっぽくていいですね。この辺はオールドファンからの意見が割れそうなところではあるけど。 そしてロボットアクション。勝手なイメージだが、ボトムズの魅力はやはりその無骨さにあるだろう。ガンダムなどに比べるとリアルに寄った造形が意識されており、今回登場した機体も、足下の駆動系や、両手に装着した諸々のアタッチメントの取り扱いなど、細かい部分で「実際にありそう」なギミックがてんこ盛りなのが見どころ。整備屋のアービンがラストバトルを前に自分なりに機体をチューニングして様々なオプションをつけているシーンも色々と興味が湧くし、ペイガン機の最終形態の厨臭いやり過ぎ感もまた楽しい。どれだけ強さを追求して現実味が薄くなろうとも、あくまで「現実に戦った兵器である」という一線を越えずに描写していくバランスもなかなかのものだ。 そして、そんな「嘘リアル」な機体が動き回るバトルシーンは、劇場版ならではというクオリティ。特にラストバトルでは、壁を登り降りが可能なため、どっちが上でどっちが下かも分からなくなる四次元殺法なぐるぐるが大迫力。そこまでやっておきながらもちゃんと決着は拳骨っていうのも男らしくていいですね。何となくではあるけれど、「これがボトムズっぽさなのかなぁ」と思った次第です。違ってたらすみません。 そして当然、キャストの話。本作はもう、メインキャスト4人だけと言ってもいいような状態です(唯一友人役の白鳥哲はなかなか面白いところで聞かせてくれたけど)。まず、アービン役の平川大輔。……うん、普通。次にイシュルーナ役は遠藤綾。……うん、いつも通り。ちょっと油断すると銀河の歌姫に見えやすいので注意が必要だが、このエロさはやっぱり天性のものでしょうか。ご本人はエロさの欠片も……げふんげふん。 そしてテンション上げ目の役でみせてくれたのが、ペイガン役の福山潤と、ドナ役の豊崎愛生。この2人はかなりいい演技を見せてくれたと思います。豊崎はちょっと油断すると「ほわほわ役専門」みたいなイメージになるんだけど、色んなところで「あぁ、やっぱり役者なんだ」ということを思い出させてくれる仕事をする。本作もそうした「別な豊崎愛生」が見られる1本になっています。そして敵役を楽しげに演じてくれた福山潤。彼の場合、時折「福山は何をやっても一緒じゃないか」みたいな非難を目にすることがあるのだが、今作を聞けば、おそらくそうした非難が的外れであることが分かると思う。クレイジーが入った悪役というのは楽しくもあり、難しくもある役どころだと思うのだが、期待を裏切らないだけの内容になっている。福山ファンは必聴です。 トータルすると、テレビシリーズだったら6点か7点くらいの作品かな。以下の項目に当てはまる人は、観にいっても損は無いかと。1、「久行絵が好き」。2,「あまり悩まずにロボットバトルが見たい」。3,「エロい遠藤綾の声が聞きたい」4,「いい感じの福山ボイスを堪能したい」。4つのうち2つが声優絡みなのは、仕様です。 もう、いっそイカ刺しサムの方が気になり出した第7話。予定通りの展開、って気もするんだけど……うぅむ、心躍りにくい。 スガタが目覚めなくなったために意気消沈のワコとタクト。ワコは巫女としての責任を果たすべく禊を行い、何も出来ないタクトはただぼんやりと思い悩む。自分はワコに対して、そしてスガタに対して何が出来るのか。自分は何をしていいのか。島に来てまだ間もない他所者には、手出しが出来ない状態である。 そんな青年の悩みを片付けたのは、演劇部部長の激励であった。「自分がしたいことはなんだ」と問われ、改めてワコを守り、スガタを助ける決意をするタクト。真っ直ぐにワコの神社へと向かうが、二人が再会したタイミングで再びヤノマミが襲撃。今度はきちんと電気柩を使い、ゼロ時間での戦闘である。ゼロ時間に送られた二人が見たものは、次元に囚われたスガタ。襲い来るサイバディを撃破してスガタを救出すると、彼はゼロ時間内で目をさます。 慌てて現実世界でもスガタを探し求める2人。巨大な「王の柱」の閃光の下にようやく彼を見付けるが、既にそこには綺羅星十字団の手が回っていた。フィラメントのギルド長、ベニオによってスガタは心を奪われてしまう。決心した友情が、敵の策謀によって揺るぎ始める。 プロットとしては、タクトの立ち直りと、スガタの復活、そして悪落ちというのがメインだと思うのだが、前回の感想でもちょっと悩んだことから分かる通り、まずタクト・スガタ・ワコという三者の関係性が未だはっきりしていない状態であるのが悩みの種。タクトは「三人組じゃなくて二人と一人だったんじゃないか」とこれまで抱き続けてきた悩みを吐露しており、その部分だけはようやく前面化したわけだが、考えてみりゃ、かたや幼馴染みで島から出られないという運命まで共有した許嫁どうし、かたやつい最近島に居着いた流れ者。どう考えても、関係性の密度は違うに決まっている。その上でワコとの親密さは猛スピードであがっていったわけだが、だからといってスガタの全てを知っているはずなど無いのだし、思い悩むのも筋違いというものだ。それとも、ワコとあまりに急接近してしまったせいで、「許嫁を寝取ることになるのでは」という自責の念があるのだろうか。あれだけ軽薄なキャラクターとして描かれているタクトが、そうした部分では律儀に思い悩むのも別に構わないのだが、それならばそういう描写を増やしてもらわないと、これまでの心情と今回の悩みがいまいちフィットしてこない。 もちろん、そんな状態なので演劇部部長、サリナの励ましについてもどうにも上滑り。いかにもありそうな良いことを言っているような気もするが、「仲良し三人組」だったのかどうかもよく分からない状態では、「察しの良い先輩」というよりは、「思い込みの激しい野次馬」という印象の方が強い。タクトは単細胞なので納得してしまっているが、視聴者の頭の中には「?」が嫌な形で残ってしまう。 そして、そんなタクトに襲いかかる綺羅星十字団、ヤノマミ。前回のマーメイドール戦法でほぼ完勝ムードだったというのに、今回は律儀にゼロ時間に出撃してタウバーンに戦いを挑み、一閃されてしまっている。ま、総会で議決した「タウバーンとやりあえ」シチュエーションだったのだから仕方ないとは思うが、ちょっとバトルが淡泊過ぎやしないだろうか。折角の見せ場だったのに今回はなんだか作画枚数も足りてないようなぎこちないモーションだったし、この作品の最大の売りが活かし切れていなかった。試合後のフォローが無い敵キャラって、今回が初めてじゃなかろうか。千和が捨てキャラになってしまうなんて、勿体ないなぁ。そう言えば「マーメイドール」っていう名前は、日本語に直すと「人魚人形」で韻を踏んでいるわけだが、アニメだとそのあたりの小ネタも全然伝わってこないね。 そして最後に起こる事件は、スガタの覚醒と、悪落ち。ま、スガタとやり合うであろうことは既に予想済だったから当然の流れなわけだが、それ以前に「何故復活したのか」がまず分からない。これまでのザメクのドライバーは一人として起き上がらなかったとか言っているのに、特に理由も無くあっさり復活ってのはどうかと思う。あげく起き上がって一発目の行動がもっかい「王の柱」ってのはどういうことだろう。さっぱり分からぬ。このまま綺羅星十字団に移籍してラスボスっていう展開ならもう少し様子見なんだろうけど、次回予告を見る限りではさっさと殴り合っちゃうみたいだしなぁ。先が読めないのは良いことなのだが、現時点で何が起こっているかも分からないのは問題がありますよ。 ということで、トータルで見るとやや期待はずれだった今回。ちゃんと次回以降にリカバリーしてほしいものです。サカナちゃんが歌いだせば無闇にテンションが上がる身体になってしまっているので、責任とって下さい。
平常運転、第6話。いつも通りに「イカ娘が〜」と言えばおしまいなエピソード群ではあるのだが、今回は案外、栄子回だったような気もします。
1本目「ヒーローショーじゃなイカ?」。能面ライダーの作り込みが容赦無い。いや、短めのオープニングとか、多作品の作中作ほどのやる気は感じられないんだけど(「バクマン。」とかね)、ナレーションがついて、馬鹿馬鹿しいにもほどがあるデザインに動きが付くと、それだけでなんだか存在感が増す。「喜怒哀楽を一つの表情で表現する女」。なんで律儀に能面の属性を活かしてしまったのか。そして、曲がりなりにも子供が集まるくらいのコンテンツとして成立してしまったのか。ちゃんと考えると案外楽しい。また、海辺のヒーローショーはスタッフがわずか3人という家族経営で行われており、規模のショボさが胡散臭さを通り越して愛嬌になっている。実際は黒タイツ軍団の人たちもいるし、その黒タイツはわざわざ砂浜に潜って待機していたりと、かなりエンターテイメントショーとしてのレベルは高い気もするのだが。 そして、そんな幼稚かつ巧緻なヒーローショーを見るイカ娘の反応はというと、最初は「人類はこんなもので……」だったのに、何故か自分の分身となるイカ魔人の登場で気付けばのめり込み。相変わらず賢いんだか馬鹿なんだか分からない精神構造をしております。一つだけ確かなことは、海辺の子供達にとって、「イカねーちゃん」はかなりの人気を誇っているということです。情操教育には良さそうな存在だな。あ、このエピソードも当然、オチてませんね。 2本目「勉強しなイカ?」。イカ娘が数学においては天才クラスであるという、最もそぐわないキャラ設定が明らかになるエピソード。実際、イカ娘がさらっと「X=〜〜」とか言っているのを聞くと違和感バリバリである。初めて見るテキストで瞬時に代数学の概念を理解出来る時点で、天才とかいう次元じゃない、何か妙な異能があるとしか思えないけどね。 そして、そんなお勉強を通じて、史上初めて栄子とイカ娘の地位が逆転するのが見どころ。みっともなく暴れ回り、へつらい、キレてしまう栄子のテンパりぶりは大迫力。この作品の無駄に安定した作画が、栄子の百面相を効果的に見せてくれている。色々といい関係性を築いているように見えて、結局利害関係だけで結びついてる二人の関係性のえげつなさも笑いの種だなぁ。そして、イカ娘は調子に乗っている時が一番可愛いのである。「侵略に来たことを時々忘れてしまうでゲソが」って、さりげなくぶっちゃけてるところもポイント高い。あ、もちろんこのエピソードもオチてません。ここまでオチに頓着しないギャグ漫画って、逆に貴重じゃなイカ? そして3本目は登場キャラ多めの「恋じゃなイカ?」。ご近所ドタバタものなので、こうして色々なキャラクターどうしの新しい繋がりを作るだけでネタになるのはいい部分ですね。そして、「調子に乗ったイカ娘が一番可愛い」の法則があるので、渚が出てくるエピソードは安定感がある。でも、安定感しかない。だから書くことが無い。「イカ娘は押されるとよく飛ぶなー」とか、それくらいしかない。この安定感。やはり天才か。
3.14は魔法の言葉、第6話。これは……色々と考えを改める必要があるかもしれない。この作品との対峙する姿勢を。
4話の手強さが呂布クラスだったとすると、5話は一気に魏続レベル。「やっぱり大したことは無いじゃないか」とホッとしていたら、6話は張遼レベルまで押し戻してきた。油断ならない。そして悩ましいのは、この作品において「何が面白いのか」をうまいこと明文化出来ないことである。いや、面白いのかどうかすらよく分かっていない。だって、普通に考えたら面白くないのだもの。 今回は特にBパートはストーリーを追う流れになったのであまり面白くはない。オチのひどさには笑ったが、Aパートが頑張っていたおかげで、中盤はむしろつなぎのイメージで多少尺も間延びした。そうした「ちょっと緩んだ部分」が見えると、やっぱりこの作品は基本的に面白くないんじゃないかと思える(4話は間延びどころか息つく暇も無かった)。 しかし、Aパートは勢いもあり、理不尽さ、テンポの崩し方など、4話に負けず劣らずの出来。特に今回は動画面での力の入り方が随所で分かりやすく、シャロのパタパタした騒がしさが見ていて気持ちがいい。台詞によるネタも間断なく詰め込まれており、個人的には王女と出会って首のクラッチを決められた直後の「やっぱ鏡?!」には不覚にも崩れ落ちた。もう訳が分かりません。王子登場時の変態シーンの無駄な作画の気合いとか、背景に流れるかまぼこ、クラゲなどの無意味なイメージ描写、確実に「物語を紡ぐこと」以外に力点を置いている時のこの作品のパワーは、他では味わえないものがあります。 しかし、この手の不条理を売りとした作品はやはりリスキー。外す時には完全に外すからだ。おかげで、毎回油断が出来ないのである。うーむ、こういう博打性の高い作品もありっちゃありだな…… |
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧 |