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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 青春真っ盛りな第12話。よく分からんけど、夏フェスでけぇ。実在のフェスもあんな規模なんでしょうかね。

 今回は誰が主人公というわけでもない回で、むしろ全員が主人公。音楽絡みのイベントってことで、普段は抑え役に回る澪が暴走気味だったのが印象的。あとはさわちゃんが要所要所でいい味出してましたな。

 今回描かれた要素は大きく2つ。まず、去年までの合宿のようなお泊まり賑やかエピソードの要素も多分に含んではいる。お約束のイベントを義務的にこなしていくこれまでの合宿と違い、今回は夏フェスという非日常的なシチュエーションを題材としているために、細かな「お祭り」のムード演出に手が込んでいる。何度もさわちゃんが確認した屋外ライブの心得がそうだし、人混みに対する各々の反応なんかもそう。澪やムギのテンションの上がり方なんかはその最たる部分だろうか。

 ただ、そうした賑やかムードだけならば去年までの合宿でも描かれていた部分。今回のエピソードで際立っていた要素は、メンバーたちの音楽に対する思い、バンドに対する愛着の数々だ。

 一番直接的にそれが現れていたのは、当然澪。普段ではあり得ないくらいにテンションが上がり、他の面々からことごとく突っ込まれるほどに無茶なことを連呼している。そんな澪に、梓も自然に引き込まれている。メンバー同士で音楽について熱心に語り合うなんて珍しい(あれ?)シーンもあり、ライブイベントが彼女たちにとって特別な意味を持っていることが伝わってくる。

 そして、極めつけは夜空を見上げながらの5人のトークパート。唯が「自分たちは凄い」と相変わらず無茶な物言いをするところから始まるが、気付けばそんな夢のような話に、全員がシンクロしてしまっている。身の程知らずと言えばそれだけの話なのだが、「演奏すること」に対しての情熱と愛情が無ければ、あそこで臆面もなく唯の大言に同意することは出来ないはず。次第に盛り上がる各人のノリの順番も面白く、まずは澪が「自分たちも凄い」とのっかり、それに梓も乗る。そのままムギが同調すると、律が最後に全体を締める。この流れこそが、放課後ティータイムのスタイルなんだろうなぁ、と思えるワンシーン。あまりの青臭さに恥ずかしくもなるが、出来すぎたシチュエーションと、あまりにてらいのない夢語りに、なんか妙な部分が刺激されて不覚にもうるっと来てしまった。なんでこんなアニメで……と思わないではないが、やっぱりこういう素朴な感情を描くと、京アニ作品は強い。

 最後に、今週の1枚。今回はほとんどボケに回らず、テンションの高い澪やさわちゃんのフォローに回っていた部長。初めてのイベントに緊張してた澪が、吹っ切れて「夏フェスデビュー」したのを観て、安心のあまり思わず表情をゆるめた瞬間。すごく優しい表情をしてくれるんだ。なんだかんだ言って、いっつもこの2人は一緒に行動してました。普段の言動はアレだけど、実際はどちらが支えてくれているのかがよく分かるシーンである。

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 オープニングが変わりました、第13話。曲については耳に馴染むまでしばらく時間もかかるだろうけど、OPでホリーが泣いてたのがやたら印象的でした。スクラッグらしい映像がほとんど無かったけど、しばらくは政府とのいざこざが続くってコトなのかしら。

 突如ジョーイの家を襲撃するNIA。ヒューズは出来るだけ紳士的に物事を進めるつもりではいたようだが、部下の勇み足によって既に作戦決行はジョーイの知るところ。逃亡は始まっていた。教授の機転で襲撃前に家を脱出していたジョーイは、そのままサイと3人での逃避行へと移る。何故逃げなければならないのか、と悲痛な様子ではあったが、「それが大人のやり方だ」と唯一の大人に言われてしまっては、「子供」にはどうすることも出来ない。家族に別れを告げ、一路向かうはネバダの山奥とか。

 一方、NIAの動きは次第にきな臭いものになっている。ヒューズの指示がどこまでのものかは定かでないが、先週のDr.ミナミによる暴走事件は、いつの間にか「ゴースト」が暴れた事件へとすり替えられていた。スクラッグの残党であるゴーストを追い詰めるため、セントラルシティには検問が敷かれ、ジョーイたちは逃げ場を失う。結局、教授の発案で力業の突破を図った面々は、何とか目的を達するが……

 相変わらず展開が早くてテンションを合わせるのが大変である。前半はジョーイの無茶なお願いにも特に理由を聞くわけでなく、あっさり協力してくれたホリーが格好いい。普通、あのタイミングで「しばらく帰ってこられない」とか言われたら、お姉さんはリナとの逃避行とかを想像しちゃう気もするんだけど、ホリーはどこかからジョーイの真剣さを感じ取ったのだろう。いい笑顔で送り出してくれた。このあたりの男前っぷりは清々しいですね。まぁ、真夜中に家の前で突然温暖化について熱弁を始めたら、注意を引くどころかますます人の目が集まる気がするけど……家の前で見てたNIAの連中、あの騒動を上の方に連絡してなかったんだよな。

 そして、今回最大の焦点であり、どうにも釈然としないのが、デントンの発案による「逃げる」という選択である。作中では、政府とデントンのヒーローマンに対する認識は一致しているようで、「このままジョーイが政府に捕捉された場合、幸せな結果にはならない」と結論づけている。確かに、今のところ政府が打ち出してくる作戦は、全てジョーイ達には敵対意識を持たせるものばかり。ヒューズも武力行使に出ているわけで、穏便な集結はなさそうにみえる。

 ただ、政府はあくまで「自分たちの認識の埒外にある武力」に警戒しているわけで、きちんと話し合えば、ヒーローマン自体に悪いようにはしないと思うのだが。ジョーイが無害な人間であることはヒューズも感じ取っているわけで、おおごとにせずに自然に問いただしておけば、今回のように過剰防衛に移られることもなかった気がする。

 そして、過剰な防衛行動に出てしまうデントンもどうなんだろう、と疑問が残る。彼の中では「ヒーローマンが捕まるとひどいことになる」という判断が確定しているようで、わざわざ非常時に備えて盗聴防止の暗号通信まで作っている用意の良さ(まぁ、流石に「アラン・スミシー」を名乗ったら暗号だってことは丸わかりな気がするが)。ただ、現在のところ、ヒーローマンは慈善事業に参加しただけで、政府にはほとんど害を与えていない。確かに先週の事件と今回のテレビ報道により、表だっては「悪」に認定されてしまったわけだが、そこは政府の意図(未認可の武力が怖い)を読み取れば、さっさと出頭すればむしろ処断よりも囲い込みの方に動く目算が高いと思うのだが。最悪、政府筋はオーバーテクノロジーのヒーローマンについて何も知らないわけで、ミニサイズのヒーローマンをおもちゃの倉庫にでも放り込んで、ほとぼりが冷めるまでしらばっくれるという方法もある。流石にどれだけヒューズの勘が良くとも、あんな子供のおもちゃが「ゴースト」の正体だとは思わないだろう。結局「逃げる」というのは、自分たちが武力を持っていることを認めて、なおかつ後ろ暗さも演出してしまう、最悪の選択肢なのだ。

 加えて、検問の突破手段も強引だ。「顔が割れている」+「車は必要」という条件をクリアするのは楽ではないが、とりあえずヒーローマンさえいればジョーイはどうとでもなる。例えば人が足を踏み入れられないような山の中を突っ切って抜けてしまってもいい。わざわざ幹線道路でどんばちやらかす必要も無かった。いざとなれば人3人くらいはヒーローマンが運んでくれるのではないか。いくら物理的に検問を突破できたとはいえ、結局どこを破ったのかは当局にモロ分かりなわけで、今後の追っ手の厳しさを考えればわざわざ窮地に飛び込んだともいえる。ただでさえ悪い状況を、ますます悪化させてしまう今回の流れは、見ていてちょっとしんどかった。

 まぁ、超展開アニメだから、少しくらいの不合理は仕方ないのかもしれません。次回予告を見る限り、あっという間に「ここは俺に任せて先へ行け」展開になる模様。どんだけだよ。

 ちなみに、オープニングに合わせて今回エンディングも変更されています。実写ベースの背景の中に自然にキャラクターが溶け込んでいるビジュアルはなかなか気が利いている。アメリカンな雰囲気とアニメキャラの馴染み方がなんとも面白い。 

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Myr Turbine マイアのタービン (5) R

アーティファクト

(T):1/1で無色の、マイア・アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。

(T)、あなたがコントロールするアンタップ状態のマイアを5体タップする:あなたのライブラリからマイア・クリーチャー・カードを1枚探し、それを戦場に出す。その後、あなたのライブラリを切り直す。

 すっごいマイア製造器。イラストが「マイアのマトリックス(DKS)」と酷似しているが、あちらは5マナでやっと1体のマイアを生み出したのに比べて、こちらはタップ1つであっさり出産が可能。科学技術も産科医学も進歩したものである。リミテッドレベルならば出しただけで軍勢が増えていくので充分なエンドカードになるし、構築でもこの効率のトークン製造は「マイア鍛冶」でもなかなか難しい。カウンターポストにおける「Kjeldoran Outpost(ALL)」みたいなコントロールのフィニッシャー役も面白いし、これと「通電式キー」があれば「マイアの戦闘球」をプレイすると続けて次の「戦闘球」に連鎖するなんて不思議現象も発生する。げに恐ろしきマイア算なり。ただ、惜しむらくはこのカード、部族アーティファクトじゃないんだよな。サブタイプがマイアだったら「マイアの貯蔵庫」のマナからキャスト出来たんだけどなぁ。

 

Myr Welder マイアの溶接工 (3)

アーティファクトクリーチャー・マイア

1/4

刻印 – (T):対象の、いずれかの墓地にあるアーティファクト・カード1枚を追放する。

〜は、これにより追放された全てのカードの起動型能力を持つ。

 なにかとお騒がせして話題を呼びつつも結局特に何もしない「壊死のウーズ」と似たような能力を持つマイア。タップ能力なので刻印にものすごい時間がかかるが、最終的には敵味方を問わずに全てのアーティファクトから起動型能力を吸収し、何かものすごいキメラが出来上がるかもしれない。……まぁ、現時点ではそういいながら特に何も思いつかないけどさ。やっぱりマナ能力とアンタップを組み合わせた無限マナかなぁ。アンタップと言えば「ソリトン」で、2マナ以上出せるアーティファクトは……「カルニの心臓」くらいか。この2つを刻印すると1人無限マナ(しかも色が自由)。お、悪くないかも。リミテッドだとどうしたって3マナ1/4っていう堅さの方にばかり目が行く。良い壁であるな。だって「さぁ、どんな刻印候補があるかな?」って墓地を覗くと大体「呪文爆弾」と「模造品」しかなくて「結局サクるんか……」ってなることがほとんどじゃん。えーと、んーと……マスティ刻印すればメッチャ強い(マスティが)。あとは……大量の三角護符を刻印して「僕の考えた最強の三角護符」ってのはどうだ? 「きらめく鷹の偶像」を刻印すれば2/2フライヤーになれる! 以上!

 

Peace Strider 平和の徘徊者 (4) U

アーティファクトクリーチャー・構築物

3/3

〜が戦場に出たとき、あなたは3点のライフを得る。

 随分前の時点で情報が公開されていた、この環境のカード第一号である。普通はそのセットの目玉である新能力なんかをお披露目するものだと思うのだが……なんでこんな地味なカードからスタートしたんだろうね。で、改めて見るとやっぱり地味。「ありがたい老修道士(10ED)」のパワー/タフネス、回復量が1点増えただけのアーティファクトでしかない。そりゃま、無色でこの能力は充分強かろうし、アーティファクトであることはこの世界では値千金である。「エナートゥのゴーレム」が少ない荷物をまとめて実家に帰る後ろ姿が確認出来るし、リミテッドならば充分欲しいカードではあるのだが、それにしたって普通すぎるだろう。こうなったら「試作品の扉」や「ミミックの大桶」に刻印して延々ライフゲインを狙うしかなさそうだ。そして、その上を「生体融合外骨格」をまとった「疫病のとげ刺し」に飛び越えられると。うわ、ファイレクシアマジ鬼畜。

 

Phyrexian Digester ファイレクシアの消化者 (3) C

アーティファクトクリーチャー・構築物

2/1 感染

 お、おう。……緑→黒→無色と、少しずつタフネスが下がる模様。ま、パワー2感染だから文句無いよね! マンバと電弧はマジ勘弁。

 

Phyrexian Juggernaut ファイレクシアの巨大戦車 (6)

アーティファクトクリーチャー・巨大戦車

5/5 感染

〜は可能ならば毎ターン攻撃に参加する。

 問答無用な感染重戦車。5/5感染っていうだけで鼻血が出そうなスペックであり、これが無色っていうんだからたまったもんじゃない。感染志向のひとは問答無用で投入するだろうし、全然関係無いプレイヤーでも、「こいつ単体が2回通れば終わり」のクリーチャーなら、充分フィニッシャーとして採用する価値があるだろう。ブロック側は確実に最初のパンチの時に止めておかなければならず、高確率で1対多交換が可能なのだ。ま、6マナであることを考えれば当然のスペックともいえるかもしれないが、これが「刃の翼」で飛び上がったりしたら目も当てられない。「ダークスティールの巨大戦車」とのマジタンクバトルは実に見応えがあるが、能力のせいで大体すれ違い。この調子で拡大するとジャガーノート・ロードとかが現れかねないな。次のブロックのテーマは、ミリタリーです。

 

Phyrexian Revoker ファイレクシアの破棄者 (2) R

アーティファクトクリーチャー・ホラー

2/1

〜が戦場に出るに際し、土地でないカードの名前を1つ宣言する。

選ばれた名前を持つ発生源は起動型能力を起動できない。

 去年の基本セット入れ替えで惜しまれながら引退した最強のプレインズウォーカー対策カード、「真髄の針(M10)」が早くも帰還。しかも、2マナのクリーチャーの形で。……うーん、別に生きてる必要は無かったんだけど……だって、死ぬじゃん。針と違って、あらゆる除去でポキリと折れる。一応2マナでパワー2なら打撃力にもなるからデッキでの汎用性は上がっているが、一番大事な対策能力に不安があるようでは,ちょっと信用が出来ないのである。まぁ、とりあえず積んでおいて「効けば儲けもん」くらいの感じでもいいのかもしれないけどね。いっそ1マナ1/1だったら「粗石の魔道士」でサーチ出来て強かったんだけどなぁ。アーティファクトメインのデッキなら、クリーチャー増やしながら相手の阻害も出来るから案外悪くないのかも。サーチしたかったらテゼレットさんを呼ぼう。

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「デュラララ!!」 7→8

 毎回のレビューを見てもらった方が話は早いが、とにかく面白かった。そこだけ報告できれば、まず充分である。

 この作品の長所はなにか、と問われたら、やはりまずその構成自体を評価することになるだろう。同原作者の「BACCANO!」と似たような構造を持つ群像劇なのだが、「BACCANO!」は時代をまたぎ、さらにファンタジー要素を多分に含んだ作品だったため、ファンタジー小説としての盛り上げ方をみせることが出来たし、突飛な設定から突飛な話を作っているおかげで、ストーリーの「引き」を作ることはそこまで気を遣う作業ではなかった(もちろん、それでも巧いとは思ったが)。

 しかし、この作品は、「非日常」と謳ってはいるが、あくまで現代日本の日常生活と地続きの、「リアルを含む」物語である。主人公の竜ヶ峰帝人は平凡な高校生だし、ダラーズのメンバーだって普段は単なるオタクだったり、単なるチーマーだったり。池袋という街は特殊ではあるが、そこにあるのは「あくまで共感の及ぶファンタジー」でなければならない。そのあたりのさじ加減が、この作品の最大の魅力だったと言えるだろう。突然登場する首無しライダーはデュラハンで、身近に生活する女子高生は妖刀に乗っ取られた「母親」だったりもするのだが、そうした「完全ファンタジー」の要素が、気付けば日常にするりと忍び込んでいるさりげなさが憎らしい。逆に、恋人に惚れすぎてピッキングから侵入しちゃう女子高生や、恋愛感情が高ぶりすぎてライバルの家に包丁片手に襲撃してくる女子高生の方が、「リアル」なはずなのにどこか現実感に欠け、理解の及ばない不気味さがある。こうした「日常」「非日常」のギャップを隠したり、際立たせたりするさじ加減が、実に見事である。

 原作を読んでいないのでどこまでが準拠している要因なのかは分からないが、こうした様々なファクターを1本の流れとして描いていくパズルのような組み上げ方も、大きな魅力である。伏線の張り方と回収の仕方では、大森監督ほど心得た演出家はなかなかいないのではなかろうか。「地獄少女」シリーズの時もそうだったが、この人の場合、伏線を出すときはきちんと「ほら、これが伏線だよ」と丁寧に出してくれるのだが、回収する際に、それを押しつけがましく提示するということをしない。あくまでも物語の中の「現実」として、さらりと拾って、それを自然な形で視聴者に伝えてくれる。例えばチャットの声がちゃんとキャストの音声に入れ替わった流れとか、最終回の「ルート3点」の発言など、きちんと見ているとそれが実に大きな意味を持っていたことが理解出来るようになっており、この作品独特の「絡み合いの巧緻さ」を十全に伝えてくれるわけだ。今作のスタッフは、どの回のコンテを見ても、そうした「描くポイントの重要性」をきちんと理解した上で作劇していたことが確認出来るだろう。

 シナリオがかっちりしており、それを描く演出の手腕も保証済み。となると、あとは実働部隊の仕事。ブレインズ・ベースによる安定した作画ベースも、この作品のクオリティをワンランク押し上げた大切な要因。丁寧なロケハンによる池袋の町並みの構築や、マシンや仮想物質などのCGワーク。独特のフォルムを持つキャラクターたちの挙動など、「動画で見せる」作品でこそないものの、全く違和感を抱かせずに、「本当はあり得ないもの」を描いてみせた。また、レビューでは何度も触れた色設定の細かさや、曲げる時は徹底して曲げる演出重視のデザイン作りなど、「メタレベルを気にせず徹底的に物語に没入できる」だけの基盤を揃えてくれたのはありがたい。本来、アニメを作る人たちの目指すところって、「見事さ」ではなくて「自然さ」だと思うので、こういうスタイルのスタジオがあるというだけで、頼もしく思えてくる。

 現時点で、私の中の大森貴弘株は下がる気配がない。「学園アリス」で出会ってから、「地獄少女」シリーズに「BACCANO!」、「夏目友人帳」と、どれもこれも高水準を叩き出している。そしてめでたくこの作品も、株を上げる可能性こそあれ、決して落とすことはなかった。さて、次はどこでお目にかかれるか分からないが、大森貴弘+ブレインズ・ベースの活躍に期待したい。何卒、何卒「地獄少女」シリーズの4期をぉ!!

 と、願望を吐露したところで最後は当然キャラとキャストのお話。今作を毎週楽しみに見ていた要因としては、やはりその魅力的なキャスティングが無視できない。そして、そんな中でもやっぱり沢城セルティの魅力は頭抜けている。「顔が無くて声が出ないキャラクターの声」という、あり得ない配役ではあるのだが、こと音響には力を入れる大森監督である。実に見事に「セルティの声なき声」をアニメで再現してくれていた。音響のはたしょう二氏も語っていたが、このセルティと沢城みゆきのコラボレーションは、現代アニメの持つ音響技術と、役者の持つ表現力の1つの完成形と言ってしまっていい。

 その他を見ていくと、このアニメはどうやら腐女子受けが随分良いらしいのだが、その原因である静雄×臨也の2人が強烈。最初は「小野Dはこういう役はちょっと浮くだろうな……」と思っていたのだが、これがなかなか。ブチ切れた中にもお茶目さをにじませる平和島静雄というキャラクターが、何とも愉快な形で表出していたのではなかろうか。また、希代の胡散臭さを誇る折原臨也も、神谷浩史のはまり役。最近色んなところで声を聞きすぎて食傷気味の神谷兄ぃであるが、この臨也だけは別。胡散臭い1人語りに、独善的なマシンガントーク、そして高らかに謳う「人ラブ!」という利己の極致。やっぱりヒロシは曲者キャラがいいよ。

 そして、今回妙にはまってしまったのが、紀田役の宮野真守。基本的に宮野は声質が浮つくからあまり好みではないのだが、それを理解した上で、紀田正臣はいい配役だった。胡散臭くしゃべっても、真剣にしゃべっても、どこかに臭う紀田の頼りなさ、踏ん切りのつかなさは、ラストへの流れの中で実にいい仕事をしていたと思う。あとは男性キャストだと、個人的にはドタチンと湯馬崎が好きかな。あの街で一番強いキャラが湯馬崎だと言われても驚かない自信がある。

 残った女性キャラでいえば、短いインパクトだと贄川春奈だろうか。中原ヤンデレ福圓ヤンデレに伊瀬茉莉也のヤンデレ。花澤まで病んでしまって、世界規模のヤンデレ祭には大満足です。声優ラブ! 

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<赤>

 

Blisterstick Shaman 火膨れ杖のシャーマン (2)(R)

クリーチャー・ゴブリン、シャーマン

2/1

〜が戦場に出たとき、〜は対象のクリーチャー1体かプレイヤー1人に1点のダメージを与える。

 パワーが1点あがった「火花魔道士の弟子(M10)」。「弟子」は1点火力で一応アドバンテージ要員ではあるが、環境に左右される上にそこまでインパクトが無いので使いにくいカードであったが、パワーを1あげただけでも、一応戦力としてカウントしやすくなったので性能は上がったと見ていいのではなかろうか。主なお仕事はマナマイア、および出たばかりの感染トリオ(「疫病のとげ刺し」「胆液爪のマイア」「荒廃のマンバ」)の除去。あれ、結構いい仕事やん。そういや「水膨れ虫(ALA)」もリミテッドでは大活躍してたしな。ライバル「煙霧吐き」との対決が熾烈。

 

Burn the Impure 不純の焼き払い (1)(R) C

インスタント

〜は対象のクリーチャー1体に3点のダメージを与える。そのクリーチャーが感染を持つ場合、そのコントローラーに3点のダメージを与える。

 このセットの基本火力。前作が「感電破」とかなり優秀だったので色々と責任の重い部門だが、2マナ3点インスタントならまぁ合格だろうか。クリーチャー限定火力になってしまっているので昨今の火力状況からすると踏んだり蹴ったりな気もするが、一応この世界にフィットしたサポートでフォローしてくれてもいる。「嚢胞抱え」を除去しながら本体3点。なるほど、結構なものだ。基本的に相手次第では「焼尽の猛火」の下位互換みたいな動きしかしないわけだが、一応シングルシンボルなのでそのへんは我慢することにしよう。構築で使う夢とかはあまり見ない方が良い。

 

Concussive Bolt 震盪の稲妻 (3)(R)(R) C

ソーサリー

〜は対象のプレイヤー1人に4点のダメージを与える。

金属術そのプレイヤーのコントロールするクリーチャーは、このターンブロックに参加出来ない。

 「脳震盪」っていうフレーズ以外で「震盪」っていう単語が出てくるのを初めて見たかもしれん。うちのアホ辞書では「しんとう」って打っても変換してくれず、「脳震盪」って打ってから「脳」だけ削ったら「しんとうで震盪に変換できる様にしますか?」とか聞いてきやがった。まぁ、普通は使わん言葉だなぁ。で、そんな難解漢字が絶対に覚えられなさそうなカードの効果はというと、なんとあの伝説のいらない子「溶岩の斧」よりもさらに効率を落とした本体火力だ。5マナソーサリーといえば世界的には3体に4点ばらまいたり(「降り注ぐ塊炭(ODY)」)、せめてクリーチャー2体に3点与えたり(「ギザギザ稲妻(USG)」)、4点を好きなように割り振ったり(「発火(8ED)」)、山の数に等しい火力を撃てたり(「尖塔の連射(ZEN)」)するはずのコスト域なのだが、このスペルが出来るのは、きっかり4点。それも本体のみ。どんなゴミクズかと思えば、この火力は何故かそのプレイヤーがコントロールするクリーチャーにも伝染し、一気に全軍を「気絶(10ED)」させることが出来る。なるほど、やっぱり脳震盪なんじゃないか。これにより、うまくいけば相手の計算を覆してあり得ない量のダメージを一気にたたき込むことが可能になり、なんだかショボく見えた4点ダメージも活きてくるというわけだ。まぁ、リミテッドならある意味エンドカード。ただ、やっぱり5マナってのは不自由である。1回使って決まればゲームが終わるくらいのデッキで使うべきカードなのだから、2枚以上はあまり必要無いんじゃなかろうか。

 

Crush 圧壊 (R) C

インスタント

対象の、クリーチャーでないアーティファクト1つを破壊する。

 「ん? クラッシュ? クラッシュってピッチつきのシャッターじゃなかったっけ?」と思わずにいられないが、実はこれって新カード。「クラッシュ(MMQ)」のつづりは「Crash」で、こっちは「Crush」。うわー、わかんねー。イメージ的に意味もそんなに変わらない気がするよ。ちなみに、シャッター分野ではさらに「スマッシュ(10ED)」もあるよ。クラッシュスマッシュクラッシュやるっしゅ。キュアマリンかよ。さておき、コストをおさえたおかげで制限がついた「粉砕」だが、この環境ならニーズはそこそこってレベルだろうか。やっぱりクリーチャーが殺せないのはやきもきするシーンが多いとは思うが、それでも普通の世界における「粉砕」以上の対象は転がっているわけで、とりあえず放り込んでおけば無駄になることはないだろう。この軽さはやっぱり便利だしね。今後のリミテッドでありそうな光景、「クリーチャーじゃないよな? じゃぁその鷹の彫像を壊すぜ!」→「白マナ払います」。

 

Galvanoth ガルヴァノス (3)(R)(R) R

クリーチャー・ビースト

3/3

あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリの一番上のカードを見ても良い。それがソーサリーかインスタント・カードであった場合、あなたはそれをマナコストを支払うことなく唱えても良い。

 このカード名を見て、アニメ「NOIR」の挿入歌、「Salva nos」を思い出した人は、私と友情タッグを組む権利をあげます。初めて梶浦音源に触れた衝撃の一曲、未だにこれを聞くと自分の背後が不安になります。初めてアニメのサントラ買ったのがこれだったなぁ。などというどうでもいい導入で入ってみたが、たまに赤や緑に登場する「名前の意味がよく分からないビースト」シリーズ。「メグロノス(CON)」「クラニオセロス(CON)」、ラネット、ソクター、ナーリッド。全部覚えてたらあなたもビーストテイマー。で、そんな謎ビーストだが、名前が「Galvanic」から来ていること&フレーバーから分かる通り、どうやらミラディンの地中に眠るマナを食糧として自家発電している模様。「それならマナ出す能力にしろや」と思うのだが、何故かただで呪文を1枚プレイ出来る(かもしれない)能力だ。捲ったカードがカウンターや「起源の波」だとにょろ〜んしてしまうのは残念だが、別に嫌ならプレイしなくてもいいわけで、純粋にあるだけ得なのは流石レアだ。ただ、リミテッドだとソーサリーとインスタントなんて入って6〜7枚くらいだし、過度な期待は負担になるからやめてあげた方がいい。構築なら……はい、「紅蓮術士の昇天」。

 

Gnathosaur オオアゴザウルス (4)(R)(R)

クリーチャー・トカゲ

5/4

アーティファクトを1つ生け贄に捧げる:〜はターン終了時までトランプルを得る。

 ビジュアルスポイラーのイメージを見ると、近年希に見るダイナミックな誤植が確認出来る可哀想なカード。エラッタ出るだろうけどね。なんでこういうミスが続くんだろう。ちなみに、今回は「ヴィダルケンの注入者」の日本語名も間違ってたりするのだが、こちらは何かネイティブっぽくて笑えるので良しとしよう。さておき、そんな不遇の印刷状況の彼は、いかにもコモンらしい、普通で普通のクリーチャー。6マナ5/4はまぁ普通だし、ところによりトランプルが発生するかもしれない可能性も純粋にプラスだ。現在は「炎生まれのヘリオン」が同じコスト域にいるのでやや不利な気もするが、ブロッカーとしての任を果たせるのはこちらだけなので、デッキスタイルに応じて選択するが良かろう。あまりに書くことがないので「クリーチャータイプがトカゲって、どんな奴がいたかなー」と思って調べてたら、「朽ちゆく猛禽(SCG)」やら「熱狂の猛禽(LGN)」なんてオンスロートで登場したビースト連中が、見た目だけでオラクル出されてトカゲになっていることを初めて知った。トカゲ・ロードクリーチャーが登場するのははたして何年後になるだろうな。

 

Goblin Wardriver ゴブリンの戦煽り (R)(R)

クリーチャー・ゴブリン、戦士

2/2 喊声

2マナ2/2のデメリット無しボディに、喊声を搭載した優秀ゴブリン。最近はアンコモンでダブルシンボルならデメリットなんていらないだろうという、不届きなゴブリンが増えている。困ったものだ。そしてこの能力。シンプルだけどゴブリンだからこそ輝く部分もある。まず、ゴブリンは数が増える。現在も「ゴブナイト」デッキは様々なシーンで見かけるスライデッキの代表格になっているが、1ターン目2ターン目に繰り出される大量のゴブリントークンが全軍パワーアップするのはなかなか馬鹿に出来ない効果だ。現在は同じ仕事を「ゴブリンの奇襲隊」が担当しているが、このクリーチャーは継続的にダメージの底上げが可能な部分が優れている。速攻が無いのでコストあたりのダメージ数は劣るかもしれないが、さらに「ゴブリンの酋長」あたりでサポートするという案も考えられるだろう。とにかく軽量マナ域に可能性のある人材が加わったというだけで、ゴブリンたちはお祭り騒ぎなのである。リミテッドでも、赤の熊というだけでそれなりのニーズ。赤白構成ならマイアトークンなどでビートをかけることも可能だし、装備品で耐久力を上げれば恒常的な運用も見込める。うむ、悪くない。

 

Hellkite Igniter ヘルカイトの点火者 (5)(R)(R) R

クリーチャー・ドラゴン

5/5 飛行 速攻

(1)(R):〜はターン終了時まで+X/+0の修正を受ける。Xは、あなたのコントロールするアーティファクトの数である。

 はい普通。皆さん普通ですよー! このドラゴン割と普通でしたよー! ……まぁ、5/5速攻の時点で本当はかなり強いはずなのだが、現在のドラゴンスペックだとあまり驚かれるようなものではない。単純にこれだけなら「ヘルカイトの突撃者」が6マナで実現していたし、「捕食者のドラゴン(ALA)」も貪食1でこれを越えた。そう考えると、7マナでこれくらいなら、リミテッドで出して怒られる程度のものである。おまけで付いた能力も強力っちゃぁ強力で、仮に相手のライフが20点あっても2ターンでゲームを終わらせることが出来るくらいのダメージ効率だが、どう見たって7マナのクリーチャーではオーバーキル。「汚れた一撃」からのワンチャンスとか狙ってもいいけど、それなら最初から「スキジリクス」を使えよってな話だ。1つ前の先輩である「蔵錬成のドラゴン」がずるい方向からこの世界での存在感をアピールしやがったせいで、まっすぐな能力だけだとちょっとパンチが弱いですね。

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「おおきく振りかぶって〜夏の大会編〜」 6→6

 この作品の魅力を語るのは、実はとても難しい。原作からしてかなり独特な、面白さを表現するのが難しいものなので、それをアニメーションに仕立て上げる際の「うまさ」というのは、なかなか言語化出来る要素ではない。それが証拠に、毎週楽しみに見ていたのに、いつの間にか感想文を書くのをやめてしまった。「今週はここが良かった、あそこが見事だった」と書くことは出来るのだが、それが最終的にこの作品の長所を語ることに帰結していなかった気がするからだ。

 1期の頃から続いてきた演出方針は2期も継続しており、あくまで原作の魅力を維持することを最優先として、「執拗に」「地味に」、西浦ナインをはじめとした高校球児たちの心情を描いていく。その生々しさはときには眩しく、ときには小っ恥ずかしく、実に印象的なゲーム場面を見せてくれた。

 今回は特に、阿部が怪我をして退場を余儀なくされるという大きなイベントがあった。これにより、それまで要所要所に臭わせていた「阿部の独善的なリード」という要素にスポットがあたり、そこから脱却したことで得られる三橋の成長が克明に描かれる。そして、その成長が、都合の良い投手としての覚醒などではなく、「負けるしかないこと」で描かれるというのがこの作品の素晴らしいところ。三橋は阿部の退場というアクシデントを乗り越えてみせたし、田島も急造捕手にしては充分なくらいに仕事をこなしてみせたのだが、それでも様々な要因が絡み、三橋は打ち崩される。そして、そこで「阿部がいないからやっぱり」という流れを断ち切って見せたことが、この作品最大のクライマックス。誰もが絶望して下をむきかけたグラウンドで三橋が叫んだ「ワンナウト!」の一言は、ずしりと魂に来る雄叫びだった。

 終わってみれば、1クールやって2勝1敗で落ち込んだ高校生を見るだけ、というすさまじいアニメである。そして、原作にストックがほとんどないので、「夏の大会編」に続くエピソードはしばらくアニメ化もされやしないだろう。そう考えると何とも宙ぶらりんな勿体ない「切り売り」ではあったのだが、そんな中でも一切手を抜くことなく、「おお振りワールド」全開で堪能させてもらったことには、ひとまずの満足感が得られた。時折見せる試合場面の臨場感のある動きなど、「使うべき部分に労力を使った」演出方針が実に好みでした。

 最後に1つはやっぱりキャストのこと。代永翼と三橋のシンクロ率が半端じゃない。あり得ない無茶なキャラなのに、ありそうなキョドりっぷりがすさまじかったです。 

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 日常に帰る、最終話。何が起こるかと目を見開いて見ていた最終回でしたが、実に見事に、何も起きませんでした。何も起きないからこそ、大団円というのかもしれない。

 「紀田が組み 法螺田が増やした黄巾族 座りしままに潰すドタチン」。帝人・紀田・園原の三つどもえが収束した集会場で事態をぶち壊したのは、ギリギリになって法螺田の正体に気がついたドタチンだった。

 「今だ! 裏切れ!」というよく分からない合図を皮切りに、偽りの黄色をまとったダラーズたちが、同じように黄色く擬態したブルースクウェアを駆逐していく。あの状況ならばセルティがいたので仮にドタチンが気を利かせずとも帝人たちは無事だったろうが、一瞬で問題の中心である法螺田の武力をぶち壊したのが「色がないが故に忍び込むことが出来た」ダラーズであったというのは、帝人を中心とした物語の終点としては分かりやすいもの。まぁ、過去と現在の事件を見る限り、結局一番男前だったのがドタチンだった、というエンディングなんだけどね。「狩沢と湯馬崎は目立ちすぎるから置いてきた!」とのことだが、それだと平気で連れてこられた渡草が「お前は地味だから来い!」って言われたのと同義だった気がする。そして、実際モブっぽかった。

 逃げ切ろうとする法螺田を追い詰めたのは、まずはセルティ。黒バイクのいななきは、池袋という街の「怪しさ」そのもの。法螺田の狼狽ぶりには同情すら覚える。続いて出現したのは、狙撃されたことを全く意に介していない静雄。標識によるマサカリハンティングは、池袋の持つ「暴力」の象徴であり、ダラーズの武力の結集。

 そして、心神喪失状態の法螺田にとどめを刺したのは、ひさしぶりに登場した葛原警官。「法規をなめんなよ」の決め台詞とともに、きちんと悪に対して「決着」を叩きつけてくれました。結局、法螺田という害悪を排除したのは、黄巾族の武力でも、ダラーズの結束力でもなく、池袋という街そのものが持つ自浄作用であった。「都市伝説」→「街の最強」→「公僕」という連繋により、それがくっきりと浮き彫りになったかたち。このカーチェイスのシーンの法螺田の表情は、この作品では珍しいくらいに崩れたデフォルメでグダグダになってて、シリアスな空気にはそぐわなかったのにちょっと笑ってしまった。

 そして、法螺田が処分出来たら、残されたのはこの街最大の悪意(愛情?)、折原臨也。黄色が無色に飲まれて消えて、残された「色」といえば、園原の目の放つ鈍い「赤」と、臨也のトレードマークのコートの「黒」になった。薄闇の中で、拳銃の回収を理由にして、臨也は“罪歌”園原と初対面を果たす。これまでのような受け身の態度とは違い、「あなたを斬ります」と意志を明確にする園原だったが、このあたりまではあくまで臨也の想定の内。「罪歌の愛情なんかよりも、自分の愛情の方が上だ」というよく分からない人ラブ合戦の宣戦布告をし、臨也は闇に消える。臨也にとっては、紀田が(というか沙樹が)手元を離れ、ダラーズも帝人やセルティの警戒心によって扱いづらくなる今後は、罪歌も無視できない脅威となるであろうことは想像出来るわけで、それを見越した面通しといったところだろうか。結局、臨也は今回の騒動を全て自分の盤面の中で動かしきり、表舞台において「負け」の要素を掴まなかったわけだ。

 でもまぁ、それはあくまで上っ面の話。先週、臨也の命令を受けず、個人の意志によって行われていたのは2人の女性の手による電話。矢霧波江は、ダラーズの真実を法螺田に伝えることで、最後のトリガーを引く役割を果たしていた。波江さん、大人しく引き下がったようにみえて、やっぱりダラーズが気に入らなかったご様子。そして、本当のイレギュラーは、ついに自らの意志で臨也を裏切った、三ヶ島沙樹によるサイモンへの電話。池袋を愛するサイモンは、臨也の度の過ぎたお痛を許す気にはならない。でも、優しいロシア人は、全身全霊のワンパンチで臨也を解放した。臨也がぶっ飛んだ先にあった「LOVE」の文字が、2人の価値観を浮き彫りにした奇妙な腹の探り合いを象徴しているようで面白い。

 三ヶ島沙樹の反乱は、悪夢から解放された紀田に伝わる。ベッドに横たわった紀田も、それを見守る沙樹も、身にまとっているのは「真っ白」な病院の治療衣である。2人の間には、もう黄巾族も、臨也の影も残ってはいない。許し合い、理解し合い、2人はそのまま姿を消した。

 どれだけ本人の意志に反していようとも、流石に黄巾族が池袋で暴れた事実は消え去るものではない。なあなあのままで3人の日常に戻るのではなく、紀田がけじめをつけて池袋を離れたことは、素直に評価したい結末である。そして、そんな紀田の自分勝手な決意に対して、「待つ側」に回った帝人と園原も、ちゃんと理解を示している。確かに寂しくはなるだろうが、紀田はいつだって、自分たちの知っているあのいい加減な紀田正臣なのだ。いつかひょっこり、最愛の女性を連れて戻ってくるに違いない。

 その他の面々は、また再び日常へと戻っていく。静雄はいつものように自販機を放り投げ、湯馬崎と狩沢は渡草のバンに等身大ポップを担ぎ込んでいる。矢霧誠二と張間美香はこの後も離れることはないだろうし、それはもちろん、新羅とセルティにも同じことだろう。そして、帝人と園原も……

 

 エンドロールはなんと4分割の画面でこれまでのシーンがプレイバックされるという実に忙しい画面。数多くのキャラクターが入り乱れて築き上げた群像劇なだけに、このエンディングは「全員が主人公である」ことを示唆するものであろう。毎度毎度視点がコロコロ変わるこの作品の締めとしては、一貫性があって実に分かりやすい。

 正直、今回のラストエピソードの「何も起こらない」という展開はちょっと肩すかしではあった。もちろん、何度も言うように「後日談はたっぷり時間を取って」という理想の展開だったので文句を言うつもりはないが、法螺田が最後にあがきもせずにやられるべくしてやられ、臨也もそんな現状にただ満足して身を引いたのが予想外だった。結局セルティの首を巡る「闘争」とは何だったのか、という部分は一切解決することなく、池袋大決戦は幕を下ろしてしまったのである。まぁ、原作は続いている作品だし、首の問題は最後の最後まで残るべきものであろうから、この幕引きは必然的なものだったのだろう。特に尻切れトンボというわけでもなく、事件は事件として解決を見たので、落としどころとしては及第点だと思う。ま、帝人達3人の絡みはもう少し時間を割いて見せて欲しかったという気はするんだが、ありきたりの友情トークをダラダラ流されても蛇足になるだけだしね。友情を確認するパートは、チャットの「ルート3点」くらいのバランスで丁度良かったのかも。

 最後に狩沢さんの活躍シーンがなかったのは不満だが(いや、当たり前なんだけどね)、個人的にはセルティが最後の最後で意味の分からないサービスをしてくれたので結果オーライ。どうするよ、みゆきちボイスで「誘ってんのよ」なんて言われた日にゃぁ。あの後晴天の下で新羅達2人が何をしたのかは考えないことにします。

 終わってみれば、案外後腐れもなく、後味もそこそこにすっきりと消えていく、そんな印象の最終回。あたかも色を無くしたままに日常に回帰するダラーズのごとく、この作品は終わっても、池袋の日常は続いていくのだろう。そんな、ちょっといびつな「日常系非日常」はこれにて閉幕。今はただ、スタッフ一同にお疲れ様と。 

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 季節感完全無視の第6話。一ヶ月前に「次の放送までの一ヶ月は長く感じるか、短く感じるかのどっちかな」とか書いたけど、正直あっという間でした。多分、この作品の出来不出来は一切関係無しに、私的に忙しかったせいだとは思うけども。

 前回の校倉の嫌がらせで、蝦夷の地にやってきた七花ととがめ。そのまま刀集めに挑むわけだが、今回は試合前から七花が倒れるというアクシデントが。強い強いと言ってはいるが、流石に天候には勝てない模様。まぁ、普通の少年漫画の設定だと、「強いから痛みに対して鈍感である」っていうのは負けフラグなんだけどね。悪魔将軍なら足が止まってるレベル。ヨガポーズ!

 さておき、そんな状態でも大丈夫、七花はフラグなどあろうがなかろうが、この作中では案外弱かったりする。凍空一族の生き残り、こなゆきは年端もいかない幼女ではあるが、一族の特性(便利な言葉だ)を受け継いでいるので生物学上あり得ないくらいの筋力の持ち主。多分、ヒュペリオン体質の一族なんでしょうね。真っ向から勝負を挑んであっさりと主人公が負けるという展開は流石であるが、これまでの戦歴を見ると、確実に七花よりも強い人物というのは、病床の姉である鑢七実と、今回登場した10歳の少女こなゆきの2名。屈強な男たちや癖のある忍者は噛ませ犬になるのに、か弱そうな女性ばかりが強いというのは、いかにも捻くれたセッティングである。このあたりの意外性の出し方は、やっぱりフリーザ様の第3形態で衝撃を受けた世代の共通言語みたいなところがありますね。

 そして、更に意地が悪いのは、生まれながらにして強いこなゆきに「武芸の経験」を足すと、今度はあっさりと七花に負けてしまうという展開。正直言ってバトルシーンを見る限りでは「何でやねん」としか思わないのだが、まぁ、勝っちゃったものは仕方がない。「定石を覚えて二目弱くなり」なんて言葉もあるくらいだし、「素人+変態刀」という完全イレギュラーの持つ力こそが脅威であったというセッティングは、分からないではない。多分原作だともう少し説得力のある描写が……されてんのかなぁ。とりあえず、アニメではそのあたりの展開はちょっと唐突だったので釈然としませんでした。このアニメのバトルは大体そんなもんだけどさ。

 と言っても、具体的なバトルシーンの展開は、少なくとも前回よりは見応えがあったのも事実。狂犬戦は一瞬で終わったので置いておくとして、こなゆきとの試合については、それなりのスピード感があり、少ないバトルシーンで何とか盛り上げようという意識は見て取れる。後半も刀の持つ「重み」が出ればもう少し面白かったとは思うんだけどね。

 そして今回はさらに2つのファクターが物語に大きく絡む。1つは、半年経って少しずつ変わっている七花という人間の内面。全部が全部とがめがしゃべっちゃうので読み込む隙間が無くてちょっと辟易するのだが、飄々としながらも少しずつ変わっている(正確には、とがめに変えられている)七花の様子は、いくら捻くれているとは言っても、古式ゆかしい少年漫画の成長物語の1パターン。気付けばとがめとの距離も自然に縮まっており、一組の男女としてもなかなか魅せてくれる絵面である。あとは残り半分の物語の中で、七花の「優しさ」と「強さ」のバランスをどう取っていくかという勝負。とがめはこと七花の人間形成に関しては、奇策士というよりも1人の女の子にしかなれない部分があるため、計算尽くで行く部分ではなかろう。

 そして今回個人的に盛り上がった2つ目のファクターは、少しずつとがめ達との関わり方を変化させている、真庭忍軍の立ち位置である。狂犬のシンプルなキャラクターは、これまでのどうにかしてほしいマニワニのキャラクター(特に白鷺と喰鮫)に比べれば非常に分かりやすく、説明書きにも「ギニュー隊長」って書いておくといいから楽。そして、そんな狂犬を弔うために訪れた鳳凰と川獺の、衝撃的な「交渉術」。鳳凰たちが走っている時の会話の時点で川獺の持つ危うさは発揮されていたわけだが、「今月は右腕もやっちまうのか」と思って見ていただけに、流石にアレは衝撃だった。冷静に考えれば、「仲間の仇」と息巻く人間がわざわざ身内の命を交渉材料に持ち出すという思考はおかしいのであるが、鳳凰のキャラクターはただでさえ読めないものなので、一連の流れでその「謎めき方」がいや増すことになる。やっぱり4話の虫組の話があったおかげか、マニワニ絡みのエピソードはちょっと心が騒いでしまいます。

 で、次回のアナウンスでナレーションの池田さんがとんでもないことを言ってたような気もするけど、とりあえずスルーしますよ。だから……だからヤンデレ中原さんは凶器なんだってば!

 というわけで、お待たせしました(?)、キャストのお話。今回も相変わらずいい仕事をし続けております、我らが田村ゆかり。七花が突っ込まないのでちょいちょい流しそうになるが、時たま地が出て口調が可愛らしくなってしまうとがめは反則である。「幼女に心変わりしたか?!」とか息巻いてましたが、あなたも充分ロリです。ちぇりおちぇりお! また、ちょい役ではあるが、否定姫役の戸松は先月分に続いてストレートなインパクト。「否定するわ」って最近どこかで聞いたなーと思ったら、チャコリーの魔法権利だった(分からない人はググらなくてもいいよ)。

 そしてまとめて登場した真庭忍軍の濃いことと言ったら。鳳凰の置鮎だけでも充分なのに、今回ちょろっと関さんも出てましたな。大好きな役者さんなだけに、今後どんな活躍をするのか楽しみでしかたない。川獺役には汎用性の異常さに定評のある川田紳司。なんだかこっちが主人公チームみたいな男性キャストです。

 女性陣も充分なラインナップで、お色気もばっちりの狂犬役には根谷美智子さん。母親にしたい声優ランカーです。同じく不思議な色気の漂う鴛鴦の中の人は寡聞にしてあまり存じないのであるが(外画メインの人だね)、ペンギン(人鳥)の中の人は、また出てきやがった広橋涼! 最近調子に乗ってるんじゃありません?! 何であんなに愛らしいのでしょうか。広橋ずるいなぁ。

 そして、今回これらの重鎮たちを押さえてのMVPといえば、なんと言ってもリアルロリっ子声優、日高里菜である。登場時は一瞬「あれ? きみきみ?」 とか思ったが、なんか違うので脳内検索。しばらくして「あぁ、ラストオーダー……日高里菜!」と分かったが、それでも受け入れるのに時間がかかった。特に今回は狂犬にのっとられた後のモードも彼女が熱演しているわけだが、言葉の端々がきちんと「根谷さん風」になっているのが凄い。作りもののロリっ子ボイスを取っ払った演技を初めて聞けたのだが、地声の幅も量もなかなかのもので、今後も声優をやってくれるならば色々な方向への期待が持てる。まだ高校に入ったばかりなので進路は未定だろうけど(そして本人が希望したらもっとメジャーな路線に行っちゃいそうだけど)、是非とも「育成枠」として囲っておきたい、有望株である。「期待の持てる声優を青田買いしたいなぁ」とか夢想してる時間が、一番幸せです。いいじゃない、声ヲタだもの。

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 本当に、嘘がつけない第10話。表だって特に事件が起こらなかった話数っていうのは久し振りかしら。ただそれは、現在の時間軸でのかりそめの平和。これまで色々と臭わせながらも謎に包まれていた弥一の正体が、ここに来て一気に明らかにされそうです。

 桂屋での用心棒生活にもいつしか馴染み始めている政之助。初期の頃の初々しさも残してはいるが、女郎たちに囲まれても何とか対処出来るようになるなど、五葉のメンバーとうまくいっている影響が、他とのコミュニケーションにも発揮されているようだ。

 懸案の1つだった妹の幸も、宵闇に紛れた弥一とおたけを盗み見て、郷里へ帰る気になったらしい。おたけへの憧れは有りつつも、かんざしをくれた松吉に対しては妙な誤解を持ってしまったおかげで、「江戸に住まう自分」にも一応の満足感は得られたらしい。もしくは政之助と一緒に江戸見物出来たから少しは溜飲が下がったのかな。なんだかんだいいながらも長兄であるマサを慕ってくれている幸の様子は、短いながらもなかなか微笑ましく見ることが出来ました。すれっからした女性ばかりなので、こういう単純で分かりやすいキャラクターというのは貴重ですよ。

 しかし、そんな晴れやかな江戸の空と対照的なのは、女郎屋の座敷で泥のように沈み、煙をふかす弥一である。政之助が引っ張り込んでしまった異分子、八木の存在によって、彼の奇妙な過去が蘇る。彼の本名は誠之進。八木の生家の近所にある、旗本の家の嫡男であり、現在名乗っている「弥一」は、小さい頃から親しくしてくれた家臣の名前。その「弥一」は既にこの世にはいない。いつぞやの回想では、そんな「弥一」に裏切られたような描写があり、今回の回想でも、自分の身分を隠して必死に「弥一」の行方を追っていることが分かった。彼の目的は、一体何だったのだろうか。自分を盗賊に渡してしまった「弥一」に対して、復讐を誓っていたのか? しかし、純粋にそうした負の感情しかないのなら、自ら「弥一」を名乗っているというのはいささか不自然である。やはり、幼い頃からの「唯一の友」であった「弥一」に対しては、一筋縄ではいかぬ感情を抱えているのだろう。柄にもなく悶々とする弥一に、過去はどんな姿で対面しようとするのだろうか。

 そんな弥一の素性を探るのは、同じく「弥一」を友として慕っていた男、八木。彼の場合は「弥一」に対しては純粋に親愛の情があるだけだろうが、そんな「弥一」の名を名乗る怪しげな男が気になるのは至極当然のこと。今回は政之助を通して大胆な探りを入れてきたが、どうやら彼の読みは的中したらしい。今のところ具体的な動きは見せていないが、もしかどわかし集団の「五葉」の首領が過去に自分も可愛がっていた「誠之進」であるなら、彼は一体何をもって正義と成すのだろう。2人の間に入っているのが希代のややこしさを誇る政之助なだけに、このあたりの感情の機微というのも、まだまだすっきりとは終わりそうにない。

 そして、事態を最も直接動かすのは、弥一(誠之進)に追っ手をかける盗賊一味。その包囲網が弥一を捉えるまでには時間がかかりそうであるが、もし接触を果たした場合、弥一は嫌でも「誠之進」としての自分と向き合わねばならず、遅かれ早かれ五葉の面々にもそれは伝わる。梅に松吉、そして今回はおたけの過去も浮き彫りになった状態であるが、弥一の過去だけは、弥一自身がしまい込んでいるために誰にも触れられない場所にある。そんなパンドラボックスに対して、野暮の固まり政之助は、どこまで肉薄できるだろうか。桂屋の女将は弥一の「おかしくなった時期」を政之助との出会いであると看過していたが、やはり裏稼業に手を染めた人間からすると、政之助はどこか調子を狂わせる、イレギュラーな人間である。弥一の底の底に沈んでいる過去を引き揚げられるのは、彼をおいて他にはいないだろう。

 今回は、弥一という名の「謎」にスポットが当たったため、ちょっと変則的な画面構成なんかもあったのが印象的。冒頭では一人称視点で誠之進の過去が描かれており、薄暗い中を、誰の助けもなしに1人で生きてきた弥一の孤独さがにじみ出ている。一人称視点だとカメラワークのブレや視点の移動などの振れ幅が大きくなって画面に動きが出るものなのだが、この作品の場合、歩こうがうつむこうがダイナミックな動きを採用せずに、ひたすら淡々と「視線」を維持し続けているのが興味深い。

 また、弥一を中心とした過去話や女郎屋とは対比的に、政之助や幸のシーンでは突き抜けるような江戸の青空が眩しい。さらに今回改めて五葉の名の由来である楓にもスポットが当たっており、現在の江戸(政之助の日常)、弥一のやけど、誠之進の家の庭など、様々なファクターを繋ぐために印象的に画面を彩っている。ほんと、画面が綺麗な作品なんですよ。

 そうそう、今回1つだけ気になったのは、冒頭でも書いた「嘘がつけない」政之助の人柄。ことあるごとに八木には「嘘が下手だ」と看過されていたわけだが、1度だけ、八木が「嘘だろう」と言わなかったシーンがある。それは、八木と政之助が手合わせをして、政之助が負けた場面。どうやら弥一の指示で手加減をしていたらしいのだが、八木はそのことに気付いていたのだろうか。もしそこだけでも「だませて」いたのなら、後々に響いてきそうな気もする。剣でだけ嘘がつけるとしたら、マサは本当に大した奴だ。 

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