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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「プリマドール」 6→5

 今期は(今期も?)突然歌うアニメは多かったですね……みんなしてS2CAばっかりでセットハーモニクスでございます。

 まず評価すべき点を挙げておくなら、そりゃもう作画である。今期は「ヲイヲイ、こんなメタメタになるなら最初から作るっていうなよ」みたいな作品が頻出した中、こちらの作品は最初から最後まで圧倒的キューティー作画を維持して不動の萌えパワーを発揮してくれた。細やかな所作でいちいち愛らしさを発揮するドールたちの様子は見ているだけで癒されるし、そんなドールたちが歌って踊る「歌謡ショウ」というテーマ設定も持てる武器を最大限活用する手段として正しい方向性だったと思う。突き抜けアイドルアニメや癒し系カフェアニメとしてなら、第一印象の鮮烈さを維持し、突き抜けた良作になったと断言できるだろう。

 ただ、転じて問題点となるのは、どうしても最初に不安視した違和感を拭いきれなかったこと。「なんでドールなん?」という世界設定そのもの。「戦後」を舞台に、破壊のために作られた戦闘兵器が平和な時代に単なるお給仕ロボとして働ける時代を描いた物語。「アイドルアニメもやりたいけど、お前らは幼女が銃を撃ったり戦場を駆ける様も大好きなんだろ」という2つのジャンルのいいとこ取りを狙った世界。制作側が何故この世界を作り上げたのかという「世界外」での理由は全部わかるし、そこに一定の価値があったことも否定はしない。ただ、残念ながら最後の最後までそんな世界が「何故あるのか」という世界内の理屈には納得できなかったのである。

 まぁ、これってガンダムに対して「二足歩行の人型ロボットで宇宙戦争する必要なくない?」みたいな不毛な議論と根本的には同じレベルだと思うのだが、どうしてもこの世界におけるドールがあまりに異質すぎて、その存在を受け入れることが出来なかった。いや、「かわいいなぁ」って脳死状態で見てる分には構わないのだが、いざシリアスが絡んで「戦争」との対比が描かれ出すと、「やっぱこんな精巧な自動人形がこの世界にあるのはおかしいよなぁ」という違和感が先に立つ。兵器以外の文化レベルとどう足掻いてもフィットしないのもそうだし、兵器の中の話でも「世代ごとのドールでは命令が出せる」みたいな重要な設定に「なんで?」とは思う。全てはエンディングに向かうための導線であり、本当に「こういう話がやりたいんだよなぁ」ということは痛いほどわかるのだが、そのために無理くり作った世界なので、そこかしこにオーバーテクノロジーが介在しすぎていて、何が本当なのかもよくわからなくなってくる。そうなると、「ドールたちにとっての感情って何?」というお約束の問題、いわゆるプラスティックメモリーズ問題が未解決のまま転がり続けるのである。

 「こまけぇことはいいんだよ」と全てを放棄し、「かわいい&かわいそう」のお話として飲み込むのが一番幸せな見方。ドールどうしの百合なんかもとても可愛らしくて魅力的だ。それはわかっているんだけど、どうしても割り切ることが出来なかったのでやっぱり点は引かせてもらいます。でも「世界を滅ぼしたい黒沢ともよ」は大好きです。

 

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「ブッチギレ!(一番光れ)」 6→5

 タイトル通りにぶっちぎってくれればよかったのだが、終わってみるとなんだか「置きに行け」みたいな印象が……うーん。

 面倒なので最終回の感想と一緒にしちゃうけど、設定が尖ってる分、思い切り馬鹿騒ぎ出来た作品だと思うんですよ。どうせ細かいところにこだわってもしょうがない設定だったし、「時代劇風のなんちゃって能力バトル」を突き詰めてTRIGGER作品みたいな方向性に馬鹿が花開けば、良い悪いは別にして、記憶に残る作品になる可能性はあった。しかし、結局そうはならず、「まぁ、こういうアニメあるよねー」ってんで、特別馬鹿にするでもないが、あまり褒める部分もないってんで3ヶ月後には忘れ去られてしまう、そんな作品に落ち着いてしまったのがとても残念である。

 何か大きく化けるんじゃないかという期待があったので基本的には毎週感想を書きつつ追いかけていたのだが、途中から「多分これ、すげぇ無難にまとめようとしてるんだろうな……」ということは薄々感じながら付き合っていた。感想からその辺は滲み出てしまっているかもしれない。せっかく新撰組を「総とっかえ」して個性派面子を揃えたのに、そのキャラを引き立てるためのお話があんまり無くて、中盤からはもう、みんなしてほぼひとまとめでの処理になっており、それが一番酷かったのが某と逆太郎。あいつら、結局個性を活かした「らしい」活躍ってほとんどしてないのよね。一番星と羅生丸という兄弟の争いを中心に据え、そこに朔夜を多少なりとも絡ませるという中心的な関係性もうまく処理できればもうちょい御涙頂戴を強めに出せた気がするのだが、それもままならずに「1クールで終わらせないと」っていう焦りばかりが見えるような気がした。最終話で羅生丸も土御門もどっちも退場の仕方が雑だったのがどうにも気がかりで、この筋立てだったら羅生丸を生かす方向性の方が印象は良かったんじゃなかろうか。エピローグを見たところで、あんまり達成感が無いんだよなぁ。

 一応、映像部分はきっちり個性を出して「らしい」テイストは維持できていたし、別にアニメとして成立していないなんてこともないので極度の減点にはしないが、「オリジナルアニメならもっと突き抜けたものを見せてくれ」というのが正直な感想。「正史とも噛み合わせた歴史物としてのテイスト」を残せっていう指示だったのかなぁ。

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「邪神ちゃんドロップキックX」 ―→4

 まぁ、しょうもないのは芸風の一部ではあるのだが……今期は残念ながら全体的にパワー不足の感は否めなかったわねぇ。

 出力不足の原因は明らかで、2期で作ったクラウドファンディング地元密着アニメに味を占めたのか、今回はほぼ全編が地域振興アニメとなり、「どんだけ自治体から金もらってんねん」という、市の商工会議所が作った小ネタみたいな話に終始してしまったことによる。1回2回ならそういう味わいだと誤魔化すこともできようが、流石に半分以上が地元特産品の紹介エピソードとなると……まぁ、普通は面白くないわな。

 ただ、悩ましいのはこの「邪神ちゃん」という作品がそういうメタレベルでのしょうもなさすらも売りに出来てしまいそうなところ。実際に作中でもそうした制作背景を隠そうともしていないし、「金もらったから宣伝して何がわりーんですの」とばかりにまるっと全てを飲み込んでいるかのようである。そこを笑いに転じることができる稀有な作品として、もしかしたら何か新たな時代のアニメの到来を告げた可能性もあるのだが……残念ながら今回はそうはならず、「単にピンと来ないダラダラギャグ」になってしまっていた。冷静に考えて、「時としてバイオレンス」な殺戮と血みどろの悪魔ギャグが地域振興と相性がいいわけないんだよな……大人しく神保町の中だけに止まっておけば……。

 とはいえ、今期もますますキャラが増えて邪神ちゃんファミリーがもはやサザエさんとかちびまる子ちゃんみたいなレベルで扱われてもいいんじゃないかという気にもなってきている。なるほどそれなら地域密着型の宣伝アニメでも別にいいではないか。日曜の夕方に邪神ちゃん。そんな時代が……絶対こねーですの。

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 夜の意味を問う、第12話。吸血鬼って善いもの? 悪いもの? そして夜って良いもの? 悪いもの?

 吸血鬼という種を一面的にしか見せられていなかったコウ。ナズナはある意味で「勧誘」をしていたわけで、そんなに簡単な話じゃないことが初めて提示されたのはこないだの吸血鬼女子会でのこと。この世界にはナズナちゃん以外にもたくさんの吸血鬼がおり、人間との関係性も多種多様。セリちゃんが友達であるメンヘラさん(あっくん)との付き合い方に思い悩んでいた甘酸っぱい部分、ミドリちゃんが職場の同僚を病気だと断じながらも、ケロリとその存在を肯定していたドライな部分。人間同様に吸血鬼との関係性だってそれぞれだが、ただ、それでも1つだけ共通することがあるとするなら、それはやっぱり「人間とは違う」ことである。完全なる理解が難しい異種間のコミュニケーション。そして、人間の血を吸うというその一点でもって、吸血鬼は古来より「悪である」という見方が一般的なのもまた事実。超常的な力を使役し、人間の血を啜って生きる生き物。それは確かに普通に考えれば「化け物」には違いない。コウが真夜中の学校で見せられた衝撃のシーンは、そんな常識の一部分に過ぎない。

 同じものを見せられた真昼からは常識的な忠告が下される。「吸血鬼なんて恐ろしい化け物に近づいちゃいけない」という当たり前の助言。しかし、コウはむしろ「怖くない側」から「怖い側」に足を踏み入れたばかりであり、何がどうダメなのかは頭で理解できていない。確かにアキラを危機に陥らせたあのシーンは衝撃だったし、恐ろしくもあったが、それがナズナちゃんたち吸血鬼という種とすぐさま同一視されるかというと、それも難しい。だから今回は考えるターンだった。真昼の意見を聞き、そしてナズナちゃんの話も聞く。可能な限り自分以外の視野を持って自分の置かれている現状を考える。その結果、ナズナちゃんからだって別に「吸血鬼になりなさい」なんてことは言われないのである。彼女の方からコウに「眷属になれ」と言ったことはこれまで1度たりともない。コウが勝手に盛り上がっていただけで、ナズナちゃんはその関係を否定もしないが、積極的に引っ張り上げようともしてこなかった。それはナズナちゃん特有の「恋愛苦手」感からきている部分もあるのだろうが、やはり「人間が吸血鬼になること」はそんなに簡単なことじゃないってのは承知しているのだ。こないだセリちゃんが涙ながらに眷属を増やしていたことを考えるなら、吸血鬼にとっても「他人と吸血鬼」の関係を変えることは、想像以上に負荷の大きな出来事なのかもしれない。

 「非日常も続けば日常」。ナズナちゃんの冷静な分析により、コウの持っていた夜の神秘性は薄らいだ。自分が何故吸血鬼になりたかったのか。「よふかし」にも慣れてこれが当たり前になったコウは、改めて問われると答えづらい質問だ。周りに積極的にそれを止める人間がいるならば、改めて目的意識を考え直さなければいけない。しかし、探偵・鶯餡子はコウにそんな時間的余裕を与えてくれるのだろうか。どうにも彼女の「吸血鬼対策」はかなり急進的で、過激なものに見える。あれだけコウのことを調べ上げておきながら、未だそのお相手であるナズナちゃんのところに姿を見せていないことは気になるが……。

 夜のままで残るのか、それとも朝を迎えるのか。クライマックスはどちらに転がるものか。

 

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「異世界迷宮でハーレムを」 4→5

 最後の最後、エンディングテーマのせいで三宅健太がこの作品を締めたみたいになってるけどええんかそれで(いいんじゃない?)。

 この作品で加点しちゃうと誤解されそうだが、決してエロいアニメが見たいわけじゃないです。いや、うん、なんだ……エロい「だけの」アニメが見たいわけじゃないです。それは常々書いてることで、「エロいメディアはエロいメディアで別に用意されてるんだから、無理にアニメがチャレンジして半端なことするくらいならやめとけ」というのが私の持論である。今作も当然のようにAT-Xで試聴して「超ハーレムver.」での試聴でございまして、そりゃもうおっぱいブルンブルンな作劇に、ハナから「またこういうアニメか」と鼻じろんだものである。加えて今作は私がいちいちケチをつけているなろう小説でもある。もう、文句をつける用意は万端だった。

 でも……なんかね、嫌いになれなかった。お約束のステータスシステムとか、ダンジョンの「順番待ち」に代表される「だからこの世界どうなってんねん!」という根本的な描写の拙さには辟易するのだが、ただ、主人公の造形がいわゆるチート系のソレとはちょっとズレていて、「内密」な特殊能力が多くていちいちロクサーヌに「素晴らしいですご主人様!」って言わせてはいるんだけど、やってることがクッソ地道な努力と実験・検証だったりする。能力に名前が与えられていてもその全容が分からないもんだから、どういう効果で、どんな使い方ができるかをいちいちダンジョンに潜って確認していく行程は、なんだかふつーのRPGよりも難しいくらいのタスクである。その過程でしっかりロクサーヌとのタッグを組んで、単なるお囃子ヒロインではなくて「パートナー」としてもヒロインを立てているし、パーティの仲間として一緒に成長していこうという気概があるのでキャラを人間としてみている。単なるゲームのアイテムにしかならないようななろうワールドが多い中、「ヒロインを増やしてハーレムを作る」が目的の今作は、逆説的に「きちんとヒロインも描かないと目的が達成できない」ってんで筆を割いているのである。

 また、「エロなんていらんて!」と文句をつけようと思っていたが、本作の場合、エロが最大の目的であり、主人公の野心が少しずつエロへと固まっていく。ハーレム作りを目標にした冒険なら、エロは「余計なサービス」ではなくて「目的達成のための欠かせない行程」である。なるほど、不必要なエロならいらんけど、必要なエロならある程度描かれるのは当たり前の話で、どうせ描くなら濃密に、ガッツリ書いた方がいい。バトルアニメのバトルシーンが話題になるなら、エロアニメのエロシーンも作画に力を入れて話題性を増すのは打倒であろう。ちなみに、当然のように今作のコンテには高橋丈夫氏も加わっており、「エロアニメだなー」ということをしみじみと感じさせる。

 最後に「2期とかねぇから」くらいの勢いで3人のヒロインを一気にぶっ込んじゃったのは勿体無い気もするが、その前の時点、ロクサーヌという大看板を中心に最後にセリーを加えて「ハーレムって楽しいですよ!」っていう未来への希望を追加したのも良き方向性。いや、マジでこの調子で2期目をやってもらっても良かったんだけどね。制作側はそこまでの期待をしてなかったんでしょうかね。とりあえずみかしーお疲れ様。良いお仕事でございました。

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「咲う アルスノトリア すんっ」 6→5

 今期、「期待してたけどスカされた作品」部門第2位。まぁ、こちらは別段クオリティが下がったわけではないので「勝手に期待してただけ」と言われればそれまでなのだが……いや、でもさぁ。

 もう、ほんとにそこだけだと思う。おそらく私と同じように作品概要をよく知らないままに試聴を開始したユーザーのほとんどが困惑したのではなかろうか。そして、今なお困惑し続けているのではなかろうか。少女たちのぽわぽわ日常アニメの中に突如入り込んでくるWarningなバイオレンス騎士ストーリー、結局あれは何だったのか。1話目試聴時にはその2つの世界の全く異なる演出効果にドキドキし、「この2つの世界がどこかで交わってあれやこれや……」と妄想が捗った。これだけ平和で優しいアルスノトリアたちの学園生活が、いきなりの生き残りサバイバルになる展開を、「来なくてもいいじゃない!」と思いながらも心のどこかで今か今かと待ち構えている自分もいた。そうした危うい平衡の中で、この作品は綱渡りを続けていた。

 しかし、来なかった。なんと1クールアニメを使った一大オオカミ少年である。オオカミは……来なかったのだ。いや、本当は来ようとしていたのかもしれないし、もしかしたらあと1クール放送したら来ちゃったのかもしれないのだが、とにかくアニメシリーズは何も来ないままに終幕へと至った。そりゃまぁ、あんだけ尺を使ってのコケ脅しだったのだから、やはり素直な感想は「どないやねん」である。

 もちろん制作側の意図は何となく分かってはいるつもりだ。そもそも今作はソシャゲ原作であり、おそらくゲームの方はこの2つの世界観がクロスすることがセールスポイントになっているのだろう。ちゃんとアニメでもそうして「世界の全容」を提示しつつ、それでもなお、描くべきは「すんっ」の方だと判断し、聖域には外敵を入れない判断になった。それでも敢えて騎士パートを描き続けたのは、「学園の外にはそうした危うさがあるんやで」という世界観の周知、そして、だいたいの視聴者が思ったように、「もしかしてどこかで乱入されるのでは?」というハラハラ感を常に持たせて、緊張を強いるため。なるほど、これがマジもんの日常系アニメであれば、途中で「退屈だなー」と思って抜けてしまう視聴者も多いだろうが、「7話目あたりで世界が変わるかも?」「10話目かな?」「最終話でちゃぶ台返し?!」と興味を惹き続ければ、日常パートであっても一定の興味を持って追いかけることができるだろう。実際私はそれで最後まで試聴させられたわけで、狙い通りの成果は出ているとも言える。

 しかし、どうしたってこの試聴後の「どないやねん」感を拭い去ることは出来ないわけで、トータルでの印象は「騙された」に近い。「そっちが勝手に妄想してただけじゃないですか」と言われたら返す言葉も無いのだが、一種の詐欺広告だと私が訴えれば、賛同してくれる人もいるんじゃなかろうか。「騙された」というこの感情が拭えないために、やはりネガティブなイメージを持ってしまうことは避けられないのである。この売り方が正しかったのかどうかはかなり微妙なところだが……私はややデメリットが上回ったかな、という印象。もう、余計なおっさんたちのハード展開なしで、延々すんすん世界に浸っていたかったです。そう思えるってことは、本当に「マジカル学園日常アニメ」としての空気感が良かったってことでもあるんですけどね。いや、どうなんだろう。これも騎士パートとの対比で殊更よく見えていた可能性もあるが……。

 うーむ、たらればを語るのは意味がないが、本当に騎士パートがなかったバージョンも見てみたい気はする。その際に途中で興味を失ってしまったのなら、騎士パートによる牽引にも意味があったってことになるよなぁ……。ふむ、色々と面白い作り方があるもんだ。

 

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 ハイッ、ファイティン! というわけでライブですよ。残念ながらまだ発声はできないのですが、それでもがっつり集まって屋内ライブが出来る幸せ。そして東京会場だけど当然のようにそこにいる幸せ。前回のEpisode of Roseliaで吹っ切れたので、ふつーに現地で参加するおじさんだよ。まぁ、流石に4daysは無理なのでこの初日だけの参加ですが……初日でやり切れば残りの日程なんて関係ないからな!(配信とかあれば見たかったけども)

 

 

【いつも通り、セトリとかは他所で見れ!】

 


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「継母の連れ子が元カノだった」 5→6

 嫌いじゃぁないぜ。何がと言われると困るのだが……とりあえず異世界に転生しないだけで幾らかの加点があるこの世の中。

 わかりやすいラブコメではあるし、「義理の妹(姉?)」なんてものもファンタジーの中に存在する、ある意味テンプレには違いない。「付き合ってた相手と血縁がッ」っていう設定がここまで定番化しているというのも不可解な状況ではあるが、今期だと「カッコウの許嫁」もこれの亜種みたいなもんだし、やはり恋愛関係と親族関係が絡むというのは人類にとって常になんらかの欲求を突き動かすもののようだ。そして、今作はそうした奇妙な欲求をちょっと不思議な方向で掘り進めたところがセールスポイントになっていた。

 義理の兄弟ラブコメといえば「気になる相手と付き合いたいけど、法律上ダメになっちゃったし如何せん」みたいなデザインが多いと思うのだが、今作の場合、それがタイトルに表れている「元カノ」ポジションというのが新しい。なんと関係が法的にこじれる以前に既にこじれており、そこには1つの「終わった恋愛」がある。そもそも「終わった恋愛の再燃」を描くっていう時点でラブコメアニメとしては珍しいデザインで、「なんで好きあったの?」「なんで別れたの?」「なんで別れた相手なのにやっぱり気になっちゃうの?」と1つ1つの段階にいちいち心情劇が込められている。その辺りの顛末を追いかけるだけでも1クールなんてあっという間で、「そりゃ中学生の恋愛なんてぎこちなくて当然だもんなぁ」という感情が同情だったり、羨望だったり、忌避感だったり、なんだかいろんな感情から楽しめるのである。

 登場時は「こいつらめんどくせぇなぁ」としか思えなかったメインの2人も、各々の視点から心情を語らせれば「ふつーの高校生」だし、強めの自意識を満たすために相手との関係性を処理しきれない幼さも愛嬌になる。基本線がずっと2人の惚れた腫れたやくっついた離れただけで進み、それで引き伸ばし感も無かった。あ、いや、途中で色々と闖入者もいましたけどね。2人の関係にゴリゴリに割り込んできた暁月、いさなという2人のサブヒロイン(?)のキャラがメイン2人よりもよっぽどヤバくて引き込まれちゃうのは良かったですね。クレイジーサイコと単なるサイコ。お二人とも、いい友達をもったもんである。

 柳伸亮監督のお仕事はキャラデザが丁寧で活き活きとしていて良い。そして下野VS日高というメインの対決に、飛び込む地雷2人が長谷川育美・富田美憂という若手筆頭株2枚というキャスト陣も実に強力。アニメ化は容易な作品ではなかったと思うのだが、きちんと「アニメでやった意味」が感じられる作品には仕上がっていたんじゃなかろうか。

 

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「ユーレイデコ」 4→4

 ん〜〜〜〜〜〜、追いかけきれんかったなぁ……面白かった……のかなぁ……。

 1話目時点で一筋縄ではいかない作品であることは一目瞭然だったわけだが、これをがっつり追いかけるってのは凄まじくカロリーを要する作業になる。若かりし頃なら1から10までがっつり考察を広げて楽しめた可能性もあるのだが……もう、2話3話と重なるうちに「分かんねぇよこれ」ってんで追跡を放棄してしまった。おかげで一応最後までは観ているのだが、ほんの表層部分のみを眺めているだけで、中身についてほとんど触れることが出来ない。

 という情けない視聴体制だったということを前提とした上で……これ、面白かった……のかなぁ……。全体的な構造だけを観ると、やっぱり「ポッと出の劇場アニメでやりそう」みたいなプロット。バーチャル・電脳・監視社会からの脱却・少年少女のアウトロー活劇。どれもこれもお約束なモチーフである。ただ、そうして「あるけど無いもの」を描くというテーマ設定が、湯浅さんの作品と相性が良かったのかどうか。あくまで湯浅さんは原案止まりなわけだが、製作スタッフはこの「湯浅性」みたいなものをきちんと作品の魅力として活用できたのか。

 元々湯浅作品ってのはエキセントリックな演出が特徴で、これが見事にハマった代表作に「四畳半神話大系」があり、あの作品は本当にどうでもいい日常に、ほんのひとつまみの「非日常」を紛れ込ませ、それが次第に現実を侵食し、最後には飲み込んでしまうという倒錯感が売り。「夜は短し恋せよ乙女」なんかも、ただの京都の学生のお話なのに、京都を「魔都」として描いて完全なるアナザーワールドを構築したのが見どころだった。今作の場合、最初から意味がわからない世界でスタートする。そのために、視聴者側はどこに軸足を置いていいのかわからずに戸惑ってしまう。なんの道標もないままにゴミ溜めの山の上に放り投げられたような感覚だ。話数を重ねればこの世界の基盤が見えて、少しずつ観やすくなっていくのかもしれないが、残念ながらこの「話数を重ねる」のが至難の業。なにしろ「よく分からない世界」を、さらに「分からなくさせる」方向の湯浅演出で積み重ねていくのだ。どこからがこの世界のほんとで、どこからが演出上のウソなのか、それが定かでない状態で筋を追うのは非常に負荷の強い行程なのである。

 主人公のハックのキャラ設計もこのハードルをむやみに上げており、分からない世界を分からない言葉でしか説明してくれないので、主人公の背中を追うことが難しいのである。ヒロインのベリィはそこをある程度把握した上で素早くこの「世界」に順応していったが、不真面目な視聴者はなかなか探偵団と活動を共にするところまでは視界を調整できない。おかげで非常に情けない話だが、1話目で抱いた「よく分からんな」という印象が延々と続くことになってしまった。

 こうした不協和については、企画段階でもうちょっと噛み砕くことができれば解消できた部分だとは思うんだよなぁ。ただ、それをやるとせっかく湯浅さんに作ってもらってる意味が薄くなっちゃう可能性もあるし……悩ましいところ。……劇場でもう一回総集編みたいなの作ります?

 

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