最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「全修。」 7→7 最終話の感想書いちゃうと最終評価書き忘れちゃうあるある。ちょっと時間が経ってしまったけど、改めてこの作品を評価しよう。 シンプルに評価したいのはMAPPAの手になる見事な映像美術。本作は「アニメの中に飛び込んじゃった!」という、いわばメタを内包した構造になっているわけだが、「アニメでアニメを描く」ことに挑戦したのなら、しっかりとそれを「形に」する必要がある。これがもしナツ子の描くラフなコンテの映像だけが「アニメ」要素であるなら、だいぶ安易な発想というので退屈に思われたかもしれないが、そのほかにもきちんと「アニメの世界で動いているんだ」ということを忘れずに描写し続けた部分は誠実である。具体的にはナツ子が思い出す回想シーンでの「滅びゆく物語」は、今ナツ子がいる世界と同じものを描いているはずなのに風合いが全く異なっている。過去の劇場アニメの世界が厳然たる存在として主人公の目の前に立ちはだかっているのだ、ということを画で見せている。それだけでも今作はエポックメイキングであった。 もちろんナツ子の毎回の作品もそれなりにファニーではあったが、そうして「戦うアニメーター」を立ち向かわせる「世界そのもの」との対立構図が主軸となるちょっとダークなファンタジー大戦も充分に見応えがあるものだ。滅びかけの世界にはナツ子だけが知っている「これまでの経過」が内在しているが、そこを全部が全部説明してしまうのではなく、ところどころに挟まれる挿話で視聴者にちょっとずつ見せて想像力で補完してもらうデザインもどこかもどかしい部分もありながらファンタジー向けの設定。しれっとジャスティスが投入されるタイミングなんかで「誰やねん」から始まっても、ナツ子が当然のように受け入れるせいで視聴者側としても「まぁ、そういうもんなんやな」と飲み込んじゃうという。「世界の説明」はファンタジーアニメで面白くもしんどい部分の1つだが、「既存の世界」をまるっと飲み込んでしまうことでその辺りの手間を省きつつ世界の広がりを担保する構造が綺麗だ。世に「ゲーム世界に飛び込むなろう作品」は山ほどあるというのに、なんでこういうすっきりした見せ方ができないのだろう。 そんなファンタジー世界でのキャラの回し方も無難なもので、最初はなんかイラッとくる奴だと思っていたユニオもしっかりマスコットらしく振る舞えるようになっているし、さりげないシーンで程よいサポートをするメメルンも古式ゆかしいエルフキャラとして良い配置。そしてなんといっても我らが勇者ルークの青臭い青春模様。恋愛ビギナーのナツ子が自身の恋心を考えるのには最適の「ビギナー」でありながら、ちゃんと勇者の重積にも耐えられるだけの芯を持った人物でもある。彼が相手役として健気な活躍を見せてくれたからこそ、わがまま勝手なナツ子のラブストーリーが成立したのである。あとQJは……まぁ、なんか頑張った(適当)。 一見すると突飛な設定から始まったキワモノ作品にも見えるが、トータルで見れば総合力の勝利というのが今作の結論。オリジナルアニメでここまでのものを作ってもらえるなら不満はない。やっぱ山崎みつえ作品は相性が良いなぁ。 PR 「マジック・メイカー -異世界魔法の作り方-」 4→4 視聴を続けるうちに受け入れられるようになった要素が半分、最後まで納得いかなかった要素が半分くらいの作品。最後まで見た結果、落とし所は「結局そこかぁ」というのでややマイナス強め。 まず、1話目時点で抱いた「魔法という存在にそこまでこだわる理由は? 魔法の概念がゼロの世界で、どうやって自分が憧れる魔法の存在を証明するの?」などの釈然としない部分については、そういうものだと飲み込むことにはした。前半で必死に描こうとしていた「魔法を探す過程」については、ぶっちゃけ「そうはならんやろ」の気持ちの方が強い。科学的思考はだいぶおかしいし、「純粋にトライアル&エラーから魔法にたどり着く」という経過を描きたかったことは理解できるのだが、やはり研究という行程には色々と足りていないし、ご都合主義が過ぎる部分が目に余る。多分エジソンやライト兄弟の伝記を読んだ方がずっと達成感はあるだろう。 ただ、この部分については「それは狙って作ってません」と言われたらそれまで。というか、「科学的思考」が現代社会の基盤になっているだけであって、この世界においては全く別なロジックが成立したとしてもおかしくない。そう強弁されたら飲み込むしかない。やろうとしたことは理解できるので、ディティールを突いて文句をいうのはあまり正当な評価法でもなかろうと思い、その辺はまるっと飲み込むことにした。少なくとも「やろうとしたこと」は評価してもいいだろう。 すると今作はそれなりに真っ当な成長譚と言えなくもないし、ホームドラマとしても勘どころはある程度押さえていたと思う。特に話の中心がマリーとの姉弟愛にあったおかげで、「マリーは可愛いからなぁ」という大義名分が色々納得できるのはちょっとズルい。この後の展開でマリーが出てこなくなったら納得できないレベルで、今作は「マリー可愛い」でなりたっているのだ。主人公のシスコンが強ければ今後ハーレム展開になる心配もない……かな? ただ、そうして「主人公にそれなりの目的意識がある異世界探究物語」として飲み込めるかな、とこちらの受け入れ態勢が整えられたというのに、結局は「いや、魔法あるんだけどね」という身も蓋も無い方向に舵を切ってきたのはどうしても納得いかない。納得いかないというか、「これだとあとはもう、その他のなろうと同じルートにのっただけでは?」という落胆が強い。主人公の出生の秘密とか、作者側はもしかしたらサプライズのつもりでそういう設定を組んできたのかもしれないが、「えっ、結局既定路線の出生至上主義なの? 序盤の頑張りは茶番でしかなかったってことじゃない?」という気持ちが先に来る。まぁ、途中からどう考えても「魔法が無い世界のはずがない」展開になっていたし、オリジナル路線を突き進む体力はさほどなかったということなのだろうが……持ち味を殺す方向に進んでいるようにしか見えず、辿り着いた部分は評価を下げざるを得なかった。 ちょっと気をつければ何かいいとこに狙いを定められそうな造りだっただけに残念。やっぱりなろうファンタジーで個性を出すのは生半な覚悟では成し遂げられない偉業なのかなぁ。 「Re:ゼロから始める異世界生活 3rd Season 襲撃編/反撃編」 ―→6 戦いはまだまだ終わらない。こちらも最終回の感想とまとめてで失礼。 なんか最後の方は消化不良の試合が多くてすっきりしない幕引きになってしまったけど、冷静に振り返れば、こんなところで大罪司教が一気に4人も討伐されるわけないってのは当たり前で、色欲・暴食が撤退、憤怒が捕縛で討伐成功が確定したのは強欲のレグルス1体のみ。そりゃまぁ、怠惰1体倒すのにあんだけかかったんだから、バランス考えれば当然の結果である。当然の結果なんだけども……レグルス戦で頑張りきっちゃったもんで、残りの試合がなんか半端になっちゃった感があるのよね。対色欲で下っ端の屍兵にあれだけ時間を割いたのって、本丸を落とせるわけがないから、っていう理由だったことね。 でもまぁ、2クール(というには話数が少ないが)の間退屈せずにみられたので2期の頃よりもよっぽどフレンドリーな展開。達成されずとはいえ、今回は分かりやすい討伐目標があって1本のシリーズとしてまとまっていたのは適当視聴者にはありがたかった。何よりとんでもねぇ大罪司教が4体も一気に飛び出して好き放題に暴れ散らかしてくれたので、リゼロらしい悪辣さというか、下品な刺激がいっぱい出てきたので割と満足。思い返せばやっぱ1期もペテルギウスとやり合うとこまでで一番盛り上がってたんだもんな。ちなみに気づけば「反撃編」に入ってからスバルは1度たりとも死に戻ってないのでだんだんタイトル詐欺になりつつあるが……まぁ、脇のキャラがいっぱい活躍する展開になったら主人公が能力使う機会減るのはしょうがないか。スバルがあんまり前面に出てこなかったから面白かった可能性すらあるしな。 というわけで4期も決定し、色欲・暴食というまだまだ謎だらけの連中が今後どう動くのかは楽しみな部分。色欲は単体で最低最高のおいちゃん節がたまらないし、一番捉えどころがないと思っていた暴食についても、ラストでなんと小原好美ボイスが飛び出して「キャスト力が強すぎる!!」という衝撃展開。ほんと、今シーズンはスバル陣営もゴリゴリにメンバーが集められていたこともあり、アフレコ現場が大変そうな作品でしたな。ちかぺも、まだまだ暴れ散らかすチャンスはありそうですし。 なんか中の人の話に落ち着きそうだな……松岡くんと石田彰の墓標が平等に並んでる作品ってのも良き。 「花は咲く、修羅の如く」 6→6 手間の関係で最終話感想とまとめてで失礼。まぁ、最終話に関しては「薄頼家問題、意外にあっさり解決したな」って程度ですからね。どうやら花奈と修羅の間には何やら因縁があるらしいが……それが語られる時がくるんでしょうかね。 毎週感想を書いていた通り、アニメとしてのクオリティになんの不満もないし、「朗読」という扱いにくいテーマをうまく処理してくれた佳作だという認識だ。このデザイン以上の完成形はそうそう思いつかない。その上で、アニメ1クールだけだと本当に「序章」というか、こっから面白くなっていくんだろうな、という手前で終わってしまったので流石にトータルでの評価を手放しで上げるわけにもいかない。原作を追いかけるかどうかは悩ましいところだが、アニメ2期の報が特になかったことを考えると……読んじゃってもいいのかもしれないね。 大会の様子が1つも描かれなかったため、「競技としての朗読」の本質を理解するところまで届かなかった。これにより、作中で描かれた序盤の花奈と杏の衝突の要素とか、後から出てきた最強候補ぽここの実力とか、その辺が全然分からない状態なのでほんとにお預けである。逆に言うとこの「準備段階」だけをアニメ化させるだけの力があったというのだから大したものだ。ここまででも充分に視聴者を惹きつけられるだけの内容になっているという判断もあながち間違ってはおらず、丁寧に追いかけてもらった放送部員全員の人となりが分かるだけでもそれなりに面白くはあった。毎度挟まれる「朗読」に関するこだわりの描写も見事なもので、最終話では「突然朗読を始めちゃう瑞希さん」に面食らったのは間違いないが、そこに不必要な説明なども乗せず、ただ朗読は朗読として「そこにある」だけの状態にしているのも潔い。実際の朗読の力、そしてアニメとしては画の力を信じていなければできなかった構成だろう。是非とも、こうした演出でばちばちに若者たちがぶつかる大会の様子も見てみたいものだが。 新番チェックの時の繰り返しになってしまうが、朗読というテーマを扱うのだから当然その声を操るスペシャリストたちに作品の成否がかかっていた。日笠や島袋美由利といった傑物に挑むは期待の新星・和泉風花やマジの掘り出し物新人・藤寺美徳。この子が伸びなかったら嘘だし、なんか今作のせいにされてしまいそうでおっかない。幸多からんことを。 分かれ道の、その先へ。最終話! これは、バンドアニメだ。 大方の予想通りに30分まるまる使ってのラストライブ。もう、今から来月が楽しみで楽しみでしょうがない(わたくし、day1のみ現地参戦!)。視聴中も、すでに来月のステージと重ね合わせてしまって涙が止まらなかった。2Dと3Dの重ね合わせが実現するバンドリプロジェクト最大の強み、それはやはりライブである。見事な接続、見事なエンタテインメント。我々はただ、天を仰いで降り注ぐ「享楽」を甘受すれば良い。 先週のさきうい逃避行から「結局諸々どうなったんだよ」という部分をもっと言葉を尽くして説明すると思っていた人もいるかもしれない。まぁ、そういう要素はあっても構わなかったが、繰り返すが本作はバンドアニメだ。しばらく忘れていたかもしれないがバンドアニメなのだ。であれば、そのバンドの姿を見せることで結末を示す。これが一番誠実な答えの開示である。2つのバンド、10人の少女。その全てに祝福を。 せっかくなので本作にのみ許される「キャラ単体での総括」で簡単にまとめていこう。どうせライブ当日まで今回の映像は擦り切れるまで視聴して備えなければいけないので、残りの時間でたっぷりと読み込みはさせてもらうが、とりあえず初見で辿り着いた私なりの「彼女らが辿り着いた現在地」への雑感である。
高松燈:今シリーズではブレることなく我が道を走っていた燈。バンドのセンターとして、堂々たる姿も見せるようになってきた。もちろん円陣なんてうまくは出来ないけれど、迷子でも進み続ける彼女に後退は無い。同じ日に、同じ志で、全く違う場所で同じようにライブを行なっているかつてのメンバーのことを、燈は誇らしく思ってくれているだろうか。
Ave Mujica:再結成に再結成を重ねて辿り着いたひとまずの「スタートライン」。新たに神となった豊川祥子を中心に、世界の荒波にのまれながらも突き進みことを決めた5人の新たな「共犯者」たち。Mujicaとしてのスタイルは「清濁合わせ飲む」ことで成った。豊川の恐ろしさ? そんなものは自分が豊川になってしまえば何も怖くない。それを卑怯と謗る者がいるだろうか。かつてのように、お嬢様のごっこ遊びと嘲る者がいるだろうか。そんな連中は、ただ音楽でねじ伏せればいいのだ。女神の下に集いし4人の騎士は新たな戦場へ向かう。たとえそれが、血に塗れ穢れた道行きであったとしても。 バンドリのバンドは「暴れ者」が混ざっている。世間に喧嘩を売ることを厭わないバンド、Afterglow、RAISE A SUILEN、そして3つ目にAve Mujicaが名乗りをあげた。これからも彼女たちにはさまざまな苦難が待ち構えていることだろう。しかしもう、解散は許されない。死なば諸共に、彼女たちの企みは続いていく。
バンドが、成った。 「この会社に好きな人がいます」 6→6 ネガティブな印象は一切ない。嫌いじゃないし、満足もしている。だからって特別扱いするほどのこともない気はするのだが、まぁ、好感度を素直に点数にしたらこれくらいでいいのかな。 第一印象が良かったのは「ふつーの恋愛をふつーに描くアニメって意外と少ないよな」ってんで特別感を持っていたのだが、まぁ、別にそこは強くアピールするポイントではなかった。地味は地味なので強く興味を引くほどの要素ではないしね。でも、逆にこの設定のラブコメで強く興味を引いちゃうような強引な設定なんて作られたらかえって浮いちゃうだろう。等身大のカップルを描く作品として、むしろこの印象のままで終幕したことは良い判断だと言えるのかもしれない。 映像的なクオリティも並かやや上くらいなので失点は無いが取り立てて大きな加点はない。しいて特別な部分を取り上げるとすれば、アニメには珍しい「ガチ会社員ドラマ」だった部分だろうか。いや、それこそ最近はラブコメ系でサラリーマンを描いた作品も増えてきている気もするのだが、今作は「経理部」×「企画部」という組み合わせのカップルがお互いの部署でやってる通常業務がなんとなく見えてくる気がして、そこに「普通の会社員の日常」が程よく見え隠れするバランスが引きこもりニートアニメオタクにとってはちょっと新鮮だった。いや、世の働きマンたちには飽き飽きするような日常なのかもしれませんがね。なんとなく「地に足ついてる感」があるとこに加えて甘々のラブコメっていう組み合わせなので甘い部分の味が引き立つ感じがありました。立派な社会人って、仕事しながら恋愛にも時間を使ってて大変だよなー、いつアニメ観てるんだろう(観てねぇのよ)。 少しずつ育まれていく恋人関係に、きちんと2人の人間的な成長が付随する。無理ない程度に絡む他のキャラクターたちがもう1本の恋愛ドラマを補助的に展開し、そちらもそちらで色々と感じ入る部分がある。年齢的には御前がやってる係長の「ちょっと歳いっちゃったけど恋愛していいのかしら?」みたいな感情のもどかしさが妙に親近感が湧いてたまらんものがある。酒飲んで管巻く伊藤静でしか得られない成分が間違いなくあるのだ。 結局、私のような人間には「ふつーの恋愛」が一番のファンタジーだったりするのである。「魔法使いになりたい」「異世界を救う勇者になりたい」と同列に「普通のサラリーマンとして同僚と恋愛したい」があるのかもしれません。 「Unnamed Memory Act.2」 ―→5 これもまた随分不思議な作品だった。とりま、最後まで視聴はしていたのだが、相当になおざりな視聴姿勢だったので中身はもはやよく分かってないという前提での感想になることをご留意願いたい。 ぶっちゃけ、集中力を切らしてしまった責任は作品そのものにあるとは思うので減点も考えたのだが、今作にしかないエッセンスは間違いなくあるんだよなぁ、という葛藤もあって維持することにした。おそらく、もうちょっとだけ忍耐力がある視聴者であれば点数は上がっていた可能性もある。ただ、なかなかそのハードルを超えるのが難しい。 まず大前提として、割と無茶苦茶なことをやってる作品だ。今更ラノベ(なろう)でタイムリープやら世界改変やらがごたいそうなもんではないと思うのでそれだけならいいのだが、今作はそうした世界改変が「大前提」としてあるというか、複数の世界改変を立て続けに起こし、複数のパラレルワールドの存在を前提とした上で話が進んでいく。メインヒロインのティナーシャはこれを全部理解した上で跳躍を繰り返しているかのように見えているが、その実世界の有り様を全部把握しているわけではないので、ティナーシャ目線を追いかけるしかない視聴者にとってもどんどん混乱の度合いが大きくなっていく。そして「どのように世界がなりたっているか」「この世界はどこに飛んで、何が起こってる世界なのか」なんてのはいかにアニメ作品とて画面で表現できるものではなく、説明しようとしたらひたすらに台詞で処理していくしかない。その結果、「言われてもピンとこない……」のオンパレードとなり、作品世界のティナーシャと視聴者の理解(体感といってもいいか)はどんどん乖離していくのである。 第1クールの時に「なーんか演出が不可解な作品で、シーンがポンと飛んでしまっているような妙な印象がある」とずっと首を傾げていたのだが、最後まで見るとなんとなくこの理由がわかった気がして、「描かず飛んだ」のではなく、「描く方法がなくて諦めた」箇所だったんじゃなかろうか。小説の文章なら表現できたかもしれない事象が、もはやアニメでは完璧な理解を促すまでの描写ができなくなってしまった。そのため、もはや完全な再現は諦めて「なんとなくついてこいよ」の方向に舵を切った。その結果が、今作のもつ独特の「ブツ切れてる感」というか、「なんかふわふわして捉えどころがない感」につながったんじゃなかろうか。 普通に考えたらそんなことをやらかした作品は評価が下がって然るべきだし、実際下がっちゃいるのだが、ただ、制作側の苦心も理解できちゃうのよね。そりゃいちいち詳細な説明を挟めばなんとか理解をサポートすることができようが、1から全部説明したのではテンポも悪くなるし、多分尺が足りない。何より、ティナーシャは自分が何をしてるかわかっている(つもりな)のでいちいちオスカーに全部説明したりもしないし、スパダリなオスカーさんは1を聞いて何千と知っちゃう才媛なものだから、視聴者など置いてきぼりにして突っ走ることになんの抵抗もない。というか、オスカーが細かい設定に拘泥してまごまごしてたら、それこそ今作で描きたい一番大事な部分を取り逃がしてしまう。何を一番優先すべきかを考えた結果が、このあやふや世界改変ファンタジーだったわけだ。 繰り返し「あやふや」とか「ふわふわ」とか書いているが、多分制作側も最低限の責任で描いているのだから、全部集中して観ていれば話はつながっているのだろう。最序盤から分からないなりに考察を重ねていればもっと刺激の多い作品になったかもしれないので、やはりこれは作品のせいというよりは、受容しきれなかったこちらが側の責任だったと思いたい。そして、そんなダメな状態でも最後まで観続けられたのは、結局ティナーシャ・オスカーのバカップルが見ていて楽しかったからに他ならない。ティナーシャさんは1期時点でだいぶチョロさが露見していたが、それでも偉大なる魔女の威厳は保ちつつ、ほんとにいい女であり続けた。そしてそんな魔女すら手玉に取る最強の王子・オスカー。王道ラブストーリーかくあるべしというご立派なお二人でした。ティナーシャさんのチョロ可愛らしさとえげつないほどの無敵加減の混在っぷり。種﨑シンパなら絶対押さえておかなきゃいけないキャラですよ。 「甘神さんちの縁結び」 4→6 意外だろ? このアニメの評価が上がっていることが。いいか? 俺はチョロいんだ。 最初のうちはほんとに「これだからマガジンのラブコメは」って、「黒岩メダカ」と同じような反応を示してたんですよ。典型的なフォーマットをそのまま当てはめたような分かりやすい姉妹の設定。大したもんじゃなかろうと思っていたし、まぁ、実際大したもんじゃないのかもしれない。 その上で評価が上がった理由を端的にまとめると、「ヒロイン勢が可愛かったから」です。素直に評価するとやっぱりそこなんですよ。ちょいエロラブコメなんだからそこが一番重要なのは当たり前ですしね。「可愛い」といってもいろんな種類があるとは思うけど、まず大前提としてキャラデザですね。制作はドライブなんですが、2クールの長丁場でほぼ作画が崩れることなく、シャープながらもちょっと淡い色合いの特徴的なキャラクターデザインが最後までしっかり維持されていたし、ヒロインが可愛い顔をする「見せ場」の演出も丁寧でした。こんだけ性格が分かれてる3姉妹なので好みは大きく分かれる部分だと思うんですが、今作においては三者三様で満遍なく魅力を感じることができる。「姉妹」とタイトルがついてるくせして実際には姉妹じゃなかったおかげで性格が違いすぎるこの設定にも理屈がついちゃったし、2クールのうちにゆっくりじっくり3人だけを描けばいいので描写の密度が濃かったのも良かった。まぁ、3人以外にも、もちろん白日やおみっちゃんに至るまでみんなして可愛かったですけどね。 シナリオ部分については、神社を舞台としたことで都合よく採用された「神秘」がキーになり、乱暴にくくると「青ブタ」と似たような戦略。あちらは個々のヒロインの精神性に理由を求めるため、よりキャラクターの内面をエグる構造になっていたが、こちらの場合はもちろん1人1人の精神性に言及しつつも、面倒臭い場合は「神様がやったことなので」というざっくりした説明でより手軽に(?)訳のわからん状態を楽しむことができる。しっかりしたヒューマンドラマを楽しみたいなら「青ブタ」に敵うものではないが、漫画原作の強みである「えっちぃ絵」をフル回転させてなんとなく「それっぽい」ファンタジーを味わいたいならちょうどいいバランスなのだ。 ちなみに「三者三様で楽しめる」とは書きましたが、個人的な好みで選ぶとするなら……白日ですかね……。まぁ、そりゃちかぺボイスの激重ヤンデレ感情は俺ホイホイすぎたからな。三姉妹で選ぶとしたら気づいたら朝姫が一番のお気に入りになってたかもしれない。和歌山詩音ボイスのこまっしゃくれメスガキ、あまりに非実在未成年すぎるし、単に七夕エピソードが単体で見た時一番綺麗だったってのもありますね。夜重は最初の怪異(?)だったもんでちょっと構造的に損してる部分はあったかも。 最大の問題として、「これ、結局俺の翼エンド以外に選択肢なくない?」という悩みがあり、原作は未完結らしいのだが、もはや3人と重婚する以外に平和的解決はないし、この3人ならそれでいい気もする。体裁上は「神社(もしくは神)に婿入り」っていう形にしておかないと、五等分問題で荒れそう。連載が終わったら結果だけ教えてください。 「妃教育から逃げたい私」 4→5 意外に思われるかもしれないが、評価は上がっている。なんなら、今期アニメの中なら上位帯に入っていたかもしれない(まぁ、50分以上の候補があるので上位といっても25本あるが)。 「お前なろうアレルギーじゃねぇの?」と言われたらそうだし、「作画しょぼくなかった?」と言われても全くもってその通りのアニメだったのだが……でも、「まぁ、そんなこと気にしなくてもいいやん?」という結論に。なんかね、身の丈にあってるというか、こういうアニメはあって然るべきというか……悪感情を抱く理由がなくなっちゃったんですよね。私がなろう作品を毛嫌いする最大の理由はストーリーテリングの際の思考の放棄、何も考えずにただテンプレだけを繋ぎ合わせた粗雑なモザイクのような完成形に何一つ作品性を見出せないからなのだが、今作については「古き良きジュブナイルを描きたい」という意識がちゃんとみて取れた。別に目新しくもない、斬新でも新鮮でも奇抜でもないし、陳腐ではある。でも、怠惰ではない。ちゃんと描きたいお話があって、身の丈にあった尺と身の丈にあった道具立てで、身の丈にあった物語が完結した。それを退屈と思う人もいるだろうが、この作品自体の存在価値を否定するものではない。例えるなら、桃太郎やシンデレラが今更1クールアニメになったとて「中身知ってるし、新鮮さなんてないし」ってんで視聴しない人も多々あるだろうが、それが桃太郎やシンデレラがつまらないことに直結はしない。おそらく現代においても童話の絵本は売れ続けているだろうし、届くべきところにアジャストした物語が届けばいいのだ。 嫌々ながらもなろう作品に接し続けてきて分かってはいるが、なろうの中にだって色々な作品がある。世間一般でいうなろうのターゲット層に届けるためのチートとザマァの物語が大半を占めているからどうしてもこういう作品には目が行きにくいが、別にチートもザマァもなしに、ちょっとしたお伽話やラブコメを書きたいと思っている人だってちゃんといるのだ。今作においても「サバサバ系のアタクシ」の文脈は根底にある気はするが、それをことさらに振りかざすわけではなく、あくまでもどこかの童話で見たことがあるような「おてんば姫のドタバタ騒動」というコメディの範疇で描いており、なんなら小学生だってすんなり読める内容になっている。今作で惜しかった点があるとするならば、一部のオタクにしか届かない深夜アニメの体裁をとってしまったことであり、これがもし昭和の時代のテレビから金曜18:30に流れていたら、普通に楽しめるご家庭も多かったんじゃなかろうか。 そう考えると、別に作画が省エネなのもマイナス要素にはならない。ほんとに昭和テイストを狙ったんじゃないかと思えるユルいキャラデザは余計な期待も警戒も抱かずに済むし、最初から省エネでやっているおかげか、そこから大きく崩れてみっともない動画が出てくるなんてこともなかったので制作側もきっちり責任は果たしている。最終的にレティが可愛く見えるかどうかは個人の感性によるが、少なくとも1キャラくらいは「ちょっと面白いな」とか「なんか共感できるわー」みたいなキャラには出会えるんじゃなかろうか。ぼかぁ、こういうなろうだったらアニメ化して紹介してもらえるのも悪くないと思っちゃいましたね。 一応蛇足をつけておくと、大きく好感度に貢献してくれたのはもちろんレティ役の白石晴香。やっぱ姫だよなー、どっかハズれた姫だよなー。彼女が強かに脱走しながらも少しずつ初恋を育んで最終的にチョロいくらいのゴールに辿り着く全体図がとてもハッピーでありがたい。ここまで悪人も事件も何も無くて成立するお伽話、疲れた現代人には案外必要なのかもしれませんよ。
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HN:
Thraxi
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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