忍者ブログ
最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
[2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12]

「この世界は不完全すぎる」 5→5

 最終回だけ観たらギャンブルアニメみたいになっててワロタ。まー、いろんなテイストがあるってのは悪いこっちゃなかったですけどね。

 なまじ最初の展開を知ってたもんでそこまで真剣に張り付いて見てたわけじゃなかったけど、原作の雰囲気は丁寧に再現できてるアニメだったんじゃないでしょうか。面白いのは、作品世界自体が「バグだらけのゲーム内」なので、描かれた世界が半端にリアリティを喪失したとしても、それがアニメの不具合なのか設定なのかよく分からないってところ。仮想をどこまでも仮想としてのみ飲み込める世界ってのは、アイディアとして一本立ちした部分でしたね。

 ただ、この制限の無さというか、世界の不安定さみたいなものは一長一短でもあり、どこまで行っても世界に「本当」の保証がないもんで何を拠り所にして視聴を続ければいいかが分からず、ふわふわした印象になったのもまた事実か。いや、普通に考えたらそんなとこ気にして観る必要はないんだけど、どれだけシリアスなドラマを展開しても「でも、世界は不完全だしほんとかどうか分からんからなぁ」というのは頭の隅に一抹の不安として引っかかって没入感を阻害した部分はあるんだ。この辺は、「ゲーム内」作品ではどうしようもない要素だからアニメ自体に責任は無い気もするんだけどね。

 また、単純な異世界冒険譚ではないおかげでタスクの性格も多岐に渡ったのは面白い部分でもあり、とりとめない部分でもあり。それこそ謎のポーカー対決がそうだし、「何をもって解決と為すか」っていうのも状況次第でコロコロ変わるところは懐の深さと解釈してよかったのかしら。最終的には「ゲームのシステムをどうこうして解決する」っていうのは一貫してるはずなんだけど、話数によって画面の見え方までなんか変わってるような気がしたのはむしろ統制を保っていたスタッフを褒めるべき要素なのかも。やり方次第では本当に全然違うテイストに振り切ってもっとカオスな作品作りもできたとは思うんだけど、多分原作の趣旨からそれはダメって判断だろうし。

 できることなら、このスタッフの手でこの先の物語がどう紡がれるのか見守ってみたい気持ちはありますな。よりによってそんなとこで終わらせんでもいいのに……2期、ある?(今期そんなんばっか)

Amazonアフィリンク

 

拍手

PR

「ダンジョンの中のひと」 5→6

 ほど良き。内容としては減点要素無しで微・加点なのでトータルで「良き」になる。そういや、内容だけで見たら今期は「転スラ」も「ダンジョンの中の人」ってタイトルでよかった気もする。

 印象としては「ジェネリックダンジョン飯」みたいな作品で、「ダンジョンというフィールドについて、改めて真剣に考えてみましょう」というのが起点。「ダンジョン飯」はその根幹に「飯」があったわけだが、こちらの作品は「何者かの意思をもって運営されるダンジョン」というコンセプトが主軸。「ダンジョン飯」は冒険者目線でその仕組みを独自に分析していく形式なのでトライアル&エラーに緊張感があり、さらにはとんでもない悲劇にまで繋がるドラマティックな展開が待っていたが、こちらの作品は最初から全部「ネタばらし」する姿勢なので、ダンジョンというおどろおどろしいフィールドとあけすけな舞台裏の対比がギャグに繋がるという構造。出てくるものは真逆ではあるが、どちらも「どうやったら我々がよく知るダンジョンという存在が成立するかな」ということを考えているという点では一緒。

 「魔王もの」がいちジャンルとして定着していることからも分かる通り、冒険者と敵対する視点から描かれる物語はなろうを中心に腐るほどあって、実際大半は腐ってると思われるが、今作はベースが漫画作品ということもあるのだろうか、絵としてちゃんと成立している世界が広がっているのでやっつけ仕事感が薄く、なんだか納得できてしまう上に、さらにギャップを挟むおかしさにもつながっている。ユルくて可愛らしいきらら系みたいな絵柄でのほのぼのギャグの中に、なろう的なチート無双もののテイストもうまいこと混ぜ込み、「次は何を見せてくれるのかしら」というワクワク感は1クール持続できていたと思う。

 アニメーションとしては終始「並」くらいのクオリティだったとは思うのだが、元々のキャラクターデザインがシンプルなので少ない線の数で描かれた見やすさという部分でポジティブに捉えることもできるし、ちゃんと「かわいい」デザインだったと思う(一番かわいいのゴーレムだけど)。あとはまぁ、メインの2人にソフト百合みたいな味わいがあるのも良いですね。どっちもどっちで常識からはズレまくるクレイとベル。この2人のほわほわ、かつ殺伐という雰囲気も今作の持つギャップの旨みがちゃんと出ている配置だ。初回の印象だと千本木彩花の雰囲気作りが際立つかな、と思っていたのだが、そこから鈴代紗弓演じるベル側も「おとぼけ最強」のラインの取り方がなかなか良かったと思う。この2人の関係性はもっと続きが見たいと思わせるものですね。……これも原作気になるなぁ。

Amazonアフィリンク

 

拍手

NieR:Automata Ver1.1a(第2クール)」 ―→―

 すみません……追いきれませんでした!!!!! ほんと申し訳ありません!!!!!

 いや、追いきれへんのやったら感想記事あげなきゃええやんけ。

 そうですね、ごもっともです。でも今作においてはちょっと事情が違うんですよ。新番チェックの時も書いたんですが改めて事情を確認しておくと、今作は1期を全て追うことができなかったんですね。まぁ、制作が間に合わずスケジュールがグダったことが理由なので「俺が悪いんじゃないやい!」と駄々をこねてはいるんですが、とにかく結果的にはレギュラー放送してた途中まで見てただけなので、最後の3〜4話くらいを拾えなかった。その時点で2期に手をつけなきゃよかったのに、「でもなんかすごい作品だったんだよなぁ」と思って2期も見始めちゃった。「もしかしたらこっから観てもなんか分かるかもしれないし、いざとなったら配信で1期を振り返る選択肢もあるから……」と思ってたんですが、ただでさえアニメ体力が落ちてる現状、追加で前の作品を見返すほどの気力は起こらず……結果的に「なんか話の全容を追いきれてないくせに、2期だけ一応最後まで観た」というなんとも半端な状態に。

 いや、半端だったら黙っとけばよかったやんけ。

 そうですね、そうなんですが、今作は黙っておくのも勿体無い気がするんですよ。だって、分かんないなりに最後まで観ちゃうくらいに気になる内容だったのは間違いない事実なんだから。2期で描かれているあれこれを見てれば、全体構造こそ100%で追いかけられてはいないけど、とりあえず世界がひっくり返ってとんでもない真相が明かされてることは分かる。「そういう作品だったのかァ!」というサプライズはあったし、その後の救いようのない展開と、それでもなお動き続ける機械生命たちの生き様は実にドラマティックだった。そしてもちろん、映像は素晴らしいものだった。普通に考えたら高評価に結びつく要素がバシバシあったのだ。

 そしたら高い点数つけてなんの問題があるの?

 いや、でもこういう作品で筋立ても理解せずに「なんかすごかったです」はダメだろ……。こういうめんどくさいところがあるね、私はね。だから最善手は「ちゃんと1期から振り返る」なんですが、今の時点でそれをやっていない自分の怠惰さについては、本当に作り手の人たちに申し訳ないと思って謝罪するわけです。ごめんなさい、こんだけきっちり世界を作ってくれているのに、それをフルで味わう権利がありませんでした。本当に申し訳ありませんでした。

 いやでもさぁ、それってあんたらが1期の時にスケジュールを(検閲)

 
Amazonアフィリンク

拍手

「転生したらスライムだった件(第3期)」 ―→4

 オワランコンやねぇ……劇場版だけならまだしも4期もすでに決まってるのかよ。いや、そりゃここで終わりってことにはならんだろうが。世に溢れる「2期はまだか」作品にそのパワーの1厘でも分けてくれりゃいいのに。

 というわけで、もう全く真面目に追ってない作品の3期目でございました。やー、そりゃ作り手側だって責任の大きな作品だってことは重々承知してるから、生半可なものは出てこないですよ。ちゃんと作ってるしちゃんと出来てる。でも、流石にもうこのテイストで6クールも追いかけるのは……なぁ。しかも今回のお話、前半はまだしも後半はほぼ「転スラ日記」と変わらないスピンオフレベルのユルい話だったじゃん。「日記」も含めるとなると7期目ってことやぞ。よくもまぁ続いてるもんだ。

 真面目に観てないもんで「なんで続いてるのか」ってな部分を掘り下げることすら叶わないのだが、多分ここまで来ちゃうともう冒険活劇でもなんでもないですからね。国内の設備を整備して、隣国との外交の調整して。いわば国づくりのシムシリーズみたいな内容になってるわけで、もしかしたらマインクラフトとかで黙々と作業をするのにハマる現代人の感性にマッチしているのかもしれない。いや、俺だってシムシティ好きだったしね。国づくりといえばあれですよね、「アクトレイザー」(あれは国づくりではないのでは)。最近も実は某農場を作るブラウザゲームを無限にぽちぽちやり続けているというのはここだけの話です。もしかしたらそういう「山も谷もなくていいけど、ちょっとずつ何かが育ってる」感が得られるコンテンツって価値があるのかもしれませんね。

 いや、それにしたって前半の展開はアニメとしてどうなんだろう。「会議アニメ」なんて散々揶揄されていたが、「来週はもう会議はないだろうと思ったら2週間会議だった」みたいな2ちゃんの伝説に残りそうなレベルでひたすら会議室という凄まじい展開。あれはもう、どれだけアニメスタッフが優れていたとしても回避して面白くするのは無理だよ。今期がたまたまそういう変なシーズンだっただけで、次からはもうちょい動きがある展開になるといいんだけど……国がどんどんデカくなると、もはやこれ以上敵なんて作れなくなりそうでなぁ。花江くんが暗躍してくれてるのだけが希望か。一応最後に小野D&いのすけがそれっぽく出てきたが……子安とかより強いんでしょうかね。

 
Amazonアフィリンク

拍手

「先輩はおとこのこ」 6→7

 まさかの映画化ですってよ? ハイ、観にいきますです。

 今期の隠れ「良き」作品。いや、「いと良き」作品と言っていいかもしれない。本来なら毎週感想を書いてもよかったんだけど、手をつけるタイミングがなかったのはもったいなかった。でも、とにかくいいアニメだったと思います。

 今作の「いい」についてはいくつかの側面があるのだが、非常に「腑に落ちる」作品だったことが一番に挙げられる。そしてそれはどこか思想的な部分も含んでしまいそうな「性」についてのお話。昨今は自由を謳うがあまりにこういう話題はかえって触れにくくなってしまうという皮肉な状態になってしまっているが、今作を語る上で「性の認識と、社会的目線」という問題に触れずにはいられない。どうせだったらここいらで「百合&BL」の話をちょいと掘り下げてみよう。

 以前から私は百合好きを表明しており、同時に「BL苦手」も表明している。今期なんて「黄昏アウトフォーカス」の1話目で「丁寧だし勉強させてもらえるかも」とか言ってたくせして早々にリタイアしてしまっているくらいである。そして、「なんで百合はおいしく摂取できるのにBLはダメなのか」ということについては常々悩み続けていたのである。しかしまぁ、自身に性の自認があるならそこに非対称性が生まれるのは当たり前のことで、そこを全く平等に扱うことが求められることだとは思っていない。

 また、もう1つのトピックとして私は以前から「百合作品でもより見応えがあるのは、その禁忌感に言及している作品である」と標榜していた。私に薫陶を与えた「ささめきこと」における純夏と汐の関係性に代表されるように、「こんなの普通じゃないからやめなきゃ!」と思いながらも抑えきれない情動。そして「クズの本懐」におけるえっちゃんの大暴走。「ダメだと言われるから余計に燃え上がる」みたいな部分にこそ、百合にしかないエッセンスがあると思ってそこを楽しみにしている。ただ、この話自体も今となっては危ない橋を渡っている言論であり、「そもそも同性愛が忌むべきものだという認識がなければそんな発想は出てこないのでは?」みたいなことを言われたら返す言葉がなく、時代に合わせて認識をアップデートしなければいけないものだと考えさせられる。一口に同性愛を取り扱うと言っても、いろいろな課題があるものだ。

 そして、そんな私の悩みに、この作品は「腑に落ちる答え」を与えてくれている。もちろん多様性は認められるべきものだが、そこに対しての社会からの視線は間違いなく存在している。(厳密にはまことの性自認についての言及はないが)今作ではその代表がたまたままことの母親だったわけだが、それ以外にも学校の人たちの最初の反応など、「女の子の格好をしてる男子生徒は変だ、気持ち悪い」という認識はどれだけ綺麗事を言っても何処かには存在している。それを全く無いものとして扱うのではなく、本作ではまことという主人公の自己言及のためのフィールドとしてきちんと存在させ、真正面から乗り越えるべき壁として設定されている。もちろんまこと1人では心許ないため、そこには咲という偏見ゼロの心強い仲間と、恋心にまで発展させた竜二という最大の親友も用意されている。特に竜二の「同性愛」要素の描写は非常に素晴らしく、彼自身が「禁忌感」に悩まされながらも、しっかりと自分の気持ちを伝え、まこととも望んだ関係性を(一時的とはいえ)実現させた上で、その後の両者の関係性も望ましいものだ。

 興味深いことに、今回の竜二の立ち振る舞いは、私目線で見ても非常に清々しいもので、純粋に受け入れられる感情だった。いつも「男同士の同性愛については、理解はできるかもしれないけど共感がないから……」と諦めていたのだが、今回の竜二の恋心については、とても自然で、切実で、納得できるものとして描かれており、そこにはもしかしたら「共感」も芽生えていたのかもしれない。まこと・咲・竜二の三者関係が本当に優しさに満ちた素晴らしいものだったことも、この妙な「三角関係」をドラマティックなものに仕立ててくれていたのかもしれない。皆が皆、それぞれに悩みながらも、最後には「自分」を見つけ、周りの偏見をぶち壊して進んでいく。そんな姿を描けたことが、今作の最大の功績であり、我々に与えらた1つの「答え」だったのだろう。そうだ、こういうものが見たかったんだ。

 あとはまぁ、これは完全に余談になってしまうのだが、世間的なBL作品って、ダイレクトに肉欲に結びつく作品が多すぎて忌避感が強かったんじゃないか、ということも考えましたね。「黄昏アウトフォーカス」も実際そうだったし、百合作品では肉体関係って最後の最後なのに、なんでBLってすぐに絡みたがるんだろう。やっぱ男性性ってそういうものだと見られがちなのかしら。そういう意味で、今作における竜二の思いやりは本当に沁みるんですよ。

 閑話休題、そうしてメインテーマの描き方が本当に私の「見たいものに沿う」ものだったことが高評価の最大要因。そして当然、映像のかわいらしさでポイントプラス、更に倍。へちょ絵とのテンポのいい接続が完全に武器として機能してましたね。天真爛漫な咲ちゃんのキャラにあのデザインがハマっていたのもナイス。このクオリティならそのまま劇場版に持っていっても成立してしまいそうだな。

 あとはまぁ、余談で蛇足だけどやっぱり中の人の話。個人的には永遠の推しである中原麻衣の仕事ぶりが素晴らしかったのが最高でした。最終話ではママさんの若かりし頃の(苦い)思い出が語られたわけだが、ちゃんと母親バージョンの中年ボイスから瞬時に女子高生に切り替わるのが匠の技。こんなママンだったら無条件で従ってしまいそう。

 さて、映画版ではここからどんな話につながっていくのか……って、多分咲ちゃんファミリーの話だよなぁ。あそこのおかんは本当に問題がない人なのかどうか。ここで更に余談で蛇足で無駄言なんですが、今回咲ちゃん母子の関係性はずっとハラハラしながら見守っておりました。というのも、過去になんか、「離れ離れに暮らしていた親と久しぶりに再開し、あんなやつと付き合うなという周りの苦言を無視して親と一緒に生活するようになったのに、結局そいつはガチクズだったもんで一気にバッドエンドに突き進んだ」っていう作品を見た記憶があるんですが……なんだったっけ? 割と有名な作品だった気がするんだけど、思い出せないんだ。……確かそっちでは親は父親でした。なんの記憶だったか、無駄に気になるので、分かった人は教えてください。

 
Amazonアフィリンク

拍手

SHY 東京奪還編」 ―→7

 好きでした(結論)。もう、それくらいでいい気もする。

 3期ないのかなぁ、と本気で願っている作品。この先のアニメ化が無いとしたら、流石に原作は押さえようかと考えている。それくらいに満足できるアニメだった。

 今作の意外なところは、いうてそこまで突拍子も無い何かが飛び出してくることはないということ。端々のガジェットになんか変なものは転がっているが、一番描きたいものは「ヒーロー」という存在であり、まっすぐな信念を貫くヒーローを描くのに小細工は不要。王道展開で描かれる友情・努力・勝利の物語は、今やジャンプですら稀少になった(かもしれない)少年漫画のど真ん中。ただそれだけの作品に、そこまでの高評価が与えられるってこと自体が結構なイレギュラーである。

 ただ、真っ直ぐだからこそその堂々たる立ち回りをしっかりと吟味できるってもんでね。分割にして蓄えた作画リソース、安藤正臣監督が的確な舵取りを行う構成。1話とて取りこぼしなく、狙った通りの方向に物語が現出している。実は2期に入って監督自らのコンテ回がなくなったのでゴリゴリの「イズム」みたいなものは多少薄らいではいるのだが、そこは任せられるスタッフがいるからこその采配。エイトビットはここのところ作品が渋滞してたもんだから品質が担保されるか心配だったのだが、ありがたいことに今作はちゃんと力を入れて作る作品として認定されていたようである(というか、他の作品もほとんど崩れはないのでエイトビットもいつの間にやら安定したスタジオになったもんである)。

 2期に入って最大の注目ポイントはなんといってもクフフさん。本当はメインで頑張ってる曖昧姉妹に注目しなきゃいけないんだろうし、実際注目はしてたはずなんだけど、今期分だけじゃなくて1期から継続して更にはこの先まで続いている「SHY」という作品においては、やっぱりアマラリルクの謎を抱え込んでいるクフフさんの存在が肝。ツィベタちゃんの一件で壊れてしまったかと思われたクフフさんの心が、むしろ「治って」きているような様子も見られるし、対話の相手がスピリッツだったことでこの世界の「善」なる部分も浮き彫りになっている。そして、それらのきっかけを作ったのは全てシャイの手柄。相変わらずの挙動不審でいまだに「らしくない」ヒーローのはずのシャイが、終わってみれば世界で一番のヒーローになっているという分かりやすい成り上がりの物語も気持ちの良いものである。まぁ、世界はまだまだ混沌に包まれているのだから喜べる要素はあんまりないのだけども……そこが見たいからこその3期プリーズなんだよなぁ。

 ちなみに今期は同時に「ヒロアカ」も放送されており、様子は全然違うが何か通底するものを感じさせる「憧れのヒーロー譚」を同時に視聴することができた。まぁ、クライマックスもクライマックスなヒロアカと比べる意味もあんまり無いかもしれないが、やっぱ日本における「悩めるヒーロー像」って、こういう痛みを伴うドラマで映えるのよな。どっかでデクとテルのコラボ漫画とか作られないもんですかね(その場合トガちゃんとクフフさんが掛け合いとかしてくれるんだろうか)。

 
Amazonアフィリンク

拍手

「恋は双子で割り切れない」 6→5

 今期ラブコメラノベ作品は「ヒロインよりママンの方がエロい(主に声が)」というカルマを背負い込まなければいけない運命だったのだろうか。え? お前のジェネレーションが単に親世代にずれ込んでるだけだって? 私も成長してるってことですかね!(ポジティブに行こうぜ)

 ちょいと残念ながら本作の評価についてはポジティブなままではいられなかった。何かと比べて作品を貶めるのはダサいやり方だが、今期は「義妹生活」というとんでもない作品が出てきてしまったせいで、どうしても比較してしまう部分があったのは可哀想だったかもしれない。どちらの作品も共通しているのは、手垢のついたテーマ設定を執拗に掘り下げることによって新しい時代のラノベ文化を築こうとしているフロンティアスピリット。その部分については今作も素直に評価できる部分で、「双子に挟まれてんやわんや」なんてありがちな設定の中、三角関係をお約束だけで処理することはせず、きちんと「2つの視点」の切り替えを機能させるだけの筋立てを構築できていた。双子の姉妹の似ている部分、似ていない部分をいちいち取り上げ、同じ枠で同一化させることを頑なに拒否しつつ、そこに抗いようがない姉妹の絆、腐れ縁みたいなものも描いていく。「双子」というレッテルだけでキャラを描くのではなく、1人1人の人間を描こうとする姿勢は非常に真っ当な小説形態だった。

 そこは評価できる部分だが、残念ながら私が見ていたのはアニメ作品である。アニメとしての良し悪しについて、大きく2つの観点から本作には減点があった。1つはもちろん映像品質。飛び抜けてショボいってことはないのだが、やっぱり現代アニメの中ではやや省エネの部類。特に細かい感情の機微が重要になる作品だけに、キャラ作画で労力を割かずに画面を作ってしまうとアニメ化した旨味はどうしたって薄くなる。

 そしてもう1つは、アニメーションに合わせた脚本構成が徹底できなかったこと。本作最大の特徴は、メインキャラ2人を中心とした、とにかく鼻につく会話劇。既存の創作物を繰り返し繰り返し比喩表現として引っ張り出すことで純と那織の2人の世界とどうしようもない繋がりが描かれるので不可欠な要素であるのは間違いないのだが、これがまぁ、アニメの台詞として聴いてるとクドいことクドいこと。1話目時点では個性として受け入れられる部分かと思ったのだが、この文法で終始埋め尽くされてしまうと、いくらなんでも受容のキャパを超える。台詞回しとして不自然な部分が多く、会話劇を中心とした作品での快適さはかなり犠牲になっている。まぁ、「訳のわからんこと言われても……」という受容についてはこちらの知識不足や判断の遅さも原因ではあるのだが、この負荷は多分十全に理解が及んだとしても大したプラスにはならない部分だろう。文字媒体で1つ1つ受け止められる小説原作なら成立していた文法かもしれないが、アニメになるに際し、もっと大胆に解体し、「アニメ版」を再構築すべきだった。そこの部分での手間を惜しんだことで本作はおそらく「文字媒体を垂れ流す映像」になってしまった。度がすぎたペダンティックはおかしみに繋がる場合もあるが、本作ではそこをプラス要素に転じるまでに至らなかったのが惜しかった部分である。

 こういうのを見ると、やはりメディアの違いって難しいな、とは思わされるわけだが、全部が全部アニメ化された際に一切の引っ掛かりがなかったらそれこそ脚本家業の大変さが素人には伝わってこないわけで、こういう作品があればこそ改めて考える機会になるわけで、感謝してもよいのかもしれません。あとはまぁ、なんやかんや言いながら本心では「まぁ、結局はまれいたそが衒学ぶった台詞を吐くのがいちいち違和感なんですけどね」というどうしようもない結論だったりする。久しぶりにメインキャラでガッツリ絡んだ大野柚布子が「せんせ〜」っていうのは好き。キャリさんが馬鹿キャラ(意外と馬鹿じゃない)なのも可愛くて好き。

 
Amazonアフィリンク

拍手

「菜なれ花なれ」 6→4

 さぁみんな、俺を倒しても第2第3の奴が現れる、P.A.WORKS大好きおじさんだよ! でも今期のおじさんはちょっと弱気だよ!

 「まよぱん」が今ひとつ乗り切れなかったわけだが、こちらも、うーむ。乗り切れてないねぇ。ただ、「まよぱん」の乗り切れなかったのとはまた違った理由があるのが悩ましい。まぁ、ざっくり「シナリオが弱い」ってのは共通してるとは思うのだが、今作は別にトリッキーなネタ回しなど求められておらず、女の子だらけのドキドキ部活青春ドラマを正面から描いてくれればそれだけで一定のニーズには応えられたはず。そこをどういうわけかポロポロと取りこぼしてしまった気がするのがとても勿体無い。柿本さんの脚本には一定の信頼がある、と思いたかったのだが……同じギスギスでも「MyGO!!!!!」の時とは随分違う表層的なギスギス。やはりバンドリフィールドのあの空気感を作り上げているのは綾奈ゆにこの功績が大きいということなのかしら。

 別にギスギス展開が悪いわけじゃないのだが、そこに切実さが感じられないと単に気分が落ち込むだけのお話になってしまう。今作で「なんか怪しいな」と思い始めたのはレコード屋閉店問題あたりから。あの話も杏那の個人的な問題がポッと出で立ち上がってきた割には「チア」というテーマとのつながりが見えにくかったし、解決もなんだかインスタントな印象。取ってつけたような「問題と解決」だったのが気になった。さらにそこからかなたと恵深の対立へと繋がっていくのだが、この時のかなたに向けてのチーム内のギスギスに関しては「何をそんなにイライラしてんねん」と理解が及ばない部分が多く、「取ってつけた」どころか「場にそぐわない」ギスギスに見えて受け付けられなかった。当然そこから派生する、最後の毬の騒動は言わずもがな。ギスギスがどれも散発的で、根っこの物語が見えない感覚とでもいうべきだろうか。個人的にピークは最序盤の小父内さんの正体判明回だったため、そこからさっぱり彼女にスポットが当たらず、消化試合みたいになってしまったのは残念。

 こうしたとっ散らかった印象ってのは、やっぱり「チア」というテーマそのものの難しさから来てるモノだと思う。単なるスポ根と違って勝ち負けの判断がやりにくくてお約束の部活的展開を構築しづらいというのが1つ目のハードル。今作は競技チアに焦点を当てたものではないのでその辺はなんと無く誤魔化しつつでも進めていたが、それでも部活との関わりを切るわけでは無く、何を持ってかなたたちの「目標」たり得るかが伝わりにくかった。また、競技の特性上どうしても描くべき人数が膨れ上がってしまい、焦点が絞りづらくなるというのも如何ともしがたいところ。ポンポンズとチア部という2つの団体を描くにはどう足掻いても尺は足りないわけで、終盤のチア部との関わり合いはもうちょい切り捨てた方がスッキリした気はする。

 一応のフォローとしては、映像部分に関しては良きデザインだったとは思う。独特の色彩設定やアートワークは既存の「P.A.らしさ」とは一線を画すものになっているが、柿本さんのサンジゲンとの繋がりもあってか、新しさを感じさせながらきちんと「アニメっぽさ」を保った良い匙加減。こういう仕事もできるということを見せてくれただけでも、P.A.的な意義はあっただろう。いや、今後この座組みで作品作るかどうかは知らんが。

 
Amazonアフィリンク

拍手

「キン肉マン 完璧超人始祖編」 6→6

 ま、現段階で評価する意味はあんまりないので暫定的に。

 でもファンとしては満足のいくクオリティだったのでスタッフには感謝しかないですね。リメイク作品がことごとく話題にならない昨今のアニメ業界、今作は厳密にはリメイクではないんだけど、おっさんのノスタルジーを強く刺激する部分が最大の売りという意味では、やっぱり話題にならずに朽ちてゆく可能性もあったのだ。そこをしっかりと話題作にまで持ち上げられたのは、原作の力もあるがアニメスタッフの愛があってこそだろう。漫画の製作にも作者以外の「愛あるファン」の力が大きいと言われているが、アニメも本当に周りの環境に恵まれた。ゆでは感謝せなあかんよな。

 一応今作の良い点を挙げておくと、まず映像クオリティが安定している。I.G.の制作なので正直あんまり心配はしていなかったが、それでもやっぱり現代風のアニメとしてビビッドに際立った画面がしゃきしゃき動いているのは嬉しいものだ。漫画ですら表現が困難な「嘘プロレス技」と言われるギミックの数々を力技でアニメーションにしてくれているスタッフの苦労が偲ばれる。さらに原作の余計な部分を削ぎ落として見やすい状態になっているので、入門作としても一定数機能しているというのは見るべき点。原作の方がゴリゴリに「オールドファン向け」だったのに対し、アニメの味付けなら新規層を取り込める可能性だってあるんじゃないかと期待している。

 いや、流石にそれはおっさんの願望が過ぎるか……キン肉マンの最大の悩みって、仮にこのアニメを見て「なんか面白そうじゃん」って思った若者がいたとして、原作コミック1巻を手に取ったら秒で挫けそうなところなんだよな……せめて我慢して超人オリンピックまで読んでくれれば……。

 
Amazonアフィリンク

拍手



忍者ブログ [PR]
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
ブログ内検索
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
ーーーーーーーーーー
↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
最新CM
[02/06 NONAME]
[01/30 NONAME]
[01/27 デュッセル]
[01/21 デュッセル]
[01/20 NONAME]
バーコード