最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
もう、何をどう観たらいいのかさっぱり分からない作品、第8話。「何かあるのかもしれない」という望みを繋いで必死に視聴は続けているものの、ここまで畳み掛けられると「何かあったとてよ……」という気持ちになりつつある。みなさんはどんな気持ちでこの作品を見守っていますか? 今回わざわざ記事を立てて取り上げたのは、カオス渦巻きまくる今作の中でも一際純粋で致命的な、努イズムが感じられるお話だったため。スタッフロールを確認したら案の定監督の1人コンテ演出回だった。こんなん作って精神に異常をきたさないかが心配だが、もしかしたら何年かに1度こういうことをやって吐き出さないとおかしくなってしまうタイプの人間の可能性もある。まぁ、大人しく眠っててほしいという気もするが。 いや、でもこの不条理は面白さと紙一重ではあるんだよなぁ……本当にさ、全盛期の水島努ワールドの1つである「ケメコデラックス」は毎週こんなことをやってるようなアニメだったし、そういう作風なのだということが分かってれば飲み込むこともできるというもの。今作だって1話目からひたすらに尺を詰めて詰めて切り詰めて、ひたすらに不条理を叩き込んでくるデザインだということはこれ以上ないくらいに明示しているわけで、受け止められないとしたら視聴者側に責任がある可能性もある。楽しめるならそれに越したことはないだろう。 しかし、残念ながら現状では私はあまり刺さっていない。今回の作劇は途中途中で「流石にあかんwww」というので笑ってしまったパートもあるのだが、やはりトータルで見た時の雰囲気は「滑ってないか?」という印象が強い。いや、滑るというか、あまりに不条理が大きすぎて理解することを放棄してしまっている、そんな状態かもしれない。仮にこれだけやって最後の最後に全ての不条理が覆り、条理に満ちた世界になったとして、それは果たして良いことなのかどうかも分からない。当初は「どこかに伏線があるのか?」みたいな希望を持ちながら見ていた部分もあったが、流石にこれだけのノイズとガジェットの中に何某かの伏線らしきものがあったとしても、「あったとて」なのである。もはや常人が追いかけようというモチベーションを維持できる密度ではないし、誘致要因を見出すのは甚だ困難だ。 とはいえ、先週・先々週のゾンビに比べれば私は今週の無茶の方が好き。なんというか……諦めがつくからね。半端に理性に片足を突っ込んでるようにも、狂気に振り切ってもらった方が「そういうもの」として受け入れやすくはなる。少し前に「SONNY BOY」という超問題作があったが、あれなんかは1部の隙もなく徹底して狂っていたおかげで「そういう世界だから」というのでただただ身を任せる決心ができたのだ。今作も早めにその状態になっておけばよかったのだが。 まぁ、今週の話が最高にイカしていたと手放しで褒めるような気も起きないが、せめてここからの後半戦、脳の嫌な部分を刺激するような中毒性がしっかり傷跡を残してくれることを祈りたい。……一番心配なのはやっぱ監督のメンタルだよ……。 PR 地蔵役でちょっとだけ出てきたヤングなんだったんだ、第4話。ヤング小野坂は危ういネタ回しを愛好するなど、水島監督とウマが合う人物。「アザゼルさん」のご縁ですね。 記事を立てておいてなんだが、現時点ではあんまり面白いと感じられていない作品。理由は色々と考えられるが、とりあえず画面の変化の乏しさというか、シチュエーションの変化が少ないことによる「飽き」の要素が一番強いかな。いや、先週のきのことか場面転換はしているといえばしているのだが、それとて結局は4人の女子高生のだべりという部分については大差ないシーンであり、前話以外のお話は基本的に電車の中がメイン。ロードムービーのスタイルなので回る先々でいろんな体験ができればそれでいいのだが、4人のトーク回しも正直あんま刺激はないし、一番期待していた「世界の常識がぶっ飛んだいろんな駅」が、今のところどれもこれも似たようなテイストになっているのが期待外れ。特に今週は一気に数駅を通過したわけだが、どれも「大量の○○が一気に襲いかかってくる」という展開で、オブジェクトが変わったとて体験としての差は生まれない。まぁ、30駅あるうちの3つ4つなのでバリエーションを無理やり捻り出す必要もないということなのだろうが……できれば「駅を訪れるおかしみ」みたいなものは物語序盤でもうちょい見せてほしいところ。先週の東吾野についても、なんか同じような話をダラダラ続けてる感じでパニックホラーとしてそこまでヒキがなかったのだよな。 ただ、そうして現時点では退屈な印象が否めないお話ではあるのだが、一応「まだ下準備の段階だから長い目で見ていろ」という期待がないわけでもない。まぁ、純粋に横手美智子&水島努に根拠なき期待を寄せているだけの可能性もあるのだが、例えば先週1話で切れてもおかしくないきのこの話が今週も引っ張られたように、各駅で展開された理不尽の数々のうち、どこが今後の伏線になっているか分からない。毎週冒頭に挿入される葉香との思い出話がどんな要素を積み重ねるためのものかは気になるし、少なくともスワン仙人の地図に何もないはずがないので(だよね?)、そうしたガジェットから最終的に描かれる完成図が読めないというのは一応プラス要素。まぁ、このままマジで何もないままに「ロードムービーで不条理な雰囲気を楽しむだけのアニメでしたけど、何か?」と言われる可能性もゼロではないのだが……そこは流石になんかやってくれ。監督には「BLOOD-C」で見せた暴虐を思い出して欲しい。 議論百出、最終話。さぁ、とりあえず終わりましたね、色々考えましょうか。とはいえ、今回新たに出てきた情報はそこまで多くはない。最後の最後でドカンとサプライズされた要素は2つ。 1つ目がこはるんの正体。彼女は純粋に学術的な興味からマッドにサイエンティフィックな研究をしているのかと思ったら、なんだか存外浪花節。あの神山さんの娘さんでしたか。確かに父親が見る見る年老いていくのを見たらじっとしてられないだろうが……親子そろって色々アグレッシブだし、なんか倫理観が歪んでいる連中である。こはるんの狙いは、納鳴村に潜入してナナキの存在をより具体化することで、神山のナナキを持続させ、彼に再び融和してもらうこと。一度手放したというナナキでも、もう一度村に戻って探し出せれば、神山が復活出来るかも、という考え方だ。でもなぁ、そもそも基本的に他人のナナキは見えないわけで、村に入ってもこはるんには神山のナナキは見つけようがないよなぁ。その他、モルモットでの実験を通じてナナキを強大化し、さらに使役する術まで見出していたのは立派なものだが、その方向性は元々の目的とあんまり噛み合ってなかったような……ひょっとして、途中から単にジャックやケツさん、颯人みたいに馬鹿な男を掌の上で転がす楽しさに目覚めちゃったんじゃないでしょうね。 結局、こはるんの思惑はただでさえ軟弱な颯人のせいで今ひとつの結果に終わり、たまたま連絡が取れたトランシーバーで父親との直接対決に至る。娘さんは必死に頑張っていたというのに、お父さんはどこ吹く風。むしろナナキを村の中に切り離し、自分の内面と外面を完全に分けたことで客観視が可能になって良い研究対象だと言い始める始末。ほら、やっぱりマッドだ。まー、余計なものを切って捨てることが研究者の心理的なストレスを取り除いてプラスに働くということは実際に有りそうな話だが……。でもさ、「自分の内面を切り出してそれを観察する」っていう納鳴村オリジナルメソッドは他の研究者が確認することが難しいよね……リピータビリティの低い調査・研究って学界においてあまり意味が無いのでは。親父さんの脳天気な発現にこはるんも腰砕け。何とか振り絞って出てきた言葉「すっとこどっこい」って、最後の最後で水島センスを爆発させたしょうもない結末であった。 もう1つの新事実は、謎だったレイジの正体について。これまで、こはるんの過去話も含めて彼の存在については色々と考察を繰り返してきたが、なんとまさかの「私にだけ見えるお友達」。そりゃわからねぇよ。真咲さん、1人だけ村に来る前から患い過ぎてませんかね。ハナから実在しないならその後見つからないのも、ナナキとして顕現しても特に齟齬が生じないのも頷ける……って、ちょっと待て。レイジが「真咲の理想を形取った存在」だったとするなら、じゃぁ何で最初に納鳴村に来たんだ? 元々「レイジに誘われて最初に村に来た」って言ってたはずなのだが……あくまで「そういう村がある」という情報を手に入れた真咲が、深層心理で「その村にいってみたい」と思ってたことをレイジが代弁してくれていたということか。でも、それだとしたら村の中で嬉々として調査をするレイジと、それに付き添うだけの真咲、っていう回想シーンはなんかおかしくないか? そして、そんな存在であるレイジが村に入ってナナキを見て逃げ惑い始めたのはおかしくないか? 言わば「真咲のナナキが生み出したナナキ」がいたわけだろ? もしレイジが非実在イケメンでしかないのなら、彼がナナキを見て逃げ出す、なんてシチュエーションは起こりえないはずなのだが……この部分の矛盾については、現時点で上手い説明が思いつかない。 細かいことは抜きにして、とりあえずこはるんの方はトランシーバーによって親子の話し合いがもたれて解決。その傍らで、クレイジーサイコなにかとして吹っ切れた颯人も、光宗が早口で諭して事なきを得た。あれだけババアナナキが肥大化したってのに、解決・退場がいともあっさりな颯人さんはマジで情けないな。そのついでに光宗は真咲に真実を話し、めでたくカップル第一号が成立。真咲はレイジを取り込んで現実へ戻り、光宗もそれを追う。彼のナナキは元々存在していた「時宗」が残った状態で新しく「なんか可愛いヤツ」を作り出す、二重ナナキという珍しい状態。神山さんに見てもらったら色々と研究が捗りそう。一応、先週導き出した「今の光宗が村に帰ったらでてくるナナキは真咲でなきゃいけない」という推論は、ちょっと変形しつつもちゃんと回収されていたのだからその部分はすごいかもしれない。結局、光宗の生み出すナナキってどっか可愛い部分があるので、多分光宗ってのはどこまでいっても割とファンシーな思考の人間ってことなんだろうなぁ。 残りはエピローグ。村に残る人、出る人。なるほど確かに全員が歩調を同じにする必要はないのか。「村に残れば廃人になる」というリスクがあるにも関わらず残った連中もすごいが、これまであんだけ苦労していた村の脱出をあっさり成し遂げた脱出組はもっとすごい。いや、そこはおかしいだろ。光宗たちはあれだけすったもんだした結果ようやく抜け出せたわけで、他の連中が何の苦労もなくスルッと村を抜け出せているのはいくら何でも。あいつら、ひょっとして何人かはナナキの「受け入れ」じゃなくて「切り離し」で脱出した奴らもいるんじゃなかろうか。数日後には参加メンバーの大半が急激に老化するオチじゃなかろうか。むしろ見てみたいぞ(熱帯夜さんを除く)。 居残り組は、こはるんがいてくれるし、なんだかんだでカップル第2号が成立しそうなヴァルカナさんも居残り組になったので、すぐに問題が起こることはないかもしれない。ただ、ナナキの剥離からの無気力化がどの程度の速度で進行し、どの程度普遍的な症状なのかによっても彼らの末路も変わってくるだろう。ちゃんと「自分の意志で」残りたいって言えた奴らは問題無いのかな。結局、こはるんのナナキが何だったのかは分からず終いだったなぁ。彼女は徹頭徹尾村から出る気が無いまんまだったので、彼女のナナキは「寂しがって」出てくる必要がなかったからね。ケツさんとジャックは諸々の問題を抜きにして純粋にこはるんの手駒になっただけのようなので、気力があるままで作業できるメンバーは意外に少なくない。彼らは、最終的に「初の納鳴村永住村民」になれるのかどうか。今後、また新たな来訪者があった時に、彼らはどんな風に出迎えてくれるんでしょうね。 退出組は、何の苦労もなく例のバスに乗り込み、まさかのあの歌を歌いながらのエンディング。だからさぁ、そういうところで訳の分からないこだわりを……この辺も水島センスだなぁ。ダーハラの都合のいい立ち位置とかもそうだけど、帰還組は結局現世に大して深刻でもない問題しかなかった連中ということになるので、より一層緊迫感もなければ、達成感もない。駄目な奴らの、駄目な共同生活の儚いメモリーなのです。個人的に一番の心残りは、結局ナンコさんがめざましい活躍を見せてくれなかったことです。最後の仕事が腕っぷしでジャックたちを叩きのめすことって、探偵の仕事じゃないよう。 色々ありました12話の物語、これにて一件落着(?)。ベタに締めるならば、「もし納鳴村が実在するとして、あなたは行ってみたいですか?」ってところかな。多分、俺が行ったらケツさんの隣で一緒に石矢を撃ちまくってそうなのでやめときますね。 こんなにもバスがリーサルウェポンになってるアニメってみたことないな、第11話。わざわざ3Dでモデリングされたバスが、色んなところで「格好良い」ポジションに登場。彼岸島の丸太のごとく、「バスが来た!」「でかした!」みたいな存在感がある。ちなみにバスのモデルに関して、本作を担当している水島努は劇場版ガルパンでもやたら丁寧にモデルを構築して大洗女子の面々を輸送していた。基本的に乗り物やら機械が大好きな少年マインドを持つ水島監督だが、この辺の描写にもこだわりが表れているのかもしれない。 さぁ、残り話数もあとわずかということで、また1つ大きくどんでん返しが展開された。前回の「解答編」の提示を受けて私としても色々と解釈をこねくり回していたのだが、当たっていた部分、外れていた部分がいくつかあるので、そのあたりをまとめておこう。 まず、ナナキというのが予想以上に包括的な存在だったということについては、前回も確認された通り。ホラー描写が付随したものだけでなく、運転手における娘さんもナナキであり、よっつんが見たナナキが両親だったことも明かされたが、こちらも別にホラー要素は(最初は)なかった。また、今回運転手の娘さんと「同等の存在」として新たなナナキ、「レイジ」の存在までが明かされた。これが今回最大のサプライズになっており、彼の存在定義がグルリと反転したことで、前回まで見えていた構図が色々と入れ替わっている。そもそも「ナナキが見えていない」ということを根拠にして魔女だのなんだのとやり玉に挙げられていたのが真咲だったわけで、そんな彼女がもしっかりとナナキを生み出していたことが判明し、これで村における特権的な立場を持つ人間はいよいよ一人だけになったのである(もちろん、聖母こはるんのことである)。 ややこしいので真咲のことについて先に考えてしまおう。現時点で、彼女の過去に何があったのかは正解が出ていない。彼女が語った「レイジと一緒に納鳴村の調査に来た」ことは事実であろう。この時点でのレイジがナナキだったとすると、彼女が村に来る動機がなくなってしまうので話が成立しない。彼女は間違いなく「本物の」レイジと一緒に納鳴村を訪れており、そこで彼女の回想の通り、レイジが何らかのナナキを目撃し、パニックになって散り散りになった。おそらく、その時点では真咲はまだナナキを生み出しておらず、村との接続が無かったために一度は外界に放り出されたのだろう(そのような事例が他にあるのかどうかは定かでないが)。そして、接点を失ってしまった彼女はどうにも村に入ることが出来なかったが、この度こはるんの企みによって他者の力を借りて再び納鳴村に入ることに成功した。以前の真咲はナナキを生むに足る「感情」を持ち合わせていなかったのかもしれないが、今回は明らかに人生の転機となる「レイジとの別れ」という負の感情を抱えた状態で村に入っており、このタイミングで、他の人間のナナキと一緒に、新たなナナキ「レイジ」を生み出した。運転手の娘同様に「怒り」「恐怖」といったマイナスの感情を持たず、ただ一身に「会いたい」と願う気持ち、そして、強く焦がれていたにも関わらず自分の力不足のために思い人と別れてしまったという自責、そうした気持ちから生み出されるタイプのナナキは、他のナナキのようにホラー要素を含まず、純粋に「会いたい形」が形成されて生み出される。今回運転手の娘が自分語りしていたように、「偽物」は間違いなく「偽物」であるが、本物同様に感情を持つことが出来るし、独立思考も可能な個体となって現出する。その結果、運転手親子は互いの思いを確認し、運転手自身が自責と後悔を受け入れることに成功したために、ナナキを回収することが出来た。同様の存在として生み出されたレイジは、真咲の願いの通り、納鳴村を調査する理知的な青年として現出している。ただ、運転手の娘と違っているのは、そのレイジは自分が「偽物」であることを認識しているため、今回光宗が涙を流した通り、「このレイジが偽物である」ことを真咲に知られてしまうと、彼女を悲しませることも知っている。そのため、意思を持ったナナキとして生まれながら、彼女に直接会いに行くことをせず、他のメンバーとの接触のみを持ち、何とか真咲たちメンバーを無事に村から送り返そうと苦心しているものと思われる。確かに、前回彼が辛そうに自分が「既に無いもの」であると語っていたことと符合する。もちろん、本物のレイジが現在どこでどうなっているのかは、誰にも分からない。 さて、こうして真咲が特権的な立場であったという事実が覆されると、あとはもう横並び一線のはずだが、メンバーの中にはまだ有意差が残っている。それが「村の出入り」に関する情報である。このあたりはまだふわっとした部分があるのではっきりしないことも多いが、せっかくなのでまとめておこう。まず、村に「初めて入る」条件は、そこまで多くないようだ。神山が言うには「霧」とかなんとかの準備はあるようだが、それ以外の条件を強いて挙げるなら「心を持っていること」が必要だろうか。そして「村を出る」のに必要な条件はただ1つ、「ナナキを消す」こと。この「消す」には2つの選択肢があり、1つは「ナナキを受け入れる」パターン。この成功事例には今回妙な存在感を見せたよっつん、それにダイナミックな活躍を見せた運転手の2人がいる。よっつんの場合、見えていたナナキは最終的にホラータッチのものだったが、「川流れ」のタイミングで死を覚悟し、そのついで(?)に自分のこれまでの人生を振り返り、その上で「口うるさい親」や「他の分野に逃げようとした自分」の全てを受け入れた。つまり、ナナキを恐れの対象としてみていた自分を改め、恐れではなくしてしまった。これによってナナキは彼の心に戻った。また、運転手も同様にして「これまで娘との別れを見ないようにしてきた自分」を悔い改め、全てを引っくるめて自分の人生だと認めることで、ナナキ自身から卒業証書を手渡され、娘は彼の一部へと還った。この2人は貴重な「帰還者」として、一切心的ダメージを残さずに村の外へ出ることが出来た。 対してもう1つの「ナナキの消し方」は、ナナキを完全に自分の外に置いてしまうこと。いわば「人の心」を外に捨て、これまでの自分の恐れも後悔もなにもかもを投げ捨てて他人事にしてしまう。このパターンで村を出たのは神山さんだけで、彼には「老化」という重いペナルティが科されている。「自分」を失ったはずの神山が何故納鳴村の回りで見張り番のような仕事をやる気力があるのか、っていうのはちょっと違和感のある部分なのだが、そこについては一応「なんか、贖罪みたいな気分で」という適当な説明は本人の口から語られていた。 そして問題になるのが、この「受け入れる」「切り離す」のどちらとも言えない状態から村の脱出を実現させた光宗である。彼の場合、最初に村を出たときの立ち位置はおそらく「切り離し」の方だったはずだ。ヴァルカナと一緒に戦った彼のナナキは非常に小さくなっており、既に「心」が弱い状態、そこから夢うつつのままに村から転げ落ちた彼の症状は、おそらく「切り離し」に近いものだろう。しかし、偶然にも彼は村の外で父親と話す機会を得て、そこで自分のナナキにまつわる過去を全て洗い流すことになった。父親からの謝罪、母親の気持ちの吐露。そうしたものを聞くことで、本来なら村に置いてきたはずのナナキ、「時宗」が、彼の中で急激に意味を失い、「心的外傷」としてのインパクトを失ってしまったのである。こうして「切り離してきたはずの大切な『自分』が、外的要因によって不必要になる」というパターンは神山も扱ったことがなく、「なんだか半端な状態」と評していたのではないかと想定される。 さて、こうして幾人かの「脱出者」が存在するわけだが、ここでもうひとつの課題は、「再入村」についてである。神山は既に村に入る権利である「自分」が無いために、どうあがいても村に入ることは出来ない。よっつんや運転手は、ナナキを受け入れた上での脱出だったので、改めて入ることが出来るのかどうか。そして、その中間に位置する光宗は、最初は村に入ることが出来ないような状態だったはずだが、ミラクル・バスアタックにより入村が可能になった。これは例によって勝手な推測だが、真咲にとってのレイジと同じ状態、つまり、新たに「心の中にナナキに値する存在」が生まれたために改めて入ることが許されたのだと考えられる。まぁ、そうなると新たに光宗が生み出すべきナナキは「偽真咲」ということになってしまうわけだが……。次回の展開で運転手とよっつんがどうなっているかで、この辺りの問題はまた変わってきそうだが。 村の出入りについての情報はこれくらい。残った問題は、村の中でバタバタしている有象無象について。もう、ほとんどの人間はナナキレスの状態が進行してどうにもならなくなっている。精力的に動けるのはチームナンコの3人とヴァルカナさん、そして聖母率いるケツジャックコンビくらいのもの。ヴァルカナさんは、ケツさんから「お前、利用されるだけされたけど愛想つかされたぞ」とばらされてとんだピエロに。いや、ヴァルカナさんが悪いわけじゃないんや。「思ったより善人だった」ってのは一応褒め言葉だし。つまり、こはるんが現時点で引っ張り回しているのは悪人、もしくは「扱いやすいヤツ」。ケツさんが漏らしていた「より大きなナナキを生み出す」という目的が本当なのかどうかはよく分からないが(だってケツさん頭悪そうだからこはるんの真意なんて察することが出来なそうなんだもん)、少なくとも彼女がより積極的にナナキを生み出し、その変化を観察したがっているのは事実だろう。 そんな彼女は、光宗を泥棒猫に奪われて傷心状態の颯人という格好の獲物を見つけてキャッチへと動く。おそらく彼女は社会学的見地よりも心理学的な部分からナナキに興味を持っているのだろう。切羽詰まった状態の颯人を言葉巧みに追い込む手管は、完全に彼の心を掌握している。颯人は本来なら決して頭の悪い人間ではないはずなのだが、そんな彼が思い悩んでいる光宗の問題について、「理解→共感→言語化」という3つの段階を踏んでいるのが興味深い。とりあえず心に負荷を抱えている人間には「分かる」と適当に言っておき、涙を見せることで「自分がそちら側の人間である」という姿勢をアピールする。ここまでなら単に相槌を打つだけのコミュニケーションであるが、その後、彼女ははっきりと彼の「思っていること」を言語化し、彼に突きつけるという行程を踏んでいる。これにより、彼が自分の内側にだけ抱えていた事実が、「他者の言葉」を介して現実になってしまう。「もしかしたら自分の思い込みではないか」という迷いを奪い、第3者から具体化されることで「思い」が「事実」にすり替わる。たとえるなら「頭が痛いかも」と思っているだけなら「気分」で済む段階だが、これを自分の口で「私は頭が痛い」というと、本当に痛いような気持ちになってくるし、これがさらに他者によって「あなたは頭が痛いんだね」と言われると、より確固たる「事実」として埋め込まれ、本当に頭が痛くなる、そういう状態である。こはるんは、ナナキをより具体的な形にするために、颯人を追い込み、自分の心から逃げられないようにしてしまったのである。まさに聖母。彼女の茶番を見ているだけでもゾクゾクしてしまうのは、相変わらず私がマゾ気質だからなんでしょうね。これ、こはるん役の佐倉薫っていうキャストがすごくいい仕事してるなぁ。 だいぶ長くなってしまったのでこのあたりにしておくが、他にも「どうやってジャックやケツさんが彼女の軍門に下ったのか」とか、「今後ナンコさんは探偵っぷりを見せるチャンスはあるのか」とか色々気になることは残っている。ラストに向けての焦点は、いかにしてこはるんが目的を成就させるか、あとはなんだかんだと微妙なポジションに甘んじている光宗が最後に主人公らしい立ち位置を確保出来るか、あたりかな。あと、個人的にはヴァルカナさんの幸せな結末も見たい気もするんだけどね。良い人なのは間違いないので、このままピエロで終わって欲しくはないなぁ。美影さんはらぶぽんと一緒にどこまでも転げ落ちて結構。 さぁ、まとめに入っているぞ、第10話。下手したらこのままのドタバタ展開で幕を閉じてしまうのではないかという危惧も正直あったのだが、流石にここはしっかりとどんでん返しを用意してきましたね。おかげで結末がどうなるのかはまったく予想がつかないのだけど。 まとめに入ったということで、基本的にはここまで経験的に構築されてきた「物語の内実」について、外部から保証を与え、確定していく作業が展開されている。答え合わせのための便利なオブザーバーとして、以前真咲の回想にのみ登場していた「神様」こと神山さんが正式に参加。そのこと自体は8話の時点で予想出来ていたことだが、立ち位置は「納鳴村の一部」というある種の敵対関係ではなく、光宗達と同じように納鳴村に挑んだという、「答えを掴んだ先輩」であった。同様に「答えを掴んだ先輩」としてはレイジという存在もいるが、彼が果たす役割は神山とは多少異なっている(後述)。 さて、今回はっきりと定義された村の真実について、ここでまとめてしまおう。まず、これも前回の分析通り、レイジの残した「ナナキ」という言葉は村の「現象」そのものをさす言葉であった。「悲しさや寂しさ、怒りや苦しみ」といった人間の負の感情が具象化されて登場するというのが「ナナキ」の正体であり、今回神山からこのことが告げられたということは、もうこのことに関しては疑いようのない「事実」と認識して良いということだろう。つまり、この作品世界は納鳴村にナナキという超常現象が発生するという1点だけが現実と異なっているのだ(正確には、リオンの霊能力も現実と乖離した部分であるが)。 ナナキに関してはこれまで観てきた通りだが、小さな修正点が1つ、それに大きな追加情報が1つ。まず修正点であるが、ナナキとして具現化する対象は「畏れ」に限られたものではないということ。つまり、これまで「現象」として一括りにしていいものかと懐疑的だった運転手の娘の幻影も、立派にナナキの一部だったということ。また、今回久方ぶりに登場したよっつんもナナキを見ているわけだが、彼のナナキについても(詳細は全く分からないものの)少なくとも畏れるようなものではなかったように見える。「時宗」やグロトーマス、颯人のババァなんかと違ってホラー要素が介在しない純粋な「悲しさ」「寂しさ」を元にしたナナキも存在しているのだろう。その人自身が抱える最も大きな負の感情がナナキとして選ばれるのだと思われる。そう考えると、運転手が純粋に娘のことだけを人生の重荷としていたことは理解出来るが、よっつんはホントにものすごく適当な人生を歩んできたので大きな悲しみや畏れを抱えずに生きてきたってことだろうな。 さらに、今回のストーリー展開をはっきりと決定づけた重要な追加要素として、「ナナキ」は「映し身」ではなく、「本人から切り出されたもの」であるという事実が発覚した。心の中の恐怖を「映す」のではなく、心からそっくり切り取って、それが形を成したものがナナキ。これまでは「打ち勝てば大丈夫」と思われていたのだが、実際は「自分の一部と戦っていた」ことになり、ナナキを打ち倒すということは、自分の身体の一部を打ち消してしまうことに他ならない。神山は、情熱の中心であった「学論への思い」をナナキとして切り出し、それを自分と切り離し、決別することに成功してしまったがために、身体がそのギャップに耐えきれずに一気に老化してしまったという。 ただし、全ての人間がそのような変化を起こすわけではなく、「一部」を切り出し、そのまま離散させることによって出る影響は、「無気力化」というのがより一般的な形であるようだ。この「失われた感情」の代表者として現れたのが、真咲の連れ合いだったレイジだ。彼も神山同様に納鳴村の調査に熱意を燃やす青年だったはずなのだが、長らく村に滞在することで自らのナナキを切り出すことに成功してしまったのだろう。村から出ることも叶わず、真咲との間にも何の感情もなくなってしまった。彼の姿は、「このまま放っておけば現在村にいる大多数は似たような状態になる」という分かりやすいサンプルだ。ナナキを切り離して随分時間が経過した滞在組の面々は、既にかなりヤバい段階まで「切り離し」が進行しているようである。 ちなみに、それ以外にもはっきりと「切り離し」を終えている人間がもう2人確定している。それが真咲と光宗だ。真咲は過去にレイジと来た際に既に「切り離し」を終えていたのだろう。再来時にナナキが発現せず、何も襲ってこないことがそれを裏付けている。しかし、彼女は老化もしていなければ気力を失っている様子もない。どこか不安定な部分はあるが、他の「切り離した」人たちとは様子が違うのだ。また、光宗についても、村の外に脱出出来たことから「切り離し」が終わったことが分かるが、未だ変化は出ていない。この2人に共通しているのは、「切り離され」た後でも、再び村に戻ろうとしたこと。真咲はレイジのため、そして光宗は真咲や颯人のために。この「再帰」というのが、何かこの2人を特別たらしめる理由になっているのかもしれない。なんか格好良い風に解釈すれば、「ナナキを切り離したのではなく、自分の中で消化しきったおかげで乗り越えられた」みたいなことなのかなぁ。まぁ、光宗が時宗を乗り越えられたとも思えないのだが。 さて、こうして状況がはっきりしたことで、今回のツアーの目的までもがはっきりしたのが今回の最大の焦点である。神山は納鳴村の調査に挑み、事実を掴んだにも関わらず学会からつまはじきにされた。レイジは納鳴村の調査に挑むも、そのままナナキを切り出されて再起不能になった。納鳴村の正体を掴むためには、単身で謎に挑んでも有効な手掛かりを得ることは出来ないのだ。それでは、納鳴村の真実を暴き、学問的な功績として立件するにはどうすればいいのか。そう、自分は全てを理解した上でセーフティゾーンから観察し、「ナナキの影響」がはっきりと残ったモルモットを村にぶち込んで観察記録を残せば良いのだ。多数の検体を自分のそばに置き、逐一記録を残しておけば、それは立派に科学的なフィールドワークとして成立する。この「ナナキ実験」を実行に移した第3の研究者、それが、今回の黒幕・こはるんだったわけだ。彼女はバスツアーの形で大量の「トラウマ持ち」を村に連れ込み、大量のナナキの切り出しに成功した。ナナキ自体は他者には見えないが、ナナキを切り出されて変化する人間を観察することは可能である。もちろん、こんな形で無理矢理押し込んだら村から逃げ出す人間もいるだろう。そうなってしまえば、自分の非人道的な計画が明るみに出るのでよろしくない。手駒としてシリアルキラーのジャックを子飼いにし、「逃亡者の取り締まり」にあてていたのはおそらくそのためだ(ケツさんはおまけだ)。彼女にとっての誤算はおそらく、真咲という「出戻り」が存在していたことだろう。これによってナナキについての情報が予想外の方向から入り、光宗という不穏分子を生み出してしまった。しかしまぁ、一度村に入って「切り出し」が行われてしまえば、光宗だって行動不能になる可能性は低くないわけで、まだまだ彼女の計画は破綻したわけではない。今にして思えば、彼女が「村への滞在」にこだわるヴァルカナさんに肩入れしていたのって、すごく分かりやすい裏工作だったんだなぁ。 彼女に対するは、新たに「出戻り」となった光宗、レイジから村の真実を手に入れることに成功したチーム・ナンコ、そして、未だ行方の知れない真咲。残りの話数で、この村はいったいどういう結末を向かえるのだろうか。まだまだ予断を許さない状態だぞ。 颯人のとこのババアの顔が怖すぎるんですが、第9話。私、最近は(冒頭の注意テロップを無視して)部屋を暗くしてアニメ観ることが多いので、正直マジでトラウマものの怖さでした。時宗とかトーマスみたいにもうちょっとファンシーなノリを残した状態で出てきてくれよ。 混迷極める展開が続く。残念ながらアニメーションとしての作画の質がどんどん下がってきてる感じがあるのでいまいち真に迫って入り込むことが出来ないのだが、映像が追いついてないのは色々と詰め込みまくって演出が処理し切れてないってのもあるんだろう。本当に莫大な人材と予算をつぎ込むことが出来れば、1つ1つの心情面でもう少しキャラに寄せることも出来てるのだろうが……まぁ、ここは開き直って「こういう企画の設計図」としてこの作品を追いかけて行くしかない。話だけ見てればやっぱり気になるのは事実だし。 話は絞り込まれており、今回は美影軍団がほとんど登場せず、クライマックスに向けての中心人物は選別された感がある。まず、当然中心となっているのは光宗と真咲のカップル(仮)に颯人を加えた、いかにもアニメの主人公チーム然とした3人。最初はそこに運転手もセットだったのだが、あっという間に煙のように消え失せてしまった。今回一番違和感があったのはトンネルを巡るあれこれだ。ここまで何度となく登場した「トンネル」だが、あれって納鳴村には複数存在していると考えた方がいいのだろうか。それとも、今回バスが突っ込んだトンネルと最後にナンコたちが入ろうとしたトンネルは全部同じものなのだろうか。確か最初に山歩きチームが化け物パニックになったトンネルって線路が敷かれてたような気がするので、どうやら複数個のトンネルが口を開けているようなのだが。山歩きの時は色んなところを巡り巡って疲弊した状態でトンネルまで辿り付いていたけど、今回ナンコは散歩気分で雑談しながらあっという間にトンネルについていたし、バスで向かったトンネルに至っては、あの場に同行していなかったはずの運転手が独断で向かえことを考えると、「彼が村までバスを引っ張り込む時に認識した」と考えるのが自然な気がする。まぁ、おそらく納鳴村と外界の境界ってのは非常に曖昧な領域になっていると思われるので、複数のトンネルが現出するのも1つの現象と処理してしまってもいいのかもしれない。とりあえず、「中では必ず現象に出会える」ってのは共通認識のようだけど。 実際、バスが激走しているトンネル内で光宗は時宗を、そして颯人はババアを目撃している。それでは運転手はどうかというと、彼は死んだ娘を見ている。以前の考察で「運転手の見ている娘は、『現象』とは異なる事象だ」という判断になったのだが(主にホラー要素が介在していないため)、結局あれも現象の一部なのだろうか。あまりにも他の連中とテイストが違い過ぎるんだけども。とにかく、トンネル内部でのごたごたのために、あっという間にパーティーは解散だ。「窓の外からババアが迫ってくる」という状況で颯人が「このバスから出してくれ」と言い出すのはどう考えても違和感しかないのだが、まぁ、あそこは「運転手と他の3人を引き離すための段取り」として不自然なのはしょうがないのだろう。結局、無事にトンネルを抜けられたのは3人。そしてそこにはレイジのものとおぼしきメッセージも刻まれている。「ナナキを受け入れろ」の「ナナキ」は、素直に考えるならば一連の「現象」のことだろう。ここからは勝手な推測だが、「ナナキ」とは例えば「戦慄く(わななく)」とか「嘶く(いななく)」みたいな語からの派生じゃないかね。まぁ「わ - ななく」と分解するのはおかしいのだが、一応「いななく」の語源を調べると「イ」が馬のことであるとされているので、「ナナク」の部分に「震える」「恐れる」みたいな意味を当てはめるのはあながちでたらめとも言えない。とにかくそんな「トラウマ」のことを「ナナキ」と言ってるんじゃなかろうか。 さておき、こんな伝言が掘ってあるということは、残念ながらトンネルを抜けてもそこはまだ納鳴村の一部だったということ。てっきり「トンネルを抜ければ外」だとばっかり思っていたので、さらに「もう1つの納鳴村」に続いているのは意外だった。村の構造は最初のものとさほど変わらないが、大きな工場跡地があるなど、多少の差は見られるか。レイジのメッセージを素直に受け入れるなら、こちらのフィールドの方がステージ2というとらえ方も出来そう。未だ言ってることが要領を得ない真咲はやはり隠し事があるらしく、ここで露骨に光宗とは別行動に。直前になんだかラブっぽい展開を見せていただけに、「それでもやっぱり裏切るんやな」というあたりはなかなか容赦無い。結果的に2人きりで残ってしまった光宗と颯人はここで関係性に1つのけじめを付けることになり、颯人さんは遅ればせながらのトラウマカミングアウト。まぁ、分かりやすい親子関係のトラブルやな。既に面倒の極みである光宗の事例が出てきているので大したインパクトはないが、中高生の人生の悩みなんて言ったら大体は家族関係よね。村に来てからは終始テンパり気味だった颯人はあまりの状況に判断力が落ちていたのか、まさかの「隷属対象」である光宗の前で全てをカミングアウトしてしまい、無茶な関係性だと分かっていながらも「これからも俺に従順でいろ」とあり得ない申し出。トラウマ絡みで色々溜まっていた光宗には当然のNOを突きつけられ、颯人さんは依って立つところを失ってガタガタに。やっぱ基本的に駄目なやつだよな。 すがりつく颯人を振り払って真咲捜索に繰り出した光宗だったが(それまで忘れてたのもひどいが)、霧深い町中で出会ったのはまさかのヴァルカナさん。彼の「化け物に遭ったけど思ったより勢いが無かったから逃げ切れた」という発言は彼岸島みたいなシュールな趣がある。まぁ、後でナンコさんが言ってたように、各々の中でトラウマの処理が進んでいるという証拠なのだろう。ちなみに、ヴァルカナさんは「ケツさんに支持を出していたヤツを追いかけてここまで来た」と言っていたわけだが、その途中でトンネルを抜けてきたのかどうかが定かじゃない。何せ、トンネルの出口にはバスが停車していたはずで、決して馬鹿ではないヴァルカナさんなら、あのバスを見て近くに光宗たちがいることは予期できたはずなのだ。しかし実際にはかなり面食らった様子だったことから、彼はバスを見ていない可能性が高い。つまり、やっぱりあのトンネルは通っていないのだ。トンネルが複数個あることの証左である。そんなヴァルカナさんは「会議室の机の木目」という何ともニッチな部分からのトラウマ発現だが、まぁ、何に嫌気がさすかなんて人それぞれですからね。幸いにも「思ったより勢いが無くなった」現象を相手に、ヴァルカナさんは何とか勝利。光宗は勝利どころかペンギンの後を追いかけて三途リバーみたいなところを渡っちゃう始末。ホント、みんなして極限状態で散り散りになるの好きだよな。光宗はみまかってしまうのだろうか そして、最後にもう1つの動きを見せたのがナンコさん率いるリオン、マイマイの3人組。「トラウマを解消すれば村を脱出できる」理論を独自に展開するナンコさんは、さらに「推理」でもって各々のトラウマが力を弱めているところまで洞察する。そして、トンネルにみんなで飛び込んで荒療治を行うというプランを立案。マイマイは完全に巻き込まれた形だが、確かに彼女が目撃したという「でっかい光宗もどき」が現象の中では一番ショボそうだし、最悪でも死にはしないだろう、くらいの計算もあったのかも。しかし、トンネルに飛び込む前に再びの石矢。今回の狙撃手はなんとあのジャックだ。おぅ、生きとったんかワレ。いや、生きてるとは思ってたけどさ。ケツさん同様の武器で狙撃してくる様子を見ると、彼らに指示を出しているのは同一の存在である。最初はてっきりジャックがケツさんを脅して狙撃をさせているのだと思っていたのだが、ケツさんはジャックの言うことを素直に聞くとも思えないし、「あの人」みたいな言い方はしないよな。ジャックもケツさんも、山の中で路頭に迷っているところを何者かに保護され、村を出ようとする者、もしくは村以外の何か重要な施設に近づこうとする者を狙撃するように命じられていたのだろう。そしてそれが誰なのかと言われれば、まぁ、最後に登場したレイジが一番可能性は高いわけだ。もしくは真逆で、レイジはそうした「何者かを守らんとする勢力」に対してはレジスタンスとも考えられるが。とりあえず、これでようやく「メンバー以外にも事態に関わる人間」が明示的に登場したことになる。先週登場した神山の存在も考えれば、そろそろ「村の意味」の説明がなされてもいい頃合いなのかな? 本作も既に9話目ということで、そろそろゴールを考える時期に来ている。軽々しく「ゴール」という言葉を使ってみたが、今作におけるゴールが何であるかは案外難しい問題だ。単に村を脱出するだけでは意味が無い。そもそも世を捨ててやってきた連中なわけで、脱出を望まない人間もいるのだろうし。ここではやはり「旅の目的地」が必要なのだ。それは光宗たちにとってもそうだし、我々視聴者が見届ける物語としての「目的」地も必要だ。納鳴村とは何だったのか、そして彼らはそこで何をなし得たのか。それらが紐解かれて初めて、この物語はゴールに辿り着ける。果たして、そこに望まれた姿はあるのか。ドキドキしてくるよなぁ。 予想外過ぎるオチ、第8話。あれ? 今作ってひょっとして1人も死人が出ないハートフルストーリーなのでは? そこまで大きな動きがあったわけではない今回、メインとなるのは真咲の過去話だった。正直、現段階では彼女の話のどこまでが真実なのかを探る手段はないが、映像で語られていたエピソード自体は疑う余地がない。いや、一緒にいるメンバーからしたら単に話を聞いているだけなので信じるかどうかは別問題だが、我々視聴者からすれば、わざわざ映像になって語られた事象を疑う意味はないだろう。つまり、彼女は「何らかの関係性を持った」レイジという男性と一緒に過去に一度納鳴村を訪れたことがあり、帰路の途中でレイジが「現象」に遭遇し、その結果別れ別れになった。ここまでが真実だ。また、2人の物語に注目すると忘れがちであるが、道中で2人が「納鳴村に近づくことを警告する老人」に出会っているというのも重要な新出情報である。この老人はわざわざ「神山」とエンドロールでクレジットされており、「現象」のような非存在ではないし、ちゃんと意味を持った登場人物であることが(メタな情報ではあるが)含意されている。神山は納鳴村と思われる方角から、ちゃんと車が通れる幅がある路を軽トラックで走行しており、明らかに納鳴村のことをしり、そちらからやってきたように見受けられた。つまり、これまで一度たりとも発見されなかった「納鳴村の住人」、少なくとも「納鳴村の真実を知る者」である可能性は高いわけだ。一応、納鳴村が付近の地域では伝承のように語り継がれ、それこそ過去の妖怪譚に登場する「迷い家(まよいが)」のような存在であるという可能性も考えられるが(その場合、神山は単に近隣住民であるということになるが)、こはるんやレイジのように必死に伝承を調べていた人間がなかなか有効な情報を得られていなかったことを考えると、そうした住人がいるというのも考えにくい。神山の存在は、今後のシナリオでも注意すべき情報である。 しかし、真咲の情報で確定しているのはここまでだ。一番の問題は、彼女がレイジと別れたあとにどこで何をしていたのかが定かでないということ。美影のように新聞記事に載っていた真咲と同一視するのは一足飛びなのでやや安直な気もするが、帰宅もせずに近隣に滞在して村探しをしていたというのはやはり違和感がある。彼女の話しぶりからもこの部分にはまだ何か含むところがあると思われるため、真咲も今回の一件で完全に綺麗な身になったとは言えないだろう。レイジという存在もまだひっかかるもので、本当にいとこなのかどうかも分からないし、演出上、彼の顔が一度も画面に映らなかったことも気にはなる。流石に既出の登場人物の1人と同一だ、なんてことは無いと思うが、一応、「もう1人の納鳴村探索者」としてのレイジも今後に関わるキャラといえるだろう。 こうしてまとめると、現在分かっている真咲の独自ステータスは「脱出者」であり「リピーター」であるということだ。そして、彼女だけが村を出られた理由については、どうやらナンコさんの推理が良い線いってるようである。「村を出ようとしても『現象』に阻まれる」→「『現象』さえなければ脱出出来る」というのは素直な考え方であり、真咲が他の面々のように余計なトラウマ持ちでなかったからこそ独自の地位を確立出来たというのは面白い。また、このことが事実だとするなら、今回村を再訪した彼女が再びトンネルの中を自由に動けた(光宗が時宗に遭遇した際にも一切影響を受けなかった)ことは、現時点においても彼女が現象に遭遇しない立場にあることの表れである。ここで気になるのは、「じゃぁ彼女はレイジとの別れに心を痛めていなかったの?」という部分。話だけを聞いていれば、「巨大なレイジ」とかが登場して路を阻んでもおかしくない状況だとは思うのだが……。また、これだけ不安定な情報しか得ていない彼女が、さも全てを知っているかのように光宗をトンネルに導き、そこからの脱出を促したことは一番引っかかる要因だ。彼女がこれまで村で行ってきた不審な行動は、今回明かされた過去話だけでは説明がつかない部分が残されている。多分、まだもう1ピース何かが残っているのだろう。 真咲についての情報は、作中の人物よりも視聴者の方が得ている部分が多いくらいだが、それでも分からないことは残っている。そんな状況では、当然メンバーたちが真咲の扱いを巡ってごたごたするのはしょうがないこと。現時点では光宗とこはるんくらいしかいない真咲擁護派は不利な状況で、らぶぽん・美影を筆頭とした真咲バッシングの勢いは強い。残りの連中は単に状況に流されているやつがほとんどだが、前回も書いたように真咲に当たる勢いが理不尽に強く、非常に迷惑な状況である。そして、そんなところに颯爽と現れるバス先輩!! いやぁ、運転手のこの存在感な。バスはあれだけの人数で動かせなかったのに、一体1人でどうやって動かしたのだろう。まー、一応持ち主だから扱い方には一日の長があったんですかね。そもそも村の中までバスで来られるなら最初からそうしろって話だったんだけども。ひょっとしたらこのバス、運転手の念の力で爆誕した幻影じゃあるまいな。 突然のバスアタックで一応命拾いする真咲。そして光宗・颯人がそこに同行する。運転手の目的は終始一貫して「娘との邂逅」なので、彼の行動原理については特に悩むこともないだろう。ただ、他の参加メンバーとはいくらかノリが違うので、ちょっと扱いにくいところはあるけども。他のメンバーはVSバスを想定して悪ノリとしか思えない戦闘態勢。美影が率先しているのはまぁ分かるのだが、その後ろについて前回あたりから存在感が増しているのはやたら鬱陶しい帽子の男である(鳥安という名前らしい)。ミリタリーコンビみたいな使える実働部隊は今回動くのかな。 そんな刹那的な状況で、朗報は2つ。1つは、メンバーの中の理知の代表であるナンコ・リオンコンビがさらに距離を縮めて事実上の同盟関係を結んだこと、そして、数少ない光宗擁護派(仮)であるマイマイも味方に引き入れられたこと。ナンコさんはこれまでズバッと真実に迫る発言以外はしておらず、本当に頼りになる存在。腹の肉をつまみながらの「じゃあ、推理してみようか」は新しい名探偵のトレードマークになるかも。 そして、もう1つの独立グループはこはるんとヴァルカナの「なんだか良い雰囲気」カップル。ついにダーハラは影も形もなくなりました。こはるんははっきりと目的意識を持って真咲擁護のために動こうとしているし、ヴァルカナさんも彼なりの正義を持ってこはるんの志を受け止めた。「何も信用しないと決めたのに、この場所の存在を信じてしまった自分の落ち度」というのはけだし名言である。そして、そんな2人が美影派に先んじて行動を起こそうとしたら……。 ケツさん?! 何がどうなっている? 彼は生きていた。どう考えても野外で1日2日もろくに生きられなそうな奴が。しかも謎の弓で武装し、その狙撃スキルも存外高かった。何者なんだケツさん?! いや、でも最後に転げ落ちてたからやっぱり大したことないよな。この調子で、よっつんもどこかから襲ってこないもんですかね。 まだ劇場で上映されてるのにディスクが届きました! 特典版! やったぜ! 新しいガルパンの映像が見られるぜ! 元々ね、テレビ放映の時点では「いい作品だなぁ」という程度でそこまでドはまりしてたわけじゃないんだけど、劇場版でメロメロにされてしまったせいですっかりガルパンはいいぞおじさんになってしまいました。今回の製品版だって、劇場であれだけ観たんだから別に新鮮味は無いはずなのだが、これでいつでも自宅で観られるという安心感が別格ですね(これ書いてる時点ではまだ観てないですがね)。
(以下、一応ネタバレ注意)
そんな製品版についてきたのが、ほんの15分程度のOVA。あのね、ホントにね、もう中身はどうでもいいんですよ。新しい映像で大洗の面々がしゃべる、騒ぐ、アホなことをする。それだけでも僕は充分なんですよ。今回のお話は「愛里寿が大洗に転校してくるよ」ということで大洗の学園艦の中だけで繰り広げられるお話。筋立てだけなら「らぶらぶ作戦」にありそうな、本当にどうでもいい話だ。でも、そんな設定で各チームのメンバーがわーきゃーやるだけで楽しいです。定番といえば定番だけど、冷静に振り返るとレオポンさんチームとかアリクイさんチームなんかはテレビ版でそこまで台詞が多かったわけじゃないし、今回の新作映像だって貴重な情報の追加ですよ。特にレオポンさんチームがガッツリ話してるシーンって、過去の作品全体を通じても珍しいシーンじゃないのかな。他にも、珍しく年下の人間が関わってくるというので浮かれ気味のウサギさんチーム、ザ・井澤詩織ショーの風紀コント。ハンガーで平然と毛布を引いて寝まくってる麻子。なんかもう、こういう何気ないシーンが新しい映像で観られただけでも感無量です。 そして、新作映像という意味では愛里寿のエピソードってのが重要ですね。映像観てて気付いたんだけど、考えてみたら劇場版だけを何回観ても愛里寿の人となりって大して分からないはずなんだよね。何回も観てるうちにどんどん脳内補完しちゃったけど。多分、劇場の映像だけで観たら愛里寿の活躍シーンの時間って10分あるかないかなんだよ。そこに今回、さらに数分の情報が追加されたわけで、オフィシャルな愛里寿像は倍近くに膨れあがることになった。登場シーンからいきなり僕らの持っている愛里寿像をぶっ壊してくれる予想外の活躍だったし、夜の西住宅でのボコセッションとかも嬉しいシーン。「お蔵入りになった映像」って、みほはどこで手に入れたんだよ……。子供用しかないのにコレクター魂からうっかりパジャマ買っちゃうみほさん、結構ガチでオタク気質だ。 そして……ドゥーーーーーーーーーーーーーーッチェェェェェェェ!!!! なんと! 他校は全然関係無いお話なのに、何故か! アンツィオだけは! 友情出演! これ、間違いなくドゥーチェ人気が圧倒的だからですよね。ファンの期待に応えて、ガルパンを代表する真のヒロインが抜擢されたってことですよね。もう、僕はそれだけでもナポリターンなんですが、「ドゥーチェも今年卒業だから、きっとこうやってヘッドハンティングすることで後輩たちの役に立ちたいんだろうなぁ……」とか考えてたら全然関係無いのに泣きそうになった。ドゥーチェ、是非卒業に失敗して。 あとはエンディング映像ですね。まぁ、今回のお話なら愛里寿とセンチュリオンなんだろうな、っていうのは予想の範囲内なわけだが、「愛里寿だけで仲間がいないのはちょっと寂しいな……」って思ってたら、ラストにあのオチだよ。まさかお前が来てくれるなんて! 知りたい人は是非製品を買いましょうね(ダイレクトマーケティング)。 だいぶ忙しなかったな、第7話。正直、今回はコンテ構成があまりにも性急過ぎて、ぶつ切り感が強いあまりよろしくない状態。クレジットを見ると監督も含めての3人コンテなんだが……人手足りてないってことは現場が厳しいんですかね? 次回予告も絵のない状態だったし……水島さん、万策尽きるのだけは勘弁してください。 そもそも「やらなきゃいけないこと」が多いってのがこの作品の根源的な問題で、これまでのお話でも場面のスイッチやら会話の展開が忙しなかったのは間違いないのだが、それでも紙一重で「そうなる流れ」を維持していたのが今作。ただ、今回は会話のテンポが全部1.3倍速くらいになっていたので音響部分でも違和感が強かったし、画面の切り替えもあまり心を砕いている感が無かったのは残念。作画面で崩れらしいものが出ていないので気にならない人も多いかもしれないが、ここまで綱渡りのようにして構成を維持してきた作品だけに、なんだか粗が目立ってしまった気が。まぁ、上記のようにスケジュール的なものから練り込む時間がなかったのが、そもそもシナリオが無理をしすぎているのでどう頑張っても違和感を拭い切れなかったのかは分からないけども。 「シナリオの違和感」というのは、「真咲=幽霊」説への全体的な推移が無理矢理だった部分についてである。まー、極限状態での集団心理なのだと言ってしまえばそれまでかもしれないが、チーム美影の面々のように「化け物」の影響が色濃く出た連中以外が、「さっきまで一緒にいた女の子は幽霊なんだよ」という荒唐無稽のお話をこうもあっさり信じ、挙げ句の果てに魔女狩りのごとき無茶なイベントに加担するまでになる流れは流石に説明不足である。恥ずかしい姿をさらして自尊心を傷つけられ、ぼろぼろになった美影だけは極論に走って自暴自棄になる下地が出来ていたので納得できるが、その話を聞いた他の面々については、普通ならば「何言ってんだこいつ?」っていう反応になるはず。いくら「化け物」の声を聞いたところで、人間が許容出来る「埒外の存在」なんてものは多くて1つまでだろう。「ひょっとしたら納鳴村には過去のトラウマ体験を具現化するお化けが出てくるのかもしれない」までは飲み込めたとして(つまり視聴者と大体同じ認識にまで至ったとして)、そのもう一歩先、「それらのお化けは真咲が使役していた」に至るまでには、さらにもう一段階常識をぶっ壊す必要がある。何しろこれまでずっと一緒に行動してきた「実体」であり、バスに乗って都会から一緒にやってきた存在なのだ。「幽霊の存在を認める」「その幽霊がバスツアーを利用して自分たちを陥れようとしている」などなどのハードルを、そう簡単にクリア出来るとは思えないのだ。 ただ、こうした無茶な結論に達したからといって、美影が阿呆だと言うわけではない。むしろ、「トラウマが見える」という「現象」の答えにいち早く辿り付いたことを考えれば、彼は比較的柔軟な思考の持ち主で、物事を総合的に考えることは出来る人物だろう。しかし、彼は「現象」という最大の謎と、もう1つ、別側面から発生した「真咲」という謎を短絡的に1つに結びつけてしまった。まぁ、彼からしたら、その後実際に口にしていた通りに、「何か具体的に自分の怒りや恐怖をぶつける対象がほしい」という欲求から、真咲という分かりやすい「敵意の対象」を定めてしまいたいという欲求がとまらなかったのだろうが。同じように「対象の不明瞭さ」に怯える人間、チーム美影のミリタリーコンビやらぶぽんが美影の妄言に賛同するのも、まぁ納得できる部分だ。しかし、ここで「別派閥」だったはずのヴァルカナさんが割と自然に丸め込まれてしまったのがどうにも。脇で苦悩していたこはるんは彼女自身の言い出したことをきっかけに「真咲幽霊説」が場を支配してしまったことに責任を感じ、何とか方向修正をしようとしていたわけだが、ヴァルカナさんはそんなこはるんの様子をくみ取りつつも、何故か美影の言説に流されてしまっている。なんか、せっかく株を上げてきたのに残念な結果。まぁ、その後ろには考え無しのダーハラの姿もあるのだが……。 そして、ここに来て問題児っぷりが加速しているのはスピードスターこと颯人さんである。美影チームがヒステリックになるのは分かる。実際に彼らは甚大な被害にあっているからだ。しかし、颯人に関しては全く別な理由で「アンチ真咲派」になっている。その理由ってのが「光宗をたぶらかしやがって」である。もう、下手したらこいつがメンバーで一番危ない可能性すらある。幽霊とか、トラウマとか、そういう問題とは全然別次元で、「俺の光宗を横から盗んでいった」真咲に怒り狂っているサイコホモなのである。回りの人間と異なる理由で動いているため、他の人間との意思疎通が図れず、今後のトラブル要因としては彼が一番重傷。なまじ最低限の思考力があるため、そうした自分だけの闇をらぶぽんのように表に出さず、表面上はただの「アンチ真咲」の1人として動いているのも質が悪いな。 こうして見ると、各々にトラウマを抱えて納鳴村に転がり込んできたメンバーたちだが、流石に主人公、光宗のトラウマは二重に面倒臭いなかなかの設定になっている。今回明かされた「時宗」のエピソード。その名前から兄弟が関係していることは推測できた部分だが、双子の兄弟が存在し、しかもその双子自体ではなく、家族全体が彼の人格形成を蝕んでいたというエピソードはなかなかクるものがある。やるせないのは、彼に一切責任が無く、さらに誰の悪意も介在していないこと。つまり、光宗は誰も「憎むべき対象」がいないままで、ジワジワと時間をかけて自己を削り取られていったのである、自我の形成が成される最も重要な時期に、彼は他者としての生活を余儀なくされ、自己という概念を常に揺さぶられ続けた人生だった。その理由が全て頭では理解出来るお利口な彼にとって、日常生活にすっかり馴染んだ「時宗」の生活も、内に秘めた「光宗」があり続ける上では苦痛でしかない。しかも、母親との二者関係にのみ落とし込めるならばまだ対処も出来たのだが、ご丁寧に中学生のシーンでは父親がサラッと間違ってしまうというとどめのボディブローも喰らっている。ここまでの扱いになってしまうと、そりゃぁ現実から逃げ出したくなるのもしょうがない。先週までで紹介されたような「ダイレクトに痛い」トラウマバリエーションと違い、「社会を憎む」ことが出来ず、「社会がとらえられない」という重大な欠落を持っているのが光宗なのだ。 さらに、この1つ目のトラウマだけでも充分なのに、彼には颯人という外付けのやっかい生成装置までくっついてしまった。おそらく、何らかの支配願望を持った颯人にとって、自我が揺れ動き、拠り所を求める光宗というのは格好の「素材」だったのだろう。自分が誰なのかも定かでない光宗のような「弱者」は、颯人が先にたって「導く」のにぴったりの道具である。だからこそ颯人は光宗に大きく「依存」してしまい、現在のような面倒な人格が作られた。光宗は、時宗という闇、それに颯人という闇の2つを打破しない限り、ゴールには辿り着けないのだ。まぁ、今回グーパンいれてたので、後者については案外簡単に打破出来るのかもしれないけども。 そして、そんな光宗を導く真咲の正体については、ラストでひどい引きを見せたのでまだ謎のまま。流石に来週くらいには概要が分かるのかな? そんな彼女が示した納鳴村のゴールの1つが「トンネル」である。幽霊かどうかは定かでないが、少なくとも真咲が他の参加者とは違う「ホスト側」に位置するのは間違いないようだ。彼女が示した「トンネルの奥」に待っているのは「現実」なのかな。光宗が自分の心に打ち勝ち、奥へ進めることを期待した真咲だったが、光宗は決意して数秒でマッハ挫折。このあたりの弱さ、少年漫画的王道を平気でぶっ潰す容赦のなさは流石の脚本である。人間、そんなに簡単に一皮剥けたりはしませんて。男の子が女の子にほだされて頑張れるなんて、アニメの中だけで充分や!(じゃぁ頑張れよ) 一応、光宗サイドにはもうひとつの朗報として「リオンとナンコが互いに理解し合った」というなんかワクワクする展開も。死者が見えるのか死相が見えるのか、未だ正体不明のリオンと、メンバーの中では唯一にして最大の知性派と目されるナンコさん。この2人が接近し、光宗サイド、真咲サイドから謎に迫る体勢が整えば、シナリオクリアまで大きく前進したような気分にはなれる。まぁ、ナンコさんがどういう能力持ちなのかはよく分からないんですけどね。彼女ははたして、どんなトラウマを見るんでしょうね。 |
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声優のこと全般
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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