最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「自分への罰は何も下さないくせに」っていう台詞が響く第20話。……しょうがないじゃない! 仕事自体が罰なら仕方ないじゃない! タスクリストにタスク1つ書いたら「その後にやってもいいこと」を3つ4つ並べるのも仕方ないじゃない! ……以上が今回の主張になります。 さておき(とてもさておき)、少しずつ進んでいく「三女」のお仕事。矢野さんの参戦によって万策尽きる事態だけは回避されたが、まだまだ予断を許さない状態。何しろ原作未完結作品を、ほぼ原作者とのパイプが無い状態でまとめなければならないのだ。そこだけを聞いたら、どう考えても糞オリアニ失敗フラグでしかない。原作付きアニメってのは、何をしようがある程度は原作ファンから叩かれるものではあるのだが……それがやっつけ仕事になってしまったらなおさらのこと。幸いムサニのスタッフはそのあたりのことは重々承知のようで、監督・脚本を中心に、なんとかしてファンに喜んでもらう結末を完成させようと必死に頭を捻っている。現時点では脚本の舞茸さんを中心に、キャラの心情をすんなりと落とし込み、王道を維持しながらも達成感のあるエンディングを目指している模様。やっぱりこうやってスタッフが苦心惨憺している様子を見てしまうと、今後なかなかアニメオリジナルとか中途半端エンディングを責めにくくなるな……ただ、やっぱりもっと原作者との連繋は密にした方がいいとは思うのだが……それすらも自由にできないのだとしたら、アニメ製作会社というのは何とも不自由な身の上である。 脚本部分の問題にスポットが当たるということで、(いままでも充分メイン級の活躍だったが)ついにりーちゃんがお話の中心へ。元々5人だった上山高校のメンバーがいつの間にか3人になってしまっている現状で、更にりーちゃんが晴れ舞台に上がってくるというのは、何とも偏った構成になってしまっている。ま、しょうがないよね。どうしたってムサニ社内にいる人間の方がお話のウェイトは大きくなるし、そもそもお話作ってる人間はそういう連中なわけで。これで実際の脚本会議にCGクリエイターと声優も加わっていれば、残りの2人にももうちょっと尺を割けたかもしれないが、水島監督だって脚本の横手さんだって、一番知ってるのは自分の仕事だからな。 これまで順風満帆で出世街道を驀進してきたりーちゃん。ついに舞茸さんに事実上の弟子入りを果たし、すっかり正社員レベルの扱いで脚本会議もコントロール出来る立場に。今回、平岡の乱入によって珍しく一時的にローテンションになってしまっているが、ぶっちゃけ、今回のお話だって彼女は失敗もなければ挫折もない。単に平岡からいわれのないやっかみで食いつかれて、ちょっとびっくりしただけである。オーディション落ちを経験し続けるずかちゃんや、仕事に行き詰まってアイデンティティを問われた美沙ちゃんとはレベルが違うのである。当然、平岡の難癖に対しても、特に誰かから効果的なアドバイスをもらうでもなく、せいぜい舞茸から何となくはっぱをかけられた程度で、後は自力で「みんな何でアニメを作ってるんだろう」というモチベーションのリサーチを行い、そこから自分なりの依って立つポイントを見出し、自力で浮上した。井口さんに助けられた絵麻、色んな人に助けられた宮森とも違って、りーちゃんは、結局自力でなんとかしてしまったのである。強い、でぃーぜるさん強い。だって、電車内の1人寸劇とか、宮森のミムジー&ロロ劇場なみのクオリティだからな。この子、多分声優やれっていわれてもできるで(そりゃそうだ)。 さて、そんな綺羅星のごとき輝きを放つ若手が社内にいることで、どんどん負の感情が増大していたのが、今回のもう1人の主人公、平岡である。物語のポジションとしては宮森たちの「夢」と対峙するために設定された「悪役」が平岡であるが、そんな彼にもきちんとそれなりのお話が用意されており、単なる「駄目なヤツ」に終わらないところに、この作品のメッセージ性が感じられる。ぶっちゃけ、今回平岡がやっていたことは最低である。やっかみは分からなくもない。「女は簡単でいいよな」っていう文句も、ネットでは溢れかえっている男のやっかみの代表であるし、同性としては言いたくなる気持ちも分かる。でも、それを思う事と、実際に口に出すことには天地の差がある。しかも、あのタイミングでりーちゃんに対して漏らすのは、本当に単に情けないヤツのやっかみ。あまりにもみっともない言動だ。これまで散々社内をかき乱してきた平岡だが、そんな彼の所業の中でも、トップレベルに情けない姿だった。 彼がこうして情けない人間としてクローズアップされるのは、当然宮森たちとの対比を明確にするため。今回の三女の脚本会議じゃないが、お話の中心には宮森たち「夢を持つ若者」という「王道」があるのだから、そこと対比される存在は「輝き」の対極に位置しなければならない。この対極におかれる存在は、もし「王道」を描くことだけを目的とするならば、単なる嫌なヤツ、それこそ変な話、編集者のあいつとか、スタジオタイタニックの使えねぇ進行みたいな描写にしてしまえばそれだけで終わりなのだが、そうではなく、「平岡の人生」にも我々の目線を引かせるのは、おそらくこのアニメが単なる王道だけで終わるのではなく、「アニメ製作の現状」について切り込む目的があるためだろう。確かに平岡は最低のことをした。仕事の態度も駄目駄目だし、円さんがブチ切れて叩いてくれたことですっきりもしただろう。しかし、彼の生き方が間違いかと言われると、そんなことはない。「顔さえ描けてりゃ首から下なんて適当でもわかんねぇよ」に代表される「とにかく結果が最低限の形になることが目標」という理念も、結果を求められるクリエイターの業界においては1つの答えである。奇しくも今回、佐藤さんは「アニメ製作会社には完成させるという目標がある」という話をしていたが、それはつまり、「完成」にこぎ着けなければ何もしていないのと同じこと。なれば、平岡のように必要最低限の労力でもって「製品」を完成させ、会社を回していくというのも1つの最適解であるべきなのだ。実際、彼の紹介したタイタニックがなければ、「三女」はもう回らなくなっていた可能性すらあるわけで、この業界には間違いなくこの理念が息づいているはずなのである。 こうした「熱のない仕事人」の代表として、平岡は今回りーちゃんと対峙するという面倒な役割を押しつけられ、更に円さんに叩かれ、「悪者」になった。だが、彼の存在全てが「悪い」と断じられるのではなく、「仕方ない業界の実情」の犠牲者として一度やり玉に挙げられた後、社長のフォローが入り、結果的には円さんにちゃんと謝罪するという形で彼の「悪役仕事」が幕を閉じている。前回の矢野さんとのやりとりでも分かるように、平岡は決して「無能な人間」としては描かれていない(そんなんタローだけで充分だ)。「熱のない仕事人」のポジションから一度ずれた平岡は、ここからの展開できっと巻き返す展開が来るはずだ。そしてそんな彼の存在が、宮森たちの描く「王道」のこれ以上ない下支えとなるに違いない。……まぁ、俺ぁあんまり好きじゃないけどね。 今週の久乃木さんのコーナー。「最後まで言えよ」……俺もそう思う。そこは平岡が正しい。 今週の興津さんのコーナー。何この人。強い。実は今作のヒーローが興津さんで、ヒロインがタローである可能性が??? だとしたらラスボスは誰だ?! 答え:ゴスロリ様 PR キラキラしてやがんなぁ、第19話。職無し視聴者からすると、仕事で苦しんでる様子を見ても胃が痛いし、仕事で楽しそうだったり、充足してる様子を見てもやっぱり胃が痛いんです。助けて。誰だこんな話作る奴は。 矢野さん復帰にわいた前回。さぁ、これで大反撃だ! と勝手に思ってたけど、冷静に考えたらたかだか制作進行1人増えただけで状況が劇的に好転するわけじゃないんだよな。実際の動きについてはそこまで大きな変化があったわけじゃない。もちろんここで重要なのはそんな具体的な変化ではなく、宮森にとっての心の支えが生まれたことであろう。「万策尽きたー!」と叫ぶ宮森、そこに現れた頼れる先輩。彼女は具体的に状況への特効薬を持ち込んだわけではないが、トラブル続きでパンクしかけていた宮森の悩みを1つずつ丁寧に解きほぐし、冷静に状況に対処していく。彼女がやった最初のことが「宮森を休ませる」だったのが白眉である。なるほどねぇ、背負えば背負うほどに追い込まれていくのは責任感の強い人間にはありがちなこと。実際、矢野さんに休めと命じられた後も、宮森は(というかミムジーは)焦って仕事を続けようとしていた。そこで一旦「焦り」をキャンセルし、万全の状態で残った困難にあたっていくことが最善。また、一度仕事から離れることで冷静に俯瞰する視点も得られるであろうし、少しでも疲労が無くなれば作業効率も上がろうってもんだ。やはり経験値の差であろうか、矢野さんの対処は理にかなっている。 そして、具体的な対策としては、最大の難敵となったスタジオタイタニック関連のあれこれについて、矢野さんが全てを引き受けることで解決を図る。具体的には、タイタニックにヘルプで入って不透明な管理体制を直にたたき直すこと。そして、逃げてしまったと言われる演出の代わりを見つけ出し、停滞していた作業に鞭を入れること。「そんな手段があるのか」と驚くような対処法であるが、正社員1人を出向させてまでの強硬修正というのは最後の手段なのかもしれない。ここまでさせたタイタニックに、そして三女という作品のスペックにはおののくばかりだ。そして、タイタニックに着くなり問答無用で場を掌握してしまった矢野さんの手腕にもおののくばかりだ。道中での平岡との対話は意外なもので、どうやら矢野さんは過去に平岡と仕事をしていたこともあるようだ。まぁ、広いようで狭い業界、何年か仕事をしていたらかち合うこともあるのだろう。平岡のああした横柄な態度については重々承知しているようで、慣れた様子で彼を上手いことコントロールしていく。タイタニックがヤバいスタジオであることも知っていたみたいで、平岡がどのような気持ちで仕事に当たっているのかも全て理解しているのだろう。不幸中の幸いといえそうなのは、そんな矢野さんが平岡に対して「宮森を頼む」と直接お願いしたこと。平岡という男が本当に使えない駄目な人間ならば、おそらく矢野さんはあんなことは言わないだろう。仕事への熱意を失い、人付き合いもドライでムカつく奴には成り果てたが、それでもやることはやれると信用したからこそ、矢野さんは平岡に宮森を託したのである。平岡の方もその誠意に対してまんざらでもない応答をしているので、今後は多少なりとも彼の態度も改善されるのかもしれない。 そして矢野さんが向かった先には、通称「ひげ仙人」と呼ばれる演出家、池谷氏が隠遁している。まぁ、どこをどう見ても「ひげのおじちゃん」こと池端隆史監督その人でしたけども。実際の池端さんは逃げたりしないし、仙人でも何でもないよ。おそらく、この人も水島監督とは縁の深い人だから、監督からのオファーでヘンテコな役のモデルになることを了承したんだろう。まー、いかにも「いそうな」タイプのクリエイター像なので、きっと名前は出せないようなモデルが実際にはいるんだろうな……。隠遁者の隠れ場所を勘で見つけ出す嗅覚、逃げようとするところを拉致って引きずり込む手腕、集合時間を狙って設定する采配……矢野えりか……恐ろしい子! そして、残りのシーンは様々なアニメクリエイターの思惑・思い出・幻想・郷愁を詰め込んだ「追憶編」となっている。宮森の元気回復を目論んで丸川社長が連れ出した「旧社屋」。そこにはあの頃の景色がそのまま時間を止めて残っており、アニメ制作に対して・自分の仕事に対して疑問を持ち始めてしまった宮森の熱意を刺激するには充分過ぎる舞台となった。セル作画、絵の具塗り、手作業によるフィルム編集……ほんの二十年前までは、それが普通のことだったのに、あっという間に廃れていった、アニメ大国日本の礎である。単なる郷愁と言ってしまえばそれまでのものであり、ひょっとしたら若い世代には響かないお話になってしまうかもしれないこのシーン、宮森という「若者代表」がそこにいることによって、「宮森の熱意」と「在りし日の社長の熱意」が見事にオーバーラップし、「あのときのアニメ」がきっちりと現代の情熱として描かれているのが上手い。アツい男だったんだな、丸川社長。そして若き日の大倉さん、伝説メイカー杉江さんに、後にその奥さんとなるであろう女の子。初めて見るはずの製作現場の景色が、我々視聴者目線から見てもしっかりと「良い思い出」として見えてくる。「みんなですごいアニメを作ってやろう」という情熱は、宮森たち上山高校メンバーの若い力にフィードバックされることになるのだろう。いいなぁ、アツいなぁ。当時の若手代表として大倉さんが活躍しているところも含蓄に富んでいて、彼が「自分の実体験」で予定していたアニメの行程を塗り替えていくところなんかは、よくクリエイターに言われる(特に富野由悠季)「アニメ作りたい奴はアニメ観てないで外に出て他のことやれ」をダイレクトなメッセージとして伝えている。大倉さんも元々は映画看板が作りたくて、気付けば背景作家として評価を得るようになっていたというし、やっぱり「アニメが」ばっかりじゃない方が仕事の幅が出るのは間違いなかろうなぁ。宮森たちも、いつかこんな風になれるときが来るのだろうか。 今回のお話、構成の妙で凄く納得させられるだけじゃなく、「アンデスチャッキー」の映像がたくさん流されることによって、よりダイレクトに「技術の新旧」「継承と革新」という普遍的な問題意識も刺激されるように出来ている。わざわざ古いセル風に処理されたアンデスチャッキーの作中劇は、意図的に動画の枚数も減らされているし、塗りに粗を作って多少野暮ったく見せているが、宮森が滂沱の涙を流していたことからも分かるように、今見たからといって色褪せるものではない。大倉さんの作った吹雪の景色、そしてそこから繋がる夜明けのシーン、そして背景。まだまだ現代アニメにはたどり着けないものもそこにあるのだ。1クール目でなされた「手描き・CG論争」の時のように、世のアニメ関係者が語りたくてしょうがないテーマの1つが、またこうして具体的な形で世に出たのである。やっぱりすげぇアニメだよなぁ。 他にも映像面でのお遊び、というかセルフパロディみたいな要素はちょいちょい挟まってるけど、一番気になったのは今回の絵麻ちゃんたちの酸っぱい顔も「崩していいけど綺麗に、美しく」とか書かれてたのかどうか、っていうこと。久乃木ちゃんに見つかった絵麻先輩、可愛い。 矢野さぁぁぁぁぁん! 第18話。あのラストシーンはずるいわ。いや、来るの分かってたけどね。ピンチに来てくれるとは思ってたけどね! ベストタイミングすぎるんだよなぁ……まさか矢野さんの登場がこんなにもドラマティックなものになるとは思ってなかったよ。 細かい問題を諸々処理して、今回からいよいよ「三女」制作の修羅場が幕を開ける。いくつもの要素が絡みに絡んで、様々な人の思惑が乱れ飛ぶ、これこそマルチタスクの極み、アニメ制作現場の本当の姿。しょせん「えくそだすっ」などチュートリアルステージでしかなかったのだ。宮森の本戦はここから幕を開ける。 1つ目のシーン、アフレコ現場。こちらは宮森のタスクではなく、音響監督の稲浪さんのプッシュもあって抜擢された新人声優鈴木さんの戦いの場。そりゃま、無茶苦茶緊張するだろうし、まだまだキャリアが浅いので現場でのあれこれもさっぱり分からない状態だろう。がっちがっちに固まってしまっては、なかなか本来の実力も発揮出来ない。我々が初めて耳にする声優も、ひょっとしたらこうして大抜擢された結果、緊張しまくって実力が出せていなかったこともあるのかもしれませんね。そう思いながらあの人やあの人のデビュー作を聴けば、また趣きも違うのかもしれません。試しに「ゼーガペイン」を……あぁ、うん。試しに「夢喰いメリー」を……あぁ、うん。でも大丈夫、この三女のスタジオには、日本で一番優しい音響監督がいるのだから。新人声優の居残りなんてのは、聞けば割とよくある話。新人に限らず、台詞量が多かったり、なかなか作品の意図がくみ取りにくかったりすると、どうしたって時間はかかる。そこは役者と音響、制作側で頑張っていくしかない。今回は1話目の収録と言うこともあり、ムサニ側のスタッフが最後まで全員付き合ってくれているのだから心強いだろう。これ、木下監督のモデルは精二水島だけど、アフレコ現場で丁寧に食い下がって役者にオーダーを出す感じは努水島の方のイメージだ。まぁ、話作ってるのは努の方だからね。 こうしてアフレコ現場の様子が事細かに描かれているお話を見ると、やっぱり声オタ的にはテンションがあがる。新人の鈴木さん役には初々しさが出せる声、ってことでひーちゃんが当てられており、多分監督には「イカ娘のときのアレを思い出して」って言われてたんじゃイカ、なんて妄想も捗る。いや、ひーちゃんはイカ娘の時点で2本目のメインヒロインだったけどね。どっちかっていうとイメージが被るのは宮森の中の人なのかも。「私これしか出演作無いから」って言って必死にスタッフの名前まで覚えて、なんとか自分のノルマをこなそうとしている。木村珠莉ちゃんも今作1話目ではこんな様子だったのだろうか。なお、回りにいるのは「えくそだすっ」に続いての伊藤静……伊藤鈴鹿さん。この世界では「木下作品声優」とか言われてるんだろうか。中の人同様に非常に軽いテンションが見どころで、新人の鈴木さんに対しても実にざっくばらん、監督やプロディーサーにも容赦無いのが楽しい。ちなみに、同じ現場にいる音響制作の中田恵理さんもとてもよく似た声ですね。稲浪さんとは同じチームなんだろうか。声優のアフレコ現場体験記は他の所でも聞く機会があるが、音響監督がどんな仕事をしているか、っていうのはあまりイメージが無いので、こうして生の活躍が疑似体験出来る映像は見ていてとても楽しいです。こうして新人を育てていくのだね。「1話目くらいはオールカラーでお願いしたかった」って、今のご時世だと色んな作品に言ってそうだよなぁ。声優陣が「色がついてたんですよ!」って感心する時代だからな。 続いて2つ目のシーン、今度は宮森が背景を依頼するために新たな人捜し。背景主任の渥美さん(雲の人)が、どうしても書いてほしいと切望する「過去の有名人」らしい面倒臭いおっさんとのお話。居酒屋で飲んだくれる、現代の体制に不満をぶちまけ、のらりくらりと若い衆の話を煙に巻き、捨て鉢になっている、ってのはテンプレートな「実はすごい人」フラグである。「俺の時代は終わったんだ」とくだを巻いて酔いつぶれる様子は、どのくらいまでがフィクションなんだろう。デジタル化が進んでこの業界についていけなくなったベテランって、これだけ人数が多い業界だったら1人や2人じゃすまないんだろうなぁ。前半クールで登場した板野氏みたいに柔軟な発想で絵を対応させられる人は良いが、背景担当の人なんてのは特に「アニメ屋」ではなく「絵描き」としての側面が強そうだから、ひょっとしたら日本には同じような境遇でくすぶっている「すごい絵が描ける人」は少なくないのかもしれない。 で、宮森は飲んだくれの親父相手でもいつも通りの対応、たまに出てくる宮森のクソ真面目さを見てると「もうちょっと上手くやれそうなもんだが」と思う時もあるが、まー、まだ大学出て間もない新米なんだよな。なかなか融通が利かないのはしょうがない。居酒屋での口約束と「契約」を一緒にしちゃうあたりはまだまだだ。渥美さんも連れてのお宅訪問は、酒の抜けた状態の大倉を相手に難航するものの、ここで登場したのは、まさかの社長のコネ。丸川の名前が出た途端に態度が変わる大倉。そして全てが彼の掌の上のことだったようなそぶりで観念することに。さて、2人の間には、過去にどんな関係があったというのだろう。これまでひたすら料理を作り続けているだけの社長だったが、どうやら単なる昼行灯というわけではなさそうだ。「どうかよろしく」っていう一言にどんな意味が込められていたのやら……。無事に依頼を受けた大倉はそのまま田舎までスケッチ旅行に出奔。おかげで連絡が取れない状況になるという。この辺りのマイペースさはやっぱり昔の人やな。でもまぁ、今作で「実は年寄りすごい」パターンは絶対遵守なので、きっとものすごい背景を届けてくれるはずだ。 そしてシーンの3つ目、今回の騒動の中心地であるスタジオタイタニック編へと進んでいく。登場時から確実に爆心地になるであろうと分かりきっていた地雷原。宮森はようやくそこを確認したわけだが、出るわ出るわの出血大サービス。レイアウトチェックでは演出の不手際が続々出てきて、「あぁ、多分実際のスタッフが体験したことのあるひどい出来事を恨み節でぶっ込んできたんだろうなぁ」というのがよく分かる。流石の木下監督もこれには憤慨して責任者を呼び出すが、いざ出向してきた演出家がこれまた曲者である。ミスについて、「チェックしてなかった」とか「知らない、覚えてない」というなら「単なる駄目人間」で話は済むのだが、この男、自分のミスについて、たとえ認めて責められても大した問題ではないと高をくくって正面から放り投げに来ている。「ちゃんと仕事をした上のミスだ」とか「いいと思ってやったことだ」と開き直られると、実は責任を明確に問う手段はない。アニメは「製品」でこそあるが、個々のクリエイターの感性が影響する「作品」でもある。そのため、明確な「正しい姿」は存在しておらず、「これでいいと思ったのだ」と言われてしまえば、(たとえ誰がどう見ても嘘っぱちだったとしても)それは1つの答えとなる。オーダーと違うと文句を言ったところで「ミスしました」と言われたり「こちらの解釈と違っただけだ」と言われると、それ以上の言及が出来ない。それを分かった上で、あの演出家は居直っている。 このような問題が起こっていることは、業界の2つの病巣を示す。1つは、広がりすぎる人手をコントロールするには限界があるということ。今回は新人デスクの宮森が逆境の中でやっている仕事なので一層酷く見えるが、おそらく「目が届かないから想定より下のものが出てくる」という状況は相当多いはず。ムサニは海外に発注していないだけまだマシで、海の外では言葉が通じず、意図が通じないなんてことも少なくないだろう。今の時代ならばいくらか意思疎通の手段は増えているだろうが、それでも、1つのスタジオで全ての枝葉末節まで管理するのは困難だ。アニメ制作の場合、短期間でこうした「広がりすぎた制作現場」をとりまとめられないという悩みはいかんともしがたい。そしてもう1つ、更に大きな問題として、こうした混乱に乗じて、それを利用して生きようとする人間がいるということがあげられる。今回登場した居直り演出家は、何故このような適当な態度であるにも関わらず「5本も掛け持ち」出来るのか。それは、どんなに適当でも形だけの「製品」を作れる人間を、どれだけ信頼がなくとも求めている業界のニーズがあるからだ。それを分かっているからこそ、あの男は適当な仕事で荒稼ぎをする方向に自分の生き方を定めたのだろう。普通、雑な仕事ばかりをしていればそのうち声がかからなくなるはずなのだが、ここまで拡散してしまったアニメ業界では、そうした「ゴロ」の生きるだけの余地が生まれてしまっている。世の中の全ての人間が善意や熱意では動かない。今回は大倉という1人の絵描きの仕事と、怪しげなスタジオの似非演出家という対比で、「仕事の質」についても問うているエピソードとなっている。 結局、こうした「いい加減な仕事」のしわ寄せは全部デスクに回ってくる。ただでさえ出遅れた現場、新人だらけの制作部屋。宮森は必死にコントロールしようと試みるが、流石に土壇場での演出降板で「万策尽きる」のは目前。テンパッちゃうと「心の声」であるミムジーとロロだって切れそうにもなる。あまりに重すぎる肩の荷に、宮森もついに万策…… 矢野さん! もう、このシーンの格好良さね。単に女の子が1人机の前で悶々としているだけの絵面なのに、まるで最上級のサスペンス映画のクライマックスのように盛り上げるBGM,息を呑む緊張感、絶望的なピンチ。ここでかけつけられるのは、スーパーマンか、コブラか、矢野さんか。さぁ矢野さん。あんたの力を見せてくれ。可愛い後輩は出来ることは全てやったのだ。ここまで「人は信用出来ない」という辛い現実ばかり突きつけられた宮森に、「人は協力し合えばどんな困難にも立ち向かえる」という希望を見せてくれ。イッツ、ムサニ・スピリッツ。 追伸:久乃木ちゃん、そんなんいいから仕事しろ。 「三女」のPV,そして「毒舌コンビミムジーとロロ」のPV,はたして作品の放送が待ち遠しいのはどちらだろうか、第17話。私は断然後者なわけですが……おう、10月にちゃんと放送しろや。ロロは今回プールの中で水着着てたわけだが、やっぱり普段は全裸なんやな。これだから熊ってやつは……。 前回で大きな山を1つ越えたので、今回は軽めのミッションでの中繋ぎエピソード。いや、多分実際の現場では全然軽くないタスクだったんだろうけども。今回与えられた使命はPV作成。普通ならば新番組を作るときには当然スケジュールの一部に組み込まれているものだろうが、今回は例の使えねぇ編集のおかげで突貫作業に。あいつ、これまでのごたごたで反省した様子は欠片も無いのな。前回までのトラブルもある程度は原作者にも責任があったとはいえ、9割はこいつが悪いからな……。1クール目では存在していなかった、分かりやすい「完全な悪役」である。 PV作成に必要な素材は、それぞれの話数から一部のカットを抜粋したもの。時間にすればわずか1分の内容なのだから作業量はそこまでのものではないのだが、3話、4話のカットにまで及んでいるため、先の予定のカットにも全て現時点で決定している設定で帳尻を合わせなければならない。ごらんの通りに様々な部署が複雑に絡み合ったアニメ制作であるから、先んじて未来の仕事をつまみ食いしていくのはなかなか大変な作業である。今回の井口さんの台詞からすると、まだキャラ原ですら完全に固まっていないみたいだし、他の原画を回された人間も大変だし、各種設定も急ピッチで「使える」レベルにまで固定しなければならず、各セクションに与えた影響はかなり大きい。こんな状況でもきちんと「良いものを作りたいのだ」という意志が統一されている制作部屋は、ムサニの意識の高さを感じさせるところである(平岡除く)。 もちろん、そんな状況なのでトラブルは起こる。今回ピックアップされた要素は、前回はそれなりに上手く仕事を回していた新人たちに関わるいくつかのトラブル。入社一発目の仕事でいきなり想定外の事態に見舞われた新人たちは、さっそくこの業界の理不尽さをその身で体感することに。自分たちの責任ではないとはいえ、担当部署の人間にいちいち無理難題を言って回るというのはなかなかストレスになる。それをマニュアル通りに慇懃無礼な態度で処理しようとしてしまう佐藤さん、そして、勢い任せに解決しようとしているがやっぱりまだまだ業界の細かいことが分かっていない安藤さん。まー、入社して間もないのだからその辺の機微が分からないのは致し方ないところ。自分勝手に卑怯な方向に逃げないだけ、まだタローよりもマシだろう。まぁ、佐藤さんの方はひょっとしたらあんまり向いてないんじゃないか、って感じもするのだが……根は真面目だし、基本的な能力が無いような描写ではないので、色々と勘所が分かるようになれば機能するタイプの人間なんだろう。方向音痴については……カーナビ見ろカーナビ。 今回ちょっと面白かったのは、そんな新人たちに対比させるように、タローが案外そつなく仕事をこなしていたこと。もちろん言ってることはいつも通りだし、後輩が絶対に真似したくないと思えるだけのオーラがあるのは流石なのだが、なんだかんだ言っても無難にPV用のカット集めには成功しており、「流石に年季が物を言う部分はあるものだ」とちょっとだけ見直せる。また、まだそこまで修羅場になっていないおかげというのもあるのだろうが、こいつの徹底的にユルくて緊張感のない態度は、ギリギリまで張り詰めてテンパってしまった後輩からすればひょっとしたら良い緩衝材になっているのかもしれない。あー、でも本当に切羽詰まったら単に鬱陶しいだけかな……。扱いづらい平岡に対しても遠慮なく突っ込んで行く様子は、「男の方が肩身の狭そうな制作部屋では是非頑張ってくれ」と応援したくなる部分もあるのである。タローからしたらハーレム状態に映っているのかもしれんがね。 その他のキャラとしては、絵麻ちゃんの後輩として入ってきた久乃木愛ちゃん。前回から見せていた徹底的なコミュ障っぷりは本当に人として駄目駄目だし、登場後未だに一言たりとも人語を発していないというのは社会人として異次元の領域である。こんなんまで入社させてしまって大丈夫なのか、ムサニ。ただ、そんな鬱陶しくてあり得ないキャラではあるのだが、残念ながら……可愛いな! いや、見た目とかじゃなくて、声がな! CVしーちゃんだからな! もう、奇声を発してるだけでどんどん人らしさが失われていき、絵麻ちゃんが立派なビーストテイマーにしか見えない。良かったな絵麻ちゃん、良いペットが出来て。杉江さんも言ってたけど、元々面倒見の良い質だろうし、下に後輩とかペットがいれば絵麻ちゃんは伸びるタイプ。小笠原さん→井口さん→絵麻→久乃木という原画部屋のヒエラルキーの美しさよ。多分、久乃木ちゃんはゴスロリ様の前に立ったらその気を感じるだけではじけ飛んでしまうに違いない。 一方、何一つ弁解の余地無く鬱陶しいだけの存在が、制作部屋での平岡である。まー、今まで働いてた別のスタジオではああいう勤務態勢できちんと仕事が出来ていたのだろうし、ぶっちゃけ、ムサニはあの社長が率いている過剰なまでのアットホーム感は抵抗を感じる気持ちも分からないではないので、完全にムカつくだけのキャラではないのだが、流石に空気を読まなすぎるのはやっぱり角が立つ。こういうのを見てイラッとするってことは、やっぱり私も日本人的なムラ社会の意識が強いのかも知れない。「朝礼とかでなくてもいいじゃない」っていういわゆるゆとり的な効率発言って、正面から論破しにくいんだよね。でも、「長いものには巻かれとけよ」っていう年寄りじみた発想が先に浮かぶ。だって、そっちの方が丸く収まるんだからさ。会社組織の中で尖ってたっていい事何一つ無いぞ。せっかく宮森が頑張っているので、平岡には早々にデレて頂きたいところ。多分、この後でグロス蒔いた別スタジオの話があるだろうから、そこでまた一悶着あるんだろうなぁ。 そんな逆境の中でも、宮森は頑張ってるよなぁ。すっかり先輩としての安定感が出て、佐藤・安藤組からの信頼も厚い。彼女達がトラブルを起こした時の社内の人たちの反応を見る限り、現時点で一番信頼されている進行って、確実に宮森である。まぁ、残ったライバルがタローしかいないからな。矢野さん、早く戻ってきて欲しいよな。本田さんはちょっとだけ戻ってきたけど……ある意味最大の事件だった。そりゃ監督のショックも分かるわ……アニメ制作現場って、太るんやな。確かに、関係者ってデブが多いイメージはあるわ。デスクワークオンリーなんだからしょうがないけども。あ、でも制作進行なら割と外回りも多いか。今回は佐藤・安藤組が同時に移動中のトラブルに巻き込まれており、「制作進行のミスってこういうところから出るのか」ってのが分かってちょっと面白い。そうそう起こることじゃないんだろうけど、四六時中移動しているお仕事なんだから、いつかはこういうミスもあるよな。以前は回収した原画を無くすなんて事件も実際にあったわけだし。……ストレスたまりそう。いいんだぜ、モンブラン2つ食っても。5分でな!(まさに外道) そうそう、社外に目を向ければ、美沙ちゃんも順調に仕事を進めている。「前の会社での経験が活きた!」ってことさら嬉しそうだったけど、だからそういうのが役に立つよ、って前の会社の社長も言ってたやんけ。実感するの早いな。あと、ずかちゃんもなんか妙な方向で覚醒の感。このままろこどるになってしまう可能性が?! 魚心くんVSうめぶー。多分、ずかちゃんにバク転は無理だよな。あ、でもダンスは割とキレキレだったので、実は身体能力が半端じゃない可能性も……。 追伸・ディーゼルさん、更に能力を追加。ますます完璧超人への道を。 ゴスロリ様爆誕秘話、第16話。今回は完全に「お話」やな。しっかし、いかにもな水島作品である。 的確に不快感が伝わってくるというのも良し悪しである。今回のお話、予定通りに原作者リテイクからの理不尽な直しの嵐が押し寄せる。使えない編集者を間に挟み、要領を得ないメール、伝わらない努力、理不尽な押しつけ。どれもこれもあまりに理不尽で、ムサニ側から見ている視聴者からすれば許し難い扱いである。これまで太陽のような笑顔を見せてくれていた井口さんも次第に顔が曇り始め、出口の見えない暗澹たる仕事を手探りで進むばかり。救いの手は差し伸べられず、宮森のいる進行部屋も、例の新人のせいで雰囲気は悪くなっていく(タローがこういうシーンでピンポイントにいらつくことを言えるのはもはや才能である)。内憂外患、全く明るい兆しの見えないムサニ。これはぷる天の再来待った無し。我々視聴者も、こうして(かどうかは知らんが)散っていったアニメ作品を数多く見ているため、スタッフの悲痛はもちろんのこと、結局出来上がらなかった残骸のようなアニメ作品を見て絶望する関係者、視聴者の様子までをイメージすれば、胃が痛くなるような光景なのである。 正直、アニメでここまでキリキリする様子は見たくない。それだけ真に迫って恐ろしさが伝わっているということだが、やはり井口さんが理不尽に虐げられている様子を見ていると、どんどん気持ちは鬱になっていく。何故よりによって彼女が、ムサニのイメージガールとして、いつも朗らかだった彼女がこんな目に逢わねばならぬのか。そりゃぁアニメなんだからいつかどこかで解決することは分かっちゃいるが、どうしたって気持ちが沈むのは止められない。 と、そこでぐるりとお話が回転するわけですよ。ゆらりと現れ出でたるは、ムサニの守り神、作画班の大黒柱、ゴスロリ様こと小笠原さんその人である。井口さんのピンチを救えるのは彼女しかいないのは分かっていることであるが、その「助け方」が半端じゃない。全員で向かった彼女のオアシスがバッティングセンター。脅威の身体能力を投打で見せつけるゴスロリ様。その様子はまさに「アニメのごとく」。女ゴスロリ甲子園の幕が開き、世界は「鬱々とした現実の苦しさ」から、一気に「突き抜けたギャグでしかないアニメの世界」へと変貌する。このあたりの舵の切り方は流石としか言いようがない。このワンシーンのおかげで、我々視聴者はこれまで積み重なった鬱が一気に消し飛ぶ。どうでも良くなる。ご丁寧に小笠原さんのバッティングフォームが完全にガッツこと小笠原道大そのものである。もう、そのための名前だったとしか思えない。おかしいだろ。普通非力な女性があのバットの持ち方せんやろ。完全に長打狙いやないか。ピッチングの方は左のアンダースローって時点でモデルはいないだろうが、そもそもあれはピッチングっつうよりもボーリングだわな。多分、熱心にバッティングセンターに通い詰めた結果手に入れたオリジナルフォームなのだろう。しかし、よく見ると宮森もトルネードだし絵麻ちゃんも大リーグボール投げようとしてるし、本当にやりたい放題や。もう、来年のドラフト会議は囲碁部の指名待った無しやで! とまぁ、とにかく一気にギャグへと振ったBパート。割と現実的な話もしているのだが、「ゴスロリ様が突然首脳陣を説教」「ぐうの音も出ずに土下座する大人たち」「ゴスロリ甲子園」「鎧の秘密」と、一気呵成にたたき込む流れのせいで全てがギャグの内に処理される。冷静に考えれば、「そもそも井口さんに仕事回したのお前やんけ」とか「一番近くで見てたなら、まずお前が声かけろよ」とか思ってしまうわけだが、ゴスロリ様が言うならそれが正義になるのだ。もちろん、彼女の語る苦労話もそれなりに説得力のあるものになっており、「ひょっとしたらこういう人って実際にいるのかも?」という気もしてくる。実際、役者業とかで「なりきり」とか「切り替えスイッチ」のために衣装とか化粧で意識を変えるってのは案外メジャーな方法だし。小笠原さんの場合、それがちょっとだけ変な形になっただけ。誰も迷惑かかってるわけじゃないし、文句も無いだろう。 結局、このゴスロリ旋風の勢いで物語は快方へと向かう。相変わらずコミュニケーションが足りてない気もするが、強引に接触を持った原作者サイドからのオファーはなんとかクリア。ようやく制作がスタート地点に立つことに。ここからが大変なのは分かりきったことだが……ひとまず、我々はいつもの井口さんの笑顔が戻ったことに満足するとしよう。ここからは宮森たちの仕事。そして監督たちのお仕事である。監督は今回一番の萌えキャラとして活躍していたわけだが、「どこでも適当に相手を主役にする」っていうお話は悪い話ではなくて、むしろ監督の人柄が出たいい話だよね。各担当部署で話をしている時には、真剣にそこが「主役」だと思ってるから自然に口をつくだけだろうし。ちゃんと1つ1つの仕事に本気になってくれている証拠だと思う。言われた方だって悪い気はしないし、実際、こだわりを持って話し合い出来てるしね。まぁ、クオリティへのこだわりが、この後のスケジュールとの戦いでどの程度まで維持出来るかは定かじゃないが……。みどりちゃん、あまり監督をいじめないであげてね。 あと絵麻ちゃん、エンジェル体操はもっと人に見られないとこでやろうな。 知ってた……第15話。このエンディングの鬱感は半端じゃないな。分かっていたこととはいえ……このアニメは「働く女の子シリーズ」です。さぁ! 働け! なんだか第1話で放送すべきな気がするような、親切なイントロ回。新入社員が大勢入ってきたことを上手く活用し、そのオリエンテーションの形を取って社内で行われているあれやこれを説明していく。いつも以上にロロとミムジーちゃんが大活躍である。なんでこのタイミングでわざわざ基本的なイントロをがっつり入れてきたんだろう、とちょっと不思議に思ったのだが、おそらく、宮森のポジションの変化が関係してるんだろう。というか、これまでの14話分もまるまるイントロと言ってしまっていいのかもしれない。 どれだけアニメオタクが増えたと言っても、結局我々視聴者は素人であり、アニメ会社で何が行われているかなんてよく分かっていない。そこで、前半クールは「新人制作宮森」の視点を借りて、彼女同様に「なんだかよく分からない」なりの現場の様子を追いかける。もちろん最低限のマルチタスク進行は描写されるし、宮森が忙殺されるだけの仕事量は登場するが、あくまで「宮森が処理出来る範囲内」の物語にとどめられていた。これは宮森視点共有することで我々が彼女に感情移入しやすくなる意味もあるし、徒に難しい言葉を羅列して視聴者を置いてけぼりにしないよう、うまいことバランス調整されていたということでもある。こうしてなんとか無事に「えくそだすっ!」が完成し、最終話の担当を無事に勤め上げた宮森はレベルアップしていよいよデスクに。そして、我々視聴者も、大体社内で何が行われているのかが理解出来るようになったので、宮森の視点を通じて、更に一段上のレベルで制作現場を観ていくことになるわけだ。2クールの余裕があるからこそ出来る芸当であるが、非常に親切で見やすい、よく考えられたシリーズ構成である。 で、このタイミングで改めて「現場で行われるあれやこれ」を描くために登場したのが、新入社員の皆さんである。年度替わりのタイミングで新入社員が入ってきたことは、説明のための舞台設定であるとともに、宮森がデスクにレベルアップして全てを見通すための準備でもあった(そのために本田さんが退場し、矢野さんが一時姿を消したわけだね)。前回から参加している微妙なスタンスの眼鏡男子は経験者だったが、今回参加した佐藤・安藤コンビはこの業界では新人である。「会社が近くだから来た」佐藤さん(CV米澤円)は、アニメに関しても完全に素人。降りかかる大量の「打ち合わせ」でも何を言われているかさっぱり分からずに混乱しっぱなしだが、本人は至って常識人のようなので、大変ながらもそれなりに状況把握はしているようだ。こういうときに、なんだかんだで社会人経験がある人間ってのは強いよね。他方、髪にちょいと色が入っている安藤さん(CV葉山いくみ)は、アニメに関しては玄人はだし。いわゆるコアなオタク層であり、その知識は今後の制作進行の仕事で役に立つような、そうでもないような。現時点でこの対照的な2人についてはあまりネガティブな描写はない。確認してみると、面接の時点で割とはっきりキャラは描かれていたし、今後は各々の持ち味を活かす方向でムサニの窮状を支えてくれそうだ。まー、挫折エピソードがあるのはメインの5人だけで充分ですわ。 ただ、(来週からのことは考えたくもないが)現時点ではメインの面子もそれなりに順風満帆。宮森は初のデスク仕事も臆せず回しており、おそらく後輩たちからは「信頼出来そうな先輩」に見えていることだろう。矢野さんという良いお手本がいたこと、タローという別な意味で良いお手本がいたこともあり、1年間の仕事で宮森もしっかり実力をつけたようである。まぁ、もとからそれなりにデキる子だったんだろうけど。そんな宮森に輪をかけて有能なのがディーゼルさんことりーちゃんである。もうすっかり監督達の作業部屋に馴染んでるし、飛行機についての知識のストックも急成長。まさかの空オタだった遠藤さんとの話も弾む。絵麻ちゃんも、作画にヘンテコな後輩ちゃんが出てきたことで多少なりとも年上の風格が出てきたか。あの原画の子、まともな社会生活が送れるとは思えないが……大丈夫なのかな。これまであまり出番がなかったみーちゃんも、無事に転職に成功してそれなりにやれていることが判明。まー、彼女はどうせ今後出てくるシーンも大体分かってるから別にいいか。今回1人だけ出てこなかったずかちゃんは……。まだ足を溜めてるだけだから(震え声)。 とまぁ、これだけの面々が賑やかにやっている、ある意味では一番大変で、一番楽しいであろう「作品の船出」の展開。今回見ていてしみじみ感じるのは、監督って仕事は本当に大変だということ。あれだけ頼りなく見えていた木下監督であるが、シナリオ、作画、音響、CG,エフェクト、撮影に至るまで、全てのセクションの打ち合わせに顔を出し、作品のコンセプトを伝えていかなければならない。なるほど、こりゃぁ作業量は莫大になるわけだ。今まで我々が見てきたどんなクソアニメであっても、監督ってのはこれだけ苦労している(かもしれない)のだな……。このアニメを見れば見るほど、軽々しくアニメを批判することに抵抗が出てくるわね……。いや、こうしてみると単に木下監督が割と有能なだけかもしれないので、現実でどの程度の作業量なのかは知らないけどね。一つだけ言えるのは、コンテの絵が「こんな絵」レベルで下の人間からどん引きされるレベルの木下さん、確実に水島努の生き写しである。制作あがりの監督だから絵は描けなくてもええんやで。 ……さて、花に嵐のたとえもあるが……。来週どうなるんでしょうね。宮森を中心とした制作組がてんやわんやになることは最低条件だが、一番のショックはここまで来て自分の仕事をはねられた井口さんな気がする。彼女のヘコむ姿は見たくないなあ。 声オタには触れにくい話題しかないな! 第14話。いや、フィクションですけどね。流石に子安のアレは現実にはいないだろうよ。尻で売り出す声優なんて……あぁ、2人くらいは思いつくわ……。 サブタイトル通りの中身。そして、水島努がいかにも思いつきそうなヒデェ内容である。そりゃね、あんだけ爆発物が大好きな人間が、この話題に触れないわけないよね。声優ファンにとって、開けてはならぬブラックボックス、オーディションの話である。声優本人からポロポロと漏れ聞こえてくるオーディション話ってのはもちろんあるわけだが、それだって穏当な部分しか出てこないもの。我々ファンが見られる事象とは、あくまでオーディションの結果、最終的に出てくるキャスティングのみである。今回の作品内での会議がどこまで「それっぽいもの」で、どこからが「視聴者サービスのネタ」なのか、ぶっちゃけ判断は出来ないのである。 世にネットの大海が広がり、アニメファン層もコアターゲットだけでなくライトユーザーに広がりを見せてからというもの、アニメセールスの質は大きく変容している。よく言えばビジネスチャンスが広がり、山を当てる見返りも大きくなったのだが、悪く言えば下世話になった。アニメがどこまでいっても「商品」であるのだからきれい事だけでは終わらない対象であることは当然だが、だからといって品性下劣であってはならない。そのギリギリの「倫理観」に、今回のお話は身内の側から切り込んでいるのである。「きれい事」代表は岩波さん、違う、稲波さんの発言。「政治が絡むキャスティングは失敗する、政治が絡むと必ずばれる。経験不足というならば、我々で育てていけばよい」。これが理想とされる音響監督であろう。キャストを選ぶ基準はあくまで「演技力」「キャラのイメージ」であって、その他の要素が介在してはならない(スケジュール関係はしょうがないけど、オーディション受けに来る人間はおよそ問題無いはず)。この理想が守られていればこそ、声優業にはドリームが詰まっており、若手新人だってベテラン勢と肩を並べて戦うことが出来る。若くて有能なタマゴも萌芽も、こうしてきちんと拾い上げてくれる地盤があればこそ、業界は健全さを保ち、より良いものを生み出すことが出来るのだ。 翻って、ネットで噂されるような「下世話さ」の代表が、監督と対面して座っていたプロデューサートリオである。まぁ、ぶっちゃけ子安は別にいいだろう。流石にあそこまで頭の悪そうな人間はオーディション会議に出てくるまい(……ね?)。キャラ名が「枕田」というのも強烈な皮肉で、いわゆる「女性声優を食い物にしたいプロデューサー」という伝説枠の代表である。まぁ、ぶっちゃけ枕が無いはずもない業界なので完全に嘘とも言わないが、流石にオーディション会議であそこまでぶっ込んでくるような阿呆はプロデューサーにはならんだろうよ。そういう手合いは、もっと狡猾で上手いことやるもんである。 しかし、残りの2人は「フィクションです」と堂々と言い切れないのがなかなか辛いところだ。1人はレコード会社の人間で、とにかくキャラソンを出したいがためのキャスティングをしてくる。「歌が歌えなきゃ声優じゃない」、演技力は二の次とのこと。まー、今の業界はそもそも「タマゴ」の母体数が大きいので、「歌もそこそこ歌えて演技もそれなり」っていう選択肢は多いだろうから、なかなか信じられない棒が出てくることはなくなったが、演技以外の側面からのプッシュがある、というのは事実として存在しているだろうさ。ぶっちゃけ、枕田の方も「イベントやその他の関連グッズで売りたいからこそ容姿で選ぶ」っていう意識もあっただろうから、現代声優業界の一側面の象徴的なキャラともいえるのかもしれない。 そして一番存在感があるのは「とにかく人気、知名度、フォロアー数まで使っちゃえ」という、CV飛田さんのプロデューサーである。「円盤売らなきゃ話にならない」→「手っ取り早く売るには有名声優を看板にすればいい」という論法は、悲しいかな、現実的である。それは私自身がよく分かっているのできれい事を並べることも出来ない。結局、あとは「実を取るか、倫理をとるか」の選択肢というよりは、「どの程度倫理と実の兼ね合いを模索するか」の勝負になってしまうのである。 また、そうした「分かりやすい外的要因」以外にも、今回のオーディション会議のシーンでうかがい知れることとしては、「やっぱり関係者が決めるっつっても限界があるよな」っていう問題もある。木下監督も長期拘束されることでうんざりしていたが、そりゃ、100人近い人間がひしめき合って同じ台詞を言っているところから的確に聞き分け、ほしい人材を捜すなんて、並大抵の能力では無理である。まして会議が進んで5人目のキャラともなれば、精神的にも消耗して「もう適当に決めよか」という流れになったとしても文句は言えないだろう。本当の意味での「理想に基づいたキャスティング」なんてものは、やはり不可能なのかもしれない。我々はこうして、今日も業界の先行きを憂いながら、新しいアニメのキャスティング情報を待つのであった。 しかし……今回のオーディション会議のシーン、演じてる声優連中はどういう気持ちでやっていたのだろうなぁ。飛田・真殿・子安っていう濃すぎる面子によるアレコレが刺激的すぎるし、それをおさえて回る役に檜山・髙木・岩田っていうね。もう、何かしゃべるたびに「子安うるせぇwww」って思ってたわ。尻がしゃべりますかね。そして、「ほとんどキャリアの無い新人を主役に抜擢するのはちょっと……」みたいな台詞を、同じブースで宮森役の木村珠莉も聞いてるだろうなぁ、っていうのを想像すると面白い。いや、今回の流れならばむしろ鼻高々でしょうけどね。宮森の活動的なパンツルックは可愛いよなぁ。 まー、そんなこんなで色々と触れにくいキャスティング会議でしたが……その他、ムサニの制作進行に新人1人追加。職歴としては宮森やタローよりも長いので割と慣れた感じ、そして、あまり良い人っぽくはない感じ。彼の教えてくれたのが「スタジオタイタニック」という、確実にグロスで投げたら沈む未来しか見えないスタジオというのがどうにも。いやぁ、一応仕事は出来そうな奴だったけども(タローがいる時点でどんな奴が来てもマシではある)。更に、前回登場した出版社側の担当が本当にクソみたいな奴なので、今回決めたキャスティングですらまだ原作者が暴れてアウトになる可能性があるっていうね。なんだろう、三女のアニメ化、駄目な要因しか見えてない。あ、一応背景担当の雲の人が引き受けてくれたっていうのは朗報か。あと図ったようにみーちゃんが飛行機関係の会社に就職してるっていうのも一応朗報? ずかちゃんは……犠牲になったのだ……いや、この流れなら絶対どこかで三女のキャストに食い込んでくる流れだろうけどさ。あそこまで監督に名前を覚えてもらってれば、端役でもなんでも出てくるチャンスは多いわな。そしてりーちゃんが無事に(バイトとはいえ)職を発見。実は5人の中でもトップレベルで有能な子なので、ここから一気に脚本家へのステップアップがあるかもしれんね。みんな一度は経験している挫折話をまだ1人だけクリアしていないのだが、りーちゃんが心折れる要素って、何だろうね。 「最後は褒められたい」って大事な言葉だよなぁ、第13話。そう、お仕事のモチベーションってのは結局それが一番なのです。うすら寒いきれい事並べるよりもよっぽど信頼出来る一言だよね。木下監督はいちいち正しいことを言える人なのだが……それ以外の部分がちょっとね……。 「お仕事女の子アニメ」という、ある意味では単なる日常作品なのに、気付けばあっという間の2クール目。「えくそだすっ」のドタバタも一段落し、作中でも年が明けた。もちろん、アニメ制作会社は年が明けたからってお役ご免になるわけではない、次の作品のために走り出さなければならない。今度の作品は「第三飛行少女隊」、略して「三女」。今回も萌えものらしいが、ハードな戦闘描写が売りってことはアニメーションにすると大変なヤツだ。更に原作は人気作品ってことで、視聴者からの期待も高まっている。これを「えくそだすっ」でそれなりに成功を収め、勢いに乗るムサニが担当することになったのだから、おそらく世間からの期待も高まっていることだろう。たとえるなら「最近の動画工房は割と安定して良い仕事してるし、楽しみだな」みたいな状況だろうか。あ、でも監督は木下さん固定だから、「ぷる天とえくそだす、次はどっちになるか……」みたいな書き方されてそう。 視聴者連中は分からないが、そんな大仕事を任されたムサニの台所事情は決して楽ではない。何しろ制作進行のメインが一気に2人も抜けており、社員はいくら走り回っても手が足りない状態。入社2年目にすらなっていない宮森のところにデスクが回ってくるとなると、おそらく普通のスタジオでは「緊急事態」と言われるレベルなんじゃなかろうか。アップアップになって沈んでしまいそうなこの状況だが、だからといって悩んでばかりもいられない。渡辺さんの指示を受けつつ、宮森もなんとかデスク仕事を開始する。前回の「えくそだす」で色々と煮え湯を飲まされたこともあり、彼女の働きは回りから見ても案外悪くないようだ。優秀な後輩、みどりちゃんの手腕にも助けられ、作品の船出はなんとか成功。便利な「でぃーぜるちゃん」は、実は上山高校の5人の中で一番ポテンシャルが高い可能性すらあるな。知的好奇心が旺盛なのは、クリエイターとしてはかけがえの無い才能だからね。 しかし、だからといって順風満帆とはいかないのも当然のこと。第一の障壁は、まさかの小笠原さんのキャラデザ辞退。この人の浮世離れ感も尋常じゃないが、スタジオの命運がかかった一大プロジェクトでもサラリと自分の我を通してしまうあたりはまさに女傑。彼女に言われると周りの人間も押し黙ってしまうしかないのが恐ろしい。ただ、彼女も単にワガママのために断ったわけではなく、その仕事を頼れる後輩、井口ちゃんに回すという意味もあったのだろう。はじめは尻込みしていた井口さんだが、彼女は割と空気を読む方だし、ここが一発ステップアップのきっかけであることを理解し、この大役を受けることに。彼女の仕事ぶりもここまでのシリーズでは安定して評価されていたものなので、小笠原さんのサポートがあればきっと上手くいくに違いない。どこで絵麻ちゃんのサポートが入るのかは注目。 その他、背景を依頼しに行ったら随分職人堅気なおっちゃんから禅問答のような問いを投げかけられたりもした。なんだか気むずかしげではあるが、こういう人がいてこその業界でもある。受けてくれればきっと責任ある仕事をこなしてくれるのだろう。空戦がメインのアニメなのだから、おそらく雲の描写は作品のテイストを決定づける重要なパーツになるはず。確実に任せられそうな人が出てきたのはむしろ喜ばしいことなのかも。唯一にして最大の懸念材料は、いざ会議をしにいった出版側の人間が「変なハナシ」すげぇヤバげなやつだったこと。これ、あの会社におけるタローポジションの人間なのでは……ここから予想されるトラブルといえば、なんといっても「原作者との折り合い」であろう。キャラデザが初挑戦の井口さんに変わったことについては現物を見てもらえば納得してくれるところかもしれないが、それ以外にもいくらでも問題なんて後から出てくるもので。原作が進行中だから1クールだとどこに着地させるかすら決まっていないし、ただでさえ優柔不断な木下監督のこと、原作者がごねだしたり、いざもめ事が起こっても解決する能力はなさそうである。さて、一体何が出てくるやら。 今回登場した高校生チーム、宮森、絵麻ちゃん、ずかちゃん、そしてみどりちゃん。少しずつ人が集まってきて、1つのものを作り上げるために力を合わせている姿は見ているだけでも楽しいものである。ただ、明らかに1人出番が無い人がいるんですが、彼女は就職先ちゃんと決まったのかな……。 ラブレター、受け取ってくれるかな? 第12話。ここであの結末をむかえるということは、後期はOPEDが変わるってことかね。良かったなぁ、熊よ。 綺麗に前半戦を締めるお手本のような「良いお話」である。お偉方の紹介で庵野(仮)にアポ無し突撃を行う宮森。このまま庵野が描く、っていう流れになるとちょっと興ざめだったわけだが、そのあたりはこのアニメのすごいところで、「誰でも良いからって投げまくるのは失礼やで」と当然のことを教えてくれる庵野さん。まぁ、そりゃそうだわな。多分この業界が人材難でどこのスタジオも人手が足りずあくせくしていることは彼だって重々承知しているのだろうが、それでも、いや、だからこそ人と人のつながりを大切に、相手に敬意を持って接するべきであることを諭してくれる。「誰でもいいからとにかく描ける奴が描いて!」では、描く方だって報われないし、業界の発展には繋がらない。庵野氏だってひょっとしたら思い切り頭を下げれば宮森の願いを聞いてくれるくらいはしたかもしれないが、ベストアンサーはそうじゃない。「描ける人」「描くべき人」が他にいるのである。なるほど、このチョイ役での配置はなかなかおいしい。庵野改め菅野氏はそのエキセントリックな立ち居振る舞いもまんま現実世界の庵野氏をモチーフにしており、多少ぶっきらぼうな物言いながらも、純粋にアニメが好きで子供のように無邪気に宮森に接してくれる変人ぶりはなかなか良いキャラであった。 さぁ、バトンが渡ったのは「三日伝説」という嘘かホントか分からない武勇伝を持つおじいちゃん、杉江氏である。この流れになるであろうことは予想はついていたわけだが、彼の起用に際し、ここまでどでかいバックグラウンドが配置されるとは思ってもみなかった。もし菅野のいうことが全部本当なのだとしたら(多分本当だろう)、今まで杉江さんを誰も顧みなかったムサニは一体何をしてたんだ、って話になる。ただでさえ人手が少ないってのに、そんな優秀なレジェンドを窓際に追いやって使い潰していたとは。若手の多いスタジオだし、おそらく杉江氏もあまり前に出てこない人だろうから、一部の人間が気付かなくてもしょうがないことだが、流石に社長とかそれなりに年配のスタッフは知ってるべきじゃないのか? どうも、今回の態度からすると小笠原さんは知ってたんだよな。彼女も「自分の仕事のテリトリーは守る」タイプの人みたいなので、原画チームは制作進行などの上の仕事にはタッチせず、あくまで与えられた仕事を黙々とこなす職人であるべき、っていうスタンスの人間が多いのかもしれない。杉江さんは今回の騒動の後に「孤高の職人を気取るのは良くなかった」って反省してたけど、小笠原さんはどうなんだろう。でもまぁ、難しい問題だよね。「俺、伝説やからお前らに教えたるわ」って押しつけの強いレジェンドばっかりだとそれはそれで弊害もありそうだし。ベテランを上手く機能させるバランスってのはなかなか難しい。 そんなこんなで隠れた最終兵器を手にしたムサニ制作陣は、原画チームが一丸となり、無事に作品を仕上げることに成功した。更に今後のワークショップの企画を立てたり、杉江さんの机を囲んでちょっとした講習会をやったり、今後の糧とするために貪欲にスキルを盗む余裕まで出てきた。最終話の仕上げという共通目標のおかげで、一時は険悪なムードにもなっていた3D班との関係性もばっちりになり、矢野さんも帰還してまさに人社一体。プロデューサーの胃に穴はあいたかもしれないが、素晴らしい作品を上げる事ができたようだ。万策は、尽きないからこそ万策なのであった。良かったね、木下監督。ぶっちゃけ「えくそだす」が成功するのかどうかは分からないけどね。最終話とか、キャラのデザインやたら濃かったけど、あの絵でシリーズを突っ走って世間的には受けたんでしょうかね。流石に馬の原画は力入れてるなぁ、って思ったら、井上俊之まじってるやんけ。ずるいわ。今回は本当に「原画ってのはアニメの大事な大事な心臓部分なんだよ」ということがよく分かるお話でございました。一番大事なのはコンテだろうけども、そこから肉をつけていく過程、一番人手がかかる過程がこの部分だからねぇ。絵麻ちゃんも頑張って主軸として回ってほしいものである。 ラストは最終回(?)らしく華やかなムードでの締め。ここでさりげなく退場する杉江さんもなかなか心憎い。そして、女の子が可愛い本作の面目躍如、井口さんから、史上最高のプギャーm9(^Д^)頂きました。いい顔だなぁ。 |
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プロフィール
HN:
Thraxi
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男性
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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