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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ひとつの決着、最終話。アニメの最終回ってものは、何とも言えない寂寥感に襲われることもあるんですが、これの場合はなんだか全身の力が抜けるような、得も言われぬ達成感がありましたね。「終わった」ということが実感出来ることが、プラスに感じられるのは良いことです。

 全てに決着がついたわけではない。しかしそれは、これがゼロに至る物語であるため。次の世代、次の希望に向けた一時的な収束というのが、この作品の最初から決定されていたゴールである。おかげで、たとえば琴峰綺礼は次なる旅路への一歩を進めただけであるし、アインツベルンの血族には一切の救いの手はさしのべられていないだろう。セイバーの悲しみは癒えず、遠坂凜の悲願は芽生えたばかり。そして次なる世代の象徴たる衛宮士郎も、ようやくその夢を心に刻んだところ。まだ、何も始まっちゃいない。

 しかし、間違いなく「終わったのだ」ということが実感出来るのである。聖杯が退場し、全てをゆだねる願望機を失ったことにより、少なくとも衛宮切嗣の物語は完全に終幕した。士郎に対して「正義の味方を名乗るのは期限付きだ」と語ったことからも、彼の全ての夢は、文字通り夢のままで潰えてしまったことが分かる。物語の主人公としては何とも消化不良なようにも思えるが、切嗣の持つ「正義」は、既に完膚無きまでに破壊されてしまっている。彼は生きてこそいるが、既に主人公たる権限も、正義たる権限も失ってしまったのだ。そして、彼の持ち続けた歪んだ「正義」は、心ならずも「息子」に受け継がれることになるのである。後世の衛宮士郎の物語を知っている人間からすると、一度砕かれた「正義」が今一度奮い立った結果、またしても「衛宮」が逃れえぬ悲劇に身を落とすことになるのは何とも痛ましいことであるが、少なくとも、現時点において、切嗣の正義は「終わった」状態で動くことはない。それはある意味、幸せな結末と言えるのかもしれない。

 参加したマスターたちの中では一番希望が残されたウェイバーの新たな旅立ちが描かれ、更に、真逆の冥府に突き落とされた雁夜の結末も容赦無くしらされた。当然のことながら、聖杯戦争に参加した人間たちの人生は、冬木の大災害を境に大きく変化していくのは確実である。そして、新たな一歩を踏み出す中に、あの琴峰綺礼もいる。淀んだ聖杯によって生きながらえた「邪悪」は、ある意味ただ一人、何一つ変わらず、変えられずに次のステージに歩を進めた人間といえる。新たな目標を掲げ、次なる世代を見据えて凜に遠坂の家督を継がせるに至った。既に「愉悦」については自己理解が進んでいるようだが、彼が時臣を殺害したアゾット剣を実の娘に託すという何とも悪逆な行為に及んだのも、特に意味など無く、単に面白半分だったのだろうか。

 全ては「始まり」へ、という構造は、最終話となった今回で徹底的にこだわって描かれており、これまでずっとサブタイトルで時を刻んできたカウンターがついに0に至ったこともそうであるし、うちひしがれるセイバーが嗚咽しくずおれるのと同時に、彼女が次代で再び顕現するステージとなる衛宮家の倉庫の改修が描写されたのもその一環。また、最後に流れる「オープニング」テーマが「To the beginning」であるというのも実に示唆的である。

 こうしてひとつの「終わり」として見ていると、やはり一番やるせないのはセイバーの結末だ。様々な英雄達によって振り回され、揺さぶられた1人の女性の物語は、ここでは「悲劇」として幕を閉じている。何一つ願いを果たせなかったセイバーは、現世で最も信頼を寄せていたアイリの残した唯一の証であるはずの聖杯を自ら断ち切るという、どうしようもない幕切れを強要された。後に残されたのは、切嗣との確執、ランスロットとの遺恨。セイバー自身は「自分が王であるべきではなかった」と悔悟しかしておらず、ランスロットが最後に残した言葉の一部しか受け止められていない。彼女は本当に「正しく」「王である」はずの人生を歩んできたというのに、最も誇るべき本人がそのことを全て悔いているという、本当に救いようのない状態。彼女の時代を超えた戦いは次の物語で決着を迎えることになるので、ここでは致し方ないこととはいえ、何ともやるせない結末であった。最後に彼女にさした光明、衛宮士郎という新たなマスターとの物語は、改めて彼女を応援しながら見守りたいものである。

 色々と見どころが多く、まだまだ「終わった」と言うのに時間がかかりそうなお話ではあったが、何一つ思い残すこともないのも事実だ。ひとまずは、長きに渡ってこの見事な作品を作り続けてきたスタッフの方々にお疲れ様と。

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