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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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<以下の文章は、放送当時に執筆されたものである>
 
○第12話「真夏のグラフ」
 脚本・広真紀 絵コンテ/演出・渡辺正樹 作画監督・萩原弘光


 <あらすじ>
 
 時期は夏休み。ゆずき達は、友達の尾藤望が親の手伝いで出店の店番をしていることを理由に、大型室内プール施設に来ていた。望の働く売店には、もう1人のアルバイトがいる。眼鏡をかけた陰気な青年、乃村信夫。彼は秋恵達が自分の作った焼きそばをろくに食べもせずに捨ててしまったのを見て、憎々しげに「ムカつく」と呟いた。
 
 乃村には、奇妙な趣味があった。その日出会った「ムカつく奴」の似顔絵をパソコンで描き起こし、それで小さなシールを作って「ムカつき指数」を測るのだ。この日は、自分の作った焼きそばを捨ててしまった秋恵達に1MK(エムケー)、自宅アパートの駐輪場で、自分がいつも停めていた場所を横取りした近所のおばさんが3MK。そうして印刷したシールを、自室に貼ってあるアイドルのグラビアポスターの足下から貼り付けていく。この「グラフ」が頂上に到達した時、その「最もムカつく奴」を地獄通信で流す、それが彼の計画だった。
 
 漫画を描くのが趣味の乃村は、ムカつく奴が地獄に落ちたところを想像して絵を描いて鬱憤を晴らす。現在グラフ戦線で優勝候補なのは、毎日のように店にやってきて乱暴な態度を取る級友の反町と、件の駐輪場で会う気に食わないおばさん。彼のディスプレイの中の漫画では、二人が阿鼻叫喚の地獄で助けを求める絵が大量に描かれている。毎日のように地獄通信にアクセスする乃村には三藁も注意していたが、骨女は「そんなゲームみたいな使い方はよしておくれよ」と理解出来ない様子。輪入道は「ま、使い方は人それぞれさ」と笑ってみせるが、それでも分からないものは分からない。
 
 乃村は、学校に好きな人がいる。同じ学年の女子、篠山心だ。だが残念なことに、彼女はある日彼氏連れでプールを訪れた。当然のごとく、グラフの上では心の彼氏が一気にスパートをかける。そして片思いを踏みにじられた乃村の憧れの視線は、今度は一緒に働く尾藤望の方に向く。「乃村さんって、絵がうまいんですね」と彼女が褒めてくれたことがきっかけだが、それ以来、彼はよく望の絵を描くようになる。地味で眼鏡な望を「冥土少女」として主人公にした漫画を一気に書き上げ、これを雑誌に投稿までする。
 
 グラフ上のバトルはいよいよ佳境。駐輪場のおばさんとは直接のいざこざが起こり、「こいつは10MKだ」と憤るが、10枚のシールを貼り付けようとすると、ついにそのラインはゴールを超える。ゴール間際で手をとめた乃村は、「漫画もかけたことだし、今回は2MKにまけておいてやるか」といってシールを剥がす。いざゴールにたどり着きそうになると、その結末を選ぶだけの勇気がないのだ。同じようにして、相変わらず横柄な態度をとる級友の反町にも腹を立て、篠山心といちゃつく男を見ても嫉妬の炎にかられるが、そのたびに「ゴールも近いから許してやるか」と自分をクールダウンさせる。
 
 怨みを押さえ込んだ乃村に、突然の朗報が飛び込んでくる。勢いで送ったマンガの原稿が、新人賞をとったのだ。筆ものり、何でもうまくいくように思える順風の中、乃村は勢いで望をデートに誘う。奥手な望は、特に嫌な顔もせずにOKを出し、乃村とつき合うことが決まる。乃村は、すっかりグラフのことなど忘れてしまっている様子だった。
 
 しかし、ある夜彼が自宅へ帰ろうとした時、たまたま橋の上から身を投げようとしている女性を見つけてしまう。慌てて引き止めると、何とあの篠山心。彼女はつき合っていた彼氏に二股をかけられていたことを知り、ショックで身を投げようとしていたのだ。乃村は心に生きるように説得をし、自宅に戻ると決意の表情でシールを刷り上げる。「流石に許すことは出来ない」と、一気に心の彼氏のシールをゴールまで貼り付ける。
 
 地獄通信にアクセスする乃村。しかし、いくら待ってもページには一向に繋がる気配がない。「他人の怨みじゃ駄目なのかな」と悩む乃村の背後に、あいが現れる。「地獄少女? 来てくれたんだ。流して欲しい奴っていうのは……」。乃村の言葉をあいが遮る。「流されるのは、あなた」。一時の迷いで身を投げようとし、それを救ってくれた乃村に洗いざらい自分の情けない話をしてしまった篠山心が、自分の醜聞を隠すために、乃村を流したのだという。
 
 「ひっでぇ!」の声とともに、乃村が流される。後に残されたのは、デートの約束を反古にされて落ち込む望と、新しい彼氏を見つけてやり直した心。彼女の目下の悩みは、胸の刻印のせいで着られる水着が限られることだった。
 
 
 <解説>
 
 まぁ、ネタ回である。そもそもドがつく田舎にしか見えない賽河原にこんだけでかい室内プールがあるっていうのもどないやねん。地方行政が金バラまいた結果かなぁ。いや、どうでもいいけどね。先にキャストの話をしてしまうと、今回の主人公である野村信夫を演じたのは山口勝平。「曽根アンナの濡れた休日(2期10話)」の千葉繁もそうだったが、1人で作品の空気を決定付けてしまうだけのアクの強いキャストで、全体的にコメディータッチで進む今回の雰囲気を決定付ける役割を果たしている。まぁ、難しいことを考えずに理不尽に悶えて苦笑いするのが、今回の正しい楽しみ方といえるだろう。
 
 今回のモチーフをあえてひねくり出すとするならば、「流すものの選択」とでもなるだろうか。地獄通信は1人の人間が生涯1度だけ使えるもの。実はこのルールはあいが明言したことは一度もないのだが、代償の説明の時点でこれが暗示されているということだろう(1度の人生で2度地獄に堕ちることは出来ない)。そして、人間が普通に生きる上で、殺してやりたい人間は、1人だけではない場合も多いのだ。これまでのストーリーでは怨みの対象が二転三転することはあっても、それはどんでん返しの結果に起こることであって、今回のように同時並行で複数の人間を恨み、「誰を流すか」という悩みを持っていた人物というのはいない。また、最終的に義憤にかられて地獄通信を使おうとしているが、実は純粋に「他人のために」という動機から地獄通信を使おうとした人間というのもほとんどいなかったりする(「陽のあたる場所(2期6話)」がかなり近いのだが、地獄流しは未遂)。そういう意味では、「地獄流しを行う人間の心情」を探る上で今回のエピソードは興味深いものであるはずなのだが、残念ながら主人公の乃村のテンションのせいでイマイチ緊迫感は無い。輪入道が前回の次回予告で「なんだぁ、こいつは」と言っていたのが、一番素直な感想だろう。
 
 今回の作中で楽しむべきは、やはり乃村の人物像だろう。山口勝平はどこまでが台本でどこからがアドリブなのかが分かりにくいが、例えばペンタブレットに向かって必死に絵を描きなぐるシーンではあまりマイクにのらないような音量でず〜っとブツブツ呟いているし、憧れを抱いた後に尾藤望の似顔絵からキャラクターを描き起こした時に彼女の胸の部分(エラい巨乳)を描いて鼻血を出してぶっ倒れた時も、単に「ぶわっ」みたいな台詞を吐いてるだけかと思ったら、良く聞くと「ぷるる〜んって!」とわけの分からないフォロースルーを入れている。一人で「冥土少女ホラーホラーロリータ」の漫画の台詞を音読する様子なんかも実に不気味で、本当にこの回は乃村のキャラクターを立てるためだけに話が作られているように見える。
 
 おかげで色んなところに妙なギャグが仕込まれており、その中でも一番分かりやすいのは今回の地獄流しだろう。まるで「さよなら絶望先生」に対抗するかのように、今回の地獄流しは全編実写映像で作られている。紙人形の四藁が乃村をそれぞれに有名な地獄に招き入れるという設定なのだが、乃村自身も紙人形で、これを鍋でゆでるのが「釜茹で地獄」、マッチの火で燃やすのが「火あぶり地獄」といった様子。明らかに製作スタジオの机の上と分かる乱雑な場所で撮影されている実写が、いかにも安っぽくて妙におかしい。最後にあいが口上を言うシーンでも、あいの目が赤く光る部分が人形に仕込まれた赤い豆電球で表現され、地獄に堕ちる最後の最後まで安っぽいままだった。おかげで今回は船上シーンが省略されている。
 
 他にも輪入道が台詞を言って頭をキラッと光らせたところからそのまま夕日にフェードさせたり、望がラストシーンで眼鏡を外したら無意味に絶世の美少女だったり、わけの分からないこだわりに笑っていいのかどうか迷ってしまうような回だった。や、まぁ、嫌いじゃないんですけどね。ちょっと拍子抜けはするよね。
 
 一応1つだけ疑問をあげておくと、何故、今回乃村は地獄通信にアクセス出来なかったのだろうか。本人のいうように「他人の怨み」だから怨みエネルギーが足りなかったのだろうか。どうもコンテ演出の意図を汲み取ると「先に心がアクセスして糸を解いちゃったから、そのターゲットである乃村はアクセスしちゃ駄目だよ」ということなんだろうけど(あいがわざわざ部屋に出てきてくれているので、この時点で契約は終了していると思われる)、ちょっと時間軸が合わないんだよな。「地獄通信は深夜0時」が決まりなのだから、乃村も心もアクセスしたのは12時ジャストくらいだったはず。この時点で心の依頼は完了していないわけで、まだ乃村にもアクセスの権利はあったはずなのだ。それとも、地獄通信は1日1名限定早い者勝ちのサイトなのだろうか。まぁ、あいがいちいち契約の説明をしなきゃいけないから、まとめて来られても困るんだろうけどさ。切羽詰まった人(9話の稲生楓とか)が先着順で打ち切られてアクセス出来なかったらエラいことになるよなぁ。
 
 今回他のキャストは特に記憶にも残らないのだが、ようやくスポットがあたったゆずきの友人である尾藤望役は、どうやら新人らしい橘田いずみという子が演じている。少なくともこの回を聞く分にはそれなりのものであるように思えるが、今後の活躍はあるのだろうか(現注:思い返せばこれがいず様との出会いだったのである。まさか数年後にあんな形でブレイクすることになろうとは)。ちなみに他のゆずきの取り巻きは、つり目の長髪が「江上そら(CV・伊勢茉莉也)」、ぽちゃっとした方が「椎名珠代(CV・阿澄佳奈)」。どうでもいい情報ですけど。あとは今回最も理不尽だった篠山心役には廣田詩夢。名前は久しぶりに見たけど、調べてみたらいつの間にかバオバブの正所属になっててちょっとびっくりした。これまた本当にどうでもいい話ですけどね。

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