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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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Wake Up, Girls!」 5→5

 艱難辛苦を乗り越えて、なんとか1つの仕事を仕上げることが出来たことにまず一安心。どうしても贔屓してみてしまう部分はあるのかもしれないが、「第3のアイドルアニメ」として、しっかりと物議を醸し、後に残る結果を出すことができたのではなかろうか。

 この作品を世に出すのには、かなりの勇気が必要だっただろう。ジャンルがジャンルなので「まだ柳の下にどじょうを求めるのか」と思われる時点でいくらかビハインドであるし、何よりも被災地仙台という舞台設定、復興の応援というサブテーマは、軽々に扱ってよいものではなく、下手なことをすれば火事場泥棒のように不幸を売り物にしている、という評価すら受けかねないからだ。基本的にはデリケートな問題には蓋をする文化であり、誰だってわざわざ藪をつつくくらいなら無難な道を選びたくなる。しかし、山本寛という男は敢えてそこにいった。すっかりヒールとなったネット上の自分のキャラは完全に理解しているだろうし、そうした悪評を招く可能性が人一倍高いだろうことも分かっていたにも関わらず、敢えてそこにつっこんだ。それは愚者の蛮行なのか、本当の勇気だったのか。とらえ方は人それぞれだろうが、少なくとも作品を観る限りでは、きちんと狙った部分を扱うだけの土壌は用意出来たのではないかと思う。

 「アイドル」というテーマに関しては、先駆ける同ジャンルとははっきりとステージを差別化し、アイドルという存在そのものを、より社会に即した部分から切り出すことに挑戦した。そのためにわざわざキャストまで新しく用立てて、全てを一から作り上げるというチャレンジに出た。「アイドルの産みだす社会性、経済性、そして精神性」というものを描くための手段として、たとえば極力キャラのデザインを地味なものに寄せたり、不快なモチーフについてもかなり多く扱っている。その上で最後まで安心して見ていられたのは、「最終的にハッピーエンドがあるべき」という理念が信じられていたこと、そして、こうして作られたアイドル性というものが、ちゃんと意味を持っていたことに依る。WUGとI−1という2つのアイドル像でもって現場の実情を「アニメ的に」描いてはいるものの、どちらの含む「怖さ」も「痛さ」も、おそらく現実を見れば避けられない部分だろう。そうしたものをさらけ出しつつ、ギリギリの部分で「アイドルアニメ」というスタイルが壊れないセーフティゾーンを模索する。この挑戦はなかなかに野心的だ。

 そして、そこまでして「アイドルの世界」を描くことで、「少女の努力」の描出が成され、副次効果として「震災へのエール」に繋がる。このことも、きちんと作品内で正面から描かれていたものだ。これだけの舞台設定をしても、まだまだ被災地のリアルに切り込むには全然足りないのだろうが、少なくとも一歩目を踏み出せたということの価値は、見た目以上に大きい。ことあるごとに日本のアニメに対して悲観的な、時に絶望的なことすら平気で口にするヤマカンであるが、こういうところに、彼の模索する「アニメの生き残り」のヒントが隠れているのかもしれない。

 まぁ、難しい話はさておいても、「アイドルアニメ」というテンプレートの上で必要なことを粛々とこなした上で、7人のメンバーを魅力的に描き、晴れやかな気持ちで12話まで見通すことが出来たというだけでもそれなりの成果ではある。序盤には「区別つかねぇよ……」と絶望していた7人娘だが、最終的にはちゃんと個性が出ていたし、今後が楽しみにもなった。キャストが素人ってのはどうなることかと不安ではあったが、最終的には(かなり個人差はあるものの)それなりのものになっていたのではなかろうか。最終話の佳乃の嗚咽シーンなんて、胸に迫るものがありましたよ。そして、アイドルアニメで重要なライブ、曲は良い。やっぱり曲がいいよなぁ。流石の神前暁。

 しかし、これだけ色々と評価出来る部分があるにはあるが、やっぱり作画がどうにもこうにも……本当にそこが勿体ないんだよなぁ。地味な画面だからどこまでも繊細な作業が必要になるはずなのに、一番大事な作画面がボロボロってのは本当に悔やまれる。せっかくのプロジェクトだったのに、なんでこんな状態でスタートしてしまったのか……もし2期があるなら、なんとかスタッフを揃えて、万全に体制で挑んで欲しいものである。

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