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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「グラスリップ」 7→6

 さて、そろそろ自分の中でも落ち着いて来たので一旦まとめておくことにしよう。実に様々な議論を巻き起こした「問題作」である。まぁ、話題になるのも有名税ってことかもしれない。私はこの作品に対しては非常に寛容な姿勢を取っていたのでそこまで苦しむことはなかった。何故寛容かって、そりゃね、既に新番チェックの時点で言っているからね、「P.A.作品は全力で贔屓していく」と(「Angel Beats!」を除く)。

 点数を下げさせてもらったのは、当然「万人受けするとは到底思えないチャレンジ」の配置の仕方が不親切であったのは否定出来ないため。受け取る層にも問題はあるのだと思うが、それでもやっぱり、「これまでのP.A.作品でお馴染みの空気だよ! 恋愛を色々ややこしくするよ!」というノリで中盤までの構成を貫いたことは、視聴者側に「見る姿勢」を固めさせてしまう要因となっていただろう。おかげで非難を浴びたりもするわけで、いくら「観る側の勝手」とはいえ、もう少し、「注意して見ていた方が良いよ」というサジェスチョンは用意して欲しかったところ。単に自分がそこの調整で苦労したので不満だった、ってのもあるけど。一度「分かりやすい話なんだ」と思ってしまうと、いかに真剣に見ようと心構えをしていても、どうしたってゆるみはでてしまうものだ。それを助長した制作側に難があったのは事実であろう。

 しかし、そこが決定的に「不親切」であったとしても、やはりこのチャレンジ精神は買いたい。「何があるか」すら全て覆い隠して、視聴者に正面から「アニメで描く意味」を問いかける無鉄砲さは実に刺激的。前半パートでは普通の恋愛ドラマとして「どこがくっついてどこが離れるか」で注目させておき、追いかけていくと「あれ? なんか恋愛ドラマとしてはシンプルに終わりすぎじゃね?」というところに疑問が生じ始める。なにせ、3組のカップルのうち2組は9話の時点でゴールインしており、残る1組だって脇道などなく、あとは「普通のいちゃいちゃ」をするくらいしかないとしか思えない状態になったのだ。冷静な姿勢であれば、そこで何かおかしいことに気付くことは出来たはず。それを「凪あすだったらここからまた一悶着ある」と、理由も無い先入観で「恋愛ドラマとしてみる」ことを続けてしまったのは単なる失態である。そこから先にある「未来の欠片」の物語は、最終話のところで描いたように、「青春」を、「心象」を、「曖昧」を探す物語だった。……まぁ、「知らんがな」というのがやっぱり正しい答えではあるのだけど。結局、振り回された挙げ句に必死に考えさせられ、注目してしまった時点で「上手くしてやられた」のである。こんなにも毎週どうしたらいいか分からずにオロオロした作品も久しぶり。それをこんなにも静かな「恋愛ドラマ(風)」作劇でやってのけたのだから、肝の太い脚本だったのは間違いないだろう。

 そして、ここからはメタ度の強い邪推であるのだが、何故このような「妙なプロット」が産みだされるに至ったのかを想像するに、元々は「P.A.独自の画作りをそのまま作品世界のテーマとして落とし込みたい」という欲求がどこかにあったのではないだろうか。ちょっとややこしい話になるが以下のようなことである。

 「アニメの映像」は、当然製作スタジオの武器になり、味になる最大の要素であり、天下のP.A.Worksは特にその特性が顕著である。過去の作品を並べて見るに、海の青や雪の白、弾ける透明な水しぶきといった透明感溢れる映像美が特に見どころになり、「true tears」では深々と雪の降る中での麦端祭り、「花咲くいろは」では一家の思い出や未来に繋がるプール・オン・ザ・ヒル、「TARITARI」で描かれた湘南の海に、「凪のあすから」のぬくみ雪と汐鹿生の青がある。こうした映像美は、作品世界を彩る大きな武器である。しかし、実際にはあくまで「彩るツール」であって、「物語の中心」にその武器を置くことは出来ない。「物語を紡ぐこと」と「映像を描くこと」は、どうあがいたって目的を1つにするわけにはいかないのだ。しかし、それを強引にまとめ上げる方法がある。美点である映像特性を、そのまま作品テーマとして物語内部に落とし込んでしまえばいい。作品世界内部の人間も、「映像の美しさ」が見えてしまうようにすればいい。そこで産みだされたのが、「大いなる観察者」たる深水透子だったのではなかろうか。彼女の「見えるもの」は漠然と「未来の欠片」と名付けられ、それは「心象」であったり「青春」であったりするかもしれないが、画面にあらわれる特性としては、それは「輝き」であり「光」である。彼女の象徴たる「ガラス」に映り、夜空に光る「花火」をもたらし、静かに積もる「雪」を導き、最後には全てをなげうって飛び上がる「流星」となった「未来の欠片」。これはつまり、透子が見ることの出来る「P.A.の映像技術そのもの」ではないのか。「光の演出が描きたい」からこその、「欠片」であり、「欠片」が作品世界内部で意味を持ち、透子が「メタ情報である」ことを意識せずにメタレベルに触れられるよう、「作品に内包される被観測者」である沖倉駆を産みだした。駆の中身を探ることで、透子は「欠片」について思考する。そしてそれは、「輝き」を、「映像美」を作品内キャラクターが追求することの置換である。こうして、「P.A.作品内でP.A.作品を見る」主人公が完成した。それが、この作品の目的だったのではなかろうか。

 うん、妄想するだけなら自由だからね。普通に考えたら絶対違うって分かってる。でも、こういうことを夢想させてくれるだけで、私はこの作品が好きだったんだ。毎度ご静聴ありがとうございました。

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