最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
この記事は4本で1セットになっています。
→1/4 →2/4 <アニメソング部門> タイトル部門ではエントリー数の減少がダイレクトに響いてしまっているのだが、こちらの部門は今年も元気。各作品のオープニング、エンディング、挿入歌などを取り上げるアニメソング部門だ。 最近のアニメはいかに1話で食いついてもらうか、いかに飽きさせずに最後まで観てもらうか、ということを重要視するようになっており、おかげで昔に比べてオープンエンドにも力を入れる作品が多くなったし、「そらのおとしもの」「はなまる幼稚園」などのように、毎話毎話曲とアニメーションを入れ替えるなんて凝った作品も少なくない。そんな中でも、特に目を引いたアニメーションや、耳に残った曲などをピックアップしていこう。 まず、今期は私のお気に入りであるアニソンブランドMOSAIC.WAVが楽曲を提供しなかったのが少し寂しいのだが、他にも年季の入った「アニソンシンガー」は元気。新居昭乃の「蜜の夜明け」(「狼と香辛料Ⅱ」OP)、石川千晶の「First Pain」(「エレメントハンター」OP)、KOKIAの「Transparent」(「Phantom」ED)、坂本真綾の「マジックナンバー」(「こばと。」OP)、angelaの「オルタナティブ」(「アスラクライン2」OP)など、長年のキャリアを体感させてくれるだけの完成度を誇り、勿論作品との親和性も高い。個人的には、「堕天國宣戦」(「戦う司書」OP、ALI PROJECT)は、最近食傷気味だったアリプロサウンドの中で、久し振りに過去に立ち戻ったかのようなパワーのあるリフレインがお気に入りだ。インストにしたら甲子園の応援歌にも使えそうな勇壮さが素敵。あとは「虹色ポケット」(「ささめきこと」ED 清浦夏実)かな。フルで聴いた時の愛らしさがたまらない一曲。 これを追いかける新しい才能にも注目するなら、少しずつ知名度を上げる飛蘭の「Mind as Judgement」(「CANAAN」OP)、HIMEKAの「果てなき道」(「テガミバチ」ED)などが正統派だろうし、脳髄になんだか響くNeko Jumpの「Poo/Chuai Mad Noi」(「キルミンずぅ」OPED)なんてのも気になる。鬼才梶浦由紀の放つ新たな刺客、Kalafinaの新曲「光の旋律」(「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」OP)も、相変わらずの梶浦サウンドの奥行きが体感出来る名曲。まだまだ新しい人材が数多くいるとは思うが、これらをただ並べるだけでも、本当に「アニソンってのは面白い」と実感出来るだろう。 そして、個人的に無視できないのは、ますます数を増してきている声優ソング、キャラソンの数々。オープンエンドに限っても、賑やかな合いの手が癖になる「本日満開、ワタシ色」(「ハヤテのごとく!!」ED)や、前作とは異なった理不尽なパワーを叩きつけてくれる「Super Driver」(「涼宮ハルヒの憂鬱」OP)、ひねらないガールズポップが歌い手の声質にマッチした「Girls, Be Ambitious.」(「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト また、映像的な側面で見せてくれた作品としては、「そらのおとしもの」を彩った様々なエンディングが面白い。楽曲は全て懐メロで構成されているわけだが、伝説となった「岬めぐり」(2話ED)を皮切りに、「ゆけ!ゆけ!川口浩」(5話ED)、「ワイルドセブン」(8話ED)、「チャンピオン」(11話ED)など、懐かしさの中にきっちりギャグも全力投球な画面が楽しい。同様の手法を採った「はなまる幼稚園」でも、毎回異なった味付けのエンディングが彩りを添えた。 そして、本当に最後まで悩んだ1作に、「帰り道」(「化物語/まよいマイマイ」OP)がある。世間的には「恋愛サーキュレーション」のインパクトの方がでかいみたいだが、多分今期最もヘヴィーローテーションしたのはこの曲。というかこの映像。これぞ渡辺明夫。彼の絵の持つロリっ子フェティシズムを全力全開で引き出してくれた板垣伸は素晴らしいアニメーターだ。 さて、長々と書いてしまったが、以下が上位3作に選んだ今期の楽曲群である。 第3位 ‘05 「Canvas2」 ED 「NA NA IRO」 ‘06 「涼宮ハルヒの憂鬱」挿入歌 「God knows」「Lost my music」 ‘07 「Myself:Yourself」OP 「tears infection」 ‘08 「マクロスF」25話挿入歌 「娘々サービスメドレー」(ライオン) ‘09「乃木坂春香の秘密ぴゅあれっつぁ♪」OP 「挑発Cherry Heart」 上で取り上げた数々の声優ソングは、選定に最後まで悩んだ。今期「本日満開ワタシ色」と「Super Driver」、それに「帰り道」という3曲の声優ソングをおさえてこの位置に選出したのは、姫宮みらんこと生天目仁美の歌うこの曲である。 「乃木坂春香の秘密」は、作品自体は本当にどうでもいいもので、特に観る価値を見いだせなかった作品の1つなのだが、何故ここでオープニングだけ取り上げたのかというと、理由は大きく2つある。もちろん選んだからには、映像的にも盛り上がるものだったというのは理由として上げられる。時期を加味してクリスマス仕様のコミカルでテンポの良い演出をベースに、最後は姫宮みらんのライブ会場へと繋ぐ映像構成は、イメージビデオとしてはなかなかの出来映えだったと思う。 が、今回の選出理由はそれだけではなく、まずは「ナバはお歌がうまいと思うんだ」という理由が1つ。そうなのだ、声優生天目仁美は、割と歌が達者なのだ。にも関わらず、どうも「歌唱が映える声優」という扱いを受ける機会が少なく、今回のようにソロで歌うと随分ありがたみが増す。前作の「とまどいビターチューン」も良かったが、今回は姫宮みらんのキャラクターに合わせ、さらに曲調を激しくしたストレートなロックサウンド。ナバは本当に声がきれいで、下手すると粗野なイメージになりかねない楽曲をうまいこと調理している。この「歌い手・生天目仁美」をもう少しフィーチャーしてもいいんじゃないか、という個人的な希望が、1つ目の理由。 2つ目の理由は更にどうでもいい話になるのだが、個人的に「メインメロでピアノを表に出した楽曲」というのが好きなのだ。この「挑発Cherry Heart」も、基本はスタンダードなバンド音源で構成されているのだが、サビ部分からピアノが入り、これがクライマックスで実にいい仕事をしている。いっぺん聞いたらこれが癖になってしまい、結果的にこの位置に落ち着くまでの影響を及ぼしたというわけである。 作品自体の出来不出来は置いておくとして、是非ともたくさんの人に聞いてほしい曲である。あと、ナバは歌ったり演じたりすると格好いいんだから、もう少し普段を何とかしよう。 第2位 ‘05 「ゾイドジェネシス」 2期ED 「ありのままでLovin’U」 ‘06 「武装錬金」 OP 「真赤な誓い」 ‘07 「ひぐらしのなく頃に解」OP 「奈落の花」 ‘08 「狂乱家族日記」OP 「超妻賢母宣言」 ‘09 「獣の奏者エリン」OP 「雫」 この作品の場合、曲の勝利とか、画面の勝利とかいうよりは、作品構成の勝利である。見事なビジュアルでごまかさてしまうが、歌詞を通して聴くと、作詞作曲がスキマスイッチということで、実はスタンダードなラブソングだったりする。しかも男性から女性へのメッセージソングなので、少女が主人公の本作のオープニングとしては、いささかそぐわない部分もあるはずなのだ。しかし、それが丸め込まれてしまうだけの不思議なパワーが、曲と映像の波状攻撃に込められている。 前期は作詞作曲を手がけたスキマスイッチ自身による歌唱。多少乱暴ながらもストレートなメッセージを伝える歌い方が、画面を埋めるエリンとソヨンの関係性、そしてそれを左右する闘蛇の凶暴性とリンクする。ここでは歌詞で紡がれる「失われた翼」は、おそらくエリンにとって最愛の母、ソヨンを意味する。母を亡くした少女の悲しみが、悲痛な歌詞とかみ合いながらも、どこか前向きに、生きていくことを押し進め、パワーを与える役割を果たす。 そして、後期になると歌詞と曲はそのままに、アレンジだけを変えて歌唱が元ちとせの手に渡る。このようにして「楽曲が同じで歌い手が変わる」という演出は非常に珍しく、それだけで目を引く物になっているわけだが、またここでスイッチがきれいに決まっている。元ちとせによる歌唱はまるで民話か伝承詩の様な雰囲気を生みだし、壮大な歴史サーガとしての本作の側面を強く打ち出す。ここで新たに喚起されるのは作品の象徴たる王獣の姿で、「失われた翼」は、一時期エリンとリランの間に生まれた決定的な亀裂や、リョザという1つの国を揺るがした戦乱を示唆する。そして、最後にはこの「翼」を背中に宿したエリンのビジュアルと、その後ろに輝くリランの姿で楽曲が終わる。当然これは、「あのエンディング」に繋がるビジュアルイメージだ。 他にも、後期の映像には一斉に襲いかかる闘蛇の群れや、前期に引き続き登場する林檎の実など、非常に重要なパーツが散見され、それらをこの作品独自の映像技法で紡いでいく構成になっている。これだけの情報量と含意を持ち、さらに一本のアニメーションとしての見応えがあるオープニングを、コンセプトを統一させた1つの楽曲で描ききるというのは、大変なことである。また、同じ曲は作中のクライマックスでもしばしば挿入歌として用いられており、何度もこの作品を盛り上げるために活躍している。1年間の視聴を続けた人間にとって、この「雫」という楽曲は、「エリン」と切っても切れない大切なイメージの1部となっているに違いない。こういう親和性こそが、アニソンの真骨頂といえるだろう。 第1位 ‘05 「ぱにぽにだっしゅ」 OP群 (「黄色いバカンス」「ルーレット☆ルーレット」「少女Q」) ‘06 「うたわれるもの」PS2版・アニメ最終話ED「キミガタメ」 ‘07 「ぽてまよ」 OP 「片道きゃっちぼーる」 ‘08 「ひだまりスケッチ×365」 OP「?でわっしょい」 ‘09 「シャングリ・ラ」OP 「キミシニタモウコトナカレ」 というわけで、今期ベストに選ばせてもらったのは、すっかりアニソンイベントでは「現代のアニソンクイーン」として定着したMay’nが初めて本人名義でリリースした楽曲、「キミシニタモウコトナカレ」。ライブでの安定感抜群の歌唱は、今後も彼女がこの世界で活躍し続けることを確約してくれている。将来的には奥井雅美のような「アニソン界の重鎮」になってくれると面白いんだけどなぁ(2人で歌う「ミラクルアッパーWL」(「おんたま!」OP)も当然お気に入り)。 で、そんな記念すべき楽曲が素晴らしいことは言わずもがな。初めての菅野よう子以外のアーティストによる作品だが、作曲はなんと本間昭光。彼のプロデュース作としては「鯨/Benus Say」(「ふたつのスピカ」OP)が大好きだったので、この曲についてもどんぴしゃりの仕上がり。シンプルなメロディラインだが実は存外難度が高く、May’nの技術がきっちり活きる良い曲である。また、歌詞はストレートなメッセージになっているが、実は2番になると「弧を描き巡る」など、本作「シャングリ・ラ」のヒロイン、國子の武器であるブーメランと歌詞がリンクしたりしている。アニメファンならニヤリとさせられる部分だ。 正直言って、「シャングリ・ラ」は成功した作品とは言い難いのだが、この作品の持つ良い部分は、全てオープニングの映像に出し切っていると言っても過言ではない。大都市東京のビル群とそれを覆い尽くした緑のアンバランスな景観に、高くそびえるドゥオモの影。CGも加えて見事に構築された背景美術の世界観がきれいに出ているし、村田蓮爾によるキャラクターデザインが最も忠実に再現されているのは、このオープニング映像である(特に國子のアップになるとこれが顕著である)。ぶっちゃけこのオープニングの絵の出来映えを見てしまうと、作品自体が「オープニング詐欺」とそしられても仕方ないくらいの完成度。 そして、絵も凄ければ画も凄い。敵味方入り乱れての総出演というのは、もう何のてらいもない、王道中の王道の「アニメのオープニング」の構成なのだが、まるでたとえ1秒でも画面を止めることを嫌うようなめまぐるしい切り替わりと、大胆な構図による画面の迫力が抜群で、どのキャラクターも恐ろしく格好良く、可愛らしく見える。ジープで思い切り飛び上がり滑走する武彦のシーンや、威風堂々と立ちふさがる「ラスボス」鳴瀬涼子、小夜子を挟んで2種類の美邦様が連なるシーンや、それに引き続き小憎らしい笑みを浮かべる香凛のぐるぐる回るカットなど、1コマたりとも無駄な画が無い。もちろんそんな中で一番活躍するのが主人公の國子で、ブーメラン投擲シーンのあり得ない躍動感に息を呑み(そして奇跡のブロックを誇るスカートに嘆息し)、ラストの爆風からの滑走シーンでまた目を見張る。本当に、「自分がもしこの道にいるなら、死ぬまでに一度でいいから描いてみたい」と思わせる素晴らしい動画に仕上がっている。 理屈抜きで楽しめる「動き」こそ、やはり「アニメ」の最大級の見せ場であろう。このオープニングを作っただけでも、この作品には価値があった。そう記録しておけば、せめてもの手向けにはなるのではなかろうか。 <キャラクター部門・男性キャラ> 個別のキャラクターの魅力を語りたい部門。でもまぁ、男性キャラ部門はそれなりの長さで。 まず、男性キャラなんてなかなか真正面から見ることもないので、重要なのは一発でもいいからインパクトのあるシーンを演出すること。ぶっ飛んだキャラというのは楽しいもので、例えば「明智光秀」(戦国BASARA)なんかは、毎回ふらふらとさまよっているマッドな雰囲気を見ているだけでも充分面白かったし、「アイスマン・ホッティ」(バスカッシュ!)のズレまくった格好良さも、なかなかのものである。デストローイ! そうそう、1話限りという意味では、「真庭蝙蝠」(刀語)の与えたインパクトも凄かった。2話以降のマニワニは本当に噛ませしか出てこなくて残念なのだが、蝙蝠のどこか突き抜けたキャラクターは、1話限りの噛ませ犬としては勿体ないくらいの濃さがある。 一発の破壊力ではなく、それなりのポジションでストーリーに食い込んだメインキャラクターの中では、例えば「桜井智樹」(そらのおとしもの)なんかはなかなか癖になるキャラ。単なる馬鹿なのだが、突き抜けた馬鹿というものがきちんとキャラとして成立したのは驚きだ。ハーレム萌えアニメで男性主人公が終始デフォルメというのも、智樹ならではのチャームポイントだろう。また、「朱宮正樹」君(ささめきこと)の悩ましげな生態も、ストーリーテリングの上では欠かせない。彼は……原作はいつになったら魂が戻ってくるんでしょうか。似た方向性では、最初は何故プッシュされているのか分からなかった「木下秀吉」(バカとテストと召喚獣)も。彼の場合、「男性キャラクター部門」で選んだら怒られるんだろうか。 後は、中の人繋がりでどうしてもまとめてしまう「そのまんま役」の数々。代表は「アルサル」(ティアーズ トゥ ティアラ)、「草薙国仁」(シャングリ・ラ)「アストリアス」(グインサーガ)の石井真3点セットや、「マットアラスト」(戦う司書)「カミングズ」(CANAAN)、「徳川家康」(戦国BASARA)といった大川透キャラクター群。大川さんのキャラは、本当に無駄に格好良くなるな。 さて、上位3人には誰を選出しようか。 第3位 ‘05 「灼眼のシャナ」より「“蹂躙の爪牙”マルコシアス」 ‘06 「コードギアス〜反逆のルルーシュ〜」より「ジェレミア・ゴッドバルト」 ‘07 「CLANNAD」より「春原陽平」 ‘08 「SOUL EATER」より「鬼神・阿修羅」 ‘09 「亡念のザムド」より「寺岡フルイチ」 過去の履歴を見る限りでは、この部門は割と「ヘタレキャラ」を選ぶ傾向にある。確かにヒーローとして扱われるキャラクターには格好いいキャラがいっぱいいるわけだが、アニメを観るときの1つの視点として、「憧れ」よりも「共感」という方が強い場合が多いからだ。ヘタレキャラを観ている方が、こちらとしては親近感をもって物語に没入しやすいし、キャラクターとしての真実味が増すので、造形も掘り下げやすい。 そう言う意味で、格好いいキャラばかりだった「亡念のザムド」という作品の中では、このフルイチだけは特殊だった。「ザムド」については、「考えることを強いるアニメ」という感想を書いたのだが、作中のキャラクターたちは、当然みな考えることを強要されている。たびたび「考えるのだ」と明言されたアキユキを筆頭に、ナキアミ、ハル、リュウゾウに垣巣大佐など、みんな信念がありながらも、日々の生活に悩み、自分の役割を必死に考えながら物語を紡いでいった。 そんな中で、最初に「考えること」をやめてしまったのが、フルイチである。彼を突き動かしていたのはハルに対する憧れと、そこに付随するアキユキへの嫉妬心。アキユキが姿を消し、ハルと一緒に軍へ加わるまでは良かったが、何をやってもハルの心は自分には向かず、生死すら定かでないアキユキを思うだけ。次第にフルイチは精神的にも追い詰められ、最終的には、自らを触媒としたヒルコに身を任せて暴走。ザムド化した彼の爽快そうな表情は、「悩むこと」というこの世界の義務を真っ先に抜け出すことが出来た者の特権だったのではなかろうか。そして、他の面々がしかつめらしい顔で彼の惨状を見守る中で、自らの力を使ってあっけなく最期の時を迎える。「命を絶つこと」という実にシンプルな答えを選択し、彼は最後の最後まで考えることを拒否し続けた。 人というのは、得てしてそんな程度のものではないか。実に身勝手で、情けない人生ではあったが、彼のハルを思うひたむきな気持ちだけは本当だった。そして、それを貫き通すのに、あの世界は向いていなかったというだけの話だ。弱いことを認めて、逃げることだって、勇気は必要なのである。彼の死に籠もったメッセージは、自嘲的なものでありながら、この世界を語る上で無視できないだけの大きな意味があった。そう思いたい。 第2位 ‘05 「魔法少女リリカルなのはA’s」より「レヴァンティン」 ‘06 「ネギま!?」より「モツ」 ‘07 「天元突破グレンラガン」より「ロシウ」 ‘08 「コードギアス 反逆のルルーシュR2」よりルルーシュ・ヴィ・ブリタニア ‘09 「化物語」より「阿良々木暦」 なんだかんだ言って、阿良々木さんは格好いいのである。たとえ厨二とそしられようと、たとえ紙芝居と揶揄されようと、阿良々木さんがいて初めて、「化物語」が成立し、あそこまでの地位に上り詰めたのだ。世間の人間が説教されるべきは、上条さんよりも、まずは阿良々木さんからだ。 彼は、実直だ。基本的に振り回される側のポジションにいるので無茶な振りに対して必死でレスポンスを返すことが多いあらららぎさんだが、ヒロイン勢がふざけるのをやめて、真面目に相談したり、対立したりしたときには、そこにきちんと責任ある回答をしているのである。例えばひたぎに対するプロポーズのくだりがそうだし、神原に対しても、彼女の負う傷が最小限ですむよう、あまりに大きな自己犠牲を選択している。撫子の時の献身的な振る舞いは過剰とも言えるヒーロー性の表れであるし、羽川に対しては13話の「怒れよ」という名シーンもある。彼は、口をつく言葉こそ厨二満載のイタい子だが、その実、そこらのギャルゲの無個性主人公と違い、一本芯の通った男なのである。まぁ、それにしてもハーレムが容易に拡大しすぎだとは思うが…… そして何より、彼は放送コードを恐れない。真宵に対して、真正面からあそこまで求愛行動に出られる男らしさは、法の力を越えて尊敬に値する。実際はその求愛行動が他人からは一人上手に見えてしまっていたわけだが、むしろ「嘗めさせろ揉ませろ」が回りの人間に正確に伝わらなくて良かった。ほんと、最近は怖いからね。 この作品には、もう1人忍野メメというなかなか魅力的なキャラクターもいるのだが、彼の持つような「達観」とはまた別次元で、ありゃりゃぎさんは自分を確立している。なるほど、ストレートな少年像というのも、また格別なものだ。 第1位 ‘05 「アカギ」より「浦部」 ‘06 「うたわれるもの」より「ハウエンクア」 ‘07 「大江戸ロケット」より「赤井西之介」 ‘08 「仮面のメイドガイ」より「コガラシ」 ‘09 「花咲ける青少年」より「クインザ・ハフェズ」 普段、この部門では「ナイスヘタレ」を選出することが多いのだが、今回の第1位には、忠臣の中の忠臣、「走って殺れる参謀役」として壮絶な人生を歩んだ男、クインザを選ばせてもらう。 選出理由については、特に説明の必要も無いだろう。ユージィンにルマティ、そしてリーレンなどのイケメン、ナイスガイが集うのがこの作品の魅力の1つであり、どのキャラクターも、単なる「いい男」では終わらないだけの懐の深さと愛嬌を見せてくれるのであるが、そんな中でも、最も確固たる意志を持ち、貫き通した男が、このクインザである。最終的に花鹿が選んだ男はリーレンだったわけだが、そんなリーレンでも、花鹿の命が関わったり、一族の命運がかかっているとなると悶々と悩んでいた。しかしクインザの場合、盲信とも言える忠義のおかげで、その行いに一切の躊躇いはない。そして、その忠義は元来ラギネイという1つの王国に対するものであったが、その復興にはルマティというカリスマが必要であるという先の見通しを固めると、たとえ王族といえども一切の容赦をせず、ソマンド、ナジェイラといった重鎮も、全て自らの策のための礎として利用した。全ての泥を被ってルマティに尽くしたその先に、自らの命までをも犠牲にした遠大な目標の完成を見たわけだ。この生き様は、流石に敬服せざるを得ない。 彼の魅力は、なんと言ってもその溢れる才覚である。全てを見通してルマティという結論を得る先見性はもちろんのこと、最善手を打つために一度はルマティを裏切ってみせたり、ナジェイラを籠絡したりといった清濁併せのむ柔軟性もあり、最後には花鹿を巡って自ら率先して矢面に立つなど、行動力も、肉体的なタフさも持ち合わせている。その目に一点の曇りもなく、ルマティをして、思わず最上の名誉である「死の許し」を与えるまでに至ったのだ。儚くも悲しい彼の人生ではあったが、最後の最後で、最も伝えたい人に、気持ちは全て伝わっていたのだ。なんとうらやましい人生ではないか! 願わくは、彼にルマティの統治後のラギネイを見せてやりたかったところ。それだけが唯一の心残りではあろうが、全ての意志があったからこそ、「王としてのルマティ」が完成を見たと思えば、彼の犠牲はかけがえのないものであった。 死してその後に何を残すか。男として生まれたからには、突き詰めたい問いではあるのだが、クインザが残したかったものは、ただ1人、ルマティの中にだけ具体的な形をもって残された。そんな生き様も、格好いいと思うのだ。
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Thraxi
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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