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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「甲鉄城のカバネリ」 6→6

 なかなか評価の難しい作品になってしまった。しかし、個人的には今作の成し遂げた「功績」の方を無視すべきではないと考えるので、敢えて点数は据え置きで。

 作品が終盤に近づくにつれて、批判的な声はかなり多くなったのではなかろうか。その原因は明らかで、ストーリーラインがあまりにも荒唐無稽で、方向性を見失ってしまったことだ。美馬というラスボスが登場したが、まずこの男の大望の意味が分からない。カバネと戦う人類がこれまで必死に築き上げてきたものを易々とぶっ壊し、その上でなにか世界を統べるための代替案が用意されているかと言えば全くそんなことは無い。いわば、世界規模で人類を巻き込んだはた迷惑な自殺志願者みたいなもんである。もちろん、そんな美馬についていこうとする軍勢のモチベーションも全く想像出来ず、世界はトンチキな美馬クーデターに振り回され、内憂外患どころじゃない、内も外も危険なカバネだらけ、というどん底に陥った。そんな状況を全てハッピーエンドに収めることなど出来るはずもなく(そもそも美馬がやりたかったことがよく分からんのだから、それを打倒する方法なんて分かるわけがなく)、終わってみれば「俺達の冒険はこれからだ!」になるわけだが、序盤の凄絶なカバネぶっ殺すオーラに期待を持っていた視聴者からすると、この「カバネのことはひとまず置いとく」エンドは納得出来るものではないだろう。典型的なゾンビ・パニックものであり、そこにさらに「本当の敵は人間」みたいなお約束を絡ませることは正当なシナリオ構成だが、「本当の敵」の導入が遅きに失した感があり、説明しきれないまま、流れ作業での調伏になってしまったことは大きなマイナス要因だ。

 基本的に、このシナリオ構成の不備についてはフォローする部分は無い。美馬が登場したあたりで「あ、これアカン方向に行く流れや」っていうのは感じられたし、イメージが重なる「進撃の巨人」同様、「せっかく巨人との格差バトルが最大の魅力なのに、なんでそこを無視して人間どうしの内ゲバが始まるんや」という失望感は私も抱いたものだ。12話というノイタミナ独自の尺の制限もあるのだから、もし今作を1クールのテレビシリーズとしてまとめ上げるつもりだったのなら、奇抜さはある程度犠牲にしつつも、もっと穏当で、受け入れやすい解決があっただろう。ベタを拒否した結果がやっぱりベタになり、そのベタが理不尽である、という何ともやるせない結末については、「大河内さんの無茶苦茶さが悪い方に出たなぁ」というのが正直な感想。この人の描く無茶苦茶の中でも「コードギアス」の馬鹿っぽさは割と好みだったし、過剰なまでに大見得を切る芸風は嫌いではないのだけど。

 とまぁ、ここまでは完全に負の側面であるが、個人的にはそうして「どうせストーリーは釈然としないまま終わる」ということは覚悟していた。元々「なんか分からんけどカバネがいっぱいいる世界」の時点で完全にカバネを駆逐するエンドなんてあるわけないのだし、なにか中規模のイベントクリアで終わる物語だってのは考えれば分かること。「カバネほったらかしかよ」ってのは不当な批判なのだ。あとはまぁ、やっぱり大河内脚本だってのはあったしなぁ。(新番チェック時点でその辺の危惧はすでに意識している)

 で、そんな作品で見るべき点は何だったかというと、そりゃもう映像面である。荒木監督によるアクション演出、けれん味バリバリのダイナミックな見せ方は、今作の特徴の1つである「電車ムービー」をおもしろおかしく盛り立てた。「時代劇風」「ゾンビもの」までは分かりやすい設定で、そこに何でわざわざ「スチームパンク」を混ぜたのかってのは最初不思議だったのだが、「何がでかいものがのそのそ動く」という画を加えることで画面のメリハリを見せられる、ってのが狙いだったんじゃなかろうか。カバネってのは基本的に人型サイズなので、「時代劇」「ゾンビもの」だけだと単なる剣戟アクションに留まってしまうのだが、そこに「移動要塞甲鉄城」を加えることで、画面に大小・押し引き・動静のギャップが産まれる。そのあたりの見せ方は本当に見事で、「人がなし得る大きなこと」が分かりやすく表現されるワクワク感は、このアニメの序盤を盛り上げてくれる重要な要素だった。

 そして、こうした演出方向以上に素晴らしかったのは、純粋な作画技術力。1話目を見て度肝を抜かれた「美樹本絵再現」は最終話までほぼ崩れることなく、それどころか回を増すごとに練度を上げていったようにすら見える。単に綺麗な絵というだけではないのだ。あの絵を動かす時にもっとも難しいのが光源の魅せ方で、表情の陰影の細かさは、恐ろしい作業量を伴う、1シーンずつの入念な設定の作り込みがなければ実現し得ないもの。単に「動きがすごい」「画が綺麗」という次元を1つ抜けて、全く別世界の画作りを実現していたのである。流石の荒木、流石のWit studio。この「功績」は、多少のシナリオの崩れなんかでは揺るがないだけの圧倒的な存在意義があったと思う。

 まぁ、「それでも最終的に話がつまらんかったら駄目だろ」と言われればそれまでではあるのだが、総合芸術であるアニメーション作品、なかなかそんな走攻守が完璧に揃った傑作なんて易々と出てくるもんではないですよ。「打撃はボロボロだけどとにかく足が速い」みたいな選手も活躍を評価出来る、そういう土壌があってもいいじゃないですか。

 中の人評は特にないけど……まぁ、無名はやっぱり可愛かったから千本木彩花はここから次の仕事に繋がるのかな。でも、上述の通りなので無名の可愛らしさって中の人の仕事がそこまで貢献していたとはおもわんのだが。個人的に一番好きだったのはマッチョ運転手役の伊瀬茉莉也。あとまぁ、やっぱり美馬さま役の宮野については、出てきた瞬間に「あ、こいつアカンやつや」って分かる存在感は流石だと思う。なんで、よりによってVIVA様なんてネタになること確定の名前付けたんだろうな。

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