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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「ガーリッシュナンバー」 5

 こういう作品を観てると、「中の人はどんな気持ちで演じてるんやろなぁ」というのがいっつも不安になりますね。そして、声優ファンとしては何とももやもやする作品である。

 アニメーション映像としての品質は一定以上だ。キャラクターも全体的に可愛らしく描けているし、背景の配置、バランスも良い。コロコロ変わる表情も愛らしく、女の子を中心に描いていく作品であることを考えればまずは可愛さ優先、全体的に作画品質が回復気味の今期の中でも埋もれないだけの魅力がある。となると、あとの問題はシナリオの中身ということになる。

 業界のメタもどんどん回っているなぁ、ということをしみじみ感じさせる中身。「SHIROBAKO」のときにも同じようなことを感じたが、「SHIROBAKO」は一応「お話」としての落としどころがハッキリ見えており、アニメ業界という内輪の世界を描きながらも、その実は「お仕事アニメ」。主人公の宮森たちは、努力で、友情で、勝利する未来が決まっていた作品である。正義と悪の構図も見やすく、いわゆる日本的な「ドラマ」のフォーマットに則ったものだった。他にも「それが声優」なんてのもあるが、あれはあくまでも浅野真澄という声優個人の体験から生まれた「あるある集」であって、業界全体を描くことは目的とされていない。そしてあさの先生もやっぱり絵本作家、ライターとしての地位を勝ち取っただけのことはあり、まっとうな「ドラマ」の軸をぶれさせることなく、1人の声優の努力と成長を描くことは忘れなかった。

 しかし、今作はその部分が違っている。何しろ、主人公が努力したくないのである。主人公が仕事を好きじゃないのである。前例の2作は、どこまで辛い状況になろうとも、自分の仕事に誇りを持ち、業界で生きていく為に誠心誠意で仕事に取り組めばそれが報われる、という内容。しかし、今作はそもそも「真面目にやれば報われる」という精神性が比定されそうな「腐った業界」が舞台である。もう、その時点でアニメファンはどう観たらいいのやら。私のような外野の人間は、どうあがいたところでアニメ業界なんてニッチな世界の真実は分からないわけで、「声優さんは天使だよ、アニメ業界は常に日本のアニメを良くするために、滅私の精神で常に最善の仕事をしているよ」なんてことは思えないのと同時に、「声優はみんな枕営業、金とコネだけで全てが回っている薄汚い最低の世界」なんてネットの書き込みレベルを全て真に受けるわけにもいかない。どちらにしても一面の真実を含んでいる見方なのだ。でもまぁ、こうした作品が表に出てくるようになったということは、業界内部でもそうしたファンの「見ている」側面を気にしているということなのだろう。

 あとは、こうした露悪的な表現というものをどこまで「ネタ」として昇華出来るか、という勝負になってくる。「SHIROBAKO」で巧妙だったのは、元々地雷ネタを踏みに行くのが好きで無茶をやりたがる水島努という男が、「物事を冗談にする手管」を身につけていたこと。例えば作中に出てくる「声優はとにかく顔ですよ!」と訴えるプロデューサー(CV子安)がいて、「やっぱり業界にはそういう人間ばっかりなんだ!」とファンを不安にさせつつも、このプロデューサーは「尻がでかい方がいい」とシモ方向に振れ、しまいには「尻がしゃべるかもしれないでしょう!」とか訳の分からないことを言い始める。「業界内にひょっとしているのか?」が最終的にちゃんとギャグになっているのである。今作の場合、1話目で登場した「悪」の権化はおそらく中井和哉ボイスのチャラいプロデューサーだと思われるが、彼のキャラクターはすでにもう「流石になさそう」レベルに到達している。あの部分はギャグに回す流れである。そのあたりは「SHIROBAKO」に共通している。

 ただ、問題は主人公である烏丸千歳の存在だ。彼女は、誰がどう見ても主人公であり、彼女の全てを「なんちゃって」で処理することは出来ない。今後の展開は大きく3つ考えられる。1つは、甘い考えの彼女が業界の厳しさにボコボコにされ、真面目に努力することを覚えていくという、ごく普通の日本的ドラマの収束。まぁ、これが一番穏当。2つ目は、やっぱり彼女は失敗するが、そのまま立ち直ることなく、「怠惰な者は身を滅ぼすだけだ」という訓話的な結末を向かえるパターン。視聴者目線からすれば「ムカつく奴が淘汰される」というカタルシスが得られるが、これだと流石に物語として微妙か。そして一番怖いのが、「このまま、彼女が性根を入れ替えることなく、とんとん拍子で成功しちゃう」というパターン。これが可能である場合、この作品のメッセージは「声優は実力も努力も必要なく、ルックスと運だけの当てものですよ」ということになる。主人公がそのメッセージを発信するわけで、どこかでギャグに落とし込むことが出来ず、それが「結論」になるのだ。たとえフィクションと分かっていても、いち声優ファンとしてはそのテーマだけは認めたくないものである。何とか、このムカつくヒロインを手酷く痛めつける展開を待ちたいところだ。まぁ、作中にいるキャラの大半が「手酷くやられて欲しい」ヤツばっかりな気がするのだが……どうなるんでしょうね?

 そんな問題作の中の人は、写し鏡のように若手が多く配置されている。メインヒロイン・千歳役はここでも登場、今期2本目のメインヒロインとなった千本木彩花。うーむ、無名ちゃんがどんどん有名ちゃんになってしまう……。金髪ツインテの相方役には鈴木絵理が配置され、さらに頑なな「意識高い系声優」には大西沙織。なんだか、彼女達の今後の役者としてのスタンスにも影響を与えそうな配役ですね。はてさて、どうなることやら。

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