今年もやるよ! 「声優グランプリ」付録「声優名鑑(女性編)」の差分チェックだ。もう、毎年やってるもんだから完全に惰性でやってる感があるな。おっちゃんも若い頃はこの「名鑑」がバイブルみたいな扱いでな。更新されるたびにワクワクしたもんだし、好きな声優のプロフィールを目一杯暗記して、誰について聞かれてもそらんじられるようにしておいたもんじゃ。最近ではすっかり意欲も記憶力も薄れてしまって……この年に1回の機会でもない限り俯瞰なんてせんのじゃよ。自分と同世代の声優だったら覚えやすいけど、娘みたいな年齢の子まで出てきたら、流石に「1世代下の子」っていう覚え方しか出来んじゃろ……いや、娘は流石に言い過ぎだけど。
暗記するモチベーションが衰えているのは、何も私自身の老化だけが原因ではないのである。だってさ……多いじゃん……。もう、毎年毎年書いてるからいい加減うんざりではあるのだが、何故この期に及んで「声優」という肩書きの人間は増え続けるのだろうか。ネット社会も進化を続け、今ではすっかり「声優なんてさっぱり儲からないし、下手な高給取りよりよっぽど狭き門なのに食いっぱぐれる確率の方がはるかに高い」という一般常識も流布しているのに……何故か声優に憧れる若者は増える一方。いや、俺が「何故か」とか言っちゃダメなんだけどさ。そりゃね、素敵な商売なんだから憧れるのは当然なんだけどね(ちなみに僕は自分がなりたいと思ったことは1度もありません)。
ただ、冷静に現代社会の状況を鑑みるに、「声優の人数が増えた」というのはちょっと語弊があるかもしれない。正確にいうなら「声優という肩書きを名乗る人間の裾野が広がった」というべきだろうか。若手声優の場合、この「声優名鑑」に載るためには最低限「載せてくれる事務所」に所属する必要があるので本当に草の根活動しかしてない「自称声優」みたいなものは流石に掲載されていないとは思うが、今の世の中、役者の卵だろうがなんだろうが、なんらかのメディアに声を乗せる手段はいくらでもあり、ちょっとでも仕事をしたら「声優」を名乗れてしまう。実際、今回新たに加わった名前もそうだし、前からずっと掲載されている名前の中にも、「この人……誰?」という人物は山ほどいるのだ。本当に「ピンからキリまで」掲載されているこの名鑑は、声優という職業の上部のキャパの広がりを体現はしていない。あくまで「声優」という言葉の意味の変化を表しているだけなのだ。
閑話休題、いつものようにざっとデータを確認していくが、まずは名鑑自体の書籍としてのデザインの確認。サイズやデザインに関しては昨年度と全く同じ。当然ページ数は増えており、今年は4ページの増加。これまで長年掲載していた「ファンレター送り先一覧」も、一昨年QRコードでまとめるという裏技を開発し、今年もそれに倣っている。今年度の掲載人数はトータルで847名。昨年度から47名の増加である。一応データを確認しておくと、私がこの「名鑑」をチェックし始めた2010年以降の掲載人数は536→536→548→596→644→680→703→751→800(→847)となっており、増加数47は昨年度の49名増加に並ぶ数である。此の期に及んで、まだそんなにも……。
ちなみに、今年の名鑑の末尾には日ナレの広告が掲載されているのだが、名鑑に乗せるにはあまりに誠実すぎる内容なのでちょっとビビる。↓
とはいえ、実は今年は1つだけ例年とは少し異なる傾向があり、それは、「記録抹消された人間の数が非常に少ない」という部分。毎年、新規で掲載される人が多い分、それなりの数の名前がなくなるのが常であり、例えば昨年はOUT枠が22名。観測史上もっとも抹消者が多かった2011→2012ではなんと43名もの名前が消えている。しかし、今年度はこの数が史上もっとも少なく、なんと抹消者はわずかに7名(改名者などを除く)。つまり、新規加入者の54名という数だけをみれば、例年に比べて飛び抜けて多いわけではないのである(昨年、一昨年が71名でもっとも多く、最小は2016→2017の49名)。まぁ、これが何を意味するのかはよくわからないが……すでに母体数が800を超えている時点で、あんまり細かい数字をあれこれ言う意味はないですけどね。
さて、今年も「誰が増えて」「誰がいなくなったか」を確認することで、ざっと構成を確認していくことにしよう。
IN(54名)
赤尾ひかる 安斎由香里 生田輝 和泉忍 井上ほの花
岩井映美里 岩田陽葵 植田千尋 雨蘭咲木子 岡咲美保
小川夏実 河瀬茉希 小池理子 小泉萌香 幸田直子
河野ひより 小坂井祐莉絵 佐藤日向 島袋美由利 社本悠
菅沼千紗 直田姫奈 鈴代紗弓 涼花萌 涼本あきほ
関根瞳 園山ひかり 高尾奏音 高辻麗 高橋麻里
高橋美紀 武田愛奈 富田麻帆 永井真里子 中島由貴
奈波果林 成海瑠奈 のぐちゆり 長谷川育美 原優子
丸岡和佳奈 道井悠 峯田茉優 宮島えみ 宮島依里
元吉有希子 森友莉世 八木侑紀 八巻アンナ 山田麻莉奈
山田唯菜 山根綺 結名美月 幸村恵理
もし54名全ての名前をきちんと認識している人がいたら、その人は声優マスターである。声優ジャンキーと言ってもいいかもしれない。私は到底無理である。ここ最近の傾向として「有名なソシャゲで初めて役をもらえた」というのが名鑑に掲載される基準になることが多いため、あまりソシャゲをやらない私のような人間はそっち方向のアンテナが貧弱なのである。まぁ、ぶっちゃけアイマス文化である。いちいち確認はしないが、掲載されている名前の何割かはアイマスシリーズで「声をもらった」人たちだ。
それ以外に大まかなカテゴリで目を引くものを見ていくと、まずは「スタァライト」関係の名前がいくつか確認できる。昨年まではまだ「声優」カテゴリに入れなかった面々が今年から正式に参加している。ちなみに富田麻帆は2011年頃に一応声優としての実績があるのだが、当時は掲載されておらず今回が初掲載となる。
さらに昨年大量に新登場した謎のプロジェクト「22/7」のメンバーが、今年さらに追加されてだいたい揃った様子。この辺りの「まとめてデビューさせようプロジェクト」で掲載年がずれているのは、事務所の関係性とかによるものなのだろうか。ちなみにバンドリ関係者ではあいあいやりみりんが昨年初掲載だったが、今年さらにゆっきーが追加。志崎樺音は現時点では未掲載である。まぁ、まだ目立った活動はしてないしな。ちなみに、何故かめぐちぃは2016年に掲載を漏れてから再登場はしていない。
その他、目に付く印象的な名前を見ていくと、いきなり飛び込んでくる赤尾ひかるの名前。そうやな、今年からが本番やな。同様に「主人公役で鳴り物入りのデビュー」という枠で見れば、例えば「リリスパ」の安斎由香里、「天スラ」リムル役の岡咲美保、「からくりサーカス」勝役の植田千尋、「ゾンサガ」純子ちゃん役の河瀬茉希なんかは今後が気になるところだろうか。文字数が多くて目立つ小坂井祐莉絵ってのは「邪神ちゃん」のぺこらの人である。他に多少気になるのは、原優子の存在。デビューはだいぶ前で、そこからそれなりに活動を続けているはずなのだが、何故か昨年まで一切掲載されていなかった。この辺りに事務所関係があるのかないのかは不明。ちなみに、こうして新人さんたちの名前をざっと見ていて感じるのは、「なんだか事務所の名前が増えたなぁ」ということである。これが10年前なら、主要な声優事務所の名前なんて10も覚えておけばそれで全てだった感があるのだが、今や細分化を重ね、一体いくつあるのやら。「声優業」が花形職業として認識され、様々な芸能プロダクションがそうした方向に活動を広げていることの表れであろう。
ちなみに毎年恒例、「大ベテランなのに何故か掲載がなかった」組としては雨蘭咲木子の名前がある。確認して驚いたのだが、どこかで記載が消えたとかでなく、少なくとも私が確認できる範囲では初掲載なのである。載ってなかったことも驚きだし、「なんでこのタイミングで載せようと思った?」というのも謎。同様に幸田直子という名前も大ベテランだが、彼女は2016年に初登録され、翌年17年に一度消えている。この辺りの出入りに関しては本当に謎。
そして何より笑ったのは、やはり井上ほの花の初掲載である。いや、別に笑うところじゃないんだけど、同じページに掲載されてて「この親子、そっくりやな」っていうのがよくわかるもんでね。ちなみに藩恵子・めぐみ母娘に至っては隣合わせで並んでいる(そりゃそうだ)。他にも名鑑には色々な楽しみ方があるので、各人、自分の好みに合わせて読み込んでみよう。宣材写真が変わってるだけでも割と嬉しかったりするし。個人的おすすめポイントをいくつかあげておくと、
①緒方恵美の写真がすでに顔見せる気がない。
②去年は写真がセーラー服だった楠木ともりちゃんが着替えている。
……まぁ、ほら、趣味の範囲でね。
OUT(7名)
麻生美代子 伊藤葉純 今村彩夏 勝田詩織 木村まどか
咲々木瞳 藤田淑子
転じて、「昨年は掲載されていたけど今年は載ってなかった」名前が7名。上述の通り、今回はここにリストアップされる名前は非常に少ないのだが……。うち2名の名前を見るに、やはりズシンとくる。こうして毎年の訃報を聞くようになるというのも、声優文化の積み重ねの表れとは言えるのだが。
その他、今村彩夏は正式な引退宣言を出して衝撃を呼んだ。昨年の遠藤ゆりかもそうだったが、若いうちに幾らか成功しながらも体調を原因に引退を表明するスタイルが今後も出てくるとなると、もしかしたら業務形態を考える必要もあるのかもしれない。残りの面々については掲載を見送られた理由は不明だが、デビュー以降ずっと掲載され続けていた木村まどかの名前が今年で消えたのはなんだか意味深である(初掲載は2005年)。なんだろ、Aice5の復活を見届けて満足したのかしら。
ちなみにこれまた完全に私的な視点での余談だが、「掲載がなくなる」ではなく、「まだ掲載されていない名前」ってのも気になるポイントではある。載ってないのなら気にしようもないのだが、ふと気になって調べたら、まだ引坂理絵の名前が載ってないんだよ。同じプリキュアだった本泉莉奈は載ってるのに。そして、現在「デート・ア・ライブ」の七罪役などで活躍している真野あゆみの名前もまだ掲載されていない。ちなみにこの2人の共通点は、「事務所が同じ」だったりする。……やっぱ事務所が関係してるんだろうなぁ。頼むから浪川社長仕事して。
以上、このデータがどこかの、誰かの、何かの役に立ちますように。
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