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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 意外に久しぶりになりました、劇場作品。てっきり夏休み中にもっとたくさん観るもんだと思ってたんですが、そこまで興味のあるタイトルが出てこなかったから……せっかくなので、何となく目についたコレを観にいくことにしました。ちなみに今作の評価とは何の関係も無いんですが、映画の料金って気づいたらいつの間にか1900円になってたのね。普段観にいく松竹系の劇場は会員割引使ってたから気づいてなかった。100円だけの違いではあるけどさ、2000円が眼前に迫ったこの値段はやっぱりちょっと高いな、とは思っちゃうよね。映画離れの原因にはなってるだろうなぁ……。まぁ、かくいう私も数年前までは劇場なんてほとんどいかなかったけども。

 ちなみに、折り畳みの前に一言感想だけ書いておくと、素直に良い作品だと思いました。90分弱と短い映画なんだけど、短いことを自覚した上で詰め込める要素をかなり緻密に計算した上で構築してるな、という感じ。90分弱の娯楽に1900円払っても問題ない人なら、観にいく価値はあるんじゃないでしょうか。

 

 

<というわけで以下は一応ネタバレ注意としておきます>

 




 さて、感想の概要は上述の通り。短い作品だって分かった上で観に行ったんで「まぁ、大した中身はなくても文句は言えんな」と覚悟してたんだけど、なかなかどうして、きっちりやりきってますよ。エンドロールでため息を吐いて「映画見たなぁ」と思えるくらいには満足しています。パンフによるとこの「短さ」ってのはどうやら配給側からのオーダーだったらしく、元々は60分枠の作品を作れという要望だったらしい。その上で監督が「無理に決まってるやん、その倍の時間がいるわ」と思いつつも、それならばと割り切って丁寧に削ぎ落とした結果の作品がコレ。あたかも「映画大好きポンポさん」のジーン君が魂を削ってフィルムを削ぎ落としていた情景のようである。短くするにあたり、最大のポイントは「思い切ってメインの2人だけの物語にしてしまおう」と決めたところだろう。日本のアニメ映画といえば中高生の青春。もう、それ以外のテーマなんて存在しないんじゃねぇかと思えるくらいに食傷気味の光景が飛び込んでくるが、流石にここまで「2人」に特化した作品ってのはこれまで無かった気がする。どうしたって「青春」ってテーマには「学園」がつきもので、周りにたくさんの個性的なお友達が集まってきて……みたいな話になってしまいがち。しかし、そうしてキャラを増やせば当然筆も増やさねばならず、メインテーマは氷を入れたカルピスのごとく、みるみる薄まっていく。それでは90分では収まらないことは瞭然なわけで、今作は思い切り「メイン以外のキャラ」を切って捨てた。主人公の塔野、ヒロインの花城。ほんとにこの2人だけで8割の時間が構成されており、ボーイミーツガールからの青春絵巻が原液ドロドロで流し込まれる。

 白眉なのは、そうして割り切ったおかげでアニメ映画につきものの「あくせくした印象」がほとんど感じられなかったこと。コレまで観てきた映画の感想って往々にして「まぁ、尺が足りないから」みたいなことを言い訳にしており、「削ってんなぁ」「端折ってんなぁ」「詰め込んでんなぁ」という印象は必ずついて回ったのだが、本作は確かに「余計な要素を削ぎ落としているな」ということは伝わってくるが、そこから「急いでるな」とはあまり感じられない。1つ1つのカットでの情景を大切にしており、きちんと視聴者の目に、心に留まるように余裕を持たせている。個人的には是非劇場で見てほしいと思う要素の1つに音響の入念さがあり、何も大仰なオーケストラサウンドや爆裂する衝撃音でびっくりさせるようなことはないのだが、細やかなSEの1つ1つが、間違いなくそこに「ある」ことを意識させる音作りになっている。本作のキーツールである「ガラケー」なんかもその1つで、あの懐かしのポチポチ感(下手したら今の若者知らんだろ)が丁寧に音として聞こえてくると、間違いなくその精神は2005年へとジャンプするのである。音があって、絵があって、それを観る時間もある。それだけで、今作は「アニメ化した意味」が感じられるのだ。

 絵についてもほぼ満点の出来。制作したCLAPというスタジオはそれこそ「ポンポさん」も担当したスタジオらしいのだが、まずキャラデザが良い。本作は「アニメの中でも実写寄り」を意識した作品らしいのだが、なるほどキャラクターの等身もやや高めで設定されており、ヒロインの花城が間違いなく「美人」なのだが、その顔の良さがアニメ的な「萌え」に実在女性の持つ生の感覚も併せ持ったような不思議な魅力がある。個人的なフェティシズムの影響もあるが、特にお気に入りは、何度か登場する花城が前屈みになるシーン(時にはテーブルに向かって項垂れ、時には塔野に馬乗りにもなっている)での髪の毛の描写。黒髪が乱雑にだらりと下がり、その隙間からちらっと表情が見えるんですよ。この黒髪の散り方がリアルだし、非常にセクシャルで良いのです。きっとすごくいい匂いがするだろうなぁ、というシーンなのです。えぇ、私は女性の髪がとても好きですよ。でも、きっとこの良さは万人に伝わるとおっちゃんは信じてる。

 映像部分で加えるなら背景の美しさも外せないですね。毎度おなじみ草薙によるお仕事だが、特にウラシマトンネル内の非現実的な描写は本当に捉えどころがなくてゾクっとしますね。移り変わる季節の風景も全て見せるように作られているし、人工物の描写が多くない中でも、塔野が住んでるボロっちい日本家屋の生々しい「汚さ」なんかも、それこそ邦画で描かれる薄暗い「日本性」みたいなものが表れている。飲んだくれ親父の飲んだくれ感、あんなやつが平成の時代にもまだおったんよなぁ……(多分令和にもいるぞ)。

 音・絵と書いてシナリオについてあんまり触れてなかったな。個人的には、削ぎ落とした結果残されたのが「ボーイミーツガール」の要素であることに加え、「ウラシマトンネルってなんぞや」になってるのもすごく好みのポイントで、たった1つのアイテムを巡ってあーでもないこーでもないと、非常にロジカルに話を進めていくのはとても見やすかったんですよ。ウラシマトンネルなんてとんでも要素以外のなにものでもないのに、花城はそれを見て「どこまで使えるか調査・実験を進めようぜ」ってんで1つ1つの要素をマジでフィールドワークのみを通じて絞り込んでいく。まぁ、最大の謎である「ほしいものが手に入る」の部分は完全に噂だのみなのでそこはどうしようもないのだが、きちんと「トンネルのシステム」を自然な形で視聴者に開陳されていき、その説明パートが2人の関係を深める最大要因になっているので見ていて面白いというのが良い。青春映画にSF要素をちょい足しってのが「君の名は」の例を取らずとも現代アニメの王道中の王道であるが、その「SF要素」について、ここまで作中人物が自覚的に究明をおこなった例というのはほとんど見たことがない。そうして積み上げた研究結果が、最後のカタルシスをきれいに説明する道具になっている。クライマックスのシーンはどこかで見たアレを彷彿させるのだが、それでも不覚にもグッときちゃいましたね。花城が「特別になりたい」と繰り返す女子高生であることを考えると、今作はもしかしてあの名作アニメとあの名作アニメの美味しいとこ取りだったのでは?(失礼な言い方である)。さても、たった1つのスタート地点から、ここまで綺麗にシナリオが組み上げられているのは、原作の力もあるのかもしれないが、やはり映画脚本をまとめ上げた監督の力なのだろう。田口智久という名前はどっかで見たことがある気がしたが、「アクダマドライブ」の監督さんだそうで。なるほど何となく納得できました。

 そんで最後はやっぱり中の人の話。俳優キャスティングってんで視聴前にはちょっと身構えていたが、まぁ、悪くないラインで落とし前がつけられたんじゃないでしょうか。いや、特別よかったとは思わないのだが……でも、飯豊まりえなんて特撮ばたけの人でもあるし、だいぶアフレコにも慣れてますよ(まぁ、本作はアフレコじゃなくてプレスコだったらしいが)。ちなみにちょっとしか出てこないけどクラスメイトのいじめっ子が小宮有紗だったので、気づく人は気づくがあの教室のシーンは「ゴーバスターズVSキョウリュウジャー」だったんですよね。パンフによれば、音響監督が「実写とアニメの間」を意識して配役していったので特撮ばたけのキャストが結果的に多くなったのは面白いと。この勝負、先制の無慈悲パンチでキョウリュウジャーの勝ち。あのファーストストロークでグッと花城に引き込まれるのでとても大事なシーンでしたね。

 完全に蛇足ですが、中の人ネタをあと2つばかり。1つ目、キーキャラクターとなった妹・カレンちゃん役は小林星蘭ちゃん。この子も子役をこなしながら声優に片足突っ込んでる注目の「超」若手。と言ってもいつの間にか大きくなって、気づけばもう17歳ですってよ。声にも芯が通って、がっつり萌えキャラ風の妹さんを見事に魅せてくれている。本格的に声優業にいらっしゃいよ。子役上がりで物の怪じみた素晴らしい先輩がたくさんいるよ。そして最後にもう1つ、飲んだくれクソ親父役の小山力也。彼が連れてきた新しい奥さんは……大原さやか。力ちゃんさぁやの縁の力はこんなところにまで。誰か柚姉ぇ呼んできて!

 結論:8年越しの純愛シチュエーション、「凪のあすから」のイメージもあったかも。名作アニメ3連発。

 

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