最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
○「けいおん!!」 6→9
今期最後に感想を書くことになったのは、奇しくもこの作品である。粗製濫造の時代が一区切りし、作り方、売り方のモデルの転換を迫られ、中心となるコンテンツを失ってしまった感のあるアニメ業界。そんな不安の声しか聞こえてこないジャパニメーションの中で、この作品は、1つの答えと言ってしまっていいのではなかろうか。 元々アニメなんてものは「子供の娯楽」だったものであって、どれだけ大河ロマンを描いた作品が崇高な志を抱こうとも、なかなかそれが正統に評価されることはない。全く同じものを書いたとしても、おそらく小説やドラマよりもアニメは「低俗なもの」として扱われてしまうのだろう。そんな中で生み出されたのが、オタクの文化、拠り所としてのアニメーション。一言で区切ることは出来ないだろうが、いわゆる「萌えアニメ」という名を冠した製作スタイルである。他の媒体と同じ土俵に上がっても勝負をさせてもらえないならば、いっそアニメにしか出来ないものを標榜すればいい。それがシンプルで絶対的な解答となった。アニメにしか出来ないこと。それは、「非現実が」「動く」という2点である。 存在しないものを、あたかも存在しているかのように動かす。このこと自体に価値を見いだしたジャンルの最右翼が、「日常系4コマ」のアニメ化ジャンルだ。何せ骨子となる明確なシナリオラインの存在意義が薄く、「筋を追う」ことの価値が相対的に低い。となれば、目的はとにかく「動いていること」以外に無い。「非現実」に現実感を持たせるために舞台設定を行い、シナリオを作り、それを「現実的に」動かす。それこそが、「日常系」に与えられた最大の目標である。 こうしたジャンルが成立したと仮定すると、実に強力な後押しを受けた企業が1つある。「執拗さ」を最大の武器とするアニメスタジオ、京都アニメーションだ。この「けいおん」が受ける最大の理由は、とにかくその「執拗さ」「こだわりの根深さ」にある。例えば唯たちのクラスメイト全員に名前と顔と属性を与え、ほとんど出番もないのにそれを1つ1つ厳密に描写していくことや、どんな些細な小物でも徹底的にリアリティを追求して「あるべきもの」を再現させること。もちろん、1人1人のキャラクターの動作、表情に「魂を込める」ことも忘れてはいけない。とにかく、そこにあるのは純然たるフィクションでありながら、視聴者が望めば、それがどこまででも現実に近付く。ある意味新たな形態のリアルの体現とも言えるもの。最終話での「思い出」の扱いなどはその最たるもの。世界に「物語」を与えずに「日常」を得ることで、全く新しい1ジャンルとして成立させたのである。 そう考えると、この作品は非常に罪作りだ。何しろ、このジャンルにおいて、「けいおん」を上回る「執拗さ」を実現させるのは、信じられない困難を伴うようになってしまったからだ。ユーザーの望むリアルとフィクションの配分の妙、ひたすら時間と労力を割くことだけによって実現される入念な映像、ライブなどのイベントを配することで実現するインタラクションの手法。この作品を巡る諸々の要素は、ほとんど理想型に近い形で実現してしまっている。「日常系」を極めるにはさらなる多幸感をユーザーに提供する必要があるわけだが、現時点で、それを実現させる手段は思いつくはずもない。ガンダムやエヴァが1つの時代を作り、1つのスタイルを完成させて終わらせてしまったように、この「けいおん」も、アニメ業界に残された数少ない鉱脈の1つを最奥まで掘り尽くした、集大成といえるのではないだろうか。 以上が、個人的にこの作品の「良さ」を評価するための基本論旨である。こういった作品を全く評価しない向きがあることは重々承知しているし、実際、そうした視点を持つ人たちにとって、この作品は恐ろしくつまらなく、無価値なものに違いない。しかし、価値なんてものは、受け手次第でいくらでも変動するもの。私個人は、上記のようなかけがえの無い価値を、この作品に見いだしてると、ただそれだけのことである。純粋に「質の高い」アニメーションが見られればそれだけで満足なのだから、この作品に不満の出ようはずもない。本当に、半年の間ありがとうございました。映画版、今から楽しみで寝られねぇな! PR
○「心霊探偵八雲」 4
探偵で八雲と言われてすっかり「民俗学者八雲樹」なのかと思っていたら、全然違った作品。似たような名前の似たような雰囲気の作品が多いな。 この作品も、1話を見た限りだと、なんかどこかで見たことがある設定のどこかで見たことがある感じの話。シナリオ自体は特に面白味もなく、キャラクターの造形も新鮮さが欠片も感じられない。小説原作らしいのだが、何でアニメ化にこぎ着けたのかが正直よく分からない。どこかで人気があるんだろうか。ここからものすごく面白くなるんだろうか。 「探偵」という要素と「心霊」はあんまり相性の良い素材じゃない。何せ、死人から話が聞けるんだったら殺人事件の捜査ほど簡単なものはないからだ。過去に様々なスタイルで「死者と語らう」ミステリは作られているが、この部分にある程度の線引きが出来なければ作品として成立しないのである。で、この作品の場合だが、1話を見た限りでは、疑問しか沸いてこない。殺された女性達の霊と語らうことが出来るならば、さっさと犯人の名前を聞けばいいはずなのに、何故か主人公が律儀に推理をしている(推理というよりは憶測だが)。被害者たちが全然犯人のことを知らなかったとしても特徴を聞き出すくらいは出来るだろう。今回の事件だって、メインヒロインは殺される前に何故かイスに縛られて動機をゆっくり聞く機会が与えられていた。どう考えても犯人にとってリスクしかない行動だが、わざわざ今回それをしているということは、おそらく他の被害者達だって犯人の顔くらい見ているはずなのだ。 また、どうしても犯人の情報は教えてもらえないとしても、「ちょっと申し訳ないけど出て行ってくれませんか」くらいのことは言えてもいい気がするのだが。何で地縛霊をそのまま野放しにしておくのだろうか。「対話は出来るけど交渉が出来ない」という中途半端な霊の立ち位置は、どうにもすっきりしないままストーリーが進んでしまう。今後解消される問題なのかもしれないが、少なくとも1話で説明されないのは不親切だろう。 一応、最後は謎の敵みたいなやつが登場しての引き。今後どういう展開になるかは定かでないが、今回みたいな1話完結で「ミステリですよ」みたいな体裁をとられるとちょっと厳しい気がする。大人しく心霊能力を駆使した能力バトルにでもなってくれた方がまだ見られそうだ。 アニメとしての出来は並。オープニングを見て「なんか真下耕一っぽい……けど、あそこまでアクもない」と思って見てたら、製作がビィートレインなのね。てっきりこのジャンルの地味アニメだからディーンによるものかと(もしくは童夢)。監督はこれまで真下作品に密接に関わっていた黒川智之という人。今のところ「ビィートレインっぽい」としか言いようがない。ただ、真下さんほどの個性も発揮されないのであまり良くない方向で地味なスタートだ。うーむ、真下さんが絡んでない自社元請けは珍しいね。どうなることやら。 大丈夫、藤村歩がメインで絡む作品は(ry 。ほんと、今期も相変わらず仕事が多いな。便利な子やで。
○「バクマン」 5
なんでこれがアニメになったのか、本当によく分からないね。アニメにすることで生まれる付加価値があんまり無さそうだし、根本的にあまりアニメ向きじゃない中身だし。そりゃま、1話目を見たらそれなりに原作の絵は落とし込めているし、アニメにしづらいってこともない絵柄だろう。人気も絶頂だし、今やっておくに越したことはないかもしれない。でも、これってアニメにして何か面白くなるんだろうか。 「アニメにしやすいかどうか」というのを絵のレベルで判断するなら、少しずつ線がシンプルになってきている小畑健の絵はアニメ向きかもしれない。ほとんど違和感なく原作のテイストが出たのは事実だ。ただ、原作者の癖なのか何なのか、1話を見ただけでもなんだか妙に浮いているカットが多かったのも印象的。例えば、サイコーがシュージンからの電話を受けて会話しているシーン、何故かサイコーはずっと片眼をつぶって会話している。多分原作絵がそうなっているからアニメも正確になぞったんだろう(原作本を持っているわけじゃないから定かじゃないけど)。その後に、コンビニでシュージンがサイコーを出迎える時のポーズや、教室で2人が初めて対話するシーンで、サイコーが教壇に腰をかける仕種などなど、「おそらく原作絵がそうなってるからアニメも合わせたんだろう」と思わせるカットがちらほら見受けられる。実際に原作にそういうコマがあるかどうかは分からないが、小畑健に特徴的なポージングや構図だったりするので、おそらく予測はあたってるんじゃなかろうか。 そして、こうした部分がさらっと流されずに意識にのぼるということは、アニメの動き、普通の流れとして、やや不自然なのだ。もちろん「そんなものだ」と言われれば文句を言う筋合いのものではないが、構図や「動いた後の絵」をあまりに原作絵に依拠しているために、本当に「単に原作の間を動画でつないだ作品」に見えてしまう。忠実な原作再現は熱心な原作ファンには嬉しいサービスかもしれないが、そこまでの思い入れが無い視聴者にすれば、「やや違和感が残る」という程度のものだ。ただでさえ動きの乏しい、見栄えの薄い作品なので、この特徴の出し方はちょっとかみ合わせが悪い気がする。慣れの問題かなぁ。 こうした「違和感のある画」は、この作品の原作の特徴にも原因がある。端的に言えば、めちゃめちゃ台詞が多いのだ。元が漫画だから「化物語」や「刀語」ほどの重傷ではなかろうが、一般的な漫画に比べると、圧倒的に台詞が多く、説明が長い。そうなると、やっぱり繋ぎの画を作る難度はあがる。のっぺりと繋ぐだけだと本当に薄味の説明だけの作品になるし、気を効かせていじりすぎれば原作ブレイカーと誹られる。なかなか難しい問題だ。1話を見る限りではそのあたりのバランスは悪くないように思えるが、このあたりはまだまだ台詞が少なかった時期。今後の展開の中で、どう折り合いを付けていくかは見ものである。 でまぁ、トータルで見ると「原作もののアニメ化」としてはやや難ありくらいの判断なわけだが、やっぱり「バクマン」は面白い。1話の展開とか、やってることは地味だったはずなのにかなり無茶苦茶な展開になっている。骨子となるサイコーとシュージンの関係性がいつの間にやら完成し、亜豆へのプロポーズもさっさと済ませた。初々しい2人の様子は、漫画で読むよりもアニメで流された方がよりこっぱずかしくて良いのである。ま、作中で再三語られる「安易なアニメ化」が達成されてしまったことはちょっとした皮肉程度に受け止めて、ゆっくり着実に原作を追いかけられれば御の字であろう。冒頭の超ヒーロー伝説オープニングみたいなよく分からないサービスは、目先こそ変わるが、わざわざ1話でやる必要があったかと言われれば、多分無い。 最後は中の人のことね。幻想をぶっ壊しそうなサイコーと、ハルケギニアに呼ばれそうなシュージン。サイコーはイメージ通り、シュージンはやや低めだけど、特に問題はなしですかね。そして亜豆と美吉。こちらも予定通りに良い感じ。亜豆は声優になれると思うよ。なった途端にメインヒロインをがしがし取れると思うよ。セキレイとか、東のエデンとか。後は美吉の出番が増えるのを待つばかりである。おはぎは何やらせても存在感があるな。
○「STAR DRIVER 輝きのタクト」 7
綺羅星! 何かと話題の日曜ゴゴゴ枠。まさかのアニメオリジナル作品は、どこかの誰かの本気が見えた。 1話を見ての感想を一言で言うと、「足りないものが無い」作品。BONES製作、五十嵐卓哉・榎戸洋司・伊藤嘉之と、ずらりと顔を並べる「SOUL EATER」の製作陣というだけで、アニメーションとしての質の高さが保証されている。美麗な動画、魅力的なヒロイン、適度な尻と乳、底抜けの馬鹿さ加減、どうしようもなくダサいセンス。いい。実にいい。脳髄にクる。このノリと勢いは1話目だからってのもあるし、監督がコンテ切ってるからってのもあるんだろうけど、このまま質を落とさずに突っ走れるのが五十嵐監督の強み。いける、きっといける。これだけ出だし一発目で高揚感があったのは「バスカッシュ!」以来だぜ! え? 不吉なことを言うなと? でも、この馬鹿レベルとこだわりは似た臭いを感じるからなぁ。大丈夫、監督さえ降りなきゃ傑作認定される。 細かい要素は追々見ていくとして、とにかく今回は気合い入りまくりの動画面が大注目。最初の海岸線でのヒロインの動きなんかは「いや、動かし方にこだわるばっかりに逆に不自然過ぎるし」と苦笑いだったのだが、ボクサー君との格闘シーンとクライマックスの変身、ロボット突撃シーンなんかは文句無し。見てるだけで面白い。ヒロインの仕種なんかもいちいち愛らしいし、妙なテンションの寮長さん(だっけ?)の流れるようなぼけ突っ込みも気持ちいい。余計なことを考えずに楽しめるだけでも安心できます。ネタは昨今ありがちな「もうダサいものも一周したら面白い」っていうノリなんだけど、この空気は大事にしたい。「貴様、銀河美少年か!」って、知らんがな。俺が知ってるのはせいぜい銀河の歌姫が限度だよ。どう見ても大した美少年じゃないだろうし。声が宮野の時点でネタキャラなんだよ! というわけで、もう書くことも無いので中の人のこと。宮野・福山がメインっていう配置はもう何も言うまいよ。文句はないし。仮面の軍団にミキシンとか石田彰とか、微動だにしない配役も何も言うまいよ。だって、いいんだもん。ヒロイン勢では、今回はまだメインヒロインしかスポットが当たっていないので特にないのだが、早見沙織の安定感が際立つ。今回の役は、なんだかかかずゆみに聞こえる。あとは戸松が歌唱キャストで入ってますね。彼女は顔だけじゃなくて歌のクオリティも毎回変わるなー。今回はなかなかの存在感だな。オペレーターに我らが桑島法子もいるぞ。宮野・桑島あたりは安定した「五十嵐キャスト」なのかしらね。異色なのは寮長役の千葉千恵巳。ちばちー、久し振りに聞いたけど、この配役は出色。いい仕事してますよ、ほんと。俺の銀河も輝くわ! 最後に蛇足。オープニング映像を見て思ったのだが、……段差のとこかけあげるシーンって、あれナージャのOPじゃね? 五十嵐さん繋がりで。いや、多分嘘ですけど。
○「世紀末オカルト学院」 6→8
毎週感想を書いていたので繰り返しになってしまうのだけど、いやぁ、面白かったですね。「アニメオリジナル」「1クール」っていうくくりでここまでの結果を出せた作品って、ものすごく珍しいんじゃなかろうか。 改めて振り返ると、何が面白かったかを取り出すのは案外難しい。現時点では最終話のインパクトが強かったので構成の妙ばかりが印象に残っているんだけど、各回の感想を見返してみると、その時その時で面白さの形式はコロコロと入れ替わっている。1話2話あたりは、思い切りのいいオカルトネタ……というか、ネタオカルトの扱いがギャグとして面白かった。1話のこずえのノリは本当に忘れられないし、モスマンが登場するあたりまでの文明とマヤの掛け合いは分かりやすいボケ突っ込みだけのはずなのに、顔芸などの映像面での見せ方がうまかったおかげか、ネタ以上に面白さが出ていた。 馬鹿馬鹿しいネタの飛ばし加減では、こずえ回でピーク。世界一緊張感のない臨死体験に開いた口がふさがらず、その後の亜美エピソードでもネタの深刻さとそれに対するキャラクターの適当さ加減の温度差が面白い。5話〜8話あたりのネタっぷりは本当に毎回楽しみでした。 飛ばしきったオリジナリティが多少トーンダウンするのが9話10話。ただ、あとになって振り返れば、やっぱりこのあかりエピソードも、最終回でマヤと文明の心情を描く上では必要不可欠なものだったことが分かる。2人の距離が縮まる部分でもあるし、各々の家族観があかりという1人の子供を加えることでさりげなく伏線として提示される。毎回メインキャラはマヤでも文明でもないのだが、他のキャラに目線を振っておいて、その間に2人のキャラクターを掘り下げて回りを固めていっているのが、今になってみるとよく分かる。 そして問題の11話、12話。このあたりまで来ると視聴者によって賛否両論が出そうな展開だが、これまたラストを見れば「もうこれはこれでいいや!」という流れに。魔法合戦なんて話の中身としては本当にどうでもいいし、画面もそこまで目を見張るような要素もないのだが、それまでに張り巡らされた馬鹿馬鹿しさの複層構造のおかげで、何となくこれでいい気がしてくるのが恐ろしい。確実に製作側にダマされているのだが、ここまで憎らしい騙しがおおっぴらに行われるなら、それはそれでいい気がするのだ。何があっても、最終話ではぎゅぎゅっとまとめてしまったのだから。終わり良ければ全て良し。先人達も良いことをいう。 改めて振り返ってみて分かることだが、この作品は1話1話振り返り、その意味をきちんと図ることが出来る。それはつまりシリーズ構成がうまくいったということで、オリジナルとしての様々なビハインドを全て克服したことを意味している。全体がまとまったが故の視聴後の爽快感と、1話1話が突出していたからこその、また見たくなる中毒性。この2つの要素が両立している作品は、昨今ではほとんど記憶にない。13話のサブタイトルを苦もなくそらんじることが出来る作品など、過去のアニメでも1,2本しかないと思われる。それだけ、各話のインパクトがあったということだ。 とにかく褒め倒しているこの作品。指揮を執ったのは伊藤智彦という人だが、正直いうと、全然知らないクリエイターであった。一応調べてみると「サマーウォーズ」の助監督をやったりしているらしいのだが、地上波アニメの重要なポジションで名前が出るのはほぼ初めてのようだ。あの印象的なオープニングのコンテも監督の手によるものらしいし、今作の全体像を見れば、今後に期待が持てるアニメーターの1人といえるのではなかろうか。次回予告に流す懐メロのチョイスやらも含めてなかなかキャッチーな売り方も心得ているようだし、次に名前を見かけるのが楽しみです。 最後は当然、中の人のこと。今作はメインを張った中の人全員が素晴らしいとしか言えない。まず名前を挙げなければいけないのは当然日笠陽子。ぴかしゃのおかげで、マヤのキャラクターが完成した。同様のことは水島大宙にもいえるだろう。だいちゅうだからこそのヘタレ力は、そんじょそこらの若手じゃ無理だぜ! その他サブヒロインに花澤・彩陽。彩陽はエンディング歌唱も担当しており、今作では陰の立て役者といえる。実写混じりの妙ちきりんなエンディングだったが、最終話はBGMとしても機能し、印象的な幕引きを効果的に演出することが出来た。良かった良かった。他にも子安、高橋広樹、画伯に茅原実里、ちょい役の久川綾に島香裕まで、みんなみんな、実に印象的な松代市民でした。そういや神代純一郎の中の人なのだが、お名前を矢島正明さんという。声を聞いて「よくCMで聞く人だー、アニメの声とか珍しいなー」と思って調べたら、なんと御年80間近の大ベテランであった。おみそれいたした。
○「テガミバチ REVERSE」 5
新番組という名の2期目。まぁ、今期も相変わらず2期目が多いので、こんなのばっかりが続くわけですがね。 改めて始まったのを見ると、1期目が本当に中途半端なところで終わったんだなぁ、ということが確認出来る。何で新番組が始まっていきなりクライマックス、しかも一番重たいシーンからなんだよ。1期目2クールあったんだから、もう少しお話のつけようもあったと思うんだが。おかげで一見さんは完全にお断り状態だ。2期目なんて総じてそんなもんだろうけど。 で、半年ぶりに見る「テガミバチ」の世界。やはり黒と青を基調とした世界設定は独特の印象があり、しっとりとした落ち着きと、ちょっとの不安。それでいて、絶妙な時間帯に放映されるが故の得も言われぬ安心感がある。暗色基調だから多少色づかいがくどくても画面映えするし、最大限に全景が浮き立つように色彩が置かれているのが目にも美しい。このあたりのオリジナリティは、もう少し評価してもいいような気がする。 とは言っても、やっぱり地味は地味。何かもう一つでも見るべきポイントがあれば視聴姿勢も変わってくるんだろうが……前期と同じような感じになるんだろうなー。中の人に引っ張られるから見るのは間違いないと思うんですけど。ほら、つい最近も書いたじゃない。「藤村歩がメインを張る作品は名作」と。この作品はサブだからそこそこレベルでも許可。1話はステーキの殉職精神とそれを見取るニッチの掛け合いが最大の見どころでした。あれ? じゃ、この作品のメインヒロインはステーキか? 永澤菜教も替えの効かない役者よのー。 事実上の最終回、番外編その2。このエピソードを最後に持ってきたあたり、流石のけいおんとしか言いようがない。終わらない日常を維持しつつ、ほのかに漂う別れの空気。この配分はえげつないな−。 さて、今回もある程度散逸的な内容を扱うネタ回としての側面があるので、大きく2つに分割して要素を見ていきたい。1つ目は、さわちゃん視点を主軸として、軽音部の「4人」を切り取っていく「卒業アルバム」を巡る事象。卒アルチェックを口実にさわちゃん宅を訪れるというのが今回のメインシナリオなわけだが、その端々には、「写真」という要素がちりばめられている。そして、ファンなら当然承知のことだが、今回撮影された3枚の写真、冒頭の梓歓迎写真、さわちゃんが撫でた軽音部の卒アル掲載写真、そしてラストシーンを飾ったジャンプ撮影写真は、全て1期のBDジャケットになっている。 「さわちゃんが見る卒業アルバム」、そして「BDメディアのジャケット」という2つのファクターが導くものは、我々視聴者のメタレベルの視点がこの最終話に投入されているという事実。この最終回は、卒業を前にした唯たちが軽音部の部室や、桜高の校舎に別れを告げるエピソードであり、表向きは彼女たちの思い出をまとめ上げるエピソードであるが、その実、この「思い出」は我々視聴者に与えられたものだ。彼女たち本人にとってはあくまで「自分の人生」なので常にそこには主観が介入するが、我々視聴者はどう頑張ってもこの作品はディスプレイの向こうのもの。その隔絶を、このエピソードは極力補完する。彼女たちの思い出の象徴たる卒業アルバムの中にある写真は、視聴者が自宅の棚に入れているBDと「同じもの」なのだ。思い出の共有という実に些細な事象において、このリンクは貴重であろう。 そして、そうした結びつきの媒介者として選ばれたのが、山中さわ子だったわけだ。彼女も、生徒達と一緒に軽音部を作り上げた「あちら側の人間」であろうが、管理者としての側面、そして来年以降も新たな軽音部を見守っていく「時代の超越者」としての側面を持ち、作中ではいくらか視聴者に近いスタンスを持つ。そうした「さわ子視点」で彼女たちの交流を見守ることで、2種類の決して相容れない思い出は、わずかながらも接点が見いだせるのである。 そうして唯たち軽音部員の「思い出」をパッケージングした後は、最後に描かれるのは「未来」への指針。2つ目の要素は、最後の無声パートに象徴される、軽音部の未来と彼女たちの旅立ち。4人が学校に戻り、梓のギターの音を聞いてから、校舎前で飛び跳ねるまでの一連の流れは、流石に目が潤んだ。軽音部室に向かってかけだした唯。彼女がひた走る校舎の風景は、我々も9ヶ月間に渡って慣れ親しんだもの。一人称視点で部室のドアを開けようとするが、すんでのところで、その手が止まる。部室の中からは、新たな世代の軽音部の音が響いてきたからだ。もう既に、次の世代は歩き出している。唯は、既に部室に入らなくて良いし、入ってはいけないのだ。 明るい未来を垣間見て、満面の笑顔で走り去る4人。そのバックに流れるのは、梓が奏で始めた「ふわふわ時間」だ。放課後ティータイムが奏でたものとは違う、新しい世代の「ふわふわ」が流れる中、元来た道を笑いながら駆けていく唯たち。亀の像に触り、誰もいない校舎に視線を走らせ、全ての思い出を総ざらいして、全てをやりきった。卒業式まではまだ日もあるのだろうが、これ以上無いくらいの旅立ちへの祝福である。全員が顔をくしゃくしゃにして泣いた20話と比較して、今回は4人が4人とも、本当に心から笑っている。このラストを与えてくれただけでも、多くの人が救われたのではなかろうか。 ラストシーンでは澪が全部もっていくあたりが相変わらずえげつないとは思うが、ノリと勢いで過ぎ去った1日が、彼女たちの高校生活を全て物語っていたように見える。この騒がしさが、この何気なさが軽音部だった。何もかもに、ともかくお疲れ様とありがとうを。そして、最大のありがとうはやっぱり部長さんに! 今回はやたら殴られてたわ! なんで最終回でこんな扱いなんだ! 流石だぜ!
○「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」 6
「好き勝手」という言葉を辞書で引くと出てきそうな作品。これは……どうしたらいいんだよ。面白いよ。面白いには違いないが…… ガイナックスって会社は、本当にやりたいことしかやらない会社。この作品も、スタッフを見ればガイナックスを代表するそうそうたる面子が顔を連ねている。今石洋之・大塚雅彦・錦織敦史。今回はさらに作監にすしおを引っ張ってきている。冗談や酔狂ではなく、この作品は立派な「ガイナックスの新作」なのだ。しかし、その内容たるや、全く売る気がないのか、それとも新しいこと、描きたいことを貫き通せば売れるものだと疑わないのか。「今のアニメ」の定型からは完全に離脱した、埒外のものである。 いや、これが完全に新しいものかというとそうでもない。日本国内のアニメに限定すればそりゃなかなかお目にかかれないが、この作品が下敷きにしているのはいわゆる「アニメーション」ではなく「カートゥーン」と呼ばれる類のもの。いわゆるアメリカン・アニメのベーシックなスタイルである。ごちゃごちゃと見慣れないフォルムにデフォルメ・リシェイプされた背景や動画。画面を覆い尽くすように煩わしく踊り狂う書き文字。訳の分からない暴言と放送禁止用語をばらまきながら暴れ回るキャラクターたち。およそ日本人が描かない姿が、そこにはごろごろしている。 個人的な「慣れ」を尺度にすると、この画面はキツイ。たまにならこの手の作品を目にすることはあるが、1クール通じて観たりすることはなかったろうし、私の目は完全に「日本のアニメ」専用になってしまっているので、この作品は確実に「異物」に映る。許容するとかしないとかいう以前の問題として、まず一般的な「アニメ」の枠内にすら入ってこないのである。これを他の作品と同じ尺度で判断し、同じモチベーションで視聴するのは無理だ。 と言っても、やはりどこか気になる要素があるのは事実。あまりに下劣なネタ設定や、本当に中身のないどーでもいいストーリーなど、はっきり言ってしまえば「この絵じゃなきゃ、本当に見なくてもいいもの」である気がする。あまりに珍妙な、あまりにチャレンジングな画面にしたおかげで、このアニメは成立しているのである。そもそも、ふつーの日本のアニメ絵でこのネタをやろうとしたら、ほぼ確実にどこかが放送コードに引っかかるし、ジョークではなくて単なる不快な何かになるはずだ。カートゥーンの体裁があるからこそ、この作品はアメリカンテイストの「ジョーク」になっている。そのあたりのさじ加減は、まさにスタッフの狙い通りなのではなかろうか。 画面のクオリティも、そうした体裁の違いを極力捨象して考えれば、総じて高いものであると判断出来る。目まぐるしい動きと、情報過多としか言いようがないごちゃごちゃした画面構成は、なかなか受け付けない部分はあるが、アニメの情報伝達の手段として全く間違っていない。それどころか、独特のリズムで繰り出される極端なデフォルメと動きの妙は、アニメーションの真骨頂と言ってもいい。2話で見せた暴走車の加速シーンの画なんかはどうみてもすしおによるものだが、無茶な画によって無茶なスピードを表現する、直接感性に来る愉快な出来になっているだろう。他にも爆発シーンだけ実写混じりで表現してみたりと、単なるお遊びにしては手間のかかり過ぎる画作りは、ほんと勘弁してほしいくらいの充実感がある。 シナリオ面については語るのも馬鹿馬鹿しい気がするが、避けては通れない部分だろう。1話が糞尿、2話がスピード狂で、平気でキチガ○とか言う敵キャラ。そしてそれを討伐するのは、セックスキチガ○と純正スイーツのコンビ。うーむ、誰得。ヒロインが非処女認定されるだけで大荒れするような病みきった現状には、むしろ潔さすら感じられる設定だが、別にこの画でセックス云々言われても……いや、だからこそ成立してるのか? そのくせ、萌え要素やエロなど一切介入しないかと思っていたら1話では急になまめかしさを前面に押し出した変身シーンが入ったりもする。もう、どこをどう着いていっていいのかも分からず、完全にスタッフの思うつぼで振り回されっぱなしの30分。これはこれで、癖になりそうな気がする。 やはり、一言で言ってしまえばこの作品を攻略するためには慣れるしかないのだろう。画面を見て困惑してしまうのは、あまりに常日頃視聴しているアニメと情報構造が違いすぎるためだ。アニメってのはいわば記号化簡略化の極致にあるスタイルであり、そのための方法論が違えば画面は全く違った答えを導く。その違った次元にある「解法」(視聴法)が分かれば、この作品も自ずと「馬鹿馬鹿しく見られる普通のギャグアニメ」となる日が……来るといいなぁ。とにかく、何はともあれ一気に見られてしまったので楽しいと言えば楽しい作品でした。次回以降、どういう風にしてこのインパクトを維持するかが見どころです。 一応中の人にも触れておきましょうね。今作で最大の聞き所は、やはり主人公であるパンティとストッキングの中の人。小笠原亜里沙については、予定通りに。やっぱり「洋画っぽい声」だよねぇ。伊瀬茉莉也についても、気付けばいっぱしの声優らしい活躍が出来ている。このメインヒロインコンビはこの作品がジョークとして成立するか否かを左右する最大のポイントとなるので、しっかり作品の空気を作っていって欲しい。脇で支える石井康嗣も、そうなればこそ輝くと思います。そして今回に限っていえば、キチガ○役が完全に素としか思えない岩田光央のあまりの平常運転。……レギュラーで出てきてほしい配役です。 ○「スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター」 5 今期わが家の新番組1発目を飾ったのは、正直言ってそこまで興味がないこの作品。スパロボはゲーム全般に一度も触ったことがないし、アニメ前作である「ディバイン・ウォーズ」も、特に興味が持てずに2話くらいで切ってしまった。基本的にロボット燃えの属性が薄いため、モチベーションが維持しにくく、設定がよく分からないアニメを見る元気が起きないのが正直なところです。 とはいえ、この作品の1話目はぼちぼちのスタートといったところ。相変わらず何が起こっている世界なのかはさっぱり分からないし、マシン個々の識別が出来ないので誰がどこで何に乗って何がしたいのかもよく分からないのだが、流石にここまで気合いを入れてくれればロボット戦闘に力を入れたいのだということくらいは読み取れる。今時のアニメでは貴重な、ロボット戦闘が全部手描きのバトルシーンは、懐かしくも華々しい、なかなかの幕開けといえる。ロボット自体のギミックも色々と面白くて、冒頭で出てきた奴(名前なんて分かりませんよ)の腕をぐるぐる回してのパンチなんかは、無闇に興奮するシーンとなっている。やっぱりドリルが青春かなぁ。いや、個人的に好きなロボットは「電童」なので、ギアモーターの回転が浪漫なのかもしれません。 そして、メインストーリーの語り口についても、ひたすらロボット推しというのは潔い。司令官っぽい人(CV・速水奨)が淡々と世界の現状と決意を語る中、合間でガンガンリアルタイムの戦況が挟まれ、「地球連邦政府」が語る使命と、実際の戦場の白煙が密接にリンクしていることを伝えてくれる。もちろん戦闘シーンでは何が起こってるのかよく分からないのだが、パイロットたちのテンションは高く、それに引きずられてみるのも悪くはない。司令官のキャラクターがなかなか良いですよ。 ただ、気になったのは最後のシーンで空を引き裂いて光臨した謎のロボット。バックに羽が散っているのを見て「ラーゼフォンかよww」と思ったが、フォルムを見ると、どうもオクサーにしか見えないんだが……って、今回キャラ作監が樺島さんじゃないか。もう、そっち方向に行くの? むっちむちの女性キャラを売りにするの? キムタカ呼んでこいや! というわけで、どうにも女性キャラにばかり目が言ってしまいそうなので、そのまま耳を向ける話。1話でインパクトがあったのは、男性キャラでは速水奨、山崎たくみあたり。パイロット席には杉田も乗っていたが、杉田が真面目にやっていても「モビルスーツにのってごっご遊びをしている杉田」にしか聞こえないのは大問題。いや、彼が悪いわけじゃないのだが。 そして、女性キャラというと、もう水谷優子の記憶しか残っていない。……最近だと「屍鬼」にも出てたけど、メインで聞くのは久し振りな気がしますわ。相変わらずとしか言いようがない。改めて聞いた初めて気がついたのだが、ひょっとして水谷優子のあとを継げるのって福井裕佳梨なんだろうか。やたら似てる気がした。 |
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プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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