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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「お嬢と番犬くん」 5

 多分みんな思っただろうけど、タイトルは「組長(孫)娘と世話係」でいいと思いました。

 日本のフィクションではお馴染みの、イマジナリー・ジャパニーズ・トラディッショナル・ジャスティス・YAKUZAもの。何故か知らないけどフィクションの中のヤクザは優しい。いや、本物がどうかは知らんけどさ、多分優しくないよね、だってヤクザだし。まぁ、そりゃヤクザの家で愛でられて育った娘さんからすりゃ家族なんだから優しく見えるのもしょうがないけど……暴力で全てを解決する男を優しいと認識してしまうのはそれだけでモラルハザードな気がするよ。

 正直第一印象はあまり良くなかった。それはヤクザがどうこうとかじゃなくて単にキャラデザがあんまり気に入らなかったからで、「ヒロインの目が他のキャラと比べてもやたらと大きすぎてなんか怖い」とか、「男の方の目に光が宿ってなくて、その目でモテるのはマイキーくんだけにしてくれ」とか思ったから。原作は「別フレ」掲載作品とのことで、「ヤの字のあんちゃんに育てられたもんだから密かに恋心を抱いちゃった女の子」という、男サイドからはあんまり共感も愛着も得られない設定だし、オタクが一番苦手なタイプだなぁ、と思っていたのだが……その後の展開でのテンポは悪いもんじゃない。割とサクサクギャグの流れにも振れたし、メイン2人のキャラデザはちょっと怖いけどモブも含めた世界全体のキャラは割と普通。監督が高本宣弘氏なので演出にもだいぶクセがあってちょっと食べにくいのだが、飲み込むのを邪魔するほどのクドさがあるわけでもない。トータルで見れば「まぁ、ヒロインの可愛い様子が描かれるならワンチャン」くらい。でもなぁ、1話目時点で恋心が確定してる上にスキンシップが多すぎるから、男目線だと「さっさとやることやれよ」くらいしか感想がないんだよなぁ……多分男サイドが「親目線」でしかないから、そこをどうやって異性の関係に持っていくかの勝負だと思うのだが、少女漫画のエグさがどの辺りに出るかが決め手になりそう。

 

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「聖者無双〜サラリーマン、異世界で生き残るために歩む道〜」 3→2

 今期「レベル1〜」と双璧を成すなろう作品。よくもまぁここまで、と感心するくらいにダメにダメを重ねてあるので、良識のある人ならいちいちこんなんに時間を浪費せずに意義のある人生が送れるだろう、というのが唯一の評価ポイント。

 「そんなん言うんだったらお前もさっさと切ればよかったやんけ」と言われそうだが、それに対しては「まったくもってその通りだな!」としか返しようがない。3話切りという必殺技を手に入れたのだから、前クールまでの判断基準なら文句なしに切っていただろうし、今期だってキープしておく意味は本当になかったのだが……。

 理解されないことを承知で一応苦しみながらも今作を視聴し続けた理由を書いておくと、「もしかしたら他のなろうと何か違うかもしれない」という淡い期待というか、願望というか、悩みを抱えていたせいである。「何か違う」と感じたのは、今作の主人公が「ドMゾンビ」というあだ名をつけられるくらいにとにかく修行に対してストイックで、なろう主人公がおよそ演じない「修行パート」をひたすらに繰り返すという構成だったため。そう、今作はちゃんと(?)低いレベルからスタートし、毎日鍛錬を繰り返すことによって強くなっていく描写があるのだ! 決して秘密のダンジョンにこもってユニークスキルでバグ技を使ったりはしていない。本当に大塚明夫ボイスの師匠について血みどろの特訓を繰り返している。だからこそ強くなり、だからこそSランクを与えられた。そこに納得感があるなら、なろうの枠を飛び越えた「普通の冒険ファンタジー」になるかもしれないという淡い(浅はかな)期待があったのだが……そうはならなかった。ならなかったんだよロック。だからこの話は(略)。

 まぁ、結局ステータスシステムから解き放たれず、面倒になったら「豪運」とかいう意味不明なスキルに逃げてるわけで、そこに横たわるのは純然たるなろうイズム以外の何物でもないのだがね。それに加えて、1話目時点で半泣きだったが、今作のキャラデザは致命的に受け付けないものになっており、ヒロインは可愛くないし主人公のツラはムカつくし、コミカルにしようとした演出がことごとくイラッとさせるという苦行みたいな画面が続く。興味がある人はOP映像だけでも見てもらえばいい。ちなみに曲が悪いとかいう話じゃない。そして当然オープニングは「作画はめっちゃいい方」である。

 これを見ていると、今作で主役を演じた川島零士くんはこれと「英雄教室」の主人公ということで、どうにもアホみたいで恵まれないキャラを当てられる呪いがかかっているように見えてしまう……あれか、もしかしてジョナス役を射止めた代償か。どこまで業が深いキャラなんだ、ジョナスよ(多分ジョナスにまつわる全てに運命を感じてしまう病気)。

 

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○「葬送のフリーレン」 6

 生々流転。次々とアニメが最終回を迎える中、次のアニメは変わらずにやってくる。今期もまだ9月だというのに、早速新アニメがスタートするのである。

 今期1発目となったのはこちらの作品。なんとまぁ、史上初の金曜ロードショー枠を使って2時間ぶち抜き初回放送というとんでもない勝負を仕掛けてきた、誰がどう見ても分かる、文字通りの「これ賭け」作品である。制作はマッドハウス、監督には「ぼざろ」の斎藤圭一郎が起用され、さらにテーマソングはYOASOBIが担当。主演は現代アニメの大看板・種﨑敦美に託された。もう、どこからどう見てもこれ以上ないくらいに勝負を賭けている。これでダメだったらもう、日本でアニメは作れないんじゃないかってぇくらいの気合いの入れよう。

 原作は未読だからなんも知らない状態だったのだが、どうやら過去に諸々の漫画賞とかで注目されていた作品ってことなので、そのバリューも信頼しての勝負だろう。そしてこの2時間スペシャル(一応形式上は4話一挙放送ってことなのかしら?)では、その「賭け」には勝っているように見える。本当に、端々から関係者の全力っぷりが伺える力作だ。これで「1話目が長尺放送」という特殊形態は3クール連続となり、前クールは「It’s MyGO!!!!!」、そのまた前が「【推しの子】」だったこともあり、こちらの作品が「もしこんだけ長尺で放送してコケたら目も当てられねぇぞ」という不安はゼロではなかったのだが、相応の自信がなけりゃ、こんだけ鳴物入りでスタートさせないよね。いや、お見事なもんで。

 ただ、鮮烈すぎて1本の劇場作品を観たような気になった「【推しの子】」とは違い、こちらの作品はどちらかといえばバンドリ寄りの1話目で、「とりあえずここまで見てもらえば作品の空気が伝わるだろうから、あとは楽しみだと思えた視聴者が次週からついてきてね」という、高品質であるが故の余裕が伺える構成。私個人としては設定の上で一番被ったのが「不滅のあなたへ」だったもんだからもうちょい殺伐とした世界が待っているのかと思ったら、なんとまぁ、2時間に渡ってほのぼのエルフと真面目っ子の珍道中が描かれて終わった。「殺伐としてない『不滅のあなたへ』」とも言えるし、「ちょっと殺伐してるかもしれない『ふらいんぐうぃっち』」とも言えるかもしれない。こういう構成で評判を呼んでるってのはすごいもんだな。

 もちろん、話題になる部分もなんとなく理解はできて、「不滅」の場合は不老不死という要素そのものがイレギュラーなもんだから、そこから紡がれる生と死の物語はダイナミックに世代交代を繰り返すとんでも方向に振り抜き、フシはついには概念に成り果てた。しかしフリーレンの場合は(厳密には不老不死ではなかろうが)フシと似たような境遇にありながら、彼女の冒険が一度「終わっている」という設定になっており、今更慌てて殺伐させる必要もなく、ただひたすら追憶と回想だけでもさまざまな物語が構築できる。1回目となる今回はフリーレンの思い出の中の勇者パーティとの繋がりを多方面から掘り下げて下準備をした段階で、「現代」パートは愛弟子(?)のフェルンのみが密接な繋がりを持つにとどまった。ここから先の展開は知らないが、おそらく「不滅」のように1つの出会いがさっさと切り捨てられて次の世代へ、なんて構造にはならず、ここからゆっくりしっかり、フェルンたちとの物語を紡いでいくのだろう。良いじゃないですか。殺伐としない状態でふらいんぐするうぃっちの旅を見てるのもいいもんですよ。……そういう意味は「魔女の旅々」ともつながるのか……よかった、フリーレンがどこぞの美しい魔女のワタシみたいに下世話な性格じゃなくて……。

 「勇者パーティの冒険終了後の物語」という意味では奇しくも「Lv1魔王」との繋がりもあるが、「ゆるめのギャグ」という要素は繋がりつつも、今作はファンタジー要素がかなり強く押し出されるデザインになっているおかげで、下世話な感じはほとんど無く、独自の世界観が魅力に直結している。「長命なエルフと短命な人間の価値観の差」は今度は「江戸前エルフ」でスパイスとして効いていた要素だが、今作はそこがダイレクトに主題に直結し、匂わせるんじゃなくてむしろ真正面から見据えることで逆に希望に転じているという構図も面白い。これでエルダ様→フィッツ君→フリーレンとエルフヒロインも3クール連続ってことになるな……耳が長くなるなぁ。

 とりあえず、こんな雰囲気の作品だとは思ってなかったのでちょっとびっくりはしたのだが、2時間尺でも全く退屈せずに楽しめたので、今後の展開もあまり心配はしていない。本来ならもっと加点してもいい作品だとは思うのだが、まぁ、ゆっくりとした滑り出しだし、過度に持ち上げるよりはゆる〜く付き合っていくスタイルの方があっているんじゃなかろうか。

 例によって最後に中の人の話をするが、まーそれにしても種﨑ワールドの堅固なことよ……今作が「魔法使いの嫁」と同じタイミングでの放送になったのは良かったのか悪かったのかは微妙なところだが、魔法を教える側でも教わる側でも、この人智を超越した空気感は替えの効かないスペシャリテ。こんだけ人の心がわからずぶっ飛んでるフリーレンなのに、歴代種﨑キャラの中ではまだ理解の範疇みたいな気がするのはやっぱヤバいよな。フリーレンと羽鳥チセと双葉理央とヴィヴィと鎧塚みぞれで蟲毒を行ったら、最後に生き残るのは誰なんだろう。(オーボエの音が聞こえてきそうな気がする)

 

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「アンデッドガール・マーダーファルス」 6→6

 正直、最後の最後まで評価に悩んだ作品。何を軸に評すればいいのか、どんな手つきで触れればいいものか。色々と懊悩があったのだが、とりあえず現時点においては未来への希望に価値を認めて結果を出すことにした。

 評価に悩んだのは、プラスの要素とマイナスの要素の次元がズレており、同じ板の上で良し悪しを定めるのが難しかったためである。先にマイナス要素から触れていくと、これはまぁ、非常に分かりやすい「ミステリアニメの絶対難題」である。過去にもミステリを題材としたアニメは多数作られており、「金田一」や「コナン」はもちろんのこと、最近でも「虚構推理」あたりが代表選手だろう。エンタメに振り切れたコナン映画みたいなものは別枠になるだろうが、直近の「虚構推理」などで分かりやすいのは、「アニメという媒体はミステリと絶望的に相性が悪い」という事実。ミステリが最も重視するロジックを解きほぐそうとすると、アニメはほぼ機能を停止する。どれだけ画面を小手先で弄ろうとも、ただ事実を事実として伝えることが最善である「解決」に関しては、アニメがどれだけ頑張っても文字媒体での「解り」やすさには敵わない。きちんとミステリの魅力を伝えようと原作に真摯であればあるほどに、アニメとしての魅力を発揮するのが難しくなっていくのである。

 ぶっちゃけ、今作もその悩みからは抜け出せていない。1つ目の吸血鬼の事件での「ひたすら証拠集め」「淡々とロジックで限定」のくだりなどどうしたって退屈に見えてしまうし、最後の人狼の事件、構造はえげつないくらいにアクロバティックなことをやっており、執拗な舞台設定と綱渡りのような解法とその披露は、おそらく原作ではさぞ気持ちの良いパートなのだろうと想像できる。しかし、アニメで鴉夜が淡々と解説しているパートはあまりにもスピードが早すぎて、驚愕の事実があれよあれよと降り注ぐテンポは(少なくとも私には)受け止めきれず、その味わいの大半が耳の外を流れ落ちてしまうような印象があった。何度でも自由意志で文字を読み返せる小説媒体だからこそ可能な密度(難度)は、アニメ化というメディアの転換に耐えられるものではない。

 こればかりは作品がどうこうとか、スタッフがどうこういう問題ではないので現時点で解決策は完成していない。ただ、そうした難点を認めつつ、おそらく今作のスタッフはそんな当たり前のことは重々理解しており、できる範囲でなんとか脱却しようと最善を尽くしてくれていることが伝わってくるのである。前人未到の高いハードルも、稀代のエンタメ作家・畠山守の手に渡ればいくらか光明が差した感がある。幸いにして、本作はミステリとしての強度はガチガチに固いのだが、それに加えてちゃんと「キャラもの」「ゲテモノ」としての側面にも魅力があり、アニメでは「珍獣大集合の化け物ミステリ」という側面を強めに打ち出し、とにかく画面での楽しさを提供しようとしている。こればかりは本当に感覚的なものでしかないのだが、この「つまらない画面になりがちなパート」をどこまで装飾で誤魔化すかというのは脚本との連携、そして画面構成のセンスのバランスがものをいう部分で、ちょっとでも画面に「気持ちいいな」と思える要素が混ざり込めば「退屈さ」は大きく低減できる。やはり畠山さんはその辺りが上手い。

 個人的に注目したいのは画面の色彩の使い方で、どの事件も基本的に解決に関わるシーンに夜が多いせいで無闇に暗くなってしまうはずなのだが、そこは虚仮脅しも含め、何かしらの賑やかさを感じさせる画面を意識的に作り上げている。最終章ならカーミラ戦あたりが分かりやすいだろうか。「ゾン100」における極彩色の血の描写につながるものでもあるが、とにかく「使える色」を積極的に見せることで、じっとりと地味なシーンとの対比も狙ってメリハリを作っている。普段の描写から「闇と光」の演出に常に気を配っているからこそ、「ケ」のシーンと「ハレ」のシーンの差別化ができているとでも言おうか。本来原作にはなかったであろうアニメ独自の盛り上がりを生み出すことに成功しているように思えたのだ。

 この方向性がミステリアニメにおけるベストアンサーなのかどうかはよく分からない。そもそも畠山さんらの演出力だよりな部分が多いし、難しい画面を全力で成立させにいったラパントラックの組織力による部分もあるだろう(こちらの作品も回を増すごとに作監の数がとんでもないことになっていく)。しかし、こうして常に「アニメでどうしたらいいか」を考えてくれるクリエイターがいれば、この先にまだまだ明るい可能性が見える気がするのである。

 ちなみに毎度の蛇足で中の人に触れておくが、中の人もやたら豪華な作品だったね。MVPは当然ともよ……といつもの私なら書いてるところだが、今作については津軽役・八代拓がベストだったと思っている。津軽ってめちゃくちゃ難しい役だったと思うのよね。「鬼」の側面、「噺家」の側面、そして「主人公」の側面。相反するイメージの連携を成立させて魅力を発揮させた彼の仕事がなかったら、この無茶苦茶世界がぶっ壊れてた可能性もある。いいキャラになったなぁ。

 

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「スパイ教室 2nd Season」 ―→5

 一応、「良い影響を与えた方の2期目」とカウントしていいのかしらね。こんだけの話数があってようやく、今作がやりたかったことはなんとなく伝わってきた。

 1回だけ千和効果で感想を書いたりもしたけど、結局は「キャラもの」として押していくしかない作品。だとしたらキャラが立ち始める2期目以降に印象がよくなるのは当たり前のことで、その傾向が顕著だったのがあのエピソードで絡んだアネットだったということ。1期は主人公(?)のリリィ、2番手のグレーテの2名が中心になっていたが、おそらく2番手で行けると想定していたグレーテのエピソードが今ひとつハネなかったのが1期を停滞させた最大の理由だろう。そしてハネなかったのは、やっぱり「スパイもの」として大して面白くなかったせいである。インパクトの大きかったアネット編、そして続けて変な味わいが強烈だったティア編は、「スパイとしてのイカす活動が云々」みたいな部分は割とどうでも良かったのよね。どっちかってぇと具体的な謀略とかじゃなくて雰囲気だけで「強い! 綺麗! 可愛い!」ってやってるキャラの方が立ってるわけだし(ティアが別に「エロい!」になってないのがポイント)。

 別にそうしてキャラで売っていく方向性が悪いというわけじゃない。というかむしろ好物ですらある。2期については最終話がこんなエピソードで終わったことから見ても作者はそっち方向で振り抜いた方が飛距離が出ることがわかってるんじゃないだろうか。じっくり準備をして、キャラごとに愛着が湧く頃合いになれば、あとはきららアニメと同じテンションでちょっとニヤニヤしながら見守るだけである。この調子で行けば3期4期と続いても特に負担なく追い続けることができるんじゃないだろうか。

 まぁ、結局は第一印象だった「エグいくらいにキャストを固めてやる萌えもの」という路線が正しかったって話なんだよな。というか、このキャスティングなんだから制作側だってそんなこたぁ百も承知だったんだろうけど。一気に8人も9人もヒロインが大挙する作品は、そりゃ1クールじゃ描ききれんよ。私はラブライブで学んだからそれを知っているんです。

 

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「白聖女と黒牧師」 5→5

 ほんとに平和なアニメでしたね。毒にも薬にもならないアニメってのは……薬みたいな効能があったりします。

 「甘々」という概念をそのまま抜き出したような、本当にいちゃついてるカップルを見てるだけの作品なので、時として虚無な感情が押し寄せる場合もある。「いちゃいちゃ」というのは正確ではなく、ラブコメにありがちな「付かず離れず」の関係性のいちゃいちゃ未満なので、そこにやきもきしたり、ホッとしたりする。特に加点要素もないかと思っていたのだが、これが案外嫌いじゃない。

 作品を支える大きな要因の1つは制作体制そのもの。「萌えアニメの雄」である動画工房がプライドを持って作り上げたゆるふわな世界観。番組後半には怒涛のように押し寄せる大量の作画監督が話題になっていたが、とにかく人材をぶちこみ、人手をフル回転させてなんとかクオリティを維持したのだろう。最後の最後まで「可愛い」が崩れなかったのはそれだけでも頑張ったと労う価値がある。ゆるふわって「なんもないこと」の言い換えだったりするので画面が退屈になりやすいのだが、本作はパリッとした色彩の世界が新鮮さを維持しつつ、要所で挟み込むコミカルな描写でテンポを作ってくれた。アイキャッチみたいなゆるキャラ状態が可愛くていいよね。

 そしてもう1つ特徴を挙げるとすれば、アベルたちはもちろんのこと、街の人たちが総出で「聖女様が幸せになるには牧師様とくっつけばいいじゃん」ということを理解しており、いろんなところに世話焼きババアが潜んでいるところ。結局、人類はゴシップが好きなのだ。似たようなデザインの作品に「宇崎ちゃん」があったが、微笑ましい関係の若いカップルをニヤニヤしながら見守り、時にちょっかいを出して背中を押してみたりするのは楽しいものである。今作はそうした「おせっかい」の視点が常に付きまとうのが、単なるいちゃいちゃでは終わらないエッセンスになっていたのだろう。

 あと、世話焼きババアって言ったけどそのCVが戸松だったり中原麻衣だったりするので。……「世話焼きババア」っていうのは役職名であって性別や年齢に言及するものではありません。

 

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「贄姫と獣の王」 5→6

 安定感に溢れる2クール作品。やっぱりこうしてたっぷりの尺でおっきなドラマをやってもらえるとそれだけでも充足感がありますな。

 今期「わた婚」と双璧を成すイチャラブシンデレラストーリー。どちらにもそれぞれの良さがあり、「わた婚」は映像クオリティとヒロインの声(そこ?)でとにかく映像をだらだら眺めているだけで得られる栄養素があった作品。対するこちらは、映像部分は平均値かもしれないが、その分真っ正直にシンデレラストーリーを曲げず、折れずに走り切るドラマ重視の作品。ほんとのほんとにシンデレラストーリー&ビューティー&ビーストといってしまえばそれでおしまいのシナリオラインではあるのだが、そこで別に恥いる必要もない。こうした説話の類型が遥か昔から語り継がれているってことはそれだけ人類がこの手のドラマを求めているということである。そこかしこで人外がいちゃいちゃしている図は実に微笑ましく、「これだけでもいろんな性癖の人が満足してくれるだろうし、掲載誌が『花とゆめ』だというなら、ここから新たな世界に目覚めていく幼気な少女もいたりするのかしら」なんて考えてしまう。僕ら男連中の視聴者はイケメンがどれだけイケメンムーブをしたところで「ケッ、イケメンが!」と思う部分がどこかにあるものだが、そのイケメン枠がもふもふの獣になってしまえばどうなるか。それすなわちハッピーアワーである。

 ドラマ部分をもうちょい深掘りすると、どちらかというと「わた婚」よりも「外道ラスボス女王」の方がニュアンスが近いかもしれない。主人公のレオは確かに臣民に対して隠し事こそしていたが、基本的には本当に善政しか敷いていない完全たる正義の王。にもかかわらず彼とサリティに降りかかる国難は全てあまりに致命的で、国をひっくり返してしまうとんでもないものばかり。そしてその原因は基本的に「この国の過去の闇」にある。「外道ラスボス女王」は「ゲーム世界の仮想の自分」の悪性と向き合い、それを正すために戦っていたが、レオたちは「種族の差を含め、オズマルゴが過去に歪めてしまった血筋の闇」の悪性を白日の下にさらし、改めるために戦い続けた。2人が打倒したフェンリルにしろセトにしろ、彼らなりの大義を抱えて必死に戦っていた人物である。そうした外敵に対し、決してお為ごかしではなく、正面からぶつかり、打倒して国を守る。それを成し得たレオはずっとずっと強かったし、何度か折れそうになるレオを支え続けたサリフィの内助の功はやはり大きい。きちんとヒロインが納得できる形で「戦っていた」という意味では、シンデレラストーリーとは言いつつも立派な英雄譚でもあったのだ。いや、別にどこぞの斎森美世さんをバカにしてるわけではないですが。

 こういう作品を見るとやっぱり2クール尺を通しでやってくれる作品ってありがたいな、と思っちゃいますね。最近は同じくらいの規模感の作品でもどうしても分割が多くなっちゃうからねぇ。J.C.みたいに地力があるスタジオが受け持てれば問題ないのだが……。

 

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「ライアー・ライアー」 5→3

 ダメでしたね。こうしてみると、出自がなろうだろうがそれ以外のラノベだろうが、別にクオリティの保証にはならないってことだよな。当たり前だけどさ。

 ダメなポイントは基本的に「レベル1だけどユニークスキルで〜」と同じ。なんか分からん設定を勝手に作って、それを視聴者が理解してない状態で「それをひっくり返すぜ!」でドヤるという意味の分からない方法で凄みをアピールしようとして「知らんがな」と言われてしまうというヤツである。点数に差があるのは、こちらの方がまだ映像部分がマシだったこと(決して良いとは言ってない)、アニメスタッフが一応「なんかしてる感」を精一杯出そうとしていること。アニメとして垂れ流した際に、あまり深く考えなければ不快感が薄いのはこちらの作品だと思われる。

 ただ、矛盾しているかもしれないが、こちらの作品の方が制作理念に関わる病巣が深い可能性はある。何しろこちらの作品は「ゲーム」をテーマに設定し、いかに面白いゲーム、騙し合いの勝負を描くかが一番大事な要素になる(はず)。そうした基盤部分で大した考えもなく後付けでどんどんルールを追加するばかりの「おもんないバトル」を繰り広げている時点で、危機意識の薄さというか、認識の甘さみたいなものはこちらの作品の方がエグい気がするのだ。「ユニークスキル」の方は一応なろうなのでダンジョン探索以外にも描きたいものがあった可能性はあるのでね(まぁ、あったところでお察しだったが)。

 「オリジナルのゲームで勝負する」というデザイン自体、面白くするのはめちゃめちゃ難しいというのは先人たちが散々証明している事実。「カイジ」の序盤部分なんてのは才能溢れる時代の福本伸行が奇跡的に生み出したものであるし、私の周りで大人気の「嘘喰い」もゲームメイクは綱渡り状態でぎりぎり成立させつつ、「暴のパート」と呼ばれる反社アクションの描写で思い切り魅力を引き上げているのでゲーム単体勝負ということもない。「賭ケグルイ」もあの絵があってこそのコケおどし要素はあるし、同じラノベ媒体の「ノゲノラ」もゲーム自体はなんじゃそらの要素があったためにちゃぶ台を思い切りひっくり返す世界創造の概念からダイナミックに切り込んだ故に成立した作品だったはず。個人的に「ゲームによる頭脳戦」漫画で文句なしに推したいのは「アクマゲーム」くらいである(めだかボックスはちょっと違うし、そもそも他人に勧めないし)。

 まぁ、そうして考えると「やっぱり無理だったよね」くらいでこのガッカリ感は終わりです。世に溢れるクリエイターの皆さん、一度「ゲーム的設定」から離れて作品を書いてみたらいかがでしょうか。

 

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 なんやねんこの構成、第12話。スタッフはいくらなんでもピウイの清涼剤としての効能に信頼を置きすぎなんじゃないですかね……まぁ、実際機能してるけども……。

 というわけで、次週(1クール目ラスト?)に重たくて核心に迫る話を置くためか、今回はその前振りまでやっといて、余った尺はピウイ視点のどうでもいい話で埋めてしまうというアクロバティックな構成。可愛いので問題ないのだが、これだけ強引な手段が取れてしまうあたり、今作のギャグ・シリアスのトンチキなバランスが妙な効果を発揮しててなんだか面白い。

 もちろん、シリアスパートが完全シリアスかと言われるとそうでもないのも大事なところで、今回は久しぶりに帝国VS勇者の視点に戻っての現状報告。以前アズドラがぶち上げた領土奪還&人間の王襲撃作戦は着実に進行しており、うっすらと勇者側の脅威を感じながらも、今のところは魔族連中が持ち前の明るさで乗り越えている。多分指揮系統の負担とかがアズドラ1人にのしかかってるのでかなり重労働になってると思うのだが……それでも音を上げないのはヴァミリオちゃんに格好いいところ見せられるように頑張ってるというのもあるだろうし、本当に単に「いい上司」なんだろうな。魔族サイドは見れば見るほど幸せそうな生活なのがなんとも……あとクッキー食べてるホンさん可愛い。今作はホンさんとピウイが2大マスコットですね。

 そんな魔族の思惑を知ってか知らずか、着実になんらかの準備を進める人間サイド。そろそろ脅威も眼に見える形で成長しているようで、監視役や上役にその懸念は募る一方。唯一救いなのは、どうにも人間側の連携は良くないようで、なかなか組織だった動きとして完成してないことくらいだろうか。いや、あんだけの天使軍団を何度も派兵してる時点で組織としては完成してるんだけど……やはり頭をつぶす以外の解決策はない気がするのだが、アズドラさん1人でなんとかなるだろうか……早く帰ってきて、ヴァミリオちゃん。

 というわけでヴァミリオ側のお話だが、考えてみりゃ、確かに心配されてたように「何日もの間ヘルクという男と2人きりの旅」をしている(と思われる)んだよな。アズドラさん、その辺の心配は大丈夫なんでしょうか。幸い、実際にはピウイというあまりに大きすぎる存在が間に入ってるのでそういう心配は一切ないのだが……代わりに、いよいよヘルクが全てのタネを明かす様子。さて、次回どんな話になるのかな。

 ってんでまさかの16分目でエンディングへ。「あれ? 録画開始時間間違えた?」と不安になったが、残り10分はピウイ目線の旅行記での尺稼ぎ。否、こちらもメインコンテンツか。色々と楽しそうなことをやりつつ、今作らしいどこか捩れた珍妙なボケがそこらで垂れ流しになっているカオスストーリーである。まぁ、多分一番のカオスはナレーション声の変な村人がどうみても赤い彗星のゴーグルかけてたところですよね。この作品でもシャアはシャアいじりしかされないのか……。

 

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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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