最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
実に見事な、非の打ち所のない最終話。これが……現代アニメの本気か……
私の個人的な好みも入るのだが、やはり「後日談」はたっぷりとってほしいもの。最終回にクライマックスを持ってくる構成というのも勿論意義は分かるのだが、そうするとどうしても尻切れトンボになってしまう傾向にあるので、特に2クール以上の尺をもった作品なら、きちんと作品世界を「閉じる」ために余裕のあるエピローグ展開をしてほしいと、色々な作品を見て思っていた。 その点、この作品は本当にお見事。前回のうちに既に黄金のクェイサーを倒しており、今回はサーシャとまふゆの関係性をまとめるためだけにしっかり1話が割かれている。それだけでも、まずありがたい。そして、そんな大切な最終話であっても、この作品はぶれない。最後まで「クェイサー」は「クェイサー」であるべきと、実に見事な「乳」縛りのエンディングである。 「乳がしぼんだ」。ギャグにしか聞こえないまふゆを襲ったアクシデントも、この作品では大問題。乳がしぼめば聖乳に影響が出るかもしれないし、何よりおっぱい星人のサーシャに愛想をつかされるかもしれない。そんな乳の問題を中心にして、事件後の「平和」と、サーシャとの「恋愛」に決着をつけるってんだからキチガイじみている。オープニングアクションとして、リズィが「巨乳なんて馬鹿馬鹿しい!」って突っ込んできたところでまず笑った。清水愛ボイスで「巨乳がなんだー!」ですよ。「二の腕があればいいじゃないかー!」ですよ。いや、んなことはいってないけど。 更にたたみかけるように、あれだけ格好良く散っていたイケメンキャラ、鳳による乳批評の回想シーン。やべぇ、鳳先生が男前過ぎる。そうだよね、ロリコンは病気じゃないものね。堂々と宣言しても何も問題無いよね。でも、大川ボイスでそんなことを力説されても……「巨乳ぅ? とても賛成できない。金輪際、私の前で巨乳などと口にしてはいけないよ」。額に入れて飾っておきたい名言です。 続く盛り上げ役は、我らが美由梨様。馬鹿だねぇ、素晴らしい馬鹿だねぇ。シリーズを通してギャグキャラで貫き通したのって彼女だけだもんねぇ。史伽や華も好き放題やってくれて、学校パートも愉快愉快。今回一番修正が入ってたのが相変わらずカーチャ×華のシーンだったので、そのへんの無修正バージョンも楽しみですな。 そしてクライマックスは、ついに正面からデレてみせたサーシャとの別れのシーン。この期に及んで純愛ムードに走られたら興ざめだなー、とか思っていたのだが、この作品に限ってそんなことはなかったぜ! 乳丸出しのヒロインに対して、「俺が巨乳ならなんでも喜ぶと思っていたのか!」からスタートする告白。「俺はまふゆのおっぱいだから好きなんだ!」。史上最低の告白台詞じゃないでしょうか。そして神々しいまでの最後の授乳シーンと、お互いのファーストキスを分け合うという「純愛」。馬鹿って突き抜けると綺麗なもんですよね。もう、好きにしたらいいじゃないの。最後にサーシャが鉄柵で鎌を作り出した意味が全然わからねぇけど、すごくいい笑顔のサーシャが「お前は震えたことがあるか」で締めるっていうラストは文句も浮かばない。大団円って、こういうモノのためにある言葉だよ。実は色々解決してない問題が有るんじゃないかとか、気にしたら負けだよ! エンディングテーマに「Errand」っていうお約束の演出も嬉しいが、Cパートがあの短い中に2ネタも突っ込んできたのは感心した。「サーシャが笑顔で女装を受け入れるようになった」というのが1つと、「華が嬉しそうに転校してた」っていうのが1つ。カーチャ組も無事にその愛を成就させたっていうことが、たったの1カットから分かるっていうのは秀逸な落とし方だと思う。 いやぁ、達成感のある、実によい締めでありました。無修正版でもう一回楽しみませう。 PR ラストバトルで馬鹿大爆発の第23話。流石にこの馬鹿馬鹿しさは素晴らしいと言わざるをえない。突き抜けた先に待っていたラストバトルが、なんかショボくてもいいじゃない。だって、はなから真面目に戦う気なんてないんだもの。エロ馬鹿だもの。 水の聖堂に突入し、念願のサルイ・スーの生神女の前で激戦を繰り広げる燈(黄金のクェイサー)とサーシャ。頑張っているのは分かるのだが、基本的にサーシャの攻撃なんて単調な剣撃だけだし、黄金のクェイサーは「分子分解」という素敵な特殊能力を見せてくれた以外は、単に殴りつけたり石をぶつけてきたりするだけのいやらしい敵。特に絶望感も演出されないし、そこら中に乳を丸出しにした女性キャラがいるせいで、余計な修正と静止画が混ざるのでシーン自体ももっさりしたもの。こればかりはしかたないことはこの半年で分かっちゃいるけど、抱く感想といえば「うわー、豊崎愛生ががんばってんなー」というくらい。いや、豊崎はこの作品で本当に面白い仕事をしてくれてますよ。正直、それだけでも充分楽しいくらいに。 だが、修正入りでもあの画は流石に吹く。過去には某アニメではおっぱいリロードなどというアホな必殺技もあったが、今作で炸裂したのは、サーシャの魂の一撃を受け止める「巨乳白羽取り」。……ハラショー……ここまでアホな絵面はなかなか作れませんて。あとはアホにアホを繋げるこの作品の真骨頂。乳が吸いたいために死の淵から立ち上がる主人公。威勢良く啖呵を切る台詞は、「この乳はお前のような下衆が汚していい乳じゃない」「お前の乳はお前のものだ」「吸い出してやる、全てを、何もかも!」……ほんと、いい病院が紹介したくなります。あれだけ絶望していた燈の操りも、搾乳であっさり解決。 最終戦の勝敗を分けたのは、その場にいる全ヒロインからの一斉授乳という最終手段。敵の攻撃を華麗にかわし、テレサからは普通に授乳、華からはアクロバティックなローリング授乳、そして燈からは天へ舞い上がりながらの廬山昇竜授乳。あらゆる乳を吸ったことで、世界は救われたのです。あんだけ剣を振るってきたのに最後の一撃は拳骨かよ、とかいうことは、もうどうでもいいんです。修正が入っているせいで見えないところは見えないわけですが、とにかく馬鹿なことだけはわかりました。ヒロイン一斉エクスタシーが決めシーンのバトルアニメって、どうよ。恐れとともに跪くよ。 流石に今週分は、無修正が楽しみだな。
やっぱり美由梨と華が元気だと安心して観られる第20話。いや、今回は別に特別面白い回というわけではなかったんだけど、保険医が無事に正体を現して見せ場が出来たので、それを記念して記事だけ立ててみました。そこまで重要な立ち位置じゃないみたいだけど、ちゃんとキーパーソンになって痴態をさらしてくれたので良かったです。もっとエロいことすればいいじゃない!
今回は保険医と一緒に新任教師の新田(CVは成田剣!)もきちんと正体を現すことでストーリーがクライマックスに向かっていることが分かる。そして、サーシャが主人公補正(?)で第四階梯まで上り詰めてしまったことで、ちょっと置いてけぼりの感があったカーチャにムチを入れる回でもある。まぁ、割と序盤の戦闘からカーチャは負けパターンが多かったけどね……やっぱり銅のクェイサーっていうのがいまいち使いづらいんだな。 タイトル通りにハリボテの烙印を押された偽りの女王が苦悩している様が描かれているわけだが、個人的にはその脇で一喜一憂している華を観るのが楽しい。小学生の友達と戯れるカーチャを陰から見守っている華は、一本芯の通ったロリペドっぷりが勇ましく、単純に「可愛い物好き」の美由梨との対比でその病巣がきちんと確認出来る。サーシャに完全に見下されたところに「あいつはチートキャラになっちゃったから仕方ないですよ」と身も蓋もないフォローをいれにいくあたり、愛情としてはストレートですわ。実際、チートはチートだと思うし。ただ、何で元々不良の元締めだったような女の子が「チート」なんて妙な単語を知っていたのかは謎。 今回のバトルシーンはリジーが化け物に変身させられてのモンスターバトルという妙な内容だったので、いささかチープな画面でも何とか乗り切れた感。何が起こったかよく分からないけど、鳳が死んだあとのリジーの扱いの不憫さはやるせないものがあるな。聖乳すら吸わずに一蹴して見せたサーシャが、冷酷とか冷静以前に無茶苦茶いやな奴に見えるのがこの作品の難点である。 そうそう、今更だけど書いてなかったので改めて付記しておくと、新オープニングはかなりのお気に入りです。特にサーシャとリジーの剣戟シーンの躍動感は見応え充分で、リジーの背中と肩のしなり具合が見どころだ。鳳の出すナトリウム炎のエフェクトも好き。誰が描いたんだろうと思ったら、コンテが小野学でした。こんなとこで仕事してるとは。あ、もちろん高橋丈夫の手によるエンディングアニメも好きですよ。前期EDのメインモチーフが「風呂桶」だったけど、後期版はより直接的に「ダブルベッド」。ホントにこの人の描くエンディングは賑やかよね。
ハイテンションな関西弁が2人もまとめて登場すると正直鬱陶しい第18話。一応確認したら弼役の興津和幸も六実役の黒河奈美も関西弁ネイティブですな。どうりで喧しくなるはずだ。
14話で一度登場して美由梨相手に好き放題やっていっただけの2人であるが、前回のエピソードで対鳳戦が一段落し、少しギャグのテイストに戻すために正式に登場。転校初日から様々な面でサーシャに絡み、また元のように賑やかなこの作品の良いところが……と思ったのだが、なーんかもっさりしてるのが気になってしまったのでわざわざ記事を書いてみた。 この作品の場合、地上波放送では肝心な部分(?)を全てカットしていらんアップや静止画、あげくの果ては背景画などで尺を繋ぐという無茶な構成になっているわけだが、慣れというのは怖いもので、いつの間にかそうした切れ切れの展開も平気で見られるようになり、修正が入るであろう箇所を想像しながら楽しむという、確実におかしな視聴体制も確立した。勢いのあるシーンなら、どこか画や音声を飛ばされても、何となくスルー出来るだけの余地が残されているのだ。 ただ、今回はそうした「修正が入るが故の残念さ」とはまた違った、もやっとした残念さが終始画面を覆っていた。まるで衛星中継でも繋がっているかのようなテンポの悪い繋ぎや、明らかにチェックが間に合っていないへにゃっとした作画。いっそ富士山でも映してもらった方があきらめがつくのに、無駄に画を止めることで稼いだ間尺など、どうにも納得いかない部分が多かった。折角元気な弼と六実というキャラクターの顔見せで、アクション、エロ、ギャグと3拍子そろった展開が見せられたはずなのに、そのどれもが調子っぱずれで、なんだか凄く損した気分である。これの前に放送してる「メイド様」のテンポは相変わらず気持ちいいくらいのものなので(流石は桜井弘明である)、この対比は残念至極。でもこれって無修正版で直る要素じゃないんだよなぁ。 早く黄金のクェイサーに帰ってきてほしいです。今まで正直そこまで評価していなかった豊崎愛生さんだったのだが、流石にあの演技は感心したのですよ。この作品だけで「燈」「右乳」「左乳」「黄金のクェイサー」の4役(?)ですよ。 そうそう、今回はサトリナ声の生徒会長に、さぁやボイスの保険医と、なんかピンポイントで私を狙ってるんじゃないかと思えるくらいに素敵なキャスティングでたまりませんでした。エンドロールで何故か保険医が最序盤にクレジットされてたんだけど……ひょっとして重要なキャラだったりする? ラスボスになったりする?! これまではずっと放って置いたんだが、中盤以降俄然面白くなってるのがこの作品。前回の温泉回も楽しかったのだが、今回はバカが突き抜けてここ最近の作品の中では断トツの愉快な回になっていたので、プッシュの意味も込めて記事を立ててみた。 というわけで、川澄綾子という役者がいかに便利ですさまじいかが端的に伝わってくる14話。この作品って、乳吸いとかの設定は別にすると、サーシャがクェイサーと格好いいバトルを繰り広げるオサレ作品じゃなかったんか。気付けばどんどんアホさに磨きがかかっており、今回のエピソードなんか、バトルシーンのダイナミックさに加えてギャグの展開も逸品。多分無修正版になればエロもこれまで通りに安定した馬鹿さ加減を発揮してくれるだろう。冒頭の豊崎劇場、もとい、燈の「リハビリ」は多分2つの乳を使っての人形劇みたいなことをやってたんだろう、と思う。こうして修正がかかってる部分で実際に何が起こってるのかを想像するのも、一歩上のレベルのこの作品の楽しみ方ですがな。まぁ、歪んでるのは知ってますけど。 今回は美由梨大活躍ということで期待大のエピソードだったわけだが、期待を裏切らない、いやさ、期待以上の勢い任せの展開に大満足。冒頭から訳の分からない展開が続き、特にフォローもないまま終わっていく投げっぱなし感はたまらないものがあるが、その間にも華がやるべきことを前部やり、カーチャの最後の転換ぶりっ子の様子なんかもギャップが全面に出ている愉快なシーン。どの場面もなんだかやけにキャラが活き活きしていて、「もうこの作品は悲哀に満ちたバトル展開なんかよりもこうやってタライを落としまくるギャグバトルだけでええんちゃうんかなー」と思えてしまう。まぁ、水銀編は大好きだったけどさ。このままのクオリティで最後までやりきってくれたら最高です。金子監督、頑張ってください。 そうそう、前回からオープンエンドが変わったのだが、相変わらずオープニングは格好いいし、エンディングも前期からのモチーフの繋ぎが見事な仕上がり。高橋丈夫はエンディングでも平気で画面を動かしてくるからエンドテロップが見にくくて仕方ないのだが、その分勢いがあって楽しいです。そういや、前回からエンドカードも変わりだしたのかな? のりにのってる作品です。 あ〜ッてなる、本当にあ〜ッ!!ってなる最終話。もう、この2人ったらどうしたらいいのかしら! 前回突然の宝探しエピソードでシナリオラインがやや外れたところに行ってしまい、今回最終回でどういう締め方をしてくれるのかと気にしてはいたのだが、まさかの「本当に何もしない」エンド。30分画面を見続けていても、ただひたすら、お互いの声が届かない電話とにらめっこしてやきもきしている純夏と汐がいるだけだ。痴話喧嘩もなければのろけ話もきゃっきゃうふふもない。まして女子部の華々しい日常なんてあるはずもない。何気ない、口にすれば本当に一言で片付いてしまうような2人の関係を、「電話」というたった1つのツールで引っ張って引っ張って引っ張って、落としてみせた。この脚本、倉田じゃなきゃ恐ろしくて上げられないぞ。 そして、このエピソードを見せられただけで「あ〜ッ」ってなる自分が嫌になる。駄目だ。本当に、この2人のもやもやを見ているだけで、楽しいんだもの。この2人の、これが見たいんだもの。前回のエピソードのおかげなのかどうか、今回の汐は随分はっきりと純夏への気持ちを自分で意識するようになっている。電話をかけたいけど、「別に相手は単なる友達だから」という自制心でもって電話をかけないつもりだったのに、待ち焦がれる気持ちに嘘はつけず、次第に不機嫌になり、気もそぞろになり、耐えきれずにボタンを押してしまう。図書館でぼんやりとしている描写も電話が気になって長時間集中できなかったことを示していたし、しかも純夏が出るまで相当長い間呼び出してましたよ。一度は諦めて切ったのに、そのすぐ後にまたかけ直し。履歴を確認すれば、もう「何となく声が聞きたくて」というレベルの焦がれ方じゃない。本当に「電話をかけただけ」のエピソードなのに、汐の気持ちの決定的な変化は、恐ろしいまでに描写されているのである。もう、花束持って駆けつけるしかないよ、純夏さん。 そして、焦がれる気持ちは純夏も同じ。親戚の手前、あまりはっちゃけることも出来ない純夏だが、電話が壊れてしまった後の一瞬の暴走モードはそれまで溜めに溜めた本能の抑制しきれなかった部分。どうせ電話が掛かったって「着いたよ」くらいしか言うことが無いはずなのに、それでもかけずにはいられない。これはまぁ、いつもの純夏さんですけど。 そして最後の台詞の意味深なことと言ったら。「アタシの声、聞こえる?」と繰り返し尋ねる純夏に対し、汐は一言「良く聞こえる」と。彼女の耳に届いた純夏の「声」の中身とは何なのか。もう、妄想するだけで丼飯十杯は軽い。「なかなか繋がらなかったもの」が「繋がった」瞬間。このためだけの最終話。そしてそのためだけの1クール。純夏さん。これからも頑張って下さい。 原作が未完なので、アニメが未完なのは当然だと思っていたが、未完を「見事な未完」で片付けるこの脚本。本当にしたたかで、正しいと思えるだけの説得力を持っている。予想を裏切りつつ、期待は裏切らないこの手際。流石の倉田英之先生でしたとさ。残りのサブキャラが全然出なくて可哀想、という見方もあるんだけど、必要なものとそうでないものの取捨選択の結果だからね。キョリちゃん、最後の最後まで食い物の話しかしてませんでした。 死ぬまでチョップは色々と大変そうな気がする最終話。ついにこの作品では初のギャグ一切無しのエピソードであり、嫌でも最終回であることを意識させる出来になっている。 前回からの流れで完全に分かってはいたことだが、基本的に本作の中心となっているのはニンフ。空から送られてきた2体の新手により、乗り越えかけていた「マスター」への忠誠心がうずく。そして、そんなニンフの葛藤をどこまで知っているのか、イカロスは智樹へ別れを告げてニンフの救出へ。不意打ちにより一度は膝を屈するが、自分を縛り付けていた最大の鎖、「兵器であることへの罪悪感」を智樹によって解き放たれ、その圧倒的な戦力でもって、敵勢力を一蹴する。ニンフを縛り付けていた「鎖」も智樹と仲間達によって打破し、雪降る空美町で、物語は大団円を迎える…… とまぁ、非常に「らしい」エンディングであるが、こうして書いてみると、改めて様々な疑問、未解決な点が残されていることが分かる。最も大きな未解決要素は、なんといっても「空の男」に対して何の接触も持っていない部分である。今回の一件でイカロスとニンフは様々な意味でマスターから解放されたわけだが、わざわざ追っ手を差し向けてきたことから察するに、彼はイカロスを諦めるつもりはないらしい。今後も引き続き智樹達は脅威にさらされることになるだろう。ニンフについては「廃棄する」と言っていたのでそこまで執着はないのかもしれないが、今回の一件でニンフが「空の男」に裏切られたのはあくまで2体の追っ手達が約束を違えた部分だけ。「空の男」への彼女の忠誠心が根底から揺らぐような要素ではない。ただ、彼女の場合は羽根をむしり取られるという決定的な仕打ちも受けているため、空への回帰という基本理念自体が断たれている可能性もあるが。 他にもシナリオ上の謎はたくさんあって、例えば「何故イカロスが落ちてきたのか」という最も根源的な謎。空の男のいる天界と「ダウナー」と呼ばれる人間達のすむ地上の関係性。空の男の目的に、イカロスが過去に犯した罪について。英四郎がこだわっていた空に浮かぶ何か(空の男の住居だろうか)についても、結局全く触れられていない。大団円のように見えてはいるのだが、実際、あのごたごたのあとに智樹達がすべきことを考えると、物語は全く解決していないと言ってもいい状態なのだ。 しかし、この作品の良いところは、それでも「終わらせた」実感が得られる部分。上述のような留意点は、今回描かれるべきメインプロットを考えるならば、結局は些末なことなのだ。原作が未完というのも大きな理由だが、実際空に何があろうと、イカロスが過去に何をしていようと、智樹達には関係ないことである。イカロスとニンフの2人の悩みさえ解決できれば、次の日からでもすぐにあのお馬鹿な日々は戻ってくるのだ。「馬鹿シナリオがメインで、シリアスはあくまでそのサポート」という本作の貫いてきた基本姿勢があればこそ、今回のエピソードは「大団円」たり得た。そういう意味では、本作のシリーズ構成は実に見事なものである。 そして、今回のエピソード1つ取っても、その演出の気配りは実に行き届いている。今回「最終回」としてやるべきことは1つだけで、それは2体のエンジェロイドを縛り付ける「鎖」をそれぞれ解き放ってやること。ニンフの場合はそれが分かりやすく、冒頭で提示されたのが「空の男」への忠誠心という強固な「鎖」。これを2体の追っ手コンビが具現化させ、さらに手ひどい裏切りによってニンフ自身に「断ち切る意志」を芽生えさせる。そこに智樹達が駆けつけて手斧による明確な「寸断」が行われたことで、彼女を縛り付けていた「鎖」は確実に打ち砕かれた。よく考えるとあのシーンで智樹達が「とりあえず鎖を切ろうぜ」みたいな流れになった意味は分からないのだが(これまでだってニンフはずっと鎖を付けてたわけで)、仲間達が力を合わせて1つの敵を打破するといういかにも最終回らしい展開のおかげで、ビジュアル的にも分かりやすく目的を達成することが出来た。 そしてもう1本、イカロスをつなぎ止める「鎖」は、智樹に嘘をついていたこと、そして自身が兵器であることへの苦悩。彼女は、1度はそれにたえきれず、智樹に別れを告げる決心をしている。これはニンフを助けるためには「兵器」に立ち戻らざるを得ないことを理解しており、兵器となってしまう場合には、智樹達との関係を犠牲にしなければいけないと判断したためだ。そういう意味では、イカロスの選択肢はニンフ>智樹であったといえる(もちろん、ニンフ無しでは智樹達との関係性が成立しないと考えたためであろうが)。そして、クライマックスでは智樹が全てを許容することでイカロスの鎖を解き放つわけだが、ここで非常に面白い働きをするのが、イカロスの「感情」という側面だ。 これまで数回のエピソードで、イカロスは「人間になりたい」という願いを強く打ち出してきた。結局彼女は望むような「感情」を得ることが出来ずに悩んでいたわけだが、最終話では「兵器」と「人間」の間を揺れ動く過程で、この「感情」を手にすることとなる。具体的な演出を確認すると、まず、智樹に別れを告げるシーンでは奇妙なサンタのお面をつけて言葉を詰まらせる。そこでは確実に「泣いているであろう」と思われるのであるが、智樹が呆然として面を取ると、そこには相変わらず表情を強ばらせたイカロスがいるだけ。この時点で、イカロスが人間ではないことが明確に示される。そしてニンフとの対峙の中で追っ手の不意打ちをくらい、イカロスは地面に伏すのだが、目の前で蹂躙されるニンフを見ても、まだイカロスの表情は張り付いたもの。少女のように泣き叫ぶニンフの悲痛な表情との対比も相まって、まだここでも彼女は機械のままだ。そして、転機が訪れるのは智樹との対話のシーン。「お前が兵器でも構わない」と智樹に諭され、イカロスは初めて、笑顔と涙を手に入れる。この、彼女が顔をくしゃくしゃにするたった1つのカットが、これまでの13話を総括する、この物語の「大団円」と言ってしまっていいだろう。緊迫感のある中で、非常に鮮烈なシーンであった。 もちろん、それ以外にもやけに迫力のある戦闘シーン、ウラヌスシステムのいかにもな発現シークエンスなど、CGを使った描写にも無駄に力を入れてきた本作の面目躍如。全てを出し切った、実に見事な最終回であった。 これは是非、続編が期待したいところですよね。次は何を飛ばそうか。 水辺の探索で長靴履いてるくせにニーソはおかしい気がして仕方ない第12話。次回で最終回のはずだが、随分落ち着いた進行。この空気がささめきですよ。 前回までで惚れた腫れたの悶着は一段落。今回はひょんなことからわき上がった校内宝探しの模様が描かれる。「女の子だけで暗号を手がかりに宝探し」ってどこかで見たことのあるえづらだなぁ、と思っていたのだが、しばし考えて「ARIA」であることに思い至った。面子の中に千和も入ってるし、「長靴」というキーワードも一緒、オチの付け方もかなり似ている。こういうオリエンテーリングみたいなミッションって、やっぱりみんなワクワクするものなのかね。まぁ、暗号として良くできてたのは1つ目のレバーくらいだけど。長靴とバッハでよく答えに行き着いたもんだな。 もちろん、単に宝探しの様子を淡々と伝えるだけではなく、その中にもきちんと様々なファクターが片付いているのは倉田脚本の抜け目のないところ。まず、1つ目の解決を見たのはあずさの気持ち。今回実に見事だなぁ、と思ったのが序盤の掃除のシーンで、気軽に声をかけてきた純夏に対し、あずさは自分と窓を拭いてくれるように頼む。これがあわよくば純夏と接近することを期待しての願いだったのかどうかまでは分からないが、その結果、純夏は反対側、教室の内側からあずさと窓を挟んで対峙する。そして、あずさの視線の先には、窓を挟んだ純夏と、その向こうに掃き掃除をしている汐が見える。この構図はそのまま、あずさが純夏・汐というカップルと「何かを隔てている」ことを暗示する。あずさはこのガラス1枚の決定的な隔たりを改めて認識することで、寂しく笑ってステージから降りることになる。もちろん、このシーンでも汐はまだ純夏に対して背中を向けているのも、非常に暗示的な構図といえる。 同様にしてあずさが「一歩引く」という動作は、川ではしゃぐ面々を見ている時にも確認出来る。体操着に着替えて騒ぐ女子部のメンバーを、一人制服のままで眺めるあずさ。最後には汐も川に飛び込み、純夏は満面の笑顔を見せる。そこで、あずさは廊下ですっと「一歩引いて」笑ってみせる。これがおそらく、この作品におけるあずさの最後の決意だろう。図書室で朋絵に「その意気や良し」と褒められたことも、勿論同じことの明確な表れだ。また、こうしてあずさが「一歩引いた」のと同時に、朱宮君も、あずさと同じように純夏達を見て笑っている。この笑顔も、彼の中で何か1つ片が付いたことの表れと見ていいのではないか。まぁ、その前に「男と見込んで!」と頼み込んだくせに見捨てた純夏さんに脈がないことくらい分かってはいるんだろうけどね。純夏さんは朱宮君の気持ちは知ってるはずなのに、本当に男が相手だと無関心だし容赦ない。唯一気になるのは汐と復縁した(?)図書委員の先輩の方だろう。様々な気持ちに片が付いたといっても、肝心の汐だけは、まだ揺れている(というか無自覚な)状態なのだ。 今回のメインテーマは、こうした脇の事象の処理。そして、それを描くためのセッティングとして、「びしょ濡れ女子高生、雨の中の体操着」という素敵なシチュエーションが使われているわけで。朋絵はご立派だし、汐はそれに輪をかけてご立派。我々の世界では水着回なんかよりよっぽどご褒美です。そこまで画的なものに一喜一憂する作品ではないのだが、今回は無闇にいい感じでした。 そうそう、今回も気になったのはキョリちゃんの存在。いや、「冷やしカレーパン」はいいとして、図書室ではキョリちゃんがいる目の前でみやこと純夏が汐の話をしてたんだが、キョリちゃんは確か純夏の秘めたる思いは知らないんだよね。全然気にしてなかったみたいだけど、いいんかな。あと、吹奏楽部なら雨の日も普通に部活あるだろうに。乗り気で水遊びしてていいもんか(まぁ、夏休みの登校日だから休みなのかもしれないけどさ)。 今回も素敵なものを色々見せてもらったわけですが、最後にエンディングの画面もなんだか嬉しいサプライズ。これまでも毎週細かく絵を差し替えるというサービスをしてくれていたわけだが、今回ついに、差し替え部分の絵がアニメーションになりました。傘に揺られてくるくると流れていくチビ純夏が可愛らしい。また、この「雨を受けた傘」はオープニングにも使われているモチーフで、こういう細かい接続なんかは心憎い演出です。 次回で終わるのかぁ。まだまだ見ていたいんだけどなぁ。 クリスマスシーズンの話のくせにまだスイカを抱えている第12話。スイカレンジャーは一体どんな戦隊物なのだろうか。 今回から、オープニング時にやかましいエフェクトが付くようになった。歌が好きな人間には耳障りだろうが、アニメーションに合わせての盛り上げ方はなかなか悪くない出来である。この手の「オープニングテーマに途中からエフェクト有り」という趣向はちょくちょく見るのだが、一体何が開祖なんだろう。個人的に印象に残ってるのは「新白雪姫伝説プリーティア」で、これは回を増すごとに少しずつエフェクトの箇所が多くなっていくという凝った演出だった。まるで「迷宮組曲」のオルゴールを集めてるみたいで毎回楽しかった記憶がある。また、最近では「ゼロの使い魔」シリーズは必ず最終回だけエフェクトありのバージョンで放映されていた。今作もそれに近いノリだと思うのだが、まだ最終回じゃない。ってことは来週はOP無しってことになるのかなぁ。 ラストも近づき、諸々の問題も収束方向へ。以前「手をつなぐ」ことを目標としていたイカロスだったが、今回は「笑う」という目標を智樹から命じられる。何とか笑おうとするイカロスだったが、そうしたデバイスは組み込まれていないのか、どうにもうまくいかない。代わりに、智樹とのコミュニケーションにうまくいっている(ように見える)ニンフに対して、未体験の胸のうずきを感じてしまう。その感情に説明をつけることが出来ず、音速越えでかけだしてしまうイカロス。良くあるラブストーリー展開も、ものがエンジェロイドだと地域規模で大変である。 彼女が今回智樹とニンフの間に複雑な感情を抱き、それを処理出来ずにいたということは、彼女の中に自覚的な「恋愛感情」が認識できたのは今回が初めてということなのだろうか。これまでは主従関係から来る「忠誠」によって仕えていた部分が、長い思索の時を経てようやく1つの感情として結実しつつある。ぶっちゃけ、そはらと智樹の関係性に何も感じなかったのはどないやねん、と思うのだが、こればかりはタイミングってことにしておこう。考えてみりゃ、ここ最近は智樹とそはらの間でいい雰囲気になった記憶がないから。 しかし、実はこの作品においてイカロスの感情は既に副次的な要素でしかない。メインテーマとして今回対比されたのは、イカロスの煩悶を軽々と乗り越えながらも、同様に自分の感情を処理しきれなかったニンフの方だ。イカロスよりは常識がある(バージョンがあがってる?)ために一見するとそれは表に出てこないのだが、最終的な懊悩のレベルで言えば、ニンフの方が深刻だ。彼女には既にマスターがおり、「忠誠」は絶対的なものであるにもかかわらず、それとは別の感情が彼女を地上に縛り付ける。この作品のクライマックスを演出したのは、イカロスではなく、あくまでニンフのアンビバレントな感情である。今回はそのテーマとなる要素が最大限に膨れあがったところで次回に引いており、最終回に相応しい盛り上げ方になっているわけだ。ニンフの身体を張った悩みっぷりに、イカロスは自分の答えを見つけることが出来るのだろうか。 今回はシリアス多めだったおかげで感想もそれなりに真面目なものになっているが、やはりこの作品の真骨頂はそんな部分じゃない。動物園大パニック発生から智樹逮捕までの一連の流れは、これまでのギャグパートに比べればはるかに短くてあっさりしたものだったが、シリアスに挟まれていたために、その希少性がよく分かった。やっぱりテンポ命で馬鹿が挟まると落ち着きます。あと、会長の外道っぷりに歯止めがききません。 さて、いよいよ次回は最終回。ぶっちゃけ嫌いじゃないけど別に別れは惜しくない今作。最後にもう一花咲かせてくれるのだろうか。 |
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HN:
Thraxi
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男性
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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