「キボウノチカラ〜オトナプリキュア '23」 5→4
プリキュアおじさん「ぷいきゅあ〜がんばえ〜」
プリキュア「頑張れじゃねぇよ。てめぇらが自分の人生なんとかしろよ」
そういうアニメ。つらい。
結局、プリキュアを20年越しで見守ってる層がどういうニーズを持っていたのかって話よね……。ニチアサで放送されるプリキュアが「子供騙し」であるなら、それを大人向けにリビルドするってのは結構な難行。プリキュアらしさを残しながら大人向けの作品にするってのは大きな構造矛盾を孕む可能性があり、本作はその部分を意図的に避けたのか、果敢にぶつかって挫けたのか、その辺はよく分からないが、正直、わざわざ旧作を引っ張り出してまで作りたかった形がこれだと言われると疑問を持たざるを得ない。
前提として私は今作で描かれた3チームのプリキュアにあんまり思い入れがなく、旧作モチーフを引っ張り出されてもさっぱり分からないのでその辺は間引いて考える必要がある。「20年前に子供だった大人たちへ」がテーマであるとするなら、その時点でもうノットフォーミーになってしまうのだ。ただ、そうして過去にのぞみたちを応援していた元子供が視聴して、今作でどんな力を貰えただろうか。もしくは心にクるものがあっただろうか。そこがあまり想像できない。
ざっくり言えば、「大人になったお前ら、プリキュアじゃなくてもできることなんていっぱいあるんだから、世界のためにお前らも働けよ」というのが今作で掲げているテーマである。そのメッセージ自体に良し悪しはないが、だとしても「現在、世界には苦しんでいる人がたくさんいます」というACみたいなメッセージを流されて、「うぅむ、これは大変なことだ」と襟を正す大人がどれくらいいるものだろう。まさにEテレらしいダイレクトワーニングメッセージではあるが、そんなんプリキュアに言われなくても分かってることだし、こんな形で訴えられても過去の英雄を担ぎ出してプロパガンダに使われてるみたいで釈然としない。結局、形は変えてもメッセージのデザインが「子供向け」っぽいので、どうにもそこがハマらない。
また、ニチアサのプリキュアってぇのは1年間の放送が義務付けられていることもあり、ぶっちゃけ毎週毎週マンネリの連続である。そうして「型」を守りながら毎週30分の儀礼を提示し、1年間を費やして大きなうねりを作り、作品ごとの差異を見せていく、それが戦隊・ライダー・プリキュアというニチアサのデザインなのだ。転じてこちらは1クール作品。わざわざテンプレで尺を埋めずとも時間が余るなんてことはない短期決戦。その中でベースとなるシナリオラインをニチアサそのままでスライドさせても、あまり意味のある構成にはならないだろう。そりゃまぁ、プリキュアが見たい層が見るのだからお約束も大事だが、「型」の提示をさっさと済ませて、「オトナオリジナル」の展開をもう少し早めに切り出してもよかった気がする。大々的に打ち出したプロジェクトの割に、拍子抜けするくらいに冒険要素が足りなかった。このプリキュアなら、別に週に2本ある必要はないかな。
まぁ、プロジェクト自体がそもそも無茶なコンセプトなのでハマる形を見つけるのは難しそうではあるが……まほプリ2でも同じことをするとは思えないので、そちらに期待することにしましょう。
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